特許第5767707号(P5767707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767707
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/30 20060101AFI20150730BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20150730BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G09G3/30 J
   G09G3/20 624B
   G09G3/20 621F
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 670J
   H05B33/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-527890(P2013-527890)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(86)【国際出願番号】JP2012005003
(87)【国際公開番号】WO2013021622
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2013年8月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-173509(P2011-173509)
(32)【優先日】2011年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】柘植 仁志
【審査官】 橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−525539(JP,A)
【文献】 特開2002−169510(JP,A)
【文献】 特開2001−042822(JP,A)
【文献】 特開2001−060076(JP,A)
【文献】 特開2005−189695(JP,A)
【文献】 特開2010−282169(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/103797(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/30
G09G 3/20
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流発光素子と、前記電流発光素子に電流を流す駆動トランジスタとを有する画素回路を複数配列した画像表示装置であって、
前記画素回路は、
前記駆動トランジスタのゲートに一方の端子が接続された第1コンデンサと、
一方の端子が前記第1コンデンサの他方の端子と接続され、他方の端子が前記駆動トランジスタのソースと接続された第2コンデンサと、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの節点に基準電圧を印加する第1スイッチと、
前記駆動トランジスタのゲートに画像信号電圧を供給する第2スイッチと、
前記駆動トランジスタのドレインに初期化電圧を供給する第3スイッチと、
前記駆動トランジスタのドレインに前記電流発光素子を発光させる電流を供給する第4スイッチと、
前記駆動トランジスタのゲートに前記基準電圧を印加する第5スイッチとを設け
前記駆動トランジスタと前記第1コンデンサと前記第2コンデンサと前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第5スイッチとは、前記電流発光素子のそれぞれに対して独立に設け、
前記第3スイッチと前記第4スイッチとは、複数の電流発光素子に対して共通に設けた
画像表示装置。
【請求項2】
電流発光素子と、前記電流発光素子に電流を流す駆動トランジスタとを有する画素回路を複数配列した画像表示装置であって、
前記画素回路は、
前記駆動トランジスタのゲートに一方の端子が接続された第1コンデンサと、
一方の端子が前記第1コンデンサの他方の端子と接続され、他方の端子が前記駆動トランジスタのソースと接続された第2コンデンサと、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの節点に基準電圧を印加する第1スイッチと、
前記駆動トランジスタのゲートに画像信号電圧を供給する第2スイッチと、
前記駆動トランジスタのドレインに初期化電圧を供給する第3スイッチと、
前記駆動トランジスタのドレインに前記電流発光素子を発光させる電流を供給する第4スイッチと、
前記駆動トランジスタのゲートに前記基準電圧を印加する第5スイッチとを設け、
前記駆動トランジスタと前記第1コンデンサと前記第2コンデンサと前記第1スイッチと前記第2スイッチと前記第5スイッチとは、前記電流発光素子のそれぞれに対して独立に設け、
前記第3スイッチは行方向に配列された電流発光素子からなる電流発光素子行のそれぞれに対して共通に設け、
前記第4スイッチは前記電流発光素子行の中の複数の電流発光素子に対して共通に設けた
画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流発光素子を用いたアクティブマトリックス型の画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自ら発光する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという)素子を多数配列した有機EL表示装置は、バックライトが不要で視野角にも制限がないため、次世代の画像表示装置として開発が進められている。
