(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)、下部ゾーン(5)に位置する流動化ガスのための入口(8)、上部ゾーン(7)に位置する流動化ガスのための出口(9)を有する流動床反応器(1)を含むポリマーの製造のための反応器アセンブリであって;
流動化ガスのための出口(9)は入口(8)により流動床反応器(1)と連結しており;
下部ゾーン(5)の等価断面直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に増加し;
中間ゾーン(6)は、流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して、5%未満の変動を有する本質的に一定の等価断面直径を有し;
上部ゾーン(7)の等価断面直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に減少し;
流動床反応器の高さの、流動床反応器の中間ゾーンの等価断面直径に対する比が2〜10であり;
下部ゾーンと中間ゾーンを区切る境界面は、等価断面直径が、増加する値から5%未満の変動を有する本質的に一定の値へと変化する面であり;
中間ゾーンと上部ゾーンを区切る境界面は、等価断面直径が、5%未満の変動を有する本質的に一定の値から減少する値へと変化する面であり;
下部ゾーン(5)から上部ゾーン(7)へと流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向においてさえぎるもののない通路があり;
流動床反応器が分配プレートを有さず、
上部ゾーン(7)が円錐形状であり、中間ゾーンが円柱形状である、
前記反応器アセンブリ。
流動床反応器が、シート、チャンクおよびランプの除去のための出口(12)を含み、前記出口(12)が、下部ゾーン(5)内、または下部ゾーンより下に位置する、請求項1に記載の反応器アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
いろいろなタイプの流動化およびいろいろな流動化状態の概要は、例えば、Perry’s Chemical Engineers’Handbook、vol 8(McGraw-Hill、2008)のsection 17に挙げられている。Perry’sの
図17-3は、従来の発泡流動床が典型的に最小の流動化速度と終端速度の間のガス空塔速度で作動することを示している。乱流床は終端速度に近いガス速度で作動する。輸送反応器および循環床は終端速度よりもかなり大きいガス速度で作動する。発泡、乱流および高速流動床は明らかに区別することができ、それらはPerry’s、17-9〜17-11ページにおいてより詳細に説明されており、参照により本明細書に組み込まれる。最小の流動化速度および輸送速度の計算は更に、Geldart.Gas Fluidization Technology、155ページ、et seqq、J Wiley & Sons Ltd、1986において論じられている。本文書は参照により組み込まれる。
【0022】
流動床反応器は先行技術において十分に知られている。流動床反応器において、流動化ガスは一定の空塔速度内で流動床を通過する。流動化ガスの空塔速度は、流動床に含まれる粒子の流動化速度よりも大きくなくてはならず、さもないと流動化が起こらない。しかしながら、空塔速度は、気流輸送の開始速度より実質的に小さくあるべきであり、さもないと全体の床が流動化ガスと一緒に動く。概要は、例えば、Perry’s、 17-1〜17-12ページ、またはM Pell、Gas Fluidization(Elsevier、1990)、1〜18ページおよびGeldart、Gas Fluidization Technology、J Wiley & Sons Ltd、1986に示されている。
【0023】
ガス/固体分離手段(2)はガスと固体、特に粉体の分離を可能とする。最も簡単な実施形態においては、これは固体、特にポリマーが重力により沈降する容器であることができる。しかしながら、通常、ガス/固体分離手段は少なくとも1のサイクロンである。最も簡単な形態の反応器アセンブリにおいて使用されるサイクロンは、回転流が確立される容器である。サイクロン設計は文献に十分に記載されている。特に好適なサイクロンは、Kirk-Othmer、Encyclopaedia of Chemical Technology、2nd edition (1966)、Volume 10、340〜342ページの文書に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
冷却手段(3)は重合反応の発熱の性質の点から見て必要である。通常、冷却手段は熱交換機の形態である。
【0025】
加圧手段(4)は流動化ガス速度の調節を可能とする。それらは典型的にコンプレッサーである。
【0026】
流動床反応器は下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)を含む。これらのゾーンは、流動床反応器内の重合反応のための場所を示す実際の反応ゾーンを形成している。しかしながら、当業者には理解されるように、重合反応は触媒が活性を示し、重合するモノマーが存在する限り続く。したがって、連鎖成長は実際の反応ゾーンの外側でも起こり得る。例えば、収集容器に集められたポリマーはまだ更に重合する。
【0027】
用語「下部ゾーン」、「中間ゾーン」および「上部ゾーン」は、流動床反応器の基部に対する相対位置を示す。流動床反応器は基部から上方に垂直に延び、そのため、流動床反応器の断面は本質的に基部に対して平行である。
【0028】
流動床反応器の高さは下部ゾーンの最下点を横切る下側平面と上部ゾーンの最高点を横切る上側平面との間の垂直距離である。垂直距離は基部および2つの平面と90°の角度を形成する幾何学的な軸に沿った距離を示し、すなわち、ガス入口ゾーン(存在するならば)は定義上流動床反応器の高さに寄与する。個々のゾーンの高さはゾーンを限定する平面間の垂直距離である。
【0029】
本明細書で使用される用語「断面(積)」は基部に対して平行な平面と交差する部分および/またはその面積を示す。他に言及しない限り、用語「断面」は常に内部に何もない状態の内側の断面に関する。例えば、中間ゾーンが外径4.04mの円柱状であり、円柱の壁が0.02mの厚みを有している場合、内径は4.00mになるので、断面積は2.0×2.0×πm
2=12.6m
2となる。
【0030】
用語「フリー断面(積)」は総断面のうちガスと粒子の交換を可能とする部分及び/またはその面積を示す。言い換えると、断面が下部ゾーンの断面と中間ゾーンの断面の相間平面により形成される平面を通過する断面図において、フリー断面(積)はさえぎるもののない部分(面積)である。
【0031】
本質的に一定である等価断面直径を有するとは、5%未満の変動を有する等価断面直径を示す。
【0032】
変動は、平均等価直径に対する、等価断面直径の最大と等価断面直径の最小の差を意味する。例えば、最大等価断面直径が4.00m、最小等価断面直径が3.90m、平均等価断面直径が3.95mであった場合、変動は(4.00-3.90)m/3.95m=0.025、すなわち2.5%である。
【0033】
「単調に減少」は数学的な意味で理解すべきであり、すなわち平均直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して減少する、または一定である。単調に減少する等価断面直径は2つの状況、すなわち流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関する等価断面直径の減少および流動化ガスの流れ方向に関する等価断面直径の一定性を含む。しかしながら、流れ方向において単調に減少する直径を有するゾーンが本質的に一定の直径を有する部分を有し得るとしても、そのゾーンの下流端での直径は常にそのゾーンの上流端での直径より小さいと理解されたい。
【0034】
「厳密に単調に減少」とは、等価断面直径が流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して減少することを意味する。したがって、あるゾーンが、流れ方向において厳密に単調に減少する直径を有する場合、該ゾーンのいずれかの位置hでの直径は前記位置hより上流のあらゆる他の位置の直径よりも小さい。
【0035】
