特許第5767982号(P5767982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767982
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20150806BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20150806BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20150806BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
   G08G1/00 D
   H04N5/91 C
   H04N5/91 L
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-13876(P2012-13876)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-152671(P2013-152671A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】鹿子島 順一
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−227861(JP,A)
【文献】 特開2008−204304(JP,A)
【文献】 特開2008−140334(JP,A)
【文献】 特開2010−205090(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/001609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
G08G 1/00
H04N 5/765
H04N 5/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、映像データを取得するカメラと、
前記カメラにより取得された前記映像データのエンコードを行う画像処理部と、
音声を音声データとして取得し、前記音声データを再生する音声制御部と、
前記画像処理部によりエンコードされた前記映像データと前記音声制御部により取得された前記音声データとの記録を制御する記録制御部と、
前記画像処理部、前記音声制御部及び前記記録制御部を制御する制御部と、
前記映像データを表示する表示部と、
前記音声データを音声として出力するスピーカと、
前記単位映像データをデコードして前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記音声制御部により取得された音声データのうち、所定の時間内に記録された音声データを、リニアPCM方式により単位音声データとして前記記録制御部に記録させると共に、
前記カメラにより取得された映像データのうち、前記所定の時間内に記録された映像データを、単位画像からなる単位映像データとして前記単位音声データに対応させて前記記録制御部に記録させ
前記音声制御部に、記録された前記単位音声データを音声として前記スピーカから再生させる指示を行うと共に、前記表示制御部に、前記単位音声データに対応して記録された前記単位映像データを、所定の間隔のタイミング信号に同期して前記表示部に送り、前記表示部に表示させる指示を行う
ことを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記制御部は、前記単位音声データに記録開始時の時刻情報を付与して前記記録制御部に記録させることを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示制御部に前記単位映像データを前記表示部に表示させる指示を行い、
前記表示制御部は、前記単位映像データの一つの単位画像をデコードして前記表示部に表示し、当該単位画像が前記表示部に表示されている間に、次の単位画像のデコードを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の映像データ及び音声データを記録するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行データを映像データと共に記録するドライブレコーダを車両に搭載することが行われている。ドライブレコーダは、例えば車両に衝撃が発生した場合に、その衝撃が発生した時刻を含む前後の所定時間の映像データを取得し、メモリカードに記録するように構成されている。
【0003】
また、ドライブレコーダにおいて、メモリカードに記録された映像データの内容を確認する場合には、車載のカーナビゲーションシステムのモニタ機能を利用して映像データを再生する又は映像データ再生機能を備えるパーソナルコンピュータ(PC)にメモリカードを移動させる必要がある。
【0004】
