(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のインサートの少なくとも一つを取り外す工程、および該取り外されたインサートを、該取り外されたインサートとは異なる密度を有する第二のインサートで交換する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
インサートの少なくとも一つが第一の材料からできており、かつフェースの少なくとも一部分が、該第一の材料とは異なる第二の材料からできている、請求項17記載のゴルフクラブヘッド。
インサートの少なくとも一つが第一の材料からできており、かつインサートの少なくとも一つが、該第一の材料とは異なる第二の材料からできている、請求項17記載のゴルフクラブヘッド。
【背景技術】
【0002】
背景
ゴルフは、多種多様なプレーヤ、すなわち異なる性別ならびに劇的に異なる年齢および熟練度レベルのプレーヤによって楽しまれている。ゴルフは、そのような多様なプレーヤの集まりがゴルフのラウンドまたはイベントで互いに直接競いながらいっしょにプレーし(たとえば、ハンデ付きのスコア、異なるティーボックスなどを使用して)、なおもゴルフのラウンドまたは競技を楽しむことができるという点で、スポーツの世界ではいくぶんユニークである。これらの要因が、テレビにおけるゴルフ番組(たとえばゴルフトーナメント、ゴルフニュース、ゴルフの歴史および/または他のゴルフ番組)の増加および著名なゴルフスーパースターの出現と相まって、少なくとも部分的に、近年、米国および世界中でのゴルフ人気を高めた。
【0003】
ゴルファーは、すべての熟練度レベルにおいて、パフォーマンスを改善し、ゴルフスコアを良くし、その次のパフォーマンス「レベル」に到達しようとする。すべてのタイプのゴルフ用具の製造者はこれらの要求に応え、近年、ゴルフ用具における劇的な変化および改良を見た。たとえば、今や、広い範囲の異なるゴルフボールモデルが利用可能であり、一部のボールは、より遠く、よりまっすぐに飛び、より高いまたはよりフラットな弾道を提供し、より多くのスピン、コントロールおよび感触(特にグリーン周りの)を提供するなどのように設計されている。
【0004】
プレー中にゴルフボールを動かす唯一の道具であることから、ゴルフクラブもまた、近年、多大な技術的研究および進歩の対象であった。たとえば、市場は、近年、ゴルフクラブヘッド、シャフトおよびグリップにおける改良を見てきた。さらには、ゴルフクラブの様々な要素およびゴルフボールの特性を特定のユーザのスイング特徴または特性により良く適合させようとして、他の技術的進歩が達成されてきた(たとえばクラブフィッティング技術、ボール打ち出し角計測技術など)。
【0005】
様々な技術的改良にもかかわらず、ゴルフは依然として高いレベルではプレーしにくい競技である。ゴルフボールをまっすぐかつ所望の方向に確実に飛ばすためには、ゴルフクラブが、所望の目標経路に対してスクエアに(または実質的にスクエアに)ゴルフボールと当たらなければならない。そのうえ、まっすぐかつ所望の方向に所望の距離だけ確実に飛ばすためには、ゴルフクラブは、クラブヘッドフェースの所望の場所またはその近くで(すなわち、「所望の」または「最適な」ボール接触場所またはその近くで)ゴルフボールと当たらなければならない。芯を外した(オフセンター)ヒットは、クラブフェースがボールと接触したときクラブフェースを「ひねる」傾向にあり、それによって、ボールを誤った方向に送り出したり、望まれないフックまたはスライススピンをかけたり、および/または飛距離を奪ったりする。スクエアな接触を逸する、および/または、相対的にわずかな距離であってもクラブの所望のボール接触場所から離れた場所で起こるクラブフェース/ボール接触もまた、しばしば望まれないフックまたはスライススピンをかけながらゴルフボールを誤った方向に打ち出したり、および/またはショットの飛距離を奪ったりするおそれがある。したがって、ユーザがクラブフェースをボールとスクエアに維持することを支援することができるクラブヘッド特徴は、ボールを所望の方向によりまっすぐかつより忠実に、そして多くの場合には改善された、および/または信頼しうる距離で飛ばすことを支援する傾向を示すであろう。
【0006】
ゴルフクラブは、所望の方向にまっすぐかつ忠実なショットを生むためには、所望の方向または経路でゴルフボールとスクエアな接触を起こさなければならない。接触点におけるクラブヘッドとゴルフボールとの間のスクエアさからのわずかな逸脱さえ、誤差を生じさせることができる。様々なゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールと衝突するクラブヘッドフェースをゴルファーがスクエアにすることを支援することで、ゴルファーの精度を向上させるように設計されている。いくつかのゴルフクラブヘッドは、クラブヘッドの重心の場所を改変するために、ゴルフクラブヘッドの重量を再配置する。ゴルフクラブヘッドの重心の場所は、ゴルフボールが意図される方向に推進されるかどうかを決定する一つの要因である。重心が接触面上の係合点の背後に配置される場合、ゴルフボールは概してまっすぐなルートをたどる。しかし、重心が係合点の一つの側面に対して離間している場合、ゴルフボールは、意図しない方向に飛ぶことがあり、かつ/または左もしくは右に曲がるルートをたどることがあり、多くの場合、ボールの飛びは「プル」、「プッシュ」、「ドロー」、「フェード」、「フック」または「スライス」と呼ばれる。同様に、重心が係合点よりも上または下に離間している場合、ゴルフボールのルートはより風を切り裂く(boring)または高い弾道をそれぞれ示すことがある。
【0007】
また、オフセンター衝突時のクラブヘッドのねじれの程度は、クラブヘッドの慣性モーメントに依存しうる。一般に、慣性モーメントが大きいほど、衝突時のクラブヘッドのねじれが小さくなる結果になる。クラブヘッドの重量をヘッドの縁に向けかつ中央から離して比較的多く配分することによって、慣性モーメントを増大させることができる。
【0008】