【0003】
有機EL素子は、流す電流量によって輝度を制御する電流発光素子である。有機EL素子を駆動する方式としては、単純マトリックス方式とアクティブマトリックス方式とがある。前者は画素回路が単純であるものの大型かつ高精細のディスプレイの実現が困難である。このため、近年は、画素回路毎に駆動トランジスタを備えたアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が主流となってきている。
【0004】
駆動トランジスタおよびその周辺回路は、一般にポリシリコンやアモルファスシリコン等を用いた薄膜トランジスタで形成される。薄膜トランジスタは移動度が小さく閾値電圧の経時変化が大きいという弱点があるものの、大型化が容易かつ安価であるために大型の有機EL表示装置に適している。また、薄膜トランジスタの弱点である閾値電圧の経時変化を画素回路の工夫により克服する方法についても検討されている。例えば特許文献1には、駆動トランジスタの閾値電圧を補正する機能を有する有機EL表示装置とその駆動方法が開示されている。
【0005】
閾値電圧の補正は、概ね以下のように実行する。駆動トランジスタのゲート・ソース間に閾値電圧を超える電圧を印加して駆動トランジスタに電流を流しながら、駆動トランジスタのゲート・ソース間に接続されたコンデンサを放電させる。するとコンデンサの端子間電圧が駆動トランジスタの閾値電圧に等しくなった時点で駆動トランジスタの電流が停止する。このコンデンサの端子間電圧を画像信号に重畳することにより、駆動トランジスタの閾値電圧に依存することなく画像を表示することができる。
【0006】
ここで、コンデンサの端子間電圧が閾値電圧に比較して十分に高ければ駆動トランジスタに流れる電流も多く、コンデンサの放電も速やかに進むが、コンデンサの端子間電圧が閾値電圧に近づくにつれて駆動トランジスタに流れる電流が少なくなり、コンデンサの放電の速度が遅くなる。そのためコンデンサの端子間電圧が駆動トランジスタの閾値電圧に等しくなるまでに要する時間は非常に長くなる。実用的には、例えば10〜100μsecを要する。
【0007】
しかしながら特許文献1、2に記載した画素回路およびその駆動方法では、画像信号を供給するデータ線を使用して閾値電圧の補正動作も行うため、書込み動作に使える時間が短くなり、画素数の多い大画面の画像表示装置や高精細度の画像表示装置を実現することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−169145号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明は、電流発光素子と、電流発光素子に電流を流す駆動トランジスタとを有する画素回路を複数配列した画像表示装置である。画素回路は、駆動トランジスタのゲートに一方の端子が接続された第1コンデンサと、第1コンデンサの他方の端子と駆動トランジスタのソースとの間に接続された第2コンデンサと、第1コンデンサと第2コンデンサとの節点に基準電圧を印加する第1スイッチと、駆動トランジスタのゲートに画像信号電圧を供給する第2スイッチと、駆動トランジスタのドレインに初期化電圧を供給する第3スイッチと、駆動トランジスタのドレインに電流発光素子を発光させる電流を供給する第4スイッチと、前記駆動トランジスタのゲートに前記基準電圧を印加する第5スイッチとを設けている。
【0010】
この構成により、高速で書込み動作を行うことができ、かつ駆動トランジスタの閾値電圧の補正が可能な画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1における画像表示装置の構成を示す模式図である。
図2】同画像表示装置の画素回路の回路図である。
図3A】同画像表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
図3B】同画像表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4】同画像表示装置の画素回路の動作を示すタイミングチャートである。
図5】同画素回路の初期化期間における動作を説明するための図である。
図6】同画素回路の閾値検出期間における動作を説明するための図である。
図7】同画素回路の書込期間における動作を説明するための図である。
図8】同画素回路の発光期間における動作を説明するための図である。
図9】本発明の実施の形態2における画像表示装置の画素回路の回路図である。
図10】本発明の実施の形態3における画像表示装置の画素回路の回路図である。
図11】本発明の実施の形態4における画像表示装置の画素回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態における画像表示装置について、図面を用いて説明する。ここでは画像表示装置として、駆動トランジスタを用いて電流発光素子の一つである有機EL素子を発光させるアクティブマトリクス型の有機EL表示装置について説明する。ただし、本発明は有機EL表示装置に限定されるものではない。本発明は、電流量によって輝度を制御する電流発光素子と、電流発光素子に電流を流す駆動トランジスタとを有する画素回路を複数配列したアクティブマトリックス型の画像表示装置全般に適用可能である。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における画像表示装置10の構成を示す模式図である。本実施の形態における画像表示装置10は、n行m列のマトリクス状に複数配列された多数の画素回路12(i、j)(ただし、1≦i≦n、1≦j≦mである)と、ソースドライバ回路14と、ゲートドライバ回路16と、電源回路18とを備えている。
