特許第5768162号(P5768162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5768162
(24)【登録日】2015年6月26日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/12 20060101AFI20150806BHJP
   B01D 9/02 20060101ALI20150806BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   B01F7/12
   B01D9/02 603B
   B01D9/02 602B
   B01D9/02 602E
   B01D9/02 605
   B01D9/02 608B
   B01D9/02 611A
   B01D9/02 622
   B01F15/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-94517(P2014-94517)
(22)【出願日】2014年5月1日
【審査請求日】2014年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152136
【氏名又は名称】株式会社徳寿工作所
(74)【代理人】
【識別番号】100171354
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 隆
(72)【発明者】
【氏名】滝山 博志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 泰三
(72)【発明者】
【氏名】坪内 稔
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−045671(JP,A)
【文献】 特開平11−197479(JP,A)
【文献】 特開2005−329282(JP,A)
【文献】 特開平04−290531(JP,A)
【文献】 特開平06−262050(JP,A)
【文献】 特開2005−205136(JP,A)
【文献】 特開2003−047870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/12
B01D 9/02
B01F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定結晶形の晶析を可能とする装置としてテイラーの流れ(Tayiorsfiow)を応用した内筒回転型の撹拌混合機において、
水平同軸の中心軸C上に配置された固定中空外筒18と回転可能な内筒ローター12間の間隙が形成する反応槽19を有する攪拌混合部10を水平に設置した状態で、
該攪拌混合部10の内筒ローター12用の駆動モーター6側を片持ち構造支持部15にて架台3に取付け、
該攪拌混合部10の内筒ローター12は前記片持ち構造支持部15の他端で軸受部8a、8bのない側に突出した円錐形状先端部20を有し、
該円錐形状先端部20を有した内筒ローター12の外筒部を形成する前記固定中空外筒18には内筒ローター12の円錐形状先端部20を覆うフロントカバー21を設置し、
該フロントカバー21の中心軸C上には前記反応槽19内に晶析材料溶液を注入するメインの注入口24aを設置し、
該メインの注入口24aは前記内筒ローター12の円錐形状先端部20の円錐形状頂点部31に対向して設けられており、
該内筒ローター12の円錐形状頂点部31に前記フロントカバー21のメインの注入口24aから晶析材料溶液23aを注入して円錐形状先端部20にて注入渦流を形成し、
その後前記晶析材料溶液23aの注入渦流は反応槽19内を内筒ローター12用の駆動モーター6側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、
該晶析化が促進された晶析材料溶液23aは反応槽19内の端部に設けられた回転側壁面25で該回転側壁面25の際に設けられた晶析材料抽出口26を介して晶析物スラリー27として抽出されることを特徴とする水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機。
【請求項2】
前記内筒ローター12の円錐形状先端部20を覆いその内筒ローター12の先端外筒部を形成するために固定中空外筒18の先端部に設置されたフロントカバー21は内筒ローター12の外筒部先端部側に着脱自在に装着され、
