(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767658
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】エレクトロウェッティングディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/19 20060101AFI20150730BHJP
【FI】
G02F1/19
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-23119(P2013-23119)
(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公開番号】特開2013-164591(P2013-164591A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2013年2月8日
(31)【優先権主張番号】101104420
(32)【優先日】2012年2月10日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501358079
【氏名又は名称】友達光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 玄菱
(72)【発明者】
【氏名】ハイケンフェルト ジェイソン
【審査官】
廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−211047(JP,A)
【文献】
特開2010−169806(JP,A)
【文献】
特表2013−516635(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/080224(WO,A1)
【文献】
米国特許第08059328(US,B1)
【文献】
特開2005−077472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/19
G02B 26/00
G02B 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロウェッティングディスプレイであって、
光線を供給するためのバックライトモジュールと、
環状の対向電極と、当該対向電極を略被覆する第1誘電体層と、蛍光材料または燐光材料を含み、前記光線によって励起されて可視光を供給する発光材料層とを含み、前記バックライトモジュールの上方に位置する対向基板と、
前記バックライトモジュールと前記対向基板との間に位置する極性流体と、
前記極性流体中に位置する非極性流体と、
前記バックライトモジュールと前記極性流体との間に位置し、電圧を前記極性流体に供給するための電極層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記発光材料層と前記極性流体との間、及び前記発光材料層と前記非極性流体との間に位置し、
前記光線は、
前記極性流体に対して約55〜75度の入射角を有し、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加された場合、前記電極層を介して前記非極性流体に入射し、前記非極性流体における前記極性流体と接する面によって反射されて前記発光材料層中に伝播した後、前記対向基板を介して出射することにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを明状態の表示モードにし、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加されない場合、前記発光材料層中に伝播しないことにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを暗状態の表示モードにすることを特徴とするエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項2】
前記バックライトモジュールは、
入光面および出光面を有する導光板と、
前記導光板の前記入光面に隣接する光源と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項3】
前記光線の波長は、約300〜430nmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項4】
前記極性流体と前記電極層との間に位置する第2誘電体層を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項5】
前記第1誘電体層上に位置する親水性壁構造をさらに含み、かつ前記非極性流体は、前記親水性壁構造に囲まれた空間内に位置することを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項6】
前記非極性流体は、シリコン油、アルカン油、溶剤にシリコン油が溶解されて形成される溶液、または、溶剤にアルカン油が溶解されて形成される溶液を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項7】
前記第1誘電体層は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項8】
前記第1誘電体層の表面は、疎水性表面であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項9】
前記極性流体、前記非極性流体および前記対向電極のうちの少なくとも1つが透明であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項10】
前記極性流体と前記非極性流体との屈折率差は、約0.05〜1.5であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項11】
エレクトロウェッティングディスプレイであって、
光線を供給するためのバックライトモジュールと、
第1電圧が供給され、環状の対向電極と、
前記対向電極を略被覆する第1誘電体層と、
