特許第5767914号(P5767914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5767914動的および静的双極性電気的シーリングおよび切断デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767914
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】動的および静的双極性電気的シーリングおよび切断デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A61B17/39 320
   A61B17/39 310
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-194150(P2011-194150)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2012-55691(P2012-55691A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】12/876,668
(32)【優先日】2010年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510011673
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】サラ イー. アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアム エイチ. ノー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー エム. クチュール
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ ジェイ. コールソン
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−212663(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/017266(WO,A1)
【文献】 特表2007−513664(JP,A)
【文献】 特表2011−530333(JP,A)
【文献】 特開2000−139943(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0028964(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0156127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科器具との使用のための端部エフェクターアセンブリであって、該端部エフェクターアセンブリは、
互いに対して対向する関係に配置された第1の顎部材および第2の顎部材であって、該顎部材の少なくとも1つが他方に対して、第1の開放位置から第2の閉鎖位置まで移動可能であり、該顎部材が協働してそれらの間に組織を把持し各々の顎部材が、電気外科エネルギーの供給源に接続するように適合された電気的に伝導性の組織シーリング表面を含み、その結果、該組織シーリング表面が電気外科エネルギーを該顎部材間に配置された組織を通って伝導し得る、第1の顎部材および第2の顎部材と、
該顎部材の少なくとも1つ上に配置された静的電気外科切断部分であって、該静的切断部分は、少なくとも1つの第1の電気的に伝導性の切断要素と、該少なくとも1つの第1の電気的に伝導性の切断要素に隣接して配置された少なくとも1つの第1の絶縁要素とを含み、該少なくとも1つの第1の絶縁要素は、該少なくとも1つの第1の電気的に伝導性の切断要素の活性化に際し、該顎部材間に静的に保持された組織を電気的に切断するための第1の形態を規定するように構成されている、静的電気外科切断部分と、
該顎部材の少なくとも1つ上に配置された動的電気外科切断部分であって、該動的切断部分は、少なくとも1つの第2の電気的に伝導性の切断要素と、該少なくとも1つの第2の電気的に伝導性の切断要素に隣接して配置された少なくとも1つの第2の絶縁要素を含み、該少なくとも1つの第2の絶縁要素は、該第1の形態とは異なる第2の形態を規定するように構成されており、該第2の形態は、組織に対する該動的電気外科切断部分の移動に際して、活性化された該少なくとも1つの第2の電気的に伝導性の切断要素により、組織を電気的に切開するためのものである、動的電気外科切断部分
を備える、端部エフェクターアセンブリ。
【請求項2】
前記端部エフェクターアセンブリは、第1のシーリングモードで作動するように構成されており、前記シーリング表面は、組織をシールするために活性化される、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項3】
前記端部エフェクターアセンブリは、第2の切断モードで作動するように構成されており、前記静的切断部分および前記動的切断部分の少なくとも1つは、組織を切断するために活性化される、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項4】
前記静的切断部分は、前記顎部材の少なくとも1つの対向する表面の近位端に配置されており、前記動的切断部分は、該顎部材の少なくとも1つの該対向する表面の遠位端に配置されている、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項5】
前記動的切断部分は、前記顎部材の少なくとも1つの長手軸方向側面上に配置されている、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項6】
前記動的切断部分は、前記顎部材の少なくとも1つの遠位先端部上に配置されている、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項7】