前記固定中空外筒18と内筒ローター12間の間隙が形成する反応槽19が形成する攪拌混合部10のクリーニングは前記フロントカバー21を取外して行うことを特徴とする請求項1に記載された水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機。
【請求項3】
前記反応槽19を形成する内筒ローター12はフロントカバー21を取り外した後に内筒ローター12の回転軸芯部内に設けられた回転軸噛合機構部32より取外し可能となし、
前記フロントカバー21、固定中空外筒18及び内筒ローター12に分けて個々にクリーニングを行えることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医薬品製造分野や電子材料製造分野において、良好な特定結晶形の晶析を可能とする水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機に関するものである。
【0002】
また、本発明において改良された内筒回転型の攪拌混合機は、例えば医薬原薬や電子材料の特定結晶形製品の晶析物スラリーを高い効率で歩留り良く製造することができる水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
特定結晶形の晶析を可能とする装置としてテイラーの流れ(Taylors−flow)を応用した内筒回転型の攪拌混合機がある。内筒回転型の攪拌混合機は、同軸上に固定された中空外筒とその外筒内壁と一定な間隔を保ちつつ回転する内筒ローターを設け、その長い同心の二つの円筒の間に液体を注入しながら、内筒ローターを回転させ注入溶液の溶解度の温度依存性を利用して冷却または加熱により液体から目的成分を連続的に晶析(結晶化)して、化学的に分離操作をする装置である。
【0004】
斯くして、本発明に係る連続式晶析装置の具体的な従来例として、特表2013−539176号公報(以下、特許文献1と称する)がある。
特許文献1記載された装置の構成は、内部に反応チャンバー(11)を有する非回転体としてのシリンダー(10)と、前記シリンダー(10)の一方の側に配設される攪拌モーター(20)と、前記攪拌モーター(20)のモーター軸(21)と結合されたままで、前記反応チャンバー(11)の内部に内蔵されるが、前記反応チャンバー(11)の壁面から離れて内蔵される攪拌棒(30)とを有する連続式反応器であって、
1)前記シリンダー(10)の一方側に形成されたフランジ部(12)と、
2)前記フランジ部の上に反応チャンバー(11)と連通するように形成されて反応物が注入される1以上の反応物注入ポート(13)と、
3)前記シリンダー(10)の他方の側に反応チャンバー(11)と連通するように形成されて反応結果物が排出される反応結果物排出ポート(14)と、
4)前記シリンダー(10)の反応物注入ポート(13)と反応結果物排出ポート(14)との間に反応チャンバー(11)と連通するように形成される多数の余剰のポート(15)と、
5)前記シリンダー(10)の外周面と内周面との間に配置される温度調節部(40)と、
6)前記反応物注入ポート(13)の流路の上に設けられて反応物注入ポートを介して吸入される反応物の粒子を粉砕する粒子粉砕部(50)と、
7)前記反応物注入ポート(13)と、反応結果物排出ポート(14)及び余剰のポート(15)のうちの少なくともいずれかに設けられて反応物の流量を感知する流量感知センサー(60)と、
8)前記流量感知センサー(60)によって帰還された流量感知データーによって反応物注入ポート(13)を介して流入する反応物の流量を制御する流量制御部(70)と、
を備えるが、
9)前記温度調節部(40)は、環状の冷媒チャンバー(41)と、前記冷媒チャンバーの内部に充填される冷媒(42)とを有すること、
を特徴とするリチウム二次電池の正極活物質製造用オールインワンタイプ連続式反応器。
と云うものである(この記載は、特許文献1の請求項1を引用し、発明の構成を箇条書きにまとめたものである。符号は、引用文献1の図1乃至図4参照。)。
【0005】
而して、特許文献1の発明は、従来装置の発明、即ち、特開2011−83768号公報(以下、特許文献2と称する)と同様な連続式晶析装置を提供するものであるが、特許文献1の発明は、上記温度調節部5)と、粒径調節部6)、及び流量制御部7)とが一体化された電子材料の特定結晶形製品を得るための一連の作業を単一の反応装置において行うことのできる連続式反応器及びこれを備える結晶分離装置を提供するというものである。
