特許第5767649号(P5767649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767649
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】タイヤの設計方法及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/00 20060101AFI20150730BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   B60C5/00 H
   B60C11/00 F
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-542479(P2012-542479)
(86)(22)【出願日】2010年12月3日
(65)【公表番号】特表2013-512827(P2013-512827A)
(43)【公表日】2013年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2010068888
(87)【国際公開番号】WO2011069927
(87)【国際公開日】20110616
【審査請求日】2013年12月3日
(31)【優先権主張番号】0958728
(32)【優先日】2009年12月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512068547
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ロスピタリエ シルヴィエ
【審査官】 水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−182099(JP,A)
【文献】 特開2004−224270(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/048078(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/128098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/00
B60C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物運搬車両の操舵アクスルに装着されるようになったタイヤを設計する方法であって、前記タイヤは、タイヤが取り付けられるリムに接触するようになったビードを有し、前記ビードの延長部としてサイドウォールが設けられ、前記サイドウォールは、クラウン領域に合体し、前記クラウン領域自体には、走行中、路面に接触するようになったトレッドが載っており、前記タイヤは、呼称サイドウォール高さFを有し、前記タイヤは、少なくとも2枚の重ね合わされた補強要素プライを含むクラウン補強材を更に有し、前記トレッド(1)は新品状態では、路面との最大接触が得られるようにするための幅Loを有すると共に少なくとも4本の周方向溝(2)を備え、前記周方向溝は各々、幅を有すると共に前記トレッドの踏み面と溝底部との間に延び、前記周方向溝(2)は、3つの中間部リブ(3)及び前記トレッドを軸方向に境界付ける2つの縁部リブ(4)を画定し、各縁部リブ(4)は、2つの横壁(401,402)を有し、内側横壁と呼ばれる前記横壁のうちの一方は、前記縁部リブを画定している前記溝(2′)の底部に対して測定して高さRPEpを有し、前記内側横壁は、回転軸線を含む断面平面で見て、傾斜角度DEpを有し、各縁部リブは、前記中間部リブの各々の幅よりも広い幅LEpを有し、前記方法は、次の関係式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×F
を満たす寸法LEp,RPEp,DEpに関する値を繰り返し求めるステップを有し、上式において、P(LEp,DEp,RPEp)の値は、次の計算式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)=−303.528−2.00675×LEp+10.2755×DEp+81.0414×RPEp−0.052551×LEp2−0.0825991×LEp×DEp+0.225564×LEp×RPEp−0.111262×DEp2−0.209215×DEp×RPEp−2.5831×RPEp2
を計算することにより得られ、
前記長さLEp及びRPEpは、ミリメートル(mm)で表され、前記角度DEpは、度(°)で表される、方法。
【請求項2】