語句「単調に増加」および「厳密に単調に増加」は同様に理解される。
【0036】
等価断面直径は円形の断面の場合は通常の直径である。断面が円形でない場合は、等価断面直径は非円形の断面の断面積と同じ面積を有する円の直径である。
【0037】
定義上、3つの反応ゾーン、すなわち下部ゾーン、中間ゾーンおよび上部ゾーンはそれらの等価断面直径に関して区別される。言い換えれば、下部ゾーンと中間ゾーン区切る境界面は断面直径が上昇値から本質的に一定の値へと変化する面である。中間ゾーンと上部ゾーンを区切る境界面は、断面直径が本質的に一定の値から減少値へと変化する面である。以後の本文において、「直径」は、非円形の表面についての「等価断面直径」の意味でも使用される。
【0038】
円錐の幾何学的形状は本発明において重要な役割を担う。円錐は平面から頂点へと滑らかにだんだん細くなる3次元の幾何学的形状である。この平面は通常は円形であるが、楕円形でも良い。全ての円錐はまた、頂点を通る直線である軸を有し、軸の回りの側面は回転対称性を有する。
【0039】
より機能的な見方では、本発明による流動床反応器は、ガス入口部分、流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である第1の領域、および第1の領域より上に位置し、流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域と比較して大きい第2の領域、ガス入口部分に位置する流動化ガスのための入口、第2の領域に位置する流動化ガスのための出口を含み;前記流動化ガスのための出口はガス循環ラインにより流動床反応器と連結しており;ガスからの固体の分離手段は、前記ガス循環ラインに連結している。
【0040】
ガス入口部分は、反応器のうち、流動化ガスが反応器に入る部分である。この部分において、床が形成される。
【0041】
第1の領域は、反応器のうち、流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である部分である。
【0042】
第2の領域は、反応器のうち、第1の領域より上に位置し、流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域におけるガス空塔速度と比較して大きい部分である。
【0043】
2重量%未満の固体を含むオーバーヘッド流体は98重量%またはそれ以上の流体が、典型的に操作に必要とされる条件下においてガス状で存在することを意味する。
【0045】
ガス入口部分は、全体の装置のうち、供給が起こり床が形成される部分を示す。ガス入口部分はこのように、いわゆる第1の領域および第2の領域から区別される。
【0046】
第1の領域は、流動床反応器のうち、流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である部分を示す。
【0047】
第2の領域は、流動床反応器のうち、第1の領域より垂直上方に位置し、流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域におけるガス空塔速度よりも大きい部分を示す。
【0048】
「大部分のポリマー粒子」は少なくとも50%のポリマー粒子を意味する。
【0049】
「直接連結」は2つのゾーンが直接隣接していることを意味する。
【0050】
オーバーヘッド流体はガス/固体分離手段、例えばサイクロンから取り出された流体である。サイクロンを使用する場合、オーバーヘッド流体は上層流に由来し、すなわち下層流または底部流体ではない。
【0051】
新規な反応器アセンブリは様々な利点を有する。反応器アセンブリは簡単であり、経済的な構築を可能とする。
【0052】
新規な反応器アセンブリは様々な利点を有する。第1の面では、分配グリッドがないことである。分配グリッドは常にランプが形成される可能性のある場所である。分配グリッドがないことは、シート、チャンクおよびランプの容易な取り出しを可能とする。
【0053】
上部ゾーンが好適な実施形態に関して記載されているような形状をしている場合、更なる利点がある。
【0054】
反応器は、床が反応器のほとんど全容積を占めるように作動させることができる。このことは、高い出力/反応器サイズの比率を可能とし、更に実質的な費用の低減につながる。更に、ポリマーは反応器内の床領域全体にわたって均一に分配され、気泡のより良い合着も伴う。
【0055】
更なる重要な利点は、例えばサイクロンを使用することによる流動化ガスからのポリマーの分離が、流動化ガスにおける高い固体濃度のために容易に行うことができることである。驚くべきことに、本発明におけるガス/固体の分離後の流動化ガス中の固体含量は、より少ない固体量がガス/固体の分離手段に供給されることになるプラント/プロセスと比較してずっと小さいことが判明した。言い換えると、驚くべきことに、本発明におけるガス/固体の分離前の比較的大きい固体量は、より良い程度の固体分離という結果となる。
【0056】
好適な実施形態においては、反応器の壁に隣接する固体流が驚くべきほど速く、そのことが特に上部ゾーンにおいて壁の一定の洗浄につながる。別の面においては、驚くべきことに、反応器アセンブリ内の流動化ガスによる微粒子の巻き込みが、望ましくない大きな泡が破壊されることで減少するということが判明した。更に、床高さに応じたポリマーからの熱除去がより均一であり、先行技術の反応器および方法のようにガスとポリマーは、良く分散する。
【0057】
本発明による反応器アセンブリは、触媒または触媒を含むプレポリマーのための入口を含むことが好ましい。最も簡単な実施形態においては、触媒または触媒を含むプレポリマーは流動化ガスのための入口を介して供給され得る。しかしながら、触媒または触媒を含むプレポリマーのための別の入口は触媒の床への良好な混合を可能とする。触媒を最も乱流であるゾーンに供給することが最も好ましい。
【0058】
ある実施形態においては、本発明による反応器アセンブリはシート、チャンクおよびランプの除去のための排出口を含むことが好ましい。シート、チャンクおよびランプの形成速度は極めて小さいが、どんな反応条件においてもそれらの形成をゼロへと抑制することは可能ではない。シート、チャンクおよびランプの除去のための排出口が存在するのであれば、下部ゾーンの一番下の部分に位置することが好ましい。最も好適な実施形態においては、排出口は下部ゾーンの中心に位置する。下部ゾーンが円錐形状を有する場合は、排出口は円錐の頂点と一緒になっていることが好ましい。
【0059】
好適な実施形態においては、シート、チャンクおよびランプの除去のための排出口はシート、チャンクおよび/またはランプの粉砕手段を伴う。このようなシート、チャンクおよび/またはランプの粉砕手段は、市販されており、それらは中でも、Stolhandske、Powder and Bulk Engineering、July 1997発行、49〜57ページおよびFeldman、Powder and Bulk Engineering、June 1987発行、26〜29ページに論じられており、両文書は参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
既に説明したように、本発明による流動床反応器は3つのゾーン、すなわち下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)を含む。
【0061】
第1の好適な実施形態においては、本発明による流動床反応器は3つのゾーン、すなわち下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)からなる。
【0062】
第2の実施形態においては、本発明による流動床反応器は3つのゾーンより多い、すなわち下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)並びに少なくとも1の付加ゾーンを含み、この少なくとも1の付加ゾーンは、下部ゾーン(5)よりも下に位置する。このような付加ゾーンは
図4に示されている。
【0063】
