特許第5767987号(P5767987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許5767987-計量キャップ 図000002
  • 特許5767987-計量キャップ 図000003
  • 特許5767987-計量キャップ 図000004
  • 特許5767987-計量キャップ 図000005
  • 特許5767987-計量キャップ 図000006
  • 特許5767987-計量キャップ 図000007
  • 特許5767987-計量キャップ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5767987
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   B65D47/20 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-43361(P2012-43361)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180754(P2013-180754A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−251690(JP,A)
【文献】 実開昭50−108832(JP,U)
【文献】 実開昭48−062258(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着されると共に、容器軸に交差するスライド軸に沿って延在するスライド孔部、前記スライド孔部と前記容器本体内とに連通するストック孔部、及び前記ストック孔部を通過した前記容器本体内の内容物が取り出される取出孔部が形成されたキャップ本体と、
前記スライド孔部内において前記スライド軸方向にスライド移動自在に嵌合されると共に、前記ストック孔部を通過した前記容器本体内の内容物がストックされるストック室を有するスライド部材と、
前記キャップ本体に着脱自在に装着され、前記取出孔部を開閉する蓋部材と、
を備え、
前記スライド部材が、前記スライド孔部内において、前記ストック室と前記ストック孔部とが連通されかつ前記ストック室と前記取出孔部との連通が遮断されるストック位置と、前記ストック室と前記取出孔部とが連通されかつ前記ストック室と前記ストック孔部との連通が遮断される取出位置と、の間をスライド移動自在に嵌合された計量キャップであって、
前記蓋部材が、前記キャップ本体と前記スライド部材のうち前記キャップ本体から前記スライド軸方向の外側に突出した部分との間に配設され、前記スライド軸方向に沿う前記キャップ本体の内側に向けた前記スライド部材のスライド移動を規制する規制部を有することを特徴とする計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば容器本体内に収容されている内容物を計量して取り出すための計量キャップが知られている。このような計量キャップとして、内容物が収容される容器本体の口部に装着されると共に、容器軸に交差するスライド軸に沿って延在するスライド孔部、スライド孔部と容器本体内とに連通するストック孔部、及びストック孔部を通過した容器本体内の内容物が取り出される取出孔部が形成されたキャップ本体と、スライド孔部内においてスライド軸方向にスライド移動自在に嵌合されると共に、ストック孔部を通過した容器本体内の内容物がストックされるストック室を有するスライド部材と、キャップ本体に着脱自在に装着され、取出孔部を開閉する蓋部材と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この計量キャップでは、スライド部材が、スライド孔部内において、ストック室とストック孔部とが連通されかつストック室と取出孔部との連通が遮断されるストック位置と、ストック室と取出孔部とが連通されかつストック室とストック孔部との連通が遮断される取出位置と、の間をスライド移動自在に嵌合されている。そして、スライド部材がストック位置にある状態で計量キャップを装着した容器本体を倒立姿勢にすることによって、ストック孔部を通ってストック室内に所定量の内容物が収容され、その後、スライド部材を取出位置までスライド移動させることによって、取出孔部を通ってストック室内の内容物が外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−251690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の計量キャップでは、スライド部材に対して不意に加えられた外力によって、内容物が排出されることに対して改善の余地があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、不意に加えられた外力によって内容物が排出されることを防止できる計量キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の計量キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着されると共に、容器軸に交差するスライド軸に沿って延在するスライド孔部、前記スライド孔部と前記容器本体内とに連通するストック孔部、及び前記ストック孔部を通過した前記容器本体内の内容物が取り出される取出孔部が形成されたキャップ本体と、前記スライド孔部内において前記スライド軸方向にスライド移動自在に嵌合されると共に、前記ストック孔部を通過した前記容器本体内の内容物がストックされるストック室を有するスライド部材と、前記キャップ本体に着脱自在に装着され、前記取出孔部を開閉する蓋部材と、を備え、前記スライド部材が、前記スライド孔部内において、前記ストック室と前記ストック孔部とが連通されかつ前記ストック室と前記取出孔部との連通が遮断されるストック位置と、前記ストック室と前記取出孔部とが連通されかつ前記ストック室と前記ストック孔部との連通が遮断される取出位置と、の間をスライド移動自在に嵌合された計量キャップであって、前記蓋部材が、前記キャップ本体と前記スライド部材のうち前記キャップ本体から前記スライド軸方向の外側に突出した部分との間に配設され、前記スライド軸方向に沿う前記キャップ本体の内側に向けた前記スライド部材のスライド移動を規制する規制部を有することを特徴とする。
【0008】
この発明では、キャップ本体とスライド部材のうちキャップ本体からスライド軸方向の外側に突出した部分との間に規制部を配設しているので、スライド部材に対して不意の外力が加わっても、この外力によってスライド部材がキャップ本体の内側に向けてスライド移動できず、内容物が排出されることを防止できる。
すなわち、例えば流通段階や待機状態などにおいてスライド部材に外力が不意に加わり、スライド部材がスライド軸に沿ってキャップ本体の内側に向けてスライド移動しようとしても、規制部によってこのスライド移動が規制される。これにより、スライド部材がストック位置と取出位置との間でスライド移動できず、内容物が排出されない。一方、内容物を取り出す場合には、蓋部材をキャップ本体から取り外すと、スライド部材がスライド軸に沿ってキャップ本体の内側に向けてスライド移動することができる。これにより、ストック孔部を通してストック室内に内容物を収容することや、取出孔部を通してストック室内に収容されている内容物を排出させることができる。
したがって、計量キャップに不意に加えられた外力によって内容物が排出されることを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる計量キャップによれば、キャップ本体とスライド部材のうちキャップ本体からスライド軸方向の外側に突出した部分との間に配設された規制部によって、スライド部材がキャップ本体の内側に向けたスライド移動が規制されるので、スライド部材に不意の外力が加わっても、この外力によって内容物が排出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における計量キャップを示す軸方向断面図である。
図2】蓋部材を取り除いた状態における図1のA−A矢視断面図である。
図3図1の蓋部材を示す軸方向断面図である。
図4図3のB−B矢視部分断面図である。
図5図1の蓋部材を示す下面図である。
図6図1の計量キャップの使用方法を説明する説明図である。
図7】同じく、図1の計量キャップの使用方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における計量キャップの一実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態における計量キャップ1は、図1に示すように、内容物が収容される有底円筒状の容器本体2の円筒状の口部3に装着される筒状のキャップ本体4と、キャップ本体4内にスライド移動自在に配設されたスライド部材5と、キャップ本体4に着脱自在に装着される有頂筒状の蓋部材6と、スライド部材5をその移動方向に付勢する付勢バネ7と、を備える。
【0013】
ここで、容器本体2及び口部3は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置した状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、図1において容器軸Oに沿って蓋部材6側を上方、その反対側を下方とする。また、容器軸Oに直交する方向を径方向と称し、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。さらに、本実施形態では、容器軸Oに直交するスライド部材5の移動方向(図1における左右方向)をスライド軸O’と称し、この図1においてスライド軸O’に沿ってスライド部材5がキャップ本体4の内側から突出する方向(図1における右側)を後方、その反対側(図1における左側)を前方とする。また、容器軸O及びスライド軸O’に直交する方向を左右方向と称する。
【0014】
