(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
本実施形態では、撮像装置の一例であるカメラの例を用いて説明する。
本実施形態に係る撮像装置は、
図1に示す通り、複数の色フィルタを有するカラー撮像素子100と、撮像素子から出力された電気信号をA/D変換してデジタル信号を出力A/D変換回路107と、A/D変換回路から出力されるRAW信号から輝度信号を生成する輝度信号生成部101と、生成された輝度信号を用いてそれぞれ補間信号を生成して出力する第1輝度補間部102及び第2輝度信号補間部103と、A/D変換回路から出力されるRAW信号のうち同色画素の信号を用いて補間信号を生成する同色補完部104と、それぞれの補間信号を用いて演算により補正RAW信号を生成して出力する補正部105と、を適宜用いて構成される。以下、各構成の動作について詳細に説明する。
【0011】
撮像レンズを介して被写体から入射された光は撮像素子100に照射され、被写体像が結像される。撮像素子100はタイミングジェネレータによる駆動パルスによって水平と垂直の走査がなされ、被写体像を撮像し電気信号を発生する。この電気信号はA/D変換回路107でデジタル信号に変換され、RAW信号として信号処理回路に入力される。信号処理回路ではYUV生成処理の他、ノイズ除去やガンマ補正などの各種カメラ信号処理を施し、TV信号などの信号に変換後出力する。
【0012】
本実施形態における一の特徴は、上記したA/D変換回路と信号処理の間で、スケーリング(拡大・縮小)やレンズ歪補正、回転・視点変換、撮像素子内で画素加算された場合に発生する歪の補正などの、各画素の重心をずらす補正を行う点にあり、RAW信号の色フィルタ配列順番を変えることなく、且つ解像度劣化の少ない出力RAW信号を、少ないコストで実現するものである。
【0013】
輝度信号生成部101の動作について、
図2を用いて説明する。
A/D変換回路から出力されたRAW信号は、画素ごとに順次、輝度信号生成部101と同色補間部104にそれぞれ入力する。撮像素子はカラー単板撮像素子であれば、たとえばA色、B色、C色、D色の4色の色フィルタに対応する画素が2x2のペアで
図2(a)のように配列される。撮像素子が原色ベイヤ配列であれば、例えばA=R、B=C=G、D=Bと表せば良い。輝度信号生成部101は、RAW信号の各画素のサンプリング位置に対応する輝度信号を、フィルタ処理による補間を行うことで生成する。例えば、Y33の場合には、
(数1)Y33=(A33+(B32+B34)/2+(C23+C43)/2+(D22+D24+D42+D44)/4)/4
の演算で生成し、他の位置の画素についても同様に処理することで輝度(Y)信号を生成できる。
【0014】
輝度信号生成部101で生成された輝度信号は、第1輝度補間部102と第2輝度補間部103にそれぞれ入力される。
【0015】
同色補間部104は、重心をずらした画素信号を、近隣の同色画素信号を用いてフィルタリングにより補間することで補間信号を生成し、補正部105に出力する。
【0016】
第1輝度補間部102では、重心をずらした画素信号を、上記同色補間部104でフィルタリングに用いた画素の位置と同じサンプリング位置の輝度信号を用いてフィルタリングにより補間することで補間信号を生成し、補正部105に出力する。
【0017】
第2輝度補間部103では、重心をずらした画素信号を、第1輝度補間部で補間信号を生成する際に用いた輝度信号とは一部またはすべて異なる輝度信号(例えば相関性の最も高い近隣輝度信号)を用いフィルタリングにより補間することで補間信号を生成し、補正部105に出力する。
【0018】
第1輝度補間部102と、第2輝度補間部103と、同色補間部104で補間された信号は、それぞれ補正部105で演算を施し、入力されたRAW信号の各画素に対して、所望の位置に重心の位置をずらした補正後のRAW信号を出力する。ここで、補正部105では、第1輝度補間部102で生成した補間信号と第2輝度補間部103で生成した補間信号との比を用いて、同色補間部104からの信号を補正して出力する。
【0019】
上記、第1輝度補間部102と、第2輝度補間部103と、同色補間部104と、補正部105の動作に付き、
図3から
図7を用いて詳細を説明する。各
図3から
図7は、あるA色の1画素を補間生成する際の例を示している。
図3は、A33とA44とA53とA55の間にある★印の重心位置に対応したA色の補間信号を生成する場合であり、その重心位置はA33とA44とA53とA55のうちA33が最も近い場合の例である。これを補間係数パターン1(α<0.5、β<0.5)と定義する。
【0020】
図4から
図6についても同様に、A33とA44とA53とA55のうち最も近い画素の違いに応じてパターン2(α>=0.5、β<0.5)、3(α<0.5、β>=0.5)、4(α>=0.5、β>=0.5)と定義する。以上のように、生成する補間画素の位置に応じて4つのパターンに分かれる。
【0021】
同色4画素の位置と、補正により生成するRAWデータ(AH)の位置について、係数αは水平方向の位置の比率を表し、係数βは垂直方向の位置の比率を表している。
【0022】
まず、
図3を用いて、A33のRAWに対して、補間係数パターン1(α<0.5、β<0.5)の範囲の位置に補正後のRAWデータ(AH)を生成する例を説明する。
【0023】
同色補間部104は、
図3(a)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβによって、補間信号(AL)を、A33,A35,A53,A55を用いて、
(数2)AL= A33*(1-α)*(1-β)+A35*α*(1-β)+A53*(1-α)*β+A55*α*β
