(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768206
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】ウエハーレベルカメラモジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20150806BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20150806BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20150806BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
H04N5/335 690
H01L21/78 S
H01L21/78 M
H01L21/78 Q
H01L21/304 621B
H01L27/14 D
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-547318(P2009-547318)
(86)(22)【出願日】2008年1月28日
(65)【公表番号】特表2010-517432(P2010-517432A)
(43)【公表日】2010年5月20日
(86)【国際出願番号】US2008001083
(87)【国際公開番号】WO2008094499
(87)【国際公開日】20080807
【審査請求日】2011年1月26日
(31)【優先権主張番号】11/698,776
(32)【優先日】2007年1月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515012848
【氏名又は名称】ナンチャン オー−フィルム オプトエレクトロニクス テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nanchang O−Film Optoelectronics Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】シング, ハープニート
【審査官】
木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−088713(JP,A)
【文献】
特開2004−207461(JP,A)
【文献】
特開2004−040287(JP,A)
【文献】
特開2005−216970(JP,A)
【文献】
特開平08−064556(JP,A)
【文献】
特開2003−031782(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/025496(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0077458(US,A1)
【文献】
特開2003−234465(JP,A)
【文献】
特開2003−197656(JP,A)
【文献】
特開2006−100587(JP,A)
【文献】
特開平09−139484(JP,A)
【文献】
特開2007−129164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 − 5/378 ,
H01L 21/301 ,
H01L 21/304 ,
H01L 21/339 ,
H01L 21/463 ,
H01L 21/78 ,
H01L 27/14 − 27/148 ,
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICDのアレイを含むICDウェハーを提供する工程と、
第1透明素子のアレイを含む第1透明素子アレイを提供する工程と、
各ICDがそれぞれの第1透明素子に対応するように前記第1透明素子アレイを前記ICDウェハーに結合する工程と、
第2透明素子のアレイを含む第2透明素子アレイを提供する工程と、
各第1透明素子がそれぞれの第2透明素子に対応するように前記第2透明素子アレイを前記第1透明素子アレイに結合する工程と、
前記ICDウェハーを個別ICDにシンギュレーションする工程と、
前記第1透明素子アレイを個別第1透明素子にシンギュレーションする工程と、
前記第2透明素子アレイを個別第2透明素子にシンギュレーションする工程を含むデジタルカメラモジュールを製造する方法であって、
前記デジタルカメラモジュールを製造する方法は、さらに、前記ICDウェハーの少なくとも1つの表面をバックラッピングする工程を含み、少なくとも1つの表面を平面化し、
前記デジタルカメラモジュールを製造する方法は、さらに、前記第1透明素子アレイの少なくとも1つの表面をバックラッピングする工程を含み、前記第2透明素子アレイを前記第1透明素子アレイに結合する前に、少なくとも1つの表面を平坦化する
デジタルカメラモジュールを製造する方法であって、
前記ICDウェハーをシンギュレーションする工程が、前記第2透明素子アレイを前記第1透明素子アレイに結合する工程の前に実施される
