(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁隔壁は、弾性変形可能であり、弾性変形によって生じる弾性力により互いに隣り合う一対の前記外部端子の間に挟み込まれることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
前記絶縁隔壁は、前記本体部の外面から突出するように配されると共に一対の前記外部端子の配列方向に互いに間隔をあけて配される一対の隔壁板部と、前記一対の隔壁板部をその突出方向の先端部において連結し、弾性変形可能である接続板部とを有し、
前記一対の隔壁板部の間隔は、前記接続板部の弾性変形により変化することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
前記絶縁隔壁には、前記外部端子及び/または前記本体部に当接することにより一対の前記外部端子の配列方向及び前記絶縁隔壁の突出方向に直交する方向に前記絶縁隔壁が移動することを規制する規制部が、一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような半導体装置においては、形状や大きさを同一とした本体部、あるいは、複数の外部端子の相対配置を同一とした本体部に対して、チップ特性(半導体チップにかかる電圧の大きさ)の異なる半導体チップを内蔵することがある。このような場合には、絶縁距離を確保するために必要な絶縁隔壁の大きさ(例えば高さや厚さ)が変わるため、内蔵する半導体チップの特性毎に大きさの異なる絶縁隔壁を形成する必要がある。しかしながら、上記従来の半導体装置では、絶縁隔壁が本体部に一体成形されているため、本体部の汎用性が低く、その結果として、半導体装置を安価に製造することができない、という問題がある。なお、チップ特性に関わらず、予め大きな絶縁隔壁を本体部に一体成形してもよいが、この場合には半導体装置のサイズが無駄に大きくなってしまう、という問題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、本体部に内蔵される様々な半導体チップのチップ特性に合わせて、様々な大きさの絶縁隔壁を本体部に取り付けることが可能となると共に、本体部の汎用性向上を図って半導体装置を安価に製造でき、さらに小型化することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップを内蔵する本体部と、前記半導体チップに電気接続されると共に前記本体部の外面から突出して前記本体部の外面上に間隔をあけて配される複数の外部端子と、電気的な絶縁性を有し、互いに隣り合う一対の前記外部端子の間において前記本体部の外面から突出するように配されることで、これら一対の前記外部端子の絶縁距離を延長する絶縁隔壁と、前記本体部の外面と前記外部端子との間に挿入される爪部と、前記本体部の外面と前記外部端子との間において前記爪部を前記外部端子側に押し付ける弾性部とを具備し、前記爪部と前記弾性部とにより前記絶縁隔壁を前記本体部及び前記外部端子に対して固定することを特徴とする。
【0007】
なお、本体部の具体例としては、半導体チップを埋設するモールド樹脂や、半導体チップを収容する中空のケース、あるいは、中空のケース内にポッティング樹脂を充填して半導体チップを封止するもの等が挙げられる。
前記半導体装置によれば、絶縁隔壁が爪部及び弾性部によって本体部及び外部端子に対して固定されるので、絶縁隔壁を本体部とは別個に成形することができる。これにより、同一サイズ・形状の本体部に内蔵される様々な半導体チップのチップ特性に合わせて、様々な大きさの絶縁隔壁を本体部に取り付けることが可能となる。また、絶縁隔壁は、本体部の外面と外部端子との間に爪部が弾性部によって外部端子に押し付けられることで固定されるので、本体部に絶縁隔壁を取り付けるための形状を形成する必要が無い。したがって、本体部の汎用性が向上し、半導体装置を安価に製造することが可能となる。さらに、同一サイズ・形状の本体部に対して様々な大きさの絶縁隔壁を取り付けることができるので、半導体装置のサイズを必要最小限に抑えることができる。また、前記半導体装置によれば、絶縁隔壁は、その突出方向への移動が爪部により規制されると共に、隣り合う一対の外部端子の間に配されることにより該外部端子の配列方向への移動が規制される。
【0008】
また、前記半導体装置は、前記爪部は、前記絶縁隔壁の突出方向基端部に形成されているようにしてもよい。
【0009】
