特許第5768257号(P5768257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768257
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】自走式介護用リフト
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/10 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A61G7/10
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-171472(P2012-171472)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2014-18623(P2014-18623A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年2月14日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】506392045
【氏名又は名称】横田 修
(72)【発明者】
【氏名】横田 修
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−200406(JP,A)
【文献】 特開2005−348761(JP,A)
【文献】 特表2001−517107(JP,A)
【文献】 特開2002−209956(JP,A)
【文献】 特開平11−151277(JP,A)
【文献】 特開平02−193667(JP,A)
【文献】 特開2000−296156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後動作用車輪と操舵用車輪を持つ2台の昇降台(1〜2)をベッドの頭側と足側側面に設け、互いの昇降台上を数本の連結パイプで固定した上で、後方連結パイプ(6)内に設けた同期上下動作の為の、連結用回転軸(28)とスパイラルベベルギア(29)を介して、昇降台駆動用台形ねじ(30)を連結すると共に、前後の連結パイプを身体吊下げフックを有する回転機構のスライドレールとしても併用する事を特徴とした自走式介護用リフト。
【請求項2】
請求項1の構成に於ける安全対策として、前後・左右・回転動作用モーターは、必要最小限の出力トルクを有する機種を選定基準とすると共に、連結パイプ下側には障害物検知用センサーとして、レーザー発光素子(32〜33)と受光素子(34〜35)を設け、回転盤付きスライドベース盤(37)の4角には、押し上げ外力検出スイッチ(36)を設けた事を特徴とする自走式介護用リフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用リフトの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の介護用リフトは、被介護者の身体的傷害の状態に関わらず、腰を曲げた状態で吊下げる方法が従来技術として知られている。
【0003】
身体吊下げ状態から、ベッド手前に設置された目的移乗機器への動作を行なう介護用リフトに於いては、支柱を使用した前後動作や一方を固定した半円状の動作を行なう内容が従来技術として知られている。
【0004】
従来の介護用リフトは、すべての移乗機器に於いて介護者が現場で操作する事を前提とした装置が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−286513号公開
【特許文献2】特開2001−061906号公開
【非特許文献】
【特許文献3】特開2002−126015号公開
【特許文献4】特開2002−065763号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は身体吊下げ時の姿勢に於いて、被介護者の身体的傷害を考慮した柔軟な対応が出来ていない課題がある。
【0007】
被介護者が寝たきり状態の介護に於いて、肉体的負担の最も大きい入浴介護は、従来の介護用リフトでは介護者の補助的作業が多く伴う課題がある。
【0008】
一部の移乗機器に於ける被介護者自身による操作の実現や、同時に介護者の操作に於いても、第三者による安全確認を可能にすると共に、熟練操作者による遠隔操作を実現すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、永年取り組み研究した結果、本発明を成し得たものであり、前後用と操舵用の車輪を持つ2台の昇降台を頭側と足側に設けると共に、各昇降台上を数本のパイプで連結すると、ベッド上周辺全体を同時に上下動作させる事が出来る為、必要に応じた場所に身体吊下げ用ベルト又はロープを取り付ける事により、被介護者の身体的傷害を考慮しながら、目的移乗機器にあわせた理想的な吊下げ姿勢で移乗させる事が出来る。又、ベッド手前に設置された簡易浴槽などへの移動に付いても、ベッド上から入浴状態に近い姿勢で移乗出来るため、介護者の補助的作業は最少となる。
【0010】
昇降台前後に設けた位置確認用受光素子(15〜16)と後方床面に設置した基準位置照射用レーザー発光素子(13〜14)との組み合わせで、前後動作時の位置ずれを把握する事により、リアルタイムに前後の操舵車輪に反映する事が出来、走行レールや支柱など使用しない安定した前後動作を実現出来る。
【0011】
介護ベッド上からの移乗に於いて、身体吊り下げ時の上下・前後・左右・回転の全ての動作を電動化すると共に、死角を最少にする為の、被介護者確認用カメラ2台(25〜26)を設置する事により、介護者のみの操作だけでなく、被介護者自身による操作や遠隔操作を実現出来る。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明に係わる自走式介護用リフトは、ベッド手前のスペースを最大限に利用する事が出来る為、広いスペースを必要とする介護用簡易浴槽なども簡単に利用出来ると共に、ベッド上より入浴姿勢に近い状態で移動する事が出来る為、介護者の負担を最少にした在宅介護を実現出来る。
【0013】
