【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成20年8月1日(推定) 日本鉄バイオサイエンス学会 学会事務局発行の「第32回日本鉄バイオサイエンス学会学術集会 プログラム・抄録集」に発表
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について図面を用いて説明する。但し、図面に係る態様は、本発明の一実施態様にすぎない。このため、本発明は図面における実施態様に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の瀉血バッグシステムの一実施態様を示す図である。
図1における本発明の瀉血バッグシステムは、採血針1と、第一の接続口21、第二の接続口22及び第三の接続口23を具備する三方活栓2と、抗凝固剤が充填されていない採血バッグ3を備え、前記採血針1は、第一のチューブ41を介して前記三方活栓2の第一の接続口21と接続され、前記採血バッグ3は、第二のチューブ42を介して前記三方活栓2の第二の接続口22と接続され、前記三方活栓2の第三の接続口23に、シリンジ、採血デバイス又は輸液ラインの接続手段と接続可能な被接続手段5を有する。
【0019】
本発明において「瀉血バッグシステム」とは、主として慢性C型肝炎患者に対する瀉血療法に用いるためのバッグシステムをいう。瀉血療法とは、上述の通り、慢性C型肝炎における治療分野においては、患者から採血し、これを廃棄する手技を適正に繰り返すことにより、肝臓に蓄積した鉄分を除去し、肝炎の沈静化を図る治療法をいう。そのメカニズムを考える時、本発明において、ヒトとは、主として慢性C型肝炎患者をいうが、必ずしも慢性C型肝炎患者に限定されるものではない。すなわち、貧血の無い鉄過剰状態が疾病の増悪因子として重要な役割を演じている疾患(現段階では、保険収載されていないが)もその対象となり得る。
【0020】
そして、本発明の瀉血バッグシステムは、主として、ヒトから瀉血することにより主に慢性C型肝炎を治療することを目的としたバッグシステムである。このため、本発明の瀉血バッグシステムは、いわゆる輸血のために利用することはできない。
【0021】
本発明の瀉血バッグシステムは、まず、採血針1を備える。採血針1は、望ましくは、採血針収納機構11を具備する。これにより、患者に穿刺した採血針が外界に露呈することがないので、作業者による針刺し事故が起こりにくくなり、瀉血療法を実施する作業者のC型肝炎感染のリスクを低減することができる。
【0022】
本発明において「採血針」とは、ヒトの皮膚から血管を穿刺し、血管から当該採血針における針管を通じて採血を行うための器具をいう。採血針1の材料は、主として鉄である。肝臓に蓄積した鉄分を除去することを治療目的とする瀉血療法において、そのためのバッグシステムの器具の材料として鉄を用いることは決して好ましいとは言えない。しかし、ヒトの皮膚を穿刺するための針の材料として、適切な製造コスト及び強度を有する材料が鉄しかないのが現状である以上、さすがにこれはやむを得ないところである。
【0023】
一方、「採血針収納機構」とは、採血後の採血針が外界に露呈されないように、当該採血針を保護する部材(以下、採血針保護部材という)に収納し、望ましくは一度採血針保護部材に収納された採血針は、二度と外界に露呈されない機構をいう。当該採血針収納機構は、採血後の採血針が外界に露呈されない作用を有する機構であれば特に限定されるものではない。採血針保護部材は、いわゆるシースと称する部材が主に用いられるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、採血針収納機構11は、採血針1が採血針保護部材内に摺動する態様であっても、採血針保護部材が当該部材内に採血針を収納するように摺動する態様であってもよい。また、採血針収納機構11における摺動は、手動によるものであっても、自動によるものであってもよい。このような採血針1としては、例えば、特開平01−317453号公報、特開平10−085333号公報及び特開平11−319086号公報などに開示されている器具が挙げられる。
図1に示す採血針収納機構11は、特開平10−085333号公報に準ずるものであるため、詳細は省略する。
【0024】
また、採血針1には、採血時には当該採血針を安定して固定する固定部材12をさらに具備することが好ましい。当該部材を備えた採血針1は、いわゆる翼状針(組立体)と称する器具であり、上述の公開公報に記載されている通りである。
