(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、一つの実施の形態について、
図1から
図5を参照して説明する。なお、複数の表現が可能な各要素に、一つ以上の他の表現の例を付すことがある。しかし、これは、他の表現が付されていない要素について異なる表現がされることを否定するものではないし、例示されていない他の表現がされることを制限するものでもない。
【0011】
図1は、一つの実施の形態に係るインクジェットヘッド10を分解して示す斜視図である。
図2は、インクジェットヘッド10を
図1のF2−F2線に沿って示す断面図である。
図1および
図2に示すように、インクジェットヘッド10は、いわゆるサイドシュータ型の、シェアモード型インクジェットヘッドである。
【0012】
インクジェットヘッド10は、基板11と、一対の駆動素子12と、枠部材13と、オリフィスプレート14と、一対の回路基板15と、マニホールド16とを備えている。基板11は、基部の一例である。回路基板15は、駆動回路の一例である。インクジェットヘッド10の内部に、
図2に示すインク室19が形成されている。
【0013】
基板11は、例えばアルミナのようなセラミックスによって矩形の板状に形成される。
図2に示すように、基板11は、平坦な取付面21と、一対の側面22と、底面23とを有する。一対の側面22は、矩形状の基板11の短手方向の端面であり、取付面21とそれぞれ直交する。底面23は、取付面21の反対側に位置する。取付面21に、複数の供給孔25と、複数の排出孔26とが設けられる。
【0014】
複数の供給孔25は、基板11の中央部において、基板11の長手方向に並んで設けられる。供給孔25は、マニホールド16のインク供給部16aに連通する。供給孔25は、インク供給部16aを介してインクタンクに接続されている。
【0015】
複数の排出孔26は、供給孔25を挟むように二列に並んで設けられる。排出孔26は、マニホールド16のインク排出部16bに連通する。排出孔26は、インク排出部16bを介して前記インクタンクに接続されている。
【0016】
図1に示すように、オリフィスプレート14は、例えばポリイミド製の矩形のフィルムによって形成される。なお、オリフィスプレート14は、ステンレスのような他の材料で形成されても良い。オリフィスプレート14は、基板11の取付面21に対向する。
【0017】
オリフィスプレート14に、複数のオリフィス28が設けられている。複数のオリフィス28は、オリフィスプレート14の長手方向に沿って二列に並ぶ。オリフィス28は、取付面21の供給孔25と排出孔26との間の部分に対向する。
【0018】
枠部材13は、例えばニッケル合金によって矩形の枠状に形成される。枠部材13は、基板11の取付面21とオリフィスプレート14との間に介在する。枠部材13は、取付面21とオリフィスプレート14とにそれぞれ接着される。
【0019】
図2に示すように、インク室19は、基板11と、オリフィスプレート14と、枠部材13とに囲まれて形成される。前記インクタンクのインクが、供給孔25からインク室19に供給される。
【0020】
一対の駆動素子12は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成された板状の二つの圧電体によってそれぞれ形成される。当該二つの圧電体は、分極方向がその厚さ方向に互いに逆向きになるように貼り合わされる。
【0021】
一対の駆動素子12は、基板11の取付面21に接着される。駆動素子12は、二列に並ぶオリフィス28に対応して、インク室19の中に平行に並んで配置される。駆動素子12は、枠部材13に囲まれている。駆動素子12の頂部は、オリフィスプレート14に接着される。
【0022】
駆動素子12に、複数の圧力室37が設けられる。圧力室37は、駆動素子12に形成された溝である。圧力室37は、駆動素子12の長手方向と交差する方向にそれぞれ延びており、駆動素子12の長手方向に並ぶ。
【0023】
複数の圧力室37に、オリフィスプレート14の複数のオリフィス28が開口する。圧力室37は、インク室19に開放される。言い換えると、圧力室37とインク室19とは連通する。このため、駆動素子12の圧力室37と、インク室19との間でインクが流動する。インクは、圧力室37に充填され、圧力室37を通過する。