【0006】
そして、上記特許文献1の発明においては、温度調節部5)と、粒径調節部6)、及び流量制御部7)を有する連続反応器において、反応結果物排出ポート(14)を介して排出される反応済スリラー状の物質から正極活物質、及びろ液を分離するための遠心分離器または脱水器等の正極活物質分離器(300)を設けたり、該正極活物質分離器(300)に連結され正極活物質を乾燥するための乾燥器(400)を備えたり、また、前記乾燥器(400)に連設されて乾燥された正極活物質の粒度分布及び大きさを分析する粒度分析器を備えたオールインワンタイプの連続式反応器およびこれを備える結晶分離装置に関する発明を開示している。
【0007】
然しながら、上記特許文献1及び特許文献2の発明に用いられている従来の内筒回転型の攪拌混合器では、複雑な反応装置で在るが故に、安定した性能有し、良好な特定結晶形の晶析を可能とする使い易い内筒回転型の攪拌混合機ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2013−539176号公報
【特許文献2】特開2011−83768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、従来装置に比較して安定した注入渦流を反応槽内に形成可能であり、晶析材料の析出に際して安定した連続晶析作用を得ることの可能な内筒回転型の攪拌混合器を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、固定中空外筒と内筒ローターが形成する反応槽の形状を改良して反応槽内に晶析液溜まり部をなくすことにより、常に一定の滞留時間の反応を可能に構成して、連続的に同品質の晶析物スラリーが得られる内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0011】
更に、本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、装置の回転支持機構や、内筒ローターの形状や内筒ローターのフロントカバーの設置等に新規機構を採用することにより、攪拌混合部を形成する固定中空外筒と内筒ローター及び反応槽のクリーニングが容易に行える内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、同軸の中心軸上に配置された固定中空外筒と回転可能な内筒ローター間の間隙が形成した反応槽を有する攪拌混合部を水平に設置した状態で、該攪拌混合部の内筒ローター用の駆動モーター側を片持ち構造にて架台に取付け、該攪拌混合部の内筒ローターは前記片持ち構造の他端で軸受機構のない側に突出した円錐形状先端部を有し、該円錐形状先端部を有した内筒ローターの外筒部を形成する前記固定中空外筒には内筒ローターの円錐形状先端部を覆うフロントカバーを設置し、該フロントカバーの中心軸上には前記反応槽内に晶析材料溶液を注入するメインの注入口を設置して、該メインの注入口は前記内筒ローターの円錐形状先端部の円錐形状頂点部に対向して設けられており、該内筒ローターの円錐形状頂点部に前記フロントカバーのメインの注入口から晶析材料溶液を注入して注入渦流を形成され、その後、前記晶析材料溶液は前記反応槽内に連続して注入移動される水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0013】
また、本発明において、前記晶析材料溶液は、内筒ローターの円錐形状頂点部にフロントカバーのメインの注入口から晶析材料溶液を注入されて注入渦流を形成され、その後、前記晶析材料溶液の注入渦流は反応槽内を内筒ローター用の駆動モーター側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液は反応槽内の端部に設けられた回転側壁面で該回転側壁面の際に設けられた晶析材料抽出口を介して晶析溜まりがなく抽出される水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0014】
更に、本発明において、前記内筒ローターの円錐形状先端部を覆いその内筒ローターの先端外筒部を形成するための固定中空外筒の先端部に設置されたフロントカバーは、内筒ローターの外筒部先端に着脱自在に装着され、前記攪拌混合部を形成する固定中空外筒の内部と内筒ローター及び反応槽のクリーニングは前記フロントカバーを取外して行う水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0015】