【0025】
また、本発明の瀉血バッグシステムは、三方活栓2を備える。当該三方活栓2には、第一の接続口21、第二の接続口22及び第三の接続口23を具備する。
【0026】
本発明において「三方活栓」とは、第一、第二及び第三の、3つの接続口を具備し、そのうち2つ又は3つの接続口が相互に連通する手段を具備した、主として血液バッグシステム、輸液ライン若しくは人工腎臓等における血液ラインの流路を切替えるための器具をいう。このうち、第一の接続口21は、上記採血針1に第一のチューブ41を介して接続され、第二の接続口22は、後述の採血バッグ3に第二のチューブ42を介して接続される。ここで、第一のチューブ41及び第二のチューブ42は、医療用のチューブであればよい。当該第一及び第二のチューブ41,42の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)コポリマー及びポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)コポリマーなどが挙げられるが、本発明はこれらチューブの材料に限定されるものではない。
【0027】
第三の接続口23は、シリンジ、採血デバイス又は輸液ラインの接続手段5’と接続可能な被接続手段5を有する。被接続手段5の具体的な態様に関しては後述する。
【0028】
本発明の瀉血バッグシステムの三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に、シリンジの接続手段5’が接続された使用態様を説明する。
【0029】
本発明において「シリンジ」とは、少なくとも先端に上記被接続手段と対をなす接続手段を有し、かつ後端が開放したバレルと、当該バレル内を液密に摺動するガスケットと、前記ガスケットに接続又は接続し得るプランジャロッドとを具備する器具をいう。当該シリンジは、例えば、本発明の瀉血バッグシステムを用いて瀉血療法を実施する際に、患者の血液をサンプリングするために用いることができる。
【0030】
具体的には、まず、シリンジの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続した後、採血針1を患者に穿刺する。または、採血針1を患者に穿刺した後、シリンジの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続してもよい。但し、採血針1を患者に穿刺することを先に行う場合は、三方活栓2の第三の接続口23は閉鎖している状態にしなければならない。三方活栓2の第三の接続口23から、患者の血液が漏洩しないためである。このことから、シリンジを上記三方活栓2の第三の接続口23に接続することを先に行う方が好ましい。次いで、プランジャロッドを引き、患者の血液をサンプリングする。サンプリングのタイミングは、採血療法の実施前後のいずれであってもよく、また、瀉血療法を実施している最中であってもよい。もちろん、サンプリング中は、少なくとも三方活栓2の第一の接続口21及び第三の接続口23は開放した状態にしなければならない。
【0031】
ところで、シリンジという概念は、患者に穿刺するための注入針をさらに具備する態様も含まれると解釈されることもある。しかしながら、本発明の瀉血バッグシステムを利用したシリンジによるサンプリングは、上述のとおり、シリンジの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続することにより、容易に実施することができる。このため、本発明におけるシリンジの概念としては、少なくとも先端に上記被接続手段5と対をなす接続手段5’を有し、かつ後端が開放したバレルと、当該バレル内を液密に摺動するガスケットと、前記ガスケットに接続又は接続し得るプランジャロッドとを具備する器具であれば十分であり、必ずしも患者に穿刺するための注入針を具備しなくてもよいのである。
【0032】
尚、図示はしないが、上記サンプリングにおいては、シリンジの代わりに採血デバイスを用いてもよい。本発明において、「採血デバイス」とは、採血管及び採血管ホルダの組み合わせをいう。ここで、本願請求項における文言で「接続手段を具備する採血デバイス」としているが、実際的には、接続手段は、採血管ホルダに具備されている。
【0033】
