特許第5768039号(P5768039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5768039イメージセンサユニット、それを用いた画像読取装置、画像形成装置、及びイメージセンサユニットの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768039
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】イメージセンサユニット、それを用いた画像読取装置、画像形成装置、及びイメージセンサユニットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20150806BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20150806BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H04N1/028 A
   H04N1/04 102
   G06T1/00 420G
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-287887(P2012-287887)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-131179(P2014-131179A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】開發 隆弘
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−193353(JP,A)
【文献】 特開平01−252060(JP,A)
【文献】 特開2001−028672(JP,A)
【文献】 特開平09−205518(JP,A)
【文献】 特開平05−003546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一基板上に複数のセンサチップが直線状に実装されたイメージセンサユニットであって、
前記センサチップの各々は、
結像された被照明体からの反射光を電気信号に変換する複数の光電変換素子と、
前記光電変換素子での光電変換により得られた画像信号を保持するメモリ部と、
当該センサチップの動作状態に応じてオン/オフ制御され、前記メモリ部から順次読み出された画像信号を外部出力線に出力する信号出力部とを有し
前記イメージセンサユニットは、画像信号の出力パッドが同じ前記外部出力線に共通に接続される前記センサチップのグループ毎に設けられた電流消費回路を有し、
前記電流消費回路は、前記グループのすべてのセンサチップが画像信号の読み出しを終了するタイミングの信号を受けて設定された電流の消費を開始し、スタート信号を受けて前記グループのセンサチップが最初に画像信号の読み出しを開始するタイミングの信号を受けて設定された電流の消費を終了することを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記グループのセンサチップのなかで、最後に画像信号が読み出されるセンサチップに設けられた前記センサチップが画像信号の読み出しを終了するタイミングの信号を出力する次チップスタート信号出力パッドは、前記電流消費回路に接続されていることを特徴とする請求項1記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
同一基板上に複数のセンサチップが直線状に実装されたイメージセンサユニットであって、
前記センサチップの各々は、
結像された被照明体からの反射光を電気信号に変換する複数の光電変換素子と、
前記光電変換素子での光電変換により得られた画像信号を保持するメモリ部と、
当該センサチップの動作状態に応じてオン/オフ制御され、前記メモリ部から順次読み出された画像信号を外部出力線に出力する信号出力部と、
前記センサチップ間での画像信号の読み出し順に応じた電圧が供給される順序検出用パッドとを有し、
前記センサチップ間での画像信号の読み出し順が2番目以降の前記センサチップは、読み出し順が1つ前の前記センサチップから出力された画像信号の読み出し終了を通知する信号を受けて画像信号の読み出しを開始し、
前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最初であることを検出した前記センサチップでは、1走査ラインについての動作を開始させるスタートパルスの入力の検知時から当該センサチップからの画像信号の読み出し終了までの期間中、前記信号出力部をオン状態にし、
前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最後であることを検出した前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し開始から、次の前記スタートパルスの入力を検知するまでの期間中、前記信号出力部をオン状態にし、
前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最初でなく且つ最後でないことを検出した前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し期間中、前記信号出力部をオン状態にすることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記順序検出用パッドは、画像信号の読み出し順が最初である場合に所定の電圧が供給される第1のパッド、及び画像信号の読み出し順が最後である場合に所定の電圧が供給される第2のパッドを含むことを特徴とする請求項3記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
画像信号の出力パッドが同じ前記外部出力線に共通に接続される前記センサチップを1つのグループとし、グループ内の前記センサチップ間での画像信号の読み出し順に応じて前記センサチップの前記信号出力部がオン/オフ制御されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
並行してグループ毎に前記センサチップからの画像信号の読み出しを行うことを特徴とする請求項5記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
前記信号出力部は、前記メモリ部から読み出された画像信号を増幅して前記外部出力線に出力する信号出力アンプを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項8】
イメージセンサユニットと、
前記イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの光を読み取る画像読取手段と、
を備える画像読取装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項1乃至7の何れか1項に記載のイメージセンサユニットを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
イメージセンサユニットと、