下部ゾーン(5)と上部ゾーン(7)の間の流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向においてさえぎるもののない通路がある。さえぎるもののない通路は、上記ゾーン間および上記ゾーン内においてガスと粒子の実質的に自由な交換が可能である全ての幾何学的構造を含む。さえぎるもののない通路は、実質的に流れ抵抗を増加させる結果となる内部構造、例えば分配プレートまたはグリッドがないことにより特徴づけられる。さえぎるもののない通路は、下部ゾーンと中間ゾーンの間の仕切り(partition)におけるフリー断面積/全断面積の比が少なくとも0.95であることにより特徴づけられ、ここで、フリー断面積はガスの交換を可能とする面積であり、全断面積は流動床反応器の壁により限定される内部の反応器断面の面積である。
【0064】
これを例により説明する。中間ゾーンが4メートルの内径である円柱形態を有している場合、全断面積は約2.0×2.0×πm
2=12.6m
2である。フリー断面の面積、すなわちガスの交換が可能である面積が少なくとも12.0m
2であれば、さえぎるもののない通路の基準は満たされる。ガスと固体の交換を可能とする断面に関して小さな減少につながる内部構造の典型的な例は垂直管である。このような管または複数個の管は流れを方向付け、その意味で案内機能を有する。しかしながら、管(および留め具)の壁の厚さは断面を非常に小さな程度でしか制限しないので、ガスと固体の交換は本質的に制限されない。
【0065】
本発明による反応器アセンブリは、粒子がガスを床の全断面にわたって分配させるような形状の下部ゾーンを有することが好ましい。言い換えると、粒子がガスの分配グリッドとして作用する。下部ゾーンにおいては、ガスと固体は激しい乱流条件において混合される。このゾーンの形状のために、ガス空塔速度は上記下部ゾーン内で流動化ガスの流れ方向において徐々に減少し、条件は流動床が形成するように変化する。
【0066】
下部ゾーン(5)の等価断面直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に増加する。流動化ガスの流れ方向は基部に対して上昇する方向であるので、下部ゾーンの等価断面直径は垂直方向に単調に増加する。「単調に増加」は数学的な意味において理解され、すなわち平均直径が流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して増加する、または一定である。
【0067】
次に挙げる特に好適な反応器の幾何学的構造は、3つのゾーン、すなわち下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)からなる上記第1の実施形態、並びに少なくとも1の付加ゾーンを含み、この領域またはこれらの領域が下部ゾーンよりも下に位置する第2の実施形態と組み合され得る。
【0068】
しかしながら、第2の実施形態においては、少なくとも1の付加ゾーン、または1より多い付加ゾーンが存在する場合は、付加ゾーンの全体は、反応器の全体の高さに対して最大15%、より好適には反応器の全体の高さに対して10%、最も好適には反応器の全体の高さに対して5%未満、寄与することが好ましい。付加ゾーンの典型的な例は、ガス入口ゾーンである。
【0069】
下部ゾーンの等価断面直径は、反応器を通る流動化ガスの流れ方向、すなわち通常は垂直上方向に関して厳密に単調に増加することが好ましい。
【0070】
より好適には、下部ゾーンは円錐形状であり、中間ゾーンは円柱形状である。
【0071】
下部ゾーンは優先的に直円錐形状を有し、中間ゾーンは円形円柱の形態である。あるいは、中間ゾーンは楕円柱の形態であり、下部および上部ゾーンは斜円錐の形態である。
【0072】
円錐形状の下部ゾーンの円錐の角度は5°〜30°がより好ましく、7°〜25°が更により好ましく、9°〜18°が最も好ましく、ここで、円錐の角度は円錐の軸と側面の間の角度である(
図2)。
【0073】
下部ゾーンの等価直径は下部ゾーンの高さ1メートルにつき、約0.1〜約1メートル増加することがさらに好ましい。より好適には、直径は0.15〜0.8m/m、特には0.2〜0.6m/m増加する。
【0074】
好適な円錐の角度はさらに改善された流動化の挙動につながり、停滞領域の形成を避ける。結果として、ポリマーの品質および方法の安定性が改善される。特に、広すぎる円錐の角度は床内においてガスの不均一な流動化および不十分な分布につながる。極端に狭い角度は流動化の挙動において不利益な影響はないが、それでも必要以上に高い下部ゾーンとなり、経済的に適していない。
【0075】
しかしながら、上記のように、第2の実施形態においては、下部ゾーンに位置する少なくとも1の付加ゾーンが存在する。この実施形態においては、少なくとも1の付加ゾーンは下部ゾーンを遮る。本発明によると、下部ゾーンはそれぞれの部分の直径が同じであるか前記部分より下に位置するいずれかの部分の直径より大きくなるように配置された異なる直径の円柱部分により遮られ得る。その後、これらの部分は、円錐台形部分により連結され得る。
【0076】
好適な円錐の角度は付加的に改善された流動化の挙動につながり、停滞領域の形成を避ける。結果として、ポリマーの品質および方法の安定性が改善される。特に、広すぎる円錐の角度は層内においてガスの不均一な流動化および不十分な分布につながる。極端に狭い角度は流動化の挙動において不利益な影響はないが、それでも必要以上に高い下部ゾーンとなり、経済的に適していない。
【0077】
流動床反応器の中間ゾーンは、典型的に本明細書において単純な円柱を意味する円形円柱の形態である。しかしながら、流動床反応器の中間ゾーンは楕円柱の形態であることが可能である。下部ゾーンは斜円錐の形態が好ましい。上部ゾーンもまた、斜円錐の形態がより好ましい。
【0078】
より機能的な見方では、中間ゾーンは流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である第1の領域を本質的に形成する。上部ゾーンは流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域と比較して大きい第2の領域を本質的に形成する。
【0079】
本発明による反応器アセンブリの上部ゾーンは、内部壁に隣接するガス-粒子流体が生み出され、それによりガス-粒子流体が基部に対して下方に向かうような形が好ましい。このガス-粒子流体は優れた粒子-ガス分布につながり、優れた熱バランスとなる。更に、内部壁に隣接するガスおよび粒子の大きい速度はランプおよびシートの形成を最小化する。
【0080】
上部ゾーンの等価断面直径は流動化ガスの流れ方向、すなわち通常は垂直上方向に関して厳密に単調に減少することが好ましい。
【0081】
上部ゾーンの高さの中間ゾーンの直径に対する比率が0.3〜1.5、より好適には0.5〜1.2、最も好適には0.7〜1.1の範囲内であることが更に好ましい。
【0082】
本発明による反応器アセンブリは、円錐形状である上部ゾーンおよび円柱形状である中間ゾーンを含むことが特に好ましい。上部ゾーンを形成する円錐は直円錐であることが好ましく、中間ゾーンを形成する円柱は円形円柱であることが好ましい。
【0083】
円錐形状の上部ゾーンの円錐の角度は10°〜50°がより好ましく、20〜40°が最も好ましい。上記の定義のように、円錐の角度は円錐の軸と側面の間の角度である(
図3)。
【0084】
円錐形状の上部ゾーンの特定の円錐の角度は、流動化ガスに対して向流となる粒子逆流の傾向を更に改善する。結果として起こる特有の圧力バランスは泡の集中的な崩壊につながり、それにより空時収量はさらに改善される。更に上記のように、壁流れ速度、すなわち内部壁に隣接する粒子およびガスの速度は、ランプおよびシートの形成を避けるのに十分なほど大きい。
【0085】
本発明による流動床反応器アセンブリは典型的に工業規模、例えば1時間につき2〜40トンまたは1時間につき10〜30トンの生産能力でポリマーを製造するために使用することができる。
【0086】
本発明による反応器アセンブリは、流動床反応器の垂直軸に対して120°〜150°の範囲内の注入角度で流動化ガスを注入するための手段を含むのが好ましい。垂直軸は基部と90°の角度を形成する。より好適には流動化ガスの注入手段は130°〜140°の範囲の注入角度を可能にする。
【0087】
また、本発明による反応器アセンブリはポリマーのための排出口を含むことが好ましい。反応器アセンブリの最も簡単な変形において、ポリマーはサイクロンを介して取り出すことができる。ポリマーのための排出口は中間ゾーンに位置することが好ましい。排出口はノズルの形態であることがより好ましい。典型的には中間ゾーンに位置する多数のノズルが存在する。
