(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767968
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】埋め込み可能な医用装置用のプローブ
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
A61N1/05
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-531593(P2011-531593)
(86)(22)【出願日】2009年10月8日
(65)【公表番号】特表2012-505685(P2012-505685A)
(43)【公表日】2012年3月8日
(86)【国際出願番号】IB2009054401
(87)【国際公開番号】WO2010044019
(87)【国際公開日】20100422
【審査請求日】2012年10月1日
(31)【優先権主張番号】08166662.0
(32)【優先日】2008年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511255465
【氏名又は名称】サピエンス ステアリング ブレイン スティムレーション ベー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】ハルベルツ ディルク ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ワン クー
(72)【発明者】
【氏名】デクレ ミシェル エム ジェイ
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/064739(WO,A2)
【文献】
特表2005−515854(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1488738(EP,A1)
【文献】
国際公開第2008/032249(WO,A2)
【文献】
特表2004−519294(JP,A)
【文献】
G.BONMASSAR,RESISTIVE TAPERED STRIPLINE (RTS) IN ELECTROENCEPHALOGRAM RECORDINGS DURING MRI,IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,米国,IEEE SERVICE CENTER,2004年 8月 1日,Vol.52,No.8,PP.1992-1998
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能な医用装置用のプローブであって、前記プローブは、遠位端及び近位端を有し、更に前記遠位端に電極を有し、前記電極は、前記電極から前記プローブの前記近位端まで延びるワイヤに接続されており、前記ワイヤの抵抗率が、前記ワイヤの長さに沿って均一でなく、前記ワイヤの長さに沿って連続的に変化し、かつ、ワイヤの長さに沿ったワイヤのそれぞれの部分の抵抗率がその隣接部分の抵抗率と異なっている、プローブ。
【請求項2】
前記ワイヤは、第1の抵抗率を有する第1のセクション及び第2の抵抗率を有する第2のセクションを有し、前記第1及び第2の抵抗率は異なる、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記ワイヤの前記第1のセクションは、前記電極に近接し、前記第1のセクションの抵抗率は、前記第2のセクションの抵抗率より高い、請求項2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記第1のセクションは、第1の抵抗率をもつ材料で作られ、前記第2のセクションは、第2の抵抗率をもつ材料で作られ、前記第1の抵抗率は前記第2の抵抗率より高い、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記ワイヤの前記第1のセクションは、第1の断面積を有し、前記ワイヤの前記第2のセクションは、第2の断面積を有し、前記第1の断面積は前記第2の断面積より小さい、請求項3又は4に記載のプローブ。
【請求項6】
前記ワイヤの前記第2のセクションは、前記ワイヤの前記第1のセクションより長い、請求項4又は5に記載のプローブ。
【請求項7】
前記ワイヤの前記第1のセクションは、前記ワイヤの2%乃至40%、好適には5%乃至20%、より好適には10%乃至15%を構成する、請求項4又は5に記載のプローブ。
