(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、従来の技術に従うツイストネマチック(twisted-nematic:TN)方式の液晶表示装置の構造を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施例に従うEOC(electrical induced optical compensation)方式の液晶表示装置の基本駆動原理を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施例に従うEOC(electrical induced optical compensation)方式の液晶表示装置の基本駆動原理を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施例に従うEOC方式の液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4実施例に従うEOC方式の液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図11】
図11は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図12】
図12は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図13】
図13は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図14】
図14は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図15】
図15は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図16】
図16は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の視野角を測定した結果を示すグラフである。
【
図17】
図17は、本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置で電気光学的特性を測定した結果を図表で示すグラフである。
【
図18】
図18は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施例に従う液晶表示装置で単位画素に形成された電極の構造を示す平面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施例に従う液晶表示装置の分解斜視図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施例に従うEIMD方式の液晶表示装置の駆動原理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図2(A)ないし(C)および
図3(A)ないし(C)は本発明の第1および第2実施例に従うEOC方式の液晶表示装置の原理を示す概略図である。
【0015】
図面からわかるように、配向膜90がそれぞれ形成されている1対の透明ガラス基板10、20が互いに向い合っている。二つの基板10、20のうちの下部基板10の内側面には二つの線形電極30、40が互いに平行に形成されている。二つのガラス基板10、20の間には液晶物質が注入されて液晶層70をなしており、液晶層70の液晶分子80は二つの基板10、20に対して垂直に配列されている。ここで、液晶分子80は基板10、20に対して先傾斜角を有するように構成でき、二つの電極30、40は透明もしくは不透明導電物質で構成することができる。それぞれのガラス基板10、20の外側面には通過する光を偏光させる2枚の偏光板50、60がそれぞれ取付けられている。
【0016】
一般に、二つの電極30、40のうち、一つはそれぞれの単位画素毎に異なるデータ信号を印加するための画素電極であり、残りの一つは全体単位画素に共通した信号を印加するための共通電極である。また、それぞれの画素電極はそれぞれの画素に形成されている薄膜トランジスタのようなスイッチング素子の1端子と連結されている。
【0017】
このとき、液晶層70の液晶物質は、誘電率異方性Δεがゼロより大きいことが好ましいが、誘電率異方性Δεがゼロより小さくてもよい。また、液晶物質はネマチック、キラルネマチックもしくは左旋性または右旋性のキラル添加剤が混合されたネマチック液晶のいずれも可能である。
【0018】
また、それぞれの配向膜90は液晶分子80が横になる時に方向性を有するようにすべてにラビング処理をすることもでき、選択的に一つにのみラビング処理をすることもでき、すべてにラビング処理をしないことも可能である。ラビング処理をする場合、ラビング方向は二つの電極30、40の方向に対して任意の方向にすることができ、二つの基板10、20の配向膜90すべてにラビング処理をする場合には、ラビング方向を互いに反対方向にして二つのラビング方向のうちの一方向は電極と垂直方向にすることが好ましい。