そして、本発明における前記攪拌混合部を形成する内筒ローターは、フロントカバーを取り外した後に内筒ローターの回転軸部内に設けられた回転軸噛合機構部において、前記内筒ローターを回転軸より取外し該内筒ローターを固定中空外筒より外部に取出すことが可能で、前記フロントカバー、固定中空外筒及び内筒ローターに分けて個々にクリーニングを行える水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、固定中空外筒と回転可能な内筒ローター間の間隙が形成する反応槽を有する攪拌混合部を駆動モーター側で片持ち構造にて架台に取付けることにより、内筒ローター及び反応槽への晶析材料溶液のメインの注入口は、片持ち構造の他端で軸受機構のない側に設置することができるので、前記晶析材料溶液のメインの注入口に対向した位置に内筒ローターの円錐形状先端部を構成して、この円錐形状先端部の頂点部に晶析試料溶液を注入することが可能であり、内筒ローターの円錐形状先端部において注入渦流を形成することができ、晶析物スラリーの抽出に際して安定した連続晶析反応を効率よく得ることができるものである。
【0017】
また、本発明において、晶析材料溶液は、内筒ローターの円錐形状頂点部にフロントカバーの溶液注入口から晶析材料溶液を注入されることで注入渦流を形成され、その後、晶析材料溶液の注入渦流は反応槽内を内筒ローター用の駆動モーター側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液は反応槽内の端部に設けられた回転側壁面で該回転側壁面の際に設けられた晶析材料抽出口を介して晶析溜まりがなく抽出されることにより、常に一定の滞留時間の反応装置となり、晶析材料の抽出に際して連続的に同品質の晶析物スラリーが得られる内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0018】
更に、本発明は、内筒ローターの円錐形状先端部を覆い、該内筒ローターの先端外筒部を形成するために固定中空外筒の先端部に設置されたフロントカバーは内筒ローターの外筒部先端に着脱自在に装着された構成を有し、また、前記内筒ローターはフロントカバーを取り外した後に内筒ローターの回転軸芯部内に設けられた回転軸噛合機構部より取外し可能に構成することにより、フロントカバーや固定中空外筒及び内筒ローター、そして反応槽のクリーニングを容易に行える装置を提供することが可能となり、各ロット毎の清掃効率が極めて良い、内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の内筒回転型の攪拌混合機を説明する要部断面図である。
図2】本発明における晶析作用の動作説明図である。
図3】本発明のクリーニング動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、従来装置に比較して安定した注入渦流を反応槽内に形成可能であり、晶析材料、即ち、晶析物スラリーの析出に際して安定した連続晶析作用を得ることの可能な内筒回転型の攪拌混合器を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、内筒ローターの先端部の形状や固定中空外筒と内筒ローターが形成する反応槽の形状を改良して反応槽内に安定した注入渦流を送り込むことができ、また、反応槽の抽出口近傍には、晶析液溜まり部をなくす機構を採用することにより、常に一定の滞留時間の反応を反応槽内で可能に構成して、連続的に同品質の晶析物スラリーが得られる内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0022】
更に、本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、装置の回転支持機構に片持ち構造の軸受機構を採用し、該片持ち機構の他端で軸受機構のない側を装置先端部とすると、その先端部には内筒ローターのフロントカバーを設置して、該フロントカバーの中心部に晶析材料溶液のメインの注入口を設置可能の構成した新規機構を採用しており、この構成により、前記内筒ローターの先端部に設けた円錐形状先端部にメインの注入口より晶析材料溶液を注入して安定した注入渦流を反応槽内に形成可能となる他、前記フロントカバーは装置の運転停止時に固定中空外筒より取外すことにより、攪拌混合部を形成する固定中空外筒と内筒ローター及び反応槽のクリーニングが容易に行える内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0023】
