(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および2記載の装置においても、部品を保持する機構等が複雑になっているので、ユーザ自身が給紙ローラ等の部品を容易に着脱するができないという問題がある。
【0008】
また、給紙ローラの取り外しを容易にするために、給紙ローラに同軸状に固定されたローラシャフトを軸方向に伸縮自在にして、そのローラシャフトを装置本体側の軸受および駆動シャフト先端の連結部に容易に連結できるようにした構造が提案されている(
図14参照)。この構造では、給紙ローラを取り外す際には、ローラシャフトを縮めて、ローラシャフトの両端部をそれぞれ軸受部および連結部から軸方向に沿って離した後に、給紙ローラを装置本体へ抜き出すことができる。
【0009】
しかし、この構造では、給紙ローラを取り外すときに、ローラシャフトの両端部をそれぞれ軸受および連結部から軸方向に沿って離しておく必要があるため、ローラシャフトの位置決めが難しく、とくに、取り外し作業に慣れていない人にとっては非常に難しいという問題がある。
【0010】
また、給紙ローラを容易に取り外すことを考慮すれば、ローラシャフトの端部と軸受とが嵌合する部分の軸方向の長さ(幅)を延ばすことができないため、給紙ローラの取付け安定性を向上させることが難しいという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、搬送ローラを容易に着脱することができ、しかも、搬送ローラの取り付け安定性を向上させることが可能な搬送機構およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の搬送機構は、基部と、シートを搬送する搬送ローラ、および当該搬送ローラに同軸状に固定され軸方向に伸縮自在のローラ支持部を有し、当該ローラ支持部がその軸方向両端に第1端部および第2端部を有する搬送ローラアセンブリと、前記基部に設けられ、前記ローラ支持部の前記第1端部を回転自在かつ着脱自在に支持する軸受と、前記基部において前記軸受に対向して配置され、前記ローラ支持部の前記第2端部が着脱自在に連結された連結部と、前記軸受を、前記連結部に対向する第1位置と当該連結部に対向しない第2位置との間で旋回できるように支持する旋回軸と、前記軸受を前記第1位置から前記第2位置へ向けて付勢する付勢部材と、を備え
ており、前記第2位置は、前記第1位置に対して前記旋回軸の軸回りに上方に回転した位置であり、前記付勢部材は、前記軸受が前記第2位置にあるときに、当該軸受を当該第2位置に保持する、ことを特徴とする(請求項1)。
【0013】
上記構成によれば、搬送ローラアセンブリが基部に取り付けられた状態では、ローラ支持部の軸方向両端の第1端部および第2端部は、それぞれ、基部の軸受および連結部に支持されている。その状態から搬送ローラを取り外すときには、ローラ支持部を縮めてその第2端部を連結部から離し、ついで、ローラ支持部の第1端部が軸受に支持された状態で、搬送ローラアセンブリおよび軸受を旋回軸回りに旋回させる。これにより、ローラ支持部の両端をそれぞれ軸受および連結部から離しておく必要がなく、連結部および軸受の順に、搬送ローラアセンブリを容易に取り外すことができる。
【0014】
また、ローラ支持部の両端をそれぞれ軸受および連結部から同時に離しておく必要がないので、ローラ支持部の第1端部と軸受とが嵌合する部分の軸方向の長さを延ばすことが可能になり、搬送ローラアセンブリの取付け安定性を向上させることが可能である。
【0015】
また、かかる構成によれば、軸受は、付勢部材によって、第1位置から第2位置へ向けて付勢されているので、ローラ支持部を縮めてローラ支持部の第2端部を連結部から離脱させれば、付勢部材の付勢力によって、軸受および搬送ローラアセンブリを第1位置から第2位置へ容易に旋回させることが可能であ
る。
【0016】
さらに、上記の構成によれば、旋回軸回りに旋回可能な軸受は、第2位置にあるときには、付勢部材によって、第2位置
、すなわち、第1位置に対して旋回軸の軸回りに上方に回転した位置に保持されているので、軸受は、第1位置にあるときよりも外部から視認しやすく、連結されやすい。そのため、搬送ローラアセンブリを取り付ける際には、ローラ支持部の第1端部を軸受に容易に連結させることができる。
【0017】
前記軸受に当接して当該軸受を当該第1位置に位置決めする位置決め部材をさらに備えており、前記付勢部材は、前記軸受と前記位置決め部材との間に介在することにより、前記軸受を前記第2位置に保持することが好ましい(請求項
2)。
【0018】
かかる構成によれば、付勢部材が軸受と位置決め部材との間に介在することにより、軸受は、位置決め部材から付勢部材が介在している角度範囲だけ離間させることが可能になる。そのため、付勢部材および位置決め部材を用いて、軸受を正確に第2位置に保持することが可能になる。
【0019】
前記付勢部材は、板状の弾性体からなることが好ましい(請求項3)。
【0020】
