(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学系は、前記窓ガラスが格納される格納部の車室内側に取り付けられたドアトリムの上面に形成された開口に対応する位置に、前記光学系の光軸が前記開口を通るように配置され、
前記検出ラインは、前記ドア及び前記窓ガラスが閉まっている状態において前記窓ガラスの外縁のうち少なくとも前記窓ガラスの締め切り端となる上縁部に沿って設けられている、
請求項1に記載の車両用窓ガラス昇降装置。
前記光学系は、前記ドア及び前記窓ガラスが閉まっている状態において前記窓ガラスの近傍の車室内の天井に形成された開口に対応する位置に、前記光学系の光軸が前記開口を通るように配置される、
請求項1に記載の車両用窓ガラス昇降装置。
前記光学系は、前記ドア及び前記窓ガラスが閉まっている状態において前記窓ガラスの近傍の車室内の天井に形成された開口に対応する位置に、前記光学系の光軸が前記開口を通るように配置される、
請求項8に記載の車両用ドア。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る車両用窓ガラス昇降装置の概略構成図である。
【0023】
図1に示すように、車両用窓ガラス昇降装置1を搭載する車両のドア(車両用ドア)2は、窓ガラス3を格納する格納部21と、格納部21の上方に設けられた枠部22と、を有している。格納部21の車室内側には、格納部21を覆うようにドアトリム23が取り付けられている。
【0024】
枠部22は、車両の前後方向における格納部21の後側の端部から上方に延びる後方立設部22aと、後方立設部22aよりも前側で格納部21から上方に延びる前方立設部22bと、後方立設部22aの上端部から前方立設部22bの上端部に至る上方延設部22cと、からなる。窓ガラス3の全閉時には、枠部22とドアトリム23の上端部とに囲まれた空間に、窓ガラス3が配置されることになる。つまり、枠部22とドアトリム23の上端部とが、窓枠25を構成している。
【0025】
車両用窓ガラス昇降装置1は、窓ガラス3を駆動する駆動機構4と、駆動機構4を制御する制御部5と、を備えている。
【0026】
駆動機構4は、窓枠25に対して窓ガラス3を上下方向に移動させるものであり、DCモータ等のモータ41と、モータ41の駆動力を窓ガラス3の上下方向の運動力に変換する動力変換機構42と、を備えている。動力変換機構42としては、例えば、窓ガラス3を支持しガイドレールに沿って摺動するキャリアプレートを備え、モータ41の駆動力によりワイヤをガイドレールに沿って摺動させることで、ワイヤに取り付けたキャリアプレートおよび窓ガラス3をガイドレールに沿って上下方向に移動させるウインドレギュレータ等を用いることができる。また、動力変換機構42としては、Xアーム式のレギュレータやその他の方式のものを用いることもできる。
【0027】
ドア2には、窓ガラス3を開閉操作するためのスイッチ(SW)24が設けられている。スイッチ24の出力信号線は、制御部5に接続されている。スイッチ24は、例えば、2段階クリック式の揺動スイッチからなり、下降側となる一端側を1段階クリックした際には下降側第1段階クリック信号、下降側となる一端側を2段階クリックした際には下降側第2段階クリック信号、上昇側となる他端側を1段階クリックした際には上昇側第1段階クリック信号、上昇側となる他端側を2段階クリックした際には上昇側第2段階クリック信号を、制御装置5に出力するように構成されている。
【0028】
制御部5は、スイッチ24からの信号に応じて駆動機構4を制御し、窓ガラス3を上下方向に移動させるものである。制御部5は、CPU、メモリ、インターフェイス、ソフトウェア等を適宜組み合わせたコントロールユニットとしてドア2に搭載されている。なお、制御部5は、ドア2以外では例えば車両のミラーやシート等の制御を行う電子制御ユニット(ECU)に、機能として搭載されていてもよい。
【0029】
制御装置5は、スイッチ24から下降側第1段階クリック信号が入力された際には、当該信号が入力されている間窓ガラス3を下降し、下降側第2段階クリック信号が入力された際には、窓ガラス3が最下部まで下降されるか再びスイッチ24が操作されるまで窓ガラス3を自動的に下降するように駆動機構4を制御するように構成される。また、制御装置5は、スイッチ24から上昇側第1段階クリック信号が入力された際には、当該信号が入力されている間窓ガラス3を上昇し、上昇側第2段階クリック信号が入力された際には、窓ガラス3が最上部まで上昇されるか再びスイッチ24が操作されるまで窓ガラス3を自動的に上昇するように駆動機構4を制御する。
【0030】
以下、窓ガラス3による挟み込みを防止する構成について説明する。
【0031】
車両用窓ガラス昇降装置1は、ドア2及び窓ガラス3が閉まっている状態において窓ガラス3の外縁の少なくとも一部に沿って窓ガラス3よりも車室内側に設けられた検出ライン6を撮像するカメラ7を備えている。本実施の形態では、このカメラ7で撮像した画像を基に、窓ガラス3による挟み込みのおそれがある異物が存在するのか否かを判断することになる。カメラ7の具体的な構成、および取付位置については、後述する。
【0032】
検出ライン6は、窓ガラス3による挟み込みのおそれがある異物が存在するのか否かを判断する基準となるものであり、窓ガラス3よりも車室内側に設定されている。検出ライン6の具体的な構成、および設定位置については、後述する。
【0033】
また、本実施の形態では、検出ライン6に向かって赤外光を照射する光源8をさらに備えている。カメラ7は、光源8から照射されて検出ライン6で反射した赤外光を撮像する赤外線カメラから構成される。光源8を備えることで、夜間および夜間以外でも赤外線が届かない暗い場所、例えば地下駐車場等であっても、挟み込みのおそれがある異物を検出することが可能になる。光源8としては、近赤外光を照射するものを用いることができる。