オフセンターゴルフヒットの多くは、ゴルフクラブをスイングする際にゴルファーによって繰り返し犯され、多くの他のゴルファーによっても同じく犯されるかもしれない一般的な過ちによって生じる。その結果、多くの場合、オフセンターヒットの大きな割合がクラブフェースの特定の区域で起こるパターンを検出することができる。たとえば、検出されている一つのそのようなパターンは、多くの高ハンデゴルファーがクラブフェースの低ヒール区域および/またはクラブフェースの高トウ区域でボールを打つ傾向にあるということである。他のゴルファーは、クラブフェースの他の区域でミスする傾向にあるかもしれない。ゴルフクラブは一般に、フェースの中央またはその辺りでボールと接触するように設計されているため、そのようなオフセンターヒットは、ボールに伝達されるエネルギーを減らして、ショットの距離を縮める結果を招くおそれがある。また、ゴルフクラブによってボールに伝達されるエネルギーまたは速度は、少なくとも部分的に、クラブフェースの接触点における可撓性に関連することもあり、「反発係数」(または「COR」)と呼ばれる計測値を使用して表すことができる。ゴルフクラブヘッドの最大CORは、現在、USGAによって0.83に制限されている。また、上記のように、ボールの飛びの方向、および衝突中のクラブヘッドのねじれの程度は、少なくとも部分的に、クラブヘッドの慣性モーメント、および衝突点に対するクラブヘッドの重心の場所に関連することがある。ゴルフクラブによってボールに伝達されるエネルギーまたは速度も、クラブヘッドの慣性モーメントおよび/または重心の場所に関連することがある。したがって、オフセンターヒットが最も生じる傾向にあるフェースの区域において最大のエネルギー伝達および最小の衝突時のねじれをもたらすために、ゴルフクラブフェースの慣性モーメントおよび/または重心の場所をカスタマイズまたは調節する必要性が存在する。
【0009】
本装置および方法は、上述した問題および他の問題に対処し、このタイプの従来の打球装置によって提供されていない利点および局面を提供するために提供される。本発明の特徴および利点の特定の十分な説明は、添付図面を参照しながら進める以下の詳細な説明にゆだねることとする。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明の様々な例示的構造に関する以下の説明においては、本明細書の一部を形成し、本発明の局面を実施することができる様々な例示的装置、システムおよび環境が実例として示されている添付図面を参照する。発明の範囲を逸脱することなく、パーツ、例示的装置、システムおよび環境の他の具体的配設を利用することができ、構造的および機能的変更を加えることができることが理解されよう。また、本明細書においては、本発明の様々な例示的特徴および要素を説明するために「上」、「下」、「前」、「後」、「側方」、「後方」などの語が使用されることがあるが、これらの語は、本明細書中、たとえば図に示す例示的向きまたは通常の使用における向きに基づいて便宜上使用される。さらには、本明細書において使用される語「複数の」は、1を超える、離接的または接続的に、必要ならば無限数までの任意の数を示す。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の範囲に入るために構造の特定の三次元的向きを要するものと解釈されるべきではない。また、読者は、添付図面が必ずしも原寸に比例して描かれてはいないことに留意されたい。
【0027】
本明細書においては以下の用語が使用されるが、特に断りない限り、または文脈から明らかでない限り、これらの用語は、以下に提供する意味を有する。
【0028】
「打球装置」とは、ボールまたは他の類似物体(たとえばホッケーのパック)を打つように構築され、設計された任意の装置をいう。以下さらに詳細に説明する「打球ヘッド」を総称的に包含することに加えて、「打球装置」の例は、ゴルフクラブ、パター、クロケットのマレット、ポロのマレット、野球またはソフトボールのバット、クリケットのバット、テニスラケット、バドミントンラケット、フィールドホッケーのスティック、アイスホッケーのスティックなどを含むが、これらに限定されない。
【0029】
「打球ヘッド」とは、「打球装置」のうち、使用中にボール(または他の物体)と接触するように設計された打球装置の部分を含む、およびそれに隣接する(場合によってはそれを包囲する)部分をいう。いくつかの例、たとえば多くのゴルフクラブおよびパターにおいて、打球ヘッドは、任意のシャフトまたはハンドル部材から切り離され、独立した実体であってもよいし、何らかのやり方でシャフトまたはハンドルに取り付けられてもよい。
【0030】
用語「シャフト」および「ハンドル」は、本明細書においては同義かつ互換可能に使用され、打球装置のうち、打球装置のスイング時にユーザが保持する部分(あるならば)を含む。
【0031】
「一体接合技術」とは、構造的損傷を加えない限り、接合されたピースの分離を達成することができない不可逆的接合技術、たとえば接着剤接合、セメンティング、溶接、ろう付け、はんだ付けなどをはじめとするが、これらに限定されない、二つのピースをそれらが事実上一つの一体化されたピースになるように接合するための技術をいう。
【0032】
一般に、本発明の局面は、打球装置、たとえばゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブ、パターヘッド、パターなどに関する。本発明の少なくともいくつかの例のそのような打球装置は、打球ヘッドおよび打球面を含みうる。ゴルフクラブの場合、打球面は、打球ヘッドの一面上の実質的に平坦な面である。本発明のいくつかのより具体的な局面は、ドライバ、フェアウェイウッド、ウッドタイプハイブリッドクラブなどを含むウッドタイプゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドに関するが、本発明の局面はまた、アイアン、アイアンタイプハイブリッドクラブなどで実施することもできる。
【0033】