【0024】
圧力室37に、それぞれ電極42が設けられる。電極42は、例えばニッケル薄膜によって形成される。電極42は、圧力室37の内面を覆う。
【0025】
基板11の取付面21から駆動素子12に亘って、複数の配線パターン43が設けられる。配線パターン43は、配線の一例である。配線パターン43は、例えばニッケル薄膜によって形成され、対応する電極42に接続されている。
【0026】
配線パターン43は、駆動素子12の圧力室37に形成された電極42から、取付面21の側端部21aまでそれぞれ延びる。配線パターン43は、基板11と枠部材13との間を通っている。配線パターン43と枠部材13との間は、例えば接着剤によって絶縁されている。
【0027】
側端部21aは、取付面21の短手方向の端部である。側端部21aは、取付面21の端縁だけでなく、当該端縁に隣接する一定の領域を含む。言い換えると、側端部21aは、基板11の側面22に沿う領域である。なお、
図1において、側端部21aは二点鎖線によって、取付面21の他の部分と区別される。
【0028】
図1に示すように、回路基板15は、フィルムキャリアパッケージ(FCP)であり、樹脂製のフィルム47と、駆動IC48とをそれぞれ有する。なお、FCPは、テープキャリアパッケージ(TCP)とも称される。
【0029】
フィルム47は、複数の配線が形成されるとともに柔軟性を有する。フィルム47は、例えばテープオートメーテッドボンディング(TAB)である。
【0030】
駆動IC48は、フィルム47の前記複数の配線に接続される。駆動IC48は、配線パターン43を介して、駆動素子12の電極42にパルス信号(電圧)を印加する部品である。駆動IC48は、例えば樹脂によってフィルム47に固定される。
【0031】
図2に示すように、フィルム47の端部は、異方性導電性フィルム(ACF)49によって、取付面21の側端部21aにおける配線パターン43に熱圧着接続される。これにより、フィルム47の前記複数の配線は、配線パターン43に電気的に接続される。フィルム47が配線パターン43に接続されることで、駆動IC48が、フィルム47の前記配線を介して電極42に電気的に接続される。
【0032】
駆動IC48が配線パターン43を介して電極42に電圧を印加すると、駆動素子12がシェアモード変形する。これにより、電極42が設けられた圧力室37の体積が変化し、圧力室37に充填されたインクが加圧される。加圧された当該インクは、オリフィス28から吐出される。
【0033】
図2に示すように、インクジェットヘッド10に絶縁膜51が設けられる。なお、インクジェットヘッド10の構成について理解を容易にするため、
図1は絶縁膜51を表示しない。
【0034】
絶縁膜51は、例えばパリレンCによって形成される。なお、絶縁膜51はこれに限らず、例えば、パリレンD、パリレンN、または他の絶縁性を有する有機材料によって形成されても良い。
【0035】
絶縁膜51は、基板11の一部と、配線パターン43の一部と、駆動素子12と、電極42と、枠部材13とを覆う。インク室19における導電性の部分は、絶縁膜51によって覆われる。
【0036】
取付面21の側端部21aと、側端部21aに設けられた配線パターン43の一部とは、絶縁膜51に覆われずに露出される。回路基板15は、この露出された側端部21aの配線パターン43に接続される。
【0037】
絶縁膜51は、保護部53と、一対の境界部54と、一対の側面保護部55と、一対の側面境界部56とを有している。保護部53、境界部54、側面保護部55および側面境界部56は、一体に形成されている。なお、絶縁膜51の一部が他の部分と別に形成されても良い。
【0038】
保護部53は、取付面21に形成される。保護部53は、駆動素子12と、枠部材13と、電極42と、側端部21aを除く取付面21の一部と、取付面21の当該一部に設けられた配線パターン43とを覆う。保護部53の厚さは均一であり、例えば1〜10[μm]である。
【0039】