キャップ本体4は、図1及び図2に示すように、容器本体2の口部3に着脱自在に螺着される有頂円筒状の装着筒部11と、装着筒部11上に配設された角筒部12と、を有する。
装着筒部11は、平面視で円板状の天壁部13と、天壁部13の外周縁から下方に向けて突設された円筒状の周壁部14と、を有する。装着筒部11は、口部3に螺着されているが、着脱自在でなくてもよく、螺着以外の他の方法により装着されてもよい。
天壁部13には、容器本体2内と角筒部12内とに連通するストック孔部13Aが形成されている。ストック孔部13Aは、平面視で左右方向に長い矩形状をなしており、天壁部13において容器軸Oよりも後方に形成されている。
【0015】
角筒部12は、スライド軸O’に沿って延在し、後方に向けて開口すると共に前端が閉塞された矩形筒状をなしている。角筒部12は、天壁部13の前端縁から上方に向けて立設された前壁部15と、天壁部13から上方に向けて立設された一対の側壁部16、17と、前壁部15及び一対の側壁部16、17それぞれの上端縁を接続する上壁部18と、を有する。なお、角筒部12の下壁部は、装着筒部11の天壁部13によって形成されている。これら天壁部13、前壁部15、一対の側壁部16、17及び上壁部18によって、スライド軸O’に沿って延在すると共に後方に向けて開口するスライド孔部12Aを画成する。
【0016】
前壁部15は、天壁部13の外周縁に沿う湾曲板状をなしている。また、前壁部15には、付勢バネ7の前端部が外装される円筒状の第1軸筒部15Aが後方に向けて突設されている。
側壁部16、17の前後方向中央部には、図2に示すように、径方向内側に向けて第1係合突部16A、17Aが各別に突設されている。また、側壁部16、17の前後方向中央部には、左右方向から見て係合突部16A、17Aの前端及び上下両端を囲むコ字状をなすと共にスライド孔部12A内に連通する切欠部16B、17Bが各別に形成されている。これにより、係合突部16A、17Aは、径方向で弾性変位可能となる。
【0017】
上壁部18には、図1及び図2に示すように、ストック孔部13Aを通過した容器本体2内の内容物が取り出される取出孔部18Aが形成されている。取出孔部18Aは、平面視で左右方向に長い矩形状をなしており、平面視でストック孔部13Aよりも前方に形成されている。また、上壁部18の取出孔部18Aの開口縁部には、図1に示すように、取出孔部18Aの全周にわたって矩形筒状の取出筒部18Bが上方に向けて立設されている。さらに、上壁部18の外周縁部には、平面視で前後方向に長い長円筒状の取付筒部18Cが全周にわたって上方に向けて立設されている。
【0018】
スライド部材5は、図1及び図2に示すように、角筒部12のスライド孔部12A内で前後方向にスライド移動自在に配設されており、スライド軸O’に沿って延在する矩形筒状のスライド本体部21と、スライド本体部21とでストック孔部13Aを通過した容器本体2内の内容物がストックされるストック室5Aを区画する一対の仕切板部22、23と、スライド本体部21の後端開口部を閉塞する閉塞板部24と、を有する。
スライド本体部21は、平面視で矩形板状の底板部25と、底板部25の左右両端部から上方に向けて各別に立設された一対の側板部26、27と、一対の側板部26、27それぞれの上端縁を接続する天板部28と、を有する。
【0019】
底板部25は、キャップ本体4の天壁部13に摺接する。また、底板部25の前端部には、スライド本体部21の外部とスライド本体部21内のストック室5Aとを連通する下面開口部25Aが形成されている。下面開口部25Aは、平面視で左右方向に長い矩形状をなしており、平面視でストック孔部13Aと重なっている。そのため、ストック室5Aは、ストック孔部13Aを介して容器本体2内と連通している。このようにスライド部材5の下面開口部25Aを介してストック室5Aがストック孔部13Aと連通する位置をストック位置と称する。
【0020】
側板部26、27は、図2に示すように、キャップ本体4の側壁部16、17に各別に摺接する。側板部26には、側壁部16の第1係合突部16Aと係合する第2係合突部26Aと、前後方向に延在する一対の摺接突部26Bと、が突設されている。第2係合突部26Aは、側板部26の前端部に配設されており、上下方向に延在する。なお、第2係合突部26Aの上下両端は、側板部26の上下両縁から離間している。一対の摺接突部26Bは、第2係合突部26Aの上下両端から後方に向けて各別に延設されている。同様に、側板部27には、側壁部17の第1係合突部17Aと係合する第2係合突部27Aと、前後方向に延在する一対の摺接突部27Bと、が突設されている。
このように、第2係合突部26A、27Aが第1係合突部16A、17Aと係合することにより、スライド部材5がストック位置よりも後方に移動することが規制される。
【0021】
