(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1など、ノート型コンピュータなどの電子機器では、キーボードにおけるキーの配列面の背面から直下にキーボード用ケーブルを引き出し、CPUなどの主要部品が実装されたマザーボードに接続させる構成が一般的である。
【0003】
図9に、こうしたノート型コンピュータからキーボードを取り外した状態を示す。
図9の構成例では、キーボードが取り付けられる筐体窪み部81に梁部材82が設けられる。このため、この梁部材82の隙間からキーボード用ケーブルをマザーボード83に接続してから、キーボードを筐体窪み部81に取り付けることとなる。
こうした構成により、平板状であるキーボードの直下に配置された平板状のマザーボード83に省スペースかつ短い距離で接続するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノート型コンピュータなどの電子機器ではさらなる軽量化が求められ、開発競争の中、キーボードもより一層軽量化されたものが求められる。
【0006】
ここで、修理など保守サービスで、問題箇所を特定するための原因の切り分けを行う際には、機器に取り付けられているキーボードのキーボード用ケーブルをマザーボードから取り外し、代わりにチェック用のキーボードにおけるキーボード用ケーブルをマザーボードに接続してチェックを行う。
【0007】
こうした作業を行うために、上述した
図9の構成例では、まずキーボードを機器本体から取り外し、取り外された
図9に示す状態でキーボード用ケーブルをマザーボード83から取り外し、その後にチェック用のキーボードにおけるキーボード用ケーブルをそのマザーボード83に接続してチェックを行う必要があった。
【0008】
ここで、上述のように軽量化されたキーボードは、キーボードの打鍵など通常の使用には何ら問題ない強度を備えているものの、修理など保守サービスの際に機器本体への取付構造から取り外そうとして大きな負荷をかけてしまうと、場合によって変形したり、故障の原因となるおそれがあった。
【0009】
このため、電子機器の保守性の向上、保守サービスにおける部品破損防止のためには、修理など保守サービスの際にも、キーボードを機器本体から取り外す必要をなるべく減らし得る構成が求められていた。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、保守サービスの際にもキーボードを取り外す必要なくキーボードのチェックを行うことができ、保守性をさらに向上させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、複数のキーが配列されて構成されたキーボード部と、
上面にキーボード部が配置されるトップカバーと、制御手段とを備え、キーボード部を制御手段に接続させるキーボード用ケーブルが、キーボード部における複数のキーの配列面に対する側面の側に引き出されるよう設けられ、キーボード用ケーブルが引き出されるキーボード部の側面の側に、
トップカバーとは別体として設けられた
パームレストカバーが設けられ
た電子機器であって、キーボード用ケーブルと制御手段とを接続するコネクタが、パームレストカバーを外すと露出する位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、保守サービスの際にもキーボードを取り外す必要なくキーボードのチェックを行うことができる。このため、保守サービスの際の部品破損を防止でき、保守性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る電子機器をノート型コンピュータに適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
本実施形態のノート型コンピュータ100は、
図1に示すように、表示部11が設けられる上側筐体10と、下側筐体20とが、ヒンジ部30により開閉可能に連結されて構成される。
【0016】
下側筐体20には、ヒンジ部30の閉状態で上側筐体10と対向する面にトップカバー(キーボード部)21と、パームレストカバー(外装部材)22とが設けられる。
トップカバー21には、キーボード23と、電源スイッチ24とが一体として設けられる。パームレストカバー22は、キーボード23よりも操作時のユーザから見て手前側に配置され、ユーザがキーボード23でキー入力する際にパームレストとして機能する。また、パームレストカバー22にはトラックパッド33が設けられ、その手前側にマウスボタン32が配置される。
【0017】
上側筐体10と下側筐体20を連結するヒンジ部30は、軸方向における上側筐体10と下側筐体20の両端に設けられる。そして、両端のヒンジ部30の間、すなわち操作時のユーザから見てキーボード23よりも奥側に、バッテリ31が着脱可能に設けられる。
なお、
図1に示す構成は一例であり、例えばトラックパッド33とマウスボタン32に替えて、クリックパッド41を備える構成であってもよい。
【0018】
次に、
図2〜
図5を参照して、ノート型コンピュータ100の内部構造について説明する。
図2は、
図1からパームレストカバー22を取り外した状態を示し、
図3は、
図2からさらにトップカバー21を取り外した状態を示す。
