(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、前記タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模した発光をフィラメント以外の光源が行うための制御信号を発生する発光制御信号発生部とを有するとともに、前記発光制御信号発生部は、複数の光源にそれぞれ複数の制御信号を供給するとともに、前記複数の制御信号の出力エネルギーの総和がフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模して変化するよう前記複数の制御信号の間に遅延を設け、且つその遅延は、点灯においては前記複数の光源を中心側から外縁側の順に点灯させるとともに消灯においては前記複数の光源の外縁側から中心側の順に消灯させることでフィラメントの点灯または消灯の見かけ上の点滅の様子をも模すものであること光源の点灯または消灯制御装置。
前記発光制御信号発生部は、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化に基づいて前記複数の制御信号の出力エネルギー差が決定されていることを特徴とする請求項1に記載の点灯または消灯制御装置。
前記発光制御信号発生部は、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化に基づいて前記複数の制御信号の間の遅延が決定されていることを特徴とする請求項1に記載の点灯または消灯制御装置。
点灯タイミング信号または消灯タイミング信号の入力部と、前記点灯タイミング信号または前記消灯タイミング信号に応答し時間経過とともに変化する制御信号を発生する制御信号発生部と、前記制御信号に応答して複数のLED発光部からの出力エネルギーの総和がフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模して変化するよう制御する発光制御部と、を有して成るLED光源の点灯及び消灯制御装置であって、
時間経過とともに変化する前記制御信号の制御データテーブルを記憶する記憶部を設け、前記制御データテーブルは、発光の立上がり時に参照され、前記点灯タイミング信号からの経過時間と前記複数のLED発光部からの出力エネルギーの総和の変化との関係をフィラメントの点灯における実際の立上がり特性に対応付けた立上げデータテーブルと、発光の立下がり時に参照され、前記消灯タイミング信号からの経過時間と前記複数のLED発光部からの出力エネルギーの総和の変化との関係を前記フィラメントの消灯における実際の立下がり特性に対応付けた立下げデータテーブルとを含んでおり、突入電流により加熱される立上り時のフィラメント温度変化率よりも自然放熱で冷却される立下り時のフィラメント温度変化率の方が緩やかであること、及び、フィラメントの色温度変化と視感度の影響により立上り時の輝度変化は色温度変化なしの場合と比較して見かけ上遅くなるのに対し立下り時の輝度変化は色温度変化なしの場合と比較して見かけ上早くなることに対応させた結果、両テーブルの関係が互いに重ね合わせ不能であることを特徴とするLED光源の点灯及び消灯制御装置。
前記立上げテーブル及び前記立下げテーブルには、それぞれ、前記フィラメントにおける立上り開始及び立下り開始からの時間経過に応じた輝度変化の実測に基づくデータが記憶されていることを特徴とする請求項5記載のLED光源の点灯及び消灯制御装置。
前記立上げテーブル及び前記立下げテーブルで各々設定される前記複数のLED発光部からの出力エネルギーの総和の時間変化率は、発光の立上げ当初と立下げ当初で両者の絶対値を比較した場合、互いに不一致とされていることを特徴とする請求項5または6記載のLED光源の点灯及び消灯制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用ウインカー制御装置の第1実施例を示すブロック図である。右ウインカー2および左ウインカー4の光源としてはそれぞれLED6およびLED8が用いられている。右ウインカー2のLED6は、トランジスタなどのスイッチング素子10の断続に基づいて定電流源12から電流の供給を受けて点灯する。左ウインカー4のLED8も同様に、スイッチング素子14の断続に基づいて定電流源16から電流の供給を受けて点灯する。
【0013】
なお、簡単のため、右ウインカー2および左ウインカー4にはそれぞれLED6およびLED8を一個づつ図示しているが、実際には必要とする光エネルギーを得るため右ウインカー2および左ウインカー4にはそれぞれ複数のLEDが設けられる。これら複数のLEDはLED6およびLED8と同様にして点灯制御されるが、その際、右ウインカー2および左ウインカー4においてスイッチング素子10、14および定電流源12、16を複数のLEDに共用することができる。また、各LEDにスイッチング素子または定電流源を設けてもよい。いずれにしても、第1実施例では、右ウインカー2内および左ウインカー4内のLEDは、それぞれスイッチング素子10、14に入力するために提供される制御信号により一括して制御される。
【0014】
上記のように第1実施例では光源としてLEDを用いているが、従来から人々が慣れ親しんでいるウインカーの光源はフィラメントを有するバルブランプである。バルブランプは、通電によるフィラメントの白熱により発光し、通電をやめてフィラメントが冷却することによって発光を停止する。このため、その光エネルギー変化においては発光の立ち上りに鈍りがあるとともに発光の立ち下がりも穏やかな尾を引く。これに比較してLEDは通電の開始と終了に鋭敏に応答して刺激的な光エネルギー変化を行うため、特にウインカーなどのように点滅を繰り返す発光を行わせる場合、慣れ親しんだ比較的穏やかなバルブランプの点滅と比較して刺激的であり、明らかな違和感がある。そして、これがドライバーを驚かしたり焦燥感をあおったりして心理的な悪影響を及ぼすと万一の交通事故に繋がる懼れもないとはいえない。
【0015】
従って、第1実施例では、バルブランプの発光の立上りおよび立下りを模した光エネルギー変化で点滅を行うようLED6およびLED8を制御する。以下、このような点灯制御について説明する。
【0016】
操作部18は、左右ウインカーの点滅を指示する操作部および左右ウインカーを同時に点滅させるハザード点滅操作部を含む。例えば、右折時に操作部18によって右ウインカー2の点滅が指示されたとすると、これを検出した制御部20はウインカー点滅信号発生部22にウインカー点滅信号の発生を指示する。この点滅信号は所定の周期(例えば1.5秒)でハイレベルとローレベルを繰り返す矩形波信号である。制御部20は、同時に左右切換部24を制御し、ウインカー点滅信号が右ウインカー2に送られるよう切換える。
【0017】
ウインカー点滅信号発生部22はデューティー制御部26にも接続されており、ウインカー点滅信号の立上りタイミングおよび立下りタイミングを伝達する。デューティー制御部26は、ランプ発光データ記憶部28に記憶されているデータテーブル(バルブランプが実際に発する光エネルギーの立上り特性および立下り特性の実測データテーブル)を参照してパルス幅変調部30を制御するためのデューティーサイクルを変化させる。これによってウインカー点滅信号発生部22からの点滅信号はデューティー制御部26の制御に基づいてパルス幅変調部30でバルブランプが実際に発する光エネルギー変化を模した発光をLED6に行わせるための制御信号に変換され、左右切換部24から右ウインカー2のスイッチング素子10に伝えられる。
【0018】
具体的には、デューティー制御部26は、ウインカー点滅信号の立上りタイミングに応答してランプ発光データ記憶部28に記憶されているバルブランプが発する光エネルギーの立上り特性データを読出し、立上りタイミングからの時間経過に応じてデューティーサイクルを最小値(例えばゼロパーセント)から最大値(例えば百パーセント)に連続的に変化させる。同様に、デューティー制御部26は、ウインカー点滅信号の立下りタイミングに応答してランプ発光データ記憶部28に記憶されているランプ光エネルギーの立下り特性データを読出し、立下りタイミングからの時間経過に応じてデューティーサイクルを最大値(例えば百パーセント)から最小値(例えばゼロパーセント)に変化させる。スイッチング素子10はこのような制御信号に応じてオンオフされ、LED6はランプ発光データ記憶部28に記憶されたランプ発光の輝度変化を模して比較的穏やかに点灯するとともに時間的に尾を引いて消灯する形で点滅を繰り返す。
【0019】
一方、操作部18が左折時に左ウインカー4の点滅を指示したときは、制御部20がこれを検知して左右切換部24を切換え、ウインカー点滅信号発生部22から発生してパルス幅変調部30で変調された制御信号が左ウインカー4のスイッチング素子14に送られるようにする。制御信号が左右切換部24に伝えられるまでの動作は、上記で説明した右ウインカー点滅の場合と同様である。
【0020】
また、操作部18が左右ウインカーを同時に点滅させるハザード点滅を指示したときには、制御部20がこれを検知して左右切換部24を切換え、ウインカー点滅信号発生部22から発生してパルス幅変調部30で変調された制御信号が右ウインカー2のスイッチング素子10および左ウインカー4のスイッチング素子14に同時に送られるようにする。制御信号が左右切換部24に伝えられるまでの動作は、上記で説明した右ウインカー点滅の場合と同様である。
【0021】
なお、上記構成から成る車両用ウインカー制御装置において、デューティ制御部26とランプ発光データ記憶部28は、点灯または消灯のタイミング信号を入力するタイミング信号入力部に相当する。また、デューティ制御部26、ランプ発光データ記憶部28、及び、パルス幅変調部30は、前記タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模した発光をフィラメント以外の光源が行うための制御信号を発生する発光制御信号発生部に相当する。また、スイッチング素子10、14は、それぞれ、前記発光制御信号発生部の制御信号を出力する複数の出力部に相当する。また、左右切換部24は、前記複数の出力部のいずれから前記制御信号を出力するか決定するための選択信号を入力する選択信号入力部に相当する。
【0022】
図2は、上記の動作を波形図で示したものであり、横軸は時間経過である。t1からt3が点滅の一周期(例えば1.5秒)であり、t1、t3が点滅の立上りタイミング、t2、t4が点滅の立下りタイミングである。
図2中の符号Aは、ウインカー点滅信号発生部22から発生するウインカー点滅信号の波形であり、仮にこのようなウインカー点滅信号を直接スイッチング素子10、14に入力するとすれば、ほぼ
図2中の符号Aと同様の鋭い輝度変化でLED6、8が点滅する。
【0023】
これに対し、
図2中の符号Bは、
図1の構成によってスイッチング素子10、14を制御した場合のLED6、8の輝度変化を示す。この輝度変化は発光の立ち上りに鈍りがあるとともに発光の立ち下がりも穏やかな尾を引くランプ発光を模したものであり、光源としてLEDを用いるにも係らず、ウインカーは慣れ親しんだランプ発光と同様の輝度変化で点滅を繰り返す。
【0024】
図3は、LED6、8を制御する際の点滅の一周期内において、t1の点灯立上りタイミングから輝度が最大値に立ち上がるまでの状態を詳細に示したものである。
図3中の符号Bは、
図2中の符号Bの一部を拡大したものであり、
図2と同様、LED6、8の輝度変化を示す。
図3中の符号Cは、点灯立上りタイミングt1前後のパルス幅変調部30の出力波形の概念図であり、t1以前ではデューティーサイクルがゼロパーセントであるとともに、t1〜t1’にかけてデューティーサイクルが百パーセントに移行している。また、
図3中の符号Dは、ランプ発光データ記憶部28に記憶されている点灯時の光エネルギーの時間変化を示すものである。デューティーサイクルの変化(
図3中の符号C)は、LED輝度変化(
図3中の符号B)がランプの輝度変化(
図3中の符号D)を模したものとなるよう変化させられる。定性的には、デューティーサイクル(
図3中の符号C)は、t1後急速に増加し以後緩やかに百パーセントに近づく。なお、
図3中の符号Cはデューティーサイクルの変化の概念を示すものであって、実際の周波数(例えば数キロHz)における波形の周期は実際には図示できないほど短い。
【0025】
図4は、
図3と同様のものであるが、LED6、8を制御する際の点滅の一周期内において、t2の消灯立下りタイミングから輝度が最小値に減衰するまでの状態を詳細に示したものである。
図4中の符号Bは、
図2中の符号Bの一部を拡大したものであり、
図2と同様、LED6、8の輝度変化を示す。
図4中の符号Cは、消灯立下りタイミングt2前後のパルス幅変調部30の出力波形の概念図であり、t2以前ではデューティーサイクルが百パーセントであるとともに、t2からt2’にかけてデューティーサイクルがゼロパーセントに尾を引いて減衰している。また、
図4中の符号Dは、
図3中の符号Dと同様のもので、ランプ発光データ記憶部28に記憶されている光エネルギーの消灯時の時間変化を示すものである。
図3と同様にして、デューティーサイクルの変化(
図4中の符号C)は、LED輝度変化(
図4中の符号B)がランプの輝度変化(