【0034】
制御部5は、カメラ7によって撮像された検出ライン6の少なくとも一部が異物によって遮蔽された遮蔽状態を検出する検出部51と、駆動機構4による窓ガラス3の移動時に検出部51によって遮蔽状態が検出されたとき、窓ガラス3による挟み込みを防止するための挟み込み防止動作を駆動機構4に行わせる挟み込み防止部52と、を有している。検出部51は、本発明の検出手段の一態様であり、挟み込み防止部52は、本発明の挟み込み防止手段の一態様である。
【0035】
検出部51は、カメラ7で撮像した画像の画像処理を行い、検出ライン6を抽出する画像処理部51aと、画像処理部51aで画像処理を行った画像を基に、検出ライン6の少なくとも一部が異物によって遮蔽された遮蔽状態となっているかを判定する遮蔽判定部51bと、を備えている。
【0036】
画像処理部51aにおける検出ライン6を抽出する具体的な方法については、特に限定するものではないが、例えば、カメラ7で撮像した画像をトリミングして不要部分を除き、ポスタリゼーション処理もしくは2値化処理もしくはエッジ検出処理を行うことで、周囲の部材と輝度の異なる検出ライン6を抽出することができる。
【0037】
遮蔽判定部51bでは、例えば、予め遮蔽状態となっていない状態の画像(画像処理部51aによる画像処理後の画像)を初期状態画像として記憶しておき、当該初期状態画像と、画像処理部51aから出力された画像とを比較することで、検出ライン6が異物によって遮蔽されているか否かを判定するように構成される。遮蔽判定部51bは、例えば、初期状態画像と、画像処理部51aから出力された画像とを比較し、抽出した検出ライン6のエッジの差分や検出ライン6の面積の差分が予め設定した異物判定閾値を超えたとき、遮蔽状態であると判定するように構成される。
【0038】
挟み込み防止部52は、駆動機構4による窓ガラス3の移動時に検出部51によって遮蔽状態が検出されたとき、窓ガラス3による挟み込みを防止するための挟み込み防止動作を駆動機構4に行わせる。挟み込み防止動作としては、窓ガラス3の移動を停止させる動作や、窓ガラス3を安全な位置まで下降させる動作や、車室内に設置した警報装置による音や光により操作者に警告を行う動作や、これらを組み合わせた動作が含まれる。
【0039】
また、制御部5は、スイッチ24により窓ガラス3の移動が指示された後であって窓ガラス3の移動開始前に、検出手段51によって遮蔽状態が検出されたとき、スイッチ24からの指示を無効とする指示無効部53をさらに備えている。指示無効部53を備えることによって、遮蔽状態が検出されている際にはそもそも窓ガラス3が移動しないことになるため、安全性をより高めることができる。指示無効部53は、本発明の指示無効手段の一態様である。
【0040】
次に、カメラ7と検出ライン6の具体的な構成等について説明する。
【0041】
図2は、ドア2を車室側の上方から見た概略図、
図3は、ドア2を車両の前方側の下方から見た概略図、
図4(a)は、カメラ7と検出ライン6の位置関係を示す説明図、
図4(b)は
図4(a)のカメラを設けた部分の拡大図である。
【0042】
図2〜4に示すように、本実施の形態に係る車両用窓ガラス昇降装置1では、カメラ7は、少なくとも1つのレンズを含む光学系71と、光学系71によって被写体像が結像される撮像素子72と、を有しており、光学系71は、ドアトリム23の上面Sに形成された開口23aに対応する位置に、光学系71の光軸Cが開口23aを通るように配置されている。
【0043】
つまり、本実施の形態では、カメラ7がドアトリム23の上面Sに設けられている。ここで、ドアトリム23の上面Sとは、ドアトリム23の上端部における外面のことであり、鉛直方向の上方から視認可能な面である。ドアトリム23の上面Sは、車幅方向(水平方向)に対して傾斜していてもよい。ドアトリム23は、一般に、その上面Sの位置が、窓ガラス3の近傍、すなわち格納部21から窓ガラス3が導出される導出口21aの近傍で最も高くなり、窓ガラス3から離れるほど低くなるように湾曲して形成されている。よって、ドアトリム23の上面Sとは、ドアトリム23における窓ガラス3(導出口21a)の近傍の部分における外面(窓枠25の下面に相当する部分)であるといえる。
【0044】
開口23aは、導出口21aよりも車室内側に形成されており、カメラ7の光学系71は、導出口21aの車室内側に光軸Cが位置するように配置されている。ここでは、
図4(a)の断面図において光学系71の光軸Cが鉛直方向と一致するようにカメラ7を配置しているが、光学系71の光軸Cは鉛直方向に対して車両の前後方向や車幅方向に傾斜していてもよく、カメラ7の取付位置や所望の撮像範囲に応じて適宜調整するとよい。
【0045】
本実施の形態では、カメラ7は、ドアトリム23の上面Sにおける車両の前後方向の中央部(窓ガラス3に面したドアトリム23の上面Sにおける中央部)に設けられた孔23bに配置されている。ただし、カメラ7を設ける位置は、これに限定されるものではなく、車両の前方向あるいは後方向にずれた位置であっても構わない。
【0046】
カメラ7は、全体として円柱状に形成されており、その先端部には、径方向外方に突出するフランジ73が形成されている。カメラ7は、ドアトリム23の上方から孔23bに挿入され、フランジ73を孔23bの周縁に形成された凹部23cに収容し、かつ、孔23bの下方の周縁に設けられた係止爪23dをカメラ7に設けられた溝(図示せず)に係合することで、ドアトリム23に固定される。なお、ここでは、カメラ7の先端面とドアトリム23の上面Sとを一致させるように構成しているが、カメラ7の先端面は、ドアトリム23の上面Sから上方に突出していてもよいし、ドアトリム23の上面Sよりも下方に位置していてもよい。また、ここでは、光学系71の一部が開口23aの上方に位置するようにカメラ7を配置しているが、光学系71が開口23aの下方に位置するようにカメラ7を配置しても構わない。また、カメラ7をドアトリム23に固定する構造や、カメラ7の挿入方向については、特に限定するものではなく、適宜変更可能である。