また、前記半導体装置は、前記絶縁隔壁は、弾性変形可能であり、弾性変形によって生じる弾性力により互いに隣り合う一対の前記外部端子の間に挟み込まれるようにしてもよい。
【0010】
前記半導体装置によれば、絶縁隔壁が指等による押圧によって一対の外部端子の配列方向に弾性変形することにより、爪部を本体部の外面と外部端子との間から抜き出すことができる。すなわち、爪部及び弾性部による本体部及び外部端子に対する絶縁隔壁の固定が解除されるので、絶縁隔壁を本体部及び外部端子から容易に取り外すことが可能になる。
【0011】
また、前記半導体装置において、前記絶縁隔壁は、前記本体部の外面から突出するように配されると共に一対の前記外部端子の配列方向に互いに間隔をあけて配される一対の隔壁板部と、前記一対の隔壁板部をその突出方向の先端部において連結し、弾性変形可能である接続板部とを有し、前記一対の隔壁板部の間隔は、前記接続板部の弾性変形により変化するようにしてもよい。
【0012】
前記半導体装置によれば、一対の外部端子の間に挟み込まれた絶縁隔壁における一対の隔壁板部が指等により挟み込まれるように押圧されると、接続板部の弾性変形により隔壁板部の間隔が狭くなるため、爪部を本体部の外面と外部端子との間から抜き出すことができる。すなわち、爪部及び弾性部による本体部及び外部端子に対する絶縁隔壁の固定が解除されるので、絶縁隔壁を本体部及び外部端子から容易に取り外すことが可能になる。
【0013】
また、前記半導体装置は、前記絶縁隔壁には、その突出方向の先端部から一対の前記外部端子の上方を覆うように一対の前記外部端子の配列方向に延出する上方カバー部が一体に形成され、前記上方カバー部は、その延出方向の両先端部が前記上方カバー部の延出方向の基端部よりも高いあるいは低いようにしてもよい。
【0014】
前記半導体装置によれば、絶縁隔壁に一体に形成される上方カバー部が外部端子の配列方向に延出するので、絶縁隔壁の高さが低く抑えられたとしても、一対の外部端子間の絶縁距離を延ばすことができる。つまり、前記半導体装置によれば、半導体装置のサイズをさらに小さく抑えながら、外部端子間の絶縁距離も十分に確保することができる。また、、前記半導体装置によれば、上方カバー部における延出方向の両先端部が基端部よりも高いあるいは低い構成になっているので、上方カバー部の両先端部が指等により挟み込まれるように押圧されると、上方カバー部が基端部を中心に折れ曲がって一対の隔壁板部の間隔が狭くなるため、爪部を本体部の外面と外部端子との間から抜き出すことができる。すなわち、爪部及び弾性部による本体部及び外部端子に対する絶縁隔壁の固定が解除されるので、絶縁隔壁を本体部及び外部端子から容易に取り外すことが可能になる。さらに、前記半導体装置によれば、上方カバー部により外部端子の上方が覆われているので、動作時、つまり外部端子が通電されている状態時に、人が誤って外部端子に接触して感電することを防止できる。
【0015】
また、前記半導体装置は、前記絶縁隔壁には、その突出方向の先端部から一対の前記外部端子の上方を覆うように一対の前記外部端子の配列方向に延出する上方カバー部が一体に形成され、前記上方カバー部の延出方向の両先端部には、一対の前記外部端子をその配列方向から挟み込む一対の狭持部が一体に形成され、前記爪部は、前記一対の狭持部各々に形成されているようにしてもよい。
【0016】
前記半導体装置によれば、絶縁隔壁に一体に形成される上方カバー部が外部端子の配列方向に延出するので、絶縁隔壁の高さが低く抑えられたとしても、一対の外部端子間の絶縁距離を延ばすことができる。つまり、前記半導体装置によれば、半導体装置のサイズをさらに小さく抑えながら、外部端子間の絶縁距離も十分に確保することができる。さらに、前記半導体装置によれば、上方カバー部により外部端子の上方が覆われているので、動作時、つまり外部端子が通電されている状態時に、人が誤って外部端子に接触して感電することを防止できる。
【0017】
また、前記半導体装置は、前記上方カバー部は、その延出方向の両先端部が前記上方カバー部の延出方向の基端部よりも低いようにしてもよい。
【0018】
前記半導体装置によれば、上方カバー部における延出方向の両先端部が基端部よりも低い構成になっているので、上方カバー部の基端部が指等により上方向から押圧されると、上方カバー部が基端部を中心に凹形状に折れ曲がって一対の挟持部の間隔が広がるため、爪部を本体部の外面と外部端子との間から抜き出すことができる。すなわち、爪部及び弾性部による本体部及び外部端子に対する絶縁隔壁の固定が解除されるので、絶縁隔壁を本体部及び外部端子から容易に取り外すことが可能になる。
【0019】