本発明の様々な局面にしたがって、本発明を逸脱することなく、打球装置は、多様な材料、たとえば金属(金属合金を含む)、セラミックス、ポリマー、複合材(繊維強化複合材を含む)および木の一つまたは複数で形成されることができ、多様な構成の一つで形成されてもよい。一つの例示的態様において、ヘッドのいくつかまたはすべてのコンポーネントは、フェースおよびヘッドのボディの少なくとも一部分を含め、金属でできている。ヘッドは、炭素繊維を含むいくつかの異なる材料でできたコンポーネントおよび他のコンポーネントを含むことができることが理解されよう。さらには、コンポーネントは、様々な形成法によって形成されてもよい。たとえば、金属コンポーネント(たとえばチタン、アルミニウム、チタン合金、アルミニウム合金、鋼(ステンレス鋼を含む)など)は、鍛造、成形、鋳造、スタンピング、機械加工および/または他の公知の技術によって形成されうる。別の例において、複合コンポーネント、たとえば炭素繊維・ポリマー複合材は、多様な複合材加工技術、たとえばプレプレグ加工、パウダーベースの技術、型浸潤および/または他の公知の技術によって製造することができる。
【0034】
本出願における様々な図面が本発明の打球装置の例を示す。一つを超える図面で同じ参照番号が見られる場合、その参照番号は、本明細書および図面を通して同じまたは類似パーツを指すために一貫して使用される。
【0035】
本発明の打球装置の少なくともいくつかの例は、ウッドタイプゴルフクラブ、たとえばドライバ、ならびにロングアイアンクラブ(たとえばドライビングアイアン、0番アイアン〜5番アイアンおよびハイブリッドタイプゴルフクラブ)、ショートアイアンクラブ(たとえば6番アイアン〜ピッチングウェッジならびにサンドウェッジ、ロブウェッジ、ギャップウェッジおよび/または他のウェッジ)、ならびにパター用のヘッドを含むゴルフクラブヘッド構造に関する。そのような装置は1ピース構成またはマルチピース構成を含みうる。本発明の打球装置の例示的構造は、以下、
図1および
図4に関連して詳細に説明され、
図1は、本発明の少なくともいくつかの例の、ゴルフドライバの形態の打球装置100の一例を示し、
図4は、本発明の少なくともいくつかの例の、アイアンタイプゴルフクラブの形態の打球装置200の一例を示す。
【0036】
図1〜3は、本発明の少なくともいくつかの例の、ゴルフドライバの形態の打球装置100を示す。
図1に示すように、打球装置100は、打球ヘッド102および打球ヘッド102に接続され、そこから延びるシャフト104を含む。また、
図1には、使用されるボール106が、打球装置100によって打たれる位置で示されている。
図1の打球装置100の打球ヘッド102は、ボディ108に接続されたフェース112を有し、ボディからホーゼル109が延びている。本発明を逸脱することなく、当技術分野において公知であり、使用されている従来のホーゼルおよび/またはヘッド/シャフト相互接続構造を含む任意の所望のホーゼルおよび/またはヘッド/シャフト相互接続構造を使用することができる。参照のために、ヘッド102は一般に、上部116、下部またはソール118、ホーゼル109に近接するヒール120、ホーゼル109から遠いトウ122、前面124および背面または後部126を有する。ヘッド102の形状および設計は、装置100の所期の用途によって部分的に決まることもある。
図1に示すクラブ100において、クラブ100は、ボールを正確に遠くまで打つためのドライバまたはウッドタイプゴルフクラブとしての使用のために設計されているため、ヘッド102は相対的に大きな体積を有する。たとえば異なるタイプのゴルフクラブのための他の用途において、ヘッドは、異なる寸法および構成を有するように設計されてもよい。ドライバとして構成される場合、クラブヘッドは、少なくとも400cc、いくつかの構造においては少なくとも450ccまたはさらに少なくとも460ccの体積を有しうる。他のクラブヘッドの場合の他の適切なサイズは当業者によって容易に決定しうる。
【0037】
図1〜3に示す例示的態様において、ヘッド102は、内部キャビティを画定する中空構造(たとえば、フェース112およびボディ108によって画定される)を有する。したがって、ヘッド102は、その中に画定された複数の内面を有する。一つの態様において、中空の中心キャビティは空気で満たされてもよい。しかし、他の態様において、ヘッド102は、別の材料、たとえばフォームで満たされることもできる。なおさらなる態様においては、ヘッドの固形材料が体積の比較的大きな割合を占めてもよく、ヘッドは、より小さなキャビティを有する、または内部キャビティを全く有しないこともできる。いくつかの態様において、内部キャビティは完全には包囲されなくてもよいことが理解されよう。
【0038】
フェース112は、ヘッド102の前面124に位置し、その上に位置する打球面110、および打球面110とは反対側の内面111を有する。打球面110は、一般にフェース112の外面であり、この外面は使用中にボール106に対面するように構成され、たとえばスイングによって装置100が動かされたとき、ボール106を打つように適合されている。図示するように、打球面110は、相対的に平坦であり、フェース112の大部分を占める。参照のために、フェース上縁113およびヘッド102のヒール120に最も近いフェース112の部分を「ハイヒール区域」160と呼び、フェース上縁113およびヘッド102のトウ122に最も近いフェース112の部分を「ハイトウ区域」162と呼び、フェース下縁115およびヘッド102のヒール120に最も近いフェース112の部分を「ロウヒール区域」164と呼び、フェース下縁115およびヘッド102のトウ122に最も近いフェース112の部分を「ロウトウ区域」166と呼ぶ。概念的に、これらの区域160〜166は、実質的に等しいサイズの四分円(および/またはフェース112の幾何学的中心から延びる四分円)と認識し、そう呼ぶことができるが、必ずしも対称の寸法を有するわけではない。フェース112は、当技術分野において公知であり、一般的であるように、上下方向および/またはヒール−トウ方向にいくらかのカーブ(たとえばバルジおよびロール特性)を含みうる。他の態様においては、表面110がフェース112の異なる割合を占めることもできるし、またはボディ108が、その上に多数の打球面110を有することもできる。