【0019】
ここで、二つの偏光板50、60の透過軸は互いに平行または垂直に配置することができる。
【0020】
また、二つの電極30、40の幅はそれぞれ1〜10μmの範囲、二つの電極30、40間の間隔は2〜20μmの範囲、液晶層70の厚さは1〜15μmの範囲であることが好ましい。
【0021】
図2(A)ないし(C)は、液晶物質の誘電率異方性が正である純粋なネマチック液晶である場合であり、
図3(A)ないし(C)は液晶物質のキラル添加剤が混合された誘電率異方性が正であるネマチック液晶であるか誘電率異方性が正であるキラルネマチック液晶である場合である。
【0022】
図2(A)および
図3(A)に示すように、電気場を印加しない時には、液晶層70の液晶分子80は配向膜90の配向力により二つの基板10、20に垂直に配列された構造を有する。
【0023】
このとき、下部基板10に取付けられている偏光板50を通過した光は偏光方向が変わらないで液晶層70を通過する。ここで、二つの偏光板50、60の透過軸が平行であると、この光は上部基板2に取付けられている偏光板60を通過するので明るい状態が具現される。二つの偏光板50、60の透過軸が直交すると、下部基板10の偏光板50を通過した光は上部基板20の偏光板60により遮断されるので暗い状態になる。
【0024】
図2(B)および
図3(B)は電界を十分に印加した場合を示すものであり、
図2(C)および
図3(C)はそれぞれ
図2(B)および
図3(B)を上部基板側から見下ろした図である。
【0025】
このとき、電気場は二つの電極30、40の間の領域の中央部分では本質的に基板10、20に対して平行で、電極30、40に対して垂直で、電極30、40に接近するほど下方に歪んだ放物線状になる。
【0026】
このとき、ネマチック液晶物質は正の誘電率異方性を有するので、液晶分子80の長軸が電気場の方向に沿って配列されようとするが、二つの基板10、20に隣接した部分では加えられた電気場による力よりは配向膜90の配向力が強いので、液晶分子80は垂直に配向されたもとの状態を保持する。従って、純粋なネマチック液晶物質を用いる場合には、電気場による力と配向力とが均衡をなすように液晶方向子は連続的に変化する。
【0027】
この場合、前述したように、二つの電極30、40の間の電気場は全体的に放物線状に形成されるので、二つの電極30、40間の領域の中心面を基準にして左右の液晶分子80は対称に配列される。
【0028】
このとき、
図2(B)および(C)でみるように、電極30、40に対して垂直方向の視野角は液晶分子80の長軸の向く方向が中心面を基準にして対称であるので、液晶層70を通過する光に対する位相遅延(phase retardation)が対称的に補償される効果が発生して、視野角が広くなる。また、液晶分子80の短軸方向、すなわち電極30、40に対して水平方向には屈折率の変化率が小さいので、視野角が拡張される。
【0029】
一方、二つの電極30、40間の領域の中央部分において、電気場は基板と平行である。従って、この電気場による力は基板に対して垂直に配列されている液晶分子80に対して垂直であるので、液晶分子80が動かない不連続面が二つの電極30、40の中心部に形成される。
【0030】
次に、
図3(B)および(C)で見るように、液晶物質がキラルネマチック液晶またはキラル添加剤が混合されたネマチック液晶である場合には、純粋なネマチック液晶である場合とは異なるところがある。
【0031】
二つの電極30、40間の領域の中心部分において液晶分子80が動かない不連続面が生じるのは
図2(B)および(C)と同様である。しかしながら、それ以外の部分において液晶分子80の長軸は電気場による力と配向力とにより変化するばかりでなく、キラリティー(chirality)によりツイストされて二つの電極30、40間の領域における中心面の両側の領域にある液晶分子80の配列は完全に対称をなさない。
【0032】
つまり、
図2(C)をみると、上部基板からみるとき、液晶分子80と長軸とがいずれも電極30、40に対して垂直に配列されるが、
図3(C)でみると、中心面を基準にして両側の領域の液晶分子80は反時計方向に回転する。もちろん、液晶分子80の回転方向は反対であることもできる。この場合、電極30、40に対して垂直な方向だけではなく平行な方向に対しても視野角が広くなる。
【0033】
前述したような状態で下部基板10に取付けられている偏光板50を通過して偏光された光の偏光は液晶層70を通過しながら液晶方向子のねじりに沿って回転することになる。前記した二つの場合に、誘電率異方性、二つの基板10、20間の間隔や液晶分子80のピッチなどを調節して偏光が90°回転するようにすることができる。この場合、二つの偏光板50、60の透過軸が互いに平行に配置されると、この光は上部基板20に取付けられている偏光板60により遮断されるので暗い状態が具現される。二つの偏光板50、60の透過軸を互いに直交するように配置すると、下部基板10の偏光板50を通過した光は上部基板20の偏光板60を透過するので明るい状態になる。