各中間部リブ(3)に関し、同一リブを画定する2つの溝の深さの差は、小さく、即ち、これらの深さの大きい方の多くても10%である、請求項1記載の設計方法。
【請求項3】
前記縁部リブ(4)及びこのすぐ隣りに位置した前記中間部リブ(3)は、互いに異なる高さを有し、これら高さの差は、これらの高さのうちの小さい方の多くても15%である、請求項1又は2記載の設計方法。
【請求項4】
各縁部リブの前記内側横壁の前記角度DEpは、10°から26°(端の値を含む)の範囲で選択され、同一の溝内における反対側の横壁の角度は、多くても20°である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の設計方法。
【請求項5】
各縁部リブ(4)の幅LEpは、任意他の中間部リブの幅の少なくとも1.85倍であるよう選択される、請求項4記載の設計方法。
【請求項6】
LEp、PREp及びDEpについて第1の3組の値を選択するステップを有し、関係式P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fが満たされない場合、先ず最初に、前記縁部リブの幅LEpの値を増大させ、次に前記内側横壁の高さPREpを減少させ、最後前記内側横壁の角度DEpの値を増大させる、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の設計方法。
【請求項7】
重量物運搬車両の操舵アクスルに装着させるようになったタイヤであって、前記タイヤは、タイヤが取り付けられるリム(J)に接触するようになったビード(7)を有し、前記ビードの延長部としてサイドウォール(10)が設けられ、前記サイドウォールは、クラウン領域(6)に合体し、前記クラウン領域自体には、走行中、路面に接触するようになったトレッド(1)が載っており、前記タイヤは、呼称サイドウォール高さFを有し、前記タイヤは、少なくとも2枚の重ね合わされた補強要素プライを含むクラウン補強材(60)を更に有し、前記トレッド(1)は新品状態では、従来の使用条件下において路面との接触が得られるようにするための最大幅Loを有し、前記トレッドは、各々が幅を有すると共に前記トレッドの踏み面と溝底部との間に延びる少なくとも4本の周方向溝(2)を備え、前記周方向溝(2)は、3つの中間部リブ(3)及び前記トレッドを軸方向に境界付ける2つの縁部リブ(4)を画定し、各縁部リブ(4)は、2つの横壁(401,402)を有し、内側横壁と呼ばれる前記横壁のうちの一方は、前記縁部リブを画定している前記溝の底部に関して測定して高さRPEpを有し、前記内側横壁は、回転軸線を含む断面平面で見て、傾斜角度DEpを有し、前記角度は、半径方向最も内方に位置する前記横壁の箇所が半径方向最も外側に位置する同一の横壁の箇所よりも前記タイヤの赤道面の近くに位置するようなものであり、各縁部リブは、前記中間部リブの各々の幅よりも大きな幅LEpを有し、前記タイヤは、前記タイヤの回転軸線に垂直であり且つ前記回転軸線から半径方向最も遠くに位置する前記タイヤの箇所を通る赤道面を有する、タイヤにおいて、前記縁部リブの幅LEp、前記縁部リブの前記横壁の角度DEp及び前記縁部リブの前記内側横壁の高さPREpは、次の関係式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×F
を満たす寸法LEp,RPEp,DEpに関する値を繰り返し求めるステップを有し、上式において、P(LEp,DEp,RPEp)の値は、次の計算式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)=−303.528−2.00675×LEp+10.2755×DEp+81.0414×RPEp−0.052551×LEp2−0.0825991×LEp×DEp+0.225564×LEp×RPEp−0.111262×DEp2−0.209215×DEp×RPEp−2.5831×RPEp2
を計算することにより得られる、タイヤ。
【請求項8】
各縁部リブ(4)の幅LEpは、任意他の中間部リブ(3)の幅の少なくとも1.85倍であるよう選択される、請求項7記載のタイヤ。
【請求項9】
前記クラウン補強材(60)の軸方向最も幅の広いプライ(63)の軸方向外端(630)は、前記赤道面から、前記軸方向最も外側の溝を同一の赤道面から隔てる軸方向距離よりも大きな距離のところに位置し、前記軸方向最も外側のプライ端と前記縁部リブの内縁との間の距離は、前記縁部リブの全幅LEpの少なくとも75%である、請求項8記載のタイヤ。
【請求項10】
