特許第5767756号(P5767756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイスの特許一覧

特許5767756オーバモールド成形された時計用ホイール
<>
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000002
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000003
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000004
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000005
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000006
  • 特許5767756-オーバモールド成形された時計用ホイール 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767756
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月19日
(54)【発明の名称】オーバモールド成形された時計用ホイール
(51)【国際特許分類】
   G04B 13/02 20060101AFI20150730BHJP
   G04B 15/14 20060101ALI20150730BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20150730BHJP
【FI】
   G04B13/02 Z
   G04B15/14 B
   F16H55/06
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-545167(P2014-545167)
(86)(22)【出願日】2012年11月23日
(65)【公表番号】特表2015-505962(P2015-505962A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2012073499
(87)【国際公開番号】WO2013087398
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年6月9日
(31)【優先権主張番号】11194064.9
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラール,イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ケリン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ティングリー,グザヴィエ
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第0369704(EP,A2)
【文献】 米国特許第3930362(US,A)
【文献】 スイス国特許発明第546971(CH,A)
【文献】 仏国特許発明第2020572(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B13/00−17/34
F16H55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーバ(2)上に嵌め込まれた金属ワッシャ(3)上にプラスチック射出オーバモールド成形することによって、枢動軸(D)を有する前記アーバ(2)上にオーバモールド成形された、時計用ホイール(1)であって、
前記ワッシャ(3)は、前記アーバ(2)より低い密度を有し、
前記射出されるプラスチック材料は、前記ホイール(1)の歯部(13)を備える周縁オーバモールド領域(11)を形成する、時計用ホイール(1)において、
前記ワッシャ(3)はバネ状の外形を有し、前記周縁歯部(13)の制振機能を果たす弾性アーム(31)を含むことを特徴とする、時計用ホイール(1)。
【請求項2】
前記周縁オーバモールド成形領域(11)は、前記アーバ(2)からは離間しており、前記アーバ(2)と接触しないことを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項3】
前記ホイールは、前記アーバ(2)に同軸に設置された、又は前記アーバ(2)と一体化された少なくとも1つのピニオン(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項4】
前記ピニオン(5)の歯部は、前記ピニオン(5)の全長にわたっていることを特徴とする、請求項3に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項5】