前記シーリング表面の各々は、一対の間隔を置いて離れたシーリング表面セクションを含み、前記少なくとも1つの第1の絶縁要素は、該一対の間隔を置いて離れたシーリング表面セクション間に配置されている、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の電気的に伝導性の切断要素は、前記一対の間隔を置いて離れたシーリング表面セクション間に配置された前記少なくとも1つの第1の絶縁要素内に少なくとも部分的に配置されている、請求項7に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項9】
前記顎部材の各々の対向する表面は、互いに対して実質的に対称である、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【請求項10】
前記顎部材の各々の対向する表面は、互いに対して実質的に非対称である、請求項1に記載の端部エフェクターアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は外科鉗子に、そしてより特定すれば組織をシーリング、切断、および解剖し得る電気外科鉗子に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
開放または内視鏡電気外科鉗子は、止血を行うために機械的クランプ作用および電気エネルギーの両方を利用する。各々の対向する顎部材の電極は異なる電位に荷電され、顎部材が組織を把持するとき、電気エネルギーが組織を通じて選択的に運ばれ得る。外科医は、電極間に印加され、そして組織を通る電気外科エネルギーの強度、頻度および持続時間を制御することにより、焼灼、凝固/乾燥、そして/または出血を減少または遅延するいずれかを行い得る。
【0003】
特定の外科手順は、単に組織を焼灼するより多くを必要とし、そして組織を「シール」するために、クランプ圧力、電気外科エネルギーおよびギャップ距離の組み合わせに依存する。「脈管シーリング」は、組織中のコラーゲン、エラスチンおよび基礎物質を液化するプロセスとして規定され、組織は対向する組織構造間で有意に減少した境界を有する融合塊に改善される。
【0004】
代表的には、一旦、脈管がシールされると、外科医は、シーリング器具を手術部位から除去し、新たな器具と置き換え、そして新たに形成された組織シールに沿って脈管を正確に切断しなければならない。認識され得るように、このさらなるステップは、時間を浪費し得(特に有意な数の脈管をシールするとき)、および組織シールの中心に沿って切断器具の誤整列または誤配置に起因してシーリング線に沿って組織の不正確な分離の一因となり得る。
【0005】
組織シールを形成した後、組織を効率的に切断するナイフまたはブレード部材を取り込む器具を設計するためにいくつかの試みがなされている。例えば、Foxらによる米国特許第5,674,220号(特許文献1)は、一旦シールされた組織を切断する長手軸方向に往復するナイフを含む透明な器具を開示している。この器具は、処置プロセスおよび切断プロセスの間に組織の直接可視化を可能にする複数の開口部を含む。この直接可視化は、使用者が顎部材間の閉鎖力およびギャップ距離を可視的および手動により調節することを可能にし、脈管を処置するとき生じることが知られる特定の所望されない目に見える影響、熱拡散、焦げなどを減少/または制限する。認識され得るように、この器具で有効な組織シールを生成する全体の成功は、使用者の専門技術、視覚、器用さ、および、均一に、一貫して、かつ効率的に脈管をシールし、そして理想的な切断面に沿ったシールにおいて組織を分離するために、適切な閉鎖力、ギャップ距離およびナイフの往復の長さを判断する経験に大きく頼っている。
【0006】
Austinらによる米国特許第5,702,390号(特許文献2)は、組織を処理するための第1の位置から組織を切断する第2の位置まで回転可能である三角形形状の電極を含む器具を開示している。ここで再び、使用者は、組織を処置すること、および切断することの種々の影響を制御するために、直接可視化および専門技術に依存しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,674,220号明細書
【特許文献2】米国特許第5,702,390号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
本開示によれば、電気外科器具、例えば、鉗子との使用のための端部エフェクターアセンブリが提供される。この端部エフェクターアセンブリは、互いに対して対向する関係に配置された第1の顎部材および第2の顎部材を含む。これら顎部材の1つまたは両方は、他方に対して、開放位置から、これら顎部材が協働してそれらの間に組織を把持するための閉鎖位置まで移動可能である。各顎部材は、電気外科エネルギーの供給源に接続するように適合された電気的に伝導性の組織シーリング表面を含み、この組織シーリング表面は、電気外科エネルギーを上記顎部材間に配置された組織を通って伝導し得る。静的双極性電気外科切断部分は顎部材の1つ、または両方上に配置され、そして1つ以上の電気的に伝導性の要素、および第1の形態を有する1つ以上の絶縁要素を含む。この静的切断部分は、上記切断要素および対向するシーリング表面および/または対向する切断要素の活性化に際し、顎部材間に配置された組織を電気的に切断する。動的電気外科切断部分は、上記顎部材の1つ、または両方上に配置され、そして1つ以上の電気的に伝導性の切断要素および第2の形態を有する1つ以上の絶縁要素を含む。この動的切断要素は、顎部材間に把持された組織に対する移動の間に組織を電気的に横に切開するために構成される。
【0009】