新品状態において前記踏み面上で測定された各溝の幅は、前記トレッドの全幅Loの少なくとも3%である、請求項7〜9のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記縁部リブの前記内側横壁の傾斜角度DEp及び前記内側横壁と反対側の横壁の傾斜角度は、これら2つの角度の合計が26°以上である、請求項7〜10のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記縁部リブの前記内側横壁の傾斜角度DEpは、P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fを満たす最小値によって規定された範囲内で連続する値のいずれかの値であり、この値は、10°以上のままである、請求項11記載のタイヤ。
【請求項13】
縁部リブ(4)により画定された各溝(2)は、前記縁部リブの高さPREpの少なくとも50%である高さ及び前記縁部リブにより画定された前記溝の幅LReの少なくとも50%である幅の複数個の突起(21)を有し、前記傾斜角度DEpは、多くても6°である、請求項7〜10のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物運搬車両(重車両)用のタイヤに関し、特に、これら車両のソーダアクスルに取り付けられるようになったタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
重量物を運搬する車両用のタイヤは、走行中、タイヤと路面との間の接触をもたらすと共に荷重を走行方向に(原動量又は制動力)且つ走行方向に対して横の方向に(コーナリング荷重)に伝達するようになったトレッドを有する。このトレッドは、路面が水又は雪で覆われている場合、走行条件を向上させる溝及び/又は切り込みの形態の複数個の中空部を備えている。これら溝は、トレッド上に分布して配置された隆起要素(リブ又はブロック)を画定し、トレッドを軸方向に画定する縁部とこれら縁部相互間に軸方向に位置した中間部との区別がなされる。
【0003】
さらに、タイヤは、トレッドに加えて、取り付けリムと接触関係をなすようになったビード、各ビードをクラウン領域に連結するサイドウォールとを有し、クラウン領域は、トレッドが被せられている。タイヤ全体は、カーカス補強材で補強され、カーカス補強材は、その2つの端部がビード内に繋留され、このカーカス補強材は、サイドウォールを通ってクラウン領域中に延びている。カーカス補強材とトレッドとの間には半径方向にクラウン補強材が設けられている。カーカス補強材は、その補強要素が周方向に対して接線をなす方向と80°以上の角度をなす方向に差し向けられている場合、半径方向であると呼ばれる。
【0004】
定義
【0005】
本明細書で用いられる半径方向という用語は、タイヤの回転軸線に垂直な方向を意味している(この方向は、トレッドの厚さの方向に対応している)。
【0006】
軸方向は、タイヤの回転軸線に平行な方向を意味している。
【0007】
周方向は、軸方向と半径方向の両方に垂直である方向を意味している。
【0008】
軸方向外側に向かうという表現は、タイヤの内部キャビティの外側の方へ差し向けられた方向を意味している。
【0009】
赤道面は、回転軸線に垂直であり且つタイヤの軸方向最も外側の箇所を通る平面であり、この赤道面は、事実上、タイヤ2つの実質的に等しい半部に分割している。
【0010】
タイヤの耐える荷重条件は、タイヤが重量物運搬車両に取り付けられている位置に応じて様々であり、これは、特定のタイヤを各アクスルに適合させる試みが行われる理由である。
【0011】
操舵アクスルに装着されたタイヤを検査した場合、不均一な摩耗(「不規則摩耗」と呼ばれる)が生じる場合のあることが分かっており、これは、縁部の軸方向外側において顕著である。この場合、不均一な摩耗という表現は、摩耗がトレッドの隆起要素の一局所領域で顕著であることを意味している。不規則摩耗の場合、これら要素の接触フェースの残部よりも迅速に摩耗するのは、トレッドの縁部の隆起要素の軸方向最も外側の領域である。この不均一な摩耗により、車両に振動が生じる場合があり、それにより、ユーザは、自分のタイヤを取り外そうという気になり、その目的は、トレッドを新しくし又はタイヤを交換することにある。
【0012】
この問題は、既に、提案された解決手段の主題であり、特に、それ自体に生じる不均一な摩耗の全てを或る程度考慮に入れるのに適当な寸法を有する小さなリブ(「犠牲リブ」と呼ばれる)を縁部の軸方向外側に追加することが提案された。不均一な摩耗をずらすことによるこの解決手段は、犠牲リブに隣接して位置する縁部全体の幅にわたり均一な、したがって一様な摩耗を保証する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、この解決手段は、使用中、極めて高い応力が加わる場合のあるタイヤについては限度があり、したがって、材料が犠牲リブから引き裂かれる。これは、犠牲リブを不均一な摩耗に対して効果のない状態にすると共にこの引き裂きの何割かがタイヤのサイドウォール中に広がった場合にタイヤの全体的耐久性を減少させるという結果をもたらす。