かかる構成によれば、付勢部材が板状の弾性体からなるので、板状の弾性体の弾性力によって軸受を正確に第2位置に保持することが可能である。また、搬送ローラアセンブリを取り付けるときには、板状の弾性体をたわめながら軸受を第1位置に容易に戻すことが可能である。さらに、軸受が第1位置にあるときには、板状の弾性体は最も平坦になるので、板状の弾性体の占有スペースは小さくなる。しかも、板状の弾性体は、簡素な形状であるので、樹脂成形の際の型抜きが容易であるので、軸受とともに合成樹脂で容易に一体成形することが可能である。
【0021】
本発明に係わる画像形成装置は、上記の搬送機構と、該搬送機構によって搬送された前記シートに画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする(請求項4)。
【0022】
かかる構成によれば、上記のような搬送機構を備える画像形成装置であるので、軸受を旋回軸回りに旋回させることにより、搬送ローラアセンブリを容易に着脱することができる。しかも、ローラ支持部の第1端部と軸受とが嵌合する部分の軸方向の長さを延ばすことが可能になり、搬送ローラアセンブリの取り付け安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
上述の如く、本発明は、搬送ローラを容易に着脱することができる。また、それとともに、搬送ローラの取り付け安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパといった画像形成処理を受けるシート材料並びに画像形成処理以外の任意の処理を受ける他のシート材料を含む。以下の説明で示される「給紙機構」は、画像形成処理を施与される「シート」を搬送するために用いられるが、他の特定の実施形態において、画像形成処理以外の任意の処理(例えば、穿孔処理、折り曲げ処理、切断処理)を受けるシートを搬送するための搬送機構に用いられてもよい。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。
【0026】
図1は、給紙機構500が組み込まれた画像形成装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示される画像形成装置の内部構造を概略的に示す。
図1及び
図2に示される画像形成装置は、いわゆる胴内排紙型の複写機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。
【0027】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体2を含む。筐体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。連結筐体23は、筐体2の右縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる排出空間24に印刷処理が施与されたシートが排出される。
【0028】
上部筐体22の正面方向に突出する操作部221は、例えば、LCDタッチパネル222を含む。操作部221は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。使用者は、例えば、LCDタッチパネル222を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。上部筐体22内には、主に原稿の画像を読み取るための機器や画像形成装置1の全体の制御を司る電子回路が収容される。
【0029】
上部筐体22の上に配設される押さえカバー223は、原稿を押さえるために用いられる。押さえカバー223は、上部筐体22に上下に回動可能に取り付けられる。使用者は、押さえカバー223を上方に回動させ、上部筐体22上に原稿を載置する。その後、使用者は操作部221を操作して、原稿の画像を上部筐体22内に配設された原稿を読み取るための機器に読み取らせることができる。
【0030】
下部筐体21には、シートを収容可能に形成されたカセット211が収容される。カセット211は、下部筐体21から正面方向に引出可能である。カセット211内に収容されたシートは、操作部221を通じて使用者によって入力された指示に基づき、下部筐体21内で画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。
【0031】
下部筐体21の右面には、トレイ212が回動可能に取り付けられる。
図1に示されるように、トレイ212が下部筐体21の右方に突出する位置にあるとき、使用者はトレイ212上にシートを載置可能である。トレイ212上のシートは、操作部221を通じて使用者によって入力された指示に基づき、下部筐体21内に引き込まれた後、画像形成処理を施与され、排出空間24へ排出される。トレイ212が上方に回動されると、下部筐体21の右面に凹設された収容空間213内にトレイ212が収容され、シートを下部筐体21内に引き込むための供給口を塞ぐ。
【0032】
下部筐体21は、シートに画像を形成するための様々な機器を収容する。また、連結筐体23は、画像形成処理が施与されたシートを排出空間24へ排出するための様々な機器を収容する。
