【実施例】
【0023】
本発明を実施態様によって以下でさらに説明する。ここで、測定手段と測定方法はそれぞれ次の通りである。
[赤外分光分析]
赤外分光分析はNicolet 380 FT−IR赤外分光計を用いて行われる。
【0024】
[多分散性の分析]
酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルの質量濃度は0.5%に希釈される。その後、動的光散乱法を用いて粒子径分布測定装置(MalvernNano ZS)によって、酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルの体積平均粒子径(Dv)、数平均粒子径(Dn)および多分散指数(Dv/Dn)が測定される。
【0025】
[収率の分析]
ZrO
2の理想質量(ideal mass)は、添加されるジルコニウム塩に含まれる「Zr
4+」イオンが次の化学的関係に従ってZrO
2に完全に移行される場合の量として定義される:
Zr
4++4OH
−→ Zr(OH)
4
Zr(OH)
4 → ZrO
2+H
2O
ZrO
2の収率=(生成するZrO
2の実質量/ZrO
2の理想質量)×100%、である。
【0026】
[酸化ジルコニウムナノ粒子の調製]
実施例1
0.8gのZrOCl
2(ジルコニウムイオンの当量は0.0182である)、1.6gの尿素(水酸化物イオンに基づいて当量で0.0267)、0.4gのクエン酸(カルボキシルアニオンの当量は0.0021である)および25gの脱イオン水を均一に混合し、それにより約0.0278リットルの総容積の混合物を得た。ジルコニウムイオン、水酸化物イオンおよびカルボキシルアニオンの濃度はそれぞれ0.655N、0.960Nおよび0.076Nであった。混合物を40mlのオートクレーブの中に置き、180℃で10時間にわたって反応させ、それにより生成物の溶液を得た。生成物溶液の溶媒分を除去するために遠心分離工程を実施し、それにより白い沈殿物を得た。この白い沈殿物をエタノールで数回洗浄し、次いで乾燥して、約30nmの数平均粒子径(Dn)を有する酸化ジルコニウムのナノ粒子1を得た(収率:64%)。
【0027】
実施例2
実施例1の調製手順を繰り返して、酸化ジルコニウムのナノ粒子2を調製した。ただし、混合物の成分は1.3gのZr(SO
4)
2(ジルコニウムイオンの当量は0.0182である)、1.5gの水酸化ナトリウム(水酸化物イオンに基づいて当量で0.0375)、0.3gのアジピン酸(カルボキシルアニオンの当量は0.0042である)および25gの脱イオン水となるように調節し、そしてこの混合物を120℃で12時間にわたって反応させた。この混合物の総容積は約0.0281リットルであった。ジルコニウムイオン、水酸化物イオンおよびカルボキシルアニオンの濃度はそれぞれ0.648N、1.335Nおよび0.149Nであった。酸化ジルコニウムのナノ粒子2の数平均粒子径(Dn)は約24nmであった(収率:60%)。
【0028】
実施例3
実施例1の調製手順を繰り返して、酸化ジルコニウムのナノ粒子3を調製した。ただし、混合物の成分は1.5gのZr(NO
3)
4(ジルコニウムイオンの当量は0.0182である)、5.0gのアンモニア溶液(28重量%、水酸化物イオンに基づいて当量で0.0400)、0.3gのマロン酸(カルボキシルアニオンの当量は0.0058である)および25gの脱イオン水となるように調節した。この混合物の総容積は約0.0318リットルであった。ジルコニウムイオン、水酸化物イオンおよびカルボキシルアニオンの濃度はそれぞれ0.572N、1.258Nおよび0.182Nであった。酸化ジルコニウムのナノ粒子3の数平均粒子径(Dn)は約25nmであった(収率:45%)。
【0029】
実施例4
実施例1の調製手順を繰り返して、酸化ジルコニウムのナノ粒子4を調製した。ただし、混合物の成分は0.8gのZrOCl
2(ジルコニウムイオンの当量は0.0182である)、1.6gの尿素(水酸化物イオンに基づいて当量で0.0267)、0.3gのマレイン酸(カルボキシルアニオンの当量は0.0052である)および25gの脱イオン水となるように調節し、そしてこの混合物を150℃で20時間にわたって反応させた。この混合物の総容積は約0.0277リットルであった。ジルコニウムイオン、水酸化物イオンおよびカルボキシルアニオンの濃度はそれぞれ0.657N、0.964Nおよび0.188Nであった。酸化ジルコニウムのナノ粒子4の数平均粒子径(Dn)は約45nmであった(収率:85%)。
【0030】
実施例5
実施例1の調製手順を繰り返して、酸化ジルコニウムのナノ粒子5を調製した。ただし、反応は18時間にわたって実施された。酸化ジルコニウムのナノ粒子5の数平均粒子径(Dn)は約50nmであった(収率:87%)。