【0088】
有利には、ポリマーは流動床から直接取り出され、これは、排出口ノズルが流動床の基部より上ではあるが流動床の上部レベルより低いレベルからポリマーを取り出すことを意味する。国際公開第00/29452号に記載されているように、ポリマーを連続的に取り出すことが好ましい。しかしながら、反応器の頂部から流動化ガスを取り出す循環ガスラインから取り出すことも可能である。ポリマーはその後、ガス流体から例えばサイクロンを使用して適切に分離される。上記2つの方法の組み合わせを使用して、ポリマーの一部を床から直接取り出し、他の一部を循環ガスラインから取り出すようにすることもできる。
【0089】
循環ガスは重合の熱を除去するために冷却される。典型的には、これは熱交換機によりなされる。ガスは反応による加熱から床を防止するために床の温度よりも低い温度へと冷却される。ガスをその一部が凝縮する温度へ冷却することが可能である。液滴は反応ゾーンに入ると蒸発する。この時、蒸発熱は反応熱の除去に寄与する。この種の作動は凝縮モードと呼ばれ、そのバリエーションは、中でも、国際公開第2007/025640号、米国特許第4543399号、欧州特許出願公開第699213号および国際公開第94/25495号に開示されている。欧州特許出願公開第696293号で開示されているように再利用ガス流体に凝縮剤を加えることも可能である。凝縮剤は、冷却機で少なくとも部分的に凝縮される非重合性成分、例えばn-ペンタン、イソペンタン、n-ブタンまたはイソブタンである。
【0090】
オレフィン重合触媒の存在下においてオレフィンポリマーを製造する場合、中間ゾーンにおけるガス空塔速度は5〜80cm/s(または、0.05〜0.8m/s)の範囲内が適している。
【0091】
反応器は重合触媒の存在下においてモノマーを重合するために使用され得る。このように重合され得るモノマーにはオレフィン、ジオレフィンおよび他のポリエンが含まれる。反応器はこのようにエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンおよびこれらの混合物を重合するために使用され得る。特に、反応器はエチレンおよびプロピレン並びにこれらの混合物を、場合により4〜12の炭素原子を有する他のアルファ-オレフィンコモノマーと一緒に重合するのに有用である。
【0092】
モノマーとは別に、異なる共反応物質、補助剤、活性剤、触媒および不活性成分を反応器に導入し得る。
【0093】
全ての重合触媒は重合を開始および維持するために使用され得る。このような触媒はその技術分野において十分に知られている。特に触媒は重合が起こる微粒子の固体の形態であるべきである。オレフィン重合のための好適な触媒は、例えば、チーグラー-ナッタ触媒、クロム触媒、メタロセン触媒および後期遷移金属触媒である。しばしばデュアルサイト触媒として言及される2もしくはそれ以上のこのような触媒のいろいろな組み合わせも使用され得る。
【0094】
好適なチーグラー-ナッタ触媒およびこのような触媒において使用される成分の例は、例えば、国際公開第87/07620号、国際公開第92/21705号、国際公開第93/11165号、国際公開第93/11166号、国際公開第93/19100号、国際公開第97/36939号、国際公開第98/12234号、国際公開第99/33842号、国際公開第03/000756号、国際公開第03/000757号、国際公開第03/000754号、国際公開第03/000755号、国際公開第2004/029112号、国際公開第92/19659号、国際公開第92/19653号、国際公開第92/19658号、米国特許第4382019号、米国特許第4435550号、米国特許第4465782号、米国特許第4473660号、米国特許第4560671号、米国特許第5539067号、米国特許第5618771号、欧州特許出願公開第45975号、欧州特許出願公開第45976号、欧州特許出願公開第45977号、国際公開第95/32994号、米国特許第4107414号、米国特許第4186107号、米国特許第4226963号、米国特許第4347160号、米国特許第4472524号、米国特許第4522930号、米国特許第4530912号、米国特許第4532313号、米国特許第4657882号、米国特許第4581342号、米国特許第4657882号、欧州特許出願公開第688794号、国際公開第99/51646号、国際公開第01/55230号、国際公開第2005/118655号、欧州特許出願公開第810235号および国際公開第2003/106510号において示される。
【0095】
好適なメタロセン触媒の例は、国際公開第95/12622号、国際公開第96/32423号、国際公開第97/28170号、国際公開第98/32776号、国際公開第99/61489号、国際公開第03/010208号、国際公開第03/051934号、国際公開第03/051514号、国際公開第2004/085499号、欧州特許出願公開第1752462号、欧州特許出願公開第1739103号、欧州特許出願公開第629631号、欧州特許出願公開第629632号、国際公開第00/26266号、国際公開第02/002576号、国際公開第02/002575号、国際公開第99/12943号、国際公開第98/40331号、欧州特許出願公開第776913号、欧州特許出願公開第1074557号および国際公開第99/42497号に示されている。
【0096】
触媒は典型的に異なる活性剤と使用される。このような活性剤は一般に有機アルミニウムまたはホウ素化合物、典型的にはアルミニウムトリアルキル、アルキルアルミニウムハライド、アルモキサンである。加えて、いろいろな変性剤、例えばエーテル、アルコキシシラン、およびエステル等が使用され得る。
【0097】
更に、いろいろな共反応物質を使用し得る。それらには、連鎖移動剤、例えば水素および重合禁止剤、例えば一酸化炭素または水が含まれる。加えて、不活性成分が適切に使用される。このような不活性成分は、例えば窒素または1〜10の炭素原子を有するアルカン、例えばメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン等であり得る。異なる不活性ガスの混合物も使用し得る。
【0098】
重合は流動化ガスが本質的に蒸気またはガス相を維持する温度および圧力で実施される。オレフィン重合について、温度は30〜110℃、好適には50〜100℃の範囲内が適している。圧力は1〜50bar、好適には5〜35barの範囲内が適している。
【0099】
反応器は床が中間ゾーンと上部ゾーンを合わせた容積の少なくとも70%、より好適には少なくとも75%、最も好適には少なくとも80%を占めるような条件において作動させるのが好ましい。同じ数値が本発明による方法に当てはまる。反応器をこのように作動させると、驚くべきことに、泡が反応器の上部で崩壊する、またはその成長が妨げられるということが判明した。これはいくつかの理由のために有利である。第1に、泡により占められる容積が減少すると、反応器の容積は重合のためにより効率的に使用され、「デッド」容積が減少する。第2に、大きい泡がないと反応器からの微粒子の巻き込みが減少する。その代わりに、流動化ガスにより反応器から運び出されるポリマーが反応器内の全てのポリマーを表す。従って、流動化ガスから、例えばサイクロンを使用してポリマーを分離し、このポリマーを生成物として取り出し、またはそれを更なる重合段階へと進めることが可能である。第3に、ポリマーが流動化ガスと一緒に巻き込まれて反応器から運び出されるにも関わらず、驚くべきことに、ポリマーの量がより少ないときよりも、ポリマーを流動化ガスから分離することがより容易である。従って、反応器の頂部から取り出された流動化ガスがサイクロンを通ると、驚くべきことに、その結果として得られるオーバーヘッド流体は同様のサイクロンを装備している従来の流動床反応器によりもより少ない量のポリマーを含む。このように、本発明による反応器アセンブリおよび方法は、流動床反応器と固体/ガス分離手段を相乗的に組み合わせる。更に、底部流体(underflow stream)はより良い流れ特性を有し、同様の従来の方法よりも目詰まりを起こしにくい。
【0100】