天板部28は、図1及び図2に示すように、キャップ本体4の上壁部18に摺接しており、天板部28の前端部には、底板部25と同様に、スライド本体部21の外部とスライド本体部21内のストック室5Aとを連通する上面開口部28Aが形成されている。上面開口部28Aは、下面開口部25Aと同様に、平面視で左右方向に長い矩形状をなしており、角筒部12の上壁部18によって閉塞されている。そのため、ストック室5Aは、ストック位置において上面開口部28Aを介して取出孔部18Aと連通しておらず、ストック室5A内に収容される内容物は、ストック位置において外部に排出されない。一方、スライド部材5を前方にスライド移動させると、上面開口部28Aは、平面視で取出孔部18Aと重なり、ストック室5Aは、取出孔部18Aを介して外部と連通する。このように、スライド部材5の上面開口部28Aを介してストック室5Aが取出孔部18Aと連通する位置を取出位置と称する。
【0022】
仕切板部22、23は、矩形板状をなしており、ストック室5Aの前端及び後端それぞれを区画している。また、前側の仕切板部22には、付勢バネ7の後端部が内装される第2軸筒部22Aが前方に向けて突設されている。さらに仕切板部22の上端部には、後方かつ上方に向けて突条部22Bが突設されている。突条部22Bは、スライド部材5がスライド移動しているときに、ストック室5Aが下面開口部25Aを介してストック孔部13Aと連通している状態で上面開口部28Aを介して取出孔部18Aと連通しないようにしている。なお、ストック室5Aがストック孔部13A及び取出孔部18Aと同時に連通することを防止できれば、突条部22Bを設けなくてもよい。
閉塞板部24は、前壁部15と同様に湾曲板状をなしており、スライド本体部21の後端部に嵌め込まれている。また、閉塞板部24の上端部は、天板部28よりも上方に向けて突出している。
【0023】
蓋部材6は、図1及び図3から図5に示すように、キャップ本体4とスライド部材5のスライド本体部21のうちキャップ本体4から後方に突出した部分(以下、突出部分と称する)とを上方から覆う有頂筒状をなしている。蓋部材6は、キャップ本体4とスライド本体部21の上記突出部分とを上方から覆う頂壁部31と、取付筒部18Cの後端部と閉塞板部24との間に配設される規制部32と、を有する。
【0024】
頂壁部31は、平面視で前後方向に長い長円板状をなしており、キャップ本体4の上壁部18及びスライド本体部21の上記突出部分を上方から覆っている。
頂壁部31には、平面視で左右方向に長い有底矩形筒状の栓部31Aが下方に向けて突設されている。この栓部31Aは、平面視で上壁部18の取出孔部18Aと重なる位置に設けられており、取出筒部18B内に嵌め込まれている。
また、頂壁部31には、平面視で前後方向に長い長円筒状の嵌合筒部31Bが下方に向けて突設されている。この嵌合筒部31Bは、栓部31Aよりも径方向外側に配設されており、取付筒部18Cの外側に嵌め込まれている。
【0025】
規制部32は、頂壁部31の後端部から下方に向けて延設された枠部33と、枠部33内に配設された複数(本実施形態では5つ)のリブ部34と、を有する。
枠部33は、頂壁部31の後端縁に沿って湾曲する後枠部35と、嵌合筒部31Bの左右両壁部から後方に延設され、後枠部35の周方向両端部と嵌合筒部31Bの後端部とを接続する一対の側枠部36、37と、を有しており、枠部33の前枠部は、嵌合筒部31Bの後端部によって形成されている。後枠部35は、閉塞板部24に当接または近接している。
リブ部34は、頂壁部31から下方に向けて突設されると共に周方向に間隔をあけて配設されており、嵌合筒部31Bの後端部と第1枠部33とを接続している。
このように、規制部32は、前端部が取付筒部18Cに当接すると共に後端部が閉塞板部24の上端部に当接または近接しており、スライド部材5が前方にスライド移動することを規制する。
【0026】
付勢バネ7は、角筒部12の前壁部15とスライド本体部21の仕切板部22との間に配設されており、スライド部材5を後方に付勢している。なお、コイルバネで形成された付勢バネ7に替えて、断面矩形状の棒体を前後方向で互い違いに湾曲されることによって平面視で蛇腹状に形成されたバネなど、スライド部材5を後方に向けて付勢できれば、他の付勢手段を用いてもよい。
【0027】
次に、以上のような構成の計量キャップ1の使用方法について説明する。
まず、図1に示すように、蓋部材6がキャップ本体4に装着された状態では、キャップ本体4における取付筒部18Cの後端部とスライド部材5における閉塞板部24の上端部との間に規制部32が配設されているので、スライド部材5が前方にスライド移動することが規制される。そのため、蓋部材6をキャップ本体4に装着した状態では、容器本体2内の内容物が排出されない。
ここで、規制部32が枠部33内にリブ部34を配設しており、後枠部35が前方に向けて変形しにくくなっている。これにより、スライド部材5を介して枠部33に外力が加わっても、スライド部材5がこの外力によって前方に押し込まれることが抑制される。
【0028】
容器本体2内の内容物を排出する際には、図6に示すように、最初に蓋部材6をキャップ本体4から取り外す。蓋部材6を取り外すことにより、規制部32によるスライド部材5のスライド移動の規制が解除され、スライド部材5は、前後方向にスライド移動可能となる。そして、容器本体2を把持した状態で計量キャップ1が装着された容器本体2を上下反転させ、計量キャップ1が下方を向く倒立姿勢とする。これにより、容器本体2内に収容された内容物がストック孔部13Aを通って容器本体2から流出し、下面開口部25Aを通ってストック室5A内に導かれる。これにより、容器本体2内の内容物がストック室5A内にストックされる。