【0033】
図2は、
図1に示される画像形成装置1の内部構造を概略的に示す。
図2と併せて、
図1を参照しつつ、画像形成装置1が更に説明される。
【0034】
上部筐体22は、走査機構224を収容する。使用者は、走査機構224を通じて、所望の原稿の画像を画像形成装置1に読み取らせることができる。走査機構224上には、上部筐体22の上面に取り付けられるコンタクトガラス225が配設される。押さえカバー223は、コンタクトガラス225上に載置された原稿を押さえるために用いられる。
使用者が、操作部221を通じて、画像形成装置1を作動させると、走査機構224は、コンタクトガラス225上の原稿の画像を走査して読み取る。走査機構224によって読み取られた画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換される。画像形成装置1は、デジタル信号に基づき、シートに画像を形成する。
【0035】
下部筐体21は、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900K、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、定着ユニット97、排紙ユニット96、および給紙機構500を備える。
【0036】
画像形成部93は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kを含む。これらコンテナの下方には、YMCK各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Kがそれぞれ配設される。
【0037】
画像形成部93は、各色のトナー像を担持する感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)を含む。感光体ドラム17として、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
【0038】
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10K)、転写器(転写ローラ)19及びクリーニング装置18が配置される。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。露光ユニット94は、上述の走査機構224によって生成されたデジタル信号に基づき、レーザ光を照射する。現像装置10Y、10M、10C、10Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
【0039】
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成部93の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0040】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922及び従動ローラ923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、カセット211又はトレイ212(
図1参照)から供給されるシートに二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラ922及び従動ローラ923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
【0041】
定着ユニット97は、中間転写ユニット92から二次転写されたシート上のトナー像に対し、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の上部(連結筐体23内)に形成された排紙ユニット96へ向けて排出される。
【0042】
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送されたシートを、排紙トレイとして用いられる下部筐体21の上面214上に排出する。
【0043】
カセット211は、画像形成される複数のシートが積層されてなるシート束を収納する。カセット211は、上述の如く、下部筐体21に対して着脱可能に装着される。カセット211に設けられたピックアップローラ40が駆動することにより、カセット211内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ取り出されて給紙搬送路133へと繰り出され、画像形成部93へ導入される。
【0044】
トレイ212は、カセット211の上方に配設される。
図2に示されるトレイ212は、給紙口を閉止する閉止位置にある。トレイ212の下端部が回動軸となり、トレイ212は右方に回動され、複数のシートが積層されてなるシート束を支持可能となる。トレイ212の下端部近傍に、給紙機構500が配設される。給紙機構500は、トレイ212上に載置されたシートを一枚ずつ画像形成部93へ送り出す給紙装置としての役割を担う。給紙機構500によって下部筐体21内に送られたシートに画像形成部93は画像を形成する。給紙機構500については、以下の項目で詳細に説明する。