図4中の符号D)を模したものとなるよう変化させられる。定性的には、デューティーサイクル(
図4中の符号C)は、t2後急速に減少し以後緩やかにゼロ百パーセントに近づく。なお、
図4中の符号Cは、
図3中の符号Cと同様、デューティーサイクルの変化の概念を示すものであって、実際のものではない。
【0026】
図5は、本発明の実施の形態に係る車両用ウインカー制御装置の第2実施例を示すブロック図である。
図1の第1実施例と共通の部分には同一の番号を付し、説明は省略する。
図5の第2実施例が
図1の第1実施例と異なる部分は、
図1のデューティー制御部26、ランプ発光データ記憶部28およびパルス幅変調部30を積分回路102に置き換えたことである。すなわち、積分回路102は、先述のタイミング信号入力部、及び、発光制御信号発生部に相当する。
【0027】
積分回路102は、
図2中の符号Aのようなウインカー点滅制御部22の出力を、
図2中の符号Bのようなランプ光エネルギー変化を模した制御信号に近似的に変換するものである。積分回路102の時定数は、その出力が
図2中の符号Bの波形に近似するよう調整されている。また、より違和感なくランプの点滅を模すためには、積分回路102に二種の時定数を切り替え可能に設定できるよう構成し、ウインカー点滅信号に応答して立上り時と立下り時とでこの時定数を切換える。
図5において、ウインカー点滅信号発生部22の上部から積分回路102の上部に入っている信号線はこのような切換のための信号を伝達している。
【0028】
図6は、本発明の実施の形態に係る車両用ウインカー制御装置の第3実施例を示すブロック図である。
図1の第1実施例と共通の部分には同一の番号を付し、説明は省略する。
図6の第3実施例が
図1の第1実施例と異なる部分は、右ウインカー2の光源が従来のバルブランプ202である点である。なお、左ウインカーの光源も同様にバルブランプであるが、その構成は右ウインカー2側と同一であるので、
図6では一括して左ウインカー側構成204として簡略化して図示している。
【0029】
上記のとおり、
図6の第3実施例では、左右ウィンカーの光源がランプなので、ウインカー点滅信号発生部22は、左右切換部206を介して直接スイッチング素子10に入力されている。なお、左右切換部206の切換状態は操作部18の操作に従うものであり、左右操作部24の切換状態と同じになる。例えば操作部18で右折操作が行われれば、左右切換部24及び左右切換部206は共に右ウィンカー側構成(延いてはスイッチング素子10)に点滅出力信号を送るよう切換が行われる。すなわち、左右切換部206は、先述の選択信号入力部に相当する。
【0030】
図6の第3実施例では、右ドアミラー208にLED210からなる補助ウインカー光源が設けられている。LED210を制御するスイッチング素子212および定電流源214は、
図1におけるスイッチング素子10および定電流源12と同様のものである。すなわち、スイッチング素子212(及び、左ドアミラー側構成216に含まれるスイッチング素子)は、それぞれ、前記発光制御信号発生部の制御信号を出力する複数の出力部の一に相当する。
図6の第3実施例では、このようなスイッチング素子212を制御するため、左右切換部24からのパルス幅変調された信号が入力されている。デューティー制御部26、ランプ発光データ記憶部28、パルス幅変調部30は、
図1の構成と同様のものである。
【0031】
なお、左ドアミラーの光源は、右ドアミラー208の光源と同様LEDが用いられており、その構成は右ドアミラー側と同一であるので、
図6では一括して左ドアミラー側構成216として簡略化して図示している。
【0032】
以上のようにして、ドアミラーにおけるLED210からなる補助ウインカー光源は、第1実施例のウインカー光源と同様、LEDであるにも係らずバルブランプを模した点滅を行う。従って、それ自体の点滅態様に違和感がないとともに、ウインカーにおけるバルブランプ202と同期して点滅を行う。
【0033】
なお、
図6の第3実施例では、ウインカーと補助ウインカーにバルブランプとLEDが混在して用いられる例を示すものであって、その使用は
図6に限られるものではなく、ウインカーにLEDを用い、補助ウインカーにバルブランプを用いるような場合においても同様の構成を適用できる。また、ウインカーと補助ウインカーの関係だけでなく、前方ウインカーと後方ウインカーにおいてその一方をバルブランプとし、他方をLEDとする場合にも同様の構成を適用できる。
【0034】
図7は、本発明の実施の形態に係る車両用ウインカー制御装置の第4実施例を示すウインカーの正面図であり、複数のLED群の配置を示すものである。
図7の複数のLED302は全体として一つのウインカーの光源を構成する。これら複数のLED302は4つの群に区分されており、内側から順に、中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308および外縁LED群310から構成される。
【0035】
これら各LED群はそれぞれ一括して点滅制御されるが、各群の点灯タイミングおよび消灯タイミングにずれが設けられている。具体的に説明すると、点灯立上りにおいては、まず中心LED群304を点灯させ、以下、内中帯LED群306、外中帯LED群308および外縁LED群310の順に点灯させることによって、複数のLED302全体としての合計輝度が
図3中の符号Dにおけるバルブランプ点灯時の光エネルギーの時間変化をなぞるようにする。また、点灯立下りにおいては、点灯時と逆に、まず外縁LED群310を消灯させ、以下、外中帯LED群308、内中帯LED群306および中心LED群304の順に消灯させることによって複数のLED302全体としての合計輝度が
図4中の符号Dにおけるバルブランプ消灯時の光エネルギーの時間変化をなぞるようにする。
【0036】
バルブランプの点灯の見かけ上の様子を観察すると、まずランプ中央のフィラメント近傍の輝度が上がるとともにこれが周囲に広がり、最高輝度に至ってランプの拡散面全体が輝いているように見える。一方、バルブランプの消灯の際には、光っていた領域が縮小して最後に消え残っていたフィラメント近傍が消えるように見える。
図7のLED群の点灯制御はこのようなバルブランプの見かけ上の点滅の様子を模すためのものである。
【0037】
なお、
図7の第4実施例では、上記のように複数のLED群の点滅タイミングにずれを設けることによって複数のLED302全体としての合計輝度がバルブランプの光エネルギー変化を模すように構成している。従って、第4実施例の構成は、バルブランプ点滅における光源面の見かけ上の拡大縮小だけでなく、全体の合計輝度変化についてもバルブランプの点滅を模すようにしている。このため、個々のLEDのスイッチング素子への制御信号の波形は、
図2中の符号Aのような矩形波でよい。
【0038】
しかしながら、第4実施例においても、上記の構成に加え、個々のLED単位で
図2中の符号Bのような輝度変化による点滅をさせるようスイッチング素子に
図1のデューティー制御部26、ランプ発光データ記憶部28およびパルス幅変調部30による変調を加えた制御信号、または
図5の積分回路102によって波形変化を加えた制御信号を入力するようにしてもよい。これにより、より滑らかにバルブランプの点滅を模すことができる。
【0039】
図8は、上記のような本発明の第4実施例における各LED群を制御するための構成を示すブロック図である。右ウインカー2には、
図7に示した中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308および外縁LED群310からなるLED群が設けられている。スイッチング素子312、314、316および318は、それぞれ
図1のスイッチング素子10と同様のものであり、それぞれ、中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308および外縁LED群310の点滅を一括して制御する。すなわち、スイッチング素子312、314、316、318(及び、左ウィンカー4に含まれるスイッチング素子)は、それぞれ、前記発光制御信号発生部の制御信号を出力する複数の出力部の一に相当する。また、定電流源320、324、326および328は、それぞれ
図1の定電流源12と同様のものであり、それぞれ中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308および外縁LED群310に点灯のための電流を供給する。
【0040】
操作部18、制御部20、ウインカー点滅信号発生部22は
図1と同じものであるが、ウインカー点滅信号発生部22の出力は遅延制御部330に入力される。遅延制御部330は、ランプ(白熱灯)データ記憶部28からの情報に基づいて、スイッチング素子312、314、316および318のためにそれぞれ異なったタイミングの点灯信号および消灯信号を発生するものであり、先述のタイミング信号入力部、及び、発光制御信号発生部に相当する。その詳細は後述する。
【0041】
遅延制御部330からの各タイミング信号は、それぞれ制御部20によって切換えられる左右切換部332、334、336および338を介して、それぞれスイッチング素子312、314、316および318に入力される。なお、左右切換部332、334、336、および、338は、それぞれ、先述の選択信号入力部に相当する。
【0042】
また、左右切換部332、334、336および338には、それぞれ左ウインカーの中心LED群、内中帯LED群、外中帯LED群および外縁LED群を制御するスイッチング素子も接続されているが、これら左側構成は右ウインカー側の構成と同様なので、
図8では図示を省略する。
【0043】
図9は、
図8の遅延制御部330の出力波形を示した波形図であり、横軸は時間経過である。
図9中の符号Dは、
図3中の符号D及び
図4中の符号Dと同様のもので、ランプ発光データ記憶部28に記憶されているバルブランプの光エネルギーの時間変化を縦軸にエネルギーをとって示したものである。
図3中の符号D及び
図4中の符号Dと同様、t1が点滅の立上りタイミング、t2点滅の立下りタイミングである。
【0044】
図8の遅延制御部330は、光エネルギーの時間変化(
図9中の符号D)に基づき、スイッチング素子312、314、316および318に対し、それぞれ
図9中の符号E、符号F、符号Gおよび符号Hのような波形の制御信号を出力する。すなわち、t1時点以降、
図9中の符号Dで示す輝度がE1に達するt3時点において、
図9中の符号Eのごとくスイッチング素子312への制御信号を立ち上げ、中心LED群304をオンにする。次いで、
図9中の符号Dで示す輝度がE2に達するt4時点において、
図9中の符号Fのごとくスイッチング素子314への制御信号を立ち上げ、内中帯LED群306をオンにする。これにより右ウインカー2全体としての輝度は既にオンとなっている中心LED群304と今回オンとなった内中帯LED群306の和となる。同時に点灯面積が広がる。
【0045】
以下、同様にして、
図9中の符号Dで示す輝度がE3に達するt5時点において、
図9中の符号Gのごとくスイッチング素子316への制御信号を立ち上げ、
図9中の符号Dで示す輝度がEmaxに達するt6時点において、
図9中の符号Hのごとくスイッチング素子318への制御信号を立ち上げる。これによって、すべてのLEDがオンとなり、合計の輝度が最大になるとともに、点灯領域の面積も最大となる。
【0046】
一方、t2時点では、
図9中の符号Hのごとく、まずスイッチング素子318への制御信号をオフにし、外縁LED群310のみをオフにする。次いで、
図9中の符号Dで示す輝度がE3に減衰するt7時点において、
図9中の符号Gのごとくスイッチング素子316への制御信号をオフにする。以下同様に、
図9中の符号Dで示す輝度がE2に減衰するt8時点において、
図9中の符号Fのごとくスイッチング素子314への制御信号をオフにし、最後に、
図9中の符号Dで示す輝度がE1に減衰するt9時点において、
図9中の符号Eのごとくスイッチング素子312への制御信号をオフにする。これによって、右ウインカー2全体としての輝度は
図9中の符号Dのバルブランプの輝度変化を模して減衰すると共に点灯面積も縮小する。
【0047】
上記第4実施例は、中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308、及び、外縁LED群310のLEDの個数がそれぞれ同等となるよう区分し、これらを順次点灯または消灯させていくときの光エネルギーの総和が等間隔で変化するようにするとともに、範とするバルブランプの光エネルギー変化に所定の差が生じるタイミング毎に各LED群を増灯または減灯していくように構成している。しかしながら、本発明はLED光源全体が発する光エネルギー変化がバルブランプが発する光エネルギー変化を模するようにすることにあるので、上記のような実施に限るものではない。
【0048】
例えば、中心LED群304、内中帯LED群306、外中帯LED群308、及び、外縁LED群310をそれぞれ等しい時間間隔で順次増灯または減灯するよう構成すると共に、各LED群の個数が、等時間間隔でのバルブランプの光エネルギー変化に応じた個数となるよう区分してもよい。
【0049】
