【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して、回路基板上に集積回路を形成する際に用いられる実装機を説明する。回路基板上の集積回路は、はんだ印刷機、実装機、及びリフロー炉を順に搬送されて形成される。はんだ印刷機は、回路基板上の電子部品の搭載位置にクリームはんだを印刷する。実装機は、クリームはんだが印刷された回路基板上の搭載位置に電子部品を搭載する。リフロー炉は、回路基板に熱処理を施すことで電子部品を回路基板上にハンダ付けする。
【0016】
図1に示されるように、実装機1は、テーブル3上に隣接して配置されている複数のモジュール2を備えている。モジュール2の各々は、共通した構成となっており、筐体として機能するフレーム4内に複数の装置を備えている。
図1は、2つのモジュール2が隣接している例を示しており、2つのモジュール2のうちの1つのモジュール2の外装板を透かした状態で示している。モジュール2は、部品供給装置10、パーツカメラを有するパーツ撮像装置20、ノズルストッカ30、基板搬送装置40、部品移載装置50、搭載ヘッド60、及びマークカメラを有するマーク撮像装置70を備える。また、モジュール2の各々は、外装板の表面に後述する制御装置と通信可能に構成されている入出力装置6を備えている。入出力装置6は、オペレータからの入力を受け付け可能であるとともに、モジュール2のステータス情報、及び後述する各種のオペレータへの指示を表示可能に構成されている。
【0017】
(部品供給装置10の構成)
図1に示されるように、部品供給装置10は、回路基板5に搭載する複数種類の電子部品を部品吸着位置に供給する装置であり、複数のカセット式のフィーダ11が並設して構成さている。フィーダ11のフィーダ本体12は、フレーム4に着脱可能に構成されている。
図2に示されるように、フィーダ11は、キャリアテープ14が巻回されたテープリール13、テープリール13から引き出されたキャリアテープ14を部品吸着位置へ案内するテープガイド15、キャリアテープ14を部品吸着位置へピッチ送りするスプロケット16、及びスプロケット16を回転駆動するモータ(図示省略)を備えている。さらに、フィーダ11の先端面には、実装機1の本体に設けられているコネクタ(図示省略)と接続される通信コネクタ17、実装機1の本体に対する取付位置を決める位置決めピン18,19が設けられている。
【0018】
図3に示されるように、キャリアテープ14には、電子部品Pを収容するキャビティ14aが一定のピッチ間隔で形成されている。キャビティ14aの上部開口は、カバーテープ14bによって覆われており、キャリアテープ14とカバーテープ14bによって電子部品Pがテーピングされている。カバーテープ14bは、部品吸着位置の手前でキャリアテープ14から引き剥がされる。キャリアテープ14に形成された送り穴14cには、スプロケット16が係合する。これにより、キャリアテープ14は、所定ピッチずつ送り出され、キャビティ14a内に収容された電子部品Pを部品吸着位置に順次供給する。
図4に示されるように、フィーダ本体12の上部には、部品吸着位置に対応した位置に開口部12aが形成されている。部品吸着位置に供給された電子部品Pは、開口部12aに挿入される吸着ノズルに吸着され、キャビティ14aから取出される。フィーダ本体12の上面には、部品吸着位置の近傍に基準マークM1が印されている。基準マークM1は、後述するマークカメラによって撮像される。実装機1は、マークカメラで撮像した基準マークM1の画像データを利用して、基準マークM1を識別するとともに、その位置情報を取得する。実装機1は、基準マークM1の位置情報を利用して、部品吸着位置の理想位置からの位置ずれを計算し、その位置ずれに基づいて吸着ノズルを移動させ、電子部品Pを吸着する。
【0019】
(パーツ撮像装置20の構成)
図1に示されるように、パーツ撮像装置20は、フレーム4に固定されており、部品供給装置10と基板搬送装置40の間に配置されている。