1つの実施形態においては、上記端部エフェクターアセンブリは、上記シーリング表面が組織をシールするために活性化される第1のシーリングモードで作動するよう構成される。この端部エフェクターアセンブリはまた、静的切断部分および/または動的切断部分が組織を切断するために活性化される第2の切断モードで作動するように構成され得る。
【0010】
別の実施形態では、上記静的切断部分は、上記顎部材の1つまたは両方の対向する表面の近位端に配置され、そして動的切断部分は、顎部材の1つまたは両方の対向する表面の遠位端に配置される。
【0011】
なお別の実施形態では、上記動的切断部分は、上記顎部材の1つまたは両方の長手軸方向側面上に配置される。
【0012】
なお別の実施形態では、上記動的切断部分は、上記顎部材の1つまたは両方の遠位先端部に配置される。
【0013】
なおさらに別の実施形態では、上記シーリング表面の各々は、一対の間隔を置かれたシーリング表面セクションを含む。上記静的切断部分の絶縁要素の1つ以上は、一対の間隔を置いて離れたシーリング表面セクション間に配置される。上記静的切断部分の電気的に伝導性の切断要素は、一対の間隔を置いて離れたシーリング表面セクション間に配置される絶縁要素内に少なくとも部分的に配置され得る。
【0014】
なお別の実施形態では、上記顎部材の各々の対向する表面は、互いに対して実質的に対称である。あるいは、上記顎部材の各々の対向する表面は、互いに対して実質的に非対称である。
【0015】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)電気外科器具との使用のための端部エフェクターアセンブリであって、以下:
互いに対して対向する関係に配置された第1の顎部材および第2の顎部材であって、該顎部材の少なくとも1つが他方に対して、第1の開放位置から第2の閉鎖位置まで移動可能であり、該顎部材が協働してそれらの間に組織を把持し;
各々の顎部材が、電気外科エネルギーの供給源に接続するように適合された電気的に伝導性の組織シーリング表面を含み、その結果、該組織シーリング表面が電気外科エネルギーを該顎部材間に配置された組織を通って伝導し得る、顎部材;
該顎部材の少なくとも1つ上に配置された静的電気外科切断部分であって、少なくとも1つの電気的に伝導性の切断要素および第1の形態を有する少なくとも1つの絶縁要素を含み、該切断要素および対向するシーリング表面および対向する切断要素の少なくとも1つの活性化に際し、該顎部材間に配置された組織を電気的に切断するように構成された、静的電気外科切断部分;および
該顎部材の少なくとも1つ上に配置された動的電気外科切断部分であって、少なくとも1つの電気的に伝導性の切断要素および第2の形態を有する少なくとも1つの絶縁要素を含み、該顎部材間に把持された組織に対する移動の間に組織を電気的に切開し得る、動的電気外科切断部分、を備える、端部エフェクターアセンブリ。
(項目2)上記端部エフェクターアセンブリは、第1のシーリングモードで作動するように構成され、上記シーリング表面が組織をシールするために活性化される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目3)上記端部エフェクターアセンブリは、第2の切断モードで作動するように構成され、上記静的切断部分および上記動的切断部分の少なくとも1つが組織を切断するために活性化される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目4)上記静的切断部分が上記顎部材の少なくとも1つの対向する表面の近位端に配置され、そして上記動的切断部分が該顎部材の少なくとも1つの該対向する表面の遠位端に配置される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目5)上記動的切断部分が上記顎部材の少なくとも1つの長手軸方向側面上に配置される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目6)上記動的切断部分が上記顎部材の少なくとも1つの遠位先端部上に配置される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目7)上記シーリング表面の各々が一対の間隔を置いて離れたシーリングセクションを含み、そして上記静的切断部分の少なくとも1つの絶縁要素の1つが該一対の間隔を置いて離れたシーリングセクション間に配置される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目8)上記静的切断部分の電気的に伝導性の切断要素が、上記一対の間隔を置いて離れたシーリングセクション間に配置される絶縁要素内に少なくとも部分的に配置される、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目9)上記顎部材の各々の対向する表面が互いに対して実質的に対称である、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
(項目10)上記顎部材の各々の対向する表面が互いに対して実質的に非対称である、上記項目のいずれかに記載の端部エフェクターアセンブリ。
【0016】
摘要
端部エフェクターアセンブリは対向する顎を含み、それらの間に組織を把持するために開放から閉鎖位置まで可動である。各々の顎は、これら顎の間に配置された組織を通って電気外科エネルギーを伝導するために適合された電気的に伝導性の表面を含む。少なくとも1つの電気的に伝導性の切断要素および第1の形態を有する少なくとも1つの絶縁要素を含む静的双極性切断部分が少なくとも1つの顎上に配置される。この静的切断部分は、切断要素、および対向するシーリング表面および対向する切断要素の少なくとも1つの活性化に際し、顎間に配置された組織を電気的に切断するように構成される。少なくとも1つの電気的に伝導性の切断要素および第2の形態を有する少なくとも1つの絶縁要素を含む動的切断部分が、顎の少なくとも1つの上に配置される。この動的切断部分は、組織に対する移動の間に組織を電気的に横に切開する。