【0047】
カメラ7は、ドア2及び窓ガラス3が閉まっている状態において窓ガラス3の外縁のうち少なくとも窓ガラス3の締め切り端となる上縁部に沿って設けられた検出ライン6を撮像するように構成されることが望ましい。つまり、カメラ7は、枠部22のうち、後方立設部22aの少なくとも一部と、上方延設部22cの全体と、前方立設部22bの少なくとも一部とに沿うように、連続して設けられた検出ライン6を撮像するように構成されることが望ましい。これは、窓ガラス3による挟み込みは、窓枠25における窓ガラス3の締め切り端、すなわち、上方延設部22cと、後方立設部22aおよび前方立設部22bの上端部で最も発生し易いためである。
【0048】
さらに、カメラ7は、その撮像範囲(視野角)が、窓ガラス3の移動領域の全てをカバーするように構成されることが望ましい。具体的には、窓ガラス3が完全に格納される場合には、カメラ7は、その視野角が、車両の後方側においては、鉛直方向上方から後方立設部22aの下端部まで、車両の前方側においては、鉛直方向上方から前方立設部22bの下端部までの範囲をカバーするように設定されることが望ましい。また、窓ガラス3が完全に格納されない場合には、カメラ7は、その視野角が、鉛直方向上方から窓ガラス3を最下部に移動させた際の窓ガラス3の上端(上縁)と後方立設部22aの交差位置まで、車両の前方側においては、鉛直方向上方から窓ガラス3を最下部に移動させた際の窓ガラス3の上端(上縁)と前方立設部22bとの交差位置までの範囲をカバーするように設定されることが望ましい。カメラ7で撮像される画像(トリミング後の画像)の一例を
図5に示す。
【0049】
なお、ここでは、カメラ7の撮像範囲(視野角)を、窓ガラス3の移動領域の全てをカバーするように設定する場合について説明したが、これにより利便性が阻害される場合については、この限りではない。つまり、通常の使用で人体の一部等がカメラ7と検出ライン6との間に位置しやすく、利便性が阻害される領域については、撮像範囲(検出領域)から除外するように構成してもよい。この点についての詳細は、後述する。
【0050】
カメラ7の光学系71としては、上述の範囲での異物の検出を可能とすべく、広角レンズを用いることが望ましい。ここでは、光学系71として、複数のレンズを組み合わせ、視野角が車両の前後方向で180°以上、取付ばらつきを考慮して190°の超広角レンズを用いた。
【0051】
また、撮像素子72としては、異物の検出を速やかに行うため、なるべく画像の読み出し速度が速いものを用いることが望ましい。本実施の形態では、撮像素子72として、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサを用いた。
【0052】
検出ライン6は、枠部22に沿って設定されており、窓ガラス3よりも車室内側に設定されている。窓ガラス3による挟み込みが発生し易い領域をカバーするため、検出ライン6は、窓枠25のうち少なくとも窓ガラス3の締め切り端となる上端部に沿って設けられることが望ましい。つまり、検出ライン6は、後方立設部22aの少なくとも一部と、上方延設部22cの全体と、前方立設部22bの少なくとも一部とに沿うように、連続して設定されることが望ましい。本実施の形態では、枠部22の全体に沿うように、かつ、窓ガラス3から車室内側に離間するように、検出ライン6を設定した。
【0053】
検出ライン6は、窓枠25に沿うように設定されていればよく、ドア2側に設定されてもよいし、車体側に設定されてもよい。例えば、窓ガラス3から枠部22の車室内側の端部(端面)までの距離d4(
図4(a)参照)の狭い車両においては、検出ライン6と窓ガラス3との距離を確保するため、車体側に検出ライン6を設定してもよい。なお、検出ライン6は連続していなくてもよく、その一部がドア2側に設定され、その一部が車体側に設定されていてもよい。
【0054】
本実施の形態では、一例として、検出ライン6をドア2側に設定する場合について説明する。この場合、検出ライン2は、枠部22全体の内周縁面、すなわち、後方立設部22aと前方立設部22bと上方延設部22cの全体の内周縁面に、窓ガラス3から車室内側に離間するように設定されることになる。なお、枠部22の内周縁面とは、枠部22の窓ガラス3に臨む面であり、後方立設部22aにおける車両の前方側の面、前方立設部22bにおける車両の後方側の面、上方延設部22cの下方側の面である。つまり、枠体22の内周縁面とは、枠体22の外周面のうち窓ガラス3の近傍の部分である。
【0055】
光源8は、検出ライン6の全体を照射するように構成される。ここでは、4つの光源8を用いて、枠部22の全体の内周面に設定された検出ライン6に赤外線を照射するように構成したが、光源8の個数はこれに限定されるものではない。また、ここでは、カメラ7の近傍のドアトリム23の上面に光源8を配置したが、光源8の配置はこれに限定されず、例えば枠部22の内周面に光源8が配置されていてもよい。
【0056】
検出ライン6は、赤外光を照射したときに周囲の部材と異なる輝度となるように構成される。例えば、ドア2を閉じたときにドア2を構成する金属(板金)と車体側のゴム部材(ウエスト)とが隣接する場合、それらの境界(すなわちドア2と車体の境界)を検出ライン6として用いることができる。また、枠部22の内周縁面が樹脂で構成されている場合には、当該樹脂の一部に凹凸を設けて赤外線の反射率が周囲と異なるラインを形成し、このラインを検出ライン6として用いることも可能である。なお、これに限らず、検出ライン6は、赤外線の反射率が高い塗料を枠部22の内周面に塗布して構成されてもよいし、赤外線を照射したときの輝度が周囲と異なる既存の部材から構成されてもよい。検出ライン6を車体側に設定する場合も同様である。
【0057】
なお、本実施の形態においては、窓ガラス3の下降中においても、遮蔽状態が検出されたときには、挟み込み防止動作を行うように構成されている。これは、窓ガラス3を下降している際に指等の人体の一部が導出口21aに巻き込まれてしまうことを抑制するためである。導出口21aの周囲には、格納部21(ドア2の内部空間)への水等の侵入を抑止すべく、窓ガラス3に摺接するリップシール30aを有するウェザーストリップ30が設けられているが、窓ガラス3の下降時には、このリップシール30aを巻き込みつつ衣類や指等の人体の一部が格納部21側に巻き込まれてしまうおそれがある。本実施の形態によれば、このような巻き込みを抑制し、より安全性を高めることが可能である。なお、窓ガラス3の下降中に遮蔽状態が検出された際に実行される挟み込み防止動作には、窓ガラス3を下降させる動作は含まない。
【0058】
以下、カメラ7の光学系71と検出ライン6との間で、異物が配置されたときに遮蔽状態となる位置を連続させた面を検出面9と呼称する。検出面9は、光学系71の具体的な構造にもよるが、光学系71の中心(車幅方向、高さ方向、および車両の前後方向における中心)と検出ライン6とを結ぶ面と略等しくなる。なお、検出面9はその全体が連続した面でなくてもよく、例えば検出ライン6が連続してない場合などには、検出面9は複数の面で構成されることになる。また、検出ライン6を点とした場合におけるカメラ7の光学系71と検出ライン6との間で異物が配置されたときに遮蔽状態となる位置を連続させた線も、検出面9に含まれる。検出面9を複数の面または線で構成する場合、安全性を確保するために、隣接する面または線の間隔は、少なくとも幼児の指の太さ(例えば4mm)以下とされることが望ましい。
【0059】
図4(a)に示すように、本実施の形態では、検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値が、検出面9の上端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値よりも小さくなっている。換言すれば、検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との間の空間10の車幅方向における幅の最小値が、検出面9の上端部での空間10の車幅方向における幅の最小値よりも小さくなっている。
【0060】
一例として、検出ライン6と窓ガラス3との車幅方向における距離d2を一定とした場合に形成される検出面9を模式的に示すと、
図6のようになる。
図6においてハッチングで示された面が検出面9となる。なお、
図6はあくまで一例を示すものであり、検出ライン6と窓ガラス3との距離d2は、一定でなくともよい。
【0061】
図4および
図6に示すように、検出面9は、カメラ7から検出ライン6に近づくほど窓ガラス3から離れるように形成され、全体として略すり鉢状に形成されることになる。この場合、検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値は、カメラ7と窓ガラス3との車幅方向における距離d1(光学系71の中心と窓ガラス3との車幅方向における距離)と等しくなり、検出面9の上端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値は、検出ライン6と窓ガラス3との車幅方向における距離d2と等しくなる。よって、この場合、検出ライン6と窓ガラス3との車幅方向における距離d2が、カメラ7と窓ガラス3との車幅方向における距離d1よりも大きく設定されることになる。
【0062】
なお、検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最大値は、検出面9の上端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最大値以下とされることが望ましい。これは、検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離が大きくなると、利便性の低下につながるためである。つまり、検出面9は、全体として、下方で窓ガラス3に近くなり、上方で窓ガラス3から離れるように形成されている。
【0063】
上述のように、窓ガラス3による挟み込みは窓枠25の締め切り端、すなわち空間10の上方の領域において発生し易い。よって、カメラ7と窓ガラス3と距離d1が小さい場合であっても、空間10の上方の領域において窓ガラス3と検出面9との距離を十分に大きくすることで、窓ガラス3による挟み込みが発生しやすい領域において、異物が窓ガラス3に接触する前に挟み込み防止動作を実行させることが可能になる。
【0064】
なお、本実施の形態では、空間10の下方の領域(特にカメラ7に近い領域)では、窓ガラス3と検出面9との距離が小さくなるので、異物の検出後に挟み込み防止動作を行っても、当該異物が移動中の窓ガラス3に接触してしまうおそれがある。しかし、空間10の下方の領域では、異物が移動中の窓ガラス3に接触してしまう可能性はあるものの、当該異物が窓ガラス3に接触した直後に挟み込み防止動作が実行されることになるため、当該異物が窓ガラス3に挟み込まれてしまう可能性は小さいといえる。
【0065】
以下、空間10の上方の領域であり、異物が侵入しても当該異物が窓ガラス3に接触する前に挟み込み防止動作を実行させることが可能な領域を非接触領域と呼称し、空間10の下方の領域であり、異物が侵入した際に当該異物が挟み込み防止動作を実行する前に窓ガラス3に接触するおそれのある領域を接触領域と呼称する。
【0066】