一対の境界部54は、取付面21の短手方向における保護部53の端部にそれぞれ設けられる。言い換えると、境界部54は、露出された側端部21aの配線パターン43に接する保護部53の端部に設けられる。さらに別の表現をすれば、境界部54は、配線パターン43の一部を露出させる絶縁膜51の端部である。境界部54は、枠部材13の外に位置する配線パターン43の一部を覆う。
【0040】
境界部54の厚さは、露出された側端部21aの配線パターン43に向かうに従って徐々に減少する。言い換えると、境界部54は、端縁に向かうに従って徐々に薄くなる。境界部54は、配線パターン43に対して傾斜する。境界部54の厚さは、保護部53の厚さよりも薄い。
【0041】
上述のように、取付面21は、絶縁膜51に覆われた領域と、絶縁膜51に覆われずに露出された領域(側端部21a)とを有する。そして、絶縁膜51に覆われた領域と露出された領域との境界部分において、絶縁膜51の厚さは、露出された領域に向かって徐々に薄くなる。徐々に薄くなる絶縁膜51は、露出された領域に達すると無くなる。
【0042】
側面保護部55は、基板11の側面22の一部を覆っている。側面保護部55は、底面23や、基板11の長手方向の端面を覆う絶縁膜51の一部と連続する。側面保護部55の厚さは均一であり、保護部53の厚さと等しい。なお、側面保護部55の厚さが保護部53の厚さと異なっても良い。
【0043】
側面境界部56は、取付面21に向く側面保護部55の端部に設けられる。側面境界部56は、側面保護部55の端部から、取付面21と側面22との稜部に亘って設けられる。側面22は、側面保護部55と側面境界部56とによって覆われる。なお、側面22の一部が露出しても良い。
【0044】
側面境界部56の厚さは、取付面21と側面22との稜部に向かうに従って徐々に減少する。言い換えると、側面境界部56は、端縁に向かうに従って徐々に薄くなる。側面境界部56は、側面22に対して傾斜している。なお、側面境界部56はこれに限らず、例えば段差や凹凸を有しても良いし、側面22と平行な部分を有しても良い。側面境界部56の厚さは、側面保護部55の厚さよりも薄い。
【0045】
次に、
図3ないし
図5を参照して、インクジェットヘッド10の製造方法の一例について説明する。まず、焼成前のセラミックスシート(セラミックスグリーンシート)で構成される基板11に、プレス成形によって供給孔25と排出孔26とを形成する。続いて、この基板11を焼成する。
【0046】
次に、基板11の取付面21に、加工前の駆動素子12(圧電体)を接着する。このとき、一対の駆動素子12は、治具によって互いの距離が一定に維持されている。また、一対の駆動素子12は、当該治具を介して位置決めされる。駆動素子12を接着する接着剤は、熱硬化される。
【0047】
次に、基板11に接着された一対の駆動素子12に対して、研削加工または切削加工を行う。これにより、駆動素子12の断面が台形状に形成される。次に、駆動素子12に、圧力室37をそれぞれ形成する。例えば、スラーサのような切削加工機が、駆動素子12を切削し、圧力室37を形成する。
【0048】
次に、複数の電極42および複数の配線パターン43を形成する。駆動素子12および基板11の取付面21に、例えば無電解メッキによってニッケルを析出させる。さらに、電解または無電解メッキによって金を析出させる。
【0049】
駆動素子12および取付面21に金属膜を形成した後、当該金属膜の不要な部分を除去し、複数の電極42および複数の配線パターン43を形成する。例えば、金属膜の残す部分をレジストで覆い、金属膜の不要な部分をエッチングによって溶解する。または、レーザ照射によるパターニングにより、金属膜の不要な部分を除去する。
【0050】
続いて、枠部材13を、一対の駆動素子12を囲むように、取付面21に接着する。枠部材13は直接、または配線パターン43を介して、接着剤によって取付面21に固定される。
【0051】
図3は、製造工程中の基板11、駆動素子12、および枠部材13を示す断面図である。次に、基板11と、駆動素子12と、枠部材13と、電極42と、配線パターン43との表面に、例えばCVD法によって絶縁膜51を形成する。絶縁膜51の厚さは均一であって、例えば1〜10[μm]である。
【0052】
次に、基板11に、第1のマスク61と第2のマスク62とを取り付ける。第1のマスク61は、マスクの一例である。第1および第2のマスク61,62は、例えば金属によってそれぞれ形成される。第1および第2のマスク61,62はこれに限らず、プラズマ処理(プラズマエッチング)によって除去されない他の材料によって形成されても良い。