図1に示す例示的態様において、打球面110はわずかに傾斜して(すなわちロフト角を有して)、打ったときにボール106にわずかなリフトおよびスピンを加える。他の例示的態様において、打球面110は、ボール106の弾道に影響するように異なる傾斜またはロフト角を有しうる。さらには、いくつかの態様において、フェース112は、可変性の厚さを有してもよく、および/または一つまたは複数の内部もしくは外部インサートを有してもよい。
【0039】
フェース112、ボディ108および/またはホーゼル109は、単一のピースとして形成されることもできるし、または接合される別々のピースとして形成されることもできることが理解されよう。
図3に示す例示的態様において、フェース112はフェースフレーム部材128の一部として形成され、フェース112の縁127から壁125が後方に延びている。この構成はカップフェース構造とも知られている。ボディ108は、フェースフレーム部材128の壁125に接合された別々のピースとして形成されることができる。
図3に示す例示的態様において、ボディ108は、一つのピースまたは多数のピースであることができるバックボディ部材129によって部分的に形成されている。フェースフレーム部材128の壁125がバックボディ部材129と組み合わさってヘッド102のボディ108を形成する。これらのピースは、一体接合技術、たとえば溶接、セメンティングまたは接着剤接合によって接続されてもよい。これらのパーツを接合するための他の公知の技術を、取り外し可能な機械的係合技術を含む多くの機械的接合技術を含め、同様に使用することもできる。望むならば、ホーゼル109は、フェースフレーム部材128の一部として一体に形成されてもよい。さらには、フェースフレーム部材128とバックボディ部材129との間にガスケット(図示せず)が含まれてもよい。
【0040】
図4〜6は、本発明の少なくともいくつかの例の、ゴルフアイアンの形態の打球装置200を示す。
図1〜3の打球装置100と
図4〜6の打球装置200との間の多くの共通のコンポーネントは、「200」系列の参照数字を使用する以下の説明において、同様の参照数字を使用して参照する。打球装置200は、シャフト204およびシャフト204に取り付けられたゴルフクラブヘッド202を含む。
図4のゴルフクラブヘッド202は、本発明の例の任意のアイアンまたはハイブリッドタイプゴルフクラブヘッドを代表することができる。
【0041】
図5〜6に示すように、ゴルフクラブヘッド202は、フェース202を有するボディ部材208、およびシャフト204の取り付けのためにボディ208から延びるホーゼル209を含む。参照のために、ヘッド202は一般に、上部216、下部またはソール218、ホーゼル209に近接するヒール220、ホーゼル209から遠いトウ222、前面224および背面または後部226を有する。ヘッド202の形状および設計は、装置200の所期の用途によって部分的に決まることもある。ヒール部220はホーゼル209に取り付けられかつ/またはそこから延びる(たとえば単一または一体の1ピース構成、別々の接続された要素、などとして)。
【0042】
フェース212は、ヘッド202の前面224に位置し、その上に位置する打球面210、および打球面210とは反対側の内面211を有する。打球面210は、一般にフェース212の外面であり、この外面は使用中にボール(図示せず)に対面するように構成され、たとえばスイングによって装置200が動かされたとき、ボールを打つように適合されている。図示するように、打球面210は、相対的に平坦であり、フェース212の大部分を占める。打球面210は、打球中にフェース212から水および草を除去するための溝148(たとえば、図示例ではフェース212を横切って延びる概して水平な溝148)を含みうる。当然、本発明を逸脱することなく、従来の溝パターンおよび/または溝構成を含む任意の数の溝、所望の溝パターンおよび/または溝構成を設けることができる(あるいは望むならば溝パターンなしであっても)。
【0043】
参照のために、フェース上縁213およびヘッド202のヒール220に最も近いフェース212の部分を「ハイヒール区域」260と呼び、フェース上縁213およびヘッド202のトウ222に最も近いフェース212の部分を「ハイトウ区域」262と呼び、フェース下縁215およびヘッド202のヒール220に最も近いフェース212の部分を「ロウヒール区域」264と呼び、フェース下縁215およびヘッド202のトウ222に最も近いフェース212の部分を「ロウトウ区域」266と呼ぶ。概念的に、これらの区域260〜266は、実質的に等しいサイズの四分円(および/またはフェース212の幾何学的中心から延びる四分円)と認識し、そう呼ぶことができるが、必ずしも対称の寸法を有するわけではない。フェース212は、当技術分野において公知であり、一般的であるように、上下方向および/またはヒール−トウ方向にいくらかのカーブ(たとえばバルジおよびロール特性)を含みうる。他の態様においては、表面210がフェース212の異なる割合を占めることもできるし、またはボディ208が、その上に多数の打球面210を有することもできる。
図4に示す例示的態様において、打球面210は傾斜して(すなわちロフト角を有して)、打ったときにボールに相当な程度のリフトおよびスピンを加える。他の例示的態様において、打球面210は、ボールの弾道に影響するように異なる傾斜またはロフト角を有しうる。さらには、いくつかの態様において、フェース212は、可変性の厚さを有してもよく、および/または一つまたは複数の内部もしくは外部インサートを有してもよい。フェース212、ボディ208および/またはホーゼル209は、単一のピースとして形成されることもできるし、または接合される別々のピースとして形成されることもできることが理解されよう。
【0044】
ゴルフクラブヘッド202のボディ部材208は、当技術分野において従来公知であり、使用されている材料、たとえば鋼、チタン、アルミニウム、タングステン、グラファイト、ポリマーもしくは複合材、またはその組み合わせを含む多種多様な異なる材料から構築されうる。また、望むならば、クラブヘッド202を、任意の数のピース(たとえば別々のフェースプレートなどを有する)から、ならびに/または鋳造、鍛造、溶接、および/もしくは当技術分野において公知であり、使用される他の方法をたとえば含む任意の構築技術によって、作製することもできる。