図5に示されるように、パーツ撮像装置20は、パーツカメラ21、支持台22、連結部材23、上端部材24、側射光源25、及びカバーガラス26を有している。パーツカメラ21は、支持台22を介してフレーム4に固定されている。パーツカメラ21には、例えばCCDカメラが用いられている。支持台22と上端部材24は、連結部材23を介して固定されている。上端部材24は、上面と底面が開口するとともに側部が湾曲した形態を有している。上端部材24の内壁面には多数の側射光源25が設けられており、上端部材24の上部開口がカバーガラス26で覆われている。側射光源25には、例えばLEDが用いられる。
【0020】
電子部品Pは、フィーダ11の部品吸着位置で吸着された後、基板搬送装置40に位置決めされている回路基板5に搭載される前に、パーツ撮像装置20の上方に配置され、パーツカメラ21で撮像される。実装機1は、パーツ撮像装置20で撮像した電子部品Pの画像データを利用して、電子部品Pを識別するとともに、電子部品Pの吸着姿勢を確認する。電子部品Pの識別は、電子部品Pの画像データと予め取得されているパーツデータを比較し、所望の電子部品Pであるか否かを判断することによって行われる。電子部品Pの吸着姿勢の確認は、電子部品Pの画像データを利用して、吸着ノズルの中心軸からの電子部品Pの位置ずれ及び吸着ノズルの中心軸回りの電子部品Pの角度ずれを検出することによって行われる。電子部品Pの吸着姿勢は、電子部品Pが回路基板5に搭載される前に吸着ノズルを自転させることによって修正される。
【0021】
また、パーツ撮像装置20は、必要に応じて、電子部品Pを撮像するときの撮像視野内に存在する構成部品(例えば、搭載ヘッド60)に印されている基準マーク(例えば、コーナードッグ)も同時に撮像してもよい。実装機1は、この基準マークの位置情報を利用して、電子部品Pを吸着している吸着ノズルの中心軸の位置を推定し、吸着ノズルの中心軸からの電子部品Pの位置ずれを検出してもよい。また、パーツ撮像装置20は、電子部品Pを撮像するのに先立って、特定の基準マークを撮像してもよい。実装機1は、この基準マークの位置情報を利用して、電子部品Pを撮像するときの吸着ノズルの中心軸の位置を補正するようにしてもよい。
【0022】
また、パーツ撮像装置20は、撮像対象に照射される照度を測定する照度測定装置(図示省略)を備えている。照度測定装置は、例えば、側射光源25の出力低下、カバーガラス26の汚れによって低下する照度を測定可能に構成されている。
【0023】
(ノズルストッカ30の構成)
図1に示されるように、ノズルストッカ30は、パーツ撮像装置20の近傍に設けられており、複数種類の吸着ノズル(後述する)が収容されている。
図6に示されるように、ノズルストッカ30は、吸着ノズルを収容するための複数のノズル収容穴31を備えている。例えば、ノズルストッカ30には、使用中の吸着ノズルと同種の良品吸着ノズルが収容されており、使用中の吸着ノズルが不良となったときに、ノズルストッカ30に収容されている良品吸着ノズルを不良吸着ノズルと交換される。あるいは、ノズルストッカ30には、複数種類の吸着ノズルが収容されており、回路基板5に搭載される電子部品の種類に応じて所定の吸着ノズルが選択される。
【0024】
図6に示されるように、ノズルストッカ30の上面には、基準マークM2と2次元コードC1が印されている。2次元コードC1には、収容されている吸着ノズルの種類とノズル収容穴31が対応付けられた情報として記憶されている。基準マークM2と2次元コードC1は、後述するマークカメラによって撮像される。実装機1は、マークカメラで撮像した基準マークM2の画像データを利用して、基準マークM2を識別するとともに、その位置情報を取得する。実装機1は、基準マークM2の位置情報を利用して、ノズルストッカ30のノズル収容穴31の理想位置からの位置ずれを計算し、その位置ずれに基づいてノズル収容穴31からの吸着ノズルの取出し及び吸着ノズルへの収容を行う。実装機1は、マークカメラで撮像した2次元コードC1に記録されている情報を利用して、ノズルストッカ30に収容されている複数の吸着ノズルから所望の吸着ノズルを選択する。