前記バックライトモジュールと前記対向電極との間に位置し、第2電圧が供給される極性流体と、
前記極性流体中に位置し、前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差によって移動する非極性流体と、
前記バックライトモジュールと前記極性流体との間に位置し、前記第2電圧を前記極性流体に供給するための電極層と、
蛍光材料または燐光材料を含み、前記光線によって励起されて可視光を供給する発光材料層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記発光材料層と前記極性流体との間、及び前記発光材料層と前記非極性流体との間に位置し、
前記光線は、
前記極性流体に対して約55〜75度の入射角を有し、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加された場合、前記電極層を介して前記非極性流体に入射し、前記非極性流体における前記極性流体と接する面によって反射されて前記発光材料層中に伝播した後に出射することにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを明状態の表示モードにし、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加されない場合、前記発光材料層中に伝播しないことにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを暗状態の表示モードにすることを特徴とするエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項12】
前記極性流体内に位置する親水性壁構造をさらに含み、かつ前記非極性流体は、前記親水性壁構造に囲まれた空間内に位置することを特徴とする請求項11に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項13】
前記非極性流体は、シリコン油、アルカン油、溶剤にシリコン油が溶解されて形成される溶液、または、溶剤にアルカン油が溶解されて形成される溶液を含むことを特徴とする請求項11に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項14】
前記第1誘電体層は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素を含み、表面が疎水性表面であることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【請求項15】
前記極性流体と前記非極性流体との屈折率差は、約0.05〜1.5であることを特徴とする請求項11に記載のエレクトロウェッティングディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティングディスプレイに関し、特に高透明度のエレクトロウェッティングディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパー(E−paper)と電子ブック(E−book)の技術分野が急速に発展しており、軽薄性と可撓性のあるディスプレイが今後開発の主流になる。エレクトロウェッティングディスプレイ(Electro−wetting Display Device,EWD)は、電子ブックおよび電子ペーパーに適用できる表示パネルである。
【0003】
現在、エレクトロウェッティングディスプレイは、発光原理に基づいてシャッター型のエレクトロウェッティングディスプレイ(Shutter type EWD)とライトウェーブカップリング型のエレクトロウェッティングディスプレイ(Light wave coupling EWD)の二種類を含む。
【0004】
シャッター型のエレクトロウェッティングディスプレイは、上電極、下電極、および両電極の間に挟まれる極性流体と非極性流体を含む。上下電極に電圧が印加されていない場合に、インク層(非極性流体)が画素ユニットに充填される。これにより、入射光がインク層に吸収されて前記画素ユニットに暗状態を表示させる。その逆に、画像ユニットに明状態を表示させろうとするときに、インク層が画素領域のエッジに収縮し、更にはインク層の下方に位置する反射層を露出させるように、上下電極に電圧を印加する。そうすることにより、入射光が反射層に反射されて前記画素ユニットは明状態を表示することができる。しかしながら、高コントラストを実現するために、遮光とするインク層の膜厚に対して十分な厚さが要求されている。こうすると、各インク層を隔離するための壁構造の高さが増加し、ひいてはエレクトロウェッティングディスプレイの製造工程の困難性が高まる。
【0005】
一方、エレクトロウェッティングディスプレイにカラー映像を表示させようとする時に、通常は、ライトウェーブカップリング型のエレクトロウェッティングディスプレイが使用される。具体的に言うと、通常は、エレクトロウェッティングディスプレイの非極性流体中にカラー染料を混合する。上下電極に電圧が印加されていない場合に、カラー染料を混合した非極性流体が画素ユニットに充填され、入射光はカラー染料を混合した非極性流体を透過して前記画素ユニットにカラー映像が映るようになる。その逆に、画像ユニットに暗状態を表示させようとするときに、非極性流体が前記画素領域のエッジに収縮するように、上下二つの電極に電圧を印加する。極性流体の屈折率が高いため、入射光は全反射現象が起こって極性流体を介して出射されることができなくなり、ディスプレイに暗状態を表示させる。それによって、各画素ユニットに、異なる染料を有する非極性流体が充填されて異なる色が映るために、通常は、インクジェット印刷(Inkjet Printing)工程でフルカラープロセスを実現する。しかしながら、インクジェット印刷工程は、均一性が低くて、エレクトロウェッティングディスプレイの解像度が制限されるというデメリットを持つ。また、カラー染料の材料選択は、非極性流体への溶解度に制限されるため、エレクトロウェッティングディスプレイの明るさおよび彩度が制限されることになり、カラーエレクトロウェッティングディスプレイについては、更なる改善が求められている。
