特許第5767650号(P5767650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767650
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】高温燃料電池用熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20060101AFI20150730BHJP
   H01M 8/12 20060101ALI20150730BHJP
   H01M 8/06 20060101ALI20150730BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   H01M8/12
   H01M8/06 G
   F28D1/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-543870(P2012-543870)
(86)(22)【出願日】2010年12月13日
(65)【公表番号】特表2013-514616(P2013-514616A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】FR2010052681
(87)【国際公開番号】WO2011073553
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】0959203
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ローヴァンブリュック コーム
(72)【発明者】
【氏名】インデルシー ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ブクアルファ アブデルクリム
(72)【発明者】
【氏名】タルボ ブノワ
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−071834(JP,A)
【文献】 特開2005−228583(JP,A)
【文献】 国際公開第1992/019920(WO,A1)
【文献】 特開2007−311161(JP,A)
【文献】 特開2005−147480(JP,A)
【文献】 特開2008−277198(JP,A)
【文献】 特開2008−226603(JP,A)
【文献】 特開2007−280970(JP,A)
【文献】 特開2005−100975(JP,A)
【文献】 特開2003−282110(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/066619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
F28D 1/06
H01M 8/06
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温燃料電池の出口のところで動作する熱交換器(100,100′,100″)であって、前記高温燃料電池は、前記熱交換器に酸化剤ガス及び燃料ガスを供給し、前記熱交換器は、
前記酸化剤ガス用の第1の流れ回路(111)と、
前記燃料ガス用の第2の流れ回路(112)と、
前記酸化剤ガスと少なくとも前記第2の流れ回路(112)からの前記燃料ガスの両方が供給される予混合チャンバ(142)と、
・前記予混合チャンバからのガス状混合物及び前記第1の流れ回路(111)からの前記酸化剤ガスが供給される燃焼チャンバ(140)と、
・前記燃焼チャンバ(140)から来る煙道ガスを受け入れる前記煙道ガス用の流れ回路(114)とを有し、
前記酸化剤ガス用の前記第1の流れ回路、前記燃料ガス用の前記第2の流れ回路、前記燃焼チャンバ及び前記煙道ガス用の前記流れ回路は、共通冷却用流体中に浸漬されている、熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項2】
前記予混合チャンバ(142)に供給される前記酸化剤ガスは、前記第1の流れ回路(111)から取られる、請求項1記載の熱交換器(100)。
【請求項3】
前記予混合チャンバ(142)に供給される化剤ガスは、前記高温燃料電池以外から供給される酸化剤ガス用の外部流れ回路(150)から取られる、請求項1記載の熱交換器(100′)。
【請求項4】
前記冷却用流体中に浸漬されていて、前記予混合チャンバ(142)に供給される前記燃料ガス用の第3の流れ回路(113)を更に有する、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項5】
前記予混合チャンバ(142)に供給される、前記高温燃料電池以外から供給される燃料ガス用の外部流れ回路(170)を更に有する、請求項4記載の熱交換器(100″)。
【請求項6】