【請求項8】
前記第1のセクションの抵抗率は、前記第2のセクションの抵抗率の2乃至10倍高い、請求項4乃至7のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記ワイヤの前記第1のセクションはポリシリコン材料を含み、前記ワイヤの前記第2のセクションは金属材料を含む、請求項3乃至8のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記ワイヤは、複数のセクションを有し、各々の前記セクションは、それぞれ異なる抵抗率を有する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項11】
請求項1に記載のプローブを有する埋め込み可能な医用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能な医用装置用のプローブに関し、特に、脳内埋め込み可能な医用装置用のプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能な医用装置は、今日、さまざまな疾患に苦しむ患者を処置するために一般に使用されている。例えばペースメーカ又は脳深部刺激(DBS)装置のような電気刺激用の埋め込み可能装置の埋め込み後、装置及び周囲組織は、例えば磁気共鳴イメージング(MRI)スキャンによる患者及び装置のスキャンの間、加熱されうる。人間組織、特に脳組織、は、温度上昇による損傷を受けやすい。脳組織の最大許容温度上昇は、1℃であり、更なる温度上昇は、単一神経細胞及びニューロンネットワーク機能に対する深刻な負の効果を有することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、MRIスキャンの間、医用装置の近傍の誘導電流による、埋め込まれた医用装置及びその周辺における加熱効果を最小限にすることが重要である。
【0004】
理想的には人間組織と同じ比抵抗をもつ高抵抗材料を埋め込み可能な装置全体において選択することが自然であるようにみえうる。しかしながら、これは、低抵抗材料を使用するプローブと比較して、プローブの端部で同じ組織刺激信号を得るためにずっと多くの電力を一般に必要とする。従って、受容できない大きい電池又は受容できない短い電池寿命時間が結果的に生じる。
【0005】
米国特許第4353360号明細書は、身体組織に電気信号を結合するための半導体表面を有する身体埋め込み可能なリード用の電極を記述している。電極は、最も低い導電率を有する材料が身体組織と直接接触するように層状に構成される、それぞれ異なる導電率のいくつかの材料を含む。
【0006】
最小限の熱効果を有する埋め込み可能な医用装置用の改善されたプローブが有利である。更に、埋め込み可能な医用装置用の既知のプローブと比較して、埋め込み後及びMRIスキャン中に埋め込み装置のプローブを囲む人間組織内に低減された電流密度を生成するプローブが有利である。
【0007】
加熱及び/又は大きい電流密度に関する上述の問題を回避する埋め込み可能な医用装置用の代替プローブを提供することが、本発明の目的として認められうる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的及びいくつかの他の目的は、本発明の第1の見地において、埋め込み可能な医用装置用のプローブであって、前記プローブは、遠位端及び近位端を有し、前記プローブは更に、遠位端に電極を有し、前記電極は、電極からプローブの近位端まで延びるワイヤに接続され、ワイヤの抵抗率は、ワイヤの長さに沿って均一でない、プローブを提供することによって達成される。
【0009】
均一でない抵抗率を有するワイヤに接続される電極を有するプローブを提供することによって、MRIスキャ中の望ましくない加熱を防ぐことに関する安全性の問題及び電池寿命時間が互いに均衡されることができるように、プローブをカスタマイズすることが可能である。
【0010】
本発明は特に、これに限らないが、装置が患者に埋め込まれる場合に埋め込み可能な医用装置のプローブ及び/又はそれを囲む組織の高電流密度及びゆえに加熱を低減するために有利である。MRスキャンの間、電極の端部近傍の誘導電流による人間組織の破壊的な加熱又は望ましくない刺激を防ぐために、プローブ内のワイヤの高い抵抗率が必要とされる。これは、電池寿命を増加させるための低消費電力のニーズと対立する。この理由は、低消費電力のニーズのために、信号ワイヤの低い抵抗が必要とされるからである。ワイヤの均一でない抵抗率は、電極からプローブの近位端までのワイヤのある部分がより低い抵抗率を有し、これは、電池寿命に有利であり、ワイヤの他の部分が、より高い抵抗率を有し、これは、プローブ周辺における人間組織の加熱及び望ましくない刺激を低減する、というソリューションを提供する。