特許文献1には、カメラにより取得された画像データを表示するモニタとして、車両の制御内容を表示するためのモニタ又はカーナビゲーション用のモニタとしたドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−193257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、動画情報の記録フォーマットとして一般的に用いられるものにMPEG4等の動画圧縮形式が知られている。MPEG4形式で記録された映像データは音声を含んで記録可能であるので、ドライブレコーダに再生機能を備えて、映像データと音声データとを再生することができる。しかしながらMPEG4形式は、フレーム間圧縮により記録される。MPEG4形式は、動画から単一の静止画像データを抜き出したとしても画像の鮮鋭度が低いため、証拠能力が劣る。
【0007】
また、モーションJPEG形式という画像圧縮規格も知られている。モーションJPEG形式は、フレーム間の圧縮を行わないため、静止画像データを抜き出した場合の精鋭度が高いので証拠能力も高い。
【0008】
一方で、モーションJPEG形式ではMPEG4形式よりも記録されるデータサイズが大きくなる、また、映像データと共に音声データを記録しようとした場合には、モーションJPEGでは音声を同時に記録したり同時に再生する規格が存在しないので、音声データを記録する処理部を備えたり、映像データを表示する表示部を備えただけでは、モーションJPEGの映像データと音声データとを同期して記録、再生することが容易でなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、映像データと音声データとを同時に記録できるドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両に搭載され、映像データを取得するカメラと、カメラにより取得された映像データのエンコードを行う画像処理部と、音声を音声データとして取得し、音声データを再生する音声制御部と、画像処理部によりエンコードされた映像データと音声制御部により取得された音声データとの記録を制御する記録制御部と、画像処理部、音声制御部及び記録制御部を制御する制御部と、映像データを表示する表示部と、音声データを音声として出力するスピーカと、単位映像データをデコードして表示部に表示させる表示制御部と、を備え、制御部は、音声制御部により取得された音声データのうち、所定の時間内に記録された音声データを、リニアPCM方式により単位音声データとして記録制御部に記録させると共に、カメラにより取得された映像データのうち、所定の時間内に記録された映像データを、単位画像からなる単位映像データとして単位音声データに対応させて記録制御部に記録させ、音声制御部に、記録された単位音声データを音声としてスピーカから再生させる指示を行うと共に、表示制御部に、単位音声データに対応して記録された単位映像データを、所定の間隔のタイミング信号に同期して表示部に送り、表示部に表示させる指示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、音声データを、単位音声データとして記録制御部に記録させると共に、映像データを、単位画像からなる単位映像データとして単位音声データに対応させて記録制御部に記録させるので、単位映像データと単位音声データとを対応付けて記録することができ、記録された単位映像データと単位音声データとを同期して再生することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の本発明のドライブレコーダを含むドライブレコーダシステムの説明図である。
図2】本発明の実施形態のドライブレコーダの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態の制御部が実行する映像データの記録を示す説明図である。
図4】本発明の実施形態の暗号化処理の説明図である。
図5】本発明の実施形態の映像データ及び音声データの再生の処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10を含むドライブレコーダシステム1の説明図である。
【0015】
ドライブレコーダシステム1は、車両11に搭載されるドライブレコーダ10と、事業所等に設置されるパーソナルコンピュータ(以下、PC)20と、ドライブレコーダ10が取得するデータを記録するメモリカード30とから構成される。
【0016】
ドライブレコーダ10は、車両11から走行データ(例えば車速、エンジン回転数、緯度、経度等)を取得して、これらを日時情報と共に所定の時間間隔で記録する。また、ドライブレコーダ10は、カメラ12が接続されており、カメラ12により取得された映像データを記録する。また、ドライブレコーダ10は、マイク192が接続されており、マイク192により取得された音声データを記録する。これら走行データ、映像データ及び音声データは、記録制御部150を介してメモリカード30に記録される。
【0017】
ドライブレコーダ10は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行う記録制御部150と、メモリカード30に人為的に映像データを記録させる記録ボタン180と、点灯状態(色、点滅等)によりドライブレコーダ10の状態を表示するLED193とが設けられている。
【0018】
ドライブレコーダ10は、映像データを表示するための表示部15を備える。また、ドライブレコーダ10は、記録した音声を出力するスピーカ191を備える。なお、表示部15は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)により構成されている。