斯くして、本発明は、同軸の中心軸上に配置された固定中空外筒と回転可能な内筒ローター間の間隙が形成した反応槽を有する攪拌混合部を水平に設置した状態で、該攪拌混合部の内筒ローター用の駆動モーター側を片持ち構造にて架台に取付け、該攪拌混合部の内筒ローターは前記片持ち構造の他端で軸受機構のない側に突出した円錐形状先端部を有し、該円錐形状先端部を有した内筒ローターの外筒部を形成する前記固定中空外筒には内筒ローターの円錐形状先端部を覆うフロントカバーを設置し、該フロントカバーの中心軸上には前記反応槽内に晶析材料溶液を注入するメインの注入口を設置して、該メインの注入口は前記内筒ローターの円錐形状先端部の円錐形状頂点部に対向して設けられており、該内筒ローターの円錐形状頂点部に前記フロントカバーのメインの注入口から晶析材料溶液を注入して注入渦流を形成され、その後、前記晶析材料溶液は前記反応槽内に連続して注入移動する内筒回転型の攪拌混合機であることが好ましい。
【0024】
また、本発明において、前記晶析材料溶液は、内筒ローターの円錐形状頂点部にフロントカバーのメインの注入口から晶析材料溶液を注入されて注入渦流を形成され、その後、前記晶析材料溶液の注入渦流は反応槽内を内筒ローター用の駆動モーター側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液は反応槽内の端部に設けられた回転側壁面で該回転側壁面の際に設けられた晶析材料抽出口を介して晶析溜まりがなく抽出される構成であることが好ましい。
【0025】
更に、本発明において、前記内筒ローターの円錐形状先端部を覆いその内筒ローターの先端外筒部を形成するための固定中空外筒の先端部に設置されたフロントカバーは、内筒ローターの外筒部先端に着脱自在に装着され、前記攪拌混合部を形成する固定中空外筒の内部と内筒ローター及び反応槽のクリーニングは前記フロントカバーを取外して行う構成であることが好ましい。
【0026】
そして、本発明における前記攪拌混合部を形成する内筒ローターは、フロントカバーを取り外した後に内筒ローターの回転軸部内に設けられた回転軸噛合機構部において、前記内筒ローターを回転軸より取外し該内筒ローターを固定中空外筒より外部に取出すことが可能で、前記フロントカバー、固定中空外筒及び内筒ローターに分けて個々にクリーニングを行える内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0027】
而して、本発明は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、固定中空外筒と回転可能な内筒ローター間の間隙が形成する反応槽を有する攪拌混合部を駆動モーター側で片持ち構造にて架台に取付けることにより、内筒ローター及び反応槽への晶析材料溶液のメインの注入口は、片持ち構造の他端で軸受機構のない側に設置することができるので、前記晶析材料溶液のメインの注入口に対向した位置に内筒ローターの円錐形状先端部を構成して、この円錐形状先端部の頂点部に晶析試料溶液を注入することが可能であり、内筒ローターの円錐形状先端部において注入渦流を形成することができ、晶析物スラリーの抽出に際して安定した連続晶析反応を効率よく得ることができるものである。
【0028】
また、本発明において、晶析材料溶液は、内筒ローターの円錐形状頂点部にフロントカバーの溶液注入口から晶析材料溶液を注入されることで注入渦流を形成され、その後、晶析材料溶液の注入渦流は反応槽内を内筒ローター用の駆動モーター側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液は反応槽内の端部に設けられた回転側壁面で該回転側壁面の際に設けられた晶析材料抽出口を介して晶析溜まりがなく抽出されることにより、常に一定の滞留時間の反応装置となり、晶析材料の抽出に際して連続的に同品質の晶析物スラリーが得られる内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【0029】