また、想定される異物の侵入速度、カメラ7の読み出し速度、制御部5の演算速度(撮像してから異物侵入を判断するまでの時間)、および駆動機構4の窓ガラス3の移動を停止する速度(窓ガラス3を停止する時間)を考慮し、異物が侵入しても当該異物が窓ガラス3に接触する前に挟み込み防止動作を実行させることが可能な最短距離(窓ガラス3の内面からの車幅方向における距離)を、安全距離d3と呼称する。非接触領域は、検出面9と窓ガラス3の車幅方向の距離が安全距離d3以上となっている領域であり、接触領域は、検出面9と窓ガラス3の車幅方向の距離が安全距離d3未満となっている領域である。
【0067】
例えば、カメラ7の読み出し速度を400fps(フレーム/秒、1フレーム2.5ms)とし、撮像してから異物侵入を判断する時間を10ms(明るさの補正処理等に最大7.5ms、異物の検出処理に2.5ms要すると仮定)とし、窓ガラス3を停止する時間を20msとした場合、撮像後30msで窓ガラス3が停止されることになる。この場合、異物の侵入速度を1m/sとすると、異物は30msの間に30mm移動することになるため、安全距離d3は30mmとなる。なお、ここでは異物の侵入速度を1m/sとしたが、例えば、高齢者の体の一部等の挟み込みを抑制するという観点から、異物の侵入速度を0.5m/sとした場合には、安全距離d3は14.5mmとなる。また、上記の場合においてカメラ7の読み出し速度が1000fps(1フレーム1ms)に向上した場合には、安全距離d3は24mmとなる。このように、安全距離d3は、要求される安全性や、使用する部材(カメラ7や駆動機構4等)の性能等に応じて変化する。
【0068】
窓枠25の高さh(上方延設部22cの下面とドアトリム23の上面との距離)のうち非接触領域の高さをh2、接触領域の高さをh1とすると、より高い安全性を確保する観点からは、非接触領域の高さh2をなるべく大きくし、接触領域の高さh1をなるべく小さくすることが望ましいといえる。
【0069】
具体的には、実際の挟み込み事故の事例より、特に3歳児以下の小児の頭部が窓ガラス3に挟み込まれた場合に重大事故につながり易いので、3歳児の頭高の平均値が191mmであることを考慮し、非接触領域の高さh2は、少なくとも200mm以上とされることが望ましい。さらには、非接触領域の高さh2は、窓枠25の高さhの1/2以上とされ、非接触領域の高さh2が接触領域の高さh1よりも大きくなるように構成されることがより望ましい。
【0070】
図4,6のように窓ガラス3が湾曲しておらず平板状に形成されている場合、カメラ7を含む断面においては、検出面9と窓ガラス3の間の空間10の車幅方向における幅は、検出面9の下端部から上端部に近づくほど徐々に広くなる。このような場合、窓枠25の高さ方向における中心での検出面9と窓ガラス3との車幅方向における距離を安全距離d3以上の距離とすることで、非接触領域の高さh2を窓枠25の高さhの1/2以上とすることができる。具体的には、例えば、安全距離d3が30mmであり、カメラ7と窓ガラス3との車幅方向における距離d1が15mmである場合、検出ライン6と窓ガラス3との車幅方向における距離d2を45mm以上とすることで、窓枠25の高さ方向における中心での検出面9と窓ガラス3との車幅方向における距離を安全距離d3以上とし、非接触領域の高さh2を窓枠25の高さhの1/2以上とすることができる。
【0071】
この場合、窓枠25の高さhが400mmの車両においては、カメラ7を含む断面における検出面9の鉛直方向に対する傾きは、4.29°となる。
図6に示したように、検出面9の下端部における検出面2と窓ガラス3との距離は、距離d1(15mm)以上距離d2以下となるので、この場合、検出面9の鉛直方向に対する傾きは、0°〜4.29°の範囲となる。なお、ここで示した検出面9の鉛直方向に対する傾きは、あくまで一例であり、距離d2や窓枠25の高さh等に応じて変化するものである。
【0072】
ここでは、窓ガラス3が湾曲しておらず平板状に形成されている場合について説明したが、
図7に示すように、窓ガラス3が車室外側に凸となるように湾曲している場合も考えられる。この場合、空間10の上方の領域において、空間10の車幅方向の幅が検出面9の上端部にかけて徐々に狭まっている場合もある。このような場合には、非接触領域の高さh2を窓枠25の高さhの1/2以上とするためには、少なくとも、窓枠25の高さhの中心よりも上方の領域における空間10全体の車幅方向の幅を、上述の安全距離d3以上とする必要がある。
【0073】
ところで、検出ライン6と窓ガラス3との車幅方向における距離d2を一定とした場合に形成される検出面9は、上方から見ると
図8のようになる。
図8に示すように、一般に、車両では、窓ガラス3の下方でかつ後方側の位置にシート81が配置されるため、検出面9のうち、車両の下方側でかつ後方側の領域(図示の一点鎖線で囲んだ領域A)には、搭乗者の肩など体の一部等が位置しやすく、利便性が低下してしまうことも考えられる。このような利便性の低下は、検出ライン6を車体側に形成した場合に特に大きくなると考えられる。
【0074】
そこで、上述のような利便性の低下が問題となる場合には、
図9に示すように、後方立設部22aの下方の検出ライン6を省略し、窓ガラス3の車両の後方側かつ下方側の領域と車幅方向に対向する領域を除く、窓ガラス3と車幅方向に対向する領域に検出面9を形成するとよい。これにより、人体の一部等が窓ガラス3に近づきやすい領域、すなわち利便性を損なう領域では異物の検出を行わないようにすることができ、かつ、車両の後方側の領域であっても上方側の領域では異物の検出が行われるため、挟み込みにより人体に荷重が加わることを抑制し安全性を確保することが可能となる。
【0075】
また、
図10に示すように、後方立設部22aと前方立設部22bに設ける検出ライン6(車両の前後方向における前後に設ける検出ライン6)を下方ほど窓ガラス3に近づくように傾斜させ、人体の一部等が窓ガラス3に近づきやすい下方の領域において、検出面9を窓ガラス3に近づけるように構成してもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、カメラ7をドア2側に設ける場合について説明したが、カメラ7を車体側に設けることも可能である。例えば、カメラ7は、車室内の天井に設けることが可能である。つまり、カメラ7の光学系71は、ドア2及び窓ガラス3が閉まっている状態において窓ガラス3の近傍の車室内の天井に形成された開口に対応する位置に、光学系71の光軸が開口を通るように配置されてもよい。この場合、