また、従来技術において、光源とするバックライトモジュールは、大抵の場合反射構造を有する導光板を使用し、つまり、反射面には散乱構造を有することにより、光源が反射面に入射した後、出光面まで反射してから光線を出射する。結果としては、反射面における散乱構造が光線を反射することにより、エレクトロウェッティングディスプレイの透明度を低下させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ジェイ.ハイケンフェルド、エー.ジェイ.ステックル(J.Heikenfeld, A.J.Steckl)著、「インテンス スウィッチャブル フルオレセンス イン ライト ウェーブ カップルド エレクトロウェッティング デバイス(Intense switchable fluorescence in light wave coupled electrowetting devices)」、米国物理協会速報紙(Applied Physics Letters)、 2005年、第86号、011105
【非特許文献2】ジェイ.ハイケンフェルド、エー.ジェイ.ステックル(J.Heikenfeld, A.J.Steckl)著、「ハイ−トランスミッション エレクトロウェッティング ライト バルブ(High−transmission electrowetting light valves)」、米国物理協会速報紙(Applied Physics Letters) 、2005年、第86号、151121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、彩度および透明度に優れ、製造工程が簡単なエレクトロウェッティングディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光線を供給するためのバックライトモジュールと、
環状の対向電極
と、当該対向電極を略被覆する第1誘電体層
と、蛍光材料または燐光材料を含み、前記光線によって励起されて可視光を供給する発光材料層とを含み、前記バックライトモジュールの上方に位置する対向基板と、バックライトモジュールおよび対向基板の間に位置する極性流体と、極性流体中に位置する非極性流体と、
バックライトモジュールと極性流体との間に位置し、電圧を極性流体に供給するための電極層と、を含むエレクトロウェッティングディスプレイを提供する。
前記第1誘電体層は、前記発光材料層と前記極性流体との間、及び前記発光材料層と前記非極性流体との間に位置する。前記光線は、極性流体に対して約55〜75度の入射角を有し、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加された場合、前記電極層を介して前記非極性流体に入射し、前記非極性流体
における前記極性流体
と接する面によって反射され
て前記発光材料層中に伝播した後、前記対向基板を介して出射
することにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを明状態の表示モードにし、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加されない場合、前記発光材料層中に伝播しないことにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを暗状態の表示モードにする。
【0009】
本発明の一実施例において、前記バックライトモジュールは、入光面と出光面とを有する導光板、および導光板の入光面に隣接する光源を含む。
【0010】
本発明の一実施例において、前記光線の波長は、約300〜430nmである。
【0012】
本発明の一実施例において、前記エレクトロウェッティングディスプレイは、前記極性流体と前記電極層との間に位置する第2誘電体層を、さらに含む。
【0014】
本発明の一実施例において、前記エレクトロウェッティングディスプレイは、第1誘電体層上に位置する親水性壁構造(hydrophilic wall)をさらに含み、かつ非極性流体は、親水性壁構造に囲まれた空間内に位置する。
【0015】
本発明の一実施例において、前記非極性流体は、シリコン油(Silicon Oil)、アルカン油(Alkane Oil)、溶剤にシリコン油が溶解されて形成される溶液、または、溶剤にアルカン油が溶解されて形成される溶液を含む。
【0016】
本発明の一実施例において、前記第1誘電体層は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素を含む。
【0017】
本発明の一実施例において、前記第1誘電体層の表面は、疎水性表面(hydrophobic surface)である。
【0020】
本発明の一実施例において、前記極性流体と非極性流体との屈折率差が0.05〜1.5である。
【0021】
本発明の一実施例において、前記光線は、極性流体に対して約55〜75度の入射角を有する。
【0022】
本発明は、さらに、光線を供給するためのバックライトモジュールと、第1電圧が供給され
、環状の対向電極と、
対向電極を略被覆する第1誘電体層と、バックライトモジュールと対向電極との間に位置し、第2電圧が供給される極性流体と、極性流体中に位置し、第1電圧と第2電圧との電圧差によって移動する非極性流体と、
バックライトモジュールと極性流体との間に位置し、第2電圧を極性流体に供給するための電極層と、蛍光材料または燐光材料を含み、前記光線によって励起されて可視光を供給する発光材料層と、を含むエレクトロウェッティングディスプレイを提供する。
前記第1誘電体層は、前記発光材料層と前記極性流体との間、及び前記発光材料層と前記非極性流体との間に位置する。前記光線は、極性流体に対して約55〜75度の入射角を有し、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加された場合、前記電極層を介して前記非極性流体に入射し、前記非極性流体
における前記極性流体
と接する面によって反射され
て前記発光材料層中に伝播した後に出射
することにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを明状態の表示モードにし、
