(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食製品製造装置によって製造された食製品を搬送する食製品搬送手段と、前記食製品を搬送する別個の搬送手段と、前記食製品搬送手段から前記別個の搬送手段へ食製品を搬送する搬送用のロボットを備えた食品搬送システムであって、前記ロボットは、前記食製品を保持する保持空間を形成する保持面を備えた複数の保持部材を開閉自在に備え、前記保持空間は、複数の保持部材における前記保持面に、隣接する保持部材の摺接面が摺接することによって周囲を常に閉じた状態でもって食製品の大きさに対応して縮小、拡大可能であり、かつ各保持部材における前記保持面と各保持部材における前記摺接面とが交差した各エッジ部は、前記保持空間の縮小時に、前記各保持面に付着した付着物を中央部に寄せ集める作用をなし、前記各保持部材の前記保持面を清掃するための清掃手段を、前記ロボットのロボットハンドに、又は前記ロボットの周囲の適宜位置に備えていることを特徴とする食品搬送システム。
請求項1に記載の食品搬送システムにおいて、ロボットハンドに装着して補助作業を行うための複数の補助作業具を、前記ロボットハンドに着脱交換自在に備え、前記ロボットハンドに対して着脱交換するための複数の補助作業具を備えた補助作業具交換部を備えていることを特徴とする食品搬送システム。
食製品製造装置によって製造された食製品を搬送する食製品搬送手段と、前記食製品を搬送する別個の搬送手段と、前記食製品搬送手段から前記別個の搬送手段へ食製品を搬送する搬送用のロボットを備えた食品搬送システムであって、前記ロボットのロボットハンドは、前記食製品を保持する保持面を備えた複数の保持部材を開閉自在に備えると共に、前記保持面を清掃する清掃手段を備え、前記複数の保持部材によって把持される被把持部を備えると共に前記食製品に補助作業を行う補助作業部を備えた複数の補助作業具を、前記ロボットハンドに対して着脱交換するための補助作業具交換部を備えていることを特徴とする食品搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の平面図に概念的、概略的に示すように、食品搬送システム1は、例えば包あん機などのごとき食製品製造装置3及び当該食製品製造装置3によって製造された食製品5をX軸方向(左右方向)へ搬送するためのベルトコンベアなどのごとき食製品搬送手段7を備えている。また、食品搬送システム1は、前記食製品5を収納するカップなどの収納容器9を単独で、又は上記収納容器9を複数収容した収容ケース11或いはトレー(図示省略)などを、前記食製品搬送手段7の搬送方向と並行な方向又は交差する方向(本例においてはY軸方向)へ搬送する収容ケース搬送手段13を備えている。
【0011】
上記収容ケース搬送手段13は、例えばベルトコンベアなどからなるものであって、前記収納容器9を単独で搬送する場合であっても、収納容器9は食製品5を収容するケースを構成するものであるから、収容ケース搬送手段と称することができるものである。なお、本明細書において、「収容ケース」とは必ずしも箱状体の物を称するものではなく、適数の食製品5を載置して搬送可能な構成である場合には、例えば単なる板状の場合であっても「収容ケース」と称するものである。
【0012】
さらに、前記食製品搬送システム1には、前記食製品搬送手段7上から別個の搬送手段へ、本例の場合は、前記収容ケース搬送手段13上の収容ケース11に食製品5を搬送する搬送用ロボット15が備えられている。なお、搬送用ロボット15は産業用ロボットとして周知の構成であるから、搬送用ロボット15の詳細な説明は省略する。前記食製品搬送手段7によって搬送される前記食製品5を検出する食製品検出センサ17が備えられている。この食製品検出センサ17はCCDカメラからなるものであって、前記食製品搬送手段7の搬送速度に対応した時間間隔で撮像を繰り返すものである。すなわち、食製品検出センサ17は、食製品搬送手段7によってほぼ一定速度でもって搬送される各食製品5の搬送速度、位置を検出する作用をなすものである。
【0013】
そして、前記食製品検出センサ17によって検出された食製品5の搬送速度、位置のデータを基にして、制御手段23の制御の下に前記搬送ロボット15のロボットハンド19の動作を制御するものである。すなわち、前記搬送用ロボット15は、前記食製品搬送手段7によって連続的に搬送されて来る食製品5を、食製品搬送手段7の搬送速度に対応して保持して持上げ、前記収容ケース11へ搬送する作用をなすものである。