前記煙道ガス用流れ回路(114)及び前記燃焼チャンバ(140)を収容し、これらを共通の冷却用流体中に浸漬させる第1のエンクロージャ(E1)と、前記酸化剤ガス及び燃料ガス用流れ回路(111,112,113)を収容し、これらを共通の冷却用流体中に浸漬させる第2のエンクロージャ(E2)とを更に有し、前記第1及び前記第2のエンクロージャ(E1,E2)は、前記冷却用流体が両方のエンクロージャ内を流れるように互いに連通するよう構成されている、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項7】
前記予混合チャンバ(142)は、注入グリッド(145)によって前記燃焼チャンバ(140)から分離されている、請求項1〜6のうちいずれ一に記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項8】
前記第1の流れ回路(111)から直接取られた前記酸化剤ガスは、前記注入グリッド(145)周りに環状に前記燃焼チャンバ(140)に供給される、請求項7記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項9】
前記第1の流れ回路(111)から直接取られて前記燃焼チャンバ(140)に供給される前記酸化剤ガスは、前記予混合チャンバからの前記ガス状混合物を希釈させるための、前記燃焼チャンバの周りに形成された希釈用空気チャンバ(144)を経て流れる、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項10】
前記冷却用流体は、水である、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)。
【請求項11】
高温燃料電池の出口のところで動作するボイラであって、前記ボイラは、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)を有する、ボイラ。
【請求項12】
熱エネルギー及び電気エネルギーのコージェネレーションのためのシステム(500)であって、前記システムは、
・高温燃料電池(200)と、
・請求項1〜10のうちいずれか一に記載の熱交換器(100,100′,100″)とを有し、前記熱交換器には、前記高温燃料電池(200)によって前記酸化剤ガス及び前記燃料ガスが供給される、システム(500)。
【請求項13】
改質器(300)を更に有し、前記熱交換器は、前記燃料ガス用の第2及び第3の流れ回路(112,113)を有し、前記第2及び前記第3の流れ回路には、それぞれ、前記高温燃料電池(200)及び前記改質器による供給が行われる、請求項12記載のシステム(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス中に含まれている熱を回収することができる熱交換器の分野に関する。本発明は、特に高温燃料電池の出口のところで用いられる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電気化学的な酸化還元(レドックス)反応を行うと同時に発電を行う。この目的のため、燃料電池の電極には、それぞれ、燃料、一般的には水素及び酸化剤、即ち酸素(例えば、燃料電池のコア中に導入される空気の流れから取られる)が供給される必要がある。
【0003】
高温燃料電池、例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)形式の燃料電池は、非常に高い温度(約900°)で動作する。これにより、特に、これら燃料電池を有利には、いわゆる「コージェネレーション」システム、即ち、熱エネルギーと電気エネルギーの両方を発生させるシステムで用いることができる。かかるコージェネレーションシステムは、工業用途及び家庭用途(例えば、個々の住宅で熱と電気を生じさせる用途)において等しく良好に利用できる。
【0004】
かかるシステムでは、燃料電池は、例えばボイラ又は熱交換器のような装置と連携する必要があり、この装置は、燃料電池から排出されたガスから熱を回収することができる。残念ながら、高温燃料電池から来るガスは、極めて高い温度状態にあり、それにより、高温燃料電池から見て下流側では、低温状態の熱流を処理するよう設計された標準型ボイラシステムを利用することは不可能である。
【0005】
典型的には、大抵のボイラは、低性能材料、例えばステンレス鋼で作られており、それにより、熱を高温流と冷却用流体との間で低コストで交換することができる。それにもかかわらず、かかる材料で作られたボイラ回路内への極めて高温のガスの注入及び流れを制御することは、極めて困難である。
【0006】