【0045】
(給紙機構500の説明)
図3は、下部筐体21および連結筐体23の側壁が外方に回動されることによって外部に露出される給紙機構500の概略的な斜視図である。給紙機構500は、下部筐体21とトレイ212の回動軸となる基端縁との間の領域に配設され、トレイ212にセットされた紙を下部筐体21内部の画像形成部93へ向けて送り出す。
【0046】
本実施形態の給紙機構500は、
図5〜6および
図8に示されるように、基部520と、給紙ローラアセンブリ330と、軸受341と、連結部342と、軸受341の旋回用のピン345と、位置決め部材343と、板バネ344とを備えている。
【0047】
図5〜6に示されるように、基部520は、合成樹脂製の枠体であり、給紙ローラアセンブリ330が収容される。給紙ローラアセンブリ330の軸方向の両端部(具体的には、後述するローラ支持部310の第1端部333および第2端部334)は、軸受341および連結部342によって支持されている。
【0048】
図5〜7に示されるように、給紙ローラアセンブリ330は、シートを搬送する一対の給紙ローラ335と、一対の給紙ローラ335を支持するローラ支持部310とから構成されている。
【0049】
給紙ローラ335は、略円筒形状の一対のローラからなり、シートを搬送するのに十分な摩擦力をシートの表面に生じさせる材料(例えば、ゴム)等から形成される。給紙ローラ335で搬送されるシートは、分離パッド600(
図4〜5参照)によって他のシートから分離されて、1枚ずつ送り出される。
【0050】
図6〜7に示されるように、ローラ支持部310は、給紙ローラ335と同軸状になるように給紙ローラ335に一体に固定された軸部分であり、その軸方向両端に第1端部333および第2端部334を有する。第2端部334は、筒状をしており、その内部に空間部334aを有する。
【0051】
図7に示されるローラ支持部310は、円筒状の第1シャフト部313と、当該第1シャフト部313の内部にスライド自在に取り付けられた第2シャフト部314とから構成されている。
【0052】
第1シャフト部313の空間部313bには、コイルバネ315が収容されている。コイルバネ315は、第1シャフト部313の内壁313aと第2シャフト部314に設けられた対向壁314aとの間で圧縮されている。これにより、第2シャフト部314がコイルバネ315の付勢力を受けながら第1シャフト部313を出没することにより、ローラ支持部310は、伸縮することが可能である。
【0053】
また、第1シャフト部313の外周面には、第1つば部337が設けられ、第2シャフト部314の外周面には、第2つば部338が設けられている。ユーザは、
図10〜11に示されるように、第1つば部337および第2つば部338を片手または両手で同時に掴みながら、第1つば部337を第2つば部338へ向けて矢印A方向に押すことにより、ローラ支持部310を縮める操作を行うことができる。
【0054】
さらに、
図7に示されるように、第2シャフト部314の先端から所定の距離dだけ離れた位置の外周面には、第3つば部339が設けられている。そのため、ローラ支持部310の第1端部333を軸受341に挿入したとき、第3つば部339が軸受341の前端面に当接するので、第1端部333と軸受341とが嵌合する部分の軸方向の長さd(
図7および
図9参照)を確保することができる。
【0055】
図5〜6および
図8〜9に示されるように、軸受341は、基部520に設けられ、ローラ支持部310の第1端部333を回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0056】
具体的には、軸受341は、
図8〜9に示されるように、本体部分341aと、支持部分341bと、連結部分341cとから構成され、これらの部分が合成樹脂により一体形成されている。本体部分341aは、円筒形状をしており、その内部にローラ支持部310の第1端部333が挿入されることにより、当該第1端部333を回転自在に支持する。第1端部333と本体部分341aとの嵌め合いは、第1端部333が回転自在かつ着脱自在に本体部分341aに支持される程度であればよい。支持部分341bは、本体部分341aの前端部分につながっている部分である。連結部分341cは、上方に突出する一対の突起であり、支持部分341bの上端につながっている。
【0057】
図5および
図10〜11に示されるように、連結部342は、図示しないモータによって回転駆動される駆動シャフト300の先端に設けられた部分である。連結部342は、基部520において軸受341に対向して配置されている。連結部342は、ローラ支持部310の第2端部334が連結される。具体的には、連結部342は、第2端部334の空間部334a(
図7参照)の内部に挿入されることにより、当該第2端部334が着脱自在に連結される。なお、第2端部334の内周面および連結部342の外周面には、凹凸が設けられているので、連結部342から第2端部334へ回転駆動力を円滑に伝達させることが可能である。