更に、本発明は、内筒ローターの円錐形状先端部を覆い、該内筒ローターの先端外筒部を形成するために固定中空外筒の先端部に設置されたフロントカバーは内筒ローターの外筒部先端に着脱自在に装着された構成を有し、また、前記内筒ローターはフロントカバーを取り外した後に内筒ローターの回転軸芯部内に設けられた回転軸噛合機構部より取外し可能に構成することにより、フロントカバーや固定中空外筒及び内筒ローター、そして反応槽のクリーニングを容易に行える装置を提供することが可能となり、各ロット毎の清掃効率が極めて良い、内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1を説明する要部断面図である。図1において、1は装置の載置台、載置台1上には水平及び高さ調整可能な基板2が設置され、基板2上には装置の架台3及び駆動装置や制御装置を内蔵した筐体4が設置されており、前記架台3にはフランジ部5を介して駆動モーター6が設置され、その駆動モーター6の回転は、伝動回転軸7及び軸受部8a、8bにより片持ち構造に支持された回転軸9に連繋されていて、その先端部で攪拌混合部10内に設けられた回転側壁板11及び内筒ローター12に駆動モーター6の回転を伝達可能に構成されている。
【0031】
尚、前記筐体4の駆動モーター6近辺には駆動モーター用の熱放出用開口13a、13b、13c・・・が設けられており、また、14a、14bは前記フランジ部5に固定された回転軸カバー筒材で、該回転軸カバー筒材14bは、前記回転軸9の軸受部8a、8bを内蔵して片持ち構造支持部15を有しており、該片持ち構造支持部15にエアシール機構16を設置することにより、攪拌混合部10と片持ち構造支持部15間の密閉を図っている。
【0032】
而して、前記攪拌混合部10を形成する部材は、前記回転軸カバー筒材14bにボルト17a、17b、17c・・・等にて固定された固定中空外筒18と、該固定中空外筒18内に挿着され、反応槽19の間隙部を構成する前記回転可能な内筒ローター12、及び内筒ローター12に一体化され先端部で片持ち構造の他端側、即ち、軸受部8a、8bのない側に突出した円錐形状先端部20、前記内筒ローター12の先端部に設けられた円錐形状先端部20を覆う部材となるフロントカバー21からなり、該フロントカバー21は、前記固定中空外筒18の先端部に取付ボルト22a、22b、22c・・・にて着脱自在に固設されている。
【0033】
また、上記攪拌混合部10は、同軸の中心軸C上に配置された固定中空外筒18と回転可能な内筒ローター12間の間隙が形成した反応槽19を有する攪拌混合部10を水平に設置した状態で、前記フロントカバー21を設置し、該フロントカバー21の中心軸C上には反応槽19内に晶析材料溶液23aを注入するメインの注入口24aを設置すると共に、前記固定中空外筒18には、サブの注入口24bを設けて晶析材料溶液23bを反応槽19内に導入可能にしている。
【0034】
更に、前記固定中空外筒18には、反応槽19の端部おいて、前記回転側壁板11の回転側壁面25の際に晶析材料抽出口26が設けられており、該晶析材料抽出口26は、前記回転側壁板11の回転側壁面25の際に穿たれていることにより、所謂、晶析溜まりがなく効率良く晶析物スラリー27を抽出される構成を有している。
尚、28は固定中空外筒18に設けられた温水や冷媒の導入口、29は固定中空外筒18に設けられた温水や冷媒の排出口であり、前記温水や冷媒の導入口28により導入される温水もしくは冷媒は固定中空外筒18に設けられたチャンバー30に入り固定中空外筒18の内壁が形成する反応槽19内を加温もしくは冷却して、反応槽19内の晶析材料の結晶化を促進する構成を有している。
【0035】
斯くして、図2は、本発明における晶析作用の動作を説明する概略図である。図2において、10は攪拌混合部、11は回転側壁板、9は回転軸、12は内筒ローター、18は固定中空外筒、19は反応槽、20は反応槽19の先端部に構成された円錐形状先端部で、該円錐形状先端部20は前記固定中空外筒18に着脱可能に固設されたフロントカバー21を示している。
【0036】
また、同軸の中心軸C上に配置された固定中空外筒18と回転可能な内筒ローター12間の間隙が形成した反応槽19を有する攪拌混合部10を水平に設置した状態で、前記フロントカバー21を設置し、該フロントカバー21の中心軸C上には反応槽19内に晶析材料溶液23aを注入するメインの注入口24aを設置すると共に、前記固定中空外筒18には、サブの注入口24bを設けて晶析材料溶液23bを反応槽19内に導入可能にしており、前記固定中空外筒18には、反応槽19の端部おいて、回転側壁板11の回転側壁面25の際に晶析材料抽出口26が設けられており、該晶析材料抽出口26は、前記回転側壁板11の回転側壁面25の際に穿たれていることにより、晶析溜まりがなく効率良く晶析物スラリー27を抽出される構成を有している。