【0025】
(基板搬送装置40の構成)
図1に示されるように、基板搬送装置40は、フレーム4に固定されており、回路基板5を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送するとともに、所定の作業位置で回路基板5を位置決めする。基板搬送装置40は、第1搬送装置41と第2搬送装置41を2列並設したダブルコンベアタイプである。第1搬送装置41は、平行に対向配置された一対の搬送ガイドレール41a,41bを有する。第2搬送装置42も同様に、平行に対向配置された一対の搬送ガイドレール42a,42bを有する。
【0026】
図7に示されるように、第1搬送装置41の一対の搬送ガイドレール41a,41bの各々には、その上端部が内側に向けて突出する押さえ板部43a,43bが形成されている。また、搬送ガイドレール41a,41bの各々の内壁面には、ベルトコンベア44a,44bが設けられている。回路基板5は、一対のベルトコンベア44a,44b上を搬送方向に搬送され、所定の作業位置で停止される。また、第1搬送装置41には、クランプ装置(図示省略)が設けられている。クランプ装置は、昇降装置によって昇降可能に構成されたバックプレートと、そのバックプレート上の所定位置で取替え可能に設けられたバックピンを有する。クランプ装置は、バックプレートを上昇させることによってバックピンを介して回路基板5を上昇させる。回路基板5は、バックピンと押さえ板部43a,44bの裏面との間で挟持され、所定の作業位置で位置決めされる。
【0027】
第1搬送装置41の一対の搬送ガイドレール41a,41bの対向距離D1は、搬送される回路基板5の幅に応じて変更可能に構成されている。この例では、図示左側の搬送ガイドレール41aが固定ガイドレールであり、図示右側の搬送ガイドレール41bが可動ガイドレールである。可動ガイドレール41bは、駆動装置(図示省略)に接続されており、固定ガイドレール41aとの間の対向距離D1が変更可能に構成されている。可動ガイドレール41bの上面には、基準マークM3が印されている。基準マークM3は、後述するマークカメラによって撮像される。実装機1は、マークカメラで撮像した基準マークM3の画像データを利用して、基準マークM3を識別するとともに、その位置情報を取得する。実装機1は、基準マークM3の位置情報を利用して、固定ガイドレール41aに対する可動ガイドレール41bの位置を検出する。なお、上記した第1搬送装置41の構成は、第2搬送装置42においても同様である。
【0028】
図7に示されるように、回路基板5の表面の対角位置の各々には、基準マークM4が印されている。この基準マークM4は、後述するマークカメラによって撮像される。実装機1は、マークカメラで撮像した基準マークM4の画像データを利用して、基準マークM4を識別するとともに、その位置情報を取得する。実装機1は、基準マークM4の位置情報を利用して、回路基板5の表面の電子部品Pの搭載位置の理想位置からの位置ずれを計算し、その位置ずれに基づいて吸着ノズルを移動させ、電子部品Pを搭載する。
【0029】
(部品移載装置50、搭載ヘッド60、マーク撮像装置70の構成)
図1に示されるように、部品移載装置50は、フレーム4に固定されており、XYロボットタイプである。部品移載装置50は、Y軸スライド機構及びX軸スライド機構を備えている。Y軸スライド機構は、Y軸サーボモータ51を利用してY軸スライダ52をY軸方向に移動可能に構成されている。
【0030】