【0034】
言い換えると、本発明に従うEOC方式の液晶表示装置において、二つの電極30、40間の中心面に対して液晶分子80は対称的に配列される。これによって、
図2(B)および
図3(B)においてA方向に透過する光とB方向に透過する光は類似した液晶分子80の配列からなる経路を透過することになる。従って、通過する光に対する遅延もほぼ同一に形成されるので、広い視野角を有することができる。
【0035】
かかる液晶表示装置において、電極の構造および配置は多様に変化させることができ、
図4および
図5に示すように形成することができる。以下、これについて詳細に説明する。
【0036】
図4および
図5に示すように、ゲート線100が横に形成されており、これと直交するデータ線200が縦に形成されて画素を定義している。共通電極線である第1電極線32がゲート線100と平行に形成されており、それぞれの画素には第1電極線32と平行に向い合って画素電極である第2電極線42が形成されている。ゲート線100とデータ線300の交差点付近にはスイッチング素子である薄膜トランジスタTFTが形成されており、薄膜トランジスタTFTの第1端子はゲート線100と、第2端子はデータ線300と、第3端子は第2電極線42とそれぞれ連結されている。
【0037】
図4でみるように、それぞれの画素には互いに平行に向い合う第1および第2横電極線32、42が横に形成されている。図示した四つの画素のうち、対角線方向に配置された二つの画素には、第1および第2横電極線32、42とそれぞれ連結されて、これらから縦方向にそれぞれ延長されている第1および第2電極33、43が互いに平行に交互に形成されている。また、隣り合う他の二つの画素には、第1および第2横電極線32がそれぞれ連結されて互いにその反対側端部から縦に延長されている第1および第2縦電極線31、41が形成されている。また、第1横電極線32および第1縦電極線31から延長されてこれらと一定の角をなす第1電極30が形成されており、第1電極30の間には第2横電極線42および第2縦電極線41から延長された第2電極30、40が第1電極30と平行に形成されている。つまり、一つの画素の第1および第2電極33、43は隣り合う画素の第1および第2電極30、40と平行せずに一定の角を有するように形成されている。
【0038】
図5に示すように、それぞれの画素には互いに平行に向い合う第1および第2横電極線32、42が横方向に形成されており、第1および第2横電極線32、42の互いに反対側の端部から縦方向にそれぞれ延長されている第1および第2縦電極線31、41が形成されている。第1横電極線32と連結されている第1電極36の第1部分34は縦方向に延長されており、第1部分34と連結されている第1電極36の第2部分35は傾斜するように形成されている。ここで、第1縦電極線31のうちの一部は第1電極36の第1部分34の役割をし、第1縦電極線31から延長された多数の分枝37が第2部分35と平行に形成されている。また、第1電極36の第2部分35の間には第2横電極線42および第2縦電極線41から延長された第2電極46の第1部分44が第1電極36の第2部分35と平行に形成されており、第2電極46の第1部分44から延長された第2電極46の第2部分が第1電極36の第1部分34と平行に形成されている。ここで、第2縦電極線41のうちの一部は第2電極46の第2部分45の役割をする。言い換えると、それぞれの画素の内部には互いに平行に形成されている第1および第2電極が折り曲げられた形状に形成されている。
【0039】
このように一つの基板において電極の方向を画素単位にまたは画素の内部において一つ以上の方向に形成して液晶分子を多様な角度に配列することにより広い視野角を具現することができる。
【0040】
以下、本発明に従うEOC方式の液晶表示装置を製作して実験した結果について説明する。
【0041】
実験例1
実験例1においては液晶層70にキラル添加剤を混合したネマチック液晶と純粋なネマチック液晶を用いた場合、それぞれに対して視野角を測定したものである。
【0042】
ここで、液晶層70の屈折率異方性△nは0.09であり、液晶層70の厚さdは4.5μmであり、配向膜90は全てラビング処理をしていない状態である。また、二つの電極30、40は横方向に形成されており、二つの基板10、20の外部面に取付けられている偏光板50、60の透過軸は互いに対して90°になるように配置されており、一つは透過軸が二つの電極30、40に対して45°で残りの一つは透過軸が135°になるように配置した。ここで、角度は水平方向の右側を0°に設定し、これを基準にしたものである。
【0043】
図6は純粋なネマチック液晶にキラル添加剤を0.1%混合して視野角を測定した結果であり、