図4はトップカバー21をキーの配列面側から見た図であり、
図5はその裏面から見た図である。
【0019】
図2、
図3に示すように、下側筐体20におけるトップカバー21およびパームレストカバー22よりも底面側には、不図示のCPUなどの主要部品が実装されたマザーボード40が配置される。このマザーボード40に実装されたCPUなどの電子部品が、後述するHDD63などに格納された所定のプログラムに基づいて処理を行うことにより、ノート型コンピュータ100全体の制御を行う制御手段として機能する。
なお、
図2、
図3では、マザーボード40に実装された一部の部品を省略して示す。
【0020】
トップカバー21は、上述のようにキーボード23と、電源スイッチ24と一体として構成されると共に、キーボード23におけるキー配列面の裏面側には、
図5に示すように、サブ基板51,52,53が取り付けられて構成される。
また、トップカバー21には複数のネジ穴71が設けられ、不図示のネジで下側筐体20に固定される。
【0021】
サブ基板51には、キー配列面の側から電源スイッチ24が設けられる。
サブ基板53は、操作時のユーザから見てキーボード23よりも手前側、すなわちパームレストカバー22により被装される位置に設けられる。また、このキーボード23よりも手前側の位置には、PCカードを挿抜可能に取り付けるためのカードスロット54が設けられる。
【0022】
また、トップカバー21には、
図2、
図4、
図6に示すように、キーボード23をマザーボード40に接続させるためのキーボード用ケーブル26が、キーの配列方向における手前側に引き出されるよう設けられる。このキーボード用ケーブル26の先端には、マザーボード40に実装されたボード側コネクタ42に接続するためのケーブル側コネクタ26aが設けられる。
【0023】
また、トップカバー21には、
図2、
図4、
図5に示すように、サブ基板52等をマザーボード40に接続させるためのサブ基板用ケーブル25が、キーの配列方向における手前側に引き出されるよう設けられる。このサブ基板用ケーブル25は、一方がサブ基板52のコネクタ56等に接続され、他方の先端には、マザーボード40に実装されたボード側コネクタ41に接続するためのケーブル側コネクタ25aが設けられる。
【0024】
また、トップカバー21には、
図2、
図4、
図5に示すように、サブ基板53やカードスロット54をマザーボード40に接続させるためのサブ基板用ケーブル27が、キーボード23よりも手前側のカードスロット54の位置からキーの配列方向における横方向に引き出されるよう設けられる。このサブ基板用ケーブル27は、こうして横方向に引き出されることでパームレストカバー22により被装される位置に敷設され、トップカバー21における側面の側に引き出される。また、サブ基板用ケーブル27の先端には、マザーボード40に実装されたボード側コネクタ43に接続するためのケーブル側コネクタ27aが設けられる。
【0025】
図6に、トップカバー21におけるキーの配列面と、キーボード用ケーブル26の引き出し方向との関係を模式的に示す。
図6に示すように、キーボード用ケーブル26は、トップカバー21におけるキーの配列位置よりも配列面における外周側から、キーボード23よりも手前側におけるキーの配列方向に引き出される。このため、キーボード用ケーブル26は、キーボード23におけるキーの配列面に対する手前側の側面の側に引き出される。そして、キーボード23におけるキーの配列面に対する手前側の側面の側に隣接する位置が、パームレストカバー22により被装される。
【0026】
また、マザーボード40には、上述のようにボード側コネクタ41,42,43が実装される。このボード側コネクタ41,42,43は何れも、
図2に示すようなパームレストカバー22が取り外された状態で外部に露出される位置に配置される。
【0027】
このため、
図1に示す本実施形態のノート型コンピュータ100からパームレストカバー22を取り外すだけで、
図2に示すように、マザーボード40におけるボード側コネクタ42からケーブル側コネクタ26aを取り外すことができる。このため、修理などの保守サービスの際、キーボード23を含むトップカバー21を取り外す必要なく、キーボード用ケーブル26の代わりにチェック用のキーボード(不図示)のケーブルをマザーボード40のボード側コネクタ42に差し込み、キーボード23のチェックを行うことができる。
【0028】
また、サブ基板用ケーブル25、27についても、上述のようにトップカバー21におけるキーの配列面に対する側面の側に引き出され、引き出された側面の位置がパームレストカバー22により被装されている。このため、同様に、キーボード23を含むトップカバー21を取り外す必要なく、チェック用基板(不図示)からのケーブルをマザーボード40のボード側コネクタ41、43に差し込み、チェックを行うことができる。
【0029】
図7に、本実施形態のノート型コンピュータ100における下側筐体20を底面から見た状態を示す。
図7では、HDD63を収容するHDD収容部60におけるカバーが取り外された状態を示す。
【0030】
上述のように、本実施形態のノート型コンピュータ100では、マザーボード40におけるトップカバー21が配置される側の面にボード側コネクタ41,42,43が実装され、トップカバー21から引き出されたキーボード用ケーブル26、サブ基板用ケーブル25,27が接続される。