図8に、X軸スライド機構、搭載ヘッド60、及びマーク撮像装置70の概略を示す。X軸スライド機構は、Y軸スライダ52に設けられており、X軸サーボモータ(図示省略)を利用してX軸スライダ53をX軸方向に移動可能に構成されている。搭載ヘッド60及びマーク撮像装置70は、X軸スライダ53に固定されており、Y軸スライド機構及びX軸スライド機構を利用して、部品供給装置10、パーツ撮像装置20、ノズルストッカ30、及び基板搬送装置40の上方をXY平面で移動可能である。マーク撮像装置70は、マークカメラ71と光源(図示省略)を有している。マークカメラ71には、例えばCCDカメラが用いられる。光源には、例えばLEDが用いられる。また、マーク撮像装置70は、撮像対象に照射される照度を測定する照度測定装置(図示省略)を備えている。照度測定装置は、例えば、光源の出力低下、光源のカバーの汚れによって低下する照度を測定可能に構成されている。
【0031】
搭載ヘッド60は、X軸スライダ53に着脱可能に構成されている。実装機1では、複数種類の搭載ヘッド60から必要な搭載ヘッド60が選択されて用いられる。
図9A及び
図9Bに、2種類の搭載ヘッド60a,60bを例示する。
【0032】
図9Aに示される搭載ヘッド60aは、リボルダ型であり、複数のノズルホルダ61を有している。ノズルホルダ61の各々には、同一種類又は異なる種類の吸着ノズル62が保持される。複数のノズルホルダ61は、中心軸回りに一定間隔で配置されており、インデックス回転可能に構成されている。さらに、ノズルホルダ61の各々は、自転可能に構成されているとともに、1つのインデックス位置において昇降可能に構成されている。これにより、ノズルホルダ61に保持される吸着ノズル62も自転されるとともに、1つのインデックス位置において昇降可能に構成されている。リボルダ型の搭載ヘッド60aは、例えば、小型の電子部品に対応した吸着ノズル62を保持するために用いられる。吸着ノズル62には、径方向に突出する突出部分62aが設けられており、その突出部分62aの上面に2次元コードC2が印されている(
図10参照)。2次元コードC2には、吸着ノズル62の種類が記録されている。2次元コードC2は、ノズルストッカ30に収容されている複数の吸着ノズル62から所望の吸着ノズル62を選択するときに、マークカメラによって撮像される。実装機1は、2次元コードC2の情報を利用して、吸着ノズル62の固体識別を行う。
【0033】
図9Bに示される搭載ヘッド60bは、シングル型であり、1つのノズルホルダ63を有している。ノズルホルダ63は、自転可能に構成されており、これにより、ノズルホルダ63に保持される吸着ノズル64も自転される。吸着ノズル64にも、径方向に突出する突出部分64aが設けられており、その突出部分64aの上面に2次元コード(図示省略)が印されている。2次元コードには、吸着ノズル64の種類が記録されている。この2次元コードも、ノズルストッカ30に収容されている複数の吸着ノズル64から所望の吸着ノズル64を選択するときに、マークカメラによって撮像される。実装機1は、2次元コードの情報を利用して、吸着ノズル64の固体識別を行う。
【0034】
(画像処理部の構成)
以下、上述した基準マークM1−M4を認識する場合を例にして画像処理部を説明する。ここで、上述した基準マークM1−M4は、印されている構成部品の種類に応じて異なるものとする。なお、2次元コードC1−C2、電子部品Pの吸着姿勢を確認する場合にも、下記と同様の技術を適用することができる。
【0035】
図11に示されるように、実装機1のモジュール2(
図1参照)の各々は、画像処理部100を備えている。なお、画像処理部100は、複数のモジュール2を一括して管理する管理システムのホストコンピュータに設けられていてもよく、あるいは、他の基板作業機、ノズル洗浄機、ノズル検査機、フィーダーメンテナンスユニットを含めた管理システムのホストコンピュータに設けられていてもよい。
【0036】