前記イメージセンサユニットと被照明体とを相対的に移動させながら、前記被照明体からの光を読み取る画像読取手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項1乃至7の何れか1項に記載のイメージセンサユニットを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
結像された被照明体からの反射光を電気信号に変換する複数の光電変換素子、前記光電変換素子での光電変換により得られた画像信号を保持するメモリ部、及び動作状態に応じてオン/オフ制御されて前記メモリ部から順次読み出された画像信号を外部出力線に出力する信号出力部を有する複数のセンサチップが同一基板上に直線状に実装されたイメージセンサユニットの制御方法であって、
前記センサチップの各々が順序検出用パッドに供給される電圧によってセンサチップ間での画像信号の読み出し順を検出し、
前記センサチップ間での画像信号の読み出し順が2番目以降の前記センサチップは、読み出し順が1つ前の前記センサチップから出力された画像信号の読み出し終了を通知する信号を受けて画像信号の読み出しを開始するとともに、
検出した画像信号の読み出し順が最初である前記センサチップでは、1走査ラインについての動作を開始させるスタートパルスの入力の検知時から当該センサチップからの画像信号の読み出し終了までの期間中、前記信号出力部をオン状態にし、
検出した画像信号の読み出し順が最初でなく且つ最後でない前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し期間中、前記信号出力部をオン状態にし、
検出した画像信号の読み出し順が最後である前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し開始から、次の前記スタートパルスの入力を検知するまでの期間中、前記信号出力部をオン状態にすることを特徴とするイメージセンサユニットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサユニット、それを用いた画像読取装置、画像形成装置、及びイメージセンサユニットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置として、複写機、イメージスキャナー、ファクシミリなどが知られている。これらの画像読取装置では、原稿の画像情報を光学的に読み取って電気信号に変換する密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)ユニットが用いられる。密着型イメージセンサユニットは、光学系を用いて縮小し画像を読み取る従来の縮小光学系を用いたラインセンサとは異なり、同一基板上に複数のセンサチップを直線状に実装したマルチチップ型イメージセンサが用いられている。
【0003】
一般にイメージセンサユニットにおける画像信号の読み出しは、実装されているセンサチップを複数のグループに分け、並行してグループ毎での読み出しが行われる。また、センサチップの各々は、チップ外の接続された共通出力線に画像信号を増幅して出力する出力段の信号出力アンプを有しているが、この信号出力アンプによる消費電流は大きい。そこで、イメージセンサユニットの消費電流を削減するために、センサチップ毎にその動作状態に応じた信号出力アンプのオン/オフ制御が行われている。具体的には、センサチップにて読み出し動作を開始するときに信号出力アンプへの電源供給が開始され、読み出し動作が終了すると信号出力アンプへの電源供給が遮断されるように制御される。
【0004】
例えば、イメージセンサユニットに実装されているすべてのセンサチップが読み出し動作を終えた期間(ブランク期間)には、すべてのセンサチップにおいて信号出力アンプを含む画像信号出力に係る回路がオフ状態となっており、この期間の消費電流は少ない。ここで、次ラインの動作を開始するスタートパルスが入力されると、すべてのセンサチップが垂直転送動作を行うためにイメージセンサユニットの消費電流が全センサチップ数分増加する。さらに、センサチップからの画像信号の読み出しが始まると、画像信号を読み出すセンサチップの信号出力アンプがオン状態になり、イメージセンサユニットの消費電流が画像信号を読み出すセンサチップ数分だけ増加する。
【0005】
このように各センサチップの信号出力アンプについてオン/オフ制御することによりイメージセンサユニットの消費電流の削減を図っているが、結果として負荷変動が大きくなる。例えば、センサチップでの読み出し動作が終了してブランク期間になる前後では、画像信号の読み出しが行われていたセンサチップがオン状態からオフ状態に変化し、そのセンサチップ数分の消費電流が減少するので、イメージセンサユニットの消費電流は大きく変動する。また、イメージセンサユニットの多出力化にともなって、同時に動作するセンサチップの数が多くなり、イメージセンサユニットの消費電流の変動が大きくなっている。イメージセンサユニットの消費電流の変動は、センサチップ等に供給される電源電圧の変動を引き起こし、出力変動の原因となる。
【0006】
特許文献1には、電源部から原稿読取部及び画像処理部への電源ラインにフィルタを設け、原稿読取系で生じる電流変動による電源電圧の変動をフィルタによって除去するようにして画像書込部に対する影響を抑制するようにした画像形成装置が開示されている。具体的構成の1つとして、電源部から原稿読取部及び画像処理部への電源ラインにコンデンサを入れ、原稿読取系で生じる電流変動をコンデンサに充放電させて電源部側の電流変動を抑え、電源電圧の変動を抑えるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−166349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、センサチップの動作状態に応じて信号出力に係る回路をオン/オフ制御するイメージセンサユニットにて、信号出力に係る回路のオン/オフ制御によるイメージセンサユニットの消費電流の変動を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のイメージセンサユニットは、同一基板上に複数のセンサチップが直線状に実装されたイメージセンサユニットであって、前記センサチップの各々は、結像された被照明体からの反射光を電気信号に変換する複数の光電変換素子と、前記光電変換素子での光電変換により得られた画像信号を保持するメモリ部と、当該センサチップの動作状態に応じてオン/オフ制御され、前記メモリ部から順次読み出された画像信号を外部出力線に出力する信号出力部とを有し前記イメージセンサユニットは、画像信号の出力パッドが同じ前記外部出力線に共通に接続される前記センサチップのグループ毎に設けられた電流消費回路を有し、前記電流消費回路は、前記グループのすべてのセンサチップが画像信号の読み出しを終了するタイミングの信号を受けて設定された電流の消費を開始し、スタート信号を受けて前記グループのセンサチップが最初に画像信号の読み出しを開始するタイミングの信号を受けて設定された電流の消費を終了することを特徴とする。