【0019】
PC20は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードインタフェース21と、映像データ等を表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部22と、ユーザからの指示が入力可能なキーボード及びマウス等からなる入力部23とから構成される。
【0020】
メモリカード30は、記録制御部150及びメモリカードインタフェース21により読み書き可能に構成されており、例えばSD(Secure Digital)やCF(Compact Flash(登録商標))等のフラッシュメモリカードが用いられる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10の機能ブロック図である。
【0022】
ドライブレコーダ10は、A/D変換部110と、画像処理部140と、内部メモリ130と、記録制御部150と、制御部160と、表示制御部162と、加速度センサ170と、記録ボタン180と、音声制御部190と、電源制御部200と、を備える。制御部160は、これら、A/D変換部110、画像処理部140、内部メモリ130、記録制御部150、加速度センサ170、記録ボタン180、音声制御部190及び電源制御部200に接続され、これら各部を制御する。また、制御部160はLED193に接続し、LED193の点灯状態を制御する信号を出力する。また、制御部160は、フラッシュROM120に接続し、フラッシュROM120に記録されたデータの読み出しを制御する。
【0023】
A/D変換部110は、カメラ12から受信した映像信号をA/D変換して映像データとして出力する。画像処理部140は、映像データ記録時には、A/D変換部110から出力された映像データに対して所定のエンコード方式に基づいて画像処理を行い、エンコードされた映像データを内部メモリ130に出力する。
【0024】
なお、本実施形態では、画像処理部140は、映像データを所定時間単位のJPEG画像としてエンコードする。映像データの再生時には、JPEG画像を所定時間間隔で再生することにより、動画として再生される。
【0025】
内部メモリ130は、SDRAM等の揮発性メモリからなるバッファ領域を備え、制御部160の制御により、メモリカード30に映像データを記録するとき一次的に映像データを記録するバッファとし用いることができる。
【0026】
フラッシュROM120は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリから構成されており、ドライブレコーダ10に供給される電源が断たれてドライブレコーダ10の動作が停止した後も、記録されたデータを保持できるように構成されている。フラッシュROM120は、ドライブレコーダの動作に関わるプログラムや設定データを記録する。
【0027】
加速度センサ170は、車両11に加わる加速度を検出して、検出した加速度が所定の閾値を超えた場合に、その旨を制御部160に通知する。また、記録ボタン180は、加速度センサ170によるイベントの発生の検出にかかわらず、ユーザが操作することにより走行データ、映像データ及び音声データをメモリカード30に記録させる。制御部160は、加速度センサ170からの通知を受けた場合は、車両11に衝撃等のイベントが発生したと判断して、内部メモリ130のバッファ領域から衝撃発生時刻を含む前後の所定時間(例えばイベント検出前12秒間及びイベント検出後8秒間)の映像データ及び音声データを抽出する。抽出した映像データ及び音声データは、記録制御部150によりメモリカード30に記録される。
【0028】
より具体的には、カメラ12は映像信号を常に取得しており、この映像信号は、A/D変換部110、画像処理部140を経て、映像データとして内部メモリ130に常に記録される。また映像データを記録しているのと同時に、マイク192に入力される音声は、音声制御部190の処理により、音声データとして内部メモリ130に常に記録される。
【0029】
このようにして、加速度センサ170が所定の閾値を超えた値を検出したとき又は記録ボタン180が操作されたときのイベント検出時の映像データ及び音声データがメモリカード30に記録される。
【0030】
音声制御部190は、音声の記録及び再生を制御する。音声制御部190は、スピーカ191及びマイク192が接続される。音声制御部190は、制御部160の制御により、映像データを記録しているときにマイク192によりドライブレコーダ10の周囲の音声を取得し、取得した音声データを内部メモリ130に記録する。また、音声制御部190は、制御部160の制御により音声データを再生するときに、これをスピーカ191を介して出力させる。
【0031】
音声制御部190が記録する音声データは、例えばリニアPCM方式によりサンプリング及び量子化される。なお、リニアPCM方式は、記録される音声データのデータ量が固定長であるので、音声データの先頭からのビット数(オフセット)に対応して、先頭からの記録時間が推移する記録形式である。
【0032】