【0014】
本発明の目的は、操舵アクスルに装着されたタイヤの不均一な摩耗のこの問題を解決すると同時に特に厳しい使用条件下における引き裂きを起こしやすい傾向を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の要旨は、上述の目的を達成する重量物運搬車両のタイヤ用のトレッド及びかかるタイヤの設計方法に関する。
【0016】
本発明によれば、重量物運搬車両の操舵アクスルに装着されるようになったタイヤを設計する方法が提案され、タイヤは、タイヤが取り付けられるリムに接触するようになったビードを有し、ビードの延長部としてサイドウォールが設けられ、サイドウォールは、クラウン領域に合体し、クラウン領域自体には、走行中、路面に接触するようになったトレッドが載っており、タイヤは、呼称サイドウォール高さFを有し、タイヤは、少なくとも2枚の重ね合わされた補強要素プライを含むクラウン補強材を更に有し、トレッドは新品状態では、路面との最大接触が得られるようにするための幅Loを有すると共に少なくとも4本の周方向溝を備え、周方向溝は各々、幅を有すると共にトレッドの踏み面と溝底部との間に延び、周方向溝は、3つの中間部リブ及びトレッドを軸方向に境界付ける2つの縁部リブを画定し、各縁部リブは、2つの横壁を有し、内側横壁と呼ばれる横壁のうちの一方は、縁部リブを画定している溝の底部に対して測定して高さRPEpを有し、内側横壁は、回転軸線を含む断面平面で見て、傾斜角度DEpを有し、各縁部リブは、中間部リブの各々の幅よりも広い幅LEpを有する。この設計方法は、次の関係式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×F
を満たす寸法LEp,RPEp,DEpに関する値を繰り返し求めるステップを有し、上式において、P(LEp,DEp,RPEp)の値は、次の計算式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)=−303.528−2.00675×LEp+10.2755×DEp+81.0414×RPEp−0.052551×LEp2−0.0825991×LEp×DEp+0.225564×LEp×RPEp−0.111262×DEp2−0.209215×DEp×RPEp−2.5831×RPEp2
を計算することにより得られ、
長さLEp及びRPEpは、ミリメートル(mm)で表され、角度DEpは、度(°)で表される。
【0017】
本発明の設計方法により、トレッドが長く続く性能を提供するタイヤを得ることが可能であり、このことは、性能がこのトレッドの摩耗度とは無関係に維持されることを意味している。本発明は又、トレッドの縁部領域中の発熱に対する制御を可能にする。本発明の方法を実施するために用いられる表現において、タイヤのスライドウォールの高さFは、次式を用いて計算される。
【0018】
F=ROUNDED[(タイヤの最大軸方向幅×H/S)/100−Hc]であり、この式において、H/Sは、タイヤのアスペクト比を表し、Hcは、リムフランジの高さに等しく、この高さは、「ドロップセンタ」型のタイヤの場合、12.7mmに等しい。
【0019】
ROUNDED(四捨五入)は、せいぜい0.5に等しい分数部/小数部の数よりも小さい整数値を計算結果とし、分数部/小数部が0.5よりも大きい場合にこの数よりも大きな整数値を生じさせる関数を意味している。例えば、ROUNDED(2.4)は、2に等しく、ROUNDED(2.6)は、3に等しい。
【0020】
有利には、この設計方法は、各中間部リブに関し、同一リブを画定する2つの溝の深さの差は、小さく、即ち、これら溝の深さの大きい方のせいぜい10%に等しいようなものである。
【0021】
有利には、この設計方法は、縁部リブ及びこのすぐ隣りに位置した中間部リブが互いに異なる高さを有し、これら高さの差がこれらの高さのうちの小さい方のせいぜい15%に等しい場合に適用される。
【0022】
有利には、この設計方法は、各縁部リブの内側横壁の前記角度DEpが10°から26°(端の値を含む)の範囲で選択され、同一の溝内における反対側の横壁の角度がせいぜい20°に等しい場合に適用される。さらにより有利には、後者の場合、この設計方法は、各縁部リブの幅LEpが任意他の中間部リブの幅の少なくとも1.85倍であるよう選択される場合に適用される。さらにより好ましくは、半径方向とのなす各縁部リブの内側横壁の角度DEpは、各縁部リブの内側横壁の角度DEpは、10°から26°(端の値を含む)の範囲で選択され、同一の溝内における反対側の横壁の角度は、せいぜい20°に等しい。