本発明のイメージセンサユニットは、同一基板上に複数のセンサチップが直線状に実装されたイメージセンサユニットであって、前記センサチップの各々は、結像された被照明体からの反射光を電気信号に変換する複数の光電変換素子と、前記光電変換素子での光電変換により得られた画像信号を保持するメモリ部と、当該センサチップの動作状態に応じてオン/オフ制御され、前記メモリ部から順次読み出された画像信号を外部出力線に出力する信号出力部と、前記センサチップ間での画像信号の読み出し順に応じた電圧が供給される順序検出用パッドとを有し、前記センサチップ間での画像信号の読み出し順が2番目以降の前記センサチップは、読み出し順が1つ前の前記センサチップから出力された画像信号の読み出し終了を通知する信号を受けて画像信号の読み出しを開始し、前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最初であることを検出した前記センサチップでは、1走査ラインについての動作を開始させるスタートパルスの入力の検知時から当該センサチップからの画像信号の読み出し終了までの期間中、前記信号出力部をオン状態にし、前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最後であることを検出した前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し開始から、次の前記スタートパルスの入力を検知するまでの期間中、前記信号出力部をオン状態にし、前記順序検出用パッドに供給される電圧によって画像信号の読み出し順が最初でなく且つ最後でないことを検出した前記センサチップでは、当該センサチップからの画像信号の読み出し期間中、前記信号出力部をオン状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサチップの信号出力部のオン/オフ制御によるイメージセンサユニットの消費電流の変動を抑制することができ、電源電圧の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態におけるイメージセンサユニット5を備えたMFP100の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるMFP100における画像形成部20の構造を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態におけるイメージセンサユニット5内の構成例を示す模式図である。
図4】本発明の第1の実施形態におけるセンサ基板14に実装されたセンサチップ13Aの一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるセンサチップ13A内のセンサ部の回路構成例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態におけるセンサチップ13Aの動作例を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の第1の実施形態におけるイメージセンサユニット5の出力電圧及び消費電流を説明するための図である。
図8】本発明の第2の実施形態におけるセンサ基板14に実装されたセンサチップ13B及び電流消費回路70の一例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施形態におけるイメージセンサユニット5の出力電圧及び消費電流を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用できる実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態は、後述するイメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用される画像読取装置、及び画像形成装置について説明する。なお、以下に説明する各図では、必要に応じて三次元の各方向を、X,Y,Zの各矢印で示す。X方向が主走査方向であり、Y方向が主走査方向に直角な副走査方向であり、Z方向が上下方向である。
画像読取装置、及び画像形成装置では、イメージセンサユニットが読取対象物としての原稿Dに光を照射し、反射光を電気信号に変換することで画像を読み取る(反射読取)。なお、読取対象物は原稿Dに限られず、その他の読取対象物に対しても適用可能である。また、透過読取であっても適用可能である。
【0013】
ここで、本実施形態に係るイメージセンサユニットを適用できる画像読取装置又は画像形成装置の一例である多機能プリンタ(MFP;Multi Function Printer)の構造について図1を参照して説明する。図1は、MFPの外観を示す斜視図である。図1に示すように、MFP100は、被照明体としての原稿Dからの反射光を読み取る画像読取手段としての画像読取部1と、記録媒体としてのシートN(記録紙)に原稿Dの画像を形成(印刷)する画像形成手段としての画像形成部20とを備えている。
【0014】
画像読取部1は、いわゆるイメージスキャナーの機能を有し、例えば以下のように構成される。
画像読取部1は、筐体2と、原稿載置部としてのガラス製の透明板からなるプラテンガラス3と、原稿Dを覆うことができるように筐体2に対して開閉自在に設けられるプラテンカバー4とを備えている。
筐体2の内部には、イメージセンサユニット5、保持部材6、イメージセンサユニットスライドシャフト7、イメージセンサユニット駆動モータ8、ワイヤ9、信号処理部Uなどが収納されている。
【0015】
イメージセンサユニット5は、例えば密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)ユニットである。イメージセンサユニット5は、プラテンガラス3上に載置された被照明体としての原稿Dの画像情報を光学的に読み取って電気信号に変換する。保持部材6は、イメージセンサユニット5を囲むように保持する。イメージセンサユニットスライドシャフト7は、保持部材6をプラテンガラス3に沿って副走査方向に案内する。イメージセンサユニット駆動モータ8は、保持部材6に取り付けられたワイヤ9を動かす。
上述したように構成される画像読取部1では、イメージセンサユニット駆動モータ8が、保持部材6に保持されたイメージセンサユニット5をイメージセンサユニットスライドシャフト7に沿って読取方向(副走査方向)に移動させる。このとき、イメージセンサユニット5は、プラテンガラス3上に載置された原稿Dを光学的に読み取って、電気信号に変換することで、画像の読み取り動作を行う。
【0016】
図2は画像形成部20の構造を示す概略図である。
画像形成部20は、いわゆるプリンタの機能を有し、例えば以下のように構成される。
画像形成部20は、筐体2内部に収容されており、図2に示すように搬送ロール21と記録ヘッド22とを備えている。記録ヘッド22は、例えばシアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kのインクを備えたインクタンク23(23C、23M、23Y、23K)と、これらのインクタンク23にそれぞれ設けられた吐出ヘッド24(24C、24M、24Y、24K)から構成される。また、画像形成部20は、記録ヘッドスライドシャフト25、記録ヘッド駆動モータ26、記録ヘッド22に取り付けられたベルト27を有している。