【0017】
主題の器具の種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、ハウジング、シャフトおよび端部エフェクターアセンブリを含む内視鏡双極性鉗子の右斜視図である。
図2図2は、端部エフェクターアセンブリをそれらの遠位端に配置した一対の第1および第2のシャフトを示す解放双極性鉗子の左斜視図である。
図3図3Aは、開放位置にある一対の顎部材とともに図1の端部エフェクターアセンブリの拡大側面図である。図3Bは、閉じた位置にある開放位置にある一対の顎部材とともに図1の端部エフェクターアセンブリの拡大側面図である。
図4図4Aは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る組織シーリング表面と静的切断部分の1つの形態の概略である。図4Bは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る組織シーリング表面と静的切断部分の別の形態の概略である。図4Cは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る組織シーリング表面と動的切断部分の1つの形態の概略である。図4Dは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る組織シーリング表面と動的切断部分の別の形態の概略である。
図5図5Aは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る下部顎部材の前斜視図であり、本開示の別の実施形態による組織シーリング表面と静的および動的切断部分を示す。図5Bは、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る上部顎部材の後ろ斜視図であり、本開示のなお別の実施形態による組織シーリング表面と静的切断部分を示す。
図6図6は、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る下部顎部材の静的および動的切断部分を示す、なお別の実施形態の前斜視図である。
図7図7は、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る下部顎部材の静的および動的切断部分を示す、さらになお別の実施形態の前斜視図である。
図8図8は、図1の端部エフェクターアセンブリの顎部材のピボットに隣接して配置された動的切断部分を示すなお別の実施形態の拡大側面図である。
図9図9は、図1の端部エフェクターアセンブリとともに用いられ得る上部顎部材の動的切断部分を示すなお別の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
ここで図1および2を参照して、図1は、内視鏡外科手順と組み合わせる使用のための双極性鉗子10を描写し、そして図2は、伝統的な開放外科手順と組み合わせる使用のために予期される開放鉗子100を描写している。本明細書における目的には、内視鏡器具または開放器具にいずれもが、本明細書中に記載される端部エフェクターアセンブリとともに利用され得る。明らかなことに、異なる電気的および機械的連結および考慮物が各々の特定タイプの器具に適用されるが、端部エフェクターアセンブリおよびその作動特徴に関する新たな局面は、開放または内視鏡設計の両方に対して広く一致したままである。
【0020】
図1は、種々の内視鏡外科手順との使用のための双極性鉗子10を示し、そして一般に、ハウジング20、ハンドルアセンブリ30、回転アセンブリ80、スイッチアセンブリ70および管状脈管および脈管組織を把持、シールおよび分割するために互いに協働する対向する顎部材110および120を有する端部エフェクターアセンブリ105を含む。より詳細には、鉗子10は、端部エフェクターアセンブリ105を機械的に係合するための寸法である遠位端16、およびハウジング20を機械的に係合する近位端14を有するシャフト12を含む。このシャフト12は、顎部材110および120が互いに対して旋回可能(ピボット可能)であり、それらの間に組織を把持するように、端部エフェクターアセンブリ105をしっかりと受容し、かつ係合するように設計されている1つ以上の公知の機械的に係合する構成要素を含み得る。
【0021】
このシャフト12の近位端14は、回転アセンブリ80を機械的に係合し(この連結は詳細には示していない)、端部エフェクターアセンブリ105の回転を容易にする。図面および以下の説明において、用語「近位」は、伝統的であるように、使用者により近い鉗子10の端部をいい、その一方、用語「遠位」は、使用者からより遠い端部をいう。
【0022】
ハンドルアセンブリ30は、固定ハンドル50および可動ハンドル40を含む。固定ハンドル50はハウジング20に一体に付随し、そしてハンドル40は固定ハンドル50に対して可動であり、以下でより詳細に説明するように、端部エフェクターアセンブリ105の対向する顎部材110および120を作動する。可動ハンドル40およびスイッチアアセンブリ70は単一の構成であり、そしてアセンブリプロセスの間にハウジング20および固定ハンドル50に作動可能に連結される。ハウジング20は、アセンブリの間にシャフト12の近位端の周りでアセンブルされる2つの半分体20aおよび20bから構築される。スイッチアアセンブリ70は、端部エフェクターアセンブリ105に電気エネルギーを選択的に提供するように構成される。
【0023】
上記で述べたように、端部エフェクターアセンブリ105は、シャフト12の遠位端16に取り付けられ、そして対向する顎部材110および120を含む。ハンドルアセンブリ30の可動ハンドル40は、顎部材110および120の、顎部材110および120が互いに対して間隔を置いた関係で配置される開放位置から、顎部材110および120がそれらの間に組織を把持するために協働するクランプまたは閉鎖位置までの移動を与える。