図7は添加剤を用いない状態で視野角を測定した結果を示すグラフである。
【0044】
図6でみるように、キラル添加剤を用いた場合にはコントラスト比10を基準にして横方向には80°程度、縦方向には76°程度の視野角が測定された。
【0045】
添加剤を用いない場合には
図7に示されたように、コントラスト比10を基準にして横方向には76°程度、縦方向には76°程度の視野角が測定された。
【0046】
そして、対角線方向にはコントラスト比60を基準にして二つの場合いずれも120°以上の視野角が測定された。
【0047】
実験例2
実験例2においては二つの基板10、20に形成された配向膜90をラビング処理をし、それぞれに対して視野角を測定した。
【0048】
図8は、上部基板20に形成された配向膜90は135°で、下部基板10に形成された配向膜90は315°でラビング処理をして視野角を測定した結果であり、
図9は、上部基板20に形成された配向膜90は45°で、下部基板10に形成された配向膜90は225°でラビング処理をして視野角を測定した結果である。残りの条件は実験例1と同一である。
【0049】
図8および
図9で見るように、このようにラビングを行なうと水平および垂直方向の視野角と対角線方向の視野角との差を縮めることができるので、すべての方向においてさらに均一な視野角が得られる。
【0050】
実験例3
実験例3においては二つの基板10、20の外側面に取付けられている偏光板50、60の配置を異にして視野角を測定したものである。
【0051】
図10は実験例1と同様に、上部基板20に取付けられている偏光板60の透過軸は二つの電極30、40の方向に対して45°、下部基板10に取付けられている偏光板60の透過軸は135°になるように配置して視野角を測定した結果であり、
図11は、上部基板20に取付けられている偏光板60の透過軸は30°、下部基板10に取付けられている偏光板60の透過軸は120°になるように配置して視野角を測定した結果である。残りの条件は実験例1と同一である。
【0052】
実験例1で説明したように、
図10では対角線の四方向で対比比60を基準にして120°以上の視野角を示し、上下左右の方向でコントラスト比10を基準にして80°程度の視野角を示している。
図11と比較すると、視野角の方向は電極の方向と偏光板の透過軸方向の相対角に依存することがわかる。従って、各種の電極方向と偏光板の透過軸の方向とを様々に具現することにより、すべての方向でほぼ一定の視野角が得られる。
【0053】
実験例4
実験例4においては
図12でみるように、二つの基板10、20の外側面にそれぞれ負の一軸性補償フィルム100を取付けて視野角を測定した。かかる補償フィルムは遅延に対する残留位相差を補償するためである。
【0054】
図13は補償フィルム100を用いない状態で視野角を測定した場合であって、80°程度の視野角が測定された。
図14は補償フィルム100の遅延値が40nmであるのを用いて測定した結果であり、
図15は補償フィルム100の遅延値が80nmであるのを用いて視野角を測定した結果であり、
図16は補償フィルム100の遅延値が120nmであるのを用いて視野角を測定した結果である。残りの条件は実験例1と同一である。
【0055】
図14ないし
図16でみるように、補償フィルム100を用いる場合はコントラスト比10を基準にして60°にまで視野角が広くなることがわかる。
【0056】
かかる結果に従って二つの基板10、20の間隔と補償フィルム100の遅延値を最適化することで全方向に60°以上の視野角を得られることがわかる。ここで、補償フィルムの遅延値は30〜500nmの範囲であることが好ましい。
【0057】
本発明の実験例においては負の一軸性補償フィルムを用いたが、正の一軸性補償フィルム、二軸性補償フィルム、ハイブリッド構造を有する補償フィルムまたはツイスト構造を有する補償フィルムを用いることもできる。
【0058】
また、補償フィルム100を二つの基板10、20にそれぞれ取付けているが、択一的に一つの基板にのみ取付けることもできる。
【0059】
実験例5
実験例5においては電気光学的特性を測定した。
【0060】
ここで、液晶層70は純粋なネマチック液晶を用い、配向膜90は全てラビング処理をしていない状態であり、二つの電極30、40の幅はそれぞれ5μmである。
【0061】
図17は液晶セルの間隔、二つの電極の間隔および駆動電圧との関係を図表で示すものである。
【0062】
ここで、Vmaxは最大透過率の駆動電圧であり、Tmaxは最大透過率、tonはオン時の液晶分子の反応時間、toffはオフ時の液晶分子の反応時間、ttot=ton+toff、V10は透過率が最大値の10%である時の駆動電圧、V90は透過率が最大値の90%であるときの駆動電圧である。
【0063】
図17でみるように、二つの基板10、20の間隔を3〜6μm、二つの電極30、40の間隔を8または10μmに設定して透過率が最大である場合に駆動電圧を測定した結果、6〜30Vの範囲に測定された。