【0014】
また、食製品搬送システム1には、撮像手段21が備えられている。この撮像手段21は、前記収容ケース搬送手段13の搬送を一時停止したときに、前記搬送用ロボット15に近接した位置の収容ケース11を撮像して、収容ケース11及び収容ケース11内に収容されている複数の収納容器9のX,Y軸方向の位置を検出するためのもので、例えばCCDカメラにより構成してある。そして、撮像手段21は、前記搬送用ロボット15に近接した位置で前記収容ケース搬送手段13の上方位置に備えられている。さらに、前記食製品搬送システム1には、前記食製品製造装置3、食製品搬送手段7、収容ケース搬送手段13及び搬送用ロボット15の動作を制御する前記制御手段23が備えられている。
【0015】
前記構成において、食製品製造装置3によって製造された食製品5が食製品搬送手段7によって搬送用ロボット15に近接した位置へ搬送されると、前記食製品搬送手段7の搬送速度に対応した時間間隔でもって前記食製品検出センサ17による食製品5の撮像が繰り返されて食製品5の搬送速度、位置が検出される。そして、検出された食製品5は、搬送用ロボット15のロボットハンド19により保持されて、所定位置の収容ケース11へ搬送されるものである。なお、前記ロボットハンド19によって食製品5を保持(把持)するときは、食製品5が所定位置へ搬送される毎に食製品搬送手段7の搬送動作を一時停止してもよいものである。
【0016】
前記搬送用ロボット15によって前記収容ケース11に対して食製品5を搬入するときには、所定位置に停止した状態にある収容ケース11を撮像手段21によって撮像し、収容ケース11及び収容ケース11内の複数の収納容器9の、原点位置に対するX,Y軸方向の座標位置を予め検出するものである。そして、上記各収納容器9に対して食製品5を搬入するものである。
【0017】
前記食製品5を保持(把持)するための前記ロボットハンド19は次のように構成してある。すなわち、ロボットハンド19は、搬送用ロボット15におけるロボットアームの先端部に取付けてある。より詳細には、ロボットアーム25(
図3参照)の先端部にはリング状のベースプレート27が一体的に取付けてあり、このベースプレート27にはハンド支持部材29が取付けてある。このハンド支持部材29は、前記ベースプレート27に一体的に取付けた上部ケーシング31と、この上部ケーシング31の下側に、ボルト等のごとき複数の取付具33によって着脱可能かつ一体的に取付けた下部ケーシング35とを備えている。
【0018】
前記上部ケーシング31内の中央部にはリング状の支持部材37が一体的に取付けてあり、この支持部材37の適宜位置には径方向(放射方向)の貫通孔37Hが形成してある。前記支持部材37の下側には回動部材としての回動板39が回動自在に配置してある。この回動板39の中央部には、前記支持部材37に回動自在に嵌入した筒状の回動軸41が一体的に備えられており、この回動軸41の上端部には、前記支持部材37に形成した環状の係止段部37Kに回動自在に係合した係止リング43が一体的に取付けてある。そして、前記回動軸41には、前記貫通孔37Hに連通した連通孔41Hが周方向に長く形成してある。すなわち、前記回動板39は、前記支持部材37に回動自在に支持されているものである。
【0019】
前記回動板(回動部材)39を往復回動するための回動用アクチュエータの1例として、一対のチューブアクチュエータ45A,45B(
図3(A),(B)参照)が備えられている。このチューブアクチュエータ45A,45Bは、エアーなどの圧力流体(作動流体)を供給すると大径となる(径が太く変化する)と共に長さが縮小する作用をなすものである。したがって、チューブアクチュエータ45A,45Bに対する作動流体の供給量を制御することにより、チューブアクチュエータ45A,45Bの伸縮動作を制御することができるものである。すなわち、チューブアクチュエータ45A,45Bは、作動流体の供給量を制御し、かつ各チューブアクチュエータ45A,45Bに対する作動流体の供給、排出を停止した状態に保持することにより、予め制御された伸縮動作状態を維持することができるものである。
【0020】