また、前記半導体装置において、前記絶縁隔壁には、その突出方向からの圧力によって弾性変形する第2の弾性部が形成され、前記絶縁隔壁は、前記第2の弾性部の弾性変形により前記突出方向に縮むようにしてもよい。
【0020】
前記半導体装置によれば、上方カバー部の基端部が指等により上方向から押圧された際に、絶縁隔壁に対する上方向(突出方向)からの圧力を第2の弾性部が吸収するので、絶縁隔壁が破損しない。
【0021】
また、前記半導体装置は、前記絶縁隔壁には、前記外部端子及び/または前記本体部に当接することにより一対の前記外部端子の配列方向及び前記絶縁隔壁の突出方向に直交する方向に前記絶縁隔壁が移動することを規制する規制部が、一体に形成されているようにしてもよい。
【0022】
前記半導体装置によれば、絶縁隔壁は、その突出方向及び一対の外部端子の配列方向への移動に加えて、これらの方向に直交する方向への移動が規制される。これにより、半導体装置をいかなる向きに配しても、重力等によって絶縁隔壁が本体部から不意に外れてしまうことを防止できる。
【0023】
また、前記半導体装置は、前記絶縁隔壁には、一対の前記外部端子の側方を覆う側方カバー部が一体に形成されているようにしてもよい。
【0024】
前記半導体装置によれば、側方カバー部により外部端子の側方が覆われているので、動作時、つまり外部端子が通電されている状態時に、人が誤って外部端子に接触して感電することを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、本体部に内蔵される様々な半導体チップのチップ特性に合わせて、様々な大きさの絶縁隔壁を本体部に取り付けることが可能となると共に、本体部の汎用性向上を図って半導体装置を安価に製造でき、さらに半導体装置を小型化することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第一実施形態〕
最初に第一実施形態について説明する。
第一実施形態に係る半導体装置Aは、
図1〜5に示すように、板状のヒートシンク1の上面上にダイオードやトランジスタ等の半導体チップ2が配されると共に、一対の端子板3の長手方向の一端部(内部端子、不図示)が半導体チップ2に電気接続された上で、上記ヒートシンク1の上面側の一部、半導体チップ2及び端子板3の一端部がモールド樹脂4(本体部)で封止される構成になっている。
【0028】
ヒートシンク1は、半導体チップ2に発生した熱を放熱することを目的に設けられた部品であり、導電性を有し、かつ放熱性の高い材料によって形成されている。ヒートシンク1をなす具体的な材料としては、例えば銅(Cu)、タングステン、モリブデン、あるいは、これにNiメッキを施したものが挙げられる。このヒートシンク1は、モールド樹脂4から露出した面から主に熱を外部に放出する。
【0029】
半導体チップ2は、ヒートシンク1と電気的に絶縁されるように、不図示の絶縁シートや表裏面に配線パターンを形成した絶縁基板を介して、ヒートシンク1上に配置される、あるいは、ヒートシンク1との間にモールド樹脂4を介在させて配置される。これにより、通電によって半導体チップ2において生じた熱を、ヒートシンク1から半導体装置Aの外部に逃がすことができる。
【0030】
端子板3の各他端部3aは、モールド樹脂4の上面4a(外面)から突出している。各端子板3の他端部3aにおける突出方向の基端板部は、屈曲された屈曲部3bとなっている。一方、他端部3aの突出方向の先端板部は、外部配線(不図示)を半導体チップ2に電気接続させるための外部端子3cとなっている。外部端子3cは、板厚方向がモールド樹脂4の上面4aに直交するように該上面4a上に配されている。また、本実施形態では、一対の外部端子3cが、モールド樹脂4の上面4a上において一対の外部端子3cの配列方向に直交する方向に間隔を空けて2組並列されている。
【0031】
さらに、外部端子3cには、その板厚方向に貫通する挿通孔(不図示)が形成され、該挿通孔に外部端子3cに外部配線を締結させるためのネジ5が挿通されている。そして、一対の外部端子3cは、各々の屈曲部3b側から互いに近づくように延びているものの、互いに間隔をあけて配され、接触はしていない。
【0032】
モールド樹脂4は、半導体チップ2を内蔵し、該半導体チップを水分やほこりから守るものであり、半導体装置Aにおける主な外観を成している。このモールド樹脂4には、その上面4aから窪んでナット6を収容するナット収容部(不図示)が各外部端子3cの挿通孔の下方に位置するように形成されている。よって、ナット収容部に収容されたナット6は、その雌ねじ(ネジ孔)が外部端子3cの挿通孔に連通するように配される。