また、筐体2背面には給紙トレイ28が、筐体2前面には回収ユニット29がそれぞれ設けられている(図1参照)。給紙トレイ28は、所定のサイズのシートNを収容する。回収ユニット29は筐体2に対して開閉自在に設けられ、印刷されたシートNを回収する。
【0017】
上述したように構成される画像形成部20では、給紙トレイ28から供給されたシートNは、搬送ロール21によって記録位置まで搬送される。記録ヘッド22は、記録ヘッド駆動モータ26によりベルト27を機械的に動かすことで、記録ヘッドスライドシャフト25に沿って印刷方向(主走査方向)に移動しつつ電気信号を基にシートNに対して印刷を行う。印刷終了まで上述した動作を繰り返した後、印刷されたシートNは搬送ロール21によって回収ユニット29に排出される。
なお、画像形成部20としてインクジェット方式による画像形成装置を説明したが、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であっても構わない。
【0018】
次に、イメージセンサユニット5内の構成部品と光源10からの光路との関係について図3を参照して説明する。図3は、イメージセンサユニット5内の構成例を示す模式図である。イメージセンサユニット5の内部には、光源10、導光体11、ロッドレンズアレイ12、センサ基板14が配設されている。
光源10は、原稿Dを照明するものであり、例えば赤緑青3色の発光波長を持つ発光素子10r、10g、10bを有している。光源10は、発光素子10r、10g、10bを順次点灯駆動することによって光を照射する。
【0019】
導光体11は、光源10から照射された光を前述したプラテンガラス3上に載置された原稿Dへと導くものであり、原稿Dの幅に対応した長さの細長状に形成されている。導光体11は、アクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明プラスチックにより形成される。
導光体11の長手方向(主走査方向)の一方側の端面は、光源10からの光が入光される入光面11aである。イメージセンサユニット5では、光源10からの光が効率よく導光体11に入光するように、光源10の発光素子10r、10g、10bが入光面11aに対向して配置される。また、導光体11の長手方向に沿い、かつプラテンガラス3上の原稿Dと対向する面は、導光体11に入光した光が出光される出光面11bである。また、出光面11bと対向する面は、入光面11aからの光を導光体11の内部で反射・拡散させる拡散面11cである。導光体11の入光面11a、出光面11b及び拡散面11c以外のその他の部位は実質的に反射面として形成される。
したがって、導光体11は、入光面11aから入光された光を拡散面11c及びその他の反射面で反射・散乱させ、出光面11bから出光させて、原稿Dを照明する。このように、光源10と導光体11とは、原稿Dを照明する照明装置として機能する。
【0020】
ロッドレンズアレイ12は、正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)を導光体11の主走査方向(長手方向)に直線状に複数配列した光学部材である。ロッドレンズアレイ12は、原稿Dからの光を光電変換部13の光電変換素子に結像する。
なお、ロッドレンズアレイに限らず、各種マイクロレンズアレイなど、従来公知の各種集光機能を有する光学部材が適用できる。
センサ基板14は、光電変換部13が実装される。光電変換部13は、複数の光電変換素子を有し、ロッドレンズアレイ12により結像された光を受光して電気信号に変換する。光電変換部13は、導光体11の主走査方向(長手方向)に直線状に実装された複数のセンサチップ13A又は13Bにより構成される。
ロッドレンズアレイ12及び光電変換部13の光電変換素子は、原稿Dの幅に対応する長さに形成されている。
【0021】
上述したように構成されるイメージセンサユニット5を備えた画像読取部1が原稿Dの読み取りを行う場合の動作の概略について説明する。原稿Dの読み取りを行うとき、まず、画像読取部1は、原稿Dの読み取り開始位置までイメージセンサユニット5を移動する。読み取り開始位置に移動したイメージセンサユニット5は、光源10の発光素子10r、10g、10bを順次点灯する。光源10からの光は、導光体11の入光面11aから入光した後、出光面11bから均一に出光する。導光体11を出光した光は、原稿Dの表面を主走査方向に亘ってライン状に照射される。照射された光は、原稿Dによって反射された後、ロッドレンズアレイ12によってセンサ基板14上に実装された光電変換部13の光電変換素子に結像される(反射読取)。光電変換部13の光電変換素子は、結像された反射光を電気信号に変換する。イメージセンサユニット5は、赤緑青すべての反射光を変換することで、主走査方向に沿った1走査ラインの読み取り動作が終了する。
【0022】
続いて、画像読取部1は、イメージセンサユニット5を1走査ライン分だけ副走査方向に移動する。イメージセンサユニット5の副走査方向への相対的な移動に伴い、前述と同様に1走査ラインの読み取り動作を行う。このように、イメージセンサユニット5が副走査方向に移動しながら1走査ラインの移動と読み取り動作とを繰り返すことで、原稿D全面が順次走査されて反射光による原稿D全面の読み取りが完了する。
イメージセンサユニット5によって変換された電気信号は、信号処理部Uにて必要に応じて画像処理された後、画像データとして記憶される。
【0023】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態におけるセンサ基板14に実装されるセンサチップ13Aについて説明する。図4は、センサ基板14に実装されたセンサチップ13Aの一例を示す図である。図4において、センサチップ13A(13A−11、13A−12、13A−13、13A−21、・・・)は、センサ基板14上に実装されたセンサチップであり、各々光電変換素子を備えている。センサチップ13Aは、前述のように導光体11の長手方向と同方向に直線状に複数実装され光電変換部13を構成する。
【0024】
第1の実施形態では、3つのセンサチップ13A(例えば、13A−11、13A−12、13A−13)を1組として、実装された複数のセンサチップ13Aをグループ分けし、並行してグループ毎での画像信号の読み出しを行う。センサチップ13A−ij(i,jは添え字)が、第iグループにおいてj番目に画像信号の読み出しが行われるものとする。画像信号を出力するための信号出力線であるセンサチップ外の共通出力線(外部出力線)の1つに、同じグループに属する各センサチップ13Aの画像信号出力パッドが共通に接続される。
【0025】
なお、本実施形態では3つのセンサチップ13Aを1組としたが、これに限定されるものではなく、1組とするセンサチップ13Aの数は任意であり、例えばイメージセンサユニット5の外部インタフェースや読み出し時間の仕様等に応じて適宜設定すれば良い。また、図4においては、グループ分けをわかりやすくするために、センサチップ13A間の間隔をグループ内とグループ間とで異ならせて図示している。しかし、グループ内であるかグループ間であるかにかかわらず、複数のセンサチップ13Aにおける光電変換素子の間隔を一定とするように、センサチップ13Aはセンサ基板14上に実装される。
【0026】