【0023】
本発明の方法を実施するためには、LEp、PREp及びDEpについて第1の3組の値を選択するステップを有し、関係式P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fが満たされない場合、先ず最初に、縁部リブの幅LEpの値を増大させ、次に内側横壁の高さPREpを減少させ、最後1内側横壁の角度DEpの値を増大させることが好ましい。
【0024】
本発明は又、本発明の方法を用いて得られたタイヤに関する。
【0025】
かくして、重量物運搬車両の操舵アクスルに装着させるようになったタイヤであって、タイヤは、タイヤが取り付けられるリムに接触するようになったビードを有し、ビードの延長部としてサイドウォールが設けられ、サイドウォールは、クラウン領域に合体し、クラウン領域自体には、走行中、路面に接触するようになったトレッドが載っており、タイヤは、呼称サイドウォール高さFを有し、タイヤは、少なくとも2枚の重ね合わされた補強要素プライを含むクラウン補強材を更に有し、トレッドは新品状態では、従来の使用条件下において路面との接触が得られるようにするための最大幅Loを有し、トレッドは、各々が幅を有すると共にトレッドの踏み面と溝底部との間に延びる少なくとも4本の周方向溝を備え、これら周方向溝は、3つの中間部リブ及びトレッドを軸方向に境界付ける2つの縁部リブを画定し、各縁部リブは、2つの横壁を有し、内側横壁と呼ばれる横壁のうちの一方は、縁部リブを画定している溝の底部に関して測定して高さRPEpを有し、内側横壁は、回転軸線を含む断面平面で見て、傾斜角度DEpを有1、角度は、半径方向最も内方に位置する横壁の箇所が半径方向最も外側に位置する同一の横壁の箇所よりもタイヤの赤道面の近くに位置するようなものであり、各縁部リブは、中間部リブの各々の幅よりも大きな幅LEpを有し、タイヤは、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ回転軸線から半径方向最も遠くに位置するタイヤの箇所を通る赤道面を有する、タイヤにおいて、縁部リブの幅LEp、縁部リブの横壁の角度DEp及び縁部リブの内側横壁の高さPREpは、次の関係式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×F
を満たす寸法LEp,RPEp,DEpに関する値を繰り返し求めるステップを有し、上式において、P(LEp,DEp,RPEp)の値は、次の計算式、即ち、
P(LEp,DEp,RPEp)=−303.528−2.00675×LEp+10.2755×DEp+81.0414×RPEp−0.052551×LEp2−0.0825991×LEp×DEp+0.225564×LEp×RPEp−0.111262×DEp2−0.209215×DEp×RPEp−2.5831×RPEp2を計算することにより得られることを特徴とする方法が提案される。
【0026】
有利には、本発明の設計方法の使用と組み合わせられた状態で、本発明のタイヤは、トレッドの下にクラウン補強材を有し、補強要素の複数枚の重ね合わされたプライを有するこのクラウン補強材は、軸方向最も幅の広いクラウンプライの端が、タイヤの赤道面に関し、軸方向最も外側の溝の軸方向距離よりも大きな距離のところに位置するようなものである。かくして、この軸方向最も幅の広いクラウンプライは、この縁部リブの全幅LEpの少なくとも75%に等しい距離にわたって縁部リブの下に半径方向に存在する。
【0027】
有利には、本発明のタイヤは、新品状態において踏み面上で測定された各溝の幅がトレッドの全幅Loの少なくとも3%に等しいようなものである。
【0028】
縁部リブの内側横壁の傾斜角度DEp及び内側横壁と反対側の横壁の傾斜角度は、これら2つの角度の合計が26°以上であるようなものであることが好ましい。
【0029】
さらにより好ましくは、縁部リブの内側横壁の傾斜角度DEpは、P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fを満たす最小値から連続して変化し、この値は、常に10°以上のままである。
【0030】
かくして、本発明により、従来型設計(このことは、犠牲リブを備えていないタイヤであることを意味している)と比較して、「不規則」摩耗の開始が見られる前における走行距離の長さを20%増大させることが可能であり、更に、トレッドの縁部のところの不均一な摩耗と関連した問題(例えば、振動)が現れ始める前に、走行距離の長さを約40%延ばすことが可能である。