画像処理部100は、制御装置110、及び画像処理用データを記憶するメモリ120を備える。なお、画像処理部100とパーツ撮像装置20とマーク撮像装置70を含めて認識装置という。制御装置110は、特徴パラメータ作成装置111、ヒット率計算装置112、判断装置113、及び信号出力装置114を有する。特徴パラメータ作成装置111は、マーク撮像装置70で撮像された基準マークM1−M4から特徴パラメータを作成する。ここで作成される特徴パラメータは、基準マークM1−M4の模様に応じて様々であり、既知の画像認識技術を利用して作成することができる。例えば、特徴パラメータは、基準マークM1−M4の画像データから抽出される模様のエッジが含まれる。
【0037】
ここで、メモリ120の第1メモリ121には、基準マークM1−M4の各々についての標準パラメータが記憶されており、基準マークM1−M4と標準パラメータが対応付けされている。ヒット率計算装置112は、撮像された基準マークM1−M4の特徴パラメータと対応する標準パラメータの相関を示すヒット率を計算する。ヒット率とは、特徴パラメータと標準パラメータの類似度を示すものであり、類似度が高いほど高い値を示す。なお、ヒット率計算装置112で計算されたヒット率は、第2メモリ122に記憶される。第2メモリ122には、ヒット率計算装置112によって基準マークM1−M4のヒット率が計算される毎にそのヒット率が記憶されることから、基準マークM1−M4の各々のヒット率の時系列データが記憶されている。
【0038】
ここで、シークラインを用いた画像処理の一例を例示する。シークラインを用いた画像処理は、画像データに含まれる輝度データを利用して撮像対象のエッジ抽出を行うものである。シークラインを用いた画像処理では、シークライン上の輝度データのみを利用してエッジ抽出を行うことから、高速処理に優れている。なお、シークラインを用いた画像処理は、本特許出願人が既に出願して公開されている特開平8−180191号公報、特開2004−279304号公報、及び特開2006−114821号公報に開示される技術を適用することができる。
【0039】
図12に示されるように、基準マークM1−M4が円形模様の場合、基準マークM1−M4が存在すべき位置の近傍に複数のシークラインSLが予め設定されており、それぞれのシークラインSL上の複数の基準点の輝度データから輝度が急激に変化する基準点区間を算出し、基準マークM1−M4のエッジ抽出を行う。この例では、8本のシークラインSLを例示しているが、この例に限られない。複数のシークラインSLは、基準マークM1−M4の種類に応じて予めテンプレートとして用意されており、標準パラメータと言い換えることができる。
【0040】
ヒット率は、基準マークM1−M4の汚れ、破損等による劣化の影響を受ける。例えば、
図13に示されるように、基準マークM1−M4の一部が欠落すると、その欠落箇所(ハッチングで示す)に対応するシークラインSLではエッジの抽出ができない。
図13の例では、1つのシークラインSLにおいてエッジ抽出ができないので、ヒット率が7/8=87.5%と算出される。このように、基準マークM1−M4の汚れ、破損等による劣化が進むと、基準マークM1−M4のエッジ(特徴パラメータともいう)とシークラインSL(標準パラメータともいう)の類似度が低下し、ヒット率が低下する。
【0041】
図14に示されるように、通常、時間経過に沿って基準マークM1−M4の劣化が進み、ヒット率も低下する。
図15及び
図16に示されるように、ヒット率の低下は、時間経過に沿って直線的なものに限らず、カーブを描くように低下する場合もある。なお、ここでの経過時間は、実装機1が稼働しているときの総時間、実装機1が稼働しているとき及び稼働していないときも含めた総時間、又はその他の基準マークM1−M4の劣化に対して因果関係のある総時間である。
【0042】
図14〜
図16に示されるように、ヒット率がエラー閾値(識別限界値)よりも低くなると、判断装置113は、基準マークM1−M4の識別が不能と判断する。制御装置110は、ヒット率が基準マークM1−M4の劣化によってエラー閾値よりも低くなると、実装機1の作業を強制的に停止する。
【0043】
判断装置113は、計算されたヒット率に基づいて、基準マークM1−M4のメンテナンスが必要であるか否かを判断する。
図14〜