前記チューブアクチュエータ45A,45Bを取付けるために、前記上部ケーシング31には支持ブラケット47が水平に取付けてある。この支持ブラケット47は、前記支持部材37に形成した前記貫通孔37Hに対応した位置に備えられているものである。そして、前記支持ブラケット47には、前記チューブアクチュエータ45A,45Bの外端部に備えたジョイント部材49A,49Bがボルト等のごとき取付具51を介してそれぞれ回動自在に取付けてある。
【0021】
前記チューブアクチュエータ45A,45Bの内端側は前記上部ケーシング31に形成した開口部53から上部ケーシング31内に挿入してある。そして、前記各チューブアクチュエータ45A,45Bは、前記支持部材37における反対側の外周を互に迂回してあり、各チューブアクチュエータ45A,45Bの内端部に備えたジョイント部材55A,55Bは、前記回動軸41を間にして前記支持ブラケット47の反対側において、前記回動板39に取付具57を介してそれぞれ回動自在に連結してある。
【0022】
そして、前記各チューブアクチュエータ45A,45Bに対して作動流体の供給、排出を行うために、前記ロボットアーム25内に流体供給チューブ59A,59Bが配置してある。この流体供給チューブ59A,59Bは、前記回動軸41の連通孔41H、支持部材37の貫通孔37Hを経て、前記ジョイント部材49A,49Bに接続したジョイント管61A,61Bにそれぞれ接続してある。
【0023】
上記構成により、
図3(B)において、一方のチューブアクチュエータ45Aに作動流体を供給し、他方のチューブアクチュエータ45Bから作動流体を排出すると、一方のチューブアクチュエータ45Aの長さが縮小し、回動板39を時計回り方向に回動することになる。この際、他方のチューブアクチュエータ45Bは引張られて伸長することになる。その後、前述とは逆に、チューブアクチュエータ45Bに作動流体を供給し、チューブアクチュエータ45Aから作動流体を排出すると、回動板39は反時計回り方向に回動され、
図3(B)に示すごとき状態となる。
【0024】
既に理解されるように、前記各チューブアクチュエータ45A,45Bの一方に作動流体を供給し、他方のチューブアクチュエータ45A,45Bの他方から作動流体を排出することを交互に繰り返すことにより、回動板39を時計回り方向、反時計回り方向に交互に回動することができるものである。そして、各チューブアクチュエータ45A,45Bに対する作動流体の供給量を制御することにより、伸長した状態からの各チューブアクチュエータ45A,45Bの収縮量を制御できるものである。
【0025】
すなわち、各チューブアクチュエータ45A,45Bに対する作動流体の供給量を制御することにより、回動板39が時計回り方向に最も回動した状態、反時計回り方向に最も回動した状態及び中間の適宜位置に回動した状態に、回動板39の回動位置を制御することができるものである。換言すれば、各チューブアクチュエータ45A,45Bに対する作動流体の供給量を制御することにより、回動板39の基準位置(例えば、反時計回り方向に最も回動した状態の位置)からの回動板39の回動量(回動位置)を制御することができるものである。
【0026】
前記ロボットハンド19には、回動部材としての前記回動板39の往復回動動作により開閉動作されて、前記食製品5を保持、解放自在な複数の保持部材63A〜63Fが備えられている。
【0027】
より詳細には、
図3(C)に示すように、前記下部ケーシング35の内部空間は、複数の内壁面65A,65B,65C,65D,65E,65Fを備えた、例えば正六角形などの正多角形に形成してある。そして、前記各内壁面65A〜65Fの下端部に内方向へ突出した内方フランジ67A〜67Fがそれぞれ備えられている。この内方フランジ67A〜67Fは互いに一体に連結した環状の内方フランジ67に構成してある。そして、前記内方フランジ67A〜67Fにおいて、一つおきの内方フランジ67A,67C,67Eには、内壁面65A,65C,65Eに平行な長孔又は溝などのごとき直線状のガイド部69がそれぞれ形成してある。
【0028】
前記複数の保持部材63A〜63Fは、前記各内方フランジ67A〜67Fに個別に摺動自在に支持されるものであって、各保持部材63A〜63Fには、開閉作動部71A〜71Fがそれぞれ備えられている。上記各保持部材63A〜63Fの構成について詳細に説明するに、保持部材63A,63C,63Eは同一構成である。保持部材63B,63D,63Fはそれぞれ同一構成であって、前記保持部材63A,63C,63Eとの構成上の差異は、前記ガイド部69との係合部を有しないのみである。したがって、保持部材63Aの構成について詳細に説明し、他の保持部材63B〜63Fにおいて同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして詳細な説明は省略する。