【0058】
図8〜9に示されるように、ピン345は、軸受341を、連結部342に対向する第1位置I(
図10〜11参照)と当該連結部342に対向しない第2位置II(
図12〜13参照)との間で旋回できるように支持する旋回軸である。また、位置決め部材343は、軸受341に当接して当該軸受341を当該第1位置I(
図10〜11参照)に位置決めする部材である。
すなわち、図12〜13に示される第2位置IIは、図10〜11に示される第1位置Iに対してピン345(旋回軸)の軸回りに上方に回転した位置である。
【0059】
本実施形態の位置決め部材343は、
図8〜9に示されるように、金属薄板などからなる部材であり、基部520に固定され、または基部520と一体に形成されている。位置決め部材343は、軸受341およびローラ支持部310の第1端部333が挿入可能な貫通孔343aを有する。また、位置決め部材343の上部には、上方に突出する一対の連結部分343bが設けられている。位置決め部材343の一対の連結部分343bと軸受341の一対の連結部分341cとがそれぞれ隣接した状態で、ピン345によって互いに回転自在に連結される。これにより、軸受341は、
図10〜11に示されるように位置決め部材343に当接した状態では、第1位置Iに位置決めされる。また、軸受341は、ピン345の回転中心S回りに旋回することにより、第1位置Iと第2位置IIとの間で旋回することが可能である。
【0060】
板バネ344は、
図8〜9に示されるように、軸受341を第1位置Iから前記第2位置IIへ向けて付勢する付勢部材であり、合成樹脂製の板状の弾性体からなる。板バネ344の根元部分344bは、軸受341の支持部分341bに連結されている。板バネ344の中間部分は、当該支持部分341bから所定の開き角度に沿って位置決め部材343側に延びている。板バネ344の先端部分344aは、位置決め部材343の前面に当接している。板バネ344は、軸受341とともに合成樹脂により一体形成されるが、本発明は板状の弾性体であればよく、その材質や形状については特に限定するものではない。
【0061】
上記のように構成された給紙機構500では、一対の給紙ローラ335がトレイ212上に載置されたシートの先頭縁に当接した状態で、駆動シャフト300がギアカバー519(
図5参照)内部のギアなどを介して駆動源からの駆動力を受けることにより、駆動シャフト300の先端の連結部342を介して給紙ローラアセンブリ330を回転駆動させることが可能である。このとき、給紙ローラ335の回転力によって、シートを下部筐体21内へ送り込むことが可能である。
【0062】
また、この給紙機構500では、給紙ローラアセンブリ330を取り外す場合には、
図5〜6に示されるようなローラ支持部310の両端の第1端部333および第2端部334がそれぞれ基部520の軸受341および連結部342に支持されている状態から、まず、
図10〜11に示されるように、第1つば部337を矢印A方向に移動させる操作をすることにより、ローラ支持部310を縮めてその第2端部334を連結部342から離す。ついで、
図12〜13に示されるように、ローラ支持部310の第1端部333が軸受341に支持された状態で、給紙ローラアセンブリ330および軸受341をピン345回りに旋回させ、その後、給紙ローラアセンブリ330を矢印B方向へ引き抜いて第1端部333を軸受341から取り外すことにより、給紙ローラアセンブリ330を基部520から完全に取り外すことができる。このように、連結部342および軸受341の順に、給紙ローラアセンブリ330を容易に取り外すことができる。
【0063】
また、軸受341は、板バネ344によって、第1位置Iから第2位置IIへ向けて付勢されているので、ローラ支持部310を縮めてローラ支持部310の第2端部334を連結部342から離脱させれば、板バネ344の付勢力によって、軸受341および給紙ローラアセンブリ330を第1位置Iから第2位置IIへ容易に旋回させることが可能である。
【0064】
しかも、
図8〜9および
図12〜13に示されるように、軸受341が第2位置IIにあるときには、板バネ344が軸受341と位置決め部材343との間に介在して軸受341を第2位置IIに保持しているので、軸受341を外部から視認しやすく、給紙ローラアセンブリ330の取付けを容易に行うことが可能である。
【0065】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の給紙機構500では、給紙ローラアセンブリ330が基部520に取り付けられた状態では、ローラ支持部310の軸方向両端の第1端部333および第2端部334は、それぞれ、基部520の軸受341および連結部342に支持されている。その状態から給紙ローラ335を取り外すときには、ローラ支持部310を縮めてその第2端部334を連結部342から離し、ついで、ローラ支持部310の第1端部333が軸受341に支持された状態で、給紙ローラアセンブリ330および軸受341をピン345回りに旋回させればよい。これにより、ローラ支持部310の両端をそれぞれ軸受341および連結部342から離しておく必要がなく、連結部342および軸受341の順に、給紙ローラアセンブリ330を容易に取り外すことができる。