の、ように求める。
【0024】
第1輝度補間部102は、
図3(b)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβによって、補間信号(YL)を、Y33,Y35,Y53,Y55を用いて、
(数3)YL= Y33*(1-α)*(1-β) +Y35*α*(1-β)+Y53*(1-α)*β+Y55*α*β
の、ように求める。
【0025】
第2輝度補間部103は、
図3(c)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβ(α<0.5、β<0.5)によって、Y33,Y34,Y43,Y44を用いて補間信号(YH)を、
(数4)YH= Y33*(1-2α)*(1-2β)+Y34*2α*(1-2β)+Y43*(1-2α)*2β+Y44*2α*2β
の、ように求める。第2輝度補間部103では、第1輝度補間部102とは使用する輝度信号が異なるため、第1輝度補間部102での、α、βが、第2輝度補間部103では、それぞれ2α、2β相当となる。
【0026】
ここで、同色補間部104にて算出したALは、補間に使用する画素の距離が離れているために、狭帯域の(高周波の利得が低いボケた)画像信号となる。第1輝度補間部102にて算出したYLは、同色補間部104にて算出したALと同じフィルタ特性となり、同様に狭帯域の輝度信号となる。一方で、第2輝度補間部103にて算出したYHは、補間に使用する画素の距離が近いため広帯域の(高周波の利得がYLに比べて高くボケていない)輝度信号となる。輝度信号は、各A、B、C、Dの色信号に対して一定の相関性を持つため、
(数5)AH(広帯域):AL(狭帯域)≒ YH(広帯域):YL(狭帯域)
が成り立つ。そこで補正部105は
図3(d)に示すとおり、上記(式5)を変形し、
(数6)AH=AL*YH/YL
として、高周波の利得が高くボケていないA色の補間信号AHを求める。
【0027】
次に、
図4を用いてA33のRAWに対して、補間係数パターン2(α>=0.5、β<0.5)の範囲の位置に補正後のRAWデータ(AH)を生成する例を説明する。ここでは、同色補間部104、第1輝度補間部102、補正部105は、
図3と同じ動作をするため説明を省略し、第2輝度補間部103の動作について説明する。
【0028】
第2輝度補間部103は、
図4(c)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβ(α>=0.5、β<0.5)によって、Y34,Y35,Y44,Y45を用いて補間信号(YH)を、
(数7)YH= Y34*(2-α)*(1-2β)+Y35*(2α-1)*(1-2β)+Y44*(2-α)*2β+Y45*(2α-1)*2β
の、ように求める。第2輝度補間部103では、第1輝度補間部102とは使用する輝度信号が異なるため、第1輝度補間部102での、α、(1-α)、βが、第2輝度補間部103では、それぞれ(2α-1)、(2-α)、2β相当となる。
【0029】
次に、
図5を用いてA33のRAWに対して、補間係数パターン3(α<0.5、β>=0.5)の範囲の位置に補正後のRAWデータ(AH)を生成する例を説明する。上記同様に、第2輝度補間部103の動作について説明する。
【0030】
第2輝度補間部103は、
図5(c)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβ(α<0.5、β>=0.5)によって、Y43,Y44,Y53,Y54を用いて補間信号(YH)を、
(数8)YH= Y43*(1-2α)*(2-β)+Y44*2α*(2-β)+Y53*(1-2α)*(2β-1)+Y54*2α*(2β-1)
の、ように求める。第2輝度補間部103では、第1輝度補間部102とは使用する輝度信号が異なるため、第1輝度補間部102での、α、β、(1-β)が、第2輝度補間部103では、それぞれ2α、(2β-1)、(2-β)相当となる。
【0031】
次に、
図6を用いてA33のRAWに対して、補間係数パターン4(α>=0.5、β>=0.5)の範囲の位置に補正後のRAWデータ(AH)を生成する例を説明する。上記同様に、第2輝度補間部103の動作について説明する。
【0032】
第2輝度補間部103は、
図6(c)に示すとおり、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβ(α>=0.5、β>=0.5)によって、Y43,Y44,Y53,Y54を用いて補間信号(YH)を、
(数9)YH=Y44*(2-α)*(2-β)+Y45*(2α-1)*(2-β)+Y54*(2-α)*(2β-1)+Y55*(2α-1)*(2β-1)
の、ように求める。第2輝度補間部103では、第1輝度補間部102とは使用する輝度信号が異なるため、第1輝度補間部102での、α、(1-α)、β、(1-β)が、第2輝度補間部103では、それぞれ(2α-1)、(2-α)、(2β-1)、(2-β)相当となる。
【0033】
上記のように、第2輝度補間部103では、生成する補間画素の重心位置に応じて係数を変化させる必要がある。第2輝度補間部103の係数の切り替え方法について
図7を用いて補足説明する。
【0034】
第2輝度補間部103では、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβによって4つのパターンの処理に切り分ける。
【0035】