【0029】
図6,7を参照するに、保持部材63Aは、平面視したときの形状が台形状の前記開閉作動部71Aを備えている。この開閉作動部71Aは、前記回動部材39と前記内方フランジ67との間に配置され、前記内方フランジ67に摺動自在に支持されている。そして、この開閉作動部71Aは、前記内壁面65Aに隣接した傾斜摺接面73Aと、前記内壁面65Aに隣接した前記内壁面65Fに対して接近離反自在な外接面73Bと、この外接面73Bと平行な内接面73Cと、上記外接面73B及び内接面73Cに対して、前記傾斜摺接面73Aと反対方向に傾斜した傾斜摺接面73Dとを備えることによって台形状に形成してある。
【0030】
すなわち、外接面73Bと内接面73Cは互に平行であり、傾斜摺接面73Aと傾斜摺接面73Dを、前記外接面73B、内接面73Cの両側に、傾斜方向を逆方向として備えることにより、台形状に形成してある。
【0031】
ここで、
図4(C)を参照するに、前記保持部材63Aの前記開閉作動部71Aにおいて、前記傾斜摺接面73Dには、隣接した開閉作動部71Fの内接面73Cが摺接してある。そして、開閉作動部71Aの内接面73Cには、隣接した別個の開閉作動部71Bにおける傾斜摺接面73Dが摺接してある。すなわち、互いに隣接した各開閉作動部71A〜71Fにおいて、傾斜摺接面73Dに隣接した開閉作動部71F,71A〜71Eの内接面73Cに、傾斜摺接面73Dが順次摺接してある。換言すれば、各開閉作動部71F,71A〜71Eの内接面73Cに、隣接した各開閉作動部71A〜71Eの傾斜摺接面73Dが順次摺接してある。
【0032】
したがって、各開閉作動部71A〜71Fにおける各傾斜摺接面73Aを、それぞれ摺接した内壁面65A〜65Fに沿って往復動すると、各開閉作動部71A〜71Fが開閉作動される。したがって、
図3(C),
図4(C),
図5(C)に示すように、各開閉作動部71A〜71Fにおける各内接面73Cによって囲繞された空間が開閉されて、縮小、拡大されることになるものである。なお、この空間は、後述する保持空間83の一部を形成するものである。
【0033】
再び
図6,
図7を参照するに、前記開閉作動部71Aの基端部側、すなわち前記傾斜摺接面73A側の下面には、前記ガイド部69に摺動自在に係合した直線状の係合部75が備えられている。そして、前記開閉作動部71Aの先端部側、すなわち前記内接面73Cの前記傾斜摺接面73D側の下面には、前記内接面73Cと同一平面の保持面77を備えたフィンガ部79が下方向へ突出して備えられている。換言すれば、前記フィンガ部79は、開閉作動部71Aが開閉作動される開閉作動方向に対して交差する方向、すなわち直交する方向(
図7(B)において上下方向)に突設してある。なお、前記開閉作動部71B,71D,71Fには前記係合部75が備えられていない点のみにおいて、開閉作動部71A,71C,71Eと異なっている。
【0034】
そして、前記フィンガ部79には、前記開閉作動部71Aの傾斜摺接面73Dと同一平面上に形成された摺接面81が備えられている。したがって、前記フィンガ部79の保持面77には、隣接する保持部材63Bの摺接面81が摺接すると共に、前記フィンガ部79の摺接面81が別に隣接する保持部材63Fの保持面77に摺接する。このようにして、前記各開閉作動部71A〜71Fと一体に形成された各フィンガ部79の保持面77は前記食製品5を保持するための保持空間83(
図3(C)参照)を囲繞形成することになるものである。したがって、前述したように、各開閉作動部71A〜71Fを開閉作動することにより、各フィンガ部79における保持面77によって食製品5の外周面を保持(把持)することになる。
【0035】
既に理解されるように、食製品5は、各フィンガ部79の保持面77によって均等的に押圧保持されるものである。したがって、食製品5の周面における一部分が押圧されて凹部を生じるようなことはないものである。
【0036】
前記開閉作動部71Aの開閉作動時に円滑な摺動が行われ得るように、開閉作動部71Aにおける前記傾斜摺接面73Dには、潤滑剤を収容する凹部85が形成してある。そして、前記各開閉作動部71A〜71Fの開閉動作を行うために、各開閉作動部71A〜71Fにおける上面には、前記各内壁面65A〜65Fに摺接した前記各傾斜摺接面73Aに交差する方向のガイド孔又はガイド溝などのガイド部87が形成してある。そして、このガイド部87には、前記回動板39の下面の同一円上に等間隔にかつ回転自在に備えた各ガイドローラ89が移動自在に係合してある(