【0064】
このように、電極の間隔および液晶セルの間隔を適切に調節すると駆動電圧を低めることができる。
【0065】
本発明の実施例に従うEOC方式の液晶表示装置において電極の構造および配置は前述した以外にも多様に変化させることができ、
図18ないし
図23に示すように、画素単位でもしくは画素内で折り曲げられてのこぎり歯形状をなすようにする場合に非常に良好な表示特性が得られる。これについて詳細に説明する。
【0066】
図18および
図19でみるように、それぞれの画素には共通電極線である第1電極線32と画素電極である第2電極線42とが互いに平行に向い合うように形成されている。
【0067】
図18に示すように、本発明の実施例においては、それぞれの画素に互いに平行に向い合う第1および第2電極線32、42が画素の横列に沿って交互に横と縦方向に形成されており、画素の縦列方向には同一方向に形成されている。そして、第1および第2電極線32、42とそれぞれ連結されており、第1および第2電極線32、42とそれぞれ垂直に延長されている第1および第2電極33、43が互いに平行に交互に形成されている。
【0068】
図19に示す本発明の実施例においては、それぞれの画素に互いに平行に向い合う第1および第2電極線32、42が、
図18に示す本発明の実施例とは異なり、画素の横列と縦列に沿って交互に横と縦方向に形成されている。第1および第2電極線32、42とそれぞれ連結されており、これらと垂直にそれぞれ延長されている第1および第2電極33、43が互いに平行に交互に形成されているのは、
図18に示す本発明の実施例と同一である。
【0069】
図20および
図21には共通電極である第1電極と画素電極である第2電極が画素の対角線方向に形成された本発明の実施例を示している。
【0070】
図20および
図21でみるように、それぞれの画素には共通電極線である第1電極線32が画素の一頂点を中心にして両側に形成されて‘┐’または‘┌’字状をなしており、これと対角線方向に向い合う頂点を中心にして両側に形成されて‘└’字状または‘┘’字状をなす第2電極線42が形成されている。
【0071】
第1電極線32および第2電極線42とそれぞれ連結されており、互いに平行に交互に形成されている第1電極33と第2電極43は、画素の対角線方向に形成されている。
図20に示すように、本発明の実施例においては第1電極33と第2電極43の方向が画素の横列に沿って互いにずれるように形成されており、同一縦列の画素は電極の方向が同一である反面、
図21に示した本発明の実施例においては第1電極33と第2電極43の方向が画素の横列と縦列に沿って互いにずれるように形成されている。
【0072】
図22には
図18ないし
図21の場合とは異なり、画素の形状が傾いた平行四辺形からなる本発明の実施例が示されている。
【0073】
図22に示すように、それぞれの画素には共通電極線である第1電極線32と画素電極である第2電極線42とが互いに平行に向い合うように形成されている。そして、第1電極線32および第2電極線42とそれぞれ連結されており、互いに平行に交互に形成されている第1電極33と第2電極43が、第1電極線32および第2電極線42に対し傾斜方向に形成されている。それぞれの画素は傾いた平行四辺形からなり、画素の傾き方向が縦列に沿って反対に形成されていて、第1電極33と第2電極43が画素の縦列に沿ってのこぎり歯状をなすように形成されている。
【0074】
図23には画素自体の形状がのこぎり歯状からなる本発明の実施例が示されている。
【0075】
図23に示すように、それぞれの画素は中央が折り曲げられてのこぎり歯状に形成されており、のこぎり歯状の各画素には共通電極線である第1電極線32と画素電極である第2電極線42とが互いに平行に向い合うように形成されている。そして、第1電極線32および第2電極線42とそれぞれ連結されており、互いに平行に交互に形成されている第1電極33と第2電極43とが形成されている。ここで、第1電極33と第2電極43の形状は画素の中央から折り曲げられてのこぎり歯状をなしている。
【0076】
図24は
図23に示されている電極構造において電極が折り曲げられている(a)部分に対する拡大図である。
【0077】
図24に示すように、第1電極33と第2電極43に電圧が印加されると放物線形状の電気場が液晶分子80を駆動する。このとき、液晶分子80はその長軸を投射した方向が電極と垂直をなし、傾き方向は
図24の矢印が指す方向が上を向くように配列される。すなわち、第1電極33と第2電極43との間の中心面を基準にして液晶分子の配列方向は対称になる。しかしながら、電極33、43がのこぎり歯状に折り曲げられているので、折り曲がった部分の両側に電極の中心面を基準にして互いに対称である配列方向を有する二つの微小領域に分けられた領域が2組生じることになり、これは液晶分子の配列方向が異なる四つの領域があるのと同様な効果をもたらすことになる。