ことを特徴とするデジタルカメラモジュールを製造する方法。
【請求項2】
前記ICDウェハーをプラズマエッチングする工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマエッチングがICDウェハーに穴を形成することにより、ボンディングパッドにアクセス可能となることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマエッチングが、前記ICDウェハーを個別ICDにシンギュレーションすることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記個別ICDをメタライジング及びパターニングする工程をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1透明素子アレイをシンギュレーションする工程と前記第2透明素子アレイをシンギュレーションする工程の両方が、前記第2透明素子アレイを前記第1透明素子アレイに結合する工程の後に実施されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記個別ICDの少なくとも1つを、回路基板に、はんだパッドコネクタを用いて連結する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記個別ICDをメタライジング及びパターニングする前記工程は、前記個別ICDの各々にメタライゼーション層を当該個別ICDの関連する1つの周辺を超えないように形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記第1透明素子アレイを前記ICDウェハーに結合させる前記工程が、前記ICDウェハーおよび前記第1透明素子アレイの1つの上に粘着シートを配することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記粘着シートを配する前記工程は、前記ICDウェハーの上面と前記第1透明素子アレイの底面との両方に前記粘着シートを直接的に粘着させる工程を備えることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記粘着シートに複数のアパーチャーを形成するために、前記粘着シートをダイカットする工程をさらに備え、
前記ICDの各々は撮像装置を含み、
前記アパーチャーの各々は、前記ICDの関連する1つの前記撮像装置に対して配されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記アパーチャーの各々は、前記ICDの関連する1つの前記撮像装置の周辺と少なくとも同じ長さであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記粘着シートが不透明材料を含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記粘着シートが防水性材料を含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項15】
前記メタライゼーション層が、前記メタライゼーション層の周辺が前記個別ICDの関連する1つの周辺を超えないように、内向きの角度をなす周辺壁を有することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項16】
前記ICDウェハーの少なくとも1つの表面をバックラッピングする工程が、前記第1透明素子アレイから離れて面する前記ICDウェハーの前記表面をバックラッピングする工程を含む請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にデジタルカメラに関し、より詳しくは、ホスト装置に取り付け可能なデジタルカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラモジュールは、現在様々なホスト装置に内蔵されている。このようなホスト装置は、携帯電話、携帯情報端末(PDAs)及びコンピュータ等を含む。ホスト装置内デジタルカメラモジュールに対する消費者の需要は増大し続けている。
【0003】
ホスト装置の製造業者は、デジタルカメラモジュールの小型化を好み、この理由は、ホスト装置の外形寸法を増加させずにホスト装置内にデジタルカメラモジュールを内蔵することが可能となるからである。さらに、ホスト装置の製造業者は、ホスト装置の設計に及ぼす影響が最小限であるカメラモジュールを要求している。さらに、カメラモジュールとホスト装置の製造業者は、画質を落とすことなく、カメラモジュールをホスト装置内に内蔵することを望んでいる。
【0004】