STEP1で補間係数設定部106から設定された補間係数αがα<0.5となるかを比較判定する。真の場合にはSTEP2へ、偽の場合にはSTEP3へと分岐する。STEP2では補間係数設定部106から設定された補間係数βがβ<0.5となるかを比較判定する。真の場合にはSTEP4へ、偽の場合にはSTEP5へと分岐する。STEP4では上記した補間係数パターン1(α<0.5、β<0.5)の処理を施す。STEP5では上記した補間係数パターン2(α>=0.5、β<0.5)の処理を施す。
【0036】
STEP3では補間係数設定部106から設定された補間係数βがβ<0.5となるかを比較判定する。真の場合にはSTEP6へ、偽の場合にはSTEP7へと分岐する。STEP6では上記した補間係数パターン3(α<0.5、β>=0.5)の処理を施す。STEP7では上記した補間係数パターン4(α>=0.5、β>=0.5)の処理を施す。
【0037】
以上の動作により、第2輝度補間部103では、補間係数設定部106から設定された補間係数αとβに応じて、4つの処理を切り分けて、補間信号(YH)を生成する。
【0038】
以上の構成により、解像度の劣化を抑制しつつ、RAW信号について重心をずらした信号を補間により生成することができる。さらには、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて、信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模で補間信号を生成することが可能となる。
【0039】
なお、本実施例では、第2輝度補間部103で4つのパターンを判定し、パターンに応じて処理を切り分けるように一例を説明したが、例えば補間係数設定部106で4つのパターンを判定し、第2輝度補間部103にパターン情報を供給し、第2輝度補間部103でパターン情報によって処理の切り分けをおこなっても良い。
【実施例2】
【0040】
撮像装置の第2の実施例について、
図8から
図12を用いて説明する。なお、
図8において、
図1と同じ動作をする構成については、適宜説明を省略し、異なる構成について主として説明する。
【0041】
本実施例2では、実施例1の構成と異なる点として、実施例1の補間係数設定部106において、不図示の制御マイコン等から指示された倍率と開始位置を入力し、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAW信号と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報を入力し、これらの入力情報から画素毎のスケーリング(拡大・縮小)後の座標を演算し、画素ごとに順次、座標・補間係数設定部206に出力するスケーリング演算部207と、スケーリング演算部207からの座標情報と、座標情報から算出した、補間係数α、βを、それぞれ第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204に出力する座標・補間係数設定部206と、を有する構成としている。
【0042】
第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204では、スケーリング演算部207からの座標情報の位置を囲む同色4画素を選択し、該同色4画素の位置に対して上記した
図1と同様の補間処理を施す。
【0043】
次に、拡大・縮小の動作の例につき、それぞれ
図9と
図10を用いて説明する。
図9は、拡大時の動作説明を補足する図で、8/6=4/3倍に左上の部分から拡大する例である。水平垂直に6*6ある画素を同一面積内に8*8の画素を配置して、8*8の各画素の重心になるようにそれぞれ順に始点と補間係数α、βの比率を割り当て、上記した補間によりA11’、B12’、A13’、B14’、A15’、B16’、C21’、D22’、C23’、D24’、C25’、D26’、A31’、B32’、A33’、B34’、A35’、B36’、C41’、D42’、C43’、D44’、C45’、D46’、A51’、B52’、A53’、B54’、A55’、B56’、C61’、D62’、C63’、D64’、C65’、D66’の補正後RAW信号を生成する。その後、当該補正後RAW信号を元のRAW信号と同様の速度で処理することで所望である4/3倍の拡大処理となる。
【0044】
図10は、縮小時の動作説明を補足する図で、4/6=2/3倍に左上の部分から縮小する例である。水平垂直に6*6ある画素を同一面積内に4*4の画素を配置して、4*4の各画素の重心になるようにそれぞれ順に始点とα、βの比率を割り当て、上記した補間によりA11’、B12’、A13’、B14’、C21’、D22’、C23’、D24’、A31’、B32’、A33’、B34’、C41’、D42’、C43’、D44’の補正後RAW信号を生成する。その後、当該補正後RAW信号を元のRAW信号と同様の速度で処理することで所望である2/3倍の縮小処理となる。
【0045】
さらに、上記
図9、
図10の場合についてスケーリング演算の例を
図11と
図12を用いてそれぞれ説明する。
図11は、
図9での拡大時のB34’、D46’に対するスケーリング演算の例である。B34’の重心座標は、(3.5*3/4,2.5*3/4)=(2.625,1.875)となり、この値がスケーリング演算部207の出力となる。座標・補間係数設定部206では、座標情報(2.625,1.875)と、該座標情報から求めたα=0.5625、β=0.6875を出力する。第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204では、該座標を囲む同色4画素のB12、B14、B32、B34を選択する。同様にD46’時には、座標=(4.125,2.625)、α=0.3125、β=0.5625、同色4画素は、D24、D26、D44、D46となる。
【0046】
図12は、