【0031】
石ころだらけと言って良い路面上を走行するタイヤに対する本発明の或る特定の用途において、縁部リブにより画定された溝の中に突起を設けることが必要な場合があり、その目的は、これら溝の底部を保護することにある。かかる場合、縁部リブの内側横壁の傾斜角度DEpは、好ましくはせいぜい6°に制限され、この角度は、これら突起が弱体化されないような角度である。当該突起は、周方向に連続しているのが良く又は変形例として不連続であっても良い。これら突起は、好ましくは、縁部リブの内側横壁の高さPREpの少なくとも50%に等しい高さ及びこれら突起が形成されている溝の幅の少なくとも半分に等しい幅を有する。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として本発明の一実施形態を示す添付の図を参照して以下に行われる説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】トレッドの一部の平面図である。
図2】本発明の方法を用いて製造されたタイヤの断面図である。
図3】本発明に従って製造されたタイヤの変形形態を示す図であり、クラウン補強材が縁部リブの下で半径方向に延長されている状態を示す図である。
図4】本発明のタイヤの変形形態の断面図であり、このタイヤが溝底部に設けられた保護突起を有している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、重量物運搬車両の操舵アクスルに装着されるようになったタイヤのための本発明に従って製作されたトレッド1の一部の平面図である。このトレッドは、4本の周方向に差し向けられた溝2を有し、これら溝は、3つの中間部リブ3及びトレッドの軸方向端部のところに2つの縁部又はショルダ部リブ4を画定している。これらリブ3,4は、周方向溝2の幅と比較して狭い幅の溝又は切り込み31,32,41,42を更に備えている。これら追加の溝又は切り込みは、この場合、図1の方向XX′により具体化された周方向に対して斜めに差し向けられている。
【0035】
図2は、タイヤの回転軸線YY′を含む平面で見て断面で示された図1のタイヤを部分的に示している。このタイヤは、取り付けリムJに載っているビード7を有し、取り付けリムは、リムフランジCを形成する軸方向外側に位置した部分を有している。この断面で見て、このタイヤは、ビード7の延長部として設けられていて、リムフランジCを半径方向に越えて延びるサイドウォール10を有していることが理解でき、これらサイドウォールは、クラウン部分6によって互いに接合されている。タイヤのこのクラウン部分は、半径方向外側にトレッド1を備え、このトレッドのトレッドパターンは、図1に示されている。このタイヤは、図2の断面平面で見てトレッドの軸方向外側の縁11と取り付けリムJの半径方向最も外側の箇所Aを隔てる半径方向に測定した距離に等しい呼称サイドウォール高さFを有している。
【0036】
この図2は、各縁部リブ4が走行中、路面に接触するようになった接触面400及び隆起部のところで接触面と交差する2つの横壁401,402を有していることを示しており、内側横壁402と呼ばれているこれら横壁のうちの一方は、これに隣接して位置する中間部リブ3に属する反対側の横壁301と一緒になって、幅LREの溝2を画定している。この溝2は、溝の底部2′と縁部リブ4の接触面400との間で測定された深さPREpを有している。この測定値PREpは、縁部リブ4の高さに一致している。この特定の場合、縁部リブ及び中間部リブは、全て、実質的に同一の高さ位置にあり、このことは、少なくとも1つの他のリブの接触面と比較して半径方向にオフセットしているリブの接触面が存在しないことを意味している。これら接触面がオフセットしていたとすれば、各縁部リブ及び各中間部リブの各横壁の高さPREp,PRiは、個々に考察される必要があろう。各縁部リブは、幅LEpを有し、中間部リブは、実質的に幅LEp以下であると幅Liを有する。
【0037】
図2の断面平面で見て縁部リブの横壁の平均傾斜角度は、DEpで示されている。
【0038】
サイズ315/80R22.5のこのタイヤの寸法パラメータを決定するために本発明の方法を利用した。
【0039】
このタイヤの場合、トレッドの最大軸方向幅Loは、315mmに等しく、アスペクト比H/Sは、0.80に等しい。このタイヤが取り付けられているリム用のフランジの高さが標準化されていて、12.5mmに等しいことを知っている状態で、パラメータFについて次のように値を得ることが可能である。
【数1】
【0040】