かかる問題の一解決策は、高い温度の流れに耐える優秀な高性能材料を用いることであるかもしれない。しかしながら、かかる材料の使用により、コージェネレーションシステムのコストがかなり増大し、これは、特に家庭用途にとっては望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を軽減し、燃料電池から来る高温ガス中に含まれている熱の全て(顕熱と燃焼熱の両方)を回収するよう例えばコージェネレーションシステムにおいて特に高温燃料電池の出口のところで用いられるよう設計された熱交換器を提供することにあり、しかも熱交換器に高性能材料を用いる必要なくこのようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、高温燃料電池の出口のところで動作する熱交換器であって、高温燃料電池は、熱交換器に酸化剤ガス及び燃料ガスを供給し、熱交換器は、
・酸化剤ガス用の第1の流れ回路と、
・燃料ガス用の第2の流れ回路と、
・酸化剤ガスと少なくとも第2の流れ回路からの燃料ガスの両方が供給される予混合チャンバと、
・予混合チャンバからのガス状混合物及び第1の流れ回路からの酸化剤ガスが供給される燃焼チャンバと、
・燃焼チャンバから来る煙道ガスを受け入れる煙道ガス用の流れ回路とを有し、
酸化剤ガス用第1の流れ回路、燃料ガス用第2の流れ回路、燃焼チャンバ及び煙道ガス用の流れ回路は、共通冷却用流体中に浸漬されていることを特徴とする熱交換器によって達成される。
【0009】
本発明の熱交換器の酸化剤ガス用の第1の流れ回路及び燃料ガス用の第2の流れ回路には、それぞれ、高温燃料電池により用いられた酸化還元反応の結果として生じる廃ガスが供給される。これらガスは、非常に高温であると共に650℃よりも高い場合がある温度、例えば約900℃の状態にある。本発明によれば、これらガスは、熱交換器の燃焼チャンバ内で「二次燃焼(post-combustion)」を受ける。
【0010】
かくして、種々のガス流れ回路(酸化剤ガス用、燃料ガス用、煙道ガス用)及び燃焼チャンバを同一の冷却流体中に浸漬させることにより、本発明の熱交換器は、高温燃料ガスから来た燃料ガス中に含まれている熱エネルギーの全て(即ち、顕熱と燃焼熱の両方)を回収することができる。
【0011】
本発明は又、第1に、高温燃料ガスから来たガス(酸化剤ガス及び燃料ガス)の温度を減少させ、第2に、燃焼チャンバの温度を減少させることができる。
【0012】
その結果、高温ガスと直接的接触状態にあるコンポーネントの数が制限され、高温ガスと直接的接触状態にあるこれらの表面領域も又制限される。これにより、有利には、熱交換器のコンポーネント、例えばガスを燃焼チャンバ中に注入するのに役立つコンポーネントについて安価な材料、特に低性能スチール又はステンレス鋼を使用することができる。
【0013】
さらに、冷却用流体中に浸漬されていることにより冷却される燃焼チャンバの温度の減少により、ガスの燃焼が低温で起こることができる。これは、燃焼中に放出される窒素酸化物(NOx)の量を減少させるという作用効果を有する。
【0014】
加うるに、予混合チャンバ設けたことは、これから見て下流側に位置した燃焼チャンバ中における安定した燃焼に必要な燃料/酸化剤混合物の均質性を最適化するのに役立つ。
【0015】
予混合チャンバに供給される酸化剤ガスは、第1の流れ回路から取られるのが良い。変形例として、予混合チャンバに供給される酸化剤ガスは、酸化剤ガス用の外部流れ回路から取られても良い。
【0016】
さらに、本発明の特定の実施形態では、熱交換器は、冷却用流体中に浸漬されていて、予混合チャンバに供給される燃料ガス用の第3の流れ回路を更に有する。
【0017】
第3の回路により、高温燃料電池以外の源から来る燃料ガスの流れを本発明の熱交換器に利用することができる。かくして、第3の回路には、改質器、例えば高温燃料電池に水素を供給することができる改質器によって燃料ガスを供給することができる。
【0018】
改質器から来た燃料ガスは、同様に、高温状態、即ち650℃よりも高い温度状態のガスであっても良い。この燃料ガスは、それ自体、燃焼チャンバへの供給前に冷却用流体によって冷却される。
【0019】
本発明の別の特定の実施形態では、熱交換器は、予混合チャンバに供給される燃料ガス用の外部流れ回路を更に有する。かかる外部回路により、必要ならば、特にこの外部から見て上流側の燃料電池から来たガスが熱交換器からの熱に関する需要を満足させるほどではない場合、ボイラに利用できるエネルギーを増加させることができる。
【0020】
好ましくは、熱交換器は、煙道ガス用流れ回路及び燃焼チャンバを含む第1のエンクロージャと、酸化剤ガス及び燃料ガス用流れ回路を含む第2のエンクロージャとを更に有し、第1及び第2のエンクロージャは、冷却用流体が両方のエンクロージャ内を流れるように互いに連通するよう構成されている。
【0021】
かかる状況下において、酸化剤ガス及び燃料ガス用の流れ回路は、特に、螺旋巻きであるのが良く且つ第1のエンクロージャ周りに実質的に同一のそれぞれの長さのものであるのが良い。
【0022】