図4に示すように、センサチップ13Aの各々は、センサチップの外部と信号を授受するための複数のパッドを有するパッド部31A、及び結像された原稿Dからの反射光を電気信号に変換して出力するセンサ部32を有する。パッド部31Aは、例えばスタート信号入力パッド33、読み出し順序検出用パッド34、35、画像信号出力パッド36、スタートパルス入力パッド37、クロック入力パッド38、及び次チップスタート信号出力パッド39を有する。
【0027】
スタート信号入力パッド33には、センサチップ13Aからの画像信号の読み出しを開始させる、言い換えれば画像信号を順次読み出すためのセンサチップ13A内のシフトレジスタのシフト動作を開始させるスタート信号SIが入力される。
【0028】
読み出し順序検出用パッド34、35は、グループ内において画像信号が読み出される順序の検出に用いられる。読み出し順序検出用パッド34は、グループ内において最初に画像信号が読み出されるセンサチップであるか否かを検出するための先頭検出用パッドである。センサチップ13Aは、先頭検出用パッドである読み出し順序検出用パッド34に電源電圧Vccが供給されることによって、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップであることを検出する。同様に、読み出し順序検出用パッド35は、グループ内において最後に画像信号が読み出されるセンサチップであるか否かを検出するための最終検出用パッドである。センサチップ13Aは、最終検出用パッドである読み出し順序検出用パッド35に電源電圧Vccが供給されることによって、グループ内で最後に画像信号が読み出されるセンサチップであることを検出する。
【0029】
画像信号出力パッド36は、共通出力線に接続されるとともに、センサ部32の信号出力アンプAMPの出力端に接続される。センサ部32の信号出力アンプAMPから出力された画像信号は、画像信号出力パッド36を介して、接続された共通出力線に出力される。ここで、第iのグループに属するセンサチップ13A−i1、13A−i2、13A−i3の画像信号出力パッド36は、第iのグループに対応する1本の共通出力線OUTiに共通接続される。
【0030】
スタートパルス入力パッド37には、1走査ラインの画像信号の読み出し動作を開始させるスタートパルスSPが入力される。また、クロック入力パッド38には、センサチップ13A内の回路を駆動するためのクロックCLKが入力される。センサチップ13Aの動作を同期させるために、各センサチップ13Aのスタートパルス入力パッド37はスタートパルスSPを供給する1つの信号線に共通接続され、クロック入力パッド38はクロックCLKを供給する1つの信号線に共通接続されている。
【0031】
次チップスタート信号出力パッド39からは、センサチップ13Aからの画像信号の読み出しの終了を通知する信号が出力される。次チップスタート信号出力パッド39は、同じグループにおいて次に画像信号の読み出しを行うセンサチップ13Aのスタート信号入力パッド33に接続されている。つまり、画像信号の読み出し順が2番目以降のセンサチップ13Aでは、読み出し順が1つ前のセンサチップ13Aの次チップスタート信号出力パッド39から出力される画像信号の読み出しの終了を通知する信号が、画像信号の読み出しを開始させるスタート信号SIとして使用される。
【0032】
なお、パッド部31Aは、電源電圧(VCC)や基準電位(GND)に対して接続される図示しないパッドを有している。また、前述した各パッドは一例であり、パッド部31Aは、例えば解像度を設定するためのモード信号入力パッド等を有していても良い。
【0033】
センサ部32は、図5に示すように、光電変換素子としてのフォトダイオードPD、トランジスタTR1、TR2、TR3、TR4、増幅器PA1、PA2、メモリ部としてのアナログメモリMEM1、MEM2、シフトレジスタSREG、及び信号出力アンプAMPを有する。フォトダイオードPDは、前述したようにロッドレンズアレイ12により結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子であり、導光体11の長手方向と同方向に所定の間隔で配列されている。
【0034】
トランジスタTR1は、光電変換素子となるフォトダイオードPDをリセットするためのリセットトランジスタであり、信号resetにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。トランジスタTR2は、光電変換により得られた画像信号をフォトダイオードPDから読み出すための第1の転送トランジスタであり、信号T1により導通/非導通(オン/オフ)が制御される。フォトダイオードPDから読み出される画像信号は、増幅器PA1及び第1の転送トランジスタTR2を介して、第1のアナログメモリMEM1に保持される。
【0035】
トランジスタTR3は、第1のアナログメモリMEM1に保持された画像信号を第2のアナログメモリMEM2に転送するための第2の転送トランジスタであり、信号T2により導通/非導通(オン/オフ)が制御される。第1のアナログメモリMEM1に保持された画像信号は、第2の転送トランジスタTR3及び増幅器PA2を介して、第2のアナログメモリMEM2に転送され保持される。
【0036】
トランジスタTR4は、第2のアナログメモリMEM2に保持された画像信号を読み出すための読み出しトランジスタであり、シフトレジスタSREGの出力により導通/非導通(オン/オフ)が制御される。シフトレジスタSREGの出力に応じてトランジスタTR4が1つずつ順にオンされることによって、第2のアナログメモリMEM2に保持されている画像信号が順次読み出され、信号出力アンプAMPにより増幅されて信号出力Voutとして出力される。
【0037】
信号出力アンプAMPは、入力される画像信号を増幅し、信号出力Voutとして共通出力線に出力する。本実施形態において、信号出力アンプAMPは、センサチップ13Aの動作状態に応じてオン/オフ制御される。例えば、信号出力アンプAMPへの電源供給が行われることによって信号出力アンプAMPはオン状態とされ、信号出力アンプAMPへの電源供給を遮断する、あるいは消費電流の削減状態(低消費電流状態)へ遷移させることによって信号出力アンプAMPはオフ状態とされる。
【0038】
図6は、センサチップ13Aの動作例を示すタイミングチャートである。
センサチップ13AにスタートパルスSPが入力されると、期間P1において、信号T1が入力された後に信号resetが入力され、光電変換素子としてのフォトダイオードPDがリセットされる。信号resetが入力されてから所定の期間が経過した後に、信号T1が入力されることで、光電変換により得られた画像信号がフォトダイオードPDから読み出され、増幅器PA1及び第1の転送トランジスタTR2を介して、第1のアナログメモリMEM1に転送され保持される。
【0039】
次に、期間P2において、信号T2が入力され、第1のアナログメモリMEM1に保持されている画像信号が、第2の転送トランジスタTR3及び増幅器PA2を介して、第2のアナログメモリMEM2に転送され保持される。なお、図6においては、いわゆる低解像度モードで4画素加算により1つの画像データを得る場合の例を示しており、信号T2−1〜T2−4のすべてが同じタイミングで入力される。
【0040】