従来のデジタルカメラモジュールは、一般的に、レンズアセンブリ、ハウジング、プリント回路基板(PCB)及び一体型の画像取込装置(ICD)を含む。典型的には、部品は個別に形成され、その後の組み立てによってデジタルカメラモジュールが作り出される。即ち、ICDがPCBに取り付けられ、その後、ハウジングがPCBに取り付けられることにより、ICDがハウジング底部で覆われる。レンズアセンブリは、ハウジングの反対側端部に取り付けられることにより、入射光をICDの画像取込面上に集束させることが可能となる。ICDが、ICD用の複数の電気接点を含むPCBに電気的に連結されることにより、画像データがホスト装置に伝えられ、プロセシング、表示及び記憶がなされることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICDは、特にハウジング取り付け工程前及び工程中において、損傷と汚染に弱い。例えば、ハウジングがPCBに取り付けられる前において、ワイヤボンディングは、(例えば取扱中に)不注意による接触を受け易く、損傷を引き起こす可能性がある。さらに、ICDは、粒子破片による汚染にも弱い。センサーアレイ(画像取込面)の汚染は入射光を遮る可能性があり、装置が取り込んだ画像上において目に見える不具合を引き起こすことになる。損傷を受けたICDは、生産収率を下げるとともに労働及び材料に係る費用を増大させる可能性がある。
【0006】
必要とされているのは、ICDを損傷する可能性を軽減し、高収率、製造処理の高速化、低価格、及び/又は装置の小型化を達成するカメラモジュール設計及びカメラモジュールの製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、ウエハーレベルで形成されたレンズを備えるデジタルカメラモジュールを提供することによって、従来技術に関連する問題を克服するものである。
本発明の実施形態は、レンズアセンブリをハウジング内に取り付ける必要性をなくすことによって、高収率、製造処理の高速化、及び低い製造原価を促進する。ある実施形態では、処理作業が減少し且つ材料数も少なくなるために、品質を向上させることができる。また、モジュールはウエハーレベルで作られるために、クリーンルーム技術を用いることによりICD損傷又は汚染の危険性を低減することが可能である。さらに、ある実施形態では、デジタルカメラモジュールの外形寸法を、全て三次元的に小さくすることができる。
【0008】
一実施形態によると、本発明は、撮像装置を含むICDと、第1透明素子と、撮像装置に入る入射光を遮ることなくICDを第1透明素子に連結する結合剤と、第1透明素子に連結された第2透明素子とを含むデジタルカメラモジュールを提供する。一実施形態では、第1透明素子と第2透明素子のいかなる部分も、ICDの周辺を越えて延出しない。第1透明素子は凹−凸部分を含み、第2透明素子は凸−凹部分を含むことができる。結合剤はダイカット粘着シート及び/又は調合接着剤を含むことができる。粘着シート及び/又は調合接着剤は、不透明材料及び/又は防水性材料を含むことができる。第1透明素子と第2透明素子はその間に空隙を形成し、第1透明素子とICDはその間に空隙を形成することができる。第2透明素子は結合剤によって第1透明素子に連結されることができる。第2透明素子は機械的相互作用によって第1透明素子に連結されることができる。機械的相互作用は、第1透明素子上と第2透明素子上に形成された相補的な連動機構を含むことができる。追加的な透明素子を用いることにより、さらに画質を高めることができる。
【0009】
その他の実施形態では、本発明は、ICDのアレイを含むICDウエハーと、第1透明素子のアレイを含む第1透明素子アレイと、第2透明素子のアレイを含む第2透明素子アレイとを含むデジタルカメラモジュールワークピースを提供し、各第1透明素子がICDのそれぞれを覆うように位置付けられ、各第2透明素子が第1透明素子のそれぞれを覆うように位置付けられる。一実施形態では、各第1透明素子とそのそれぞれの第2透明素子の周辺は、そのそれぞれのICDの周辺を越えて延出しない。ワークピースは、ICDに連結されたメタライゼーションをさらに含むことができる。第1透明素子アレイは、結合剤によってICDウエハーに連結できる。ICDウエハーと第1透明素子アレイは、バックラッピングされることが可能である。ICDウエハーは、第1透明素子アレイの反対側にプラズマエッチングされることにより、結合パッドにアクセス可能な穴を形成可能である。これらの穴は、その後メタライジングされてICDの底面上に電気接点を再配置し、ここに、はんだボールが取り付けられることによりウエハーレベルパッケージを形成することが可能となる。第2透明素子アレイは、第1透明素子アレイと結合剤によって連結できる。第2透明素子アレイは、第1透明素子アレイと機械的相互作用によって連結できる。機械的相互作用は、第1透明素子上と第2透明素子上に形成された相補的な連動機構を含むことができる。追加的な連動透明素子を加えることによりさらに画質を向上させることができる。
【0010】