【0014】
ソースドライバ回路14は、図1において列方向に配列された画素回路12(1、j)〜12(n、j)に共通に接続されたデータ線20(j)にそれぞれ独立に画像信号電圧Vsg(j)を供給する。また、ゲートドライバ回路16は、図1において行方向に配列された画素回路12(i、1)〜12(i、m)に共通に接続された制御信号線21(i)、22(i)、25(i)、26(i)、27(i)にそれぞれ制御信号CNT21(i)、CNT22(i)、CNT25(i)、CNT26(i)、CNT27(i)を供給する。本実施の形態においては、1つの画素回路12(i、j)に5種類の制御信号を供給しているが、制御信号の数はこれに限定するものではなく、必要に応じた数の制御信号を供給すればよい。
【0015】
電源回路18は、全ての画素回路12(1、1)〜12(n、m)に共通に接続された電源線31に高圧側電圧Vddを供給し、電源線32に低圧側電圧Vssを供給する。これら高圧側電圧Vddおよび低圧側電圧Vssの電源は、後述する有機EL素子を発光させるための電源である。また全ての画素回路12(1、1)〜12(n、m)に共通に接続された電圧線33に基準電圧Vrefを供給し、電圧線34に初期化電圧Vintを供給する。
【0016】
図2は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の回路図である。本実施の形態における画素回路12(i、j)は、電流発光素子である有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、スイッチとして動作するトランジスタQ21、Q22、Q25、Q26、Q27とを備えている。
【0017】
駆動トランジスタQ20は有機EL素子D20に電流を流す。第1コンデンサC21は画像信号に応じた画像信号電圧Vsg(j)を保持する。トランジスタQ21は第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の一端に基準電圧Vrefを印加するためのスイッチである。トランジスタQ22は画像信号電圧Vsg(j)を第1コンデンサC21に書込むためのスイッチである。トランジスタQ25は駆動トランジスタQ20のゲートに基準電圧Vrefを印加するためのスイッチである。第2コンデンサC22は駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを保持する。トランジスタQ26は駆動トランジスタQ20のドレインに初期化電圧Vintを印加するためのスイッチであり、トランジスタQ27は駆動トランジスタQ20のドレインに高圧側電圧Vddを供給するためのスイッチである。
【0018】
なお、駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ21、Q22、Q25、Q26、Q27は全てNチャンネル薄膜トランジスタであり、エンハンスメント型トランジスタであるとして説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本実施の形態における画素回路12(i、j)は、電源線31と電源線32との間にトランジスタQ27と駆動トランジスタQ20と有機EL素子D20とが直列に接続されている。すなわち、トランジスタQ27のドレインは電源線31に接続され、トランジスタQ27のソースは駆動トランジスタQ20のドレインに接続され、駆動トランジスタQ20のソースは有機EL素子D20のアノードに接続され、有機EL素子D20のカソードは電源線32に接続されている。
【0020】
駆動トランジスタQ20のゲートとソースとの間には第1コンデンサC21と第2コンデンサC22とが直列に接続されている。すなわち、駆動トランジスタQ20のゲートには第1コンデンサC21の一方の端子が接続され、第1コンデンサC21の他方の端子と駆動トランジスタQ20のソースとの間に第2コンデンサC22が接続されている。以下では駆動トランジスタQ20のゲートと第1コンデンサC21とが接続されている節点を「節点Tp1」、第1コンデンサC21と第2コンデンサC22とが接続されている節点を「節点Tp2」、第2コンデンサC22と駆動トランジスタQ20のソースとが接続されている節点を「節点Tp3」とそれぞれ呼称する。
【0021】
第1スイッチであるトランジスタQ21のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ21のソース(またはドレイン)は節点Tp2に接続され、トランジスタQ21のゲートは制御信号線21(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ21は節点Tp2に基準電圧Vrefを印加する。
【0022】
第2スイッチであるトランジスタQ22のドレイン(またはソース)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ22のソース(またはドレイン)は画像信号電圧Vsgを供給するデータ線20(j)に接続され、トランジスタQ22のゲートは制御信号線22(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ22は駆動トランジスタQ20のゲートに画像信号電圧Vsgを供給する。
【0023】
第5スイッチであるトランジスタQ25のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ25のソース(またはドレイン)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ25のゲートは制御信号線25(i)に接続されている。