電源制御部200は、車両11から電力の供給を受けて、制御部160及び制御部160介して各部に、電力を供給する。また、電源制御部200はバッテリを内蔵しており、車両11からの電力の供給が絶たれた場合にも一定時間制御部160及び各部に電力を供給できるように構成されている。
【0033】
また、表示制御部162は、表示部15に映像データ等を表示させる制御を行う。表示制御部162は、制御部160から送られた映像データをデコードして、表示部15に表示させる。
【0034】
次に、以上のように構成されたドライブレコーダ10の動作を説明する。
【0035】
図3は、本実施形態の制御部160が実行する映像データの記録を示す説明図である。
【0036】
カメラ12により取得された映像信号は、A/D変換部110によりデジタルデータに変換され、画像処理部140により所定のエンコード方式にエンコードされ、映像データ201として内部メモリ130に記録される。映像データ201は、JPEG画像からなる複数の単位画像204から構成される。
【0037】
また、マイク192に入力される音声は、音声制御部190によりデジタルデータに変換され、音声データ210として内部メモリ130に記録される。音声データ210は、リニアPCM形式のデジタルデータから構成される。
【0038】
ここで、制御部160が加速度センサ170又は記録ボタン180の操作によりイベントが検出されたと判定した場合は、内部メモリ130から、イベントが検出された時刻を含む前後の所定時間内に記録されている映像データ201及び音声データ210を抽出する。制御部160は、抽出された映像データ201及び音声データ210を、記録制御部150を介してメモリカード30に単位映像データ202及び単位音声データ211として記録する。単位映像データ202は、映像データ201から所定時間内に記録されていた複数の単位画像204を切り出し、これを時系列に連続して記録したものである。単位音声データ211は、音声データ210から所定時間内に記録されていた音声を切り出したものである。
【0039】
また、制御部160は、単位映像データ202に含まれる単位画像204それぞれについて、単位映像データ202の先頭アドレスから当該単位画像204が存在するアドレスまでのオフセットと、当該単位画像204のサイズとを取得して、メモリカード30に画像記録情報203として記録する。図3に示す例では、単位映像データ202は15個の単位画像204を含んでおり、これら全てについて、オフセットとサイズとを取得して、画像記録情報203に記録する。
【0040】
単位画像204は、画像処理部140においてエンコードされたときにサイズが決定する。そこで、例えば、制御部160が各単位画像204のサイズを記憶しておき、イベントの検出時にメモリカード30に単位映像データ202を記録するときに、単位映像データ202に含まれる単位画像204のサイズを画像記録情報203に記録すると共に、単位映像データ202に記録された順に各単位画像204のオフセット位置を決定し、これを画像記録情報203に記録する。
【0041】
または、制御部160が、メモリカード30に単位映像データ202を記録した後、単位映像データ202の内容を先頭から取得して各単位画像204を検出し、それぞれについてサイズ及びオフセットを取得して、画像記録情報203に記録してもよい。
【0042】
このような処理により、メモリカード30に、イベントを検出した時に切り出された単位映像データ202に加えて、この単位映像データ202に対応する画像記録情報203が記録される。
【0043】
この画像記録情報203を参照することにより、ドライブレコーダ10やPC20において、単位映像データ202の再生が容易になる。例えば、ドライブレコーダ10において単位映像データ202を再生するときに、画像記録情報203を参照して単位映像データ202に含まれている個々の単位画像204を独立して取得することができる。これにより、単位映像データ202を再生するときには、単位映像データ202の全てをメモリカード30から一度に読み出す必要がなく、再生の要求があったときからすぐに再生処理を開始することができる。また、早送り再生及び巻き戻しの再生の場合にも、単位画像204毎に読み出すことができるので、単位映像データ202の全てをメモリカード30から一度に読み出す必要がなく、読み出しの遅延が生じることがないので、単位映像データ202コマ送りや早送り、巻き戻しが容易に行える。
【0044】
また、単位音声データ211は、音声ファイルとしてメモリカード30に記録され、単位映像データ202とは別のファイルに記録される。さらに、単位音声データ211は、リニアPCM方式により記録される。すなわち、音声データ210の先頭からのビット数に対応して先頭からの記録時間が推移するように記録される。従って、単位映像データ202がモーションJPEGであっても、単位映像データ202と単位音声データ211とを同期して記録させることができる。また、先頭からのオフセット位置により所望の時刻の音声を再生できるので、音声の再生時刻に合わせた単位映像データ202を表示すればよく、単位映像データ202と同時に音声を再生することが容易である。
【0045】
