(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段が、前記クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードに関する測定を行い、前記ボールスピードに関する測定結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶手段に記憶させる請求項1記載のゴルフ支援システム。
前記制御手段が、前記ヘッドスピード及び前記ボールスピードに関する測定結果に基づいてミート率を算出し、前記ミート率の算出結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶手段に記憶させる請求項1又は2記載のゴルフ支援システム。
前記制御手段が、前記ヘッドスピード又は前記ボールスピードに関する測定結果に基づいて前記ボールの推定飛距離を算出し、前記推定飛距離の算出結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶手段に記憶させる請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
前記メトロノーム手段が、前記スイング支援報知を形成する前記単位報知のうち、所定の前記単位報知にアクセントを付け、前記スイング支援報知において、アクセントのある前記単位報知と、アクセントのない前記単位報知とからなる拍子が、周期的に繰り返されるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載したゴルフ支援システム。
複数回の前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、テンポ又は拍子の少なくとも一方を異ならせた前記スイング支援報知を行い、前記制御手段が、各測定の前記測定結果又は前記算出結果の少なくとも一方と、各測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポ又は拍子の少なくとも一方とを対応付けた統計データを記憶手段に記憶させる請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
前記制御手段が、前記統計データに基づいて、各測定の前記測定結果又は前記算出結果の少なくとも一方と、各測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポ又は拍子の少なくとも一方との相関関係を表示させる請求項6記載のゴルフ支援システム。
前記メトロノーム手段が、あらかじめ設定された所定の測定回数ごとに、前記測定の際に行わせる前記スイング支援報知のテンポ及び/又は拍子を変更する請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
前記制御手段が、前記ヘッドスピードの最大値が測定されたタイミングと、前記測定の際に行った前記スイング支援報知の拍子を構成する最後の1拍の前記単位報知が行われたタイミングとを比較して、前記ゴルフクラブのスイングと、前記測定の際に行った前記スイング支援報知とのタイミングのずれを算出する請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
前記報知手段としてのスピーカを備え、前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、前記単位報知としての音を前記スピーカから出力させる請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
前記報知手段として、ワイヤレス通信が可能な耳装着型の音出力手段を備え、前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、前記単位報知としての音を前記音出力手段に内蔵されたスピーカから出力させる請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴルフ支援システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜4に開示されているような従来のメトロノーム装置は、いずれも一定のテンポ(アクセントのある拍が周期的に繰り返される場合はリズム)を生成するだけのものであり、メトロノーム装置が生成したテンポに合わせてスイングするだけでは、ユーザにとって最適なテンポを見つけることができないという問題があった。
【0007】
すなわち、ユーザにとっての最適なテンポとは、そのテンポでスイングしたときの結果、例えば、ヘッドスピード、ボールスピード、ボールのミート率、ホールの飛距離などが良好となるようなタイミングでなければならない。従来のメトロノーム装置を用いたスイング練習では、スイングのテンポと、スイングの結果とが結び付かないので、どのテンポのときに、どのような結果が出たのか相関関係が分からない。
【0008】