その他の実施形態では、本発明は、ICDのアレイを含むICDウエハーを提供する工程と、第1透明素子のアレイを含む第1透明素子アレイを提供する工程と、各ICDがそれぞれの第1透明素子に対応するように第1透明素子アレイをICDウエハーに結合する工程と、第2透明素子のアレイを含む第2透明素子アレイを提供する工程と、各第1透明素子がそれぞれの第2透明素子に対応するように第2透明素子アレイを第1透明素子アレイに結合する工程と、ICDウエハーを個別ICDにシンギュレーションする工程と、第1透明素子アレイを個別第1透明素子にシンギュレーションする工程と、第2透明素子アレイを個別第2透明素子にシンギュレーションする工程を含むデジタルカメラモジュールを製造する方法を提供する。
【0011】
ICDウエハーをシンギュレーションする工程は、第2透明素子アレイを第1透明素子アレイに結合する工程の前に実施できる。本方法は、第2透明素子アレイを第1透明素子アレイに結合する工程の前に、第1透明素子アレイをバックラッピングする工程をさらに備えることができる。本方法は、ICDウエハーをプラズマエッチングする工程をさらに備えることができる。プラズマエッチングは、ICDウエハーに穴を形成することにより、ボンディングパッドにアクセス可能となる。これらの穴は、その後メタライジングされてICDの底面上に電気接点を提供し、ここに、はんだボールが取り付けられることによりウエハーレベルパッケージを形成することが可能となる。プラズマエッチングは、ICDウエハーを個別ICDにシンギュレーションすることができる。本方法は、個別ICDをメタライジング及びパターニングする工程をさらに備えることができる。第1透明素子アレイをシンギュレーションする工程と第2透明素子アレイをシンギュレーションする工程の両方ともが、第2透明素子アレイを第1透明素子アレイに結合する工程の後に実施することが可能である。本方法は、個別ICDの少なくとも1つを、回路基板に、はんだパッドコネクタを用いて連結する工程をさらに備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施形態における、プリント回路基板(PCB)に添着されたデジタルカメラモジュールの斜視図である。
図1Bは、本発明の実施形態における、PCBに相対的なカメラモジュールの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態における、PCBに添着されたデジタルカメラモジュールの断面図である。
【
図3】
図3Aは、本発明の実施形態における、ICDウエハーの上面図である。
図3Bは、本発明の実施形態における、透明素子アレイの上面図である。
【
図4】本発明の実施形態における、ウエハーレベルにおけるデジタルカメラモジュールの製造方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は以下図面を参照して詳説する。図面において、同様の参照符号は類似の要素を意味するものとする。
以下の記述において、多数の詳細事項を説明することにより、本発明を完全に理解可能なものとする。当業者であれば理解可能ではあるが、本発明はこれら詳細事項を逸脱して実施されることも可能である。さらに、公知の実施事項及び公知部品を省略することにより、本発明の記載を不必要に不明瞭としないようにした。
【0014】
本発明の実施形態は、ウエハーレベルでレンズがその上に形成されたデジタルカメラモジュール及びその製造方法を提供することにより、従来技術に関連する問題を克服するものである。本発明の実施形態は、レンズアセンブリをハウジング内に取り付ける必要性をなくすことによって、高収率、製造処理の高速化及び低い製造原価を促進する。ある実施形態では、処理作業が減少し且つ材料数も少なくなるために、品質を向上させることができる。また、モジュールはウエハーレベルで作成されるために、クリーンルーム技術を用いることによりICD損傷及び/又は汚染の危険性を低減することが可能である。さらに、ある実施形態では、デジタルカメラモジュールの外形寸法を、例えば全て三次元的に、小さくすることができる。
【0015】
図1Aは、本発明の一実施形態における、プリント回路基板(PCB)(110)に添着されたデジタルカメラモジュール(100)の斜視図を示す。デジタルカメラモジュール(100)は、ICD(102)、ICD(102)に添着された第1透明素子(104)、第1透明素子(104)に添着された第2透明素子(106)、及びICD(102)のメタライゼーション(206)を含む。第1透明素子(104)は、結合剤層(108)を介してICD(102)に結合されることができる。結合剤層(108)は、例えば、ICD(102)の上面と第1透明素子(104)の底面との間に直接的に用いられたダイカット粘着シートであることができ、及び/又は均一な調合接着剤であることができる。第1透明素子(104)は、第2透明素子(106)に、例えば、粘着剤、機械的相互作用等を用いて、結合可能である。ICD(102)のメタライゼーション(206)は、従来のエッチング、パターニング及びメタライジング(金属化)工程を用いて実施でき、誘電体を含むことができる。示される如く、デジタルカメラモジュール(100)は、ICD(102)に対して中心付けされ、焦線(114)に沿って一直線に配される。
【0016】