反応器の頂部から取り出された流動化ガスは分離工程へと進む。上記で論じたように、これはサイクロンで行うのが便利である。サイクロンにおいては、粒子を含むガス流体が円柱または円錐のチャンバに1またはそれ以上の点で接線方向に入る。ガスはチャンバの頂部(オーバーヘッド)で中央開口を通って排出し、粒子は底部(底流)で開口を通って排出する。粒子はサイクロンの壁の方に慣性により追いやられ、そこから粒子は下方へ落ちる。典型的には、オーバーヘッドは2重量%未満または1重量%未満、好適には0.75重量%未満、より好適には0.5重量%未満の固体材料、特にポリマー粒子を含む。底流は典型的に主に固体材料を含み、粒子の間にいくらかのガスを含む。
【0101】
上記で論じた好適な実施形態においては、ガスはガス入口ゾーンから下部ゾーンに入る。ガス入口ゾーンは定義上反応器の一部として考えられるものではなく、そのため反応器の高さには寄与しない。下部ゾーン内に流動床が形成される。ガス速度は、下部ゾーンの頂部においてガス空塔速度が約0.02m/s〜約0.9m/s、好適には0.05m/s〜約0.8m/s、より好適には約0.07m/s〜約0.7m/s、例えば0.5m/sまたは0.3m/sまたは0.2m/sまたは0.1m/sとなるように徐々に減少する。
【0102】
好適な実施形態においては、流動化ガスは流動床反応器の下部ゾーンより下のガス入口ゾーンへと入る。上記ガス入口ゾーンにおいて、ガスおよび最終的なポリマーまたは触媒粒子は乱流条件において混合される。流動化ガスの速度はそこに含まれる最終的な触媒またはポリマー粒子が下部ゾーンに運ばれるような速度である。しかしながら、ポリマーの塊、例えばランプまたはシートは下方に落ちて、これにより反応器から除去され得る。典型的な実施形態において、ガス入口ゾーンは、ガス速度が約1m/sよりも大きい、例えば2〜70m/s、好適には3〜60m/sとなるような直径を典型的に有する管である。ガス入口ゾーンの上部でのガス速度が下部での速度よりも小さくなるように、ガス入口ゾーンは流れ方向において増加する直径を有することも可能である。
【0103】
下部ゾーンの高さが高くなりすぎることを避けるため、ガスの速度を下部ゾーンの上流に適する範囲へと減少することが好ましい。下部ゾーンに入るガス速度の適する範囲は1〜10m/sである。
【0104】
更に、上記好適な実施形態において、流動化ガスの空塔速度は下部ゾーンにおいて、好適には、m/sで表される空塔速度の平方根の逆数であるa値(a=1/(v)
1/2、ここでvは流動化ガスの空塔速度)が下部ゾーンの1メートル長につき0.66〜4.4の範囲内の値だけ増加するように減少する。より好適には、上記で定義したa値は、下部ゾーンの1メートル長につき0.94〜3.6、更により好適には1.2〜2.5の範囲内の値だけ増加する。当然、a値は下部ゾーン内の流動化ガスの流れ方向、すなわち上方向に向かって増加する。
【0105】
より機能的な見方では、反応器アセンブリにおいて3つの領域を区別することができ、すなわち、ガス入口部分と、流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である第1の領域と、第1の領域より上に位置し、流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域におけるガス空塔速度と比較して大きい第2の領域とである。ガス入口部分においては、ガス空塔速度は流動化ガスの流れ方向に減少する。ガス入口部分は本質的に、ガス入口ゾーンおよび下部ゾーンにより形成される。第1の領域は本質的に中間ゾーンと重なり、第2の領域は本質的に上部ゾーンと重なる。
【0106】
純粋な方法の見方から、本発明はまた、
流動化ガスのガス空塔速度が流動化ガスの流れ方向において減少する、ガス入口部分、
流動化ガスのガス空塔速度が本質的に一定である、第1の領域、および
第1の領域より上に位置し、流動化ガスのガス空塔速度が第1の領域におけるガス空塔速度と比較して大きい、第2の領域、
ガス入口部分に位置する流動化ガスのための注入口、
第2の領域に位置する流動化ガスのための排出口、
を有する流動床反応器(1)を含み;前記流動化ガスのための排出口は、ガス循環ラインにより流動床反応器と連結しており;ガスからの固体の分離手段が前記ガス循環ラインに連結している、反応器アセンブリにおける重合触媒の存在下でのポリマーの製造に関するものであって、
前記方法は;
少なくとも1のモノマーを含むガス混合物をガス入口部分により前記流動床反応器の第1の領域に供給し;
重合触媒を前記流動床反応器に供給し;
前記の少なくとも1のモノマーを前記重合触媒の存在下で重合し、上記の上方に流れるガス流体により支持されたポリマー粒子の流動床を形成し;
上記の混合した流体をガス/固体分離手段に通し;
前記分離工程から2重量%未満の固体を含むオーバーヘッド流体を取り出し、前記2重量%未満の固体を含む流体を前記ガス入口部分に進める、
ことを含む。
【0107】
好適には、流動化ガスの空塔速度はガス入口部分内で単調に減少し、第2の領域内において単調に増加する。
【0108】
反応器の頂部から取り出された流動化ガスは分離工程へと進み得る。上記で論じたように、これはサイクロンにおいて行うことが便利である。サイクロンにおいては、粒子を含むガス流体が円柱のまたは円錐のチャンバに1またはそれ以上の位置で接線方向に入る。ガスはチャンバの頂部(オーバーヘッド)で中央開口部を通って排出し、粒子は底部(下層流)で開口部を通って排出する。粒子はサイクロンの壁の方向に慣性により追いやられ、そこから粒子は下方へ落ちる。典型的には、オーバーヘッド流体は2重量%未満または1重量%未満、好適には0.75重量%未満、より好適には0.5重量%未満の固体材料を含む。下層流は典型的に主に固体材料を含み、粒子の間にいくらかのガスを含む。
【0109】
本発明は更に、流動床反応器(1)、ガス/固体分離手段(2)、移動床反応器(15)、冷却手段(3、24)および加圧手段(4,25)を含む、ポリマーの製造のための二重反応器アセンブリに関し;
流動床反応器(1)は、下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)、下部ゾーン(5)に位置する流動化ガスのための注入口(8)並びに上部ゾーン(7)に位置する排出口(9)を含み;
移動床反応器(15)は、下位部分(16)および上位部分(17)、ガスのための注入口(18)、固体のための入口(19)、並びに上位部分(17)に位置するガスのための排出口(20)、移動床反応器から固体を取り出すための排出口(21)を有し;移動床反応器の排出口(21)は流動床反応器(1)の入口(23)と連結しており、その間に任意の固体のための供給手段(22)が位置しており;
排出口(9)は、ガス/固体分離手段(2)と連結しており、ガス/固体分離手段(2)は入口(19)を介して移動床反応器(15)と連結しており;
下部ゾーン(5)の等価断面直径は、流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に増加し;
中間ゾーン(6)は、流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して本質的に一定である等価断面直径を有し;
流動床反応器の高さの流動床反応器の中間ゾーンの等価断面直径に対する比率が2〜10であり;
下部ゾーン(5)から上部ゾーン(7)へと流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向においてさえぎるもののない通路がある、
前記二重反応器アセンブリに関する。
【0110】
二重反応器アセンブリは、上記反応器アセンブリと移動床反応器との組み合わせである。上記した全ての定義および好適な実施形態は、二重反応器アセンブリに関しても当てはまる。これらの定義および好適な実施形態は参照によりここに組み込まれる。
【0111】
移動床反応器の下位部分(16)は、移動床反応器の全体の容積の50%に寄与する移動床反応器の下部であることが好ましい。移動床反応器の上位部分(17)は、移動床反応器の全体の容積の50%に寄与する移動床反応器の上部であることが好ましい。
【0112】
本発明による二重反応器アセンブリは、上記反応器アセンブリの利点の他に付加的な利点を示す。上記反応器アセンブリの利点は失われないことに言及すべきである。第1の面において、二重反応器の構成は、第1と第2の反応器において異なる反応器条件を使用することにより、調整された(tailored)分子量分布を有するポリオレフィンの簡単な製造が可能になる。その上、二重反応器アセンブリは、成長するポリマー粒子への微粒子の混入を避けることを可能とする。