図16に示されるように、判断装置113は、ヒット率がメンテナンス閾値を下回ったか否かを判断する。メンテナンス閾値は、基準マークM1−M4の識別が不能となるヒット率のエラー閾値よりも大きい値に設定されている。すなわち、判断装置113は、基準マークM1−M4の識別が可能な範囲であっても、基準マークM1−M4の劣化が進んでいる場合に基準マークM1−M4のメンテナンスが必要であると判断する。制御装置110は、判断装置113が基準マークM1−M4のメンテナンスが必要であると判断すると、信号出力装置114からメンテナンス要求信号を出力させ、入出力装置6(
図1参照)において基準マークM1−M4のメンテナンスが必要であることを報知する。なお、入出力装置6で表示される内容は、どの基準マークM1−M4の修正が必要であるかが特定可能である。また、後述するように、基準マークM1−M4のヒット率低下の原因が基準マークM1−M4の劣化ではなく、他の構成要素の劣化である場合、制御装置110は、その構成要素のメンテナンスが必要であることを入出力装置6において報知させる。
【0044】
次に、
図17を参照し、基準マークM1−M4の認識プログラムのフローを説明する。以下では、基板搬送装置40の可動ガイドレール41bの上面に記された基準マークM3(
図7参照)を例に説明する。
【0045】
ステップS1では、可動ガイドレール41bの上面に記された基準マークM3をマークカメラ71が撮像する。撮像された基準マークM3の画像データは制御装置110に送信され、必要に応じて、ノイズ除去等の前処理が行われる。
【0046】
ステップS2では、特徴パラメータ作成装置111が、読み取られた基準マークM3の画像データのエッジを抽出し、特徴パラメータを作成する。
【0047】
ステップS3では、特徴パラメータとその標準パラメータをマッチングし、ヒット率を計算する。ここで、上記したシークラインを用いた画像処理では、ステップS2とステップS3が同時に行われる。すなわち、制御装置110は、第1メモリ121に記憶されている基準マークM3に対応した複数のシークライン(標準パラメータ)を読み出し、基準マークM3のエッジ(特徴パラメータ)を抽出するとともに、ヒット率も計算する。
【0048】
ステップS4では、判断装置113において、計算されたヒット率が、エラー閾値(
図4〜
図16参照)を上回るか否かが判断される。ヒット率がエラー閾値を上回れば、マークの識別が成功したと判断され、ステップS5に進む。このときのヒット率は、入出力装置6で表示されるとともに、第2メモリ122に記憶される。ヒット率がエラー閾値を上回らなかった場合、基準マークM3の劣化が識別不能にまで進んでいる又は他の原因が存在すると判断される。制御装置110は、実装機1を強制的に停止する。
【0049】
ステップS5では、判断装置113において、識別された基準マークM3のヒット率がメンテナンス閾値(
図14〜
図16参照)を下回るか否かが判断される。ヒット率がメンテナンス閾値を下回れば、基準マークM3の劣化がメンテナンスの必要な範囲にまで進んでいる又は他の原因があると判断され、ステップS6に進む。ヒット率がメンテナンス閾値を下回らなかった場合、ステップS7に進む。
【0050】
ステップS6では、判断装置113において、第2メモリ122に記憶されているヒット率の時系列データが読み出され、ヒット率の時系列データから変化率を計算し、その変化率が異常値を上回るか否かが判断される。ここで、変化率は、ヒット率が所定時間で低下した値として計算される。例えば、
図18に示されるように、現在の時間がt2であり、ヒット率がh2の場合、過去の時間t1のヒット率h1を読み出し、所定時間(t1とt2の間)でヒット率の低下量(h1とh2の差)が異常値を越えたか否かが判断される。ヒット率の変化率が異常値を上回った場合、通常とは異なる現象が生じたと推測される。このため、判断装置113は、ステップS7に進み、その原因を分析する。ヒット率の変化率が異常値を上回らない場合、基準マークM3の認識プログラムが終了し、実装機1の作業が継続される。