【0011】
プローブの遠位端における複数の電極が、ワイヤによってプローブの近位端に接続される場合、プローブの長さに沿って均一でない抵抗率を有するワイヤの割合が増大されると、各電極をプローブの遠位端に接続するワイヤの均一でない抵抗率の有利な効果が、当然ながら増大する。しかしながら、プローブに沿って延在する複数のワイヤのうちの1つのみが均一でない抵抗率を有する場合であっても、有利な効果が達成されることができる。
【0012】
埋め込み可能な医用装置の1つの見地によれば、ワイヤは、第1の抵抗率を有する第1のセクション及び第2の抵抗率を有する第2のセクションを有し、前記第1及び第2の抵抗率は異なる。「セクション」という語は、ワイヤの長さに沿った部分を示すことが意図される。本願の全体を通じて、第1のセクションは、第2のセクションより遠位端に近い。
【0013】
プローブの別の見地によれば、ワイヤの第1のセクションは、電極に隣接し、第1のセクションの抵抗率は、第2のセクションの抵抗率より高い。電極の近傍又は電極におけるワイヤの第1のセクションの抵抗率が高い場合、外部電界中の電極周辺の電流密度が、低減されることができる。従って、プローブが挿入される場合、人間組織における電流密度が低減される。
【0014】
患者及びプローブがMRIフィールド中にある場合、埋め込まれた医用装置を囲む組織において、電流は、一般にプローブの遠位端の近傍に集中する。これは、組織及びプローブの加熱を引き起こす。本発明は、さもなければ電流密度が最も大きい所で、電流がより多く拡散するように、ワイヤの抵抗率を増大することを提案する。一般に、これは更に、MRI周波数の総誘導電流を低減するが、総電流が同じままである場合であっても、加熱は電流密度の二乗に比例するので、加熱は、埋め込まれたプローブ周辺の電流のより均一な分布により、低減する。
【0015】
更に別の見地によれば、第1のセクションは、第1の抵抗率をもつ材料で作られ、第2のセクションは、第2の抵抗率をもつ材料で作られ、第1の抵抗率は、第2の抵抗率より高い。代替として又は同時に、ワイヤの第1のセクションは、第1の断面積を有し、ワイヤの第2のセクションは第2の断面積を有し、第1の断面積は、第2の断面積より小さい。後者の見地によれば、ワイヤの断面積は、プローブの長さに沿って均一でない。従って、抵抗率のバリエーションは、材料の抵抗率を変えることによって及び/又はワイヤの断面積又は厚さを変えることによって、達成されることができる。
【0016】
他の見地によれば、ワイヤの第2のセクションは、ワイヤの第1のセクションより長い。従って、ワイヤの大部分は、低い抵抗率を有し、ワイヤの残りの部分は、より高い抵抗率を有する。例えば、ワイヤの第1のセクションは、ワイヤの2%乃至40%、好適には5%乃至20%、より好適には約10%乃至15%を構成しうる。ここで使用される「より長い」という語は、「ワイヤの長手方向においてより大きい」ことを示すことが意図される。ワイヤの長手方向は、概して、プローブの長手方向に対応する。
【0017】
第1のセクションの抵抗率は、第2のセクションの抵抗率より2乃至10倍高いものでありうる。これにより、均一な抵抗率を有するワイヤによって接続される電極を有するプローブと比較して、プローブ全体に沿った電流のより均一な分布が、達成されることができる。
【0018】
更に別の見地によれば、ワイヤの第1のセクションは、ポリシリコン材料を含み、ワイヤの第2のセクションは、金属材料を含む。ポリシリコン材料は、高抵抗であり、ワイヤの第1のセクションにおいて、より低い電流密度を生じさせる。
【0019】
プローブの別の見地によれば、ワイヤは、1又は複数の他のセクションを有し、各々の他のセクションは、ワイヤの他のセクションと異なる抵抗率を有する。従って、ワイヤは、複数の抵抗率を含みうる。代替として、ワイヤの抵抗率は、ワイヤの長さに沿って連続的に変化する。プローブが外部電磁界中にあるとき、互いに異なる抵抗率を有するワイヤの隣接するセクションは、相対的に高い電流密度のホットスポットを生成しうる。抵抗率の連続する変化をもつワイヤを提供することによって、このようなホットスポットが、軽減されることができる。
【0020】