サンプリングについて具体的に説明する。まず、採血管ホルダの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続した後、採血針1を患者に穿刺する。または、採血針1を患者に穿刺した後、採血管ホルダの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続してもよい。但し、採血針1を患者に穿刺することを先に行う場合は、三方活栓2の第三の接続口23は閉鎖している状態にしなければならない。三方活栓2の第三の接続口23から、患者の血液が漏洩しないためである。このことから、採血管ホルダを上記三方活栓2の第三の接続口23に接続することを先に行う方が好ましい。次いで、採血管ホルダに採血管を装着し、患者の血液をサンプリングする。サンプリングのタイミングは、瀉血療法の実施前後のいずれであってもよく、また、瀉血療法を実施している最中であってもよい。もちろん、サンプリング中は、少なくとも三方活栓2の第一の接続口21及び第三の接続口23は開放した状態にしなければならない。
【0034】
一方、本発明の瀉血バッグシステムの三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に、輸液ラインの接続手段5’が接続された使用態様を説明する(図示せず)。
【0035】
本発明において「輸液ライン」とは、少なくとも輸液を充填する輸液バッグ、チューブ及び上記被接続手段と対をなす接続手段を具備する輸液セットをいう。当該輸液ラインは、主に本発明の瀉血バッグシステムを用いて瀉血療法を実施する前後に、患者に輸液をするために用いることができる。
【0036】
具体的には、まず、採血針1を患者に穿刺する。そして、瀉血療法を行う。瀉血療法が終了した後は、輸液ラインの接続手段5’を上記三方活栓2の第三の接続口23における被接続手段5に接続する。但し、この時点では、三方活栓2の第三の接続口23は閉鎖している状態にしなければならない。三方活栓2の第三の接続口23から、患者の血液が漏洩しないためである。そして、輸液を開始する。もちろん、輸液中は、少なくとも三方活栓2の第一の接続口21及び第三の接続口23は開放した状態にしなければならない。
【0037】
瀉血療法後に行われる輸液は、患者の栄養又は水分補給のための薬剤を投与するための輸液である。当該輸液に用いる薬剤としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖輸液及びアミノ酸輸液などが挙げられるが、特に限定されるものではない。但し、瀉血療法の治療目的が、肝臓に蓄積した鉄分を除去することである以上、瀉血療法後に行われる輸液に用いる薬剤として、鉄又は鉄イオンを多く含むものは、あまり好ましくないことは言うまでもない。
【0038】
ところで、上述のシリンジと同様、輸液ラインの概念としては、患者に穿刺するための注入針をさらに具備する態様も含まれると解釈されることもある。しかしながら、本発明の瀉血バッグシステムを利用した輸液は、輸液ラインを上記三方活栓2の第三の接続口23に接続することにより、容易に実施ことができる。このため、本発明における輸液ラインの概念としては、少なくとも輸液を充填する輸液バッグ、チューブ及び上記被接続手段5と対をなす接続手段5’を具備するだけで十分であり、必ずしも患者に穿刺するための注入針を具備しなくてもよいのである。
【0039】
本発明において「被接続手段」とは、シリンジ、採血デバイス(採血管ホルダ)又は輸液ラインに具備されてなる接続手段と接続可能であり、かつ当該接続手段とは対をなす構造である器具をいう。被接続手段5及び接続手段5’の態様としては、例えば、被接続手段5としてオスルアーコネクターを、接続手段としてメスルアーコネクターを選択することができる。もちろん、オスルアーコネクターとメスルアーコネクターは、逆転してもよい。また、他の被接続手段5及び接続手段5’の態様としては、例えば、被接続手段5としてゴム混注器具を、接続手段として上記ゴム混注器具のゴム栓を刺通する針を選択することもできる。
【0040】