さらに、以上の中間的な形として、結果的にLED光源全体が発する光エネルギー変化がバルブランプが発する光エネルギー変化を模するよう構成する限り、制御の都合またはLED配置の都合に応じ、LED群の個数を同等とせずかつLED群の増灯または減灯タイミングも等間隔としないような実施形態も可能である。
【0050】
図10は、本発明の実施の形態に係る車両用ウインカー制御装置の第5実施例を示すウインカーの正面図およびその配置と対応付けたLED群の出力波形の波形図である。第5実施例では、第4実施例と同様、複数のLED402が全体として一つのウインカーの光源を構成する。また、これら複数のLED402は、第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408および第4LED群410に区分される。
【0051】
図10中の符号Dは
図9中の符号Dと同様のもので、横軸に時間、縦軸に発せられる光エネルギーをとってバルブランプ発光の時間変化を示したものである。
図9等と同様、t1が点滅の立上りタイミング、t2点滅の立下りタイミングである。なお、図示の都合上
図10のt13とt2間の時間を短縮しているが、
図10中の符号Dは実質的に
図9中の符号Dと同じものである。
【0052】
第5実施例は、基本的には第4実施例と同様のものであるが、第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408および第4LED群410の配置およびその点灯および消灯タイミングが異なる。また、複数のLED402は右ウインカーのための光源を構成するが、
図10中の符号Dの波形図との対応を示すため、90度回転して図示されており、複数のLED402の図示下方がウインカー右端、図示上方がウインカー左端である。つまり、第1LED群404が車両の最も内側に配置されると共に、第4LED群410が車両の最も外側に配置される。
【0053】
また、各LED群の個々のLEDの個数は、等時間間隔でのバルブランプが発する光エネルギー変化に応じた個数となるよう区分されており、以下で詳述するように、点灯および消灯における各群のオンオフにおけるタイミングt1以降、t10、t11、t12、を経てt13に至るそれぞれの時間差、およびt2以降、t14、t15、t16を経てt17に至るそれぞれの時間差は等間隔である。
【0054】
具体的に説明すると、t1から所定時間後のt10において、その時点でバルブランプが発する光エネルギーに相当する個数を持つ第1LED群404が
図10中の符号Jに示すようにオンされる。次いで、t11において、t10以降のバルブランプの光エネルギー増加分に相当する個数を持つ第2LED群406が
図10中の符号Kに示すようにオンされる。以下同様にして、t12で
図10中の符号Lのように第3LED群408が、またt13で
図10中の符号Mのように第4LED群がそれぞれオンされ、その合計エネルギーが最大値に至る。
【0055】
一方、消灯時は、t2から所定時間後のt14において、第1LED群404が
図10中の符号Jに示すようにオフされる。これによってt1時点とt2時点の光エネルギーの差に相当する光エネルギーが消失して減衰する。次いでt15において、第2LED群406が
図10中の符号Kに示すようにオフされる。以下同様にして、t16で
図10中の符号Lのように第3LED群408が、またt17で
図10中の符号Mのように第4LED群がそれぞれオフされすべてのLEDがオフとなる。
【0056】
以上のようにして、複数のLED402は、全体として
図10中の符号Dにおけるバルブランプから実際に発せられる光エネルギーの時間変化を模した光エネルギー変化で点滅する。
【0057】
なお、第5実施例では複数のLED402は先に点灯または消灯する第1LED群404が車両の内側に配置されているので、全体の光エネルギー変化がバルブランプの光エネルギー変化を模すとともに、発光および消灯が外側に走るようにタイミング差をもっておこなわれるので右折または左折の方向をイメージさせる上でも都合がよい。
【0058】
しかしながら本発明の実施はこのようなものに限られるのではなく、第5実施例の複数のLED402において、第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408および第4LED群410に区分される各LEDを
図10のように位置的に区分するのではなく、各群のLEDをランダムに混合してもよい。この場合は、複数のLED402が全体として平均的に
図10中の符号Dの輝度変化を模して点滅するよう制御でき、点滅の際の光が左右方向へ動くように見える挙動をなくしたい場合に適する。
【0059】
なお、第5実施例においても、LED光源全体の光エネルギー変化がバルブランプの光エネルギー変化を模するようにすればよいので、
図10のように点滅タイミングの時間差を等間隔にして各LED群に含まれるLEDの個数の差が
図10中の符号Dの輝度変化を模するよう構成する実施形態に限るものではない。例えば、第4実施例のように各LED群に含まれるLEDの個数を同じにするとともに各LED群を点滅させるタイミングの時間差がバルブランプの光エネルギー変化を模するよう構成してもよい。さらに、以上の中間的な形として、結果的にLED光源全体の光エネルギー変化がバルブランプの光エネルギー変化を模するよう構成する限り、LED群の個数を同等とせずかつLED群の増灯または減灯タイミングも等間隔としないような実施形態も可能である。
【0060】
図11は、上記のような本発明の第5実施例における各LED群を制御するための構成を示すブロック図である。右ウインカー2には、
図10に示した第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408、および、第4LED群410からなる複数のLEDが設けられている。スイッチング素子412、414、416、および、418は、それぞれ
図1のスイッチング素子10と同様のものであり、それぞれ、第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408および第4LED群410の点滅を一括して制御する。すなわち、スイッチング素子412、414、416、418(及び、左ウィンカー4に含まれるスイッチング素子)は、それぞれ、前記発光制御信号発生部の制御信号を出力する複数の出力部の一に相当する。また、定電流源420、422、424および426は、それぞれ
図1の定電流源12と同様のものであり、それぞれ第1LED群404、第2LED群406、第3LED群408、および、第4LED群410に点灯のための電流を供給する。
【0061】
操作部18、制御部20、ウインカー点滅信号発生部22は
図1と同じものであるが、ウインカー点滅信号発生部22の出力は左右切換部428に接続されている。なお、左右切換部428は、先述のタイミング信号入力部、並びに、選択信号入力部に相当する。左右切換部428の出力は直接スイッチング素子412に接続され、第1LED群404を
図10中の符号Jの波形で制御する。一方、左右切換部428の出力は、第1遅延部430にも入力されており、第1遅延部430の出力はスイッチング素子414に接続されて第2LED群406を
図10中の符号Kの波形で制御する。第1遅延部430の出力は、第2遅延部432にも入力されており、第2遅延部432の出力はスイッチング素子416に接続されて第3LED群408を
図10中の符号Lの波形で制御する。さらに、第2遅延部432の出力は、第3遅延部434にも入力されており、第3遅延部434の出力はスイッチング素子418に接続されて第4LED群410を
図10中の符号Mの波形で制御する。すなわち、第1遅延部430、第2遅延部432、および、第3遅延部434は、それぞれ、先述の発光制御信号発生部に相当する。
【0062】
左右切換部428は、左ウインカー用の第1LED群を制御するスイッチング素子および左ウインカー用の第1遅延部が接続されているが、これら左側構成は右ウインカー側の構成と同様なので
図11では図示を省略する。
【0063】
以上の各実施例において示した種々の特徴の実施にあたってはそのいずれかを単独で実施するのみならず、複数の実施例の特徴を適宜併用してもよい。
【0064】
また、上記本発明は、車両のウインカーへの実施について説明したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。例えば、車両のブレーキランプにLEDを用いる場合においても上記本発明の利点を享受できる。さらに車両に限らず、交通規制用の信号機の光源としてLEDを用いる際においても、本発明の実施をすることが可能である。
【0065】
また、車両や信号機などの交通関連に限らず、LEDを光源としてに何らかの情報伝達を行う際において、その刺激的な点滅が見る人に不快感や焦燥感を与えるのを緩和するため、本発明は広く実施することができる。
【0066】
図12は、本発明の実施の形態に係る第6実施例のブロック図である。第1実施例から第5実施例はウインカー制御装置として構成されているが、
図12の第6実施例は、車両用のスモール兼ブレーキランプ制御制御装置として構成され、スモール兼ブレーキランプ制御LSI500によって制御される。
【0067】
第6実施例では、9個のLEDから構成されるスモール兼ブレーキランプ502が電圧安定用コンデンサ504に並列接続されている。この並列接続に直列に、電流制限抵抗506を介してスイッチングトランジスタ508が接続されており、スモール兼ブレーキランプ502を制御する。なお、スイッチングトランジスタ508は、タイミング信号入力部、並びに、発光制御部に相当する。このような回路構成により、第6実施例では定電圧制御方式のPWM制御が行われる。因みに、第1実施例から第5実施例のPWM制御は定電流制御方式の制御が行われる。
【0068】
スモール兼ブレーキランプ502は、スモールランプ操作部510によりスモールランプを点灯させる操作が行われたとき、スイッチングトランジスタ508のPWM制御によってデューティーサイクル7%で点灯される。これに対し、ブレーキ操作部512が踏込まれたときは、スイッチングトランジスタ508がデューティーサイクル100%でオンし、スモール兼ブレーキランプ502を点灯させる。
【0069】
このような制御は、スモール兼ブレーキランプ制御LSI500のマイコン514(制御部)によって実行されており、マイコン514はスモールランプ操作部510またはブレーキ操作部512からの操作信号の入力に応じて、PWM制御されたパルスを出力回路516に出力し、出力回路516はスイッチングトランジスタ508のオンオフを制御する。なお、マイコン514及び出力回路516は、PWM信号発生部に相当する。
【0070】
スイッチングトランジスタ508がオンになった瞬間には、電圧安定用コンデンサ504の存在のために突入電流が流れてスイッチングトランジスタ508を破壊する恐れがあるが、これを防止するためスイッチングトランジスタ508のベース・コレクタ間にコンデンサ518が接続されている。これによって、PWM制御におけるパルスの立上りタイミングでスイッチングトランジスタ508に突入電流が流れるのを防止している。
【0071】
マイコン514の動作はCPU520によって実行されるが、その動作のための処理プログラム及び処理に必要なデータの記憶のためにメモリ522が設けられている。また、マイコン514にはランプ発光データテーブル524が記憶されており、CPU520はこのランプ発光データテーブル524を参照しながら、時間の経過に従ってデューティーサイクルを変化させ、スモール兼ブレーキランプ502がバルブランプを模した点滅を行うようにする。なお、ランプ発光データテーブル524は、記憶部に相当する。マイコン514の入出力部528は、スモールランプ操作部510またはブレーキ操作部512からの操作信号の入力部となっているとともに、出力回路516へのパルスの出力部となっている。
【0072】
図13の符号B、C、Dは、
図3の符号B、C、Dと同様の波形図であって、スモール兼ブレーキランプ502を制御する際のt1の点灯立上りタイミングから輝度が最大値に立ち上がるt1’までの状態を示したものである。また、
図13の符号Aは
図2の符号Aと同様のもので、スモールランプ操作部510またはブレーキ操作部512の操作タイミングを示し、t1でスモール兼ブレーキランプ502をオンさせる信号が発生している。
図12のバルブ発光データテーブル524(実測値テーブル)には、
図13中の符号Dのデータが記憶されているが、CPU520はこれを参照してPWM制御を行い、
図13中の符号Cのように、時間の経過によってデューティーサイクルが変化するパルスを出力回路516に出力する。なお、なお、
図3中の符号Cでも示したように、
図13中の符号Cは、デューティーサイクル変化の概念を示すものであって、実際の周波数(例えば数キロHz)における波形の周期は実際には図示できないほど短い。
【0073】
図13中の符号BはこのようなPWM制御によってスイッチングトランスジスタ508がオンオフされたときのスモール兼ブレーキランプ502の輝度変化を示し、バルブランプの発光を模したものとなる。
【0074】