【0031】
このため、本実施形態のノート型コンピュータ100では、HDD63を収容するHDD収容部60が、トップカバー21が配置された面に対する裏面側、すなわち底面に配置される。こうして、マザーボード40よりも底面側にHDD収容部60が配置されることにより、キーボード用ケーブル26、サブ基板用ケーブル25,27の敷設位置に対して、マザーボード40の裏面側にHDD収容部60を配置することができる。
【0032】
HDD収容部60におけるトップカバー21側の面には、収容するHDD63の取り付け位置をガイドするガイド部材62が設けられる。また、マザーボード40に接続されたHDD用ケーブル61が、その先端に設けられたケーブル側コネクタ61aをガイド部材62の隙間からHDD収容部60内に引き出すように配置される。
【0033】
このため、HDD63をHDD収容部60に取り付ける際、HDD用ケーブル61の先端に設けられたケーブル側コネクタ61aにHDD63のHDD側コネクタ63aを接続することで、HDD63がマザーボード40に対して底面側から接続されることとなる。
【0034】
以上のように、上述した本発明の実施形態によれば、修理などの保守サービスで問題箇所を特定するための原因の切り分けを行う際にも、キーボード23の手前側に隣接して設けられたパームレストカバー22を取り外すだけで、キーボード用ケーブル26の代わりにチェック用のキーボード(不図示)のケーブルをマザーボード40のボード側コネクタ42に差し込むことができる。このため、キーボード23を含むトップカバー21を取り外す必要なく、キーボード23のチェックを行うことができる。
【0035】
このため、修理などの保守サービスの際にも、軽量化されたキーボード23を含むトップカバー21の取り外しに伴う部品破損のリスクを大きく減らすことができる。
このため、キーボード23が極めて軽量化された構成であっても、ノート型コンピュータ100の信頼性をより高めることができる。このように、ノート型コンピュータ100の保守サービスの際の部品破損を防止できることにより、保守性をさらに向上させることができる。
【0036】
また、サブ基板51,52,53や、カードスロット54がキーボード23と一体とされた構成であっても、これらのサブ基板51,52,53や、カードスロット54をマザーボード40に接続させるためのケーブルが、パームレストカバー22を取り外すだけで、チェック用の基板を接続させるためのケーブルに差し替えることができるように設けられる。このため、キーボード23を含むトップカバー21を取り外す必要なく、サブ基板51,52,53や、カードスロット54のチェックも可能となっている。
このため、サブ基板51,52,53や、カードスロット54がキーボード23と一体とされた構成であっても、上述した効果を同様に得ることができる。
【0037】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、本明細書におけるケーブルとは、任意の地点間を電気的に接続するものであれば、例えばフレキシブルケーブルやフラットケーブルなど、任意の種類のケーブルを用いてよい。また、フレキシブルケーブルとしても、例えばフィルム状のものや、フレキシブルプリント基板における配線部のみで構成された部分など、任意の種類のものであってよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、キーボード23がトップカバー21に一体化された構成について説明したが、
図8に示すように、キーボード23がトップカバー21とは別体に構成され、トップカバー21に対して取り付けられる構成であってもよい。
この場合、上述した実施形態と同様に、キーボード用ケーブル26が、キーボード23におけるキーの配列位置よりも配列面における外周側から、キーボード23よりも手前側におけるキーの配列方向に引き出されるようにキーボード23に設けられる。このため、キーボード用ケーブル26は、キーボード23におけるキーの配列面に対する手前側の側面の側に引き出され、その手前側の側面の側に隣接する位置が、パームレストカバー22により被装される。
こうした構成によっても、本発明を同様に実現することができ、同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、ノート型コンピュータ100へのキーボード23の取付方法は、上述したネジ止めに限定されず、例えば
図8に示すように、キーボード23がトップカバー21における筐体窪み部に取り付けられ、その筐体窪み部に両面テープで固定する構成や、マグネットで取り付ける構成などであってもよい。
こうした構成によっても、本発明を同様に実現することができ、同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、キーボード23に対するケーブルの引き出し方向は、
図6、
図8に示すように、キーの配列面に対する手前側の側面の側に引き出され、パームレストカバー22により被装されうる方向であれば任意の方向であってよい。例えばキーの配列方向に対して少し底面側の斜め下方にキーボード用ケーブル26などの各種ケーブルが引き出された構成であっても、本発明を同様に実現することができ、同様の効果を得ることができる。