【0113】
上に述べたように、流動床反応器から流動化ガスにより運び出されるポリマーは分離手段、好適にはサイクロンを通過する。ポリマーがガスから分離され、精製されたガス流体はオーバーヘッド流体として分離され、固体の流体が底流として取り出される。上で述べたように、固体の流体中のポリマーは流動床内の全てのポリマーを表し、それ故、生成物流として取り出すことができ、下流の操作に、例えば移動床反応器へと進めることができる。
【0114】
本発明による移動床反応器は、下位部分および上位部分を有する。機能的な観点から、下位部分は主に重合を行う部分であり、生成ポリマーを集める。上位部分は主に移動床反応器からガスを取り出す部分である。好適な移動床反応器は、国際公開第2004/111095号および国際公開第2004/111096号においてより詳細に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
本発明による移動床反応器はガスのための注入口を有することが好ましい。バリアガスのための注入口は移動床反応器の下位部分に位置することが好ましい。バリアガスのための注入口は、移動床反応器の全体の高さの40%未満の高さに位置することがより好ましい。バリアガスは、流動床反応器と移動床反応器がお互いから独立して作動することを可能とする。バリアガスの流れは、流動化ガスが移動床反応器に入り、そこの反応条件を乱すことを防ぐ。バリアガスは更に、移動床反応器の簡単な冷却を可能とする。特に、バリアガスは、移動床反応器中で蒸発することにより床を冷却する液体成分を含み得る。
【0116】
本発明による移動床反応器は更に固体のための入口を含む。この固体のための入口は優先的にサイクロン中で分離された粒子を供給するために使用される。しかしながら、プレポリマーをこの入口より移動床反応器に供給することにより重合を開始することも可能である。
【0117】
本発明による移動床反応器はさらに、上位部分に優先的に位置している流動化ガスのための排出口を含む。
【0118】
その上、移動床反応器は移動床反応器から固体を取り出すための排出口を含む。この排出口は流動床反応器の固体入口と連結していることが好ましい。
【0119】
移動床反応器から流動床反応器への固体の供給は供給手段により実施される。最も簡単な形態においては、供給手段は調節可能な弁により優先的な制御が可能である単純な重力シュートである。しかしながら、供給はスクリューにより実施されることが好ましい。固体を供給する好適な方法は、欧州特許出願公開第2090357号、欧州特許出願公開第2090356号、欧州特許出願公開第2082797号および同時係属欧州特許出願第10075723.6号に開示されている。これらの文書は参照により組み込まれる。流動化ガスがスクリュー供給機を通って移動床反応器に入るのを防ぐために、供給管はスクリューの排出口と流動床反応器との間に高密度化領域を含むことが好ましい。
【0120】
流動床反応器の容積/移動床の容積の比率は、優先的に50/1〜3/1、好適には30/1〜5/1の範囲である。
【0121】
少量の流動化ガスと一緒のポリマーは移動床反応器の上部に進む。ポリマーは反応器の中で沈降し、ポリマー粒子の床を形成する。ポリマーは移動床の底から取り出され、移動床反応器からのポリマーの排出流を形成する。この排出流はポリマー生成物として取り出され、下流の操作に進み得るか、あるいは、好適には、流動床反応器に戻され得る。
【0122】
少なくとも1のモノマーを移動床反応器の底部に導入する。モノマーを移動床の基部から測定して移動床の全体の高さの30%に当たるレベルより下で導入することが好ましい。より好適には、モノマーを移動床の全体の高さの、20%に当たるレベルより下、更により好適には10%に当たるレベルより下で導入する。
【0123】
モノマーは流動床反応器において使用されるものと同じであり得る。従って重合することができるモノマーには、オレフィン、ジオレフィンおよび他のポリエンが含まれる。こうして反応器は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンおよびこれらの混合物を重合するために使用され得る。特に、反応器はエチレンおよびプロピレン並びにこれらの混合物を、場合により他の4〜12の炭素原子を有するアルファ-オレフィンコモノマーと一緒に重合するのに有用である。
【0124】
特に好適には、移動床反応器において重合される少なくとも1のモノマーは流動床反応器において重合されるものと同じである。特に、移動床反応器において全体のモノマーの少なくとも50%を構成する少なくとも主要なモノマーは、流動床反応器において全体のモノマーの少なくとも50%を構成するモノマーと同じである。
【0125】
異なる特性を有するポリマーを移動床反応器および流動床反応器において製造することが好ましい。1つの好適な実施形態において、移動床反応器において製造されるポリマーは、流動床反応器において製造されるポリマーと比べて異なる分子量および場合により異なるコモノマー含量を有する。この目的を達成するために、バリアガスを移動床反応器に導入する。バリアガスの目的は、移動床反応器内に、上方に流れるガスの正味の流体を作り出すことである。この上方に流れるガス流は、流動化ガス流の組成とは異なる組成を有する。この場合移動床内での重合は、上記の上方に流れるガス流の組成により決定される。
【0126】
バリアガスの成分には、重合されるモノマー、最終的な連鎖移動剤および最終的な不活性ガスが含まれる。上記のように、バリアガスの1または全ての成分が、移動床において蒸発することになる液体として移動床反応器に導入され得る。バリアガスは、モノマーに関して上記したように移動床反応器の底部に導入される。
【0127】
上記のように、ガスは移動床反応器内を上方に流れる。上方に流れるガス流の空塔速度は、移動床を形成する粒子の最小流動化速度よりも小さくなくてはならず、さもないと移動床は少なくとも部分的に流動化される。それ故に、ガス流体の空塔速度は0.001〜0.1m/s、好適には0.002〜0.05m/s、より好適には0.005〜0.05m/sであるべきである。
【0128】
移動床を通過したバリアガスは、移動床反応器の上部から、そこに位置するガス排出口を通って取り出される。ポリマーと一緒に移動床反応器の頂部に入る流動化ガスの大部分は同じ排出口を通って取り出される。
【0129】
ポリマーは床の基部から取り出されるので、粒子は床内をゆっくりと下方に移動する。移動は、実質上、反応器における粒子の滞留時間分布が狭いプラグ流であることが好ましい。それ故、それぞれの粒子が実質的に移動床反応器内で重合するための同じ時間を有することとなり、重合するための時間を有することなく反応器を通過する粒子はない。これは、滞留時間分布が非常に広い流動床反応器のような完全混合反応器に対する違いである。
【0130】
1つの好適な実施形態によると、移動床反応器において製造されるプロピレンコポリマーは、流動床反応器において製造されるプロピレンコポリマーよりも大きな分子量を有する。その際、床の基部に導入されるバリアガス混合物は、プロピレンおよびコモノマー、例えばエチレンを含む。加えて、少量の水素を含み得る。流動化ガスはプロピレン、コモノマーおよび比較的多量の水素を含む。移動床より上のガス混合物は移動床反応器の上位部分から取り出される。これにより、移動床内のプロピレンに対する水素のモル比は流動化ガスにおいて対応する比よりも低いレベルで維持され得る。このようにして、移動床反応器において製造されるポリマーの分子量は流動床反応器において製造されるポリマーよりも大きい。
【0131】
あるいは、移動床反応器において製造されるポリマーは、バリアガスの組成を調節することにより流動床反応器において製造されるポリマーより小さな分子量を有し得るか、あるいは代わりに、または加えて、より多いまたはより少ないコモノマー含量を有し得る。もちろん、同じポリマーを2つの反応器において製造するように条件を調節することも可能である。
【0132】
移動床反応器内の温度は、必要に応じて調節され得る。しかしながら、反応器内に含まれるポリマーの焼結温度より低いべきである。温度は、適宜40〜95℃、好適には50〜90℃、より好適には65〜90℃の範囲内、例えば75または85℃で選択することができる。
【0133】