上記のようにしてPWM制御によりバルブランプの発光を模した輝度変化をLEDに行わせるには、検討すべき点がいくつかある。まず第1は、PWM制御におけるデューティーサイクルの変化によってLEDの輝度を立上げる場合、発光スペクトルおよび色温度が基本的に変化しないのに対し、バルブランプの発光においてはフィラメントの温度の上昇に伴って赤外領域から可視光の白熱状態までスペクトルと色温度が変化する点である。
図13中の符号Qはそのイメージ図である。
【0075】
一方、人間の視感度は波長によって異なるので、発光スペクトルが大きく異なるLEDとバルブランプでは定常発光状態においてさえ同じ放射エネルギーについて目が感じる明るさは異なるが、さらにバルブランプの発光立上りを模した発光をLEDに行わせる場合には、上記のようなバルブランプ立上がり時の色温度の変化と人間の目の視感度の問題を充分考慮に入れてデューティーサイクルの制御を行う必要がある。
【0076】
第2に、PWM制御におけるデューティーサイクルの変化によってLEDの輝度変化を行わせる場合のLEDではインピーダンスが基本的に変化しないのに対し、バルブランプの発光立上がりにおいては温度の上昇に伴ってフィラメントのインピーダンスが大きく変化し、白熱状態のインピーダンスは常温状態の10倍前後となる。従って、バルブランプでは点灯の立上がり初期に突入電流が存在し、定電流によって加熱する場合に比べて立上がり初期にフィラメントが急速加熱される。
図13中の符号Rは上記におけるバルブランプの突入電流のイメージ図である。このような突入電流の存在はランプ立上がり時の輝度変化にも影響するので、このような事情のないLEDにバルブランプにバルブランプの発光立上りを模した発光を行わせる場合には、この点も考慮に入れてデューティーサイクルの制御を行う必要がある。
【0077】
図14は、
図13と同様の波形図であるが、スモール兼ブレーキランプ502をオフしたt2の点灯立下りタイミングから輝度が完全に消灯するt2’までの状態を示したものである。発光の立下りにおいては、
図14中の符号Rに示すように、オフ信号によりバルブランプを流れる電流は消滅するのでフィラメントの冷却は単純な自然放熱となり、
図13中の符号Rにおけるフィラメント加熱時のように、投入エネルギー変化が輝度変化に影響することはない。このように、発光立上がりにおけるフィラメントの加熱におけるエネルギー投入と、発光立下りにおけるフィラメント冷却におけるエネルギー消失には、異なる事情があって、立上がり時のデューティーサイクルの時間変化率が立下り時のそれを単に裏返して縮小拡大した程度のものであるような制御では、バルブランプの点滅を模すことはできない。
【0078】
一方、
図14中の符号Qのように、ランプの色温度はフィラメントの冷却に伴って変化するので、
図13の発光立上りの際と同様にして、バルブランプ立下り時の色温度の変化と人間の目の視感度の問題を充分考慮に入れて、デューティーサイクルの制御を行う必要がある。
【0079】
バルブランプの点滅をLEDのPWM制御により模すには上記のような問題があるが、人間の目はバルブランプの自然な点滅を見慣れているので、多少の近似ではかえって不自然な感じを与える。例えば、カウンタとロジック回路の組合せにより、次のような規則的なデューティー変化の級数を生成して制御することも考えられる。
【0080】
例えば、立ち上り時のデューティーサイクルを0/8、2/9、4/10、6/11、8/12、10/13、12/14、14/15、16/16の級数で変化させるとともに、変化の周期もこの級数の分母である8から16に規則的に長くしていき、一方、立ち下り時のデューティーを8/8、7/9、6/10、5/11、4/12、3/13、2/14、1/15、0/16の級数で変化させるとともに、変化の周期もこの級数の分母である8から16に規則的に長くしていくものが考えられる。しかしながら、このような立ち上がり時と立ち下がり時の変化が互いに重ね合わせ可能な規則的な輝度変化によって人間の目を快適に騙すのは生易しいことではない。
【0081】
図12のような定電圧駆動方式のPWM制御によりLEDにバルブランプの点滅を模した輝度変化を与える場合には、さらに問題がある。
図15は、
図14中の符号Cで示すPWMパルス信号の拡大図であるが、スモール兼ブレーキランプ502のLEDに供給されるPWM制御パルスの立上がり部には、鈍り部532が存在する。これは、突入電流による破壊防止のためにスイッチングトランジスタ508のベース・コレクタ間に接続されているコンデンサ518の影響である。
【0082】
この鈍り部532は、パルス部分Sやパルス部分Tのようにデューティーサイクルが充分大きい場合は特に問題がないが、パルス部分Uのようにデューティーサイクルが小さくなった場合には鈍り部分が最大値まで立ち上がる前に立ち下がりが始まり、パルスの高さが低くなって電圧差534が生じる。
【0083】
この電圧差534が生じると、投入エネルギーに相当するパルスの面積がデューティーサイクルで決まる理論値よりも小さくなり、結果的に理論値で制御していたのでは輝度の低下速度が速くなる。さらにパルスが低くなったことによりLEDの駆動電圧が下がり、LEDの電流-輝度特性のばらつきも露呈してくる。
【0084】
定電圧駆動方式のPWM制御によりLEDにバルブランプの点滅を模した輝度変化を与える際には、このような問題にも配慮しなければならない。具体的には、立下りの尾の部分においては、デューティーサイクルの時間変化を理論値よりも小さくなるよう補正して輝度変化が過度に減少するのを防止する必要がある。
【0085】
以上のような事情を勘案し、ランプ発光データテーブル524に記憶させるデータは次のような特性(1)〜(5)に配慮して決定する。これらの特性(1)〜(5)を総合する結果、テーブルのデータは規則的な級数とは異なるものとなるとともに、立上がり時のデューティーサイクルの時間変化率は立下り時のそれを単に裏返して縮小拡大した程度のものではなく、互いに異なったものとなる。すなわち、上下反転や縮小拡大などの相似的な変形を行っても、立ち上がり波形と立ち下がり波形とを重ね合わせることが不能な関係を有する。
【0086】
(1)自然なバルブランプ発光立上りにおいては、突入電流のため、定電流で加熱する場合よりもフィラメントが急速に加熱される。
【0087】
(2)バルブランプの発光立上り直後と発光立下り直後を比較した場合、突入電流により加熱される立上り時のフィラメント温度変化率よりも自然放熱で冷却される立下り時のフィラメント温度変化率の方が緩やかである。
【0088】
(3)バルブランプ発光立上りにおける可視光発生直後の輝度変化は、色温度変化と視感度の影響により色温度の変化なしにエネルギーが増加する場合より見かけ上遅くなる。
【0089】
(4)バルブランプ発光立下り直後における輝度変化は、色温度変化と視感度の影響により色温度の変化なしにエネルギーが減少する場合より見かけ上早くなる。
【0090】
(5)定電圧駆動方式のPWM制御によりLEDを駆動させる場合、デューティーサイクルの時間変化を理論値で制御すると、発光立下りの末尾の部分において輝度が急速に減少する。
【0091】
ランプ発光データテーブル524のデータは、上記のような特性(1)〜(5)に基づいて理論的に決定してもよいが、実測に基づいて決定してもよい。この場合も、LEDとバルブランプの発光スペクトルの違い、バルブランプの発光立上がり及び立下り時に発生する色温度の影響、およびこれに関係する視感度に留意し、LEDの点灯および消灯が人間の目による見かけ上で、バルブランプの点灯および消灯を模すような実測を行わなければならない。
図16は実測によりランプ発光データテーブル524のデータを決定する方法を示すグラフである。以下、
図16を参照して実測によるランプ発光データテーブル決定方法の手順を説明する。
【0092】
(1)まず、人間の視感度に対応する分光感度の光センサを用意する。
【0093】
(2)次に、データの初期値を適当に設定し、これを
図12の第6実施例におけるランプ発光データテーブル524として記憶させる。この初期値データは、理論的にはどのような値であってもよいが、できるだけランプ発光データに近いと思われるデータを初期値とした方が、以後の手順における効率が良くなる。
【0094】
(3)上記のような初期値を与えた
図12の第6実施例を動作させて、スモール兼ブレーキランプ502を点灯させ、用意した光センサで発光立ち上りの輝度変化のデータを取る。このときのLED発光実測データを
図16中の符号(イ)に破線542で示す。このデータでは発光がt1で始まってt1’’で最高輝度に達しているが、このt1’’の設定も適当でよい。
【0095】
(4)次に、モデルとするバルブランプを点灯させ、同じ光センサで発光立上りの輝度変化のデータを取る。このときのバルブランプ発光実測データを
図16中の符号(イ)に実線544で示す。このデータは発光がt1で始まってt1’で最高輝度に達している。
【0096】
(5)以上の実測の後に、LED発光実測データ542をバルブランプ発光実測データ544に正規化する。まず、LED発光輝度実測値が最高輝度に達するまでのt1からt1’’までの時間幅をt1からt1’の時間幅に正規化する。
図16中の符号(イ)の場合、前者が後者より長いので、矢印546に示すように、t1’’がt1’に一致するようt1からt1’’の間のデータの時間軸を全体的に圧縮する。この結果を
図16中の符号(ロ)に破線548で示す。
【0097】
(6)次に、LED発光実測値の最高輝度550をバルブランプ発光実測値の最高輝度552に正規化する。
図16中の符号(ロ)の場合、前者が後者より低いので、矢印554に示すように、最高輝度550が最高輝度552に一致するようt1からt1’の間で時間軸を正規化したデータを輝度軸方向に全体的に伸張する。この結果を
図16中の符号(ハ)に破線556で示す。
【0098】
(7)次に、このようにして正規化したLED発光実測値556の補正を行う。補正に当たっては時間軸方向に添って正規化LED発光実測値とバルブランプ発光実測値を順々にサンプリングし、同一時刻の輝度データの差分をそれぞれ求める。そして、この差分値を、正規化LED発光実測値556における対応する時刻のデータにそれぞれ加算する。これによって、加算結果は矢印558に示すようにバルブランプ発光実測データ544に一致することになる。この結果を
図16中の符号(ニ)に破線560で示す。
【0099】
(8)以上のようにして得たデータをランプ発光データテーブル524として初期値に上書き記憶する。
【0100】
(9)理論的には上記によってランプ発光データテーブル524が得られることになるが、このようなランプ発光データテーブル524に基づいて
図12の第6実施例を動作させて、スモール兼ブレーキランプ502を点灯させた場合、光センサによる実測値は、必ずしもバルブランプ発光実測値と一致しない。そこで、両者が一致するまで、上記の手順(3)から(8)を繰り返し、発光データテーブル524をバルブランプ発光実測値に漸近させる。
【0101】
以上が、実測によりランプ発光データテーブル524のデータを決定する方法である。なお、上記の説明および
図16は、発光の立上りに関するものであるが、発光の立下りに関するデータも同様の方法で求めることができる。なお、発光立下りの制御においては、上記のように実測により求めたデータをさらに補正して、発光立下りが輝度ゼロに至るのではなく、所定のデューティーに至るようにすることもできる。
【0102】
図17は、第6実施例におけるスモールランプ操作部510およびブレーキ操作部512の操作の組合せにおけるスモール兼ブレーキランプ502の輝度変化を示す波形図である。
図17中の符号V1、A1、D1は、それぞれ、昼間においてブレーキが踏まれた場合に該当し、
図17中の符号V2、A2、D2は、それぞれ、夜間においてまずスモールランプがオンされ、その状態でブレーキが踏まれた場合に該当する。
【0103】
スモールランプ操作部510からの出力は、
図17中の符号V1に示すようにハイレベル562とローレベル564で変化するが、昼間においてはスモールランプは通常オフなので、ローレベル564にある。この状態で時刻t1においてブレーキが踏まれると、
図17中の符号A1に示すように、ブレーキ操作部512の出力はローレベル566からハイレベル568に変化する。これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図17中の符号D1に示すように、時刻t1において輝度ゼロレベル570から立上がり、時刻t1’においてデューティー100%の最高輝度レベル572に達する。
【0104】
一方、夜間において、スモールランプが点灯される場合には、スモールランプ操作部510からの出力は、
図17中の符号V2に示すように、例えば時刻t21においてローレベル564からハイレベル562に変化する。これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図17中の符号D2に示すように、時刻t21において輝度ゼロレベル570から立上がり、時刻t21’においてデューティー7%のスモールランプ点灯レベル574に達する。そしてその後、デューティー7%で定常点灯される。
【0105】
次いで、時刻t1においてブレーキが踏まれると、