続く、期間P3において、シフトレジスタSREGの出力に応じて読み出しトランジスタTR4が順次オンされる。これにより、第2のアナログメモリMEM2に保持されている画像信号が順次読み出され、信号出力アンプAMPを介して有効な画像信号が信号出力Voutとして出力される。そして、センサチップ13Aからの画像信号の読み出しが終了するとブランキング期間P4となる。
【0041】
次に、第1の実施形態におけるイメージセンサユニット5の動作について説明する。図7(A)は、第1の実施形態におけるイメージセンサユニット5の出力電圧VOUT及び消費電流ICCを説明するための図であり、図7(B)は、本実施形態と比較参照するために従来の制御方法での出力電圧VOUT及び消費電流ICCを示した図である。
【0042】
第1の実施形態におけるイメージセンサユニット5においては、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作時に、センサチップ13Aの動作状態に応じて信号出力アンプAMPのオン/オフ制御を行う。具体的には、センサチップ13Aにて画像信号の読み出しを開始するときに信号出力アンプAMPがオン状態となり、画像信号の読み出しが終了すると信号出力アンプAMPがオフ状態となる。信号出力アンプAMPをオン状態にすることは、例えば信号出力アンプAMPへの電源供給を行うことにより実現され、信号出力アンプAMPをオフ状態にすることは、例えば信号出力アンプAMPへの電源供給を遮断することにより実現される。
【0043】
ただし、先頭検出用パッド34に電源電圧Vccが供給されているグループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13Aでは、スタートパルスSPの入力を検知すると直ちに信号出力アンプAMPがオン状態となる。また、最終検出用パッド35に電源電圧Vccが供給されているグループ内で最後に画像信号が読み出されるセンサチップ13Aでは、信号出力アンプAMPは、画像信号の読み出しが終了してもオフ状態にならず、次のスタートパルスの入力を検知するまでオン状態とされる。
【0044】
つまり、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13Aでは、スタートパルスSPの入力の検知時からセンサチップからの画像信号の読み出し終了までの期間中において、信号出力アンプAMPがオン状態となる。また、グループ内で最後に画像信号が読み出されるセンサチップ13Aでは、センサチップからの画像信号の読み出し開始から次のスタートパルスSPの入力を検知するまでの期間中において、信号出力アンプAMPがオン状態となる。それ以外のセンサチップ13Aでは、センサチップからの画像信号の読み出し開始から読み出し終了までの期間である画像信号の読み出し期間中において、信号出力アンプAMPがオン状態となる。
【0045】
以下では、図4に示したように、3つのセンサチップ13A−i1、13A−i2、13A−i3を1組として、イメージセンサユニット5に実装されている複数のセンサチップ13Aをグループ分けして画像信号の読み出しを行う場合を例に説明する。
スタートパルスSPが入力されると、イメージセンサユニット5のすべてのセンサチップ13Aが垂直転送動作を行うとともに、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13A−i1において信号出力アンプAMPがオン状態になる(期間T61)。なお、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13A−i1以外のセンサチップ13A−i2及び13A−i3では信号出力アンプAMPはオフ状態である。したがって、この期間T61においては、全センサチップ数分の垂直転送動作による消費電流に、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流を加えた消費電流I61が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0046】
次に、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13A−i1に対してスタート信号SIが入力されると、センサチップ13A−i1からの画像信号の読み出しが開始され、画像信号に応じた出力VOUTが順次出力される(期間T62)。この期間T62において、センサチップ13A−i2及び13A−i3の信号出力アンプAMPはオフ状態である。したがって、この期間T62においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流I62が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0047】
そして、センサチップ13A−i1から画像信号の読み出しの終了を通知する信号が出力され、その信号が次に画像信号の読み出しを行うセンサチップ13A−i2に入力される。これにより、センサチップ13A−i2において信号出力アンプAMPがオン状態になるとともに、センサチップ13A−i2からの画像信号の読み出しが開始され、画像信号に応じた出力VOUTが順次出力される(期間T63)。この期間T63において、センサチップ13A−i1及び13A−i3の信号出力アンプAMPはオフ状態である。したがって、この期間T63においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流、すなわち消費電流I62と同量の電流がイメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0048】
続いて、同様に、センサチップ13A−i2から画像信号の読み出しの終了を通知する信号が出力され、その信号が次に画像信号の読み出しを行うセンサチップ13A−i3に入力される。これにより、センサチップ13A−i3において信号出力アンプAMPがオン状態になるとともに、センサチップ13A−i3からの画像信号の読み出しが開始され、画像信号に応じた出力VOUTが順次出力される(期間T64)。この期間T64において、センサチップ13A−i1及び13A−i2の信号出力アンプAMPはオフ状態である。したがって、この期間T64においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流、すなわち消費電流I62と同量の電流がイメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0049】
そして、センサチップ13A−i3からの画像信号の読み出しが終了すると、次ラインの動作を開始するスタートパルスSPが入力されるまでブランク期間となる(期間T65)。この期間T65においては、センサチップ13A−i3の信号出力アンプAMPはオン状態である。すなわち、期間T65においては、期間T64と同じ状態が維持され、センサチップ13A−i3の信号出力アンプAMPはオン状態であり、センサチップ13A−i1及び13A−i2の信号出力アンプAMPはオフ状態である。したがって、この期間T65においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流I63が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。ここで、消費電流I63は、前述の説明から明らかなように消費電流I62と同様の電流である。そして、次ラインの動作を開始するスタートパルスSPが入力されるとブランク期間を終了し、期間T61と同様にして次ラインの画像信号の読み出しが開始される。