また、被接続手段5及び接続手段5’の材料が、樹脂のみからなることが望ましい。これは、瀉血療法の治療目的が、肝臓に蓄積した鉄分を除去することにあるため、このことから上記採血針1における針管以外の部材は、鉄以外の材料を用いることが望ましいのである。このような態様としては、上述の被接続手段5としてオスルアーコネクターを、接続手段としてメスルアーコネクターを選択する態様であればよい。また、被接続手段5としてゴム混注器具を、接続手段として上記ゴム混注器具のゴム栓を刺通する針を選択する態様であったとしても、接続手段としての上記ゴム混注器具のゴム栓を刺通する針は、いわゆるプラスチック針が好ましい。尚、本発明における「樹脂」には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン及びポリカーボネートなどの医療用の高分子だけでなく、シリコン樹脂なども含まれる。
【0041】
さらに、上述の態様の中でも、前記接続手段5’及び被接続手段5は、ルアーテーパー構造を有することが望ましい。つまり、上述の被接続手段5としてオスルアーコネクターを、接続手段5’としてメスルアーコネクターを選択する態様が最も望ましいのである。これは、接続手段5’と被接続手段5との結合をより強固とするためである。接続手段5’と被接続手段5の結合が強固であるが故に、患者の血液が漏洩することによる、作業者のC型肝炎ウイルスへの感染リスクを低減することができる。
【0042】
このように、本発明の瀉血バッグシステムは、三方活栓3の第三の接続口33に被接続手段5を有するので、一度穿刺した上記採血針を患者から引き抜き、さらにはサンプリング又は輸液を行うための新たな穿刺を行うことがない。よって、本発明の瀉血バッグシステムは、患者のQOLを維持することができるのである。
【0043】
そして、本発明の瀉血バッグシステムは、抗凝固剤が充填されていない採血バッグ3を備える。
【0044】
本発明において「採血バッグ」とは、ヒトから採血した血液を収納するための容器をいう。採血バッグ3は、いわゆる輸血に用いる血液バッグと同様の態様のものを使用することができる。つまり、採血バッグ3の材料としては、例えば、ポリエチレン及びポリ塩化ビニル等が挙げられるが、本発明の採血バッグ3の材料は、これらの材料に限定されるものではない。また、採血バッグ3の容量は、瀉血療法における採血量を参考に、当業者が適宜設定できるので、特に限定されるものではない。例えば、好適な採血バッグ3の容量は、20〜1,000mLである。特に、作業者が普段使い慣れている大きさである、いわゆる輸血に用いる血液バッグに準じた200mL及び400mLのものが好適な一態様と言える。ちなみに、実際は、過剰採血を想定しているため、これらの血液バッグの容量は、200mL又は400mLよりも若干大きめの容量に成形されてなる。例えば、400mLの輸血に用いる血液バッグの容量は、最大で485mLのものが存在する。この容量であれば、医療機器メーカーは、本発明の瀉血バッグシステムを製造する上で、従来の輸血に用いる血液バッグの製造ラインを利用することができるため、製造コストを低く抑えることができる。尚、200mLという容量は、日本人の瀉血療法において基本単位とされていることからも、採血バッグの容量は200mL又はその倍である400mLとすることが望ましい。
【0045】
上述したように200mL及び400mLの輸血に用いる血液バッグは、若干大きめの容量に成形されてなるものである。採血療法における規定量の採血量の確認は、主に秤量により行うことができる。但し、より容易に採血量を確認するために、上記採血バッグ3の壁面に採血量を示すメモリ31を具備することが好ましい。当該メモリ31による採血量を正確に確認できるよう、上記採血バッグ3の上端シール部には、吊下穴32をさらに具備する。
【0046】
上述したように、本発明の瀉血バッグシステムの採血バッグに収容される血液は、主に慢性C型肝炎患者の血液である。このため、採血バッグから当該血液が逆流しないようにすることが望ましい。作業者が上記三方活栓の操作を誤らなければ、つまり、採血後は、上記三方活栓の第二の接続口を常に閉鎖した状態にしておけば、採血バッグに収容した血液が逆流することがない。しかしながら、上述したように、本発明の瀉血バッグシステムは、瀉血療法後に、輸液ラインと接続し、輸液を行う。このため、作業者の操作ミスに伴うC型肝炎ウイルスの感染のリスクをさらに低減することが望ましいのである。
【0047】
以下、本発明の瀉血バッグシステムにおける望ましい態様を説明する。これら望ましい態様は、必ずしも実施しなくてよい態様ではあるものの、瀉血療法を実施する作業者がC型肝炎ウイルスに感染するリスクをより低減し、瀉血療法を受ける患者のQOLをより向上することができる観点から、特段の事情がない限り実施すべき態様である。