前記ピニオン(5)は、前記ワッシャ(3)に当接して設置されるか、又は前記ワッシャ(3)と一体化されることを特徴とする、請求項3に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項6】
前記ワッシャ(3)は、前記軸(D)に対する慣性を低減するために、孔(12)によって貫通されることを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項7】
前記ワッシャ(3)は、オーバモールド成形操作のために射出成形金型と密閉状態で協働する軸受け及び密閉表面(40)を形成する、少なくとも1つの平坦表面(4)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項8】
前記ワッシャ(3)の直径は、前記ホイール(1)の最大直径の半分より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項9】
前記ワッシャ(3)は、前記オーバモールド成形操作後に前記オーバモールド成形されたプラスチック材料を軸方向に固定するための、少なくとも1つの第1の周縁突出若しくは凹状外形(6)、若しくは前記軸(D)の周りを巡る溝(7)若しくは前記軸Dの周りを巡る肩部(8)を含むこと、及び/又は
前記ワッシャ(3)は、前記オーバモールド成形操作後に前記オーバモールド成形されたプラスチック材料を角度的に固定するための、少なくとも1つの第2の周縁突出若しくは凹状外形(9)を含むこと
を特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項10】
前記ワッシャ(3)の慣性は、前記アーバ(2)の慣性よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項11】
前記射出されたプラスチック材料は、前記ホイール(1)の前記歯部(13)を備える前記周縁オーバモールド成形領域(11)を形成すること、及び
前記周縁領域(11)の慣性は、前記アーバ(2)の慣性よりも低いこと
を特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項12】
前記ホイールは、前記アーバ(2)上及び前記ワッシャ(3)上でのオーバモールド成形中に形成された前記歯部(13)を有するガンギ車であること、
前記ホイールは、前記ワッシャ(3)に当接して設置された又は前記ワッシャ(3)と一体化されたガンギカナ(5)を含むこと
を特徴とする、請求項1に記載のオーバモールド成形された時計用ホイール(1)。
【請求項13】
請求項12に記載の少なくとも1つのオーバモールド成形された時計用ホイール(1)を含む、時計の脱進機機構(10)。
【請求項14】
請求項1に記載の少なくとも1つのオーバモールド成形された時計用ホイール(1)、及び/又は請求項12に記載の少なくとも1つのオーバモールド成形された時計用ホイール(1)を含む時計の脱進機機構(10)を含む、時計ムーブメント(100)。
【請求項15】
請求項1に記載の少なくとも1つのオーバモールド成形された時計用ホイール(1)、及び/又は請求項12に記載の少なくとも1つのオーバモールド成形された時計用ホイール(1)を含む時計の脱進機機構(10)を含む、時計(1000)。
【請求項16】
オーバモールド成形された時計用ホイール(1)を製造する方法であって、
以下のステップ:
−少なくとも1つの平坦な軸受け及び密閉表面(40)を含むフランジを形成する肩部を有するアーバを製造することによって、又は少なくとも1つの平坦な軸受け表面(4)を含む金属ワッシャ(3)をアーバ(2)上に嵌め込むことによって、前記ホイール(1)に組み込まれる前記アーバ(2)を準備するステップ;
−準備した前記アーバを、前記軸受け及び密閉表面(40)と密閉状態で協働するよう配設される相補的軸受け及び密閉表面を含む射出成形金型内に配置するステップ;
−前記アーバ(2)から離間している前記金型内に、前記アーバ(2)用のプラスチックオーバモールド成形材料を射出するステップ
が実施され、ここで前記ワッシャ(3)は、前記アーバ(2)より低い密度を有し、バネ状の外形を有し、制振機能を実施する弾性アーム(31)を含むことを特徴とする、方法。
【請求項17】
前記アーバ(2)の準備中、ピニオン(5)を用いて前記アーバを作製するか、又は前記ピニオン(5)を前記アーバ(2)に追加して前記ワッシャ(3)と当接するよう嵌め込み、
前記金型内でのオーバモールド成形中、前記ピニオン(5)の一部は、オーバモールド成形に使用する前記プラスチック材料によって固定される