図17中の符号A2に示すように、ブレーキ操作部512の出力はローレベル566からハイレベル568に変化する。これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図17中の符号D2に示すように、時刻t1においてスモールランプ点灯レベル574からさらに立上がり、時刻t1’においてデューティー100%の最高輝度レベル572に達する。
【0106】
この場合、ブレーキが踏まれたt1の時点からスモール兼ブレーキランプ502が最高輝度レベル572に達するt1’までの時間は、昼間において輝度ゼロから最高輝度レベルに達するまでの時間と同じである。一方デューティーの変化は、昼間において0%から100%に変化するのに対し、スモール点灯状態では7%から100%に立ち上がる。
【0107】
このようにスモールランプを点灯しない昼間用とスモールランプを点灯する夜間用として、ランプ発光データテーブル524には異なったテーブル用意されており、スモールランプが点灯中であるか否かに応じてその一方が採用される。
【0108】
図18は、
図17と同様のものであるが、第6実施例においてブレーキを開放した場合の波形図を示している。
図17と同様にして、
図18中の符号V3、A3、D3は、それぞれ、昼間においてブレーキを開放した場合に該当し、
図18中の符号V4、A4、D4は、それぞれ、夜間においてスモールランプ点灯中にブレーキが開放され、その後スモールランプがオフされた場合に該当する。
【0109】
図17と同様にして、昼間には、
図18中の符号V3で示すスモールランプ操作部からの出力は、ローレベル564にある。この状態で時刻t2においてブレーキが開放されると、
図18中の符号A3に示すように、ブレーキ操作部512の出力はハイレベル568からローレベル566に変化する。これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図18中の符号D3に示すように、時刻t2においてデューティー100%の最高輝度レベル572から立下り、時刻t2’において輝度ゼロレベル570に達する。
【0110】
一方、夜間においてスモールランプが点灯されている場合には、スモールランプ操作部510からの出力は、
図18中の符号V4に示すように、ハイレベル562にある。そして、時刻t2においてブレーキが開放されると、
図18中の符号A4に示すように、ブレーキ操作部512の出力は、ハイレベル568からローレベル566に変化する。これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図18中の符号D4に示すように、時刻t2においてデューティー100%の最高輝度レベル572から立下り、時刻t2’においてデューティー7%のスモールランプ点灯レベル574に達する。そして、以後はデューティー7%で定常点灯される。
【0111】
次いで、例えば時刻t22においてスモールランプがオフされて、
図18中の符号V4のように、スモールランプ操作部510の出力がハイレベル562からローレベル564に変化すると、これに伴って、スモール兼ブレーキランプ502は、
図18中の符号D4に示すように、スモールランプ点灯レベル574からさらに立下り、時刻t22’においてデューティーゼロレベル570に達する。
【0112】
この場合も、
図18中の符号D4において、ブレーキが開放されるt2の時点からスモール兼ブレーキランプ502がスモールランプ点灯レベル574に達するt2’までの時間は、昼間においてt2の時点から輝度ゼロレベル570に達する
図18中の符号D3の場合の時間と同じである。一方デューティーの変化は、
図18中の符号D3において100%から0%に変化するのに対し、スモール点灯状態では100%から7%に変化する。
【0113】
このようにして、スモール兼ブレーキランプ502の立下げ制御においても、スモールを点灯しない昼間用とスモールを点灯する夜間用として、ランプ発光データテーブル524には異なったテーブル用意されており、スモールランプ点灯中であるか否かに応じてその一方が採用される。
【0114】
図19は、
図12の第6実施例におけるCPU520の機能を示す基本フローチャートであり、車両にバッテリーが接続されることによりスタートする。フローがスタートすると、ステップS2でスモールランプ操作部510によるスモールランプのオン操作があったかどうかが検出される。検出がなければステップS4に進み、スモールランプ操作部510によるスモールランプのオフ操作があったかどうかが検出される。そして、検出がなければステップS6に進む。ステップS6では、ブレーキ操作部512においてブレーキの踏込操作があったかどうかが検出される。検出がなければステップS8に進み、ブレーキ操作部512においてブレーキの開放操作があったかどうかが検出される。そして、検出がなければステップS2に戻る。
【0115】
以上のようにして、スモールランプのオンオフ操作およびブレーキ操作のいずれかの検出を待つ。そしていずれかが検出されたときはいずれもステップS10のスモール兼ブレーキランプ制御処理に進む。その詳細は後述する。そして、ステップS10のスモール兼ブレーキランプ制御処理が終わるとステップS2に戻る。このようにして、ステップS2からステップS10が繰り返され、スモールランプのオンオフ操作およびブレーキ操作の検出および検出に応答したランプ制御処理を行う。
【0116】
図20は、
図19のステップS10におけるスモール兼ブレーキランプ制御処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS12において、検出されたのがスモールランプのオン操作だったかどうかがチェックされ、該当する場合はステップS14に進み、ランプ発光データテーブル524の中からスモール立上用テーブルを採用してステップS16に移行する。一方、検出されたのがスモールランプのオン操作ではないことがステップS12で判断された場合は直接ステップS16に移行する。
【0117】
ステップS16では、検出されたのがスモールランプのオフ操作だったかどうかがチェックされ、該当する場合はステップS18に進み、ランプ発光データテーブル524の中からスモール立下用テーブルを採用してステップS20に移行する。一方、検出されたのがスモールランプのオフ操作ではないことがステップS16で判断された場合は直接ステップS20に移行する。
【0118】
ステップS20では、検出されたのがブレーキの踏込操作だったかどうかがチェックされ、該当する場合はステップS22に進み、スモールランプ点灯中であるかどうかがチェックされる。そして点灯中であればステップS24でランプ発光データテーブル524の中から夜間用立上げテーブルを採用してステップS26に移行する。
【0119】
また、ステップS22でスモールランプ点灯中でないと判断されたときは、ステップS28でランプ発光データテーブル524の中から昼間用立上げテーブルを採用してステップS26に移行する。
【0120】
一方、検出されたのがブレーキ踏込操作ではないことがステップS20で判断された場合は、直接ステップS26に移行する。
【0121】
ステップS26では、検出されたのがブレーキの開放操作だったかどうかがチェックされ、該当する場合はステップS30に進み、スモールランプ点灯中であるかどうかがチェックされる。そして点灯中であればステップS32でランプ発光データテーブル524の中から夜間用立下げテーブルを採用してステップS34に移行する。
【0122】
また、ステップS30でスモールランプ点灯中でないと判断されたときは、ステップS36でランプ発光データテーブル524の中から昼間用立下げテーブルを採用してステップS34に移行する。
【0123】
一方、検出されたのがブレーキ開放操作ではないことがステップS26で判断された場合は、直接ステップS34に移行する。
【0124】
ステップS34では、ここに至るまでに採用が決定されたランプ発光データテーブル524のテーブルに基づき、スモール兼ブレーキランプの立上げ立下げ制御処理を行い、処理が終了するとフローを終了する。ステップS34の詳細は次に述べる。
【0125】
図21は、
図20のステップS34における立上げ立下げ制御処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS42で、デューティーを変更するための次の目標時間の初期値を設定する。この初期値は、例えば1msec.である。次に、ステップS44でデューティ初期値を設定する。この初期値は
図20のフローによりランプ発光データテーブル524からどのテーブルが採用されたかによって異なるが、ゼロ%、7%、100%のいずれかである。
【0126】
以上の設定の後、ステップS46でPWM制御を開始するとともに、ステップS48でPWM制御開始後の経過時間カウントをスタートし、ステップS50に至る。
【0127】
ステップS50では、経過時間が目標時間に等しくなったかどうかをチェックし、等しくなればステップS52に進んでその目標時間に対応するデューティーに設定値を変更する。そしてステップS54で経過時間がT1を超えたかどうかチェックする。このT1は例えば100msec.である。そして経過時間がT1に達していなければ、ステップS56に進んで目標時間を微調整分だけインクリメントしてステップS58に進む。この微調整分は例えば1msec.である。この結果ステップS42で設定されていた目標時間の初期値1msec.が2msec.にインクリメントされる。
【0128】
一方、ステップS54で経過時間がT1を超えたと判定されると、ステップS60に進み、経過時間がT1とこれより長いT2の間にあるかどうかチェックする。このT2は例えば300msec.である。そして経過時間がこの間にあればステップS62に進んで目標時間を標準調整分だけインクリメントしてステップS58に進む。この標準調整分は例えば2msec.である。この結果、目標時間100msec.に達してステップS62に至ったときは、目標時間が102msec.にインクリメントされる。
【0129】
また、ステップS60で経過時間が経過時間がT1とT2の間にないと判断されたときは経過時間がT2を超えたことを意味するからステップS64に進んで、目標時間を粗調整分だけインクリメントしてステップS58に進む。この粗標準調整分は、例えば4msec.である。この結果、目標時間300msec.に達してステップS64に至ったときは、目標時間が304msec.にインクリメントされる。
【0130】
さらに、ステップS50で経過時間が目標時間に達していないときはデューティーを維持して直接ステップS58に至る。
【0131】
ステップS58では経過時間がT2より長いT3を超えたかどうかチェックする。そして、超えていなければステップS50に戻り、以下ステップS58で経過時間がT3を超えるまでステップS50からステップS64を繰り返す。このT3は例えば500msec.であり、デューティーサイクル変更による立上がり制御または立下り制御を終了するまでの時間に相当する。
【0132】
以上のようにして、PWM制御を開始した後の経過時間がT1に達するまでは微調整分の時間が経過する毎にランプ発光データテーブル524から採用されたテーブルに従ってデューティーが変更される。また、T1からT2の間では標準調整分の時間が経過する毎に、またT2経過後は粗調整分の時間が経過する毎に、それぞれランプ発光データテーブル524から採用されたテーブルに従ってデューティーが変更される。
【0133】
ステップS58で経過時間がT3を超えたと判断されたときには、ステップS66に進み、スモールランプ点灯中であるかどうかがチェックされる。そして、点灯中であれば、ステップS68に進み、到達デューティーに固定してPWM制御を継続する旨の指示を行う。この到達デューティーは立上げ制御では100%、立下げ制御では7%である。そしてステップS70で経過時間カウンタをリセットしてフローを終了する。
【0134】
一方、ステップS66でスモールランプ点灯中でなければ、ステップS72に進み、ブレーキランプの立上げ制御かどうかチェックする。そして該当すればステップS68に進み、この場合の到達デューティーサイクルである100%にてPWMが継続されることになる。一方、ステップS72においてブレーキランプ立上げでないことが検出されたときは、スモールランプ点灯中でないときのブレーキランプ立下げまたはスモールランプの立下げに該当するからいずれもデューティーはゼロとなるのでステップS74でPWM制御を終了してフローを終了する。
【0135】
図22は、本発明の実施の形態に係る第7実施例のブロック図であり、制御装置としては
図12の第6実施例と共通するところが多いが、スモール兼ブレーキランプの制御ではなく、車両用ウインカーの制御に適用されたものである。
【0136】
図22に示す車両用ウインカー制御装置は、ウインカー制御LSI600によって制御され、6個のLEDから構成される右ウインカー602が電圧安定用コンデンサ604に並列接続されている。この並列接続に直列に、電流制限抵抗606を介してスイッチングトランジスタ608が接続されており、出力回路610からの信号に基づき右ウインカー602を制御する。
【0137】