必要最小限動作(上下・前後・左右・回転)全ての電動化と、二台の確認用カメラとの組み合わせににより、第三者による操作確認や熟練操作者による遠隔操作など、安全性向上と介護に係わる経済的負担を軽減する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係わるリフト全体斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係わるリフト全体斜視図である。
図3】本発明の実施例2に係わる、前後動作関連の配置平面図である。
図4】本発明の実施例2に係わる、位置ずれ検出部の詳細平面図である。
図5】本発明の実施例1に係わる、同期連結機構の平面図である。
図6】本発明の実施例3に係わる、安全センサーの配置平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。身体吊下げ多様姿勢がとれる様、介護ベッド上の周辺を上下移動させる方策として、頭側と足側に設けた2台の昇降台を、吊下げ用フック付き回転テーブルのスライドレールを兼ねた数本のパイプで連結し、必要に応じて吊り具用ベルトやロープを任意の場所へ取り付けると共に、介護ベッド手前スペースを最大限に利用出来る動きとして、走行レールや支柱を必要としない前後自走式介護用リフトを提案します。
【実施例1】
【0016】
請求項1に係わる昇降台の構造について説明する。2台の昇降台(1〜2)の内部構造としては、台形ネジを使用したパンタグラフ方式を採用しているが、その他の方式としては、垂直に台形ネジを使った方式など多種の方式が考えられる。採用基準としては、安全面を考慮してセルフロック機能を有する方式を採用する事が望ましい。又、同期動作させるための方策として、連結パイプ(6)内に設けた回転軸(28)とスパイラルベベルギヤ(29)を介して、台形ネジ(30)同士を連結し、1台のモーター(27)で動作させているが、2台のモーターを使用した位置データー管理方式の同期駆動方法も考えられる。
【0017】
図1に於いて、介護ベッド(3)の背もたれを起こすと同時に、膝部を持ち上げた状態で、4台フック付き回転円盤(9)で身体吊り下げ状態にした後、介護ベッド手前に置かれたトイレ(4)に移乗する場合は、4台フック付き回転円盤スライド駆動モーター(8)と介護リフト前後動作機構の操作により移乗を達成する事になる。又、車椅子(5)への移乗の場合は、4台フック付き円盤回転駆動モーター(7)を操作して90度回転する操作を行なう事で、車椅子の置かれた方向に合わせる事が出来る。図2は、介護用簡易浴槽を利用する状態を表しており、介護ベッド上で介護入浴用ネットを使用して、4台フック付回転円盤(11)だけでなく、昇降台上部フック(12)など必要に応じた場所にフックを設ける事により、移乗目的機器と被介護者の身体的負担を最少にする姿勢で搬送移動を可能にしている。又、ベッド後方に簡易浴槽を設置して利用する事も出来る。
【実施例2】
【0018】
2台の連結した昇降台の前後動作を走行レールや支柱を使用しないで安定動作させた実施例を図3図4で説明する。後方受光素子(15)による検出位置データーは、後方操舵用車輪(20)に、又、前方受光素子(16)による検出位置データーは、前方操舵用車輪(19)にリアルタイムで反映される事になる。次に、位置ずれ検出方法について説明を行なう。レーザー発光素子(13)より位置検出素子(15)に向けて発した光は、レーザー光拡散板を通過する事で拡散され受光素子(21)と(22)が検出した状態を表している。これは、昇降台後方部が少し右側にずれている事になり、昇降台後方操舵用車輪(20)が自動的に修正動作する事になる。又、中央検出素子(22)のみ検出した場合は、後方操舵用車輪(20)は動作せず、直進状態を保持する事になる。以上の説明は、昇降台後方部の位置修正の方法であるが、昇降台手前部についても同様に進行方向を考慮しながら、リアルタイムに実施する事により、安定した自走式介護用リフトの前後動作を実現している。
【実施例3】
【0019】
請求項2による安全対策について説明を行なう。前後・左右・回転動作に使用する駆動用モーターは、転がり抵抗を上回る駆動トルクを有する最少の機種を選定する為、通常以外の弱い外力に対しても、モーターの回転速度を検知し、異常として装置を停止している。次に、図6による安全センサーの機能について説明する。上下動作に於いては、特に下降動作時の安全対策が重要であり、操作時の確認ミスなどが重大事故となる危険性がある。この為、まず前後の連結パイプに付いては、レーザー発光素子(32〜33)と受光素子(34〜35)により、連結パイプの下側の全ての場所に於いて障害物を検知し、下降動作を自動停止させている。又、回転盤付きスライドベース盤(37)の4角に設置した検出スイッチ(36)は、通常は全てオン状態であり、下側からの外力、つまりリフト下降時に障害物に当った状態では、スライドベース盤(37)が上に持ち上げられる事になる。この時、4個の検出スイッチの1個以上がオフ状態となり、下降動作を自動停止させている。以上の自動停止状態からの復帰方法は、逆動作である上昇操作により、行なう事が出来る。
【符号の説明】
【0020】
1 頭側パンタグラフ式昇降台
2 足側パンタグラフ式昇降台
3 介護用ベッド
4 介護用トイレ
5 介護用車椅子
6 後方連結パイプ兼スライドレール
7 4台フック付円盤回転モーター
8 4台フック付回転円盤スライドモーター
9 4台フック付回転円盤
10 頭側吊り具取り付け用フック
11 入浴介護用ネット
12 介護用簡易浴槽
13 昇降台後方位置検出用レーザー発光素子
14 昇降台手前位置検出用レーザー発光素子
15 昇降台後方位置検出用受光素子
16 昇降台手前位置検出用受光素子
17 昇降台後方前後駆動用車輪
18 昇降台手前前後駆動用車輪
19 昇降台手前操舵用車輪
20 昇降台後方操舵用車輪
21 左位置検出受光素子
22 中心位置検出受光素子
23 右位置検出受光素子
24 レーザー光拡散板
25 頭側確認用カメラ
26 足側確認用カメラ
27 昇降台用モーター
28 連結用回転軸
29 スパイラルベベルギア
30 昇降機駆動用台形ねじ
31 昇降機駆動用台形ナット
32 頭側後方レーザー発光素子
33 頭側手前レーザー発光素子
34 足側後方受光素子
35 足側手前受光素子
36 押し上げ外力検出スイッチ
37 回転盤付きスライドベース盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6