【0024】
第3スイッチであるトランジスタQ26のドレイン(またはソース)は駆動トランジスタQ20のドレインに接続され、トランジスタQ26のソース(またはドレイン)は初期化電圧Vintが供給されている電圧線34に接続され、トランジスタQ26のゲートは制御信号線26(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ26は駆動トランジスタQ20のドレインに初期化電圧Vintを供給する。
【0025】
第4スイッチであるトランジスタQ27のドレインは電源線31に接続され、トランジスタQ27のソースは駆動トランジスタQ20のドレインに接続され、トランジスタQ27のゲートは制御信号線27(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ27は駆動トランジスタQ20のドレインに電流発光素子D20を発光させる電流を供給する。
【0026】
ここで制御信号線21(i)、22(i)、25(i)、26(i)、27(i)には制御信号CNT21(i)、CNT22(i)、CNT25(i)、CNT26(i)、CNT27(i)が供給されている。
【0027】
このように本実施の形態における画素回路12(i、j)は、駆動トランジスタQ20のゲートに一方の端子が接続された第1コンデンサC21と、第1コンデンサC21の他方の端子と駆動トランジスタQ20のソースとの間に接続された第2コンデンサC22と、第1コンデンサC21と第2コンデンサC22との節点Tp2に基準電圧Vrefを印加する第1スイッチであるトランジスタQ21と、駆動トランジスタQ20のゲートに画像信号電圧Vsgを供給する第2スイッチであるトランジスタQ22と、駆動トランジスタQ20のゲートに基準電圧Vrefを印加する第5スイッチであるトランジスタQ25と、駆動トランジスタQ20のドレインに初期化電圧Vintを供給する第3スイッチであるトランジスタQ26と、駆動トランジスタQ20のドレインに電流発光素子D20を発光させる電流を供給する第4スイッチであるトランジスタQ27とを備えている。
【0028】
なお本実施の形態においては、有機EL素子D20に電流が流れ始めるときのアノード・カソード間電圧Vled(以下、単に「電圧Vled」と略記する)を1(V)、有機EL素子D20に電流が流れないときのアノード・カソード間容量を1(pF)程度と仮定する。また駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを1.5(V)程度、第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の静電容量を0.5(pF)と仮定する。駆動電圧については、高圧側電圧Vdd=10(V)、低圧側電圧Vss=0(V)である。また基準電圧Vrefおよび初期化電圧Vintについては、詳細は後述するが、以下の2つの条件を満たすように設定されている。
【0029】
(条件1)Vref−Vint>Vth
(条件2)Vref<Vss+Vled+Vth
本実施の形態においては、基準電圧Vref=1(V)、初期化電圧Vint=−1(V)である。しかしこれらの数値は表示装置の仕様や各素子の特性に応じて変動し、駆動電圧は表示装置の仕様や各素子の特性に応じて上記の条件を満たす範囲で最適に設定することが望ましい。
【0030】
次に、本実施の形態における画素回路12(i、j)の動作について説明する。図3A図3Bは、実施の形態1における画像表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。このように1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4の各期間に分割してそれぞれの画素回路12(i、j)の有機EL素子D20を駆動する。初期化期間T1では第2コンデンサC22を所定の電圧に充電する。閾値検出期間T2では駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを検出する。書込期間T3では、画像信号に応じた画像信号電圧Vsg(j)を第1コンデンサC21に書込む。そして発光期間T4では、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間に第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の端子間電圧の和が印加され、有機EL素子D20に電流を流し有機EL素子D20を発光させる。
【0031】
これらの4つの期間は、図1において行方向に配列されたm個の画素回路12(i、1)〜12(i、m)で構成される画素行毎に共通するタイミングで設定し、かつ異なる画素行では互いに書込期間T3が重ならないように設定している。このように1つの画素行で書込み動作を行う期間に他の画素行で書込み以外の動作を行うことで、駆動時間を有効に活用することができる。
【0032】
図4は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の動作を示すタイミングチャートである。また図4には、節点Tp1〜Tp3の電圧の変化も示している。以下、画素回路12(i、j)の動作をそれぞれの期間における動作に分けて詳細に説明する。
【0033】
(初期化期間T1)