【0029】
ストック室5Aに所定量の内容物をストックしたら、スライド部材5を角筒部12内に向けて前方に押し込む。スライド部材5を押し込むと、スライド部材5は、前方にスライド移動する。スライド部材5が取出位置に向けてスライド移動すると、スライド部材5の下面開口部25Aがキャップ本体4のストック孔部13Aに対して前後方向でずらされ、スライド部材5の上面開口部28A及び下面開口部25Aが角筒部12によって閉塞される。これにより、ストック室5Aとスライド部材5の外部との連通が遮断され、ストック室5A内から内容物が外部に開放されること及びストック室5A内に内容物がストックされることを防止し、ストック室5Aに所定量の内容物が収容される。
【0030】
ここで、突条部22Bが設けられているので、ストック室5Aが下面開口部25Aを介してストック孔部13Aと連通している状態で上面開口部28Aを介して取出孔部18Aと連通することが防止され、下面開口部25Aが完全に閉塞される前に上面開口部28Aが開放されてストック室5A内に収容されている内容物が取出孔部18Aを介して排出されることを防止している。これにより、ストック室5Aに所定量の内容物を収容させることができ、内容物の計量が正確になる。
【0031】
スライド部材5を取出位置に向けてさらに押し込んでスライド部材5を取出位置に位置付けると、図7に示すように、キャップ本体4の取出孔部18Aとスライド部材5の上面開口部28Aとが前後方向で位置合わせされ、取出孔部18Aと上面開口部28Aとが平面視で重なる。これにより、ストック室5Aが上面開口部28A及び取出孔部18Aを介してキャップ本体4の外部と連通する。そのため、ストック室5A内の内容物は、上面開口部28A及び取出孔部18Aを介して取出筒部18B内を通り、キャップ本体4の外部に排出される。
【0032】
ストック室5A内の内容物を排出した後、スライド部材5の押圧を解除する。スライド部材5は、付勢バネ7の復元変形によって取出位置からストック位置に向けて後方にスライド移動される。
側壁部16、17の第1係合突部16A、17Aと側板部26、27の第2係合突部26A、27Aとが係合することにより、付勢バネ7によって後方に付勢されるスライド部材5がストック位置を越えて後方にスライド移動されることが防止される。
以上のようにして、容器本体2内に収容されている内容物を計量して取り出す。
【0033】
以上のような構成の計量キャップ1によれば、蓋部材6をキャップ本体4に装着しているときにはスライド部材5が取出位置に向けて前方にスライド移動することが規制されるので、容器本体2内の内容物が不意の外力によって排出されることを防止できる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、後枠部は、閉塞板部の上端部に当接または近接しているが、スライド部材が取出位置まで前方に向けてスライド移動することを規制できれば、閉塞板部の上端部に当接または近接していなくてもよい。
規制部は、枠部とリブ部とを有する構成となっているが、キャップ本体とスライド部材のうちキャップ本体から後方に突出した部分との間に配設されると共にスライド部材が取出位置まで前方に向けてスライド移動することを規制できれば、他の構成であってもよい。
スライド軸は、容器軸に交差していれば、直交していなくてもよい。
スライド部材は、スライド本体部の後端部に閉塞板部が嵌め込まれているが、スライド本体部の後端部が上方に向けて突出していれば、閉塞板部を設けなくてもよい。また、スライド部材は、矩形筒状をなしているが、ストック室が画成されていれば、中実の柱状など、他の形状であってもよい。
スライド部材を後方へ向けて付勢する付勢バネなどの付勢部材が設けられているが、付勢部材を設けなくてもよい。
スライド部材は、ストック孔部を取出孔部よりも後方に形成すると共に付勢バネによってストック位置に向けて後方に付勢されているが、ストック孔部を取出孔部よりも前方に形成すると共に付勢バネによって取出位置に向けて後方に付勢されてもよい。この場合、規制部は、スライド部材がストック位置まで前方に向けてスライド移動することを規制する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明によれば、不意に加えられた外力によって内容物が排出されることを防止できる計量キャップに関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0036】
1 計量キャップ、2 容器本体、3 口部、4 キャップ本体、5 スライド部材、5A ストック室、6 蓋部材、12A スライド孔部、13A ストック孔部、18A 取出孔部、32 規制部、O 容器軸、O’ スライド軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7