【0024】
ここで図2を参照して、開放鉗子100は、各々が、それぞれ近位端114aおよび114b、ならびにそれぞれ遠位端116aおよび116bそれぞれ有する一対の細長いシャフト部分111aおよび111bを含む。鉗子100は、組織の把持およびシーリングを行うために、シャフト111aおよび111bの遠位端116aおよび116bにそれぞれ取り付けられる顎部材120および110を含む。これら顎部材110および120は、これら顎部材110および120が互いに対して、組織を処置するために第1の位置から第2の位置まで互いに対して旋回することを可能にするピボットピン119の周りで連結される。端部エフェクターアセンブリ105は対向する顎部材110および120に連結され、そしてピボットピン119の通り、かつその周りの電気的連結部を含み得る。
【0025】
各シャフト111aおよび111bは、それらの近位端114aおよび114bに配置されるハンドル117aおよび117bを含み、これらは各々、使用者の指を受容する指穴118aおよび118bをそれぞれ規定する。指穴118aおよび118bは、シャフト111aおよび111bの互いに対する移動を容易にし、これは、次いで、顎部材110および120を、これら顎部材110および120が互いに対して間隔を置いた関係で配置される開放位置から、これら顎部材110および120がそれらの間に組織を把持するために協働するクランプ位置または閉鎖位置まで旋回する。ラチェット130が、これら顎部材110および120を旋回する間に種々の位置で互いに対して選択的にロックするために含められる。
【0026】
図1および2に示されるように、鉗子10または100はまた、鉗子10、100を電気外科エネルギーの供給源、例えば、電気外科発電機(図示してはいない)に接続する電気ケーブル210を含む。ケーブル210は、シャフト12、111を通って延び、種々の電気供給経路を通り、端部エフェクターアセンブリ105まで電気外科エネルギーを伝える。
【0027】
ここで、図3A〜3Bの概略図を参照して、図1の内視鏡鉗子および図2の開放鉗子の両方の顎部材110および120は、ピボット19、119の周りの回転を可能にするために協働する類似の構成要素特徴を含み、組織の把持およびシーリングを行う。各顎部材110および120は、電気伝導性の組織シーリングプレート112および122をそれぞれ含む。顎部材110および120の組織シーリングプレート112および122はそれぞれ、組織をシールするために協働する対向する電気伝導性の組織シーリング表面を規定する。図3A〜3Bに示されるように、各顎部材110および120はまた、それらの上に配置された静的双極性切断部分127を含むが、顎部材110、120の1つが、静的切断部分127を含む必要があるにすぎないことがまた想定される。さらに、1つ(または両方)の顎部材、例えば、顎部材120は、動的双極性切断部分137を含む。図3A〜3Bに示されるように、静的切断部分127は、顎部材110および120の近位端110b、120bに向かってそれぞれ配置され、その一方、動的切断部分137は、顎部材120の遠位端120bに向かって配置される。しかし、静的および動的双極性切断部分127、137はそれぞれ、以下でより詳細に記載されるように、顎部材110および120のいずれか、または両方上の異なる位置に配置され得る。シーリングプレート112、122、静的切断部分127および動的切断部分137の組み合わせは、単一の外科デバイス10、100によって組織のシーリング、静的切断、および動的解剖を可能にする。
【0028】
端部エフェクターアセンブリ105の種々の電気的接続は、この端部エフェクターアセンブリ105を通って組織シーリングプレート112および122および上記切断部分127、137への電気的連続性を提供するように構成される。例えば、ケーブルリード210(図1)は、異なる電位を保持する4つの異なるリード(図示はしていない)を含むように構成され得る。これらケーブルリードは、シャフト12を通って供給され、そして、最終的に電気的に伝導性のシーリングプレート112および122、ならびに切断部分127、137に接続される種々の電気コネクター(図示はしていない)に接続される。ケーブルリード210からの種々の電気接続は、互いから誘電的に絶縁されており、以下でより詳細に説明されるように、組織シーリングプレート112および122、または静的および/または動的切断部分127、137のいずれかの選択的および独立の活性化を可能にする。あるいは、端部エフェクターアセンブリ105は、内部スイッチ(示されてはいない)を含む単一のコネクターを含み得、組織シーリングプレート112、122、および/または上記切断部分127、137の選択的および独立の活性化を可能にする。
【0029】
図4A〜4Bで最良に観察されるように、静的切断部分127のいくつかの電気的構成が示され、これらは、対向するシーリングプレート112、122と組み合わせ、それぞれ、対向する顎部材110および120間に配置された組織を効率的にシールおよび切断するように設計されている。図4Aおよび4Bに示されるシーリングプレート112、122間に配置される静的切断部分127の構成は、組織シーリングおよび静的組織切断の両方を行うように設計された例の構成であり、すなわち、顎部材110、120が切断されるべき組織に対して静止したままである組織切断である。より詳細には、シーリングモードの間、シーリングプレート112および122は、活性化されて組織を通る電気外科エネルギーを供給し、組織シールを行う。切断モードの間に、静的切断部分127は活性化されて組織を通る電気外科エネルギーを印加し組織分割を行う。組織シーリングおよび切断の両方を行い得る静電切断部分127のその他の構成が提供されてもよく、例えば、「電気的切断機構をもつ脈管シーリング器具」と題する同一出願人による米国特許第7,270,664号に開示されるものがあり、この特許は、本明細書中に参考として援用される。さらに、この静的切断部分127の類似または異なる構成がこれら顎部材110、120の各々上に提供され得ることが想定される。