図11に示すように、カメラ7は窓ガラス3から比較的離れた位置に配置されることになるが、ドアトリム23の上面Sに設ける検出ライン6や、後方立設部22aおよび前方立設部22bの下方に設ける検出ライン6を窓ガラス3に近い位置に設定することで、利便性を向上しつつも安全性を確保することが可能となる。
【0077】
さらに、
図12に示すように、利便性を向上させる上で不要となる窓ガラス3の車両の後方側かつ下方側の領域と車幅方向に対向する領域(不要領域という)に検出面9が形成されないように、当該不要領域の上端部に相当する位置の後方立設部22a(あるいは当該位置に対応する車室内側の位置)に、カメラ7を設けるようにしてもよい。これにより、
図9の場合と略同様の検出面9を形成することが可能となり、不要領域を除外して利便性を向上しつつも、安全性を確保することが可能になる。なお、
図12では、ドアトリム23の上面Sにおける車両の前方側にも検出ライン6を設ける場合を示しているが、ドアトリム23の上面Sの検出ライン6を省略することも可能である。
【0078】
次に、車両用窓ガラス昇降装置1の制御フローについて説明する。
【0079】
図13に示すように、車両用窓ガラス昇降装置1では、まず、ステップS1にて、制御部5が、スイッチ24から信号が入力されたかを判断する。ステップS1にてNOと判断された場合、ステップS2にて、制御部5が、カメラ7の電源をオフ(または電源オフの状態を継続)して、ステップS1に戻る。なお、図示していないが、光源8の電源がオンとなっている場合には、ステップS2にて光源8の電源をオフにする。
【0080】
ステップS1にてYESと判断された場合、ステップS3にて、制御部5が、カメラ7の電源をオン(または電源オンの状態を継続)し、ステップS4に進む。ここでは図示を省略しているが、カメラ7で撮像するための照度が不足している場合には、ステップS3にて光源8の電源をオンにする。
【0081】
ステップS4では、検出部51(画像処理部51aおよび遮蔽状態判定部51b)が、カメラ7で撮像した画像を基に、遮蔽状態を検出する処理(遮蔽状態検出処理)を行う。その後、ステップS5にて、指示無効部53が、検出部51により遮蔽状態が検出されたかを判断する。
【0082】
ステップS5でYESと判断された場合、指示無効部53は、窓ガラス3による挟み込みのおそれがあると判断し、窓ガラス3の移動を行わずに(すなわちスイッチ24からの信号を無効として)ステップS1に戻る。
【0083】
ステップS5にてNOと判断された場合、ステップS6にて、制御部5が、スイッチ24から入力された信号が、第1段階クリック信号(下降側第1段階クリック信号または上昇側第1段階クリック信号)であるかを判断する。
【0084】
ステップS6でYESと判断された場合、ステップS7にて、制御部5が、駆動機構4を制御して、窓ガラス3の移動制御を行う。
【0085】
その後、ステップS8にて、検出部51が、カメラ7で撮像した画像を基に、遮蔽状態を検出する処理(遮蔽状態検出処理)を行う。その後、ステップS9にて、挟み込み防止部52が、検出部51により遮蔽状態が検出されたかを判断する。
【0086】
ステップS9でYESと判断された場合、窓ガラス3による挟み込みのおそれがあるため、ステップS10にて、挟み込み防止部52が、窓ガラス3の移動を停止させる、あるいは、窓ガラス3を安全な位置まで下降させる等の挟み込み防止動作を実行する。その後、ステップS18にて制御部5が窓ガラス3の移動を終了した後に、ステップS2に戻る。このように、本実施の形態では、スイッチ24から第1段階クリック信号の入力中に遮蔽状態が検出された場合には、挟み込み防止動作を行った後に窓ガラス3の移動を終了する。
【0087】
ステップS9でNOと判断された場合、窓ガラス3による挟み込みのおそれはないので、ステップS11にて、制御部5が、スイッチ24から信号が入力されているかを判断する。ステップS11でNOと判断された場合、スイッチ24の操作が終了したことになるので、ステップS18にて制御部5が窓ガラス3の移動を終了した後に、ステップS2に戻る。ステップS11でYESと判断された場合、ステップS6に戻り、窓ガラス3の移動を継続する。
【0088】
他方、ステップS6でNOと判断された場合、すなわち、スイッチ24から第2段階クリック信号(下降側第2段階クリック信号または上昇側第2段階クリック信号)が入力された場合、ステップS12にて、制御部5が、駆動機構4を制御して、窓ガラス3の移動制御を行う。
【0089】
その後、ステップS13にて、検出部51が、カメラ7で撮像した画像を基に、遮蔽状態を検出する処理(遮蔽状態検出処理)を行う。その後、ステップS14にて、挟み込み防止部52が、検出部51により遮蔽状態が検出されたかを判断する。
【0090】
ステップS14でYESと判断された場合、窓ガラス3による挟み込みのおそれがあるため、ステップS15にて、挟み込み防止部52が挟み込み防止動作を実行する。その後、ステップS18にて窓ガラス3の移動を終了した後に、ステップS2に戻る。つまり、本実施の形態では、スイッチ24から第2段階クリック信号が入力され窓ガラス3を移動させている際に遮蔽状態が検出された場合には、挟み込み防止動作を行った後に窓ガラス3の移動を終了する。
【0091】