図4参照)。
【0037】
なお、前記ガイド部87とガイドローラ89をどちらに設けるかは相対的なものであり、各開閉作動部71A〜71Fの上面にガイドローラ89を備え、回動板39の下面にガイド部87を形成した構成とすることも可能である。
【0038】
前記構成において、前記ハンド支持部材29における下部ケーシング35内に、
図3(C)に示すように、各開閉作動部71A〜71Fを内装すると、各開閉作動部71A〜71Fにおける傾斜摺接面73Aは対応した各内壁面65A〜65Fに摺接する。各開閉作動部71A〜71Fの各内接面73Cには、隣接した各開閉作動部71B〜71F,71Aにおける傾斜摺接面73Dが摺接する。そして、複数の開閉作動部71A〜71Fを組合せることにより、各開閉作動部71A〜71Fに備えた各フィンガ部79の保持面77によって囲繞された多角形状の保持空間83が形成される。
【0039】
そして、前記各フィンガ部79の外側面に形成した適数の係止溝91に、例えばOリングなどのごとき弾性部材93を係止することにより、各保持部材63A〜63Fは、前記保持空間83を縮小する方向(閉じる方向)へ付勢されるものである。
【0040】
以上のごとき構成において、
図3(B)における状態の前記チューブアクチュエータ45Aに作動流体を適量供給し、チューブアクチュエータ45Bから作動流体を排出すると、回動板39は、
図3(B)において時計回り方向に回動される。したがって、回動板39に備えたガイドローラ89が
図3(C)において時計回り方向に回動される。よって、各保持部材63A〜63Fは、各内壁面65A〜65Fに沿って摺動移動されることとなり、保持空間83を次第に閉じて縮小することになる。
【0041】
したがって、保持空間83内に位置する食製品5は、各フィンガ部79における保持面77による面接触によって外周面が均等に保持されることになる。そして、前記チューブアクチュエータ45Aに対する作動流体の供給量を、前記食製品5の大きさに対応して制御することにより、
図4(C)に示すように、食製品5の大きさに対応した状態に前記保持空間83を閉じて、食製品5を押し潰すことなく保持することができるものである。
【0042】
また、前記保持空間83内に食製品5が存在しないときには、前記チューブアクチュエータ45Aの長さを最小状態に縮小し、前記チューブアクチュエータ45Bの長さを最大状態に伸張することにより、
図5(B)に示すように、各開閉作動部71A〜71Fにおける各内接面73Cと傾斜摺接面73Dとの交差したエッジ部95を中央部に収束することができる。すなわち、前記保持空間83の面積を殆ど零の状態とすることができる。なお、前記エッジ部95は、前記保持面77(前記内接面73と同一平面上に形成されている)と前記摺接面81(前記傾斜摺接面73Dと同一平面上に形成されている)との交差したエッジ部として形成されているものである。
【0043】
既に理解されるように、前述のごとく、各開閉作動部71A〜71Fの内接面73Cを傾斜摺接面73Dが摺接して保持空間83を縮小するように移動するとき、各保持部材63A〜63Fにおける前記エッジ部95は、各内接面73C及び保持面77に付着している付着物を拭き落とす(払い落とす)作用をする。したがって、各フィンガ部79の保持面77に付着した例えば手粉や食製品5の粘着物質等の付着物は次第に中央部へ掻き集められる(寄せ集められる)ことになる。
【0044】
上述のように、前記各エッジ部95によって各内接面73C及び保持面77から拭き落とされて中央部へ掻き集めされた前記付着物を吹き落とすために、前記回動板39の下面中央部には、エアー噴出口97(
図3(A)参照)を備えたノズル部材99が備えられている。そして、前記エアー噴出口97には、前記ロボットアーム25内に配設したエアー配管101が接続してある。したがって、内接面73C及び保持面77の付着物を中央部に集めた状態にあるときに、前記エアー噴出口97からエアーを噴出することにより、付着物を除去することができるものである。
【0045】
上記構成より理解されるように、互に隣接した各フィンガ部79の保持面77は、隣接した各フィンガ部79のエッジ部95によって常に清掃されるものである。