【0033】
さらに、第一実施形態に係る半導体装置Aは、電気的な絶縁性を有する絶縁部材10を備えている。絶縁部材10は、電気的な絶縁性を有し、絶縁隔壁11、爪部12、弾性部13、上方カバー部14、側方カバー部15及び規制部16を備えている。
絶縁隔壁11は、互いに隣り合う一対の外部端子3cの間においてモールド樹脂4の上面4aから突出するように配されることで、これら一対の外部端子3cの絶縁距離を延長するものである。この絶縁隔壁11は、モールド樹脂4の上面4aから突出するように配されると共に一対の外部端子3cの配列方向に互いに間隔をあけて配される一対の隔壁板部11aと、一対の隔壁板部11aをその突出方向の先端部において連結し、弾性変形可能である接続板部11bとを有する。このような絶縁隔壁11において、一対の隔壁板部11aの間隔は、接続板部11bの弾性変形により変化する(特に突出方向基端部が変化する)。
【0034】
爪部12は、絶縁隔壁11の突出方向基端部に形成され、隔壁板部11aの基端部から隔壁板部11aの突出方向に直交する方向に延在する。一対の隔壁板部11aに形成された一対の爪部12は、お互いに離れる方向に延在する。この爪部12は、モールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に挿入されている(
図3参照)。
【0035】
弾性部13は、爪部12の延在方向の先端部12a(
図3参照)に形成されている。弾性部13は、爪部12の先端部12aから、モールド樹脂の上面4aに向かうに従って爪部12の延出方向とは逆向きに延びるように、絶縁隔壁11の突出方向に対して傾斜している。一対の絶縁隔壁11に形成された一対の弾性部13は、これらの先端部13a(
図3参照)の間隔が一対の爪部12の先端部12aの間隔よりも小さくなるように配されている。この弾性部13は、爪部12と共にモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に挿入されることで弾性変形し、爪部12を外部端子3c側(
図3の太矢印側)に押し付ける。上記爪部12及び上記弾性部13によって、絶縁隔壁11は、モールド樹脂4及び外部端子3cに対して固定される。
【0036】
上方カバー部14は、絶縁隔壁11の突出方向の先端部から外部端子3cの上方を覆うように絶縁隔壁11の厚さ方向に延出する平板であり、絶縁隔壁11の突出方向の先端部に一体に形成されている。つまり、上方カバー部14は、ネジ5に対向するように配されている。また、上方カバー部14は、その延出方向の両先端部が上方カバー部14の延出方向の基端部(接続板部11b)よりも低くなっている。一方、上方カバー部14は、その延出方向の両先端部が上方カバー部14の延出方向の基端部よりも高い場合には、側方カバー部15が内側方向に押圧されると、接続板部11bが凹形状になるように変形する。
側方カバー部15は、外部端子3cの側方を覆うことを目的として上方カバー部14の突出方向の先端部に一体に形成されている。
【0037】
規制部16は、
図1,2,4,5に示すように、上方カバー部14の内面から外部端子3cに向けて延在すると共に、2組の一対の外部端子3cの間に配置され、各外部端子3c毎に設けられている。この規制部16は、外部端子3cの側部に当接することにより一対の外部端子3cの配列方向及び絶縁隔壁11の突出方向に直交する方向に絶縁部材10(絶縁隔壁11)が移動することを規制する。つまり、規制部16は、
図2及び5に示す点線矢印方向に絶縁部材10が移動することを規制できる。
【0038】
以上のように構成される半導体装置Aおいて、外部配線を外部端子3cに取り付ける場合には、例えばネジ5をナット6に螺着させて外部配線を2組の一対の外部端子3cにそれぞれ締結した後に、絶縁部材10をモールド樹脂4に取り付ければよい。また、半導体装置Aにおいて、側方カバー部15が指等により挟み込まれるように内側方向に押圧(
図1の太矢印方向に押圧)されると、接続板部11b(上方カバー部14の基端部)が凸形状になるように変形(
図1の点線太矢印方向に変形)することにより隔壁板部11aの間隔が狭くなる(
図3の点線太矢印方向に狭くなる)ため、爪部12をモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間から抜き出すことができる。
【0039】