ステップS14でNOと判断された場合、窓ガラス3による挟み込みのおそれはないので、ステップS16にて、制御部5が、窓ガラス3が端まで(上端または下端の位置まで)移動されたかを判断する。ステップS16でYESと判断された場合、ステップS18にて、制御部5が窓ガラス3の移動を終了した後に、ステップS2に戻る。なお、窓ガラス3の位置情報は、モータ41の内部に組み込んだホールICを用いて生成した回転パルス、または電流リップルを用いて取得するとよい。
【0092】
ステップS16でNOと判断された場合、ステップS17にて、スイッチ24から新たな信号が入力されたか(第2段階クリック信号の入力後に新たな信号が入力されたか)を判断する。ステップS17でYESと判断された場合、ステップS6に戻る。ステップS17でNOと判断された場合、ステップS12に戻り、窓ガラス3の移動を継続する。つまり、第2段階クリック信号が入力された場合、遮蔽状態が検出されるか、窓ガラス3が端まで移動するか、あるいは新たな信号がスイッチ24から入力されるまで、窓ガラス3の移動を継続する。
【0093】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用窓ガラス昇降装置1では、光学系71と検出ライン6との間で、異物が配置されたときに遮蔽状態となる位置を連続させた面である検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値が、検出面9の上端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値よりも小さくなっている。
【0094】
このように構成することで、窓ガラス3による挟み込みの発生しやすい上方の領域においては窓ガラス3と検出面9との距離を大きくし、異物が接触する前に挟み込み防止動作を実行させることが可能になる。また、通常の使用の中で搭乗者の体の一部等が窓ガラス3に近接しやすい下方の領域においては窓ガラス3と検出面9との距離を小さくし、窓ガラス3による挟み込みのおそれがないにもかかわらず挟み込み防止動作が行われ、窓ガラス3を動かしたいときに動かせない、といった不具合を抑制し、利便性を向上することが可能になる。その結果、例えば車格の小さいコンパクトカー等のドアトリム23が薄い車両であっても、安全性と利便性を両立することが可能になる。
【0095】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0096】
[1]車両のドア(2)に配置され窓ガラス(3)を上下方向に移動させる駆動機構(4)と、前記駆動機構(4)を制御する制御部(5)と、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の外縁の少なくとも一部に沿って前記窓ガラス(3)よりも車室内側に設けられた検出ライン(6)を撮像するカメラ(7)と、を備え、前記カメラ(7)は、少なくとも1つのレンズを含む光学系(71)と、前記光学系(71)によって被写体像が結像される撮像素子(72)とを有し、前記制御部(5)は、前記カメラ(7)によって撮像された前記検出ライン(6)の少なくとも一部が異物によって遮蔽された遮蔽状態を検出する検出手段(51)と、前記駆動機構(4)による前記窓ガラス(3)の移動時に前記検出手段(51)によって前記遮蔽状態が検出されたとき、前記窓ガラス(3)による挟み込みを防止するための挟み込み防止動作を前記駆動機構(4)に行わせる挟み込み防止手段(52)とを有し、前記光学系(71)と前記検出ライン(6)との間で、前記異物が配置されたときに前記遮蔽状態となる位置を連続させた面である検出面(9)の下端部での前記検出面(9)と前記窓ガラス(3)の内面との車幅方向における距離の最小値が、前記検出面(9)の上端部での前記検出面(9)と前記窓ガラス(3)の内面との車幅方向における距離の最小値よりも小さい、車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0097】
[2]前記光学系(71)は、前記窓ガラス(3)が格納される格納部(21)の車室内側に取り付けられたドアトリム(23)の上面に形成された開口(23a)に対応する位置に、前記光学系(71)の光軸が前記開口(23a)を通るように配置され、前記検出ライン(6)は、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の外縁のうち少なくとも前記窓ガラス(3)の締め切り端となる上縁部に沿って設けられている、[1]に記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0098】
[3]前記検出ライン(6)と前記窓ガラス(3)との車幅方向における距離が、前記カメラ(7)と前記窓ガラス(3)との車幅方向における距離よりも大きい、[2]に記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0099】
[4]前記光学系(71)は、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の近傍の車室内の天井に形成された開口に対応する位置に、前記光学系(71)の光軸が前記開口を通るように配置される、[1]に記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0100】
[5]前記検出面(9)は、前記窓ガラス(3)の前記車両の後方側かつ下方側の領域と車幅方向に対向する領域を除く、前記窓ガラス(3)と車幅方向に対向する領域に形成されている、[1]乃至[4]の何れかに記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0101】
[6]前記検出ライン(6)に向かって赤外光を照射する光源(8)をさらに備え、前記カメラ(7)は、前記光源(8)から照射されて前記検出ライン(6)で反射した赤外光を撮像する赤外線カメラである、[1]乃至[5]の何れかに記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0102】