図10での縮小時のA33’、D44’に対するスケーリング演算の例である。A33’の重心座標は、(2.5*3/2,2.5*3/2)=(3.75,3.75)となり、この値がスケーリング演算部207の出力となる。座標・補間係数設定部206では、座標情報(3.75,3.75)と、該座標情報から求めたα=0.625、β=0.625を出力する。第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204では、該座標を囲む同色4画素のA33、A35、A53、A55を選択する。同様にD44’時には、座標=(5.25,5.25)、α=0.875、β=0.875、同色4画素は、D44、D46、D64、D66となる。
【0047】
以上の構成により、本実施形態に係る撮像装置については、解像度の劣化を抑制しつつ、スケーリング(拡大・縮小)したRAW信号を生成することができる。さらには、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて、信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模でスケーリング機能を有する撮像装置の提供が可能となる。
【実施例3】
【0048】
撮像装置の他の変形例について、
図13から
図15を用いて説明する。なお、
図13、
図14において、
図1、
図8と同じ動作をする構成については、適宜説明を省略し、異なる構成について主として説明する。
【0049】
図13は、撮像装置の第三の構成例を示す図であり、レンズの歪補正機能を備えるものである。本実施例におけるレンズの歪補正機能の構成例では、実施例1と異なる点として、実施例1の補間係数設定部において、レンズ歪の特性に従った各画素の座標のズレ量をテーブルデータとして格納してあり、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAWデータの位置と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報に対応したテーブルデータを読み出し、座標情報を加えることで、レンズ歪補正後の座標を演算し、画素ごとに順次、座標・補間係数設定部206に出力するレンズ歪特性テーブルデータ部307と、レンズ歪特性テーブルデータ部307からの座標情報と、座標情報から算出した、補間係数α、βを、それぞれ第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204に出力する座標・補間係数設定部206と、を有する構成としている。
【0050】
図14は、レンズの歪補正機能を備える撮像装置の変形例として、第四の構成例を示す図である。本実施例におけるレンズの歪補正機能の構成例では、実施例1と異なる点として、実施例1の補間係数設定部において、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAWデータの位置と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報を入力し、例えば、レンズ中心から現在の座標までの距離に応じて歪量をレンズの特性に従った計算式を用いて演算し、撮像素子の中心位置から現在の画素までの方向に対して該歪量を補正することで、レンズ歪補正後の座標を演算し、画素ごとに順次、座標・補間係数設定部206に出力するレンズ歪特性関数演算部407と、レンズ歪特性関数演算部407からの座標情報と、座標情報から算出した、補間係数α、βを、それぞれ第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204に出力する座標・補間係数設定部206と、を有する構成としている。
【0051】
図15は、歪補正機能の説明を補足する図である。
図15(a)歪補正前の図、
図15(b)は歪補正後の図であり、点線はレンズの歪特性を示し、点は画素の重心の位置を示し、矢印はレンズ歪を補正する前と補正した後で画素の重心が移動したベクトルを示している。
【0052】
撮像装置の第三の構成例においては、レンズ歪特性テーブルデータ部307にこのベクトルがテーブルデータとして格納してあり、座標・補間係数設定部206は、このレンズ歪特性テーブルデータに基づいて、レンズ歪を補正するための補間係数を、第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204各々に対して個別に生成して出力する。
【0053】
また、撮像装置の第四の構成例においては、レンズ歪特性関数演算部407にこのベクトルの大きさが撮像素子の中心からの距離に応じた関数として予め定めてあり、レンズ歪特性関数演算部407は予め設定されたレンズ歪特性関数をもとに画素毎にレンズ歪特性補正後の座標を演算し、座標・補間係数設定部206では、レンズ歪特性関数演算部407からの情報に基づいて、レンズ歪を補正するための補間係数を、第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204各々に対する個別に設定して出力する。
【0054】
いずれの撮像装置においても、各補間部において、レンズ歪補正後の座標を元に、上記実施例1と同様の処理がなされ、RAWデータの補間をおこなう。
【0055】
以上のように本実施例では、前記実施例1の効果を得たまま、RAWデータの補間を行うことによって、歪補正機能を実現できる。
【0056】
なお、本実施例では、一例として樽型歪の場合を説明したが、これに限られるものではなく、例えば糸巻き歪の場合等にも同様に本実施例を適用可能であり、本実施例と同様の効果を得られる。
【0057】
また、上記テーブルデータ方式において、テーブルデータの数を減らし、数を減らした部分を演算で補うように構成しても適用可能であり、本実施例と同様の効果を得られる。