【0045】
打球装置100、200は、
図1および4に模式的に示すように、打球ヘッド102、202に接続または他のやり方で係合したシャフト104、204を含むことができる。シャフト104、204は、打球装置100、200をスイングしてボール106を打つためにユーザによって把持されるように適合されている。シャフト104、204は、
図1および4に示すように、たとえばホーゼル109、209に接続することによってヘッド102、202に接続された別個のピースとして形成されることができる。他の例示的態様においては、シャフト104、204の少なくとも一部分がヘッド102、202と一体のピースであってもよいし、および/またはヘッド102、202は、ホーゼル109、209を含まなくてもよいし、または内部ホーゼル構造を含んでもよい。本発明の範囲を逸脱することなく、なおさらなる態様が考えられる。シャフト104、204は、金属、セラミックス、ポリマー、複合材または木を含む多様な材料の一つまたは複数から構築されうる。いくつかの例示的態様において、シャフト104、204または少なくともその部分は、金属、たとえばステンレス鋼もしくはチタン、または複合材、たとえばカーボン/グラファイト繊維・ポリマー複合材で構築されうる。しかし、本発明の範囲を逸脱することなく、シャフト104、204は、当技術分野において公知であり、使用されている従来の材料を含む様々な材料で構築されうる。
図4に示すように、ゴルフクラブシャフト104、204を掴むために用いるスリップ抵抗面をゴルファーに提供するように、グリップ要素205をシャフト104、204上に配置することができる。当技術分野において公知であり、使用される従来のやり方(たとえば接着剤もしくはセメント、ねじ、または他の機械的コネクタ経由、スウェッジング/スウェージングなど)を含む任意の所望のやり方で、グリップ要素205をシャフト104、204に取り付けることができる。
【0046】
図11〜14はより詳細に以下で説明するように、外面(打球面)110および反対側の内面111を有する、打球装置のフェース112の一般的な断面を示す。参照数字「112」、「110」および「111」を使用して
図11〜14の特徴を説明するが、
図11〜13に示すフェース112の特徴を
図1〜3の打球装置100のヘッド102および
図4〜6の打球装置200のヘッド202、ならびに本発明の局面の任意の他の打球装置に組み込むことができることが理解されよう。
【0047】
一般に、打球装置100、200のヘッド102、202は、インサート140をその中に収容するようにそれぞれ構成された複数のキャビティ114を有するフェース112、212を有する。
図2〜3に示すヘッド102の態様および
図5〜6に示すヘッド202の態様はいずれも、キャビティ114、およびその中に収容されたインサート140を含む。フェース112、212は任意の数のキャビティ114およびインサート140を有しうる。たとえば、
図2に示す例示的態様において、フェース112は八つのキャビティ114およびインサート140を有し、
図5に示す例示的態様において、フェース212は七つのキャビティ114およびインサート140を有する。他の態様において、フェース112、212はより多いまたは少ない数のキャビティ114およびインサート140を有しうる。
【0048】
さらには、キャビティ114およびインサート140は任意の所望の形状を有しうるが、一般にキャビティ114は、適切なインサート140を相補的に収容するように形成されうるか他のやり方で構成されうる。たとえば、
図2〜3および5〜6に示す態様において、インサート140は円形および円柱形であり、相補的に形成されたキャビティ114は円形で管状の構造である。
図7〜10は、ヘッド102、202との関連で使用可能なインサート140A〜Dの様々な異なる形状を示し、フェース112、212は、各インサート140A〜Dを収容するように形成された一つまたは複数のキャビティ114を含みうることが理解されよう。
図7は、実質的な三角形を有するインサート140Aを示す。
図8は、実質的な卵形または楕円形を有するインサート140Bを示す。
図9は、実質的な三角形と考えることもできる涙滴形を有するインサート140Cを示す。
図10は、細長い形状を有するインサート140Dを示す。フェース112は、以下に記載されるような異なる重量配分構成を可能にするために、これらのおよび他の形状を有するインサートとともに構築することができる。さらに、いくつかの態様において、フェース112は、一つを超える異なるサイズおよび/または形状のインサート140を含みうるし、異なるインサート140を収容する多様な異なる構成を有するキャビティ114を含みうる。
【0049】
キャビティ114は、フェース112、212に存在するキャビティ114の数に依存しうる多様な異なる構成で配設可能である。一つの態様において、ヘッド102、202は、フェース112、212の上部側に位置する少なくとも一つのキャビティ114、およびフェース112、212の下部側に位置する少なくとも一つのキャビティ114を含む(すなわちフェース112、212の横の中心線より上および下)。さらには、一つの態様において、ヘッド102は、フェース112、212のヒール側に位置する少なくとも一つのキャビティ114、およびフェースのトウ側に位置する少なくとも一つのキャビティを含む(すなわちフェース112、212の縦の中心線より左および右)。
【0050】
図2〜3に示すヘッド102の態様において、フェース112は、ハイヒール四分円160、ハイトウ四分円162、ロウヒール四分円164およびロウトウ四分円166のそれぞれに位置するキャビティ140を有する。さらには、フェース112の横の中心線上の二つのキャビティ114であってフェース112のヒール側およびトウ側の各一つのキャビティ、ならびにフェースの縦の中心線上の二つのキャビティであってフェース112の上部側および下部側の各一つのキャビティを、