本発明のタイヤの場合、溝は、14mmに等しい幅を有し、中間部リブ3は、30mmに等しい幅を有し、溝は、縁部リブ4を画定している溝を除き、16.2mmに等しい深さを有する。中間部リブの横壁301の角度は、13°に等しい。
【0041】
同一サイズ315/80R22.5XZE2+の先行技術の基準タイヤは、次の寸法、即ち、LEp=47mm、DEp=15.7°、PREp=16.2mmを示している。
【0042】
先行技術のこのタイヤについてP(LEp,DEp,PREp)を計算すると、P=312.514697が得られる。この結果は、先行技術のこのタイヤの場合、264.2788462に等しい設定最大限度を超えている。
【0043】
本発明の方法の利用にあたり、各縁部リブの軸方向幅LEpを増大させ、この幅LEpは、基準タイヤの値DEp,PREpを保った状態で57mmに等しいと考えられる。この場合、これにより、P=261.367467が得られ、これは、本発明の関係式、即ち、P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fを満たす。
【0044】
中間ステップでは、ショルダ部リブの拡幅が例えば52mmに制限されている場合、Pの値が288.254857であれば、これは、所望の不等式を満たさない。この場合、溝の深さを減少させることが必要になり、このことは、ショルダ部リブの横壁の高さを減少させることを意味する。トレッドパターンの深さを2mmだけ減少させる決定がなされた場合、PREpは、14.2mmに等しい。この場合、これにより266.335232のP値が与えられ、これは、所望の不等式を依然として満たしていない。この場合、基準を満たすためにショルダ部リブの横壁角度を19°に等しいDEpに増大させることが必要であり、この場合、これにより、263.52595のP値が得られ、これは、確かに、不等式P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fを満たしている。
【0045】
図3は、本発明のタイヤの別の変形形態を示しており、このタイヤは、半径方向外側にクラウン補強材60を載せたカーカス補強材5を有し、クラウン補強材60それ自体には半径方向外側にトレッド1が載っており、トレッド1は、関係式である不等式P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fを満足させる。
【0046】
さらに、クラウン補強材60は、数枚の補強要素プライ61,62,63,64を有し、これら補強要素プライのうちの少なくとも1枚は、他のプライよりも大きな軸方向長さを有している。この特定の場合、軸方向長さの大きいプライは、これらプライのうちの第3のプライ63である。
【0047】
有利には、クラウン補強材の軸方向に幅の最も大きな補強要素プライ63の軸方向外端630は、断面平面にプロットとして線PP′を有する赤道面から、軸方向最も外側の溝をこの赤道面から隔てる軸方向距離よりも大きな距離を置いたところに位置しており、軸方方向最も外側のプライの端とショルダ部リブの内縁との間の距離は、ショルダ部リブLEpの全幅の少なくとも75%に等しい。図3に示されている例では、縁部リブの半径方向下に位置するクラウン補強材の幅Lsは、ショルダ部リブの幅LEpの少なくとも75%に等しい。
【0048】
図4は、本発明のタイヤの変形形態の断面図であり、このタイヤは、溝の底部に設けられていて、物体、例えば石が縁部溝に入り込んで逃げ出ることができず、かくして溝の底部、特に縁部溝の底部に次第に食い込むのを阻止する保護突起を有している。かかる食い込みは、溝の底部の破損のしやすさを増すことになることが容易に理解されよう。
【0049】
本発明のタイヤの部分断面を示す図4から理解できるように、2つの縁部溝2内には、この場合、周方向に不連続の突起21が設けられており、これら突起21は、縁部リブ4の高さPREpの60%に等しい高さh21及び回転軸線から半径方向最も遠くに位置する部分について測定して、縁部リブによって画定された溝の幅LReの半分に等しい幅を有している。
【0050】
関係式である不等式P(LEp,DEp,RPEp)<1.105769231×Fは、この場合、縁部リブの内側横壁402の傾斜角度DEpが好ましくはせいぜい6°に制限された場合に満たされる。この角度に関する制限により、突起は、適当な剛性を備える。各突起は、この突起を画定する横壁を有するのが良く、これら横壁は、これら突起の曲げ剛性を高めるためにせいぜい6°に等しい角度だけ傾けられている。
【0051】
本発明は、図示すると共に上述した例には制限されず、本発明の範囲から逸脱することなく、かかる例の種々の改造例を想到できる。
図1
図2
図3
図4