【0037】
更に、メインの注入口24aより反応槽19内に注入される晶析材料溶液23aは、円錐形状先端部20の円錐形状頂点部31に向けて注入可能で、安定した注入渦流を形成でき、サブの注入口24bより混合用の晶析材料溶液23bを注入すると反応槽19内で発生した螺旋状の大きな流れと自転する周期性を持った小さな流れを発生して、連続的な晶析反応を効率よく得ることができるものである。
【0038】
而して、実施例1の構成上の特徴は、
1)内筒ローター12、及び反応槽19は片持ち構造支持部15で駆動モーター6及び制御装置(図示せず)を内蔵する架台3に取付けられている。
2)内筒ローター12、及び反応槽19は片持ち構造支持部15の他端で軸受部8a、8bのない側に突出した形状を有して設けられている。
3)内筒ローター12、及び反応槽19への晶析材料溶液23aのメインの注入口24aは、片持ち構造支持部15の他端で、フロントカバー21の中心部に設置し、フロントカバー21の中心部より、内筒ローター12の円錐形状先端部20の円錐形状頂点部31に向けて晶析材料溶液23aを注入できるように構成されている。
4)内筒ローター12、及び反応槽19の端部おいて、前記回転側壁板11の回転側壁面25の際に晶析材料抽出口26が設けられており、該晶析材料抽出口26は、前記回転側壁板11の回転側壁面25の際に穿たれている。
と云うものである。
【0039】
斯くして、本発明の実施例1は、同軸の中心軸C上に配置された固定中空外筒18と回転可能な内筒ローター12間の間隙が形成した反応槽19を有する攪拌混合部10を水平に設置した状態で、該攪拌混合部10の内筒ローター用の駆動モーター6側を片持ち構造にて架台3に取付け、該攪拌混合部10の内筒ローター12は前記片持ち構造支持部15の他端で軸受機構のない側に突出した円錐形状先端部20を有し、該円錐形状先端部20を有した内筒ローター12の外筒部を形成する前記固定中空外筒18には内筒ローター12の円錐形状先端部20を覆うフロントカバー21を設置し、該フロントカバー21の中心軸C上には前記反応槽19内に晶析材料溶液23aを注入するメインの注入口24aを設置して、該メインの注入口24aは前記内筒ローター12の円錐形状先端部20の円錐形状頂点部31に対向して設けられており、該内筒ローター12の円錐形状頂点部31に前記フロントカバー21のメインの注入口24aから晶析材料溶液23aを注入して注入渦流を形成され、その後、前記晶析材料溶液23aは前記反応槽19内に連続して注入される水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0040】
また、本発明の実施例1は、前記晶析材料溶液23aは内筒ローター12の円錐形状頂点部31にフロントカバー21のメインの注入口24aから注入されて注入渦流を形成され、その後前記晶析材料溶液23aの注入渦流は反応槽19内を内筒ローター用の駆動モーター6側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液23aは反応槽19内の端部に設けられた回転側壁板11の回転側壁面25で該回転側壁面25の際に設けられた晶析材料抽出口26を介して晶析物スラリーが抽出される水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0041】
そして、実施例1は、内筒回転型の攪拌混合機を用いた連続式晶析装置において、固定中空外筒と回転可能な内筒ローター間の間隙が形成する反応槽を有する攪拌混合部を駆動モーター側で片持ち構造にて架台に取付けることにより、内筒ローター及び反応槽への晶析材料溶液のメインの注入口は、片持ち構造の他端で軸受機構のない側に設置することができるので、前記晶析材料溶液のメインの注入口に対向した位置に内筒ローターの円錐形状先端部を構成して、この円錐形状先端部の頂点部に晶析試料溶液を注入することが可能であり、内筒ローターの円錐形状先端部において注入渦流を形成することができ、晶析物スラリーの抽出に際して安定した連続晶析反応を効率よく得ることができるものである。
【0042】