図2に示すヘッド102のフェース112が含む。
図5〜6に示すヘッド202の態様において、フェース212は、ハイヒール四分円260、ハイトウ四分円262、ロウヒール四分円264およびロウトウ四分円266のそれぞれに位置するキャビティ140を有する。さらには、フェース212の略中央の一つのキャビティ、ならびにフェースの縦の中心線上の二つのさらなるキャビティであってフェース112の上部側および下部側の各一つのキャビティを、フェース212が含む。さらなる態様において、ヘッド102、202は異なる構成を有してもよく、キャビティ114の配設は、以下に記載のように、キャビティ114への異なるインサート140の挿入を通じて異なる重量配分の構成およびオプションを可能にしうる。
【0051】
インサート140をキャビティ114内に接続することを、当業者に公知の任意のおよびすべての接続技術を含み、キャビティ114および/またはインサート140の形状および構成に依存しうる任意のやり方で行うことができる。
図3および6に示す一つの例において、インサート140は、一体接合技術、たとえば溶接を使用してキャビティ114内に接続される。
図13の態様のインサート140G〜Hも同様に接続される。
図11に示すような別の例において、インサート140Eはねじ式ステム142を含み、これは、ステム142をねじ式キャビティ114にねじ込むことによってインサート140をフェース112に接続することを可能にする。
図14に示す態様において、インサート140I〜Jも同様に、ねじ式キャビティ114内に接続されたねじ式ステム142を含む。
図12に示すようなさらなる例において、インサート140Fはねじ式ステム142を含み、これは、ねじ式ナット144の使用によってインサート140をフェース112に接続することを可能にする。
図12に示すフェース112は、インサート140Fの拡大ヘッド152を収容する外面110内の座ぐり部分146、およびナット144を収容する内面111内の座ぐり部分146を含む。
図14のインサート140I〜Jも同様に、フェース112内の座ぐり部分146に収容される拡大ヘッド152を含む。なおさらなる例において、インサート140は、接着、セメンティング、および様々な他の一体接合技術を含む他のそのような技術によって、キャビティ内に接続することができる。インサート140をキャビティ114内に接続するために使用可能なさらなる接続技術としては、クランピング、摩擦または締まり嵌め、スウェッジング/スウェージング、およびリベット締めまたは他のファスナの使用が挙げられる。すべてのインサート140が同じようにフェース112、212に接続可能であるわけではないことも理解されよう。
【0052】
いくつかの態様において、フェース112、212は内面111、211および外面110、210上にインサートを有しうる。
図13に示す一つの態様において、フェース112は、フェース112の外面110内のキャビティ114に収容された前方インサート140G、およびフェース112の内面111内のキャビティ114に収容された後方インサート140Hを有しうる。
図14は同様の態様を示し、ここでフェース112は前方インサート140Iおよび後方インサート140Jを有し、これらはいずれも、インサート140I、140Jをそれぞれフェースの外面110および内面111上のねじ式キャビティ114にねじ込むことを可能にするステム142を有する。上記のように、
図13〜14に示すフェース112のインサート140G〜Jおよびキャビティ114は、フェース112のごく一部分を通って延びる。
【0053】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるインサート140をフェース112に永久的に接続することができる。他の態様において、所望により、フェース112の重量分布を変化させるためにインサート140の交換を可能にするように、インサート140をフェース112に取り外し可能に接続することができる。ねじ式インサート140E、140Fは交換可能なインサートの例を表すものであり、異なる種類の交換可能なインサートを他の態様において使用することができることが理解されよう。交換可能なインサート140を有するフェース112を有するクラブヘッド102について、少なくとも一つのインサート140を取り外し、取り外されたインサート140を、異なる密度を有する異なるインサート140で交換することによって、フェース112の重量配分を変化させることができる。
図11および12はそれぞれ、インサート140E、140Fの一方と交換インサート140E'、140F'との交換を示す。
図11に示す態様において、インサート140Eをヘッド112の外側から交換することができる。しかし、他の態様において、インサート140を交換するために、フェース112の内面111へのアクセスが必要でありうる。ナット144が内面111上で定位置に固定されていない場合、インサート140Fを交換するために、
図12に示すフェース112は内面111へのアクセスを必要としうる。同様に、
図13および14の内部インサート140H、140Jは、交換のためにフェース内面111へのアクセスを必要としうる。
図1〜3に示すようにフェース112を打球装置100との関連で使用するとき、ヘッド102は、このアクセスを提供する取り外し可能なバックボディ部材129を含みうる。取り外し可能および/または交換可能なバックボディ部材のためのいくつかの異なる構成が、参照により本明細書に組み入れられ、本明細書の一部とされる2008年8月15日出願の米国特許出願第12/192,402号に示され、記載されている。打球ヘッドの他の態様は、他の機構によって、他の構造的構成を使用して取り外し可能であるヘッドの部分を有してもよく、そのような態様が本発明の範囲に含まれるということが理解されよう。
【0054】
キャビティ114は、フェース112、212を部分的に通ってまたは完全に貫いて延びうる。一つの態様において、インサート140はフェース112、212の外面110、210まで延びて外面110、210の一部分を形成し、別の態様において、インサート140はフェース112、212の内面111、211まで延びる。