一実施形態では、第2透明素子(106)は、レンズ(112)を含む。レンズ(112)は、光学ガラス又はその他の光学グレード材料から構成される、凸凹レンズとすることができる。図示しないが、第1透明素子(104)もまた、光学ガラス又はその他の光学グレード材料から構成されるレンズを有することができる(
図1Bのレンズ(116)を参照)。また、示される如く、メタライゼーション(206)は内向きの角度をなす周辺壁を有することができるため、メタライゼーション(206)の周辺は、ICD(102)の周辺壁を越えることはない。
【0017】
図1Bは、本発明の実施形態において、PCB(110)に相対的であるとともに焦線(114)に沿った分解組立図で示したデジタルカメラモジュール(100)の斜視図である。デジタルカメラモジュール(100)は、ICD(102)、メタライゼーション(206)、結合剤層(108)、第1透明素子(104)、及び第2透明素子(106)を含む。
【0018】
示される如く、ICD(102)は、入射光から画像を取り込むことが可能な撮像装置(120)を含む。本実施形態では、撮像装置(120)は、略長方形の周辺を有するが、その他形状の周辺であることも可能である。結合剤層(108)は、撮像装置(120)と同じ周辺を有するアパーチャー(118)を含むことにより、遮られることのない経路を付与し光がその間を通過することを可能とする一方で、第1透明素子(104)とICD(102)との間に形成される結合を維持可能である。他の実施形態では、アパーチャー(118)は撮像装置(120)とは異なる大きさ及び/又は形状の周辺を有することができる。結合剤層(108)は、不透明接着材料を含むことにより、光が、撮像装置(120)へと、レンズ素子(112)及び(116)を通る以外に、第1透明素子(104)及び/又は第2透明素子(106)を通って進入することを防ぐことができる。追加的に又は代替的に、結合剤層(108)は、防水性接着剤を含むことにより、蒸気及び/又は粒子状物質が空隙(204)又は撮像装置(120)を汚染することを防ぐことができる。
【0019】
本実施形態では、第1透明素子(104)は凹−凸レンズ(116)(ICD(120)に向かう方向に外向きに且つ入射光から離れる方向に突出)を含む。第2透明素子(106)は凸−凹レンズ(112)(ICD(120)から離れる方向に外向きに且つ入射光に向かう方向に突出)を含む。第1透明素子(104)及び第2透明素子(106)は光を撮像装置(120)に集束させるように作用する。追加的な透明素子を使用することにより、例えば焦点を変更可能であることは高く評価されることである。
【0020】
PCB(110)は、デジタルカメラモジュール(100)、より詳しくはICD(102)との電気的接続に用いられる結合パッド(122)を含む。図示しないが、メタライゼーション(206)は、結合パッド(122)に対応してパターニングとメタライジングされた底面(
図2参照)を有することができる。一実施形態では、デジタルカメラモジュール(100)とPCB(110)はともにはんだ付けされる。当業者であれば理解できることではあるが、その他種類の電気的接点(例えば、オス型及びメス型プラグブロック)を使用することもできる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態において、PCB(110)に相対的であるとともに焦線(114)に沿ったデジタルカメラモジュール(100)の断面側面図である。示される如く、デジタルカメラモジュール(100)は、ICD(102)、メタライゼーション(206)、結合剤層(108)、第1透明素子(104)、及び第2透明素子(106)を含む。
【0022】
第1透明素子(104)は、凹−凸レンズ素子(116)と台部(150)を有し、第2透明素子(106)は、凸−凹レンズ素子(112)と台部(155)を有する。一実施形態では、レンズ素子(112)とレンズ素子(116)それぞれの周辺は円形状であり、レンズ素子(112)とレンズ素子(116)それぞれの直径は、少なくとも撮像装置(120)の最大寸法と同じ長さを有する。示される如く、台部(150)(
図2では、上方と下方へ突出した脚部を含んで示されている)により、第1透明素子(104)がICD(102)上に基準位置を定めることが可能となり、第2透明素子(106)が第1透明素子(104)の台部(150)上に基準位置を定めることが可能となる。台部(150)と台部(155)は略平面な部分を含むように図示されているが、当業者であれば、これらが異なる形状(機械的な適合又はかみ合い部品を含む)で使用できることは理解できるはずである。
【0023】
第1透明素子(104)及び第2透明素子(106)が組み立てられた時、レンズ素子(112)とレンズ素子(116)はその間に空隙(202)を形成する。さらに、レンズ素子(116)は、第1透明素子(104)の上面と台部(150)の低い方の面との間に配され、レンズ素子(116)と撮像装置(120)もまた、その間に空隙(204)を形成する。その他の実施形態では、空隙(202)と(204)を有さないことが可能であることは、高く評価される。一実施形態では、第1透明素子(104)又は第2透明素子(106)のうちの1つは、レンズ焦点合わせ能力を全く有さないことができ、及び/又は実質的に平面のシートのみを含むこともできる。