【0048】
まず、本発明の採血バッグ3には、抗凝固剤が充填されていないことが望ましい。本発明の採血バッグシステムは、そもそも輸血には用いられないからである。むしろ、本発明の採血バッグ3に収容された血液は、主に慢性C型肝炎患者の血液であるので、輸血に利用するべきではない。そして、抗凝固剤が充填されていないことにより、C型肝炎患者の血液を凝固させることができる。よって、本発明の採血バッグ3に収容したC型肝炎患者の血液を誤って他者に輸血し、C型肝炎ウイルスに感染させてしまうという医療事故を防止することもできるのである。
【0049】
また、第二のチューブ42に逆流防止手段6を備えることが望ましい。
【0050】
本発明において「逆流防止手段」とは、採血バッグ3に収容したヒト血液の気泡の逆流を防止するための器具をいう。逆流防止手段6は、上述の輸液を行う際などに、ヒトの血管内に空気が入ることを防止する目的で備える。逆流防止手段6としては、例えば、鉗子(チューブを狭持して、流路を閉鎖する器具をいう)及び逆流防止弁(弁により流路を閉鎖する器具をいう)などが挙げられる。逆流防止手段6は、採血バッグに収容したヒト血液の逆流を防止することが可能であれば、必ずしも限定されるものではないが、逆流防止弁であることが望ましい。逆流防止弁は、輸液を同時に行うという事情がないことから、輸血に用いる血液バッグに用いるものではない。つまり、上記第二のチューブに逆流防止弁を備えることは、当業者が容易に思いつくものではない。
【0051】
さらに、本発明は、上記瀉血バッグシステム及び上述した接続手段を具備するシリンジを含むキット態様としてもよく、また、上記瀉血バッグシステム及び上述した接続手段を具備する輸液ラインを含むキット態様としてもよい。
【0052】
[変形例1]
以下、変形例について説明する。瀉血療法における採血量は、医師が適宜設定できるものである。このため、採血バッグ3は、広範囲の量の採血を可能とする態様であることが好ましい。このような採血バッグ3の態様としては、互いに仕切られた二室以上の部屋を具備する態様が挙げられる。
図2は、採血バッグ3’の変形例を示す図である。この採血バッグ3’は、まず、第一室33及び第二室34を具備する。第一室33は、第二室34と完全に仕切られている。本態様における部屋の数は、2以上であれば特に限定されるものではない。第一室33及び第二室34のそれぞれは、分岐された第二のチューブ421,422により接続される。この採血バッグ3’は、第一室33及び第二室34が一体となっているために、医療現場における採血バッグの取り扱いが容易になる。また、この構造の採血バッグによれば、作業者は、例えば、容量200mLの第一室33に血液が満たされたことを確認することにより、200mLの採血が完了したことを容易に確認することができる。第二室34への採血は、分岐された第二のチューブ421における鉗子61で、第二のチューブ421を狭持することにより開始される。
【0053】
[変形例2]
また、広範囲の量の採血を可能とする別態様を
図3に示す。
図4に示すように、第一の三方活栓2Aの第三の接続口2A3における第一の被接続手段5A(図には符号は付せず)に、新たに第二の採血バッグを具備する追加バッグシステムを接続する態様も挙げられる。本態様においては、第一の採血バッグ3Aを備えるバッグシステムを基本バッグシステムとし、当該基本バッグシステムに追加して接続される追加バッグシステムということにする。
図4は、
図3における破線領域の拡大図を示したものである。この態様においては、三方活栓2Aの第三の接続口2A3における第一の被接続手段5Aが、第二の採血バッグ3Bの接続のために使用される。このため、上述のサンプリング及び/又は輸液を行うためには、新たに接続する第二の採血バッグ3Bに第二の三方活栓2Bを具備する。この第二の三方活栓2Bの第一の接続口2B1は、第一の三方活栓2Aの第三の接続口2A3における被接続手段5A?に接続するための追加接続手段7を有する。また、第二の三方活栓2Bの第二の接続口2B2は、第三のチューブ43を介して、第二の採血バッグ3Bに接続している。そして、第二の三方活栓2Bの第三の接続口2B3は、シリンジ、採血デバイス又は輸液ラインの接続手段5’と接続可能な第二の被接続手段5Bを有する。この態様においては、第一の採血バッグ3Aの採血が不十分である場合は、適宜、第二の採血バッグ3Bを具備する追加採血ラインXを接続することができる。