流れ回路用に螺旋に配置されたダクトを用いることは、冷却用流体を通ってガスが移動する距離(回路の長さ)と熱交換器の結果としての全体サイズの比を最適化することによって熱交換の効率を向上させるのに役立つ。冷却用流体回路を通る種々の酸化剤ガス及び燃料ガスの移動する経路は、事実上同一である。これにより、各ガスは、冷却用流体と同一の熱交換領域を有することができる(それにより、熱交換器内でのガス/流体交換が一層一様になる)。
【0023】
全ての実施形態に共通である本発明の有利な特徴では、予混合チャンバは、注入グリッドによって燃焼チャンバから分離される。かかる状況下においては、第1の流れ回路から直接取られた酸化剤ガスは、有利には、注入グリッド周りに環状に燃焼チャンバに供給される。このように供給を行うことは、燃焼チャンバの壁の膜冷却をもたらすのに役立つ。
【0024】
全ての実施形態に共通である本発明の別の有利な特徴によれば、第1の流れ回路から直接取られて燃焼チャンバに供給される酸化剤ガスは、燃焼チャンバの周りに形成された希釈用空気チャンバを経て流れる。
【0025】
本発明は又、高温燃料電池の出口のところで動作するボイラであって、ボイラは、上述の熱交換器を有することを特徴とするボイラを提供する。
【0026】
本発明は又、熱エネルギー及び電気エネルギーのコージェネレーションのためのシステムであって、このシステムは、高温燃料電池と、上述の熱交換器とを有し、熱交換器には、高温燃料電池によって酸化剤ガス及び燃料ガスが供給されることを特徴とするシステムを提供する。
【0027】
かくして、本発明の熱交換器は、熱交換器と高温燃料電池により構成された全体的コージェネレーションシステムの「熱コージェネレーション」機能を実行する一方で、燃料電池は、「電気コージェネレーション」機能を実行する。
【0028】
特定の実施形態では、本発明のコージェネレーションシステムは、改質器を更に有し、熱交換器は、燃料ガス用の第2及び第3の流れ回路を有し、第2及び第3の流れ回路には、それぞれ、高温燃料電池及び改質器による供給が行われる。
【0029】
本発明の他の特徴及び他の利点は、本発明を限定する性質を持つものではない実施形態を示す添付の図面を参照して行われる以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態としての熱交換器を有するコージェネレーションシステムの略図である。
図2図1のコージェネレーションシステムの縦断面図である。
図3図2の縦断面と同様な図であり、非常に分かりやすくするためにコージェネレーションシステムから回路が除かれた状態でこのコージェネレーションシステムを示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態としての熱交換器の機能図である。
図5】本発明の第3の実施形態としての熱交換器の機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明のコージェネレーションシステム500を示している。
【0032】
コージェネレーションシステム500は、
・本発明の第1の実施形態としての熱交換器100と、
・熱交換器100から見て下流側に設けられた高温燃料電池200及び改質器300とを有している。
【0033】
知られているように、高温燃料電池は、650℃よりも高い非常に高い動作温度を有する。一例を挙げると、かかる燃料電池は、約900℃の動作温度を有するSOFCと通称されている固体酸化物型燃料電池である。この種の燃料電池の構造及び動作原理は、周知であり、本明細書ではそれ以上詳細には説明しない。
【0034】
燃料電池の電極は、動作するためには(即ち、電気化学的酸化還元反応が発電と同時に起こることができるようにするためには)、燃料電池の電極にはそれぞれ、燃料ガス、一般に水素及び酸化剤ガス、即ち、例えば燃料電池に供給される空気流中に含まれる酸素が供給される必要がある。
【0035】
いま説明している例では、改質器300は、第1に、燃料電池に燃料ガス、即ちこの例では水素を供給し、又、熱交換器100には入口103を経て水素を供給するために用いられる。改質器から来て熱交換器に供給される水素は、この例では、650℃を超える温度を有している。
【0036】
上述したように、高温燃料電池200の動作温度は、非常に高い。その結果、燃料電池は、酸化剤ガス、主として空気の形態の酸素と燃料電池、主として水素の両方を非常に高い温度(代表的には650℃を超える)で排出し、これらガスは、それぞれ入口101,102を経て熱交換器に供給される。
【0037】
図2及び図3に示されているように、本明細書において説明する実施形態では、熱交換器100は、次の2つのエンクロージャ、即ち
・円筒形である第1のエンクロージャE1、この第1のエンクロージャE1は、特に実質的に円筒形の形をした燃焼チャンバ140及び燃焼チャンバ内で生じた排ガスを運搬する回路114を有している。