【0030】
図4Aを参照して、静的切断部分127の各々は、絶縁体129および電気的に伝導性の切断要素128、例えば、電気的にエネルギーを与え得る電極を含む。絶縁体129は、電気的に伝導性のシーリングプレート112、122間に配置され、この電気的に伝導性のシーリングプレート112、122の各々を、各顎部材110および120上の電気的に伝導性のシーリングプレート112a、112bおよび122a、122bのセクションにそれぞれ分割する。換言すれば、絶縁体129は、シーリングプレート112および122のセクション112aおよび112bと、セクション122aおよび122bとの間にそれぞれ配置される。各絶縁体129は、個々の組織シーリングプレート112a、112bと122a、122bとの間でほぼ中心にあり、個々の顎部材110、120の2つの絶縁体129は、互いとほぼ対向する。さらに、各絶縁体129は、それから延びる、上記シーリングプレートセクション112a、112b、122a、122bの各々に隣接する一対のタブ129aを含み、そして窪んだ部分129bがこれらタブ129aと電極128との間に規定される。
【0031】
図4Bに示される実施形態は、図4Aの実施形態に実質的に類似しているが、静的切断部分127が切断要素128および絶縁体129の両方を有するというよりはむしろ、顎部材110は、シーリングプレート112のセクション112aと112bとの間に配置された絶縁体140を含む点で異なる。
【0032】
静的切断部分127の電気的に伝導性の切断要素128は、実質的に絶縁体129内またはその上に配置される。図4Aについて、切断要素128は電気的に伝導性であるが;しかし、これら切断要素128の1つまたは両方は、伝導性コーティングがその上に配置された絶縁性材料から作製され得るか、またはこれら切断要素の1つ(または両方)は、非伝導性であり得る(示されてはいない)。
【0033】
ここで、図4C〜4Dを参照して、動的切断部分137のいくつかの電気的構成が示される。図4C〜4Dにおいては、これら動的切断部分137は、上記で記載された図4A〜4Bに示される静的切断部分127と同様に、個々の電気的に伝導性のシーリングプレート112、122の、電気的に伝導性のシーリングプレート112a、112bと、122a、122bとの間に配置されて示される。これらの実施形態では、図3A〜3Bに示されるように、静的切断部分127は、シーリングプレート112、122のセクション112a、112b、122a、122b間に、顎部材110および120の近位端110bおよび120bに向かってそれぞれ位置決めされ得、その一方、動的切断部分137は、シーリングプレート112、122の間に顎部材110および120の遠位端110aおよび120aに向かってそれぞれ位置決めされる。この構成はまた逆転されてもよく、例えば、静的切断部分127は遠位端110aおよび120aに向かって配置され、そして動的切断部分137は顎部材110および120の近位端110bおよび120bに向かってそれぞれ配置される。さらに、以下でより詳細に論議されるように、これら動的切断部分137は、顎部材110、120のいずれか、または両方上の種々のその他の位置に配置されてもよい。
【0034】
図4Cに示されるように、これら動的切断部分137は、電気的に伝導性の切断要素138、例えば、電気的にエネルギーを与え得る電極を含み得、これらは上記で論議された静的切断部分127の構成のように、電気的に伝導性のシーリングプレート112、122間に配置された絶縁体139内に配置され、そしてそれから延びる。図4Dに示される実施形態は、図4Aの実施形態に類似しているが、顎部材120がシーリングプレート122のセクション122aと122bとの間に配置された絶縁体140を含み、そしてその中に切断要素を含まないことが異なる。
【0035】
動的切断部分137(図4C〜4D)の絶縁体139は、静的切断部分127(図4A〜4B)の絶縁体129と、絶縁体139の表面がほぼ平坦であって、そしてタブまたは窪みを含まない点で異なる。動的切断部分137のこの構成、すなわち、絶縁体139の形態が、解剖、または動的組織切断、すなわち、顎部材110および/または120が組織に対して移動される間に組織を切断することを支援して容易にすることが見出された。静的切断部分127の形態(図4A〜4B)は、その一方、静的電気外科切断を支援して容易にすることが見出された。
【0036】
より一般的にいえば、いくつかの電気的形態、例えば、静的切断部分127の形態(図4A〜4B)が、静的電気外科切断により有利であり、その一方、その他の電気的形態、例えば、動的切断部分137の形態(図4C〜4D)が、動的組織解剖のためにより有利であることが見出された。それ故、静的切断部分は、種々の形態、例えば、静的電気外科切断を容易にする、先に本明細書中に参考として援用した同一出願人が所有する米国特許第7,270,664号に開示される形態、または図4A〜4Bの形態を規定し得る。動的切断部分は、動的電気外科解剖を容易にする、米国特許第7,270,664号に開示されるもの、または図4C〜4Dに示される形態を含む、種々の形態を規定し得る。上述したように、これら静的および動的切断部分は異なった構成としてもよく、各々の構成は、特定の適用、例えば、静的または動的双極性電気外科切断のために適合される。
【0037】
ここで、図5A〜9を参照して、動的切断部分137が、顎部材120上の種々の位置に配置されて示される。動的切断部分137は顎部材120上に配置されて示されているが、動的切断部分137は、顎部材120の動的切断部分137と協働して、またはその代わりに、顎部材110上に同様に配置されてもよい。さらに、図5A〜9に示される動的切断部分137の位置決めは例であり、そしてその他の位置が予期される。