前記対向電極及び前記電極層に電圧が印加されない場合、前記発光材料層中に伝播しないことにより、前記エレクトロウェッティングディスプレイを暗状態の表示モードにする。
【0024】
本発明の一実施例において、前記エレクトロウェッティングディスプレイは、極性流体内に位置する親水性壁構造(hydrophilic wall)をさらに含み、かつ非極性流体は、親水性壁構造に囲まれた空間内に位置する。
【0025】
本発明の一実施例において、前記非極性流体は、シリコン油(Silicon Oil)、アルカン油(Alkane Oil)、溶剤にシリコン油が溶解されて形成される溶液、または、溶剤にアルカン油が溶解されて形成される溶液を含む。
【0026】
本発明の一実施例において、前記
第1誘電体層は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素を含
み、表面が疎水性表面(hydrophobicsurface)であ
る。
【0028】
本発明の一実施例において、前記極性流体と非極性流体との屈折率の差が0.05〜1.5で
ある。
【0029】
上記構成により、本発明に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極と電極層とに電圧が印加されていない場合に、極性流体はバックライトモジュールに接触すると、極性流体の屈折率が大きいため、入射光が全反射することにより、画素ユニットを発光させることなく、即ち、ディスプレイは、暗状態となる表示画面になる。エレクトロウェッティングディスプレイの対向電極と電極層との間に電圧差が存在する場合に、非極性流体はバックライトモジュールに接触すると、入射光が非極性流体を透過することにより、発光材料層を介して異なるカラー光線を発することができ、即ち、ディスプレイは、明状態となる表示画面になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、エレクトロウェッティングディスプレイは、固体である発光材料層が対向基板上に設置されているため、カラー染料を非極性流体中に加える必要がなく、優れた彩度を有するようになる。また、固体である発光材料層が従来の製造工程に容易に組み込まれるため、本発明のエレクトロウェッティングディスプレイは、簡単な製造工程で製造することができる。さらに、本発明のエレクトロウェッティングディスプレイは、導光板において光線を散乱させるための構造が設置されていないため、透明度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイが暗状態である時の断面を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイが明状態である時の断面を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極を示す平面図である。
【
図4】本発明の他の実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極を示す平面図である。
【
図5】本発明のもう1つの実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明についての特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイが暗状態である時の断面を示す図である。
図2は、本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイが明状態である時の断面図である。ここで説明すべきは、
図1と
図2では1つの画素ユニットのみを示して説明する。しかしながら、当業者は、エレクトロウェッティングディスプレイが複数の画素ユニットから構成され、さらに本実施例に係る内容によりエレクトロウェッティングディスプレイ100の構成を理解することができるであろう。
【0033】
図1を参照すると、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、バックライトモジュール110と、対向基板120と、極性流体130と、非極性流体140とを含んでいる。バックライトモジュール110は、波長が300〜430nmの光線Lを供給し、該光線Lの波長が、好ましくは、近紫外光の波長に近い波長で、例えば、405nmの波長である。対向基板120は、バックライトモジュール110の上方に位置する。対向基板120は、対向電極122と、対向電極122を略被覆する第1誘電体層124とを含んでいる。極性流体130は、バックライトモジュール110と対向基板120との間に位置するが、非極性流体140は、極性流体130中に位置している。
【0034】
図2を参照すると、具体的に言うと、本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100は、バックライトモジュール110と、対向電極122と、極性流体130と、非極性流体140とを含んでいる。バックライトモジュール110は光線Lを供給する。対向電極122に、第1電圧V1が供給される。極性流体130はバックライトモジュール110と対向電極122との間に位置するとともに、極性流体130に第2電圧V2が供給される。非極性流体140は、極性流体130中に位置し、かつ第1電圧V1と第2電圧V2との電圧差によって移動する。
【0035】
図1および
図2を同時に参照すると、バックライトモジュール110は、導光板112および光源114を含んでいる。導光板112は、入光面112aおよび出光面112bを有している。光源114は、導光板112の入光面112aに隣接している。光源114は光線Lを供給する。光線Lは、入光面112aを介して導光板112に入射し、さらに出光面112bから出射される。本実施例の導光板112において、光線を散乱させるための構造が設置されていない。本実施例によれば、光源114は、例えば、紫外線光源または近紫外線光源であるため、光源114から発射された光線Lは、導光板112中を伝播する時に人間の目に知覚されることなく、バックライトモジュールの透明度を向上させることが可能である。