【0078】
液晶セルの両外側面に取付けられている偏光板は、その透過軸がのこぎり歯状に折り曲げられた第1および第2電極の一部と平行するか垂直をなす方向を除いたすべての方向に取付けられる。ただし、偏光板の透過軸が電極となす角が45°である場合が最も良好な表示性能を現す。
【0079】
のこぎり歯状に形成された第1および第2電極が折り曲げられる角度は0°から180°の間の値を有することができるが、これは偏光板の透過軸方向と関連する。偏光板の透過軸と電極とがなす角度が45°であるとき、最も良好な視野角特性が得られるが、偏光板の透過軸と電極とがなす角度が45°になるときは電極が折られる角度は90°にならなければならない。
【0080】
光の遅延に対する残留位相差を補償するため、本発明の実施例に従う液晶表示装置の外側に位相差補償フィルムを取付けることもできる。
【0081】
図25には補償フィルムを取付けた本発明の実施例に従う液晶表示装置の分解斜視図が示されている。
【0082】
図25に示すように、液晶セル100と偏光板50、60との間に補償フィルム110が取付けられている。
図25に示されている液晶表示装置においては、補償フィルムが液晶セルの両側面と偏光板との間にそれぞれ1枚ずつ取付けられているが、液晶セルの一つの面と偏光板との間にのみ取付けることもでき、液晶セルの各面と偏光板との間に2枚以上の補償フィルムを取付けることもできる。このとき、補償フィルムとしては、一軸性または二軸性補償フィルムを用いることができ、一軸性補償フィルムと二軸性補償フィルムとを組合わせて用いることもできる。
【0083】
図18ないし
図23に示すようなのこぎり歯状の電極配置は、互いに平行な二つの電極により液晶物質が駆動される他のモードにも同様に適用できる。例えば、平面駆動方式(IPS方式(in-plane switching mode))や平行な二つの電極が両側基板に交互に形成されており、これら二つの電極間の電気場により液晶物質が駆動されるEIMD方式(electrical induced multi domain mode)などに適用することができる。以下、これについて詳細に説明する。
【0084】
IPS方式の液晶表示装置においては、前述したEOCモードでと同様に、互いに平行で線形である二つの電極すべてが一方の基板に形成されている。ここでは、液晶物質の誘電率異方性Δεはゼロより大きくても小さくてもいずれもが用いられる。
【0085】
電気場を印加しないときには、液晶分子の長軸は基板に平行に、かつ、電極と平行するか一定の角度をなす方向に配列されており、十分な大きさの電気場を印加した時には本質的に基板に平行な電気場が生成され、これによって液晶層の中央に位置する液晶分子の長軸が電気場に平行に配列される。しかしながら、基板付近の液晶分子は配向力により初期状態を保持するので、基板から中央に至る領域の液晶分子は螺旋状にねじられた構造を有する。
【0086】
EIMD方式の液晶表示装置では、互いに平行で二つの基板のそれぞれに交互に配置されるように多数の第1電極と第2電極とが形成されている。
【0087】
図26(A)および26(B)は本発明の実施例に従うEIMD方式の液晶表示装置の原理を示す概略図である。
【0088】
図26(A)および
図26(B)に示すように、配向膜90がそれぞれ形成されている1対の透明基板10、20が互いに向い合っており、二つの基板10、20の内側面には互いに平行に形成された第1および第2線形電極30、40が交互に形成されている。二つのガラス基板10、20の間には液晶物質が注入されて液晶層70をなしており、液晶層70の液晶分子80は二つの基板10、20に対して垂直に配向されている。それぞれの基板10、20の外側面には偏光板50、60がそれぞれ取付けられている。
【0089】
このとき、液晶層70の液晶物質は誘電率異方性Δεがゼロより大きいことが好ましいが、誘電率異方性Δεがゼロより小さくてもよい。
【0090】
図26Aでみるように、電気場を印加しないときには、液晶層70の液晶分子80は配向膜90の配向力により二つの基板10、20に垂直に配列された構造を有する。
【0091】
図26(B)は電界を十分に印加した場合を示すものである。二つの電極に十分な電圧を印加すると、上下基板10、20に交互に配置された第1および第2電極30、40により二つの基板10、20に垂直な方向に対して傾斜角を有する電気場が形成され、この電気場は二つの基板10、20に垂直な平面または電極30、40を通過する中心面に対して対称をなす。正の誘電率異方性を有するネマチック液晶物質の場合、かかる傾斜方向の電気場により液晶分子80の長軸が電気場の方向に沿って配列される。
【0092】
かかる二つの方式の液晶表示装置においてもEOCモードの場合と同様に、電極をのこぎり歯状に形成して電極が折られた部分を中心に両側で液晶分子の傾き方向が互いに異なる領域により光の遅延が補償されて広い視野角を得ることができる。