【0066】
一方、本発明の比較例として、
図14に示される軸受741が旋回しない従来の構造を見た場合、給紙ローラアセンブリ330を取り外すときには、ローラ支持部310を縮めてローラ支持部310の両端をそれぞれ軸受741および連結部742から同時に離して隙間g1、g2を確保した状態で給紙ローラアセンブリ330を取り外す必要があり、給紙ローラアセンブリ330を容易に取り外すことが難しいことがわかる。
【0067】
また、本実施形態の給紙機構500では、上記従来の構造のように、ローラ支持部310を縮めてローラ支持部310の両端をそれぞれ軸受341および連結部342から同時に離して隙間を確保した状態で給紙ローラアセンブリ330を取り外す必要がないので、ローラ支持部310の第1端部333と軸受341とが嵌合する部分の軸方向の長さd(
図7および
図9参照)を延ばすことが可能になり、給紙ローラアセンブリ330の取付け安定性を向上させることが可能である。しかも、ローラ支持部310の第1端部333と軸受341との接触面積も広くすることができるので、ローラ支持部310と軸受341との接触部分の磨耗を低減することができる。
【0068】
(2)
また、本実施形態の給紙機構500では、軸受341は、板バネ344によって、第1位置Iから第2位置IIへ向けて付勢されているので、ローラ支持部310を縮めてローラ支持部310の第2端部334を連結部342から離脱させれば、板バネ344の付勢力によって、軸受341および給紙ローラアセンブリ330を第1位置Iから第2位置IIへ容易に旋回させることが可能である。
【0069】
(3)
また、本実施形態の給紙機構500では、ピン345回りに旋回可能な軸受341は、第2位置IIにあるときには、板バネ344によって、第2位置II
、すなわち、第1位置Iに対してピン345(旋回軸)の軸回りに上方に回転した位置に保持されているので、軸受341は、第1位置Iにあるときよりも外部から視認しやすく、連結されやすい。そのため、給紙ローラアセンブリ330を取り付ける際には、ローラ支持部310の第1端部333を軸受341に容易に連結させることができる。
【0070】
(4)
また、本実施形態の給紙機構500では、板バネ344が軸受341と位置決め部材343との間に介在することにより、軸受341は、位置決め部材343から板バネ344が介在している角度範囲だけ離間させることが可能になる。そのため、板バネ344および位置決め部材343を用いて、軸受341を正確に第2位置IIに保持することが可能になる。
【0071】
(5)
さらに、本実施形態の給紙機構500では、付勢部材として板バネ344が用いられているので、板バネ344の弾性力によって軸受341を位置決め部材343から離間させることにより、軸受341を正確に第2位置IIに保持することが可能である。また、給紙ローラアセンブリ330を取り付けるときには、板バネ344をたわめながら軸受341を第1位置Iに容易に戻すことが可能である。さらに、軸受341が第1位置Iにあるときには、板バネ344は最も平坦になるので、板バネ344の占有スペースは小さくなる。しかも、板バネ344は、簡素な形状であるので、樹脂成形の際の型抜きが容易であるので、軸受341とともに合成樹脂で容易に一体成形される。
【0072】
なお、板バネ344の先端部分344aを位置決め部材343に当接させる代わりに、基部520の内壁など他の部分に当接させてもよい。
【0073】
(6)
本実施形態の画像形成装置1では、給紙機構500では、上記のような給紙機構500を備えているので、軸受341をピン345回りに旋回させることにより、給紙ローラアセンブリ330を容易に着脱することができる。しかも、ローラ支持部310の第1端部333と軸受341とが嵌合する部分の軸方向の長さを延ばすことが可能になり、給紙ローラアセンブリ330の取り付け安定性を向上させることができる。
【0074】
(変形例)
(A)
また、上記実施形態では、付勢部材である板バネ344が軸受341と位置決め部材343との間に介在する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、付勢部材を軸受341と位置決め部材343との間に挟まれた空間以外の場所に配置してもよい。
【0075】
(B)
また、上記実施形態では、軸受341に当接して当該軸受341を当該第1位置Iに位置決めする位置決め部材343を備えた例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、旋回可能な軸受341を第1位置Iに位置決めすることが可能であれば、いかなる手段を採用してもよい。例えば、軸受341を第1位置Iと第2位置IIとの間の角度範囲だけ回転できるように規制する回転規制部材などを用いてもよい。