また、制御部160は、単位映像データ202をメモリカード30に記録するときに、単位映像データ202の暗号化処理を行ってもよい。単位映像データ202の暗号化処理を行うことにより、メモリカード30に記録されている単位映像データ202が第三者により読み取りや改ざんされる虞がなくなる。
【0046】
具体的には、単位映像データ202に含まれる個々の単位画像204について、単位画像204の先頭部分の所定の領域(JPEGヘッダ領域214)を、次に説明するような所定の暗号化方式により暗号化する。
【0047】
図4は、本実施形態の暗号化処理の説明図である。
【0048】
制御部160は、単位画像204のJPEGヘッダ領域214を、予め設定されている暗号化キーを用いて、ビットシフト等の手法により暗号化を行う。この暗号化キーは、単位映像データ202のファイル名や記録日時等の情報を元に、例えばハッシュ関数を用いてドライブレコーダ10内で一意の暗号化キーとして作成される。このとき、制御部160は、JPEGヘッダ領域214の少なくとも一部を暗号化する。例えば、制御部160は、JPEGヘッダ領域214の先頭部分から、所定のバイト数の間の領域のデータを暗号化キーにより暗号化する。また、暗号化される領域は不定長とする。
【0049】
制御部160は、単位画像204のJPEGヘッダ領域214を16進数表記したときの各バイトを、暗号化キーによりシフトした文字列に変換することにより暗号化を行う。暗号化キーは、例えば0〜255の数値となっており、JPEGヘッダ領域214を構成する各バイトをそれぞれ暗号化キーの数値に対応してシフトすることにより、ファイルが、第三者により解読することが極めて困難なデータとなる。
【0050】
また、暗号化を行う領域は、JPEGヘッダ領域214の先頭から、暗号化キーの数値に対応したバイト数(例えば1〜256)までを、前述のように暗号化キーによりシフトした文字列に変換する。
【0051】
このように、JPEGデータであることを示すJPEGヘッダ領域214を暗号化することにより、単位画像204を連続して記録している単位映像データ202においては、単位画像204と単位画像204との境界が第三者により判別できなくすることができる。従って、第三者は、単位映像データ202から、個々の単位画像204を解読して取得することが極めて困難となり、第三者により個々の単位画像204が解読されることが防止される。
【0052】
一方で、暗号化キーは、前述のように、例えば単位映像データ202のファイル名や記録日時等の情報からハッシュ関数を用いて一意の暗号化キーとして作成される。この映像データのファイル名や記録日時等の情報及びハッシュ関数を用いることで、暗号化された映像データを復号化する処理を行うことができる。また、暗号化される領域は単位画像の先頭から数バイトであるので、暗号化処理及び復号化処理の処理負荷が小さくて済む。
【0053】
次に、記録された単位映像データ202及び単位音声データ211の再生処理を説明する。
【0054】
図5は、本実施形態のドライブレコーダ10における単位映像データ202及び単位音声データ211の再生の処理を示す説明図である。
【0055】
この図5に示す例は、例えばユーザから単位映像データ202の再生指示があったときに、メモリカード30に記録されている単位音声データ211を音声制御部190の処理によりスピーカ191を介して再生させると共に、メモリカード30に記録されている単位映像データ202を表示部15に表示させる処理を示す。
【0056】
制御部160は、単位映像データ202の再生指示があった場合は、まず、メモリカード30に記録されている単位音声データ211を取得して、音声制御部190を制御して、音声をスピーカ191から出力させる。
【0057】
音声制御部190は、制御部160から単位音声データ211が送られると、送られた単位音声データ211をコーデックによりデコードし、D/A変換等の信号処理を行って音声信号に変換する。変換された音声信号はスピーカ191より音声として出力される。
【0058】
また、制御部160は、例えば、単位音声データ211の先頭部分から再生指示があった場合に、当該単位音声データ211に同期する単位映像データ202の先頭部分の単位画像204(001.JPG)を読み出し、表示制御部162に送る。
【0059】
具体的には、制御部160は、画像記録情報203を参照して、単位音声データ211の先頭部部分に同期する単位画像204の位置及びサイズをメモリカード30に記録されている単位映像データ202から取得して、単位画像204(001.JPG)を読み出す、読み出した単位画像204は、表示制御部162に送られる。
【0060】
ここで、制御部160は、所定の間隔のタイミング信号(V_sync)を生成している。このタイミング信号は、単位映像データ202のフレームレートの単位時間であり、例えば、30[fps]とする。また、表示部15は、このタイミング信号を、単位映像データ202を表示する同期信号に用いる。
【0061】