図5は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の初期化期間T1における動作を説明するための図である。なお図5には、図2のトランジスタQ21、Q22、Q25、Q26、Q27をそれぞれスイッチの記号で示した。また電流の流れない経路については点線で示した。
【0034】
時刻t1において、制御信号CNT22(i)、CNT27(i)をローレベルにしてトランジスタQ22、Q27をオフ状態とするとともに、制御信号CNT21(i)、CNT25(i)、CNT26(i)をハイレベルにしてトランジスタQ21、Q25、Q26をオン状態とする。するとトランジスタQ25を介して節点Tp1に基準電圧Vrefが印加され、トランジスタQ21を介して節点Tp2にも基準電圧Vrefが印加される。
【0035】
またトランジスタQ26を介して駆動トランジスタQ20のドレインに初期化電圧Vintが印加される。ここで、初期化電圧Vintは、条件1に示したように、基準電圧Vrefから閾値電圧Vthを減じた電圧よりも十分低く設定されている。すなわち、Vint<Vref−Vthである。そのため駆動トランジスタQ20のソース電圧、すなわち節点Tp3の電圧もほぼ初期化電圧Vintに等しくなる。これにより第2コンデンサC22の端子間には閾値電圧Vthよりも高い電圧(Vref−Vint)に充電される。
【0036】
さらに初期化電圧Vintは、条件1および条件2から求められるように、低圧側電圧Vssと電圧Vledとの和よりも低い電圧に設定されている。すなわち、Vint<Vss+Vledである。これにより、有機EL素子D20に電流は流れず、有機EL素子D20が発光することはない。
【0037】
なお本実施の形態において、初期化期間T1は1μsecに設定している。
【0038】
(閾値検出期間T2)
図6は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の閾値検出期間T2における動作を説明するための図である。
【0039】
時刻t2において制御信号CNT26(i)をローレベルにしてトランジスタQ26をオフ状態とし、制御信号CNT27(i)をハイレベルにしてトランジスタQ27をオン状態とする。すると駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には閾値電圧Vthよりも高い第2コンデンサC22の端子間電圧(Vref−Vint)が印加されているために駆動トランジスタQ20に電流が流れる。しかし有機EL素子D20のアノードの電圧は基準電圧Vrefから閾値電圧Vthを減じた電圧よりもさらに低く、条件2に示したように、Vref−Vth<Vss+Vledであるので、有機EL素子D20には電流は流れない。そして駆動トランジスタQ20に流れる電流により第2コンデンサC22の電荷が放電され、第2コンデンサC22の端子間電圧が低下しはじめる。しかし第2コンデンサC22の端子間電圧は依然として閾値電圧Vthより高いので駆動トランジスタQ20には電流が減少しつつも流れ続ける。そのため第2コンデンサC22の端子間電圧は徐々に低下し続ける。このようにして第2コンデンサC22の端子間電圧は閾値電圧Vthに漸近する。そして第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthに等しくなった時点で駆動トランジスタQ20に電流が流れなくなり、第2コンデンサC22の端子間電圧の低下も止まる。
【0040】
ここで駆動トランジスタQ20はゲート・ソース間電圧で制御される電流源として動作するので、第2コンデンサC22の端子間電圧が低下するにともない駆動トランジスタQ20に流れる電流も減少する。そのため第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthにほぼ等しくなるまでに非常に長い時間を要する。加えて有機EL素子D20の大きな静電容量が第2コンデンサC22の静電容量に加算されることも長い時間を要する要因となっている。実用的にはトランジスタをスイッチング動作させてコンデンサを充放電させる場合と比較して10〜100倍の時間を要する。そのため本実施の形態においては閾値検出期間T2を10μsecに設定している。
【0041】
(書込期間T3)
図7は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の書込期間T3における動作を説明するための図である。
【0042】
時刻t3において制御信号CNT25(i)をローレベルにしてトランジスタQ25をオフ状態とし、制御信号CNT27(i)をローレベルにしてトランジスタQ27をオフ状態とする。その後、制御信号CNT22(i)をハイレベルにしてトランジスタQ22をオン状態とする。すると節点Tp1が画像信号電圧Vsg(j)となり、第1コンデンサC21の端子間は電圧(Vsg−Vref)に充電される。以下では、この電圧(Vsg−Vref)を画像信号電圧Vsg’と記載する。
【0043】
このとき駆動トランジスタQ20には電流が流れないので、第2コンデンサC22の端子間電圧は変化しない。
【0044】
なお本実施の形態において、書込期間T3は1μsecに設定している。
【0045】
(発光期間T4)
図8は、実施の形態における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の発光期間T4における動作を説明するための図である。
【0046】