【0058】
また、上記レンズ歪補正機能の構成例その1のテーブルデータ方式において、RAW信号における各色に対応した歪データを個別に保持し、各色信号毎に個別に補間信号を生成する構成とすれば、前記実施例1の効果を得たまま、レンズ歪のうちディストーションのみならず倍率色収差を補正することができる。
【0059】
また、上記レンズ歪補正機能の構成例その2のレンズ関数方式において、RAW信号における各色に対応した歪関数を個別に保持し、各色信号毎に個別に補間信号を生成する構成とすれば、前記実施例1の効果を得たまま、レンズ歪のうちディストーションのみならず倍率色収差を補正することができる。
【実施例4】
【0060】
撮像装置の他の変形例であって、回転機能を実現する撮像装置について、
図16、
図17を用いて説明する。ここで、本実施例における回転機能とは、
図17に示すとおり、RAWデータの色フィルタ配列を変えることなく、撮像された被写体を回転させることと定義する。なお、
図16において、
図8と同じ動作をする構成については、適宜説明を省略し、異なる構成について主として説明する。
【0061】
図16は、回転機能を実現する撮像装置の構成例を示す図であり、実施例1と異なる点として、実施例1の補間係数設定部において、不図示の制御マイコン等から指示された回転中心と回転角度を入力し、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAW信号と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報を入力し、これらの入力情報から回転後の座標を演算し、画素ごとに順次、座標・補間係数設定部206に出力する回転演算部507と、回転演算部507からの座標情報と、座標情報から算出した、補間係数α、βを、それぞれ第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204に出力する座標・補間係数設定部206と、を有する構成としている。
【0062】
図17は、回転機能の説明を補足する図である。回転演算部507では、回転中心=(a,b)、回転角度=θ(x軸からy軸の方向(右回り)を正とする)、現在の座標=(x,y)(= (H-0.5,V-0.5))として、回転後の座標=(x’,y’)を、
(数10)x’= cosθ*(x-a)+sinθ*(y-b)+a
(数11)y’=-sinθ*(x-a)+cosθ*(y-b)+b
として求める。A13’の場合には(x’,y’)=(2.219,2.451)、D24’の場合には(x’,y’)= (3.585,2.817)となる。回転後の座標を元に、上記実施例1と同様に処理することで、RAWデータの補間をおこなう。
【0063】
以上のように本実施例では、前記実施例1の効果を得たまま、RAWデータの補間によって、回転機能を実現できる。なお、
図17において回転中心と回転角度を入力するように説明したが、移動などのパラメータを追加して変換式を変更することで容易に機能を向上できることは明らかである。また、回転のほか、スケーリング(拡大・縮小)、レンズ歪補正、視点変換、画素加算歪補正や移動などの他の機能を複数併用しても構わない。
【0064】
また、本実施例では回転演算部に回転のための関数を予め設定しておく方法の説明としていたが、
図20に示すように、回転角度毎に、回転補正を行うためのずれ量などを予めテーブルデータとして格納しておき、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAWデータの位置と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報に対応したテーブルデータを読み出して回転補正後の座標を演算し、画素毎に順次、座標・補間係数設定部206に出力する回転補正データテーブル部707を持つ構成でも構わない。以上の構成であれば、回転補正を行うための演算処理を省くことができ、低コストで回転補正が実現可能となる。
【0065】
以上の構成により、解像度の劣化を抑制しつつ、回転補正を行ったRAW信号を生成することができる。さらには、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて、信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模で回転機能を有する撮像装置の提供が可能となる。
【0066】
また、前記回転演算部507については撮像素子からの画素信号における各色に対応した回転演算用の関数を個別に保持し、または前記回転補正データテーブル部707については撮像素子からの画素信号における各色に対応した回転補正用のデータを個別に保持し、前記同色補間部および前記第1輝度補間部および前記第2輝度補間部は、前記各色毎に個別に補間信号を生成する構成とすれば、色成分毎に異なる回転処理を施す特殊効果画像を生成する撮像装置を提供することも可能となる。YUVで色成分毎に異なる回転処理を施す場合は一度色分離処理が必要となるが、本実施例によれば色分離処理は必要なく低コストで実現できる。
【実施例5】
【0067】
撮像装置の他の変形例であって、視点変換機能を実現する撮像装置について、
図18、
図19を用いて説明する。ここで、本実施例における視点変換機能とは、
図19に示すとおり、RAWデータの色フィルタ配列を変えることなく、撮像された被写体をあたかも見る位置を変えたかのように変化させることと定義する。
図19は、被写体を正面から撮影した画像を、あたかも被写体の下方から撮影したように変換する場合の例を示している。なお、
図18において、