図2〜3、5〜6および11〜12に示す態様において、インサート140、140E、140Fはフェース112、212を完全に貫いて延びる。以下に説明される
図13〜14に示す態様において、インサート140G〜Jは、フェース112のごく一部分を通って延び、フェース112の内面111または外面110のいずれかまで延びる。さらには、
図5に示すように、インサート140は溝150をその上に有しうるものであり、この溝は、フェース212の外面210上の溝148と一致するように協働的に配置される。上記のように、キャビティ114は、
図12に示すように、インサート140Fの拡大ヘッド152、および/またはナット144を収容する座ぐり部分146を、その内側および外側に有しうる。やはり上記のように、キャビティ114は、
図11に示すように、相補的なねじ山を有するインサート140Eの接続を可能にする、ねじなどの内部接続構造を有しうる。
【0055】
各インサート140は一つまたは複数の異なる材料でできていてもよく、各インサート140の性質はフェース112、212の性質に影響することがある。一つの態様において、インサート140の少なくとも一つは、フェース112、212を形成する材料とは異なる材料からできている。さらには、一つの態様において、インサート140の少なくとも一つは、他のインサート140の少なくとも一つがそれからできている材料とは異なる材料からできている。異なる材料からできており、異なる性質を有する、インサート140の使用は、特定の性能特性を実現するためのフェース112、212のカスタマイズを可能にしうる。
【0056】
一つのそのような性質は、インサート140の材料の密度である。材料の密度がバルク材料の本来の密度特性、ならびに他の要因、たとえば材料の気孔率によって影響されうることが理解されよう。さらには、たとえばインサート140が複数の材料からできている、様々な気孔率を有するなどの場合、インサート140の局所的密度はインサート上の異なる地点で変動しうる。この場合、インサート140の密度は平均密度、全体的密度またはバルク密度として表すことができる。一つの態様において、インサート140の少なくとも一つは、フェース112、212の材料の密度とは異なる密度を有する。さらには、一つの態様において、インサート140の少なくとも一つは、他のインサート140の少なくとも一つとは異なる密度を有する。異なる密度を有するインサート140を使用することによって、ヘッド102およびフェース112、212の重量分布、重心および慣性モーメントを調節することができる。たとえば、フェース112、212の中央近傍または中央においてより低い密度を有するインサート140、ならびにフェース112、212のヒール120およびトウ122の近傍においてより高い密度を有するインサート140を接続することによって、フェース112、212の重量をフェース112、212の縁に向かって分布させて、フェース112、212の慣性モーメントを増大させることができる。さらには、異なる密度を有するインサート140を使用して、フェース112、212の所望の区域、たとえばミスヒットが頻繁に生じる区域に向かってフェース112、212の重心を移動させることができる。たとえば、フェース112、212の重心をフェース112、212のロウトウ四分円166、266に移動させるために、より重いインサート140をロウトウ四分円166、266のキャビティ114内に接続することができ、より軽いインサートをハイヒール四分円160、260内に接続することができる。その結果、フェース112、212のロウトウ区域166、266内のヒットは、それらのヒットがフェース112、212の重心により近くなることから、クラブヘッドのより小さいねじれを生じさせる。
【0057】
上記のように、いくつかの態様において、フェース112、212は、たとえば
図13および14に示す内面111、211および外面110、210の両方の上にインサートを有しうる。これらの態様において、異なる密度のインサート140G〜Jを使用して、フェース112の前方重量配分または後方重量配分を所望によって作りだし、かつフェース112の重心の移動および/または慣性モーメントの変化を行うことができる。
図14のインサート140I、140Jのそれぞれは、フェース112の前方または後方重量配分に役立ちうる拡大ヘッド部分152を含む。
【0058】
インサート140の形状も、インサートが接続されたならばフェース112、212の重量分布に影響する。たとえば、
図7に示すような実質的に三角形のインサート140Aについて、インサート140Aの重量は、インサート140Aの上部に向かって反比例的に分布している。したがって、この形状のより重いまたは軽いインサート140Aをフェース112、212に接続する効果は、フェース112、212の重量配分に対して反比例的効果を有する。
図8〜10の卵形インサート140B、涙滴形インサート140Cおよび細長いインサート140D、ならびに多くの他の異なる形状のインサートは、反比例的および/または非対称的な重量分布を同様に有しており、フェース112、212の重量配分に反比例的に影響するために同様に使用可能である。
【0059】
フェース112、212は、インサート140がそこに接続されているものとして先に記載されているが、フェース112、212は、異なる性質を有する少なくとも二つの異なる材料であって、材料の少なくとも一つがフェース112、212にわたって隔離された区域に分布している材料からできているものとしてあるいは記載されることがあり、この構成を実現するためにインサートを利用してもしなくてもよい。上記のように、一つの態様において、様々な材料が少なくとも二つの異なる密度を有しており、この材料の密度が、フェース112、212の重量配分および重量分布に影響しうる。異なる材料はさらなる異なる性質を同様に有しうる。フェース112、212が、たとえば異なる材料からできている複数のインサート140の使用および複数材料インサート140の使用によって、二つを超える異なる材料を含みうるということが理解されよう。複数の材料からできているインサートにおいて、インサートの異なる部分が異なる密度または他の性質を有しうるということが理解されよう。やはり上記のように、一つの態様において、様々な異なる材料はそれぞれ、フェース112、212の外面または打球面110、210の一部分を形成する。