【0050】
このように第1の実施形態では、イメージセンサユニット5に実装されている複数のセンサチップ13Aを複数のグループに分けて、並行してグループ毎での画像信号の読み出しを行うとともに、センサチップ13Aの動作状態に応じて信号出力アンプAMPのオン/オフ制御を行う。これにより、グループ内の1つのセンサチップ13Aの信号出力アンプAMPだけがオン状態になり、グループ内のその他のセンサチップ13Aの信号出力アンプAMPはオフ状態であるので、イメージセンサユニット5の消費電流を低減することができる。例えば、センサチップ13Aの動作状態に応じた信号出力アンプAMPのオン/オフ制御を行わず、常にオン状態とする場合と比較して、イメージセンサユニット5の消費電流を、おおよそ(1/グループ内のセンサチップ数)に低減することが可能である。
【0051】
また、第1の実施形態では、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作における垂直転送動作期間及びブランク期間においても、グループ内の1つのセンサチップ13Aの信号出力アンプAMPをオン状態にする。これにより、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作時における信号出力アンプAMPの動作数は常に一定であり、追加回路を設けずとも、イメージセンサユニット5の消費電流の変動を抑制することができ、面積やコストを増大させることなく電源電圧の変動を抑制することができる。センサチップの動作速度を高速化すると、帯域確保のために信号出力アンプでの消費電流は増加する傾向にあるので、高速イメージセンサに本実施形態における技術を適用すると有効である。
【0052】
例えば、図7(A)と図7(B)を比較すると、垂直転送動作期間である期間T61とセンサチップ13A−i1の画像信号読み出し期間である期間T62との間でのイメージセンサユニット5の消費電流の変動は、本実施形態によれば全センサチップ数分の垂直転送動作による消費電流に相当する電流量である。一方、垂直転送動作時はすべての信号出力アンプをオフ状態にする従来の手法では、イメージセンサユニット5の消費電流の変動量は、全センサチップ数分の垂直転送動作による消費電流I64と、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプによる消費電流I65との差分D61となり大きい。また、センサチップ13A−i3の画像信号読み出し期間である期間T64とブランク期間である期間T65との間では、第1の実施形態によれば動作している信号出力アンプの数は変わらないのでイメージセンサユニット5の消費電流は変動しない。それに対して、ブランク期間はすべての信号出力アンプをオフ状態にする従来の手法では、イメージセンサユニット5の消費電流の変動量は、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプによる消費電流I65と、全センサチップ数分のアイドル電流による消費電流I66の差分D66となり非常に大きい。このように、第1の実施形態によれば、追加回路を設けずにイメージセンサユニット5の消費電流の変動を抑制でき、面積やコストを増大させることなく電源電圧の変動を抑制することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
前述した第1の実施形態では、常にグループ内の何れか1つのセンサチップ13Aの信号出力アンプAMPをオン状態にすることで、イメージセンサユニット5の消費電流の変動を抑制する。以下に説明する第2の実施形態は、グループ毎に1つの信号出力アンプAMPの消費電流に相当する電流を消費する電流消費回路を設ける。そして、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作における垂直転送動作期間及びブランク期間において、その電流消費回路により電流を消費することでイメージセンサユニット5の消費電流の変動を抑制する。以下の第2の実施形態に係る説明では、第1の実施形態と異なる点を説明し、第1の実施形態と同様のその他の点については説明を省略する。
【0054】
図8は、第2の実施形態におけるセンサ基板14に実装されたセンサチップ13B及び電流消費回路70の一例を示す図である。この図8において、図4に示した構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図8において、センサチップ13B(13B−11、13B−12、13B−13、13B−21、・・・)は、センサ基板14上に実装されたセンサチップであり、各々光電変換素子を備えている。センサチップ13Bは、前述のように導光体11の長手方向と同方向に直線状に複数実装され光電変換部13を構成する。また、70は、1つの信号出力アンプAMPの消費電流に相当する電流D62’を消費するように制御される電流消費回路である。
【0055】
第2の実施形態においても、3つのセンサチップ13Bを1組として、実装された複数のセンサチップ13Bをグループ分けし、並行してグループ毎での画像信号の読み出しを行う。センサチップ13B−ij(i,jは添え字)が、第iグループにおいてj番目に画像信号の読み出しが行われるものとする。画像信号を出力するための信号出力線であるセンサチップ外の共通出力線の1つに、同じグループに属する各センサチップ13Bの画像信号出力パッドが共通に接続される。なお、1組とするセンサチップ13Bの数は任意であり、例えばイメージセンサユニット5の外部インタフェースや読み出し時間の仕様等に応じて適宜設定すれば良い。また、センサチップ13Bは、複数のセンサチップ13Bにおける光電変換素子の間隔を一定とするように、センサ基板14上に実装される。
【0056】
センサチップ13Bの各々は、センサチップの外部と信号を授受するための複数のパッドを有するパッド部31B、及びセンサ部32を有する。パッド部31Bは、読み出し順序検出用パッド35を有していない点が、第1の実施形態におけるパッド部31Aと異なる。次チップスタート信号出力パッド39は、第1の実施形態と同様に、同じグループにおいて次に画像信号の読み出しを行うセンサチップ13Bのスタート信号入力パッド33に接続されている。ただし、グループ内で最後に画像信号が読み出されるセンサチップ13Bの次チップスタート信号出力パッド39は、電流消費回路70に接続される。
【0057】
電流消費回路70は、センサチップ13Bのグループ毎に対してそれぞれ設けられる。電流消費回路70は、RSフリップフロップ71、スイッチ(トランジスタ)72、及び抵抗73を有する。RSフリップフロップ71の入力Sが、グループ内で最後に画像信号が読み出されるセンサチップ13Bの次チップスタート信号出力パッド39に接続され、次チップスタート信号出力パッド39から出力される画像信号の読み出しの終了を通知する信号が供給される。また、RSフリップフロップ71の入力Rには、センサチップ13Bのスタート信号入力パッド33に入力される画像信号の読み出しを開始させるスタート信号SI、若しくはスタート信号SIに相当する信号が供給される。