移動床反応器の頂部の圧力は流動床反応器の頂部の圧力と近いことが好ましい。圧力は1〜50barが好ましく、5〜35barがより好ましい。圧力は流動床反応器内の圧力から5bar以下の違いが特に好ましい。圧力は、流動床反応器内の圧力よりも3bar小さい圧力から流動床反応器内と同じ圧力までの範囲がさらにより好ましい。
【0134】
方法の見方からは、流動床反応器の中間ゾーンはガス空塔速度が5〜80cm/s、好適には10〜70cm/sとなるような条件下に維持される。
【0135】
重合触媒は直接的に投入することができ、またはそれより前の前重合段階に入れておくことができ、後者が好ましい。重合触媒は、各注入口により中間ゾーンに導入することが好ましい。反応生成物の取り出しは国際公開第00/29452号に開示されているように連続的であることが好ましい。
【0136】
本発明による方法はポリオレフィン重合に係ることが好ましい。ポリオレフィンはエチレン、プロピレン、およびC
4〜C
12のアルファオレフィンの群から選択されるモノマーであることがより好ましい。
【0137】
本発明による方法においては、中間ゾーン内のガス空塔速度は0.05〜0.8m/sであることが好ましく、および/または、下部ゾーンに入るガスのガス空塔速度は、1〜10m/sが好ましい。
【0138】
<図に関する詳細な説明>
ここで、本発明を参照して説明する。
【0139】
図1によると本発明の反応器アセンブリは、円錐形状の下部ゾーン、円柱形状の中間ゾーンおよび円錐形状の上部ゾーンを有する流動床反応器(1)を含む。
【0140】
反応器アセンブリは更に、ガス/固体分離手段(2)および冷却手段(3)ならびに加圧手段(4)を具備している。
【0141】
流動床反応器は下部ゾーン(5)に位置する流動化ガスのための(注)入口(8)を有する。
【0142】
流動床反応器は更に、上部ゾーン(7)に位置する流動化ガスのための(排)出口(9)を含む。排出口(9)により、流動化ガスはサイクロン(2)、冷却手段(3)および加圧手段(4)を通過し、流動床反応器のガス注入口(8)に入る。
【0143】
分配プレートがないので、下部ゾーン(5)および中間ゾーン(6)はさえぎるもののない通路を形成する。
【0144】
下部ゾーン(5)の断面直径は、流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に沿って厳密に単調に増加する。
図1においては、下部ゾーンは3次元ではなく、2次元において曲がっているのみであるので、断面直径の増加は垂直方向に一定である。
【0145】
中間ゾーン(6)は、流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に沿って一定の断面直径を有する。
【0146】
モニター装置のような設備は
図1には示していない。
【0147】
上部ゾーン(7)の断面直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向において単調に減少する。
【0148】
図3は、円錐形状の上部ゾーンの断面図である。
【0149】
図4は、4つのゾーン、下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)、並びに下部ゾーンより下に位置する付加ゾーンからなる流動床反応器の実施形態を示す。
【0150】
図5は、本発明による二重反応器アセンブリを断面図として示している。
【実施例】
【0151】
実施例で使用した一般条件
実施例1〜5において、反応器は1barの絶対圧力および25℃の温度で作動させた。流動化ガスとして空気を使用した。床は約250μmの平均直径を有するポリエチレン粒子により形成した。ポリエチレンは923kg/m
3の密度および0.24g/10分のMFR
5を有していた。
【0152】
次の特性を有する反応器アセンブリにより本発明を例証した。
【0153】
下部ゾーンの高さ:1330 mm
中間ゾーンの高さ:2050 mm
上部ゾーンの高さ:415 mm
中間ゾーンの直径:480 mm
反応器は、床内の流動化挙動および泡サイズを目視観測することができるようにプレキシグラスにより作製した。
【0154】
表1(実施例1〜5)
* 下部ゾーンと中間ゾーンを分離する面から測定
** 中間ゾーンおよび上部ゾーンの容積に対する。
【0155】
<
実施例1>
上記の反応器を、流動化ガスの流量が65m
3/hであり、床高さが円柱部分の底から1100mm(中間および上部ゾーンの合わせた容積の約49%に相当)となるように作動させた。
【0156】
反応器の直径が100mmであるガス注入口におけるガス空塔速度は2.3m/sであり、中間ゾーンでは0.1m/sであった。
【0157】
泡が床の上部に到達した時に、泡サイズが増加することを観察することができた。
【0158】
<
実施例2>
床高さを2100mm(中間および上部ゾーンの合わせた容積の94%に相当)にしたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。また、この場合においては、反応器を何時間も安定した状態で作動させることができた。流動化ガスにより運び出されたポリマーは、ポリマーが沈降することが可能である分離容器においてガスから容易に分離することができ、1重量%未満の粒子を含むきれいな流動化ガス流体が得られた。分離容器において回収されたポリマーは、全体のポリマーの代表的なサンプルであった。このように、ポリマー微粒子の偏析は観測することができなかった。
【0159】
小さな泡が流動床に存在したにもかかわらず、床直径の半分よりも大きな直径を有する大きな泡はないことを観察することができた。
【0160】
<
実施例3>
ガス流量を30cm/sのガス空塔速度(中間ゾーン)に相当する195m
3/hにしたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。反応器の直径が100mmであるガスの注入口でのガス空塔速度は6.9m/sであった。反応器の作動は問題なく、安定していた。作動中に約12グラムの重さを有するランプを流動床の上部に導入した。平均して約400秒以内に、ランプは床を通って反応器の底部へ移動し、それらを底の垂直管により取り除くことができた。
【0161】
<
実施例4>
ガス流量を20cm/sのガス空塔速度(中間ゾーン)に相当する130m
3/hにしたことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。反応器の直径が100mmであるガスの注入口でのガス空塔速度は4.6m/sであった。作動中に約12グラムの重さを有するランプを流動床の上部に導入した。平均して約700秒以内に、ランプは床を通って反応器の底部へ移動し、それらを底の垂直管により取り除くことができた。
【0162】
<
実施例5>
床高さを1500mmにしたことを除いて、実施例4の手順を繰り返した。流動化ガスにより運び出されたポリマーは、ポリマーが沈降することが可能である分離容器においてガスから容易に分離することができ、1重量%未満の粒子を含むきれいな流動化ガス流が得られた。作動中に約12グラムの重さを有するランプを流動床の上部に導入した。平均して約2700秒以内に、ランプは床を通って反応器の底部へ移動し、それらを底の垂直管により取り除くことができた。
【0163】
<
実施例6>
次の寸法を有するスチール製の反応器で本発明を更に例証した。
【0164】
下部ゾーンの高さ:1680 mm
下部ゾーンの底の直径:175 mm
中間ゾーンの高さ:2050 mm
上部ゾーンの高さ:670 mm
中間ゾーンの直径:770 mm
反応器の作動は問題なく、安定していた。
【0165】
上記の反応器を、80℃の温度、20barの圧力でエチレンと1-ブテンの共重合のために使用した。中間ゾーンの底から計算した流動床の高さは2100mmであった。
【0166】
環状反応器において製造され、そこに分散した活性触媒をまだ含んでいるエチレンホモポリマー(MFR
2=300g/10分、密度974kg/m
3)を、下部ゾーンに位置する注入口より40kg/hの速度で反応器に導入した。エチレン、水素および1-ブテンを、流動化ガス中のエチレン濃度が17mol%であり、1-ブテンのエチレンに対する比が100mol/kmolであり、水素のエチレンに対する比が15 mol/kmolとなるように、連続的に循環ガスラインに導入した。流動化ガスの残りの部分は窒素であった。ガスの流量は、反応器の円柱部分におけるガス空塔速度が15cm/sとなるように調節した。結果として得られたコポリマーは80kg/hの速度で排出口より容易に取り出すことができた。