【0053】
第1のマスク61は、一面が開放された略箱型に形成され、周壁65と、上壁66とを有する。周壁65は、枠部材13より大きい枠状に形成される。周壁65は、取付面21に載置され、取付面21の一部と、取付面21の当該一部に形成された配線パターン43と、駆動素子12と、枠部材13とを囲む。
【0054】
上壁66は、取付面21に対向する。上壁66は、周壁65に囲まれた取付面21の一部と、取付面21の当該一部に形成された配線パターン43と、駆動素子12と、枠部材13とを覆う。
【0055】
取付面21の側端部21aと、側端部21aに隣接する取付面21の一部とは、周壁65の外に位置する。言い換えると、周壁65は、側端部21aよりも取付面21の内側に位置する。このため、側端部21aおよび取付面21の当該一部は、第1のマスク61に覆われずに露出される。
【0056】
第2のマスク62は、一面が開放された略箱型に形成され、上面68と、凹部69とを有している。上面68は、平坦に形成されている。凹部69は、略矩形状の穴であり、上面68に開口している。
【0057】
基板11は、凹部69の中に配置される。基板11の底面23は、凹部69の底面69aに当接する。基板11の側面22と、凹部69の内周面69bとの間に、隙間が介在する。
【0058】
第2のマスク62の上面68は、取付面21よりも僅かに低い。言い換えると、凹部69の中に配置された基板11は、第2のマスク62の上面68から突き出ている。
【0059】
次に、第1および第2のマスク61,62が取り付けられた基板11に、プラズマ処理を行う。プラズマ処理によって、第1および第2のマスク61,62に覆われずに露出した絶縁膜51の一部が除去される。
【0060】
図4は、プラズマ処理が行われる基板11の一部を拡大して示す断面図である。
図4を参照して、プラズマ処理について詳しく説明する。プラズマ処理は、第1および第2のマスク61,62によって覆われずに露出した絶縁膜51を、時間の経過に従って削る。言い換えると、絶縁膜51は、時間の経過とともに薄くなり、最終的に除去される。
【0061】
プラズマエッチングにおける単位時間当たりの絶縁膜51が削られる量(厚さ)は、出力および酸素流入量によって変わり、レートと呼ばれる。当該レートの単位は、一般的に[μm/分]である。
【0062】
図4に示すように、プラズマP1,P2,P3が、第1および第2のマスク61,62によって覆われずに露出した絶縁膜51に当たり、絶縁膜51を削る。プラズマP1,P2,P3は、絶縁膜51に対して複数の方向から当たる。
【0063】
取付面21に対して鉛直に進むプラズマP1は、露出した取付面21の絶縁膜51にほぼ均一に当たる。一方、取付面21に対して斜めに進むプラズマP2の一部は、第1のマスク61に遮られ、露出した絶縁膜51に当たらない。
【0064】
具体的に述べれば、第1のマスク61に隣接する絶縁膜51の一部には、プラズマP1,P3が当たるが、プラズマP2が当たらない。一方、第1のマスク61から離れた(例えば、側端部21aに設けられた)絶縁膜51の一部には、プラズマP1,P2,P3が当たる。このため、絶縁膜51において、第1のマスク61に隣接する部分は、第1のマスク61から離れた部分よりもエッチング速度が遅れる。言い換えると、第1のマスク61から離れるに従って、絶縁膜51は早く削られる。
【0065】
上記のようなエッチング速度の差が生じるため、取付面21の側端部21aから絶縁膜51が除去された時点において、第1のマスク61に隣接する絶縁膜51の一部は残存している。この時点でプラズマ処理を止めることで、当該残存した絶縁膜51の一部である境界部54が形成される。境界部54は、第1のマスク61に覆われた絶縁膜51の一部である保護部53よりも薄くなる。
図4において、境界部54は二点鎖線で示される。また、側端部21aから絶縁膜51が除去されることで、側端部21aの配線パターン43が露出される。
【0066】