このような第一実施形態によれば、絶縁隔壁11が爪部12及び弾性部13によってモールド樹脂4及び外部端子3cに対して着脱可能に固定されるので、絶縁隔壁11をモールド樹脂4とは別個に成形することができる。これにより、同一サイズ・形状のモールド樹脂4に内蔵される様々な半導体チップ2のチップ特性に合わせて、様々な大きさの絶縁隔壁11をモールド樹脂4に取り付けることが可能となる。また、絶縁隔壁11は、モールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に爪部12が弾性部13によって外部端子3cに押し付けられることで固定されるので、モールド樹脂4に絶縁隔壁11を取り付けるための形状を形成する必要が無い。したがって、モールド樹脂4の汎用性が向上し、半導体装置Aを安価に製造することが可能となる。さらに、同一サイズ・形状のモールド樹脂4に対して様々な大きさの絶縁隔壁11を取り付けることができるので、半導体装置Aのサイズを必要最小限に抑えることもできる。
【0040】
また、第一実施形態によれば、上方カバー部14における延出方向の両先端部が基端部よりも高いあるいは低い構成になっているので、側方カバー部15が指等により挟み込まれるように内側方向に押圧されると、接続板部11bの変形により隔壁板部11aの間隔が狭くなるため、爪部12をモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間から抜き出すことができる。すなわち、爪部12及び弾性部13によるモールド樹脂4及び外部端子3cに対する絶縁隔壁11の固定が解除されるため、絶縁隔壁11をモールド樹脂4及び外部端子3cから容易に取り外すことが可能になる。
【0041】
また、第一実施形態によれば、絶縁隔壁11は、その突出方向への移動が爪部12により規制されると共に、隣り合う一対の外部端子3cの間に配されることにより該一対の外部端子3cの配列方向への移動が規制される。さらに、第一実施形態によれば、絶縁隔壁11は、その突出方向及び一対の外部端子の配列方向への移動に加えて、これらの方向に直交する方向への移動が規制される。これにより、半導体装置Aをいかなる向きに配しても、重力等によって絶縁隔壁11がモールド樹脂4から不意に外れてしまうことを防止できる。
【0042】
また、第一実施形態によれば、ネジ5の頭部が上方カバー部14及び側方カバー部15によって覆われることで、ネジ5の頭部に触れることを防止できるため、ネジ5の頭部に外力が加えられて外部端子3cに対する外部配線の締結状態が緩んでしまうことを確実に防ぐことができる。また、第一実施形態によれば、絶縁隔壁11に一体に形成される上方カバー部14が外部端子3cの配列方向に延出するので、絶縁隔壁11の高さが低く抑えられたとしても、一対の外部端子3c間の絶縁距離を延ばすことができる。つまり、上記第一実施形態によれば、半導体装置Aのサイズをさらに小さく抑えながら、外部端子3c間の絶縁距離も十分に確保することができる。
【0043】
さらに、第一実施形態によれば、上方カバー部14により外部端子3の上方が覆われると共に側方カバー部15により外部端子3の側方が覆われているので、動作時、つまり外部端子3が通電されている状態時に、人が誤って外部端子に接触して感電することを防止できる。
【0044】
〔第二実施形態〕
次に、
図6を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
第二実施形態に係る半導体装置Bは、第一実施形態と比較して、隔壁板部11aの形状や、外部端子3cが延在する向きや、爪部12及び弾性部13が配置される場所などが異なっている。なお、第一実施形態と同一構成についてはその説明を省略する。
【0045】
一対の外部端子3cは、第一実施形態とは異なり、各々の屈曲部3b側から互いに離れるように延びると共に、屈曲部3b側が互いに間隔をあけて配されている。
第二実施形態に係る半導体装置Bを構成する絶縁部材10は、絶縁隔壁11、爪部12、弾性部13、上方カバー部14、挟持部(側方カバー部)15及び規制部16を備えている。
【0046】
一対の隔壁板部11a各々には、その突出方向からの圧力によって弾性変形する第2の弾性部11cが形成されている。隔壁板部11aは、第2の弾性部11cの弾性変形により突出方向に縮む、つまり、突出方向からの圧力を吸収することができる。
上方カバー部14の延出方向の両先端部は、上方カバー部14の延出方向の基端部(接続板部11b)よりも低くなっている。
狭持部15は、一対の外部端子3cをその配列方向から挟み込む一対の平板であり、上方カバー部14の延出方向の両先端部に一体に形成されている。また、一対の狭持部15各々の先端部には、