【0038】
図5Aは、間に配置された静的切断部分127を有するシーリングプレートセクション122aおよび122bを含む電気的に伝導性のシーリングプレート122を含む顎部材120を示す。上述のように、静的切断部分127は、静的電気外科切断のための構成である、電気的にエネルギーを与え得る電極、または切断要素128、および一対の絶縁体129を含む。顎部材120の遠位端に向かって、動的切断部分137が示され、動的電気外科切断のための構成である、動的切断要素138および一対の絶縁体139を含む。シーリングプレートセクション122aおよび122bが、顎部材120の遠位端に向かって延び得、動的切断部分137を取り囲むか、または、図5Aに示されるように、一対の電気的に伝導性の要素141が、絶縁体139を囲んで位置決めされてもよく、戻り電極として作用する。図5Bに示されるように、顎部材110は、シーリングプレート112a、122b、およびそれらの間に配置された切断部分127を含む。顎部材110はまた、顎部材120の動的切断部分137に対向する絶縁体140を含み;しかし、顎部材110は、顎部材120上に配置された動的切断部分137の代わりに、またはそれに加えて動的切断部分137を含んでもよい。
【0039】
図6〜9は、動的切断部分の種々の異なる位置決めを示す。図6に示されるように、動的切断部分237は、顎部材120の長手軸方向側面上に配置される。動的切断部分237は、顎部材120および/または顎部材110のいずれかの長手軸方向側面上に配置されてもよく、そして顎部材120の遠位端120aに向かって、または所望により、顎部材110、120のいずれか(または両方)の近位端110b、120bに向かって位置決めされ得る。図7に示されるように、動的切断部分337は、顎部材120の遠位先端部121上に配置される。動的切断部分337は、図7に示されるように、垂直に整列されてもよく、または顎部材110および/または顎部材120上で水平に整列されてもよい。
【0040】
図6および7に示される各々の動的切断部分237および337はそれぞれ、電気的にエネルギーを与え得る電極238、338であり得る切断要素238、338を含む。動的切断部分237、337はまた、切断要素238、338を取り囲む顎部材120の絶縁された外側ハウジング124の部分125、126として規定され得る。さらに、一対の電気的に伝導性の要素、または戻り電極241、341が提供され、切断要素238、338を、絶縁体、例えば、それらの間の絶縁された外側ハウジング124の部分125、126とともに取り囲む。動的切断部分137、237、337は双極性電気外科切断のための構成とされ、例えば、各切断部分137、237、337は電気的にエネルギーを与え得る切断要素138、238、338および一対の戻り電極、例えば、シーリングプレート112、122または電気的に伝導性の要素141、241、341を含み、それ故、単極切断のために必要とされるような、遠隔戻りパッドの必要性を未然に防ぐことに注目すべきである。
【0041】
図8は別の構成を示し、ここでは、動的切断部分437は、顎部材110、120のピボット19に隣接して配置される。より詳細には、動的切断部分437は、顎部材110、120の間にそれぞれのその近位端110b、120bに配置され、開放位置にある顎部材110、120をもつ鉗子の遠位進行に際し、顎部材110、120間に配置された組織は、電気的に横に切開され得るか、または動的切断部分437を経由して切断され得る。動的切断部分437は、上記に記載の任意の動的切断部分に類似の構成であり得る。
【0042】
図9は、なお別の構成を示し、ここでは、動的切断部分537は、顎部材110の外側上部表面上に配置されるが、動的切断部分537は、それに代わって、顎部材120の外側底表面上に配置されてもよい。動的切断部分537は、双極性切断のための構成とされ、単極切断に必要とされる遠隔戻りパッドの必要性を未然に防ぐ。
【0043】
鉗子10の作動をここで詳細に説明する。より詳細には、組織シーリングモード、静的組織切断モードおよび動的組織切断モード、または鉗子10のフェーズを、図5A〜9を参照して説明する。これら図面に示されるように、構成要素の種々の極性は、「切断」フェーズに対応して示され、そしてそれ故、シーリングフェーズの間の構成要素の相対的極性は提示しない。
【0044】
組織シーリングを行うために、鉗子10は、最初、端部エフェクターアセンブリ105の顎部材110および120が、開放位置に、それらの間のシールされるべき組織とともに配置される。顎部材110、120は、次いで、閉鎖位置に移動され、顎部材110および120の電気的に伝導性のシーリングプレート112と122との間に組織をそれぞれクランプ、または把持する。切断要素128(および138)は、それぞれ、それらの個々の絶縁体129から、シーリングプレート112a、112bならびに122aおよび122bを超えて延びるように構成され、切断要素128(および138)は、正確で一貫した、かつ効率的な組織シーリングを促進する停止部材として作用する(すなわち、シーリングプレート112および122の対向するシーリング表面間のギャップ距離「G」を生成する)。
【0045】
シーリングの間に、対向するシーリングプレート112a、122aならびに112b、122bは活性化され、すなわち、発電機からの電気外科エネルギーがシーリングプレート112、122に供給され、それらの間に配置された組織をシールする。
【0046】