ことを特徴とする、請求項16に記載の、オーバモールド成形された時計用ホイール(1)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーバ上に嵌め込まれた金属ワッシャ上にプラスチック射出オーバモールド成形することによって、枢動軸を有するアーバ上にオーバモールド成形された、時計用ホイールに関し、上記ワッシャは上記アーバより低い密度を有し、上記射出されるプラスチック材料は、上記ホイールの歯部を備える周縁オーバモールド領域を形成する。
【0002】
本発明はまた、時計の脱進機機構にも関する。
【0003】
本発明は時計ムーブメントに関する。
【0004】
本発明はまた、時計にも関する。
【0005】
本発明はまた、オーバモールド成形された時計用ホイールの製造方法にも関する。
【0006】
本発明は時計学の分野に関し、より詳細には、金属フレーム上にプラスチック射出オーバモールド成形することによって作製できる、枢動可能に設置される発振構成部品の分野に関する。
【背景技術】
【0007】
オーバモールド時計構成部品の利用は、大規模製造のための生産コスト削減の観点から有利である場合が多い。更に、構成部品の慣性は、同一の幾何学的形状を有する金属構成部品の慣性よりも低く、ムーブメント全体の効率にとって好ましい。オーバモールド成形は一般に、1つ又は複数の肩部を有する金属アーバの上及び周囲のホイール又はホイールセットに使用され、上記肩部は、ホゾ等と協働するために未加工状態のままとなっている。
【0008】
しかしながら、摩擦特性及び金属フレーム(大半の場合、アーバ)への接着性に関して選択されたプラスチック材料には、クリープ/膨張が発生するという欠点がある。これは運用性に関する問題を発生させ、この方法で製造されたホイール又はピニオンの1つ又は複数の歯部の幾何学的形状の損失につながる。
【0009】
SHIOJIRI KOGYOによる特許文献1は、単一ピースのフランジと、アーバの周縁に特にアーバ上に成形されたプラスチック製歯部とを有する、段付きアーバを開示している。WITTNERによる特許文献2は、香箱及びそのホイールと単一ピースとして特にアーバのノッチ付き溝上にプラスチック材料で成形されたメトロノームのガンギ車を開示している。CIELASZYKによる特許文献3は、アーバ上において溝の右側にオーバモールド成形されたプラスチック材料製のプレート及び歯部を有するホイールを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第0369704A2号
【特許文献2】フランス特許出願第2020572A1号
【特許文献3】米国特許出願第3930362A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、オーバモールド成形された時計用ホイールの運用性及び精度を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って本発明は、アーバ上に嵌め込まれた金属ワッシャ上にプラスチック射出オーバモールド成形することによって、枢動軸を有するアーバ上にオーバモールド成形された、時計用ホイールであって、上記ワッシャは上記アーバより低い密度を有し、上記射出されるプラスチック材料は、上記ホイールの歯部を備える周縁オーバモールド領域を形成する、時計用ホイールにおいて、上記ワッシャはバネ状の外形を有し、上記周縁歯部の制振機能を果たす弾性アームを含むことを特徴とする、時計用ホイールに関する。
【0013】
本発明の特徴によると、上記ワッシャは、オーバモールド成形操作のために射出成形金型と密閉状態で協働する軸受け及び密閉表面を形成する、少なくとも1つの平坦表面を含む。
【0014】
本発明の特徴によると、上記時計用ホイールは、上記アーバに同軸に設置された、又は上記アーバと一体化されたピニオンを含む。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車を含む、時計の脱進機機構にも関する。
【0016】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプの時計用ホイールを含む時計ムーブメント、及び/又は少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車を含む時計の脱進機にも関する。
【0017】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形された時計用ホイールを含む時計、及び/又は少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車を含む時計の脱進機機構にも関する。
【0018】
本発明は更に、オーバモールド成形された時計用ホイールを製造する方法であって、以下のステップ:
−少なくとも1つの平坦な軸受け及び密閉表面を含むフランジを形成する肩部を有するアーバを製造することによって、又は少なくとも1つの平坦な軸受け表面を含む金属ワッシャをアーバ上に嵌め込むことによって、上記ホイールに組み込まれる上記アーバを準備するステップ;
−このようにして準備した上記アーバを、上記軸受け及び密閉表面と密閉状態で協働するよう配設される相補的軸受け及び密閉表面を含む射出成形金型内に配置するステップ;
−上記アーバ用のプラスチックオーバモールド成形材料を、上記金型内に射出するステップ
を実施することを特徴とする。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ガンギカナを含むガンギ車の形態である特定の実施形態における、オーバモールド成形された時計用ホイールの概略斜視透視図である。
図2図2は、ワッシャの第1の変形例を有する図1のホイールの、ホイールの枢動軸を通る平面における概略断面図である。
図3図3は、上記ホイールに組み込まれたワッシャの別の変形例の、枢動軸を通る平面における概略断面図である。
図4図4は、本発明によるガンギ車を有する脱進機機構を含むムーブメントを含む、時計のブロック図である。
図5図5は、オーバモールド成形される領域がホイール周縁に制限され、ワッシャを取り囲むものの、ワッシャが設置されるアーバとは全く接触しないようなホイールの変形例の説明図である。
図6図6は、制振バネを形成するアームを有するカットワッシャを含む本発明によるホイールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は時計学の分野に関し、より詳細には、金属フレーム上にプラスチック射出オーバモールド成形することによって作製できる、枢動可能に設置される発振構成部品の分野に関する。
【0022】
より詳細には、本発明は、温度に対する感受性が極めて低く、膨張しても安定性及び精度を維持できるホイールを作製することを提案する。好ましくは本発明は、ホイールの操作領域、即ちクラウンにおける膨張による変形を制限することを試みる。
【0023】
より詳細には、本発明は、枢動軸Dを有するアーバ2上にオーバモールド成形された時計用ホイール1に関する。
【0024】
本発明によると、このようなオーバモールド成形された時計用ホイール1は、好ましくは金属ワッシャ3上にプラスチック射出オーバモールド成形され、上記金属ワッシャ3はアーバ2に嵌め込まれるか、又はアーバ2と一体である。プラスチック射出は周縁領域、従ってホイールのクラウンに対して行われ、これによっていずれの膨張に対する感受性の低さが保証される。
【0025】
具体的には、本発明によると、ホイール1は慣性が低減されたホイールであり、従ってワッシャ3の材料はアーバ2の材料とは異なり、好ましくはアーバ2の材料より低い密度を有する。軽量アルミニウム又は同様の合金で作製されたワッシャ3を使用することにより、鋼鉄製支持フランジを含む鋼鉄製アーバ上にオーバモールド成形されたホイールに比べて、ホイールの慣性は大幅に低減される。好ましくは、ワッシャ3の慣性はアーバ2の慣性より低い。
【0026】
射出されるプラスチック材料は、ホイール1の歯部13を備える周縁オーバモールド成形領域11を形成する。好ましくは、周縁領域11の慣性はアーバ2の慣性より低い。可能であれば、周縁領域11の慣性はワッシャ3の慣性より低い。
【0027】
本発明の好ましい変形例を構成する図5に示すように、この周縁オーバモールド成形領域11は、ホイール1の周縁にあり、アーバ2からは離間していてアーバ2と接触せず、従って歯部において応力を発生させるいずれの張力も存在しない。
【0028】
脱進機機構のホイール形成部品、特にガンギ車のホイールに関しては、慣性が低いこと、特に温度に対する慣性の変動が極めて小さいことが、動作の規則性のために好ましく、これが本発明から得られる重要な利点である。
【0029】
生産コストに関して、達成できる材料の節約は有意なものであり、アーバ2として単なるバーを使用でき、ワッシャ3としてカットワッシャ又は打抜きワッシャを使用でき、精密な機械加工はホゾに対してのみ必要となる。
【0030】
有利な変形例では、ワッシャ3は円形ではなくバネ状の外形を有し、図6に示すように、例えば弾性の、特に湾曲したアーム31を含み、このアーム31は周縁歯部のための制振機能を果たす。
【0031】
特定の実施形態では、ワッシャ3は、オーバモールド成形操作のために射出成形金型と密閉状態で協働するための軸受け及び密閉表面40を形成する、少なくとも1つの平坦表面4を含む。
【0032】
時計用ホイールセットの形態である実施形態では、オーバモールド成形された時計用ホイール1は、上記アーバ2の製造中に、又は接着、蝋接、溶接、変形、楔留め、ネジ留め、圧入若しくはその他の手段で強固に固定することによって、上記アーバ2に同軸に設置された又はアーバ2と一体化された少なくとも1つのピニオン5を含む。