[7]前記制御部(5)は、前記窓ガラス(3)の移動が指示された後であって前記窓ガラス(3)の移動開始前に、前記検出手段(51)によって前記遮蔽状態が検出されたとき、前記指示を無効とする指示無効手段(53)をさらに備える、[1]乃至[6]の何れかに記載の車両用窓ガラス昇降装置(1)。
【0103】
[8]窓ガラス(3)を格納する格納部(21)を有し、上下方向に移動する窓ガラス(3)を備えた車両用ドア(2)であって、前記窓ガラス(3)を上下方向に移動させる駆動機構(4)と、前記駆動機構(4)を制御する制御部(5)と、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の外縁の少なくとも一部に沿って前記窓ガラス(3)よりも車室内側に設けられた検出ライン(6)を撮像するカメラ(7)と、を備え、前記カメラ(7)は、少なくとも1つのレンズを含む光学系(71)と、前記光学系(71)によって被写体像が結像される撮像素子(72)とを有し、前記制御部(5)は、前記カメラ(7)によって撮像された前記検出ライン(6)の少なくとも一部が異物によって遮蔽された遮蔽状態を検出する検出手段(51)と、前記駆動機構(4)による前記窓ガラス(3)の移動時に前記検出手段(51)によって前記遮蔽状態が検出されたとき、前記窓ガラス(3)による挟み込みを防止するための挟み込み防止動作を前記駆動機構(4)に行わせる挟み込み防止手段(52)とを有し、前記光学系(71)と前記検出ライン(6)との間で、前記異物が配置されたときに前記遮蔽状態となる位置を連続させた面である検出面(9)の下端部での前記検出面(9)と前記窓ガラス(3)の内面との車幅方向における距離の最小値が、前記検出面(9)の上端部での前記検出面(9)と前記窓ガラス(3)の内面との車幅方向における距離の最小値よりも小さい、車両用ドア(2)。
【0104】
[9]前記光学系(71)は、前記格納部(21)の車室内側に取り付けられたドアトリム(23)の上面に形成された開口(23a)に対応する位置に、前記光学系(71)の光軸が前記開口(23a)を通るように配置され、前記検出ライン(6)は、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の外縁のうち少なくとも前記窓ガラス(3)の締め切り端となる上縁部に沿って設けられている、[8]に記載の車両用ドア(2)。
【0105】
[10]前記検出ライン(6)と前記窓ガラス(3)との車幅方向における距離が、前記カメラ(7)と前記窓ガラス(3)との車幅方向における距離よりも大きい、[9]に記載の車両用ドア(2)。
【0106】
[11]前記光学系(71)は、前記ドア(2)及び前記窓ガラス(3)が閉まっている状態において前記窓ガラス(3)の近傍の車室内の天井に形成された開口に対応する位置に、前記光学系(71)の光軸が前記開口を通るように配置される、[8]に記載の車両用ドア(2)。
【0107】
[12]前記検出面(9)は、前記窓ガラス(3)の前記車両の後方側かつ下方側の領域と車幅方向に対向する領域を除く、前記窓ガラス(3)と車幅方向に対向する領域に形成されている、[8]乃至[11]の何れかに記載の車両用ドア(2)。
【0108】
[13]前記検出ライン(6)に向かって赤外光を照射する光源(8)をさらに備え、前記カメラ(7)は、前記光源(8)から照射されて前記検出ライン(6)で反射した赤外光を撮像する赤外線カメラである、[8]乃至[11]の何れかに記載の車両用ドア(2)。
【0109】
[14]前記制御部(5)は、前記窓ガラス(3)の移動が指示された後であって前記窓ガラス(3)の移動開始前に、前記検出手段(51)によって前記遮蔽状態が検出されたとき、前記指示を無効とする指示無効手段(53)をさらに備える、[8]乃至[13]の何れかに記載の車両用ドア(2)。
【0110】
[15][8]乃至[14]の何れかに記載の車両用ドア(2)を備えた車両。
【0111】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0112】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では言及しなかったが、車両用窓ガラス昇降装置1には、モータ41の回転数を監視し、窓ガラス3の上昇中に負荷が増加しモータ41の回転数が減少したときに、窓ガラスによる異物の挟み込みが発生したと判定し、窓ガラス3の移動方向を反転させ自動で下降させる等の各種安全動作を行わせる安全装置が備えられてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態では、車両の後側のドア2に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は車両の前側のドアにも適用可能である。
【0114】
さらに、上記実施の形態では、枠部22を有するドア2に適用する場合を説明したが、本発明は、ドア2側に枠部22を有さないハードトップドアにも適用可能である。
【解決手段】窓ガラス3を移動させる駆動機構4と、駆動機構4を制御する制御部5と、ドア2及び窓ガラス3が閉まっている状態において窓ガラス3の外縁の一部に沿って設けられた検出ライン6を撮像するカメラ7とを備え、制御部5は、カメラ7で撮像された検出ライン6が異物によって遮蔽された遮蔽状態を検出する検出部51と、遮蔽状態が検出されたとき窓ガラス3による挟み込みを防止する動作を駆動機構4に行わせる挟み込み防止部52とを有し、異物が配置されたときに遮蔽状態となる位置を連続させた検出面9の下端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値が、検出面9の上端部での検出面9と窓ガラス3の内面との車幅方向における距離の最小値よりも小さい。