図8と同じ動作をする構成については、適宜説明を省略し、異なる構成について主として説明する。
【0068】
図18は、視点変換機能を実現する撮像装置の構成例を示す図であり、実施例1と異なる点として、実施例1の補間係数設定部において、不図示の制御マイコン等から指示された水平方向強度と垂直方向強度を入力し、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAW信号と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報を入力し、これらの入力情報から視点変換後の座標を演算し、画素ごとに順次、座標・補間係数設定部206に出力する視点変換演算部607と、視点変換演算部607からの座標情報と、座標情報から算出した、補間係数α、βを、それぞれ第1輝度補間部202、第2輝度補間部203、同色補間部204に出力する座標・補間係数設定部206と、を有する構成としている。
【0069】
図19は、視点変換機能の説明を補足する図である。視点変換演算部607では、水平方向強度=Kh、垂直方向強度=Kv1、Kv2、画像サイズ=(X,Y)、現在の重心=(x,y)として、視点変換後の座標=(x’,y’)を、
(数12)y’=Kv1*y^2+Kv2*y
(数13)x’=(x+X/2*(1-Kh*(Y-y))-X/2)/(1-Kh*(Y-y))
として求める。
図19は、Kh=0.08、Kv1=-0.12、Kv2=1.72、X=6、Y=6の例である。C23’の場合には(x’,y’)=(2.219,2.310)、C43’の場合には(x’,y’)= (3.625,4.550)となる。視点変換の座標を元に、上記実施例1と同様に処理することで、RAWデータの補間をおこなう。
【0070】
以上のように本実施例では、前記実施例1の効果を得たまま、RAWデータの補間によって、視点変換機能を実現できる。なお、
図18において水平方向強度と垂直方向強度を入力するように説明したが、距離と投射角度のパラメータとして三角関数を使用した変換式によっても同様な機能を実現できる。
【0071】
また、
図18ではチルトの例を説明したがパンのパラメータを追加した変換式とすることで容易に機能を向上できることは明らかである。さらに、視点変換のほか、スケーリング(拡大・縮小)、レンズ歪補正、回転、画素加算歪補正や移動などの他の機能を複数併用しても構わない。
【0072】
また、本実施例では視点変換演算部に関数を予め設定しておく方法の説明としていたが、
図21に示すように、視点変換の種類毎に、視点変換補正を行うためのずれ量などを予めテーブルデータとして格納しておき、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAWデータの位置と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報に対応したテーブルデータを読み出して視点変換補正後の座標を演算し、画素毎に順次、座標・補間係数設定部206に出力する視点変換補正データテーブル部807を持つ構成でも構わない。以上の構成であれば、視点変換補正を行うための演算処理を省くことができ、低コストで視点変換補正が実現可能となる。
【0073】
以上の構成により、解像度の劣化を抑制しつつ、視点変換補正を行ったRAW信号を生成することができる。さらには、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて、信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模で視点変換機能を有する撮像装置の提供が可能となる。
【0074】
また、前記視点変換演算部607については撮像素子からの画素信号における各色に対応した視点変換演算用の関数を個別に保持し、または前記視点変換補正データテーブル部807については撮像素子からの画素信号における各色に対応した視点変換補正用のデータを個別に保持し、前記同色補間部および前記第1輝度補間部および前記第2輝度補間部は、前記各色毎に個別に補間信号を生成する構成とすれば、色成分毎に異なる視点変換処理を施す特殊効果画像を生成する撮像装置を提供することも可能となる。YUVで色成分毎に異なる視点変換処理を施す場合は一度色分離処理が必要となるが、本実施例によれば色分離処理は必要なくさらに低コストで実現できる。
【0075】
なお、上記実施例4で説明した回転機能と実施例5で説明した視点変換機能に留まることなく、本実施例においては撮像素子からのRAWデータに対して被写体を変形させる処理のすべてに対応させることができる。たとえば、実施例4で説明した回転演算部507や、実施例5で説明した視点変換演算部607は、
図22に示す被写体変形演算部907とし、被写体変形演算部907は、回転・視点変換、移動、その他の被写体を変形させるための演算のうち少なくともひとつを備えるものであれば良く、また複数備えていて、任意に選択出来るようにしても構わない。
【0076】
また、例えば、実施例4で説明した回転補正データテーブル部707や、実施例5で説明した視点変換補正データテーブル部807は、
図23に示す被写体変形補正データテーブル部1007とし、被写体変形補正データテーブル部1007は、回転・視点変換、移動、その他の被写体を変形させるためのずれ量をテーブルとして予め保持しておくものであれば良い。
【0077】