【0046】
以上のごとき構成において、食製品製造装置3によって製造された食製品5が食製品搬送手段7によって次々に搬送され、前述したように、食製品検出センサ17によって食製品5の搬送速度、位置が検出されると、搬送ロボット13におけるロボットハンド19によって食製品5は次々と収容ケース11内へ収容されることになる。
【0047】
上述のように、食製品搬送手段7上から前記収容ケース11へ食製品5を搬入して戻るときに、前述したように、各フィンガ部79の保持面77から付着物を除去することができるものである。前記付着物の除去は、収容ケース11に対する食製品5の搬入を行う毎に、又は適数回の搬入を行う毎に行ってもよいものである。
【0048】
前述のように、各フィンガ部79の保持面77から付着物の除去を行うことができることにより、保持面77に対する食製品5の粘着等を防止することができる。したがって、各フィンガ部79が食製品5の保持を開放したとき、食製品5を粘着によって動かすことなく所定位置に正確に載置することができるものである。
【0049】
前述のごとく、収容ケース11内へ複数の食製品5を収容した後に、各食製品5の上面に、例えば凹凸模様を押圧成形することや、各食製品5の上面に、例えばゴマなどの添え物を載置する補助作業を行うことがある。そこで、前記搬送用ロボット15におけるロボットハンド19の移動範囲内には、当該ロボットハンド19に対して着脱交換するための複数の補助作業具103A,103B,103Cを備えた補助作業具交換部105が備えられている。
【0050】
より詳細には、前記補助作業具交換部105には、
図8に示すように、前記各補助作業具103A,103B,103Cを着脱交換可能に支持した支持ブラケット107が支柱109を介して水平に備えられている。この支持ブラケット107には水平方向に開口した開口部107A,107B,107Cが適宜間隔に備えられている。そして、上記各開口部107A,107B,107Cの周囲の適宜位置には位置決めピン111が上方向へ突出して備えられている。
【0051】
前記各補助作業具103A,103B,103Cはパイプ状の補助作業具本体113を備えており、この補助作業具本体113の中間高さ位置には、前記開口部107A〜107Cに対応して前記支持ブラケット107上へ載置自在なフランジ115を備えている。そして、このフランジ115には、前記位置決めピン111と係脱自在な係合孔115Hが備えられている。
【0052】
前記各補助作業具103A,103B,103Cは、前記ロボットハンド19に備えた前記複数の保持部材63A〜63Fによって把持される被把持部117を前記補助作業具本体113の上端部に備えている。この被把持部117は例えばゴム体などのごとき弾性部材から構成してあって、外周面にはOリングなどのごときシール部材119が備えられている。そして、前記被把持部117の上面には、前記ロボットハンド19に備えた前記エアー噴出口97と接続自在なエアー接続部121が突出して備えられている。
【0053】
したがって、ロボットハンド19によって各補助作業具103A,103B,103Cの前記被把持部117を把持(保持)したときには、ロボットハンド19に備えたエアー噴出口97と前記被把持部117に備えたエアー接続部121が接続される。したがって、各補助作業具103A,103B,103Cに対してエアーを供給することができるものである。この際、シール部材119によってエアー漏れを防止している。
【0054】
なお、複数の保持部材63A〜63Fによって前記被把持部117を把持したときの安定化、及び補助作業具103A,103B,103Cの落下を防止するために、前記各保持部材63A〜63Fの内接面73C,保持面77が前記シール部材119に対応した位置に、シール部材119を係合する係合溝を備えることが望ましいものである。
【0055】
前記補助作業具103Aは、例えばゴマなどの添え物を吸引保持して前記収容ケース11内の各食製品5上にゴマ等を載置する作用をなすもので、前記補助作業具本体113の下端部に、ゴマなどを吸引保持自在な補助作業部123Aを備えている。
【0056】
そして、前記補助作業具本体113には、エアー噴出口97から供給されるエアーの作用によって前記補助作業部123Aに吸引作用を行わせるためのエジェクタポンプ機構125が備えられている。したがって、補助作業具103Aに対するエアーの供給を行うことにより補助作業部123Aに負圧が生じ、例えばゴマ等を吸引することができる。そして、エアーの供給を停止することにより前記負圧が消失し、例えばゴマ等の吸引を解除することができるものである。