以降は、制御部160は、タイミング信号に同期して、次の単位映像データ202の一つのフレームである単位画像204(002.JPG)を一つ読み出して表示制御部162に送る。表示制御部162は、一つ前の単位画像204(001.JPG)を表示部15に表示している間に、送られた次の単位画像204(002.JPG)をデコードする。そして、デコードされた次の単位画像204(002.JPG)を表示部15に表示させる。これを繰り返すことにより、タイミング信号に同期して単位画像204が表示部15に次々と表示されることにより、単位映像データ202が動画として再生される。なお、単位音声データ211は、前述のようにリニアPCM方式により記録されているので、単位映像データ202の再生による時刻の推移は、単位音声データ211の再生による時刻の推移と同期することができる。従って、単位映像データ202の先頭にある単位画像204の再生の開始を、単位音声データ211を再生するのと同じタイミングとすれば、以降は、単位映像データ202と単位音声データ211とが同期して再生される。
【0062】
以上のように、本発明の実施の形態のドライブレコーダ10は、カメラ12により取得された映像データ201のエンコードを行う画像処理部140と、マイク192により取得される音声を音声データ210として取得する音声制御部190と、を備え、制御部160は、音声制御部190により取得された音声データ210のうち、所定の時間内に記録された音声データ210を、単位音声データ211として記録制御部150を介してメモリカード30に記録させると共に、カメラ12により取得された映像データ201のうち、所定の時間内に記録された映像データ201を、単位画像204からなる単位映像データ202として単位音声データ211に対応させて記録制御部150を介してメモリカード30に記録させるように構成した。
【0063】
このように構成することにより、ドライブレコーダ10は、単位映像データ202と単位音声データ211とを共に記録することができる。
【0064】
また、映像データを表示する表示部15と、音声データを音声として出力するスピーカ192と、単位映像データ202をデコードして表示部15に表示させる表示制御部162をさらに備え、制御部160は、音声制御部190に、記録された単位音声データ211を音声としてスピーカ191から再生させる指示を行うと共に、表示制御部162に、単位音声データ211に対応して記録された単位映像データ202を表示部15に表示させる指示を行うように構成した。
【0065】
このように構成することにより、単位音声データ211と、単位映像データ202とを、同時に再生することができる。特に、単位映像データ202と共に単位音声データ211を再生するときに、単位映像データ202の単位画像204を、画像記録情報203を参照して連続して再生することができる。画像記録情報203を参照して、単位音声データ211に対応する単位画像204を再生するので、音声と映像を容易に同期して再生することができる。
【0066】
また、音声制御部190により取得される音声データ210はリニアPCM方式により記録される。リニアPCM方式は、記録される音声データ210のデータ量が固定長であるので、音声データ210の先頭からのビット数(オフセット)に対応して、先頭からの記録時間が推移する記録形式であるので、単位映像データ202の先頭にある単位画像204の再生の開始を、単位音声データ211を再生するのと同じタイミングとすれば、単位映像データ202と単位音声データ211とが同期して再生される。
【0067】
また、単位音声データ211に切り出した時点での時刻情報を記録することにより、単位映像データ202と単位音声データ211と記録された時刻を同期して再生することができる。特に、メモリカード30内に複数の映像データ201、音声データ210が記録されている場合であっても、切り出した時点での時刻情報が記録されていることにより、単位映像データ202と単位音声データ211とを対応させることができ、単位映像データ202と単位音声データ211とを同期して再生させることができる。
【0068】
また、制御部160は、単位映像データ202に含まれる単位画像204を順次読み出して表示制御部162に送る。表示制御部162は、単位映像データ202のうち一つの単位画像204をデコードして表示部15に表示し、当該単位画像204が表示部15に表示されている間に、次のタイミングで記録された単位画像204のデコードを行う。このように構成することにより、表示制御部162においてデコード処理のための遅延が生じることなく、表示部15にタイミング信号に同期して単位画像204が次々と表示されることにより、単位映像データ202を動画として再生させることができる。
【0069】
なお、単位映像データ202をメモリカード30に記録するときに、単位映像データ202に含まれる個々の単位画像204の一部(JPEGヘッダ部分)を暗号化キーにより暗号化してもよい。この暗号化処理では、単位映像データ202全体を暗号化するよりも処理が容易となる。従って、処理負荷や処理速度を高めるために制御部等のコストを増加することがない。
【0070】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 ドライブレコーダシステム
10 ドライブレコーダ
11 車両
12 カメラ
20 パーソナルコンピュータ(PC)
30 メモリカード
110 A/D変換部
120 フラッシュROM
130 内部メモリ
140 画像処理部
150 記録制御部
160 制御部
162 表示制御部
170 加速度センサ
180 記録ボタン
190 音声制御部
図1
図2
図3
図4
図5