左ウインカー側は上記のような右ウインカー側の構成と同様のものであり、612から620までの構成がそれぞれ602から610の構成に対応する。左右のウインカーの構成において番号の下一桁が同じものがそれぞれ対応する構成要素となっている。以上のような回路構成により、第7実施例においても定電圧制御方式のPWM制御が行われる。
【0138】
右ウインカー602および左ウインカー612はウインカー操作部622が操作されたとき、スイッチングトランジスタ608またはスイッチングトランジスタ618のPWM制御によってデューティーサイクルゼロ%から100%で点滅させられる。また、ハザードランプ操作部624が操作されたときは右ウインカー602および左ウインカー612が両方同時に点滅させられる。なお、スイッチングトランジスタ608、618は、それぞれ、先述の発光制御部に相当する。
【0139】
このような制御は、ウインカー制御LSI600のマイコン626(制御部)によって実行されており、マイコン626はウインカー操作部622またはハザードランプ操作部624からの操作信号の入力に応じてPWM制御されたパルスを出力回路610および出力回路620のいずれか一方または両者から出力する。すなわち、マイコン626及び出力回路610、620は、それぞれ、PWM信号発生部に相当する。コンデンサ628およびコンデンサ630は
図12のコンデンサ518と同様のもので、それぞれスイッチングトランジスタ608および618が突入電流により破壊されるのを防止するためのものである。
【0140】
マイコン626は
図12のマイコン514と同様の構成であり、CPU、メモリおよび入出力部を有するとともに、ランプ発光データテーブルが記憶されており、
図12と同様にして、CPUがランプ発光データテーブルを参照しながら時間の経過に従ってデューティーサイクルを変化させ、右ウインカー602および左ウインカー612がバルブランプを模した点滅を行うようにする。
【0141】
図23は、
図2と同様のものであって、ウインカー制御装置の動作を波形図で示したものである。そのうち符号Aおよび符号Bは、それぞれ
図2中の符号Aおよび符号Bと同じものであるが、点滅の立上りタイミングt1、t3および点滅の立下りタイミングt2、t4に加え、点灯立上がりの際のPWM制御終了タイミングt1’、t3’および点灯立下がりの際のPWM制御終了タイミングt2’、t4’を付記したものである。これらのPWM制御終了タイミングt1’ 、t2’ 、t3’、t4’は、
図3、
図4、
図13、
図14におけるものと同じものである。
【0142】
なお、
図23では点滅の立上りタイミングt1から最高輝度に達するタイミングt1’までの時間よりも、点滅の立下りタイミングt2から輝度ゼロに達するタイミングt2’の時間を長くする制御を行っているが、これは、バルブランプにおける突入電流の影響により、点灯立上がりが立下りよりも早くなることを模したものである。
【0143】
ウインカー制御の場合は点滅を繰り返すので、
図23中の符号Bのように直前の点灯がタイミングt2’において完全にデューティーゼロに立下ってから次の点灯をタイミングt3にて立上げるような制御だけでなく、直前の点灯における立下げ途中で次の点灯を立上げるような制御も可能である。この制御はウインカーの点滅においてバルブランプが消え残っている状態で次の点灯が立上る状態を模すものである。これも、バルブランプのフィラメントが、点灯立下りにおける自然冷却によって輝度変化が長く尾を引く傾向を模するものである。このような制御における波形図を
図23中の符号B’に示す。
【0144】
図23中の符号B’は、タイミングt2から始まる立下げ制御において、輝度がゼロレベル702に至るのがt3よりも後になるようなランプ発光データテーブルが採用された制御である。このようなテーブルを採用した場合において、ウインカー点滅立上げタイミングt3が到来したとき、輝度レベルはまだ所定レベル704にあるが、ここで立下げ制御を打ち切り、立上げ制御への切換えを行う。所定輝度レベル704におけるデューティーサイクルは例えば1%等である。従って、t3からの点灯立上げにおいてもランプ発光データテーブルをデューティーサイクルゼロの部分から用いるのではなく、上記の例であればデューティーサイクル1%の部分から用いることになる。このように立上げ用のランプ発光データテーブルを途中から使用する場合は、最高輝度に達するタイミングt3’’も、t3’より早くなる。このような制御の詳細については後述する。
【0145】
以上のように、
図23中の符号B’で示すような制御を行う場合、一回目の点滅と二回目以降の点滅ではデューティーの制御が異なることになる。なお、
図23中の符号B’で示すような制御を行う際、t1とt1’間の立上げに用いられるテーブルと同じテーブルを途中から使用するのに代えて、例えばデューティーサイクル1%から100%への立上げをt3からt3’’で行うようなテーブルをランプ発光データテーブルの1つとして別に用意しておいてもよい。また立下げ用のテーブルについてもt3以降の部分が不要であることが確定していれば、例えばデューティーサイクル1%の部分までを用意しておけば足りる。
【0146】
また、ウインカーやハザードランプの操作においては、立下げ中または立下げの後、次の立上げが行われるまでの間に点滅停止操作が行われるとは限らず、立上げ中に停止操作が行われる可能性もある。
図23中の符号A’’および
図23中の符号B’’は、
図23B’の制御を行っている場合を例にとって、立上げ途中で停止操作が行われた場合の制御を示す波形図である。
【0147】
図23中の符号A’’では、通常なら点灯している期間であるt3とt4の間のt50のタイミングにおいて点滅停止操作が行われた場合を示す。この場合は、
図23中の符号B’’に示すようにt50のタイミングで立上げ制御を打切り、立下げ制御への切換えを行う。このような切換が例えばデューティーサイクル80%等で行われたとすると、立下げ用のランプ発光データテーブルもデューティーサイクル100%の部分からではなく、デューティーサイクル80%の部分から用いられる。そして、t51のタイミングに至ってデューティーサイクルゼロ%に立下る。このような制御の詳細については後述する。
【0148】
図24は、
図23と同様のものであるが、立下り制御の別の例を示す波形図となっている。そのうち、
図24中の符号A、符号B、符号B’は、それぞれ
図23中の符号A、符号B、符号B’と全く同じものであって、比較参照の説明のために再掲したものである。
【0149】
図24中の符号B’では、t3における立下げ制御途中のタイミングで立上げが行われているが、これに対して
図24中の符号B’’’では、
図24中の符号Bと同様、t2’のタイミングで立ち下げ制御を終了する。しかしながら到達デューティーはゼロ%ではなく、
図24中の符号B’において立下げ制御が立上げ制御に切換えられるデューティーサイクルと同じ所定輝度レベル704に対応するもので、例えば1%である。
【0150】
以上のように、
図24中の符号B’’’では、t2’のタイミング以降はデューティーサイクルの変更は行わず、所定輝度レベル702に対応する一定のデューティーサイクルでPWM制御を行いながら次の点灯立上りを待つことにより、
図24中の符号B’と同様にして点滅立下りが長く尾を引く状態を擬似的に実現するものである。このように点灯立下げ制御においてPWM制御をゼロではない所定デューティーに到達させ、これを維持することを「ロングテール処理」と称することとする。
【0151】
前の発光が消え残っている状態において次の発光を立ち上げるような制御する場合は、立下げ制御の尾の部分を厳密に制御するのに代え、上記のような簡易な「ロングテール処理」によってデューティーサイクルを固定してPWM制御を行うことでも自然な点滅を模すことができる。
【0152】
なお、「ロングテール処理」は、上記のような簡易な代替制御を目的とする場合の他、
図15に示した事情によりデューティーサイクルが小さくなった場合に生じる問題に対する現実的な修正制御法としても有用である。
【0153】
図25は、
図22の第7実施例におけるマイコン626のCPUの機能を示す基本フローチャートであり、
図19のスモール兼ブレーキランプ制御の場合と同様にして車両にバッテリーが接続されることによりスタートする。
【0154】
フローがスタートすると、ステップS82でウインカー操作部622による右ウインカー602の始動操作があったかどうかが検出される。検出がなければステップS84に進み、ウインカー操作部622による左ウインカー612の始動操作があったかどうかが検出される。ここでも、検出がなければステップS86進む。
【0155】
ステップS86では、ハザードランプ操作部624においてハザードランプ始動操作があったかどうかが検出される。そして、検出がなければステップS82に戻る。
【0156】
以上のようにして、ウインカー操作部622またはハザードランプ操作部624のいずれかの操作の検出を待つ。そしていずれかが検出されたときはいずれもステップS88に進み、ウインカー操作部622またはハザードランプ操作部624による点滅停止操作の割込みを可能とする処理を行う。さらにステップS90では点灯立下げ途中における立上げ信号発生による割込みを可能とする処理を行ってステップS92に移行する。ステップS92では、ウインカー制御処理を行うが、その詳細は後述する。
【0157】
そして、ステップS92のウインカー制御処理が終わるとステップS82に戻る。このようにして、ステップS82からステップS92が繰り返され、ウインカー操作部622またはハザードランプ操作部624の操作の検出および検出に応答したウインカー制御処理を行う。
【0158】
図26は、
図25のステップS92におけるウインカー制御処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS102でウインカーの点滅を制御する間欠動作タイマーの始動を行ってステップS104に移行する。
【0159】
ステップS104では左ウインカー612の始動操作が行われたかどうかのチェックを行う。該当すればステップS106に進み、
図22のマイコン626からは左ウインカー612用の出力回路620のみにPWM制御されたパルスを出力するようしてステップS108に移行する。一方ステップS104で左ウインカー612の始動操作がおこなわれたのではないことが確認されるとステップS110に進む。
【0160】
ステップS110では、右ウインカー602の始動操作が行われたかどうかのチェックを行う。該当すればステップS112に進み、マイコン626からは右ウインカー602用の出力回路610のみにPWM制御されたパルスを出力するようしてステップS108に移行する。
【0161】
一方ステップS110で右ウインカー602の始動操作が行われたのではないことが確認された場合はハザードランプ操作部624が操作された場合に該当するのでステップS114に進み、マイコン626から右ウインカー602用の出力回路610および左ウインカー612用の出力回路620の両者に同時にPWM制御されたパルスを出力するようしてステップS108に移行する。
【0162】
ステップS108では、ウインカー初動立上げテーブルを採用する処理をしてステップS116の間欠動作制御処理に進む。この処理の詳細は次に述べる。そしてこの処理が終了するとフローを終了する。
【0163】
図27は、
図26のステップS116における間欠動作制御処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS120で立上げ立ち下げ制御処理を行う。このとき使用されるのは
図26のステップS108で採用されたウインカー初動立上げテーブルである。なお、ステップS120における立上げ立下げ制御処理は、基本的には
図21における第6実施例のものと同様のものであるが、若干異なるところもあるので改めて後述する。
【0164】
ステップS120の処理が終了するとステップS121に進み、
図22のウインカー操作部622またはハザードランプ操作部624による点滅停止操作が検出されたかどうかチェックする。そして検出がなければステップS122に進み、
図26のステップS102でスタートされた間欠動作タイマーが立下げタイミング到来を示しているかどうかチェックする。立下げタイミングでなければステップS121に戻り、以下、立下げタイミング到来または停止操作検出がない限りステップS121とステップS122を繰り返す。
【0165】
ステップS122で立下げタイミングが検出されるとステップS123に進み、ウインカー立下げテーブルを採用してステップS124に移行する。ステップS124では、ステップS120と同様の立上げ立下げ制御処理を行い、これが終了するとステップS126に進む。
【0166】
ステップS126では、ステップS121と同様にして点滅停止操作が検出されたかどうかチェックする。そして検出がなければステップS127に進み、間欠動作タイマーが立上げタイミング到来を示しているかどうかチェックする。立上げタイミングでなければステップS126に戻り、以下、立上げタイミング到来または停止操作検出がない限り、ステップS126とステップS127を繰り返す。
【0167】
ステップS127で立上げタイミングが検出されるとステップS128に進み、ウインカー途中立上げテーブルを採用してステップS129に移行する。ステップS129ではステップS120やステップS124と同様の立上げ立下げ制御処理を行い、これが終了するとステップS121に戻る。