【0057】
よって、搬送用ロボット15の周囲に配置したゴマ等の供給部から補助作業具103Aによってゴマ等を吸引保持して、収容ケース11内の各食製品5上に載置することができるものである。
【0058】
前記補助作業具103Bは、例えばピーナッツなどの固形物を吸引自在なものであって、吸引保持する対象物が補助作業具103Aと異なるので、補助作業部123Bの構成が異なるのみで、他の構成は補助作業具103Aと同様の構成である。
【0059】
前記補助作業具103Cは、食製品5の上面に、例えば凹凸模様を押圧形成するためのものであるから、補助作業部123Cの下面に適宜の凹凸部127を備えた構成である。そして、補助作業部123Cの下面には、食製品5の付着を防止するための微小なエアー噴出口が備えられている。なお、前記補助作業部123Cは、多孔性物質、例えば燒結合金から構成することが望ましいものである。
【0060】
前記構成により、搬送用ロボット15におけるロボットハンド19に各補助作業具103A,103B,103Cを着脱交換して、収容ケース11内の各食製品5の複数毎に補助作業を繰り返して、または全食製品5に対して一括して、例えばゴマ等を載置するなどの適宜の補助作業を行うことができるものである。
【0061】
以上のごとき説明より理解されるように、搬送用ロボット15のロボットハンド19は食製品5の周囲を、フィンガ部79の保持面77により囲繞して外周面を均等に保持するものである。
【0062】
また、前記ロボットハンド19には、フィンガ部79における保持面77に付着した付着物を除去する付着物除去手段(エッジ部95が保持面77を拭き払う構成、エアー噴出口97からエアーを噴出する構成を含む手段)、換言すればフィンガ部79の保持面77を清掃する清掃手段を備えているから、上記保持面77を常に良好な状態に維持することができるものである。
【0063】
なお、前記清掃手段(付着物除去手段)の構成としては、前述したごとき構成に限ることなく、次のごとき構成とすることも可能である。すなわち、例えば前記補助作業具交換部105に近接した位置に、前記ロボットハンド19の前記保持空間83内へ相対的に挿入自在な回転ブラシを備え、この回転ブラシによって少なくともフィンガ部79の保持面77に付着した付着物を除去(清掃)する構成とすることも可能である。
【0064】
また、前記構成においては、ロボットハンド19に対して各種の補助作業具103A,103B,103Cを着脱交換して収容ケース11内の各食製品5に対して各種の補助作業を行うことができるものであるから、各種の補助作業を行う補助作業ステーションを少なくすることができ、全体的構成の省スペース化、簡素化を図ることができるものである。
【0065】
なお、本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態で行うことも可能である。例えば回動板39を回動する構成として、チューブアクチュエータ45A,45Bに代えて、小型のエアーシリンダを使用することも可能である。また、小型のサーボモータ等の回転用アクチュエータを用いて回動板39を回動する構成とすることも可能である。
【0066】
また、各フィンガ部79の下端部に、保持面77から保持空間83側へ突出した平板状の突出部を備えて、保持空間83内に保持された食製品5の下部周面を下側から支持する構成とすることも可能である。そして、食製品5の形態,性状によっては、食製品5の中間高さ位置を、前記突出部でもって僅かに食い込む態様に周囲から挟み込んで保持(把持)することも可能である。
【0067】
さらに、開閉作動部71の構成としては、同一円上に等間隔に配置し往復回動する軸を中心として各開閉作動部71が往復動する構成とする。そして、各開閉作動部71の先端側に保持面77を備えたフィンガ部79を下方向へ突出して備え、各フィンガ部79の先端側を互いに接触し、上記保持面77によって囲繞された保持空間83を縮小、拡大するように開閉する構成とすることも可能である。
【0068】
なお、前記説明においては、保持部材63A〜63Fは、開平作動部71A〜71Fとフィンガ部79とが一体に形成された1つの部材として説明した。しかし、開閉作動部71A〜71Fとフィンガ部79とを別部材によって構成し、互に着脱交換可能な構成とすることも可能である。