また、さらには、前記被写体変形演算部907については、撮像素子からの画素信号における各色に対応した被写体変形演算用の関数を個別に保持し、または前記被写体変形補正データテーブル部1007については撮像素子からの画素信号における各色に対応した被写体変形補正用のデータを個別に保持し、前記同色補間部および前記第1輝度補間部および前記第2輝度補間部は、前記各色毎に個別に補間信号を生成する構成とすれば、色成分毎に異なる被写体変形補正処理を施す特殊効果画像を生成する撮像装置を提供することも可能となる。YUVで色成分毎に異なる視点変換処理を施す場合は一度色分離処理が必要となるが、本実施例によれば色分離処理は必要なくさらに低コストで実現できる。
【0078】
上記構成によれば、解像度の劣化を抑制しつつ、被写体の変形を行ったRAW信号を生成することができる。さらには、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて、信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模で被写体の変形機能を有する撮像装置の提供が可能となる。
【実施例6】
【0079】
撮像装置の他の変形例であって、撮像素子内で所定の複数画素を加算後、RAWデータとして読み出す画素加算読み出し方式や、撮像素子内の所定の画素を間引いた後、RAWデータとして読み出す画素間引き読み出し方式などを用いた場合において発生する画素重心位置のずれを補正する画素重心補正を実現する例について、
図24、
図25、
図26を用いて説明する。なお、
図25において、
図8と同じ動作をする構成については、適宜説明を省略し、異なる構成について主として説明する。
【0080】
まず、
図24を用いて、撮像素子内にて所定の4画素を加算した後読み出す4画素加算読み出し方式において、画素重心ずれが発生する原理を説明する。
図24(a)に示すのは、A〜Dの4種類の色フィルタに対応する画素が配列された、撮像素子上の画素配列のイメージ図である。
図24(b)に示すのは、
図24(a)の所定の4画素を加算した結果の画素配列のイメージ図である。4画素加算後の各画素は次式で求められる。
A’22=A11+A13+A31+A33
B’23=B12+B14+B32+B34
C’32=C21+C23+C41+C43
D’33=D22+D24+D42+D44
A’26=A15+A17+A35+A37
B’23=B16+B18+B36+B3
C’32=C25+C27+C45+C47
D’33=D26+D28+D46+D48
A’62=A51+A53+A71+A73
B’63=B52+B54+B72+B74
C’72=C61+C63+C81+C83
D’73=D62+D64+D82+D84
A’66=A55+A57+A75+A77
B’67=B56+B58+B76+B78
C’76=C65+C67+C85+C87
D’77=D66+D68+D86+D88
上記4画素加算後の画素信号は、所定のタイミングによって読み出される。たとえばラスタスキャンで読み出されるとすれば、
A’22、B’23、A’26、B’27、・・・・
C’32、D’33、C’36、D’37、・・・・
といった形で点順次に読み出される。したがって、A〜Dの4種類の色フィルタに対応する画素の配列順序が変わることがなく画像サイズを小さくすることができる。
【0081】
ただしここで、画素加算後の例えばB’23において、A’22とA’26は共に隣接画素として扱われるが、B’23とA’22のサンプリング間隔は短く、B’23とA’26のサンプリング間隔は長い。このように、画素加算後では、画素毎に隣接画素とのサンプリング間隔にばらつきが発生し、ジャギ発生など画質劣化が起こる。
【0082】
フィルタリングによる画素の重心ずらしを行うことでサンプリング間隔を等間隔にすることでジャギの低減が可能であるが、RAWデータにおいて色フィルタ配列の順序を変えることなく重心ずらしを行うためには、同色画素のみを用いた広いタップのフィルタリングが必要となり、解像度劣化という別の弊害を招く。
【0083】
そこで本実施例では上記課題を解決するために、
図25に示すような各画素のサンプリング間隔を等間隔とするための画素重心ずれ補正可能な撮像装置を提供する。本実施例における画素重心ずれ補正の構成例では、実施例1の補間係数設定部において、不図示の制御マイコン等から指示された水平方向のサンプリング間隔ばらつき情報と垂直方向のサンプリング間隔ばらつき情報入力し、不図示のタイミングジェネレータ等から与えられるRAW信号と同期した水平(H)・垂直(V)の座標情報を入力し、これらの入力情報から画素重心ずれ補正後の座標を演算し、画素毎に順次、同色補間部と第1輝度補間部と第2輝度補間部各々に用いる画素信号の座標と係数を個別に求めて出力する画素重心ずれ補正係数・座標演算部1106と、を有する構成とした。
【0084】
図26は、画素重心ずれ補正機能の説明を補足する図であり、水平方向の画素加算数=2、垂直方向の画素加算数=2の例である。
図26(a)は、4画素加算後の画像のサンプリング位置を示しており、各画素のサンプリング間隔にばらつきが発生している。このサンプリング間隔のばらつきを、
図26(b)のように等間隔となるよう、重心ずれを補正する。同色補間部204は、重心ずれを補正した画素信号を、近隣の同色画素信号を用いフィルタリングにより補間することで生成し、補正部105に出力するものである。例えば、a,b,c,dをそれぞれ所定の係数とし、
B”24=B’23×a+B’27×b+B’63×c+B’67×d
という式で画素の重心ずれを補正した信号を生成する。
輝度信号生成部101においては、輝度信号の画素の重心が各々
図26(a)に示す画素の位置と同一となる輝度信号を生成するものであり、例えば周辺画素A〜Dに対して重み付き加重平均値を輝度信号として算出し、第1輝度補間部202と第2輝度補間部203に出力するものである。例えば、A’22の画素の位置と同一となる輝度信号を、周辺のA〜Dの画素信号に重み付き加重平均値を算出し、Y’22とする。