また、本発明において、晶析材料溶液は、内筒ローターの円錐形状頂点部にフロントカバーの溶液注入口から晶析材料溶液を注入されることで注入渦流を形成され、その後、晶析材料溶液の注入渦流は反応槽内を内筒ローター用の駆動モーター側へと連続して移動しながら晶析化が促進され、該晶析化が促進された晶析材料溶液は反応槽内の端部に設けられた回転側壁面で該回転側壁面の際に設けられた晶析材料抽出口を介して晶析溜まりがなく抽出されることにより、常に一定の滞留時間の反応装置となり、晶析材料の抽出に際して連続的に同品質の晶析物スラリーが得られる内筒回転型の攪拌混合機を提供するものである。
【実施例2】
【0043】
図3は、本発明の実施例2を説明する要部断面図である。図3において、図1と同一符号は同一構成要素を示し、1は装置の載置台、載置台1上には水平、及び高さ調整可能な基板2が設置され、基板2上には装置の架台3及び筐体4が設置されており、前記架台3にはフランジ部5を介して駆動モーター6が設置され、その駆動モーター6の回転は、伝動回転軸7及び軸受部8a、8bにより片持ち構造に支持された回転軸9に連繋されていて、その先端部で攪拌混合部10内に設けられた回転側壁板11及び内筒ローター12に駆動モーター6の回転を伝達可能に構成されている。
【0044】
前記攪拌混合部10を形成する部材は、前記回転軸カバー筒材14bにボルト17a、17b、17c・・・等にて固定された固定中空外筒18と、該固定中空外筒18内に挿着され、反応槽19の間隙部を構成する前記回転可能な内筒ローター12、及び内筒ローター12に一体化され先端部で片持ち構造の他端側、即ち、軸受部8a、8bのない側に突出した円錐形状先端部20、前記内筒ローター12の先端部に設けられた円錐形状先端部20を覆う部材となるフロントカバー21からなり、該フロントカバー21は、前記固定中空外筒18の先端部に取付ボルト22a、22b、22c・・・等にて着脱自在に固設されている。
【0045】
而して、本発明の実施例2は、図3に示す如く、装置の運転を停止して、前記取付ボルト22a、22b、22c・・・を取外し、フロントカバー21を前記固定中空外筒18より取外した状態を示している。
【0046】
従って、内筒ローター12の円錐形状先端部20を覆いその内筒ローター12の先端外筒部を形成するために固定中空外筒18の先端部に設置されたフロントカバー21は片持ち構造支持部15の他端側、即ち、軸受部8a、8bのない側で簡単に取外すことが可能であり、前記攪拌混合部10を形成する固定中空外筒18の内部と内筒ローター12及び反応槽19のクリーニングは簡単、且つ、容易に行うことができる水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【0047】
また、実施例2の他例として、前記攪拌混合部10を形成する内筒ローター12はフロントカバー21を取り外した後に内筒ローター12の回転軸芯部内に設けられた回転軸噛合機構部32より取外し可能に構成することにより、内筒ローター12を反応槽19より外部に取外すことができ、前記フロントカバー21、固定中空外筒18、及び内筒ローター12に分解して、個々にクリーニングを行える水平内筒回転型の晶析物スラリー抽出機を提供するものである。
【符号の説明】
【0048】
1 載置台
2 基板
3 架台
4 筐体
5 フランジ部
6 駆動モーター
7 伝動回転軸
8a、8b 軸受部
9 回転軸
10 攪拌混合部
11 回転側壁板
12 内筒ローター
13a、13b、13c・・・ 熱放出用開口
14a、14b 回転軸カバー筒材
15 片持ち構造支持部
16 エアシール機構
17a、17b、17c・・・ ボルト
18 固定中空外筒
19 反応槽
20 円錐形状先端部
21 フロントカバー
22a、22b、22c・・・ 取付ボルト
23a 晶析材料溶液
23b 晶析材料溶液
24a メインの注入口
24b サブの注入口
25 回転側壁面
26 晶析材料抽出口
27 晶析物スラリー
28 温水や冷媒の導入口
29 温水や冷媒の排出口
30 チャンバー
31 円錐形状頂点部
32 回転軸噛合機構部
C 中心軸
【要約】
【課題】従来装置に比較して安定した注入渦流を反応槽内に形成可能であり、晶析材料の析出に際し安定した連続晶析作用を得ることのできる内筒回転型の攪拌混合器を提供する。
【解決手段】攪拌混合部の内筒ローターは片持ち構造の他端で軸受機構のない側に突出した円錐形状先端部を有し、該円錐形状先端部を覆うフロントカバーの中心軸上に反応槽内に晶析材料溶液を注入するメインの注入口を設置して、内筒ローターの円錐形状頂点部にメインの注入口から晶析材料溶液を注入して注入渦流を形成できる内筒回転型の攪拌混合機。
【選択図】図2
図1
図2
図3