【0036】
対向基板120は、対向電極122および第1誘電体層124を含んでいる。
図3は、本発明の一実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極を示す平面図である。
図3を参照すると、この実施例において、対向電極122の形状は、例えば、四角の枠状である。
図4は、本発明の他の実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイの対向電極を示す平面図である。
図4を参照すると、この実施例において、対向電極122の形状は、例えば、円環状である。対向電極122の形状が四角の枠状または円環状のような環状である場合、このような形状は、対向電極122に囲まれた範囲内に非極性流体を集中させることに寄与し、そのため、光線Lを集中させて伝播および出射するのに有利である。しかしながら、本発明はそれに限定されない。また、
図5に示すように、対向電極122は、対称形状であってもよい。
【0037】
極性流体130が対向電極122に直接接触して短絡現象を起こすことを回避するように、第1誘電体層124が対向電極122を被覆している。第1誘電体層124の材料は、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素または酸化ケイ素であり、しかも第1誘電体層124の表面124aは、疎水性表面である。
【0038】
対向基板120は、発光材料層126をさらに含む。発光材料層126の材料は、例えば、蛍光材料または燐光材料である。発光材料層126は、光線Lによって励起されて可視光を供給することが可能である。なお、発光材料層126の材料は、デザインによって異なる色の光を発する材料を選択することが可能である。
【0039】
本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100は、親水性壁構造150をさらに含んでいる。親水性壁構造150は、第1誘電体層124上に配置され、かつ非極性流体140は、親水性壁構造150に囲まれた空間内に位置している。詳しく言うと、第1誘電体層124の表面124aが疎水性表面であるため、非極性流体140は、第1誘電体層124の表面124aに吸着されている。また、親水性壁構造150が親水性を持つため、異なる画素ユニットに属する非水系の非極性流体140は隔離されることができる。
【0040】
極性流体130の材料は、極性および流動性を有し、好ましくは、極性流体130が、透明性を有している。極性流体130の材料は、例えば、水、または、極性を有する他の透明流体である。極性流体130は、バックライトモジュール110と対向電極122との間に位置している。また、極性流体130は、第1屈折率を持っている。
【0041】
非極性流体140の材料は、非極性および流動性を有し、好ましくは、非極性流体140が、透明性を有している。非極性流体140の材料は、例えば、シリコン油、アルカン油、溶剤にシリコン油が溶解されて形成される溶液、または、溶剤にアルカン油が溶解されて形成される溶液である。しかも、非極性流体140は、第2屈折率を持っている。第1屈折率と第2屈折率との間の差が0.05〜1.5であり、かつ極性流体130の第1屈折率が非極性流体140の第2屈折率より高い。
【0042】
特に説明すべきことは、前記対向電極122、極性流体130および非極性流体140のうち少なくとも1つが透明材料である。そうすることにより、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、透明度の向上で透明ディスプレイとされることができる。
【0043】
また、本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100は、電極層160をさらに含んでいる。電極層160は、バックライトモジュール110と極性流体130との間に配置され、第2電圧V2を極性流体130に供給する。
【0044】
さらに、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、第2誘電体層170をさらに含んでいる。第2誘電体層170は、極性流体130が電極層160に直接接触して短絡現象を起こすことを回避するように、電極層160を被覆するとともに、極性流体130と電極層160との間に配置されている。
【0045】
具体的に言うと、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、導光板112と、光源114と、電極層160と、対向基板120と、第1誘電体層124と、極性流体130と、非極性流体140とを含んでいる。導光板112は、入光面112aおよび出光面112bを有している。光源114は、導光板112の入光面112aに隣接している。電極層160は、導光板112の出光面112b上に位置している。対向基板120は、対向電極122と、第1誘電体層124と、発光材料層126とを含んでいる。対向電極122は、発光材料層126上に位置し、第1誘電体層124に被覆されている。極性流体130は、電極層160と第1誘電体層124との間に位置している。非極性流体140は、第1誘電体層124上に位置している。
【0046】
図1を再び参照すると、エレクトロウェッティングディスプレイ100における対向電極122および電極層160に電圧が印加されていない。そのため、非極性流体140は、第1誘電体層124の表面124aに吸着されているとともに、第2誘電体層170に接触しない。極性流体130は、第2誘電体層170の全体を被覆している。光源114から供給された光線Lは、導光板112に入射し、さらに導光板112から極性流体130に伝播する時に、極性流体130の第1屈折率が導光板112の屈折率よりはるかに高く、しかも光線Lは、極性流体130に対して入射角を有しているため、発光材料層126まで伝播することなく、全反射現象が起こってから導光板112内に反射されることになる。発光材料層126が光線Lによって励起されないため、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、発光現象を起こすことなく、つまり、暗状態となる表示モードになっている。全反射現象が起こるために、入射角度は、約55〜75度である。