第1輝度補間部202は、上記同色補間部204でフィルタリングに用いた画素と同じサンプリング位置の輝度信号を用いて、重心をずらした画素信号をフィルタリングにより生成し、補正部105に出力するものである。例えば、a,b,c,dをそれぞれ所定の係数とし、
Y”24=Y’23×a+Y’27×b+Y’63×c+Y’67×d
という式で画素の重心をずらした信号を生成する。
第2輝度補間部203は、相関性の高い近隣輝度信号を用いフィルタリングにより補間することで生成し、補正部105に出力するものである。例えば、a,b,c,dをそれぞれ所定の係数とし、
Y”24=Y’23×a+Y’26×b+Y’63×c+Y’66×d
という式で画素の重心をずらした信号を生成する。
補正部105の動作は、実施例1に記載の同様であり、高周波の利得が高くボケていない各色に対応する補間信号を求める。
【0085】
画素重心ずれ補正係数・座標演算部1106では、水平方向のサンプリング間隔ばらつき情報、垂直方向のサンプリング間隔ばらつき情報と現在の座標に応じて、同色補間部と第1輝度補間部と第2輝度補間部各々に用いる画素信号の座標と係数を個別に求めて出力する。
【0086】
以上の構成により、解像度を損なうことなく、撮像素子内において画素加算が行われる画素加算読み出し方式において、各画素間のサンプリング間隔のばらつきによるジャギ発生を抑制できすることができる。また、RAW信号で重心のずれ補正を可能とするため、RAW信号は、一般にRGB信号やYUV信号に比べて信号のビット幅が少ないことから、小さな回路規模で補間信号を生成することが可能となる。
【0087】
尚、上記実施例においては、撮像素子内で4画素加算された場合を例に説明したが、少なくとも2画素以上の加算方式においてサンプリング間隔にばらつきが発生するものであればすべてに適用可能である。また、画素加算を用いずに、画素間引きを行うことによりサンプリング間隔にばらつきが発生する場合についても適用可能である。また、画素加算や画素間引きを行わない場合であっても、撮像素子の各画素が物理的にずれた構成となり、サンプリング間隔にばらつきが発生する場合についても適用可能である。また、撮像素子内に限らず、撮像素子から出力されたRAWデータを所定の信号処理を施すことにより、各画素のサンプリング間隔にばらつきが発生する場合についても適用可能である。
【0088】
また、
図26において、A色の信号は重心をずらさずにB,C,Dのみをずらす構成としたが、この構成によればすべての画素について重心ずらしを行う必要がなく、演算コストを削減することができる。また上記に限らず、A〜D信号の各々の重心ずらしの距離を同じにする構成としてもよく、この場合各A〜D信号にかかる係数の組み合わせを同一とすることができ、画素重心ずれ補正係数・座標算出設定部1106における演算コストを削減することができ、さらにはフィルタリングの周波数特性が同じになるため、フィルタリングによるジャギ発生を抑制することができる。
【0089】
また例えば、A〜D信号のうち、特定の1色もしくは2色のみに重心ずれ補正をかける構成とすることもできる。例えば撮像素子がRGBベイヤセンサである場合、輝度信号の大半を占めるG信号のみに重心ずれ補正をかけることで、ジャギの低減と演算コストの削減が可能となる。
【0090】
また、
図25において水平方向のサンプリング間隔ばらつき情報と垂直方向のサンプリング間隔ばらつき情報を入力するとしたが、撮像素子の画素加算数、あるいは画素間引き数から座標と補間係数を算出する方法でも良い。また、異なる二つのサンプリングパターンを入力とし、その差分を求める手段を有し、その差分から補間に使用する座標と係数を算出する方法でもよい。またさらには、前記他の実施例で示した、視点変換、スケーリング(拡大・縮小)、レンズ歪補正、回転、視点変換や移動などの他の機能を複数併用することを想定し、各々の座標と係数を合計した値を設定すれば、複数の処理を1回の演算で処理可能となり、演算コストが削減できる。
【0091】
また、本実施例においては画素加算等により、各画素のサンプリング間隔のばらつきが発生していたものを等間隔になるよう補正することとしたが、逆にサンプリング間隔が等間隔であるものを、本技術により各画素のサンプリング間隔にばらつきを持たせる構成とすれば、人工的にジャギを付けてエッジを強調して見せるなど、特殊効果を発生させることもできる。
【0092】
また、本実施例では輝度信号生成部101で生成した輝度から第1輝度補間部202と第2輝度補間部203により、各々帯域の異なる輝度信号を生成する構成としたが、撮像素子からの出力RAWデータから各々帯域の異なる輝度信号を生成する第1の輝度信号生成手段と第2の輝度信号生成手段とを有する構成であってもかまわない。
【0093】
上記した実施例の説明においては、水平・垂直に2*2画素の周期的な色フィルタ配置を例にして説明したが、2*2の配列に限らず、2*4の配列の撮像素子であっても、ハニカム構造のような特殊な配列の撮像素子であっても、他の色フィルタ配置の場合であっても同様にして適用可能である。
【0094】
さらに、実施例の説明においてはスケーリング(拡大・縮小)、レンズ歪補正、画像を変形するものとして回転補正と視点変換補正の機能、撮像素子内で画素加算や画素間引きされたことによる各画素のサンプリング間隔のばらつきを補正する機能、について説明したが、それ以外のRAW信号に対して重心をずらす補正を行うことで実現する機能であればすべてにおいて適用可能である。
【0095】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0096】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。