・熱交換器100の頂部に位置すると共に内側の円筒形の壁160及び外側の円筒形の壁161によって構成された第2のエンクロージャE2。この第2のエンクロージャE2内には、特に酸化剤ガス(空気)用の第1の流れ回路111、燃料ガス(水素)用の第2の流れ回路112及び燃料ガス(水素)用の第3の流れ回路113が見出される。
【0038】
2つのエンクロージャE1,E2は、同一の冷却用流体、例えば水がこれらエンクロージャE1,E2の各々の中を流れるよう互いに連通している。冷却用流体の流れは、第2のエンクロージャの内壁160の底部及び頂部に形成された開口部115によって2つのエンクロージャ相互間で可能にされる。
【0039】
かくして、燃焼チャンバ140、酸化剤ガス及び燃料用の第1、第2及び第3の流れ回路(111,112,113)及び燃焼に由来する煙道ガス用の流れ回路114は、共通冷却用流体回路内に配置されている。これら種々の回路及び燃焼チャンバを共通冷却用流体中に浸漬させることにより、この流体を利用して高温燃料電池からのガス及び潜在的に改質器からのガスの燃焼の結果として生じる顕熱の全て及び燃焼熱の全てを回収することができる。
【0040】
熱交換器100には第2のエンクロージャE2の外壁161の底部に設けられた供給入口106を経て冷却用流体が供給される。冷却用流体は、第2のエンクロージャE2の外壁161の頂部に設けられた出口105を経て熱交換器100から排出される。代表的には、次に、冷却用流体は、加熱目的に用いられる。
【0041】
第2のエンクロージャE2内に配置された流れ回路への供給は次のようにして行われる。
・第1の流れ回路111には、供給入口101を経て、高温燃料電池200から来た酸化剤ガス(空気)が供給される。
・第2の流れ回路112には、供給入口102を経て、高温燃料電池200から来た燃料ガス(水素)が供給される。
・第3の流れ回路113には、供給入口103を経て、改質器300から直接来た燃料ガス(水素)が供給される。
【0042】
これら3つの流れ回路111,112,113は、螺旋コイルとして構成されると共に第2のエンクロージャE2内で第1のエンクロージャE1周りに交互に配置されたダクトによって形成されている。知られているように、ダクトのターンの数は、熱交換器100の性能で決まる。いま説明している例では、種々のダクト111,112,113のターンの数は、同一であり、その結果、各ガスは、冷却用流体と同一の熱交換領域(即ち、熱交換器100を通る同一の経路)を有するようになっている。これにより、これらのダクト中を流れるガスと冷却用流体との間の熱交換を均等にしてこれらガスを冷却することができる。
【0043】
第2のエンクロージャE2の出口のところには、第1の流れ回路111の延長部として、制御弁131に通じるダクト121が設けられている。制御弁から見て下流側では、第1の流れ回路の延長部として、2本のダクト、即ち、燃焼チャンバ140から見て下流側に形成されたプレミキサ又は予混合チャンバ(pre-mixer chamber )142内に通じる1本のダクト125及び燃焼チャンバ140の周りに形成された希釈用空気チャンバ144内に通じるもう1本のダクト126が設けられている。
【0044】
第2のエンクロージャE2の出口のところには、第2及び第3の流れ回路112,113の延長部として、それぞれ、ダクト122,123が設けられ、これらダクトは、予混合チャンバ142内に通じる接合部124のところで互いに連結されている。
【0045】
その結果、予混合チャンバ142には第1の流れ回路111から取られた酸化剤ガス及び第2及び第3の流れ回路112,113から取られた燃料ガスが供給される。これらガスは、流れ回路111〜113に沿って流れることによって冷却されているので、水素と空気を燃焼チャンバ140内への注入に先立って自己着火の恐れなく、互いに混合することができる。
【0046】
さらに、この混合気は、熱交換器100に供給されると共に燃料電池200から来るガスの温度よりも十分に低い温度を有するので、この混合気を市販のボイラに通常用いられている種類の低性能材料を用いた、例えばステンレス鋼で作られた燃焼チャンバ140内に注入することができる。
【0047】
燃焼チャンバ140には、第1に、予混合チャンバ142から来た(以下に詳細に説明する注入グリッド(injection grid)145を通過した)酸化剤/燃料ガス混合気が供給され、第2に、第1の流れ回路111から取られ、希釈用空気チャンバ144を経て(ダクト126を経て)流れた酸化剤ガスが供給される。
【0048】
予混合ガス142は、注入グリッド145を経て燃焼チャンバ140内に通じている。かかる注入グリッドは、小さな断面を多数の穴(例えば、円形穴)を有している。穴の数、これらの寸法及びこれらの深さは、火炎を注入グリッドに付着させることができるガス流れ速度を得ると共に火炎が予混合チャンバに向かって生じるのを回避し、しかも短い火炎を得て、それにより燃焼チャンバに必要な長さを制限するよう選択されている。