【0024】
はんだ(200)(例えば、はんだパッド)を用いることにより、デジタルカメラモジュール(100)をPCB(110)に連結させることが可能である。はんだ(200)は、効果的にPCB(110)の結合パッド(122)とメタライゼーション(206)を連結することにより、ICD(102)とPCB(110)間の電気接続を作り出す。
【0025】
図3Aは、本発明の一実施形態における、ICDウエハー(300)の上面図である。示される如く、ICDウエハー(300)は、個別ICD(102)のアレイを含み、各ICD(102)は撮像装置(120)を含む。個別ICD(102)は1つのウエハー上で同時に形成され、その後、組立工程中に分離することが可能である。各ICD(102)の輪郭は、横方向の点線(302)と縦方向の点線(304)で規定される。
【0026】
図3Bは、本発明の一実施形態における、透明素子アレイ(306)の上面図である。透明素子アレイ(306)は、複数の個別透明素子(308)を含み、各個別透明素子(308)はレンズ素子(310)を含む。個別透明素子(308)は1つのウエハー上で同時に形成され、その後、組立工程中に分離することが可能である。一実施形態では、個別透明素子(308)は、各透明素子(308)が、ICDウエハー(300)の個別ICD(102)のそれぞれに対応するように、大きさ付けられる及び/又は間隔を空けて配される。当業者であれば理解できることではあるが、透明素子アレイ(306)の個別透明素子(308)は、第1透明素子(104)及び/又は第2透明素子(106)を含むことが可能である。したがって、その上に形成されたレンズ素子(310)は、レンズ(112)及び/又はレンズ(116)であることができる。各透明素子(308)の輪郭は、横方向の点線(312)と縦方向の点線(314)で規定される。
【0027】
図4は、本発明の実施形態における、ウエハーレベルのデジタルカメラモジュールの製造方法(400)を示すブロック図である。工程(402)では、ICDのアレイを含むICDウエハーが提供される。工程(404)では、第1透明素子のアレイを含む第1透明素子アレイが提供される。工程(406)では、第1透明素子アレイがICDウエハーに、例えば第1透明素子アレイとICDウエハーとの間に結合剤層を用いて、結合される。工程(408)では、結合されたアセンブリはバックラッピングされる、即ち、場合によっては、ICDウエハーの裏側(機能していない部分)の一部、場合によっては第1透明素子アレイの上側の一部が除去される。バックラッピングは、アセンブリの片面又は両面を平面化し、アセンブリの厚みを減らし、アセンブリの片面又は両面における望ましくない湾曲を除去し、上面と底面の平面性と平行性等を高める。工程(410)では、ICDウエハーはプラズマエッチング及びシンギュレーション(個片化)される。プラズマエッチング工程は、ICDを貫通する穴を作り出すことにより、ICDの正面側における結合パッドに電気接続可能とする。プラズマエッチング、ダイシング、又はその他任意の好適な手段を使用することにより、ICウエハーをシンギュレーションすることが可能である。シンギュレーション工程は、ICDを、例えば、プラズマエッチング、レーザー切断、及び/または機械的切断によって、個別化する。この時点では、シンギュレーションされたICDは、第1透明素子アレイによって、アレイ形態において維持されることも可能である。工程(412)では、ICDの裏側は、パターニング及びメタライジングされることにより、PCB接続用のICD回路への電気接続を作り出す。
【0028】
工程(414)では、第2透明素子アレイが、第1透明素子アレイの上側に連結されることにより、第2透明素子アレイの各第2透明素子が、第1透明素子アレイの各第1透明素子とともに整列する。第2透明アレイは、結合剤、相補的な機械的相互作用(たとえば、適合又はかみ合い部品)、又は任意のその他好適な連結機構を用いて連結することができる。工程(416)では、第1と第2透明素子アレイの第1と第2透明素子は、例えば、機械的切断を用いて、シンギュレーションされることにより、個別のデジタルカメラモジュールを作り出すことになる。
【0029】
説明された特徴の多くは、本発明の範囲を逸脱することなく、代替、変更又は省略することができる。例えば、レンズを追加又は削除する、レンズ形状を変化させる、屈折力を変える等によって、他のレンズ形態を使用することも可能である。さらに、ICDとPCBは1つの電子部品に統合することが可能である。組立の順序を変更することも可能である。その他の例としては、プラズマエッチング、メタライジング、はんだボールの取付けは、代わりにワイヤボンディング工程を用いて、ICD(透明素子によって覆われていない部分)の上面における結合パッドをPCB上の結合パッドに電気的に連結させることによって、省略可能である。詳細な実施形態から派生したこれら及びその他の内容は、本開示内容を考慮すると、当業者にとって明らかなものであるといえる。