【0047】
本実施例において、エレクトロウェッティングディスプレイ100の暗状態となる表示モードでは、光の全反射現象により、光線Lは極性流体130を通過してエレクトロウェッティングディスプレイ100外へ放射することができない。よって、エレクトロウェッティングディスプレイ100において、インク層を使用することなく、暗状態の表示画面は表示されることが可能である。言い換えると、エレクトロウェッティングディスプレイ100の暗状態となる表示モードは、遮光原理を利用するものではない。そうすることにより、非極性流体140に対するインクの溶解度を考慮する必要がないため、非極性流体140の使用量を減少させ、非極性流体140の厚さを増やさないまま表示画面のコントラストを向上させることができる。
【0048】
図2を参照すると、エレクトロウェッティングディスプレイ100における対向電極122に第1電圧V1が印加され、電極層160には、第1電圧V1と異なり、つまり、第1電圧V1との間に電圧差が存在する第2電圧V2が印加されている。そのため、非極性流体140は、対向電極122が対応する領域から離れ、さらに対向電極122に囲まれた領域内に収縮している。そうすることにより、非極性流体140と第1誘電体層124との接触面積が減少する。非極性流体140の体積全体が一定であるため、非極性流体140の厚さが増加し、さらに第2誘電体層170に接触する。これにより、光線Lがバックライトモジュール110から非極性流体140に入射する時に、非極性流体140の第2屈折率が第2誘電体層170の屈折率に相当するので、光線Lは、屈折してから非極性流体140内に入射し、しかも非極性流体140を透過して発光材料層126に伝播することができる。詳しく言うと、非極性流体140と極性流体130との間の屈折率差が比較的に大きいため、光線Lが非極性流体140中を伝播する時に、大半の光線Lは反射されて発光材料層126中に伝播し、さらに発光材料層126が光線Lによって励起されて発光するようにさせる。すなわち、エレクトロウェッティングディスプレイ100の明状態となる表示モードである。
【0049】
本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100の明状態となる表示モードにおいて、光線Lが非極性流体140を介して発光材料層126に伝播することにより、発光材料層126は、光によって励起されて異なる色の光を発する。具体的に言うと、エレクトロウェッティングディスプレイ100において、固体である発光材料層126が対向基板120上に設置されているため、エレクトロウェッティングディスプレイ100がカラー染料を非極性流体140中に加える必要がなく、エレクトロウェッティングディスプレイ100のカラー表現は、非極性流体140に対するカラー染料の溶解度に制限されない。そうすることにより、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、優れた彩度を有するようになる。一方、固体である発光材料層126が従来の製造工程に容易に組み込まれるため、本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100は、簡単な製造工程で製造することができる。
【0050】
また、本実施例に係るエレクトロウェッティングディスプレイ100の光源は、例えば、紫外線の光源または近紫外線の光源である。紫外線の光線は、バックライトモジュール110、極性流体130および非極性流体140中を伝播する時に、人間の目に見られることができない。紫外線の光線によって発光材料層126が励起された時のみに、可視光線は発光されることができる。また、本実施例のバックライトモジュール110の導光板112において光線を散乱させるための構造が設置されていないため、エレクトロウェッティングディスプレイ100の透明度を向上させることができる。
【0051】
以上のことをまとめると、本発明のエレクトロウェッティングディスプレイにおける対向電極および電極層に電圧が印加されていない場合、極性流体は第2誘電体層に接触する。極性流体の屈折率が比較的に高くて、極性流体に対して入射光が一定の入射角を有するため、入射光は、全反射現象が起こることにより、エレクトロウェッティングディスプレイ100に、暗状態となる表示画面を表示させ、優れたコントラストを示させる。
【0052】
本発明のエレクトロウェッティングディスプレイにおける対向電極と電極層との間に電圧差が存在する場合に、非極性流体は、対向電極に囲まれた領域内に収縮し、さらにバックライトモジュールに接触し、その際、入射光は、屈折して非極性流体に入射するとともに、発光材料層を励起させて異なる色の光線を発光させる。つまり、明状態となる表示画面になる。本発明のエレクトロウェッティングディスプレイは、固体である発光材料を使用するため、その彩度が非極性流体に対する染料の溶解度に制限されない。それにより、本発明のエレクトロウェッティングディスプレイは、優れた色彩表現を実現できる。
【0053】
また、本発明のエレクトロウェッティングディスプレイは、優れた透明度を有するため、各種の透明ディスプレイに適用されることが可能であり、優れたデザイン性と応用性を持つ。
【0054】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者であれば本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り、各種の変動や潤色を加えることができる。従って、本発明の保護を求める範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0055】
100 エレクトロウェッティングディスプレイ
110 バックライトモジュール
112 導光板
112a 入光面
112b 出光面
114 光源
120 対向基板
122 対向電極
124 第1誘電体層
126 発光材料層
130 極性流体
140 非極性流体
L 光線
V1 第1電圧
V2 第2電圧