【0051】
ステップS7では、判断装置113において、ヒット率低下の原因が分析され、ヒット率低下の原因が特定される。ヒット率低下の原因が特定されると、信号出力装置114がメンテナンス要求信号を出力し、その原因のメンテナンスが必要であることを判別できるように入出力装置6で報知される。
【0052】
ここで、
図19を参照し、ステップS7におけるヒット率の低下原因を分析するためのプログラムの一例を説明する。この例では、光源の照度に原因があるか否かを検討する。
【0053】
ステップS11において、光源の照度が測定される。ステップS12において、光源の照度が照度閾値を下回るか否かが判断される。光源の照度が照度閾値を下回れば、ヒット率が低下した原因が光源の照度の低下であると判断される。制御装置110は、信号出力装置114から光源メンテナンス要求信号を出力させ、入出力装置6(
図1参照)において光源の照度に関してメンテナンスが必要であることを報知する。光源の照度が照度閾値を下回らなければ、基準マークM3に原因があると判断され、ステップS13に進む。
【0054】
ステップS13では、判断装置113において、基準マークM3のメンテナンスが必要であると判断された可動ガイドレール41bと同一グループに属する他の構成部品が存在するか否かが判断される。ここで、複数の構成部品は、基準マークM1−M4の劣化速度に応じて複数のグループに分けられている。例えば、使用頻度が同程度のものは同一のグループに属していてもよい。実装機1では、基板搬送装置40が第1搬送装置41と第2搬送装置41を2列並設したダブルコンベアタイプである。このため、第1搬送装置41と第2搬送装置42は同一グループに属しており、一方の搬送装置の基準マークM3のメンテナンスが必要であるときは、他方の搬送装置の基準マークのメンテナンスも必要である。このように、第1搬送装置41の可動ガイドレール41bの基準マークM3の例では、ステップS14において、同一グループに属する第2搬送装置42の可動ガイドレールの情報を抽出するとともに、それらの双方のメンテナンスが必要であることを入出力装置6で表示する。なお、基準マークの修正が必要であると判断された構成要素と同一グループに属する他の構成部品が存在しない場合、基準マークの修正が必要であると判断された構成要素の情報のみを入出力装置6で表示する。
【0055】
上記したマークの認識プログラムによれば、基準マークM1−M4がエラー閾値に達して実装機1が強制的に停止される前に、劣化した基準マークM1−M4のメンテナンス指示が入出力装置6で報知される。このため、実装機1の非稼働期間のときに、メンテナンス指示が表示された基準マークM1−M4をメンテナンスすることができる。このように、基準マークM1−M4の識別が不能となる前に基準マークM1−M4をメンテナンスしておくことで、実装機1が強制的に停止となる事態が避けられ、生産計画に沿った円滑な生産が可能となる。
【0056】
また、制御装置110は、ヒット率の時系列データに基づいて、ヒット率がメンテナンス閾値及び/又はエラー閾値を下回る予測時期を計算し、その予測時期を入出力装置6で表示してもよい。このような予測時期は、合理的な生産計画の立案に有用である。さらに、制御装置110は、そのような予測時期を実装機1の稼働期間と非稼働期間を記述する生産計画データと比較し、予測時期が稼働期間に含まれるときに、その稼働期間より前の非稼働期間にメンテナンスの実施時期を計画し、入出力装置6で表示してもよい。より合理的な生産計画の立案に有用である。
【0057】
なお、
図15及び
図16のように、ヒット率がカーブを描くように低下する場合、判断装置113は、ヒット率がメンテナンス閾値を下回ったか否かの判断をヒット率の変化率から間接的に判断してもよい。
【0058】
以上、本技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。