【0168】
以下、ステップS121またはステップS126で停止操作が検出されない限り、ステップS120からステップS129が繰り返され、
図23中の符号Bのような点滅の立上げと立ち下げを繰り返す。
【0169】
なお
図27のステップS128で採用されるウインカー途中立上げテーブルと
図26のステップS116で採用されるウインカー初動立上げテーブルは、
図23および
図24で説明した種々の場合に対応して異なったものがランプ発光データテーブル524として記憶される。しかしながら、例えば常に
図23中の符号Bのような制御を行う場合には、これらの立上げテーブルは、互いに同じものであってもよい。
【0170】
また、立上げテーブルとして初動立上げと途中立上げで異なるテーブルが必要な場合であっても、テーブルの途中からの使用が可能な場合や、デューティーサイクルゼロ%からデューティーサイクル100%の間で使用するべく用意されたテーブルのデータを例えばデューティーサイクル1%からデューティーサイクル100%の間のデータとして比例修正して利用する場合には、同じテーブルを利用することも可能である。これらについては後述する。
【0171】
図27のフローでは、1つの立上げ立下げ制御処理が完了してから次の立上げ立下げ制御処理が始まるまでの間でのみ停止操作を検出するよう構成される。これは、例えば
図23中の符号Bなどのt1’とt2の間や
図24中の符号B’’’のt2’とt3の間でのみ停止操作を受け付けることに対応する。従って、仮に、例えば
図23中の符号Aの立上げ処理中のt3とt3’の間で停止操作があったとしても立ち上げ処理はt3’まで継続され、その後立下げ処理に入ってその終了後に点滅が停止するようになる。本発明ではこのような実施も可能である。
【0172】
これに対し、本発明では、上記のような停止処理に加え、
図23中の符号B’’で説明した通り、立上げ処理中のt3とt3’の間のt50で停止操作を検出したときにおいても、直ちに立上げ処理を開始するよう構成することもできる。これについては後述する。
【0173】
図27の説明に戻って、ステップS121またはステップS126で停止操作が検出されたときは、ステップS130に進み、PWM制御中かどうかのチェックと行う。そして該当すればステップS131に進む。この場合は、例えば
図23中の符号Bまたは
図24中の符号B’’におけるt1’とt2の間や
図24中の符号B’’におけるt2’とt3の間で停止操作が検出された場合に該当する。そしてステップS131でウインカー立下げテーブルを採用してステップS132に進む。ステップS132では停止制御処理を行ってフローを終了する。停止制御処理の詳細は後述する。
【0174】
一方、ステップS130においてPWM制御中でないことが確認されたときは、
図23中の符号Bにおけるt2’とt3の間で停止操作が検出された場合に該当するので、直ちにフローを終了する。これによって点滅が停止する。
【0175】
図28は、
図27のステップS120、ステップS124およびステップS128の立上げ立下げ制御処理の詳細を示すフローチャートである。既に述べたように、このフローは
図21の第6実施例における立上げ立下げ制御処理と同様のものである。具体的には、
図28のステップS142からステップS158は
図21のステップS42からステップS58と同様のものであって、経過時間がT3に達するまでは採用されたテーブルに従ってPWM制御を行うものであるが、重複を避けるためその詳細な説明は省略する。
【0176】
図28で
図21と異なるのは、ステップS158において経過時間がT3に達してステップS166に進んだ以降の太字で示す部分である。具体的には、ステップS166では立上げ処理を経由して経過時間がT3に達したのかどうかをチェックする。この場合は、
図23または
図24のt1’やt3’に達した場合に相当する。この場合はステップS168に進み、到達デューティーにてPWM制御を継続する。ステップS166からステップS168に至ったときの到達デューティーは100%である。そしてステップS170に進んで経過時間カウンタをリセットし、フローを終了する。
【0177】
一方、立上げ処理ステップを経由して経過時間がT3に達したのではないことがS166で確認されたときは、立下げ処理を経由して経過時間がT3に達したことを意味するので、ステップS172に進み、ロングテール処理中かどうかのチェックを行う。そして該当すればステップS168に進み、この場合の到達デューティーサイクルである所定の最低デューティーサイクル(例えば1%)にてPWMが継続されることになる。
【0178】
一方、ステップS172においてロングテール処理中でないことが検出されたときは、通常の立下げ処理において経過時間がT3に達したことを意味し、デューティーサイクルはゼロに到達している。従って、この場合はステップS174に進んでPWM制御を終了し、ステップS170に移行して経過時間カウンタをリセットした後フローを終了する。
【0179】
図29は、
図27のステップS132における停止制御処理の詳細を示すフローチャートである。なお、
図27のステップS132はステップS121またはステップS126において停止操作検出が行われた結果生じる処理であるが、
図29のフローはこのような場合以外でも動作可能に構成されている。
【0180】
つまり、第7実施例における
図25の基本フローでは、ステップS88において停止操作割込みが可能とされるが、任意の時点における停止操作の検出により割込みをかけ、
図29のフローをスタートさせるよう構成するような実施も可能である。しかしながら、このような割込みに応答する場合については、後述することとし、まずは、
図29を
図27のステップS132における停止制御処理の詳細を示すフローチャートとして説明する。
【0181】
図27のステップS131からステップS132に至ると、
図29のステップS182に進み、このステップで、まず立下げ中の停止操作検出かどうかがチェックされる。この場合は該当しないので、ステップS184に進み、立上げ中の停止操作検出かどうかがチェックされる。この場合も該当しないので、ステップS186に進んでロングテール処理中かどうかチェックする。
【0182】
そして該当すれば、
図24中の符号B’’のt2’とt3の間で停止操作を受け付けたことを意味するのでステップS188に進み、ロングテール処置に対応するデューティー(例えば1%)を設定する。次いで、これに対応して次のデューティーサイクルに変更するための目標時間をステップS190で設定するとともにステップS192で通常の制御において対応するデューディーサイクルとなるまでの経過時間を経過時間カウンタの初期値として設定する。
【0183】
その上でステップS194に進み、経過時間カウンタをスタートさせてステップS196の停止用PWM制御処理に入る。この停止用PWM制御の詳細は、
図28のステップ142からステップS166およびステップS172を経由してステップS174からステップS170に至る処理と同じである。そしてこれらの処理が終わるとデューティーサイクルがゼロとなりフローが終了となって点滅が停止する。
【0184】
一方、上記のように立下げ中でも立上げ中でもない状態でステップS186に至り、ここでロングテール処理でないと判断されたときは、
図23中の符号Bなどのt1’とt2の間またはt3’とt4の間のようにデューティー100%でPWM制御中であるときに停止操作を受け付けたことを意味するので、ステップS208に進む。そして、ステップS208でデューティー100%を設定するとともにステップS210で目標時間として初期値を設定し、ステップS194に進んで経過時間カウンタをゼロからスタートする。これによって間欠制御タイマーによる立下げタイミングをまたず、直ちに立下げ制御が開始される。
【0185】
以上が、
図27のように、1つの立上げ立下げ制御処理が完了してから次の立上げ立下げ制御処理が始まるまでの間でのみ停止操作を検出するよう構成される場合の
図29の機能である。つまり、
図23中の符号Bなどのt1’とt2の間や
図24中の符号B’’’のt2’とt3の間でのみ停止操作が受付けられる。
【0186】
次に、ステップS88における停止操作割込みが可能処理に応じ、任意の時点における停止操作の検出により割込みをかけて
図29のフローをスタートさせるよう構成した実施について説明する。
【0187】
まず立下げ処理中に割込がかかって
図29のフローがスタートした場合は、ステップS182において立上げ中であることが検出され、直ちにステップS196に至る。従ってその立下げが継続されるとともにその終了に従って点滅も終了する。
【0188】
一方、立上げ処理中に割込みがかかって
図29のフローがスタートした場合は、ステップS182からステップS184を経由してステップS198に至る。ステップS198では、直ちに立上げを打切るためその時点のデューティーサイクルが検出される。そしてステップS200に進んでウインカー立下げテーブルへの切換が行われる。
【0189】
次いで、ステップS198で検出されたデューティーサイクルを立下げ制御の初期値としてステップS202で設定する。そしてステップS202で設定されたデューティーサイクルに対応して次にデューティーサイクルを変更すべき目標時間をステップS204で設定する。
【0190】
さらにウインカー立下げテーブルにおいてステップS202で設定されたデューティーサイクルとなるまでの経過時間となるよう進行中の時間カウンタのカウント値をスキップさせ、ステップS206において経過時間をこのスキップ値に補正する。
【0191】
そして、以上の処理の後、ステップS196に移行する。これによって、
図23中の符号B’’のt50におけるような立上げ制御途中から同じデューティーサイクルの立下げ制御への乗り換えが可能となり、以後t51でデューティーサイクルゼロ%に至るような輝度変化制御が可能となる。
【0192】
図30は、
図25の基本フローのステップS90で可能とされる途中立上げ割込みがかかったときのフローチャートであり、
図23中の符号B’のように立下げ処理中にt3において立上げ処理への乗り換えを行うためのものである。その内容は、基本的には
図29のステップS198からステップS206に準じて理解できる。
【0193】
具体的には、間欠制御タイマーによる立上げタイミングによって途中立上げ割込みがかかると
図30のフローがスタートし、まずステップS212では、直ちに立下げを打切るためその時点のデューティーサイクルが検出される。そしてステップS214に進んでウインカー途中立上げテーブルへの切換が行われる。
【0194】
次いで、ステップS212で検出されたデューティーサイクルを立上げ制御の初期値としてステップS216で設定する。そしてステップS216で設定されたデューティーサイクルに対応して次にデューティーサイクルを変更すべき目標時間をステップS218で設定する。
【0195】
さらにウインカー立上げテーブルにおいてステップS216で設定されたデューティーサイクルとなるまでの経過時間となるよう進行中の時間カウンタのカウント値をスキップさせ、ステップS220において経過時間をこのスキップ値に補正する。
【0196】
そして、以上の後、ステップS150に移行する。このようにして、
図23の符号B’のように立下げ処理中にt3において、立上げ処理へ乗り換えるような制御を行うためには、立下げ制御については間欠動作タイマーの立下げタイミングを
図27のステップS122で検出するとともに、立上げ制御については間欠動作タイマーの立上げタイミングに基づいて
図30のフローに割込みをかけ、これを繰り返すことによって点滅制御を行う。
【0197】
上記したように、本発明は、点灯または消灯のタイミング信号を入力するタイミング信号入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模した発光をフィラメント以外の光源が行うための制御信号を発生するとともにこの制御信号の元になるデータテーブルを記憶する発光制御信号発生部と、発光制御信号発生部の制御信号を出力する複数の出力部のいずれから制御信号を出力するか決定するための選択信号を入力する選択信号入力部とを有することを特徴とする光源の点灯または消灯制御装置を提供する。
【0198】
例えば、フィラメント以外の光源としてLEDを用いた場合、LEDは通電の開始と終了に鋭敏に応答して刺激的な光エネルギー変化を行う。これに対し、従来から人々が慣れ親しんでいるフィラメントは、通電による白熱により発光し、通電をやめてフィラメントが冷却することによって発光を停止する。このため、その光エネルギー変化においては発光の立ち上りに鈍りがあるとともに発光の立ち下がりも穏やかな尾を引く。従って、例えばLEDをウインカーなどのように点滅を繰り返す光源として用いた場合、慣れ親しんだ比較的穏やかなバルブランプの点滅と比較して刺激的であり、明らかな違和感がある。そして、これがドライバーを驚かしたり焦燥感をあおったりして心理的な悪影響を及ぼすと万一の交通事故に繋がる懼れもないとはいえない。本発明の上記構成はこのような不都合を緩和するものである。
【0199】