より詳細には、シーリングの間、シーリングプレート112は第1の電位「+」に活性化され、そしてシーリングプレート122は第2の電位「−」に活性化される。切断要素128は活性化されない。絶縁体129は伝導性のシーリングプレート112、122のように良好にエネルギーを伝導しないので、この第1の電位は、切断要素128まで有効に、または効率的に運ばれず、そして組織は、シーリングフェーズの間に必ずしも加熱または損傷されない。このシーリングフェーズの間に、エネルギーは、シーリングプレートセクション112aおよび112bから、そして組織を通り、戻り電極、または戻りシーリングプレートセクション122aおよび122bまで運ばれる。上述のように、静的切断部分127の静的切断要素128(および動的切断部分137の動的切断要素138)は、対向するシーリングプレート112と122との間のギャップを生成および維持するための停止部材として主に作用する。
【0047】
一旦シーリングが終了すると、静的切断要素128は独立に活性化され得、例えば、使用者により、または発電機(示されてはいない)もしくはその他のエネルギー供給源によって自動的に活性化されて電気外科エネルギーが与えられる。静的切断モード、またはフェーズの間に、シーリングプレート112、122への電位は切断され、顎部材110の静的切断要素128は、第1の電位「+」で活性化され、そして顎部材120の静的切断要素128は、第2の電位「−」で活性化される(図4Aを参照のこと)。あいるは、顎部材120の静的切断要素128は、第1の電位「+」で活性化されてもよく、そして対向するシーリングプレート112および122は、第2の電位「−」で活性化されてもよい(図4Bを参照のこと)。いずれの実施形態においても、集中された電気的経路が組織を通って「+」と「−」の間に生成され、先に形成された組織シール間の組織を切断する。これ故、組織は、最初にシールされ、そしてその後、組織を再び把持することなく静的電気外科切断部分127を用いて切断する。
【0048】
しかし、実施されるべき外科手順に依存して、組織シーリングおよび/または静的切断の前、後もしくはそれに代わるいずれかで、動的組織解剖、または切断を行うことが所望され得る。動的電気外科解剖を行うために、動的切断要素138、238、338は第1の電位「+」に活性化され、そして対向するシーリングプレート112および122(図4D)または電気的に伝導性の要素141、241、341(図5A〜7)は、第2の電位「−」に活性化される。あるいは図4Cに示されるように、顎部材110の動的切断要素138は、第1の電位「+」に活性化されてもよく、その一方顎部材120の動的切断要素138は第2の電位「−」に活性化される。静的切断要素127でのように、活性化された動的切断要素137、237、337は、電位「+」と「−」との間に集中された電気的経路を生成し、端部エフェクターアセンブリ105が組織を通って進行するとき、組織を切断する。顎部材110および120は、図5A〜5Bの実施形態においては端部エフェクターアセンブリ105の移動の間にわずかに開き、組織の動的双極性切断を行う。図6および9の実施形態では、端部エフェクターアセンブリ105は、側方に、それぞれ動的切断部分237、537の方向に移動され、組織解剖を行う。端部エフェクターアセンブリ105は遠位宝庫校に移動され、図7および8の実施形態では、動的切断部分337、437をそれぞれ経由して電気外科解剖を行う。
【0049】
本明細書に、または米国特許第7,270,664号に記載されるような電位の任意の組み合わせが、種々の顎部材110、120および/または切断部分127、137とともに利用され得、電気的シーリングフェーズの間に組織を効率的にシールし、そして静的および/または動的電気的切断フェーズの間に組織を切断する。さらに、顎部材110および120のシーリングプレート112および122、静的および動的切断部分127、137、237、337のそれぞれ静的および動的切断要素128、138、238、338、および/または電気的に伝導性の要素141、241、341は、第1および第2の電位の任意の組み合わせでエネルギーを与えられてもよく、効率的に組織をシールそして/または切断する。
【0050】
上記の記載から認識され得るように、鉗子10、100は、以下の3つのモードまたはフェーズで作動するように構成される:(1)電気外科組織シーリング、(2)静的双極性電気外科切断、および(3)動的双極性電気外科切断。シーリングプレート112、122、静的切断部分127および動的切断部分137は、組織を、それぞれ、シール、静的に切断、および動的に切断するよう構成される。従って、すべて3つの機能は、単一のデバイス、例えば、内視鏡鉗子10または開放鉗子100で実施され得る。種々の手動で操作され、そして/または自動的スイッチング機構が、シーリングモードと切断モードとの間を交互するために採用され得ることが想定される。
【0051】
さらに、そして特に図1を参照して、鉗子10は、ハンドヘルドのバッテリーで電力を与えられるデバイスとして構成され得る。バッテリー(示されてはいない)は、固定ハンドル50内に配置され得、そして端部エフェクターアセンブリ105に電気外科エネルギーを提供するように構成されてもよい。
【0052】
前述から、そして種々の図の描写を参照して、当業者は、特定の改変がまた本明細書の開示に本明細書の開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることを認識する。本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示がそれらに制限されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該技術が許容し、しかも本明細書が同様に読まれる範囲で広範であることが意図されるからである。従って、上記の記載は、制限的であると解釈されるべきでなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0053】
10 双極性鉗子
20 ハウジング
30 ハンドルアセンブリ
70 スイッチアセンブリ
80 回転アセンブリ
100 開放鉗子
105 端部エフェクターアセンブリ
110、120 顎部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9