図6に示すように、爪部12及び弾性部13が形成されている。
【0047】
つまり、爪部12は、狭持部15の先端部に形成され、狭持部15の先端部から狭持部15の延在方向に直交する方向に延在する。一対の狭持部15に形成された一対の爪部12は、お互いに近づく方向に延在する。この爪部12は、モールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に挿入されている。
【0048】
また、弾性部13は、爪部12の延在方向の先端部12a(
図6参照)に形成されている。弾性部13は、爪部12の先端部12aから、モールド樹脂の上面4aに向かうに従って爪部12の延出方向とは逆向きに延びるように、絶縁隔壁11の突出方向に対して傾斜している。一対の絶縁隔壁11に形成された一対の弾性部13は、これらの先端部13a(
図6参照)の間隔が一対の爪部12の先端部12aの間隔よりも大きくなるように配されている。この弾性部13は、爪部12と共にモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に挿入されることで弾性変形し、爪部12を外部端子3c側に押し付ける。上記爪部12及び上記弾性部13によって、絶縁隔壁11は、モールド樹脂4及び外部端子3cに対して固定される。
【0049】
以上のように構成される半導体装置Bにおいて、外部配線を外部端子3cに取り付ける場合には、第一実施形態の場合と同様に、ネジ5をナット6に螺着させて外部配線を2組の一対の外部端子3cにそれぞれ締結した後に、絶縁部材10をモールド樹脂4に取り付ければよい。また、半導体装置Bにおいて、上方カバー部14の基端部が指等により上方向から押圧(
図6の太矢印方向から押圧)されると、第2の弾性部11cの弾性変形により隔壁板部11aが突出方向に縮むために、上方カバー部14が基端部(接続板部11b)を中心に凹形状に折れ曲がって挟持部15の間隔が広がる(
図6の点線太矢印方向に変形する)ので、爪部12をモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間から抜き出すことができる。
【0050】
第二実施形態の半導体装置Bによれば、第一実施形態と同様に、絶縁隔壁11が爪部12及び弾性部13によってモールド樹脂4及び外部端子3cに対して着脱可能に固定されるので、絶縁隔壁11をモールド樹脂4とは別個に成形することができる。これにより、同一サイズ・形状のモールド樹脂4に内蔵される様々な半導体チップ2のチップ特性に合わせて、様々な大きさの絶縁隔壁11をモールド樹脂4に取り付けることが可能となる。また、絶縁隔壁11は、モールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間に爪部12が弾性部13によって外部端子3cに押し付けられることで固定されるので、モールド樹脂4に絶縁隔壁11を取り付けるための形状を形成する必要が無い。したがって、モールド樹脂4の汎用性が向上し、半導体装置Aを安価に製造することが可能となる。さらに、同一サイズ・形状のモールド樹脂4に対して様々な大きさの絶縁隔壁11を取り付けることができるので、半導体装置Aのサイズを必要最小限に抑えることもできる。
【0051】
また、第二実施形態によれば、上方カバー部14における延出方向の両先端部が基端部よりも低い構成になっているので、上方カバー部14の基端部(接続板部11b)が指等により上方向から押圧されると、上方カバー部14が基端部を中心に凹形状に折れ曲がって挟持部15の間隔が広がるため、爪部12をモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間から抜き出すことができる。すなわち、爪部12及び弾性部13によるモールド樹脂4及び外部端子3cに対する絶縁隔壁11の固定が解除されるので、絶縁隔壁11をモールド樹脂4及び外部端子3cから容易に取り外すことが可能になる。また、第二実施形態によれば、上方カバー部の基端部が指等により上方向から押圧された際に、隔壁板部11a(絶縁隔壁11)に対する上方向(突出方向)からの圧力を第2の弾性部11cが吸収するので、隔壁板部11aが破損しない。
【0052】
また、第二実施形態によれば、絶縁隔壁11は、その突出方向への移動が爪部12により規制されると共に、隣り合う一対の外部端子3cの間に配されることにより該一対の外部端子3cの配列方向への移動が規制される。さらに、第二実施形態によれば、絶縁隔壁11は、その突出方向及び一対の外部端子の配列方向への移動に加えて、これらの方向に直交する方向への移動が規制される。これにより、半導体装置Bをいかなる向きに配しても、重力等によって絶縁隔壁が本体部から不意に外れてしまうことを防止できる。