時刻t4において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とし、制御信号CNT21(i)をローレベルにしてトランジスタQ21をオフ状態とする。すると節点Tp1〜Tp3は一旦フローティング状態となる。そして制御信号CNT27(i)をハイレベルにしてトランジスタQ27をオン状態とする。すると、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には電圧(Vsg’+Vth)が印加されているので、ソース電圧が上昇して、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子D20に流す。
【0047】
このときの電流Iは、I=K・(VGS−Vth)=K・Vsg’(ただしVGSはゲート・ソース間電圧、Kは定数である。)となり、閾値電圧Vthを含まない。
【0048】
このように、有機EL素子D20に流れる電流には閾値電圧Vthの影響が含まれない。従って有機EL素子D20に流れる電流は、駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthのばらつきの影響を受けることがない。また閾値電圧Vthが経時変化等により変動した場合であっても、画像信号に対応した輝度で有機EL素子D20を発光させることができる。
【0049】
なお、書込期間T3以降の任意のタイミングで任意の長さの非発光期間を設定してもよい。非発光期間を設定するには制御信号CNT27(i)をローレベルにしてトランジスタQ27をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20に電流が流れないので有機EL素子D20の発光も停止する。非発光期間中は第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の放電径路も遮断されるため、第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の端子間電圧はともに保持される。そして制御信号CNT27(i)をハイレベルにしてトランジスタQ27をオン状態とすることにより再び発光期間T4に戻すことができる。
【0050】
また閾値検出期間T2において、トランジスタQ25をオン状態とすることが望ましいが、第1コンデンサC21のリーク電流を無視できればトランジスタQ25をオフ状態としてもよい。この場合には制御信号CNT25(i)と制御信号CNT26(i)とを共用することができる。
【0051】
また本実施の形態においては、画素回路12(i、j)のそれぞれに独立にトランジスタQ21、Q22、Q25、Q26、Q27を設けた構成について説明した。しかし本実施の形態における画素回路12(i、j)の回路構成によれば、複数の画素回路12(i、j)で第3スイッチであるトランジスタQ26、および第4スイッチであるトランジスタQ27を共用することができる。以下に、第3スイッチおよび第4スイッチを共用した画素回路について詳細に説明する。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態2における画像表示装置10の構成は、図1に示した実施の形態1とほぼ同様である。実施の形態2が実施の形態1と異なる点は画素回路12(i、j)の構成である。実施の形態2における画素回路は、電流発光素子である有機EL素子D20のそれぞれに対して独立に設けられた個別回路と、複数の電流発光素子に対して共通に設けられた共用回路とを有する。
【0053】
図9は、実施の形態2における画像表示装置10の画素回路の回路図であり、3つの個別回路42(i、j−1)、42(i、j)、42(i、j+1)とそれらの共用回路50について示している。実施の形態2における個別回路42(i、j)は、電流発光素子である有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、第1スイッチであるトランジスタQ21と、第2スイッチであるトランジスタQ22と、第5スイッチであるトランジスタQ25とを備えている。
【0054】
具体的には、駆動トランジスタQ20のゲートとソースとの間には第1コンデンサC21と第2コンデンサC22とが直列に接続されている。すなわち、駆動トランジスタQ20のゲートに第1コンデンサC21の一方の端子が接続され、第1コンデンサC21の他方の端子と駆動トランジスタQ20のソースとの間に第2コンデンサC22が接続されている。
【0055】
トランジスタQ21のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ21のソース(またはドレイン)は節点Tp2に接続され、トランジスタQ21のゲートは制御信号線21(i)に接続されている。
【0056】
トランジスタQ22のドレイン(またはソース)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ22のソース(またはドレイン)はデータ線20(j)に接続され、トランジスタQ22のゲートは制御信号線22(i)に接続されている。
【0057】
トランジスタQ25のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ25のソース(またはドレイン)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ25のゲートは制御信号線25(i)に接続されている。
【0058】
また駆動トランジスタQ20のソースは有機EL素子D20のアノードに接続され、有機EL素子D20のカソードは電源線32に接続されている。
【0059】
実施の形態2における共用回路50は、第3スイッチであるトランジスタQ56と、第4スイッチであるトランジスタQ57とを有する。そしてこの2つのトランジスタQ56、Q57を、3つの個別回路42(i、j−1)、42(i、j)、42(i、j+1)で共用する構成となっている。