【0049】
予混合チャンバ142は、その内容積部を2つに分離するミキサーグリッド(mixer grid)146を更に有するのが良い。かかるミキサーグリッドは、酸化剤ガスと燃料ガスの混合を促進するのに役立つ。
【0050】
さらに、燃焼チャンバ140には、注入グリッド145周りに環状に希釈用空気チャンバ144から来た酸化剤ガスが供給される。この目的のため、燃焼チャンバを構成する円筒壁は、注入グリッド145と符合して、予混合チャンバ142内に開口すると共に燃焼チャンバ(図3)に通じる複数個のオリフィス147を有している。
【0051】
最後に、燃焼チャンバ140は、注入グリッド145上に心出しされた状態で酸化剤/燃料混合気を点火するのに役立つ二次燃焼点火装置148を有している。
【0052】
ダクト122,123は、予混合チャンバ142(及びかくして燃焼チャンバ140)内への燃料ガスの送り込みを制御すると共に調節するのに役立つそれぞれの装置132,133を備えている。装置132,133及び更に管121に取り付けられた制御弁131は、例えば、制御装置(図示せず)により制御される電磁弁であるのが良い。
【0053】
装置132,133は、予混合チャンバ142のための水素供給源を選択するのにも役立ち得る。かくして、例えば、特に改質器300が始動しているときに、改質器300内の或る特定の過渡的条件の間、改質器によって送り出される水素の量は、燃料電池200が通常通り動作することができるようにするわけではない。かかる状況下において、装置132は、燃焼チャンバ140にその時点で改質器から来た水素(第3の流れ回路113からのガス)が供給されるよう制御される。
【0054】
過渡的条件が終了すると、装置132は、燃料電池200から来た水素が流通する回路122を開くよう制御され、装置133は又、改質器300から来た水素が流通する回路123を閉じるよう制御される。
【0055】
上述したように、燃焼チャンバ140は、それ自体、エンクロージャE1からの冷却用流体中に浸漬され、それにより燃焼チャンバの温度を下げることができる。これは、有利には、ガス混合物の燃焼中に放出される窒素酸化物(NOx)の量を減少させるのに役立つ。
【0056】
燃焼チャンバ142から来た煙道ガスは、螺旋体として構成されている複数本のダクトによって形成された流れ回路114内に集められる。これらダクトも又、エンクロージャE1の冷却用流体中に浸漬されており、したがって、燃焼煙道ガス中に含まれている熱も又、この流体によって回収され、この流体を加熱目的で利用することができる。
【0057】
次に、冷却された煙道ガスは、回路114のダクトの出口のところに設けられたマニホルド104によって回収される。
【0058】
かくして、本発明により、混合燃料電池から(及び場合によっては改質器から)来たガスの熱(顕熱及び燃焼熱)の全てを回収することができ、他方、低性能材料を熱交換器に利用することができる。これは、燃料電池及び改質器からのガスのための流れ回路並びに更に燃焼チャンバ及び燃焼に由来する煙道ガスのための流れ回路を共通の冷却用流体中に浸漬させることによって可能になっている。その結果、流体により回収されるガスの顕熱だけでなく、ガスの燃焼熱も又、熱に変換されて同一流体に送られる。
【0059】
図4は、本発明の第2の実施形態としての熱交換器100′を示す機能図である。
【0060】
熱交換器100′は、予混合チャンバ142に供給される酸化剤ガスが、流量が調節可能な(例えば、電磁弁151によって)外部酸化剤ガス流れ回路150から来る点において、図1図3を参照して上述した熱交換器とは異なっている。さらに、第1の流れ回路111は、希釈用空気チャンバ144にのみ(ダクト126を経て)連結され、回路111内に設けられている装置131は、電磁弁である。
【0061】
酸化剤ガスの流れを通す外部回路150を設けたことにより、酸化剤ガスの流量を調節する際の高い融通性を提供するという利点が得られる。
【0062】
図5は、本発明の第3の実施形態としての熱交換器100″を示す機能図である。
【0063】
この熱交換器100″は、これが予混合チャンバ142に送られる燃料ガスの流れを運搬する外部回路170を更に有している点において、図1図3を参照して説明した熱交換器とは異なっている。外部回路170は、例えば電磁弁171によって制御される。
【0064】
より正確に言えば、燃料ガスの流れを運搬する外部回路170は、第2及び第3の流れ回路112,113のダクト122,123相互間の接合部124に連結されている。
【0065】
外部燃料ガス流れ回路170を設けたことにより、必要な場合、特に上流側燃料電池から来たガスが熱交換器に対する熱需要を満足させるのには十分ではない場合、ボイラに利用可能なエネルギーを増大させることができるという利点が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5