【0031】
実施例6
実施例1の調製手順を繰り返して、酸化ジルコニウムのナノ粒子6を調製した。ただし、反応温度を150℃として12時間にわたって実施した。酸化ジルコニウムのナノ粒子6の数平均粒子径(Dn)は約50nmであった(収率:63%)。
【0032】
実施例1〜5からわかるように、酸化ジルコニウム粒子の粒子サイズは、水熱合成反応の反応時間(実施例1において12時間、そして実施例5において18時間)を調節することによって調整することができる。
【0033】
[赤外分光分析]
実施例1〜4のそれぞれから得られた酸化ジルコニウムのナノ粒子1、酸化ジルコニウムのナノ粒子2、酸化ジルコニウムのナノ粒子3、および酸化ジルコニウムのナノ粒子4について赤外分光分析を行い、その分析結果を
図1、
図2、
図3および
図4にそれぞれ示す。カルボキシル基に起因する約1700/cm
−1〜約1725/cm
−1におけるC=O二重結合の特性吸収が
図1〜4に示されていて、これは酸化ジルコニウムのナノ粒子1〜4の表面にカルボキシル基が存在することを示す。
【0034】
[酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルの調製]
酸化ジルコニウムナノ粒子1、酸化ジルコニウムナノ粒子2、酸化ジルコニウムナノ粒子3、および酸化ジルコニウムナノ粒子4をそれぞれ脱イオン水に添加して、酸化ジルコニウムナノ粒子1のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子2のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子3のヒドロゾル、および酸化ジルコニウムナノ粒子4のヒドロゾルを調製した。各々の酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルは約8%の質量濃度を有する。
【0035】
酸化ジルコニウムナノ粒子1のヒドロゾルの写真(
図13)からわかるように、本発明に係る酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルは均一で安定していて、かつ透明である。
[透過型電子顕微鏡検査(TEM)による観察]
酸化ジルコニウムナノ粒子1のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子2のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子3のヒドロゾル、および酸化ジルコニウムナノ粒子4のヒドロゾルを、それぞれTEMを用いて観察し、その結果を
図5、
図6、
図7および
図8にそれぞれ示す(画像におけるスケールバーは50nmである)。画像からわかるように、各々のヒドロゾルにおける酸化ジルコニウムナノ粒子の平均粒子サイズは50nm未満であった。
【0036】
[酸化ジルコニウムナノ粒子の均一性の試験]
酸化ジルコニウムナノ粒子1のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子2のヒドロゾル、酸化ジルコニウムナノ粒子3のヒドロゾル、および酸化ジルコニウムナノ粒子4のヒドロゾルのそれぞれの体積平均粒子径(Dv)、数平均粒子径(Dn)、および多分散指数(Dv/Dn)を測定し、その結果を表1および
図9(酸化ジルコニウムナノ粒子1のヒドロゾル)、
図10(酸化ジルコニウムナノ粒子2のヒドロゾル)、
図11(酸化ジルコニウムナノ粒子3のヒドロゾル)および
図12(酸化ジルコニウムナノ粒子4のヒドロゾル)に示す。
【0037】
表1に示すように、本発明の酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルにおいて、酸化ジルコニウムナノ粒子は50nm未満の平均粒子サイズを有し、そして極めて均一であり(多分散指数は1.05未満である)、このことは
図9〜12に示す粒子サイズ分布(狭い粒子サイズ分布)からも知ることができる。
【0038】
【表1】
【0039】
上の実施例から得られた結果に示されるように、本発明の方法および組成物に従って製造された酸化ジルコニウムナノ粒子は表面にカルボキシル基を有し、また均一な粒子サイズを有し、そして水の中に分散させることができて、それにより均一で安定し、かつ透明な酸化ジルコニウムナノ粒子のヒドロゾルが形成される。
【0040】
以上の開示は、詳細な技術的内容とその発明としての態様に関するものである。当業者であれば、記述された本発明の開示と教示に基づいて、本発明の特徴から逸脱することなく様々な変更と置き換えを実行することができるであろう。そのような変更と置き換えは以上の説明の中で十分には開示されていないけれども、それらは添付する特許請求の範囲に実質的に包含されている。