【0060】
すなわち、個別回路42(i、j−1)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j+1)の駆動トランジスタQ20のドレインとが接続されている。そしてその接続点である節点Tp40には共用回路50のトランジスタQ56のドレイン(またはソース)が接続され、トランジスタQ56のソース(またはドレイン)は初期化電圧Vintが供給されている電圧線34に接続され、トランジスタQ56のゲートは制御信号線26(i)に接続されている。従って制御信号CNT26をハイレベルにしてトランジスタQ56をオン状態とすることにより、個別回路42(i、j−1)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j+1)の駆動トランジスタQ20のドレインとに同時に初期化電圧Vintを印加することができる。
【0061】
また節点Tp40には共用回路50のトランジスタQ57のソースが接続され、トランジスタQ57のドレインは電源線31に接続され、トランジスタQ57のゲートは制御信号線27(i)に接続されている。従って制御信号CNT27をハイレベルにしてトランジスタQ57をオン状態とすることにより、個別回路42(i、j−1)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j)の駆動トランジスタQ20のドレインと、個別回路42(i、j+1)の駆動トランジスタQ20のドレインとに同時に高圧側電圧Vddを印加することができる。
【0062】
このように本実施の形態における画素回路は、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、第1スイッチであるトランジスタQ21と、第2スイッチであるトランジスタQ22と、第5スイッチであるトランジスタQ25とは、電流発光素子D20のそれぞれに対して個別回路42毎に独立に設け、第3スイッチであるトランジスタQ56と、第4スイッチであるトランジスタQ57とは、複数の電流発光素子D20に対して共通に設けた構成である。
【0063】
本実施の形態2における個別回路42(i、j)および共用回路50の動作は、実施の形態に1において、トランジスタQ26をトランジスタQ56に、トランジスタQ27をトランジスタQ57にそれぞれ置き換えた動作と同様である。すなわち、1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4の各期間に分割してそれぞれの個別回路42(i、j)の有機EL素子D20を駆動する。初期化期間T1では第2コンデンサC22を所定の電圧に充電する。閾値検出期間T2では駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを検出する。書込期間T3では、画像信号に応じた画像信号電圧Vsg(j)を第1コンデンサC21に書込む。そして発光期間T4では、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間に第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の端子間電圧の和が印加され、有機EL素子D20に電流を流し有機EL素子D20を発光させる。
【0064】
これらの4つの期間は、少なくとも図9において共用回路50を共用する個別回路42(i、j−1)、42(i、j)、42(i、j+1)では共通するタイミングに設定されている。
【0065】
このように複数の個別回路42(i、j)で第3スイッチおよび第4スイッチを共用することで、1つの画素回路あたりのトランジスタ数を減らすことができ、1画素あたりの占有面積を狭くできる。そのため高精細度の画像表示装置を実現することができる。あるいは1画素あたりの有機EL素子D20の占有面積比率を高くできるので高輝度の画像表示装置を実現することができる。
【0066】
なお、1つの共用回路50を共用する個別回路42(i、j)の数は、有機EL素子D20に流す最大電流、トランジスタQ57のオン抵抗、各素子のレイアウト等により最適的に設定することが望ましい。
【0067】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3における画像表示装置10の画素回路の回路図であり、3つの個別回路42(i、j−1)、42(i、j)、42(i、j+1)とそれらの共用回路60について示している。個別回路42(i、j)の構成およびその動作は実施の形態2における個別回路42(i、j)の構成およびその動作と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0068】
実施の形態3における共用回路60は、図9に示した共用回路50と同様に、第3スイッチであるトランジスタQ56のドレイン(またはソース)を節点Tp40に接続し、トランジスタQ56のソース(またはドレイン)を電圧線34に接続し、トランジスタQ56のゲートを制御信号線26(i)に接続している。また第4スイッチであるトランジスタQ67のソースを節点Tp40に接続し、トランジスタQ67のドレインを電源線31に接続し、トランジスタQ67のゲートを制御信号線67(i)に接続している。しかし実施の形態3における共用回路60が実施の形態2における共用回路50と異なる点は、第4スイッチとしてPチャンネル薄膜トランジスタを用いている点である。
【0069】
一般にPチャンネル薄膜トランジスタは高い電圧に対してオン抵抗を小さくできる。そのためNチャンネル薄膜トランジスタのかわりにPチャンネル薄膜トランジスタを用いて第4スイッチを構成することで、第4スイッチの消費電力を抑制することができる。