【0167】
反応器の頂部から取り出された流動化ガスをサイクロンに通した。ガスから分離されたポリマーを上記ホモポリマー流と混合し、流動床反応器に戻した。
【0168】
<実施例7>
移動床反応器を含む反応器アセンブリを次の通りプロピレンの重合において使用した。
【0169】
未反応のプロピレンおよび0.42g/10分のメルトインデックスMFR
10を有するプロピレンのホモポリマーを含むポリマースラリーを、85℃、30barで作動させる反応器に、ポリプロピレンの供給速度が36kg/hであり、スラリー中のポリマー濃度が約50重量%となるように導入した。追加のプロピレンおよび水素、ならびに不活性ガスとしての窒素を、プロピレンの濃度が73mol%であり、水素のプロピレンに対する比が186 mol/kmolとなるように反応器に供給した。流動床反応器における生成速度は、44kg/hであった。流動床反応器における流動化ガスの空塔速度は25cm/sであった。円柱状中間ゾーンの底から計算した床高さは2100mmであった。
【0170】
流動床反応器からの反応混合物を頂部円錐の排出口より取り出し、85℃の温度、20barの圧力で作動する第2の気相移動床反応器に導入した。追加のプロピレンを下部円柱状部分の中程で移動床反応器に導入した。移動床反応器の底部における水素のプロピレンに対する比は0.75mol/kmolであった。反応器中の生産速度は8kg/hであった。ポリマーはその後、スクリュー供給機を使用することにより流動床反応器の底部円錐に再導入した。
【0171】
ポリプロピレンを、円柱状部分の下位部分に位置する排出口より88kg/hの速度で流動床反応器から取り出した。
【0172】
以下の項において、本発明の好適な実施形態を記載する。
【0173】
項1:下部ゾーン(5)、中間ゾーン(6)および上部ゾーン(7)、下部ゾーン(5)に位置する流動化ガスのための注入口(8)、上部ゾーン(7)に位置する流動化ガスのための排出口(9)を有する流動床反応器(1)を含むポリマーの製造のための反応器アセンブリであって;
流動化ガスのための排出口(9)は注入口(8)により流動床反応器(1)と連結しており;
下部ゾーン(7)の等価断面直径は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に増加し;
中間ゾーン(6)は流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して本質的に一定である等価断面直径を有し;
流動床反応器の高さの流動床反応器の中間ゾーンの等価断面直径に対する比率が2〜10であり;
下部ゾーン(5)から上部ゾーン(7)へと流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向においてさえぎるもののない通路がある、
前記反応器アセンブリ。
【0174】
項2:流動床反応器が、シート、チャンクおよびランプの除去のための排出口(12)を含み、前記排出口(12)が、下部ゾーン(5)中、または下部ゾーンより下に位置する、項1に記載の反応器アセンブリ。
【0175】
項3:流動床反応器(1)の上部ゾーン(7)の等価断面直径が流動床反応器を通る流動化ガスの流れ方向に関して単調に減少する、項1または2に記載の反応器アセンブリ。
【0176】
項4:触媒または触媒触媒を含む触媒のための注入口(11)を更に含む、前項のいずれか1項に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0177】
項5:下部ゾーン(5)が円錐形状であり、中間ゾーンが円柱形状である、前項のいずれか1項に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0178】
項6:円錐形状の下部ゾーン(5)の円錐の角度が5°〜25°である、項5に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0179】
項7:上部ゾーン(7)が円錐形状であり、中間ゾーンが円柱形状である、前項のいずれか1項に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0180】
項8:円錐形状の上部ゾーン(7)の円錐の角度が20°〜50°である、項7に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0181】
項9:ポリマーのための排出口(14)を更に含む、前項のいずれか1項に記載のポリマーの製造のための反応器アセンブリ。
【0182】
項10:ガス排出口(9)に連結されたガス/固体の分離手段(2)を更に含む、前項のいずれか1項に記載の反応器アセンブリ。
【0183】
項11:下位部分(16)、上位部分(17)、ガスのための注入口(18)、固体のための注入口(19)、および上位部分(17)に位置する流動化ガスのための排出口(20)、移動床反応器から固体を取り出すための排出口(21)を有する移動床反応器(15)を更に含む項1〜10のいずれか1項に記載の反応器アセンブリを含む二重反応器アセンブリであって;移動床反応器の排出口(21)は流動床反応器(1)の注入口(23)と連結しており、任意の固体のための供給手段(22)がそれらの間に位置しており;ガス/固体の分離手段(2)は注入口(19)により移動床反応器(15)と連結している、前記二重反応器アセンブリ。
【0184】
項12:流動床反応器および/または移動床反応器において、少なくとも1のポリマーのための排出口(14)を更に含む、項11に記載の反応器アセンブリ。
【0185】
項13:上記流動床反応器の上流に環状反応器を更に含む、前項のいずれか1項に記載の反応器アセンブリ。
【0186】
項14:項1〜9のいずれか1項に記載の流動床反応器を含む反応器アセンブリにおける重合触媒の存在下でのポリマーの製造方法であって;
少なくとも1のモノマーを含むガス混合物を前記流動床反応器の下部ゾーンに供給し;
前記流動床反応器内で上方に流れるガス流体を生み出すために、前記流動床反応器の上部ゾーンから場合により固体を含むガスの流体を取り出し;
重合触媒を前記流動床反応器に供給し;
前記の少なくとも1のモノマーを前記重合触媒の存在下で重合し;
前記流動床反応器の中間ゾーン内のガス空塔速度は、流動床に含まれる大部分のポリマー粒子の終端速度よりも小さい、
ことを含む、前記方法。
【0187】
項15:下部ゾーン、中間ゾーンおよび上部ゾーン、さえぎるもののない通路を形成する下部ゾーン、中間ゾーンおよび上部ゾーンを含む流動床反応器における重合触媒の存在下でのポリマーの製造方法であって;
少なくとも1のモノマーを含む第1のガス混合物を下部ゾーンに供給し;
重合触媒を前記流動床反応器に供給し;
前記流動床反応器内で上方に流れるガス流体を生み出すために、前記上部ゾーンから場合により固体を含むガスの流体を取り出し;
前記の少なくとも1のモノマーを前記重合触媒の存在下で重合し;
第一のポリマー流体を前記流動床反応器から取り出し;
ガス空塔速度は、前記下部ゾーン内で、最小の流動化速度よりも大きいが前記流動床に含まれる大部分のポリマー粒子の気流輸送の開始速度よりも小さいレベルに徐々に減少する、
工程を含む、前記方法。
【0188】
項16:m/sで表される流動化ガスの空塔速度の平方根の逆数である1/(v)
1/2の1メートルにおける増加が、前記下部ゾーン内で流動化ガスの流れ方向において0.33〜4.4である、項14または15に記載の方法。
【0189】
項17:少なくとも前記第1のポリマー流体の一部を移動床反応器に進め;
少なくとも1のモノマーを含む第2のガス混合物を前記移動床反応器に供給し;
前記の少なくとも1のモノマーを前記移動床反応器において重合し;
第2のポリマー流体を前記移動床反応器の下部から取り出し、それによりポリマーの下方移動層が形成し;
少なくとも前記第2のポリマー流体の一部を前記流動床反応器に進める、
工程を更に含む、項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【0190】
項18:中間ゾーン内のガス空塔速度が0.05〜0.8m/sであり、および/または下部ゾーンに入るガス空塔速度が1〜10m/sである、項14〜17のいずれか1項に記載の方法。