本発明のそれぞれ異なる見地は、他の見地の任意のものと各々組み合わせられることができる。本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】埋め込み可能な電気刺激装置用のプローブの断面図。
【
図2a】外部電界中の棒の周辺の等電位線を示す図。
【
図2b】外部電界中の棒の周辺の等電位線を示す図。
【
図3】人間の患者の頭蓋骨に埋め込まれるプローブを有する医用装置の概略図。
【
図4】本発明による埋め込み可能な電気刺激装置用のプローブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例示によって説明される。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による電気刺激プローブ10の断面図である。プローブ10は、遠位端2及び近位端3を有する。プローブ10は、その遠位端2の近傍に位置する複数の電極1を有する。代替として、ただ1つの電極1も企図されうる。しかしながら、高解像度刺激を提供するために、2以上の電極が有利である。
図1は更に、エレクトロニクスを収容し、プローブ10の近位端3に接続されるチャンバ4を示す。更に、
図1は、電極1の各々からプローブ10の近位端3及びチャンバ4まで延びるワイヤ5を示す。
【0024】
プローブは、例えば脊髄、神経根、筋肉又は脳組織のような処置されるべき患者の組織に埋め込まれ、このような関心領域の電気刺激を提供するように構成され、かかる刺激は、患者の状態を緩和することが期待される。電気刺激装置は、一般に、プローブ10の電極1を介して組織を刺激する電気パルスのパターンの生成のためにチャンバ4を介してプローブ10の近位端3に接続される電池(図示せず)及びパルス発生器(図示せず)を有する。
【0025】
図2aは、外部電界中で、金属棒のような導電性材料20の棒の周囲の等電位線の図である。金属棒20は、2つの端部21を有する。外部電界の等電位線は、線22によって示されている。
図2は、電気的等電位線が外部電界中で導電性金属棒20の輪郭をどのようにたどるかを示している。これは、
図2に示されるワイヤの端部21の近傍に高電界強度を生じさせ、
図2では、等電位線が、金属棒の端部21の近傍で互いに密になっている。金属棒20が、例えば人間の脳である人間組織のような、弱導電性媒体に埋め込まれる場合、電流密度はオームの法則に従って電界に比例するので、等電位線の分布は、棒20の端部21の近傍に高電流密度をもたらす。
【0026】
図2bは、外部電界中の棒の周囲の等電位線の図である。金属棒は、2つの端部21'を有する。棒は、異なる導電率を有する3つの領域20a、20b及び20cに分割される。外部電界の等電位線が、線22によって示され、
図2bは、電気的等電位線22が外部電界中で異なる抵抗率の3つの領域を有する棒の輪郭をどのようにたどるかを示している。
【0027】
領域20aは、高い導電性及び低い抵抗率を有する。等電位線は、このような材料に入射することができず、その形状の周辺で曲げられる。従って、領域20aの左側の等電位線の密度は、相対的に高い。電界強度は等電位線の密度に比例するので、これは、領域20aの左側に高い電界強度を生じさせる。
【0028】
領域20bは、領域20aより高い抵抗を有し、領域20cは、領域20aよりかなり高い抵抗を有し、20bより高い抵抗を有する。これは、等電位線が領域20cと交わることを可能にする。これらの等電位線は、領域20cの右側周辺で曲げられないので、結果として得られる等電位線の密度は、領域20aの左側よりも、領域20cの右側においてずっと低い。これは、低抵抗を有する棒の左側と比較して、高抵抗を有する領域20cの右側においてより低い電界強度を生じさせる。
【0029】
図3は、人間患者の頭蓋骨100に埋め込まれるプローブ30を有する医用装置の概略図である。プローブ30は、遠位端32及び近位端33を有し、近位端33が、医用装置のチャンバ34に接続される。
図4の例において、患者は、外部電界を受けており、その等電位線が図示されている。
図3から、プローブ30の遠位端32の近傍の等電位線は、遠位端32の近傍の相対的に高い電流密度に対応して、非常に密であることが明らかである。
図3のプローブ30は、本発明によるプローブでないことに注意されたい。このようなプローブは、等電位線の変更される構成を提供する。
【0030】
図4は、本発明による電気刺激装置のプローブ10の一実施形態を示す。プローブ10は、遠位端2及び近位端3を有する。明確にするため、