【0033】
このようにすることにより、ピニオン5の歯部はピニオン5の全長にわたっており、これによってピニオンの全露出部分を利用でき、ムーブメントの高さを低減できる。
【0034】
好ましくは、ピニオン5はワッシャ3に当接して設置されるか、又はワッシャ3と一体化される。
【0035】
オーバモールド成形されるホイールを選択する際、低い慣性を得られることが望ましい。従ってワッシャ3は有利には、軸Dに対する慣性を低減するために、孔又は開口12によって貫通される。
【0036】
ワッシャ3の直径は好ましくは、周縁プラスチック部分11上に配置されるホイール1の最大直径の半分より大きい。
【0037】
オーバモールド成形部分11を金属フレーム上、特にワッシャ3上に確実に固定して保持するために、ワッシャは、オーバモールド成形操作後にオーバモールド成形されたプラスチック材料を軸方向に固定するための、少なくとも1つの第1の周縁突出若しくは凹状外形6、又は軸Dの周りを巡る溝7若しくは軸Dの周りを巡る肩部8を含む。また、ワッシャ3は、オーバモールド成形操作後にオーバモールド成形されたプラスチック材料を角度的に固定するための、少なくとも1つの第2の周縁突出又は凹状外形9を含む。これら2つの周縁外形6、9は、図1の例に示すように組み合わせることができる。
【0038】
図示した特定の有利な実施形態では、オーバモールド成形された時計用ホイール1は、アーバ2上及びワッシャ3上でのオーバモールド成形中に形成された歯部を有するガンギ車であり、また時計用ホイール1は、ワッシャ3に当接して設置された又はワッシャ3と一体化されたガンギカナを含む。
【0039】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車1を含む、時計の脱進機機構10にも関する。
【0040】
本発明は、少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形された時計ホイール1及び/又は少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車1を含むこのタイプの時計の脱進機機構10を含む、時計ムーブメント100に関する。
【0041】
本発明はまた、少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形された時計ホイール1及び/又は少なくとも1つのこのタイプのオーバモールド成形されたガンギ車1を含む脱進機機構10を含む、時計1000にも関する。
【0042】
本発明はまた、オーバモールド成形された時計用ホイール1を製造する方法にも関する。本発明によると、以下のステップ:
−少なくとも1つの平坦な軸受け及び密閉表面40を含むフランジを形成する肩部を有するアーバを製造することによって、又は少なくとも1つの平坦な軸受け表面4を含む金属ワッシャ3をアーバ2上に嵌め込むことによって、ホイール1に組み込まれるアーバ2を準備するステップ;
−このようにして準備したアーバを、上記軸受け及び密閉表面40と密閉状態で協働するよう配設される相補的軸受け及び密閉表面を含む射出成形金型内に配置するステップ;
−アーバから離間している金型内において、プラスチックオーバモールド成形材料をアーバ上に射出オーバモールド成形するステップ
を実施する。
【0043】
本方法の変形実装形態では、アーバ2の準備中、ピニオン5を用いてアーバを作製するか、又はピニオン5をアーバ2に追加してワッシャ3と当接するよう嵌め込み、金型内でのオーバモールド成形中、ピニオン5の一部は、オーバモールド成形に使用するプラスチック材料によって固定される。
【0044】
要するに、好ましくは金属製の剛性中間ワッシャを導入することにより、クリープ/膨張の影響を最小化する。オーバモールド成形プラスチック材料よりも有意に高い硬度を有するのであれば、本発明は当然、非金属ワッシャを実装してもよい。特にワッシャ3が制振アーム31を有する場合、材料の慣性の低さ及び弾性の大きさから、シリコン又は石英ワッシャ3の使用は特に有利である。なお、本発明から逸脱することなく、スロット、嚢状部又はその他の手段等のアーム以外の制振手段を使用してよい。
【0045】
平坦な軸受け表面を有するワッシャの使用により、射出成形金型を容易に密閉できる。実際、その全長にわたって歯部が展開されたピニオンを用いてホイールセットを作製する場合、平坦な軸受け表面は存在せず、ピニオンの歯を通して密閉を達成しなければならなくなるが、これは事実上不可能である。
【0046】
本発明によるホイールは、温度に対して極めて安定した挙動、即ち極めて小さい変形、低い慣性及び極めて小さい慣性の変動を呈する。このホイールは精密さを維持し、動作を妨害しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6