このため、従来のメトロノーム装置では、ユーザが自分に合ったスイングのテンポだと体感したとしても、このテンポが良い結果に結び付くテンポとは限らない。また、ユーザに合ったテンポは、性別、年齢によっても異なり、常に一定ではない。したがって、異なるテンポでスイング練習し、これらのテンポでスイングした場合の結果を対比しなければ、ユーザにとって最適なテンポを見つけることはできない。それにもかかわらず、スイングのテンポと、スイングの結果とを関連付けて、両者の相関関係を統計的に分析するシステムないし装置は、従来存在しなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ゴルフクラブのスイングに関する測定結果と、この測定で行ったスイングのテンポとの相関関係に基づいて、個々のユーザに最適なスイングのテンポを見つけることが可能なゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明のゴルフ支援システムは、ゴルフクラブのスイングに関する測定を行うためのゴルフ支援システムであって、ヘッドスピードに関する測定を行う制御手段と、聴覚、視覚又は触覚により感知可能な報知を行う報知手段と、前記測定に際し、あらかじめ設定された所定のテンポで単位報知を繰り返す一連のスイング支援報知を前記報知手段に行わせるメトロノーム手段とを備え、前記制御手段が、前記ヘッドスピードに関する測定結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶させる構成としてある。
【0011】
上記構成によれば、ゴルフクラブのヘッドスピードに関する測定結果と、この測定で行ったスイングのテンポとの相関関係に基づいて、個々のユーザに最適なスイングのテンポを見つけることが可能となる。
【0012】
本ゴルフ支援システムを用いて、最適なテンポを見つける方法としては、例えば、比較的遅いテンポからスイング練習を開始し、テンポを段階的に速くしてヘッドスピードの測定を行う。各テンポに対応するヘッドスピード(次に述べるボールスピードでもよい)からボールの推定飛距離を算出し、各テンポと推定飛距離との相関関係に着目する。この相関関係において、テンポを速くしても推定飛距離が変わらなくなるところがあるので、そのテンポがユーザの基準テンポということになる。その後、この基準テンポ付近でスイング練習を行い、例えば、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率、推定飛距離などの測定結果が安定して高い値を示すテンポを、ユーザの最適テンポとすればよい。
【0013】
なお、ユーザにとって最適なテンポとはいえないが、ヘッドスピードの最高値を記録したときのテンポを、自分に合ったテンポとしてもよい。
【0014】
ここで、本発明における「ヘッドスピードに関する測定」とは、ヘッドスピードそのものの測定に限らず、ヘッドスピードの測定結果から導き出される二次的な測定(ex.ボールのミート率、推定飛距離等の測定)をも含む意味である。「聴覚、視覚又は触覚により感知可能な報知」には、例えば、音、光、振動などの一つ又は二つ以上の組み合わせを用いた報知が広く含まれる。「テンポ」とは、拍(beat)を打つ速さであり、拍に相当する音、光、振動などの「単位報知」を所定のテンポで繰り返すことにより、一連の「スイング支援報知」が形成される。一般的に、テンポは、1分間における拍の数(Beat Per Minute=BPM)によって特定される。
【0015】
(2)好ましくは、前記制御手段が、前記クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードに関する測定を行い、前記ボールスピードに関する測定結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶させる構成にするとよい。
【0016】
上記構成によれば、クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードと、そのときのスイングのテンポとの相関関係を導き出すことが可能となる。また、上述したヘッドスピードの測定結果と、ボールスピードの測定結果とに基づいて、次に述べるボールのミート率を算出することができ、ミート率とスイングのテンポとの相関関係を導き出すことも可能となる。さらに、ボールスピードの測定結果に基づいて、ボールの推定飛距離を算出することができ、上述した推定飛距離とスイングのテンポとの相関関係を導き出すことも可能となる。特に、パターのように、スイングのストロークが短くヘッドスピードの測定が行えないゴルフクラブを用いた練習では、ボールスピードの測定結果に基づいて、ボールの推定飛距離を算出することができ、この推定飛距離とテンポとの相関関係から、最適なパターのストロークテンポを見つけることが可能となる。
【0017】
ここで、「ボールスピードに関する測定」とは、ヘッドスピードそのものの測定に限らず、ヘッドスピードの測定結果から導き出される二次的な測定(ex.ボールのミート率、推定飛距離等の測定)をも含む意味である。また、ボールスピードそのものの測定は、少なくともクラブヘッドに打ち出されたボールの初速を測定するものであればよい。
【0018】
(3)好ましくは、前記制御手段が、前記ヘッドスピード及び前記ボールスピードに関する測定結果に基づいてミート率を算出し、前記ミート率の算出結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶させる構成にするとよい。
【0019】
上記構成によれば、ミート率とスイングのテンポとの相関関係を導き出すことが可能となる。この「ミート率」は、ゴルフクラブのスイングを如何に効率よくボールへ伝達できたかを表す一つの指標である。ミート率が高いほど、スイングが安定していることになり、高いミート率が記録されたときのスイングのテンポを、上述した基準テンポ又は最適なテンポとしてもよい。このようなミート率は、ボールスピード(初速)/ヘッドスピードにより算出される。
【0020】
(4)好ましくは、前記制御手段が、前記ヘッドスピード又は前記ボールスピードに関する測定結果に基づいて前記ボールの推定飛距離を算出し、前記推定飛距離の算出結果と、前記測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポとを対応付けて記憶させる構成にするとよい。