【0058】
スイッチ72と抵抗73とが直列に接続された直列回路が、電源と接地の間に接続される。スイッチ72は、RSフリップフロップ71の出力Qにより導通/非導通(オン/オフ)が制御される。なお、スイッチ72がオン状態となったときに、スイッチ72及び抵抗73を有する直列回路に電流D62’が流れるように、電流消費回路70を構成する各素子の特性が設定されている。このような構成により、電流消費回路70は、RSフリップフロップ71の入力Sに信号が入力されてから入力Rに信号が入力されるまでの間において、RSフリップフロップ71の出力がアサートされてスイッチ72がオンし電流D62’を消費する。
【0059】
次に、第2の実施形態におけるイメージセンサユニット5の動作について説明する。図9は、第2の実施形態におけるイメージセンサユニット5の出力電圧VOUT及び消費電流ICCを説明するための図である。第2の実施形態におけるイメージセンサユニット5においては、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作時に、センサチップ13Bの動作状態に応じて信号出力アンプAMPのオン/オフ制御を行う。具体的には、センサチップ13Bにて画像信号の読み出しを開始するときに信号出力アンプAMPがオン状態となり、画像信号の読み出しが終了すると信号出力アンプAMPがオフ状態となる。以下では、3つのセンサチップ13B−i1、13B−i2、13B−i3を1組として、イメージセンサユニット5に実装されている複数のセンサチップ13Bをグループ分けして画像信号の読み出しを行う場合を例に説明する。
【0060】
スタートパルスSPが入力されると、イメージセンサユニット5のすべてのセンサチップ13Bが垂直転送動作を行う(期間T61)。なお、すべてのセンサチップ13Bにおいて、信号出力アンプAMPはオフ状態である。このとき、電流消費回路70のRSフリップフロップ71においては、前ラインにおける画像信号の読み出しの終了時に入力Sに信号が入力されたことで、出力Qがアサートされている。したがって、電流消費回路70は、スイッチ72がオン状態となり、電流D62を消費している。なお、電流D62は、(電流D62’×グループ数)である。これにより、期間T61においては、全センサチップ数分の垂直転送動作による消費電流I64に、グループ数と同じ数の電流消費回路70による消費電流D62を加えた消費電流I67が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0061】
次に、グループ内で最初に画像信号が読み出されるセンサチップ13B−i1に対してスタート信号SIが入力されると、センサチップ13B−i1からの画像信号の読み出しが開始され、画像信号に応じた出力VOUTが順次出力される(期間T62)。この期間T62において、センサチップ13B−i2及び13B−i3の信号出力アンプAMPはオフ状態である。また、センサチップ13B−i1に対してスタート信号SIが入力されるのと同時に、電流消費回路70のRSフリップフロップ71において、入力Rに信号が入力されることで出力Qがネゲートされ、スイッチ72がオフ状態となる。したがって、この期間T62においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流I68が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0062】
その後の期間T63、T64では、第1の実施形態と同様に、センサチップ13B−i2だけ、センサチップ13B−i3だけのそれぞれにおいて、信号出力アンプAMPがオン状態になるとともに、画像信号の読み出しが行われる。したがって、期間T63、T64においては、グループ数と同じセンサチップ数分の信号出力アンプAMPによる消費電流、すなわち消費電流I68と同量の電流がイメージセンサユニット5の消費電流となる。
【0063】
そして、センサチップ13B−i3からの画像信号の読み出しが終了すると、次ラインの動作を開始するスタートパルスSPが入力されるまでブランク期間となる(期間T65)。この期間T65においては、すべてのセンサチップ13Bの信号出力アンプAMPはオフ状態である。また、センサチップ13B−i3からの画像信号の読み出しが終了することで、電流消費回路70のRSフリップフロップ71の入力Sに信号が入力され、出力Qがアサートされる。したがって、電流消費回路70は、スイッチ72がオン状態となり、電流D62を消費する。これにより、期間T65においては、全センサチップ数分のアイドル電流による消費電流I66に、グループ数と同じ数の電流消費回路70による消費電流D62を加えた消費電流I69が、イメージセンサユニット5の消費電流となる。そして、次ラインの動作を開始するスタートパルスSPが入力されるとブランク期間を終了し、期間T61と同様にして次ラインの画像信号の読み出しが開始される。
【0064】
このように第2の実施形態では、イメージセンサユニット5に実装されている複数のセンサチップ13Bを複数のグループに分けて、並行してグループ毎での画像信号の読み出しを行うとともに、センサチップ13Bの動作状態に応じて信号出力アンプAMPのオン/オフ制御を行う。これにより、グループ内の1つのセンサチップ13Bの信号出力アンプAMPだけがオン状態になり、グループ内のその他のセンサチップ13Bの信号出力アンプAMPはオフ状態であるので、イメージセンサユニット5の消費電流を低減することができる。
【0065】
また、第2の実施形態では、すべてのセンサチップ13Bの信号出力アンプAMPがオフ状態となる、イメージセンサユニット5からの画像信号の読み出し動作における垂直転送動作期間及びブランク期間において、電流消費回路70により所定の電流を消費する。これにより、イメージセンサユニット5の消費電流の変動を抑制することができ、電源電圧の変動を抑制することができる。センサチップの動作速度を高速化すると、帯域確保のために信号出力アンプでの消費電流は増加する傾向にあるので、高速イメージセンサに本実施形態における技術を適用すると有効である。
【0066】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係るイメージセンサユニット5は、例えばイメージスキャナー、ファクシミリ、複写機等の画像読取装置や画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1:画像読取部(画像読取手段) 5:密着型イメージセンサユニット(イメージセンサユニット) 12:ロッドレンズアレイ 13:光電変換部 13A、13B:センサチップ 14:センサ基板 20:画像形成部(画像形成手段) 31A、31B:パッド部 32:センサ部 34、35:読み出し順序検出用パッド 100:画像読取装置(MFP) AMP:信号出力アンプ MEM1、MEM2:アナログメモリ(メモリ部) 70:電流消費回路 T61:垂直転送動作期間 T62、T63、T64:画像信号読み出し期間 T65:ブランク期間 VOUT:信号出力 ICC:消費電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9