図2は、プローブ10の1つの電極1のみを示し、電極1は、遠位端2の近傍に位置する。しかしながら、高解像度刺激を提供するために、2以上の電極1が、一般に有利である。第1のセクション5aは、プローブの長さに沿って、電極から第2のセクション5bまで延在する。ワイヤの第2のセクション5bは、第1のセクション5aとのインタフェース部分からプローブの近位端3まで延在し、ワイヤ5bは、チャンバ4内のエレクトロニクスに接続されうる。本発明によれば、第1のセクション5aは、第1の抵抗率を有し、第2のセクション5bは、第2の抵抗率を有し、第1及び第2の抵抗率は異なる。
【0031】
本発明の見地において、第1のセクション5aの抵抗率は、第2のセクション5bの抵抗率より高く、従って、電極の近傍のワイヤの抵抗率は、ワイヤの残りの部分と比較して高い。
【0032】
プローブの一実施形態において、第1のセクション5aは、第1の抵抗率をもつ材料で作られ、第2のセクション5bは、第2の抵抗率をもつ材料で作られ、第1の抵抗率は第2の抵抗率より高い。これにより、ワイヤのそれぞれ異なる抵抗率が、ワイヤのそれぞれ異なるセクションについてそれぞれ異なる材料を選択することによって、達成される。代替として又は同時に、ワイヤの第1のセクション5aは、第1の断面積を有し、ワイヤの第2のセクション5bは、第2の断面積を有し、第1の断面積は、第2の断面積より小さい。抵抗材料の抵抗率ρは、ρ=R・l/Aとして規定されるので、第1及び第2のセクションのそれぞれ異なる断面積は、ワイヤの異なる抵抗率を与える。ここで、Rは、材料の固有抵抗率であり、Aは、材料の一部の断面積であり、lは材料の一部の長さである。
【0033】
図4から、ワイヤの第2のセクション5bは、ワイヤの第1のセクション5aより長いことが分かる。
図4において、第1のセクション5aの長さは、aによって示され、第2のセクション5bの長さは、bによって示される。一般に、ワイヤの第1のセクションは、ワイヤの長さの2%乃至40%、好適には5%乃至20%、より好適には10%乃至15%を構成する。従って、aは、ワイヤの全長a+bの2−40%、好適には5−20%、より好適には10−15%を構成しうる。
【0034】
更に、第1のセクション5aの抵抗率は、有利には、第2のセクション5bの抵抗率より2乃至10倍高くなりうる。例えば、ワイヤの第1のセクション5aは、ポリシリコン材料を含み、ワイヤの第2のセクション5bは、金属材料を含む。
【0035】
図4に示されるワイヤは、2つのセクション5a、5bのみを有するが、ワイヤが2より多くの異なるセクションを有し、各セクションが、ワイヤの他のセクションと異なる抵抗率を有することが企図される。代替として、ワイヤの抵抗率は、ワイヤの長さに沿って連続的に変化しうる。
【0036】
ただ1つの電極1が
図4に示されているが、一般に、プローブ10は、例えば64電極のような複数の電極を有し、各電極は、ワイヤによってプローブ10の近位端3及び医用装置のチャンバ4に接続されることが理解される。
【0037】
要するに、本発明は、埋め込み可能な医用装置用のプローブ10に関する。プローブは、遠位端2及び近位端3を有し、プローブ10は更に、遠位端に電極1を有する。電極は、電極からプローブの近位端まで延びるワイヤ5に接続され、ワイヤの抵抗率は、ワイヤの長さに沿って均一でない。ワイヤは、プローブの遠位端において高い抵抗率を有し、ワイヤの他の部分において低い抵抗率を有することができる。高抵抗率のワイヤは、埋め込み装置の組織におけるピーク電流密度を低減し、従って、MRI検査の間、組織の破壊的な加熱及び/又は望ましくない刺激を防ぐ。これは、MR安全性に大きく寄与し、これは、これらの埋め込み可能な電気刺激装置にとって非常に望ましい特徴である。
【0038】
本発明は、特定の実施形態に関連して記述されているが、ここに示される特定の形式に制限されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。請求項において、「含む、有する」という語は、他の構成要素又はステップの存在を除外しない。加えて、個別の特徴が、それぞれ異なる請求項に含まれうるが、これらは、可能性として有利に組み合わせられることができ、それぞれ異なる請求項における包含は、特徴の組み合わせが実現可能でなく及び/又は有利でないことを示さない。更に、単数形が示すものは、複数性を除外しない。「a」、「an」、「第1」、「第2」等の言及は、複数性を妨げない。更に、請求項における参照符号は、その範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。