そして、本発明では、上記のような制御の元になるデータテーブルを発光制御信号発生部に記憶させるとともに、複数の出力部のいずれから発光制御信号を出力するかを入力信号に応じて決定している。これによって、従来から人々が慣れ親しんでいるフィラメントの発光を実現するためのきめ細かなデータテーブルのデータを左右のウインカー等の複数の光源に違和感なく与えることができる。これによって、複数の光源のいずれが発光する場合でも同様の発光を実現することができるとともに、ウインカーのハザード点滅のときのように両者が同じタイミングで点滅する際において、両者に微妙な差が生じるのを防止することができる。
【0200】
本発明の具体的な特徴によれば、発光制御信号発生部は、タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模して出力エネルギーが時間変化する制御信号を発生することを特徴とする点灯または消灯制御装置を提供する。
【0201】
より具体的には、発光制御信号発生部は、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模してデューティーサイクルが変化するパルス幅変調を行うことにより制御信号の出力エネルギーを時間変化させる。この構成は、LED制御のためのパルス幅変調の構成を利用できるとともに、フィラメントの点灯または消灯を忠実に模した制御が行える利点がある。
【0202】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模した発光をフィラメント以外の光源が行うための制御信号を発生する発光制御信号発生部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。そして、発光制御信号発生部は、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化に近似して変化する時定数を持つ積分回路を通すことによって制御信号の出力エネルギーが時間変化する制御信号を発生する。この構成は簡単な構成の追加で違和感の緩和ができる利点がある。
【0203】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、前記タイミング信号の立上りまたは立下がりに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模した発光をフィラメント以外の光源が行うための制御信号を発生する発光制御信号発生部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。そして、発光制御信号発生部は、複数の光源にそれぞれ複数の制御信号を供給するとともに、前記複数の制御信号の出力エネルギーの総和がフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模して変化するよう複数の制御信号の間に遅延を設ける。例えばLEDを光源として用いる場合、多数のLEDを集合的に用いて必要な光量を確保するが、このような場合において、上記手段によれば、全てのLEDを同時に点灯または消灯させるのではなく、多数のLEDの光量の総和がフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模して変化するよう複数のLEDを順次増灯または減灯させることができる。
【0204】
上記において、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化を模すには、発光制御信号発生部は、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化に基づいて複数の制御信号の出力エネルギー差を決定するようにする。また、これに代えて、フィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りの出力エネルギー変化に基づいて複数の制御信号の間の遅延を決定するようにする。これらは併用することも可能である。
【0205】
さらに複数の制御信号の遅延による制御の場合、より具体的には、消灯時において、点灯時の遅延と逆の順序で前記複数の制御信号を遅延させる。これにより、例えば複数のLEDを配置した際その中央から順に点灯させると共に、消灯の際には周囲から消灯させるような制御が可能となる。これによって、フィラメント中心から発光すると共に消灯の際にはフィラメントが消え残るバルブランプの見かけ上の発光態様についても模することができる。
【0206】
一方、複数の制御信号の遅延による制御の場合、消灯時において、点灯時の遅延と同じ順序で前記複数の制御信号を遅延させることも可能である。この場合は、複数のLEDをその配置順に遅延させて点灯または消灯させたれば、点灯領域および消灯領域が同一方向に流れるので全体としての光量変化をウインカーにおける左折または右折の方向指示にも活用することができる。
【0207】
また、本発明は、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、このタイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答して発光部を制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のためフィラメントにおける突入電流の有無に対応して立上がり時と立下り時では異なる制御データテーブルを記憶する記憶部とを有する光源の点灯または消灯制御装置を提供する。
【0208】
これによってLED等白熱灯以外の光源と白熱灯との発光特性の差に配慮し、白熱等の発光を模したPWM制御による輝度変化を与えることができる。
【0209】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答して発光部を制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のため人間の視感度に対応する分光感度の光センサにより前記発光部の発光とフィラメントの発光を実測して求めた制御データテーブルを記憶する記憶部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。
【0210】
これによってLED等白熱灯以外の光源と白熱灯との発光特性の差および人間の視感度に配慮し、白熱等の発光を模したPWM制御による輝度変化を目に感じる姿で与えることができる。
【0211】
具体的には、制御データテーブル初期値に基づいて発光させた発光部の光センサによる実測データとフィラメントの実測データとの差を求め、この差により前記制御データテーブル初期値を補正して求めた制御データテーブルを記憶するようにする。
【0212】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答して発光部を定電圧制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のためデューティーサイクルが小さいときのパルスの鈍りの影響を補正した制御データテーブルを記憶する記憶部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。
【0213】
これによって、定電流制御におけるデューティーサイクルが小さいときのパルスの鈍りによる不自然な輝度変化を防止できる。これは特に発光立下りの末尾におけるパルスの鈍りの影響による発光部の輝度低下の補正に有用である。
【0214】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答して発光部を制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のため発光立上り制御用の第1の制御データテーブルと発光立下り制御用の第2の制御データテーブルそれぞれを記憶する記憶部と、これら第1と第2の制御データテーブルのいずれかによってデューティーサイクルを変化させている途中において、等しいデューティーサイクルにて他方の制御データテーブルによる制御への切換えを行わせる制御部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。これによって、デューティーサイクルに飛びが生じないようにしながら発光立上げと発光立下げとの間の乗り換えが可能となる。
【0215】
この特徴を、発光立上り制御途中において発光立下り制御への切換を行わせる際に適用すれば、任意の時点で発光を停止させることができる。これは、特に、車両のウインカーを制御する際において任意の時点でウインカー点滅を自然に停止させる上で有用である。
【0216】
一方、上記特徴を発光立下り制御途中において発光立上り制御への切換を行わせる際に適用すれば、例えば車両のウインカーを制御において前の発光が消え残っている状態で次の発光を立ち上げるようなウインカー点滅を実現できる。
【0217】
本発明の他の特徴によれば、点灯または消灯のタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答して発光部を制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のため制御データテーブルを記憶する記憶部と、制御データテーブルにより制御されるデューティーサイクルが所定値に達したときPWM信号発生部にその所定値にてPWM制御を継続させる制御部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。
【0218】
例えば、この所定値は発光立上げが完了した最高デューティーサイクルである。また、別の例では、この所定値は発光の立下り末尾に対応するデューティーサイクルである。この場合は、発光立上がり末尾のデューティーサイクル制御を簡易化することができる。また、さらに別の例では、スモールランプ兼ブレーキランプ発光部を制御する際において、所定値はスモールランプ点灯用デューティーサイクルである。これはスモールランプ点灯中においてブレーキを開放したときの制御に該当する。
【0219】
本発明の他の特徴によれば、車両のスモールランプの点灯または消灯のタイミング信号を入力する第1の入力部と、車両のブレーキの踏込みまたは開放のタイミング信号を入力する第2の入力部と、第1の入力部の信号に基づきスモールランプ点灯用デューティーサイクルのパルス信号を発生するとともにタイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答してスモールランプ兼ブレーキランプ発光部を制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクル制御のためスモールランプ点灯状態において第2の入力部のタイミング信号に基づいてスモールランプ点灯用デューティーサイクルと最高デューティーサイクルとの間でデューティーサイクルを変化させる制御データテーブル並びにスモールランプ消灯状態において第2の入力部のタイミング信号に基づいて最低デューティーサイクルと最高デューティーサイクルとの間でデューティーサイクルを変化させる制御データテーブルを記憶する記憶部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。これによってスモールランプとブレーキランプを兼用した発光部においてスモールランプの点灯の有無にかかわらず、ブレーキランプの自然な点滅が可能となる。
【0220】
また、具体的には、スモールランプ点灯用デューティーサイクルと最高デューティーサイクルとの間でデューティーサイクルを変化させる時間と、最低デューティーサイクルと前記最高デューティーサイクルとの間でデューティーサイクルを変化させる時間とを等しくするとダブルコイルタイプのバルブランプによるスモールランプ兼ブレーキランプ発光部の発光を模すことができる。
【0221】
本発明の他の特徴によれば、車両のウインカーを点滅させるタイミング信号を入力する入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、前記PWM信号発生部のパルス信号に応答してウインカーを制御する発光制御部と、PWM信号発生部によるデューティーサイクルの変化がない状態において以後ウインカーの点滅を継続するかどうか決定する制御部とを有する光源の点灯または消灯制御装置が提供される。これによってウインカー点滅が突然断ち切られることがなくなる。
【0222】
本発明の他の特徴によれば、車両のウインカーを点滅させるためのタイミング信号の入力部と、タイミング信号の立上りまたは立下りに応答してフィラメントの点灯または消灯における発光の立上りまたは立下りを模してデューティーサイクルが変化するパルス信号を発生するPWM信号発生部と、PWM信号発生部のパルス信号に応答してウインカーを制御する発光制御部と、PWM信号発生部による発光立下り制御途中において入力部に入力されるタイミング信号に応答して発光立上り制御への切換を行うことによりウインカーの点滅をおこなわせることを特徴とする光源の点灯または消灯制御装置が提供される。これによって前の発光が消え残っている状態で次の発光を立ち上げるようなウインカー点滅を実現できる。