【0060】
上記のように、本明細書に記載されるインサート140は、特定の密度および重量などの所望の性質を実現する多様な異なる材料からできていてもよい。たとえば、一つの態様において、+8の密度の合金および粉末タングステンなどの材料を高密度インサートに使用することができ、アルミニウムまたは複合材などの材料を低密度インサートに使用することができる。任意の金属(金属合金を含む)、セラミックス、ポリマー、複合材(繊維強化複合材を含む)および木を含む他の材料を他の態様において使用することができる。さらには、上記のように、一つまたは複数のインサート140が複数の材料からできていてもよい。複数材料インサート140において、各インサート140の少なくとも一部分は、フェース112、212の密度とは異なる密度を有しうるものであり、各インサート140はまた、互いに異なるだけでなくフェース112、212の性質とも異なる密度を有する二つ以上の部分を有しうる。同様に、各インサート140の一部分はフェース112、212とは異なる密度を有しうるものであり、別の部分はフェース112、212と同一の密度を有しうる。単一材料または複数材料インサート140の他の態様において、インサート全体は、フェース112、212の密度とは異なる密度を有しうる。
【0061】
本明細書に開示されるインサート140(以下参照)を組み込むヘッド102、202は、打球装置またはその一部として使用されうる。たとえば、
図1〜6に示すゴルフクラブ100、200は、シャフトまたはハンドル104、204を、提供されるヘッド、たとえば上記のようなヘッド102、202に取り付けることによって製造しうる。本明細書で使用される、ヘッドを「提供する」とは、広く、物品を、その物品に対して実施される将来の動作のために利用可能またはアクセス可能にすることをいい、その物品を提供する当事者がその物品を製造、生産または供給したこと、あるいはその物品を提供する当事者がその物品の所有権または管理を有することを意味しない。他の態様において、本明細書に記載される原理にしたがって様々なタイプの打球装置を製造することができる。
図2〜3に示すヘッド102を製造することは、上記のように、バックボディ部材129をフェースフレーム部材128に取り付けることを含みうる。さらには、異なる密度を有するインサート140を接続することでフェース112、212の重量配分をカスタマイズすることによって、ヘッド102、202、ゴルフクラブ100、200または他の打球装置をある個人のためにフィッティングまたはカスタマイズすることができる。そのようなカスタマイズは、特定の密度を有するインサート140を選択すること、およびフェース112、212の所望の重量分布を実現する配設においてインサート140をフェース112、212に接続することを含みうる。そのようなカスタマイズは、一つのインサート140を取り外すこと、および取り外されたインサート140を少なくとも一つの異なる性質を有する別のインサート140で交換することをさらに含みうる。
【0062】
本明細書に開示されるインサート140を組み込むヘッド102、202は、上記ヘッド102、202を、ヘッド102、202に接続されるように構成された一つまたは複数のインサート140とともに含む、キットまたはアセンブリの一部として使用されうる。キットが複数のインサート140を含むならば、インサート140のそれぞれは異なる性質を有しうる。一つの態様において、ヘッド102、202は、特定の形状を有する一つまたは複数のキャビティ114を有しうるものであり、キットは、同一の形状を有する一つまたは複数のインサート140を含みうる。別の態様において、ヘッド102、202は、異なる形状を有する複数のキャビティ114を有しうるものであり、キットは、キャビティ114のそれぞれと同一の形状を有する一つまたは複数のインサート140を含みうる。さらなる態様において、キットは、異なる形状を有するインサート140を含みうるものであり、ヘッド102、202は、たとえばフェース112、212内で一つまたは複数のキャビティ114を形成することによる、インサート140をフェース112、212に接続するためのさらなる加工を必要としうる。キットは、ヘッドに接続される一つまたは複数のシャフト104、204を含んでもよい。いくつかの態様において、キットは、取り外し可能および互いに交換可能な複数のインサート140を含みうる。
【0063】
本明細書に記載されるような打球装置およびそのためのヘッドは、既存の製品に対して多くの恩典および利点を提供する。たとえば、複数の密度および重量を有するインサートを戦略的に位置づけ、重量配分することによって、特定の重量分布を提供することができる。これは、たとえばフェースの中央とフェースの縁との間で重量分布を調節することによってヘッドの慣性モーメント全体を変化させることを可能にする。これはまた、たとえば特定区域においてフェースの重量を増大または減少させることによって、フェースの重心を動かすことおよび/またはフェース上の様々な地点の相対的慣性モーメントを変化させることを可能にする。カスタマイズされたやり方でフェースを重量配分することは、たとえば衝突時のねじれを減少させることによって、優れた打球機能をヘッドに提供することができる。さらには、プレー中にもっとも頻繁にボールと衝突するフェースの区域がより大きいエネルギーおよび速度の伝達、ならびにより忠実でよりまっすぐなボールの飛びを生じさせるように、重量配分をカスタマイズすることができる。
【0064】
本発明を実施する好ましい形態を含む具体例に関して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記システムおよび方法の数多くの変形および入れ替えがあることを理解するであろう。したがって、本発明の真意および範囲は、請求の範囲に述べられるように広義に解釈されるべきである。