【0053】
また、第二実施形態によれば、ネジ5の頭部が上方カバー部14及び挟持部(側方カバー部)15によって覆われることで、ネジ5の頭部に触れることを防止できるため、ネジ5の頭部に外力が加えられて外部端子3cに対する外部配線の締結状態が緩んでしまうことを確実に防ぐことができる。また、第二実施形態によれば、絶縁隔壁11に一体に形成される上方カバー部14が外部端子3cの配列方向に延出するので、絶縁隔壁11の高さが低く抑えられたとしても、一対の外部端子3c間の絶縁距離を延ばすことができる。つまり、上記第二実施形態によれば、半導体装置Bのサイズをさらに小さく抑えながら、外部端子3c間の絶縁距離も十分に確保することができる。
【0054】
さらに、第二実施形態によれば、上方カバー部14により外部端子3の上方が覆われると共に側方カバー部15により外部端子3の側方が覆われているので、動作時、つまり外部端子3が通電されている状態時に、人が誤って外部端子に接触して感電することを防止できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態において、絶縁隔壁11は、爪部12、弾性部13、上方カバー部14、側方カバー部(挟持部)15及び規制部16と一体に成形されているが、少なくとも絶縁隔壁11、爪部12及び弾性部13を備えて構成されていればよい。
【0056】
(2)上記実施形態の構成に限定されず、少なくとも半導体チップ2を内蔵した本体部と、半導体チップ2に電気接続されて本体部の外面に配される複数の外部端子3cとを備えた構成に適用することができる。すなわち、本発明における本体部は、上記実施形態のように半導体チップ2を埋設するモールド樹脂4によって構成されてもよいが、例えば半導体チップ2を収容する中空ケースや、中空ケース内にポッティング樹脂を充填して半導体チップ2を封止したものによって構成されてもよい。
【0057】
また、ネジ止めによって外部配線を外部端子3cに締結させる場合、上記実施形態におけるモールド樹脂4は、ナット収容部にナット6を収容する構成であったが、少なくとも外部端子3cに外部配線を締結させるためのネジ5を螺着させるネジ孔が形成されていればよい。したがって、前述の本体部は、例えば、モールド樹脂4や中空ケースにナット6を封止して構成されてもよいし、モールド樹脂4や中空ケースに直接ネジ孔が形成されてもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では、1つの半導体チップ2と2組の一対の外部端子3cとを備える構成であったが、本発明はこれに限定されない。つまり、複数の半導体チップ2や1組または3組の一対の外部端子3cを備える半導体装置に、本発明を適用するようにしてもよい。さらに、外部端子3cの延出方向は、互いに近づくまたは離れる方向に限らず、任意の方向に設定されていてよい。したがって、絶縁隔壁11は、互いに隣り合う一対の外部端子3cの間に配されていればよい。
【0059】
(4)上記実施形態において、絶縁隔壁11は、一対の隔壁板部11aから構成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、1枚であってもよい、また3枚以上であってもよい。例えば、弾性変形可能であると共に所定の厚みを有する1枚の絶縁隔壁11を一対の外部端子3cの間に配する構成にするようにしてもよい。この場合には、外部端子3cの間に挟み込まれた絶縁隔壁11が指等による押圧によって一対の外部端子3cの配列方向に弾性変形することにより、爪部12をモールド樹脂4の上面4aと外部端子3cとの間から抜き出すことができる。すなわち、爪部12及び弾性部13によるモールド樹脂4及び外部端子3cに対する絶縁隔壁11の固定が解除されるので、絶縁隔壁11をモールド樹脂4及び外部端子3cから容易に取り外すことが可能になる。なお、1枚であってある場合には、接続板部11bは存在しない。
【0060】
(5)上記実施形態において、規制部16が外部端子3cに当接することにより一対の外部端子3cの配列方向及び絶縁隔壁11の突出方向に直交する方向に絶縁隔壁11が移動することを規制しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、規制部16が外部端子3c及び/またはモールド樹脂4に当接するようにしてもよい。