保護部53の端部から境界部54の端縁までの長さや、取付面21に対する境界部54の傾斜角度は、種々の条件によって変えることができる。当該条件は、例えば、第1のマスク61の高さ、位置、および形状と、プラズマの出力と、プラズマ処理時の酸素流入量と、プラズマ処理の時間とである。例えば、第1のマスク61の周壁65を高くすることで、境界部54の長さが長くなる。また、プラズマ処理の時間を長くすることで、境界部54の長さが短くなる。
【0067】
側面22に形成された絶縁膜51には、取付面21に対して斜めに進むプラズマP3が当たる。しかし、プラズマP3の一部は、第2のマスク62に遮られ、側面22の絶縁膜51に当たらない。取付面21と側面22との陵部から離れるに従って、絶縁膜51に当たるプラズマP3は少なくなる。このため、取付面21と側面22との陵部から離れるに従って、側面22の絶縁膜51が削られる速度は遅くなる。
【0068】
上記のようなエッチング速度の差が生じるため、取付面21の側端部21aから絶縁膜51が除去された時点において、取付面21と側面22との陵部に隣接する絶縁膜51の一部は薄くなっている。この時点でプラズマ処理を止めることで、当該薄くなった絶縁膜51の一部である側面境界部56が形成される。
図4において、側面境界部56は二点鎖線で示される。
【0069】
側面保護部55の端部から側面境界部56の端縁までの長さや、側面22に対する側面境界部56の傾斜角度は、種々の条件によって変えることができる。当該条件は、例えば、第2のマスク62の形状と、凹部69の深さと、凹部69における基板11の位置と、プラズマの出力と、プラズマ処理時の酸素流入量と、プラズマ処理の時間とである。
【0070】
図5は、プラズマ処理の後の基板11、駆動素子12、および枠部材13を示す断面図である。プラズマ処理が終わると、第1および第2のマスク61,62は、基板11から取り外される。
図5において、第1および第2のマスク61,62は、二点鎖線で示される。
【0071】
次に、接着剤によってオリフィスプレート14を枠部材13に接着する。オリフィスプレート14は、枠部材13に接着されるとともに、駆動素子12の頂部にも接着される。オリフィスプレート14を接着する接着剤は、熱硬化させられる。
【0072】
次に、露出された配線パターン43に、ACF49によって回路基板15を取り付ける。さらに、基板11にマニホールド16を取り付ける。以上により、
図1に示すインクジェットヘッド10が形成される。
【0073】
上記実施形態のインクジェットヘッド10によれば、露出された配線パターン43に接する境界部54の厚さが、保護部53よりも薄い。このため、境界部54が例えば爪で引っかかれたとしても、境界部は取付面から剥がれにくくなる。したがって、保護部53および境界部54を含む絶縁膜51が取付面21から剥がれること、そして、絶縁膜51と取付面21との間にインクが浸入することが抑制される。
【0074】
さらに、絶縁膜51は、プラズマ処理によって除去される。このため、絶縁膜51が除去される際、絶縁膜51に剥がされる方向への力が働かない。したがって、絶縁膜51が、取付面21から剥がれることが抑制される。さらに、絶縁膜51を除去する際に、絶縁膜51にバリが生じたり、ゴミが生じたりすることを抑制できる。
【0075】
境界部54は、露出された配線パターン43に向かうに従って厚さが減少する。このため、境界部54に、例えば爪が引っかかるような段差が少なくなる。したがって、絶縁膜51が取付面21から剥がれることが抑制される。
【0076】
側面22に、側面保護部55よりも薄い側面境界部56が形成される。これにより、側面22から、側面保護部55および側面境界部56を含む絶縁膜51が剥がれることを抑制できる。
【0077】
以上述べた少なくとも一つのインクジェットヘッドによれば、露出された配線に接する絶縁性の保護部の端部に、当該保護部よりも薄い境界部が設けられる。これにより、保護部および境界部を含む絶縁性の部分の剥離を抑制できる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
例えば、上記のインクジェットヘッド10において、取付面21の側端部21aが絶縁膜51に覆われずに露出していたが、他の場所が露出されても良い。さらに、境界部54は平坦な傾斜面を形成するが、これに限らず、例えば段差や凹凸を有しても良いし、配線パターン43と平行な部分を有しても良い。