【0070】
(実施の形態4)
実施の形態4における画像表示装置10の画素回路12は、実施の形態2と同様に、電流発光素子のそれぞれに対して独立に設けられた個別回路と、複数の電流発光素子に対して共通に設けた共用回路とを有する。
【0071】
図11は、実施の形態3における画像表示装置10の画素回路の回路図であり、行方向に配列されたm個の個別回路42(i、1)〜42(i、m)とそれらの共用回路70について示している。個別回路42(i、j)の構成およびその動作は実施の形態2における個別回路42(i、j)の構成およびその動作と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0072】
実施の形態4における画素回路は、行方向に配列されたm個の有機EL素子D20からなる有機EL素子行のそれぞれに対して1つの共用回路70が設けられている。そして1つの共用回路70には、ドレイン接続線71と、第3スイッチであるトランジスタQ76を1個と、第4スイッチであるトランジスタQ77を複数個とを有する。
【0073】
ドレイン接続線71には、行方向に配列されたm個の個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの駆動トランジスタQ20のドレインが接続されている。
【0074】
第3スイッチであるトランジスタQ76のドレイン(またはソース)はドレイン接続線71に接続され、トランジスタQ76のソース(またはドレイン)は初期化電圧Vintが供給されている電圧線34に接続され、トランジスタQ76のゲートは制御信号線26(i)に接続されている。そして制御信号CNT26をハイレベルにしてトランジスタQ76をオン状態とすることにより、個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの駆動トランジスタQ20のドレインに同時に初期化電圧Vintを印加する。
【0075】
第4スイッチであるトランジスタQ77それぞれのドレインは電源線31に接続され、トランジスタQ77それぞれのソースはドレイン接続線71に接続され、トランジスタQ77それぞれのゲートは制御信号線27(i)に接続されている。そして制御信号CNT27をハイレベルにしてトランジスタQ77それぞれをオン状態とすることにより、個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの駆動トランジスタQ20のドレインに同時に高圧側電圧Vddを印加する。
【0076】
このように本実施の形態における共用回路70は、第3スイッチであるトランジスタQ76は行方向に配列されたm個の電流発光素子からなる電流発光素子行のそれぞれに対して共通に設け、第4スイッチであるトランジスタQ77は電流発光素子行の中の複数の電流発光素子に対して共通に設けている。
【0077】
初期化期間においては、トランジスタQ76をオン状態として、個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの駆動トランジスタQ20のドレインに同時に初期化電圧Vintを印加する。このときトランジスタQ76に流れる電流は個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの第2コンデンサを充電する電流であり僅かである。そのため1つのトランジスタQ76をm個の個別回路42(i、1)〜42(i、m)で共用することができる。
【0078】
しかし発光期間においては、トランジスタQ77をオン状態として、個別回路42(i、1)〜42(i、m)それぞれの有機EL素子D20に電流を流す。このとき流れる電流の総和は大きな値となる。そのため図11に示したように、ドレイン接続線71に沿って複数のトランジスタQ77を配置している。1つのトランジスタQ77を共用する個別回路42(i、j)の数は、有機EL素子D20に流す最大電流、トランジスタQ77のオン抵抗、各素子のレイアウト等により設定するが、本実施の形態においては3つの個別回路42(i、j)に対して1つのトランジスタQ77を共用する構成としている。
【0079】
なお、実施の形態1〜4において示した電圧値等の各数値、および実施の形態2〜4において示した共用トランジスタを共用する個別回路の数等はあくまでも一例を示したものであり、これらの数値は有機EL素子の特性や画像表示装置の仕様等により適宜最適に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、電流発光素子を用いたアクティブマトリックス型の画像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0081】
10 画像表示装置
12 画素回路
14 ソースドライバ回路
16 ゲートドライバ回路
18 電源回路
31,32 電源線
33,34 電圧線
42 個別回路
50,60,70 共用回路
71 ドレイン接続線
D20 有機EL素子
Q20 駆動トランジスタ
C21 第1コンデンサ
C22 第2コンデンサ
Q21 トランジスタ(第1スイッチ)
Q22 トランジスタ(第2スイッチ)
Q26,Q56,Q76 トランジスタ(第3スイッチ)
Q27,Q57,Q77 トランジスタ(第4スイッチ)
Q25 トランジスタ(第5スイッチ)
Vdd 高圧側電圧
Vss 低圧側電圧
Vref 基準電圧
Vint 初期化電圧
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11