【0021】
上記構成によれば、ボールの推定飛距離とスイングのテンポとの相関関係を導き出すことが可能となる。ゴルフのスコアアップを図るために、ボールの飛距離を延ばすことは極めて重要であり、推定飛距離とテンポとの相関関係は、ユーザが最適なテンポを選択するにあたり、重要な判断材料となる。この「ボールの推定飛距離」は、上述したヘッドスピード又はボールスピード(初速)に基づいて算出することができる。
【0022】
(5)好ましくは、前記メトロノーム手段が、前記スイング支援報知を形成する前記単位報知のうち、所定の前記単位報知にアクセントを付け、前記スイング支援報知において、アクセントのある前記単位報知と、アクセントのない前記単位報知とからなる拍子が、周期的に繰り返されるようにした構成にするとよい。
【0023】
上記構成によれば、スイング支援報知において、アクセントのある単位報知が周期的に繰り返され、該スイング支援報知に一定のリズムを形成することができる。これにより、スイングのタイミングを、スイング支援報知のテンポに合わせ易くなる。ここで、本発明における「アクセントを付ける」とは、拍子を構成する所定の単位報知に、聴覚、視覚又は触覚により感知可能な区別を付けることを意味する。例えば、単位報知が音の場合は、音の強弱、高低、長短、種類等を異ならせてアクセントを付けることができる。また、単位報知が光の場合は、光の強弱、色、発光時間等を異ならせてアクセントを付けることができる。さらに、単位報知が振動の場合は、振動の強弱、長短、振動数、振幅等を異ならせてアクセントを付けることができる。本発明において、アクセントは、拍子を構成するどの単位報知に付けてもよい。例えば、3拍子でスイング支援報知を行うならば、ユーザの好みに応じて1番目、2番目、3番目のどの単位報知にアクセントを付けてもよい。
【0024】
なお、「拍子」とは、一般に、強拍と弱拍との組み合わせからなる一定数の拍の集まりをいい、リズムを形成する一単位である。「リズム」とは、一般に、アクセントのある拍の周期的な繰り返しをいう。本発明においては、アクセントのない単位報知からなるテンポのみのスイング支援報知であってもよいし、アクセントを付けた単位報知が周期的に繰り返されるテンポ及びリズムのスイング支援報知であってもよい。
【0025】
(6)好ましくは、複数回の前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、テンポ又は拍子の少なくとも一方を異ならせた前記スイング支援報知を行い、前記制御手段が、各測定の前記測定結果又は前記算出結果の少なくとも一方と、各測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポ又は拍子の少なくとも一方とを対応付けた統計データを記憶させる構成にするとよい。
【0026】
上記構成によれば、例えば、スイング支援報知のテンポ、拍子を段階的に異ならせて複数回のスイング練習を行うことができ、各スイング練習の測定結果等を統計的に記録することが可能となる。これにより、例えば、遅いテンポから段階的にテンポを速くするスイング練習を行い、各テンポと推定飛距離との相関関係に基づいて、自分に合った最適なテンポを容易に見つけることができる。
【0027】
ここで、スイング支援報知のテンポは、例えば、男性、女性、大人、子供、お年寄り、プロ、アマチュア等の全てのユーザを考慮して、20〜120BPM程度の範囲を設定するとよい。また、スイング支援報知の拍子は、例えば、2〜6拍子程度の範囲を設定するとよい。
【0028】
スイング支援報知のテンポ、拍子は、スイングを行うときの動作タイミングであり、いずれもヘッドスピードに影響する。例えば、男性プロゴルファは80〜100BPM程度、女性プロゴルファは70〜80BPM程度のテンポでスイングを行っている。一方、スイングの拍子は、2拍子、3拍子、4拍子、5拍子、6拍子など様々である。例えば、2拍子でスイングを行う場合は、1拍でアドレス、2拍でトップスイング、インパクトからフォロースルーまでを行う。3拍子でスイングを行う場合は、1拍でアドレス、2拍でトップスイング、3拍でインパクトからフォロースルーまでを行う。4拍子でスイングを行う場合は、1拍でショット方向確認、2拍でアドレス、3拍でトップスイング、4拍でインパクトからフォロースルーまでを行う。その他、スイングを行うときの習慣を考慮し、5拍子、6拍子又はそれ以上の場合もある。
【0029】
(7)好ましくは、前記制御手段が、前記統計データに基づいて、各測定の前記測定結果又は前記算出結果の少なくとも一方と、各測定の際に行った前記スイング支援報知のテンポ又は拍子の少なくとも一方との相関関係を表示させる構成にするとよい。
【0030】
上記構成によれば、異なるテンポ、拍子で行ったスイング練習の測定結果等を表やグラフで視覚化し、スイングのテンポ、拍子と、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率又は推定飛距離との相関関係を容易に理解することが可能となる。例えば、上述した最適なテンポを見つける方法を実施する場合において、縦軸に推定飛距離、横軸をスイングのテンポとしたグラフを表示すれば、テンポを速くしても推定飛距離が変わらなくなるところが一目で分かり、ユーザの基準テンポを容易に特定することができる。
【0031】
(8)好ましくは、前記メトロノーム手段が、あらかじめ設定された所定の測定回数ごとに、前記測定の際に行わせる前記スイング支援報知のテンポ及び/又は拍子を変更する構成にするとよい。
【0032】
上記構成によれば、ユーザが何ら操作を行うことなく、自動的にスイング支援報知のテンポ、拍子が変更されるので、自分に最適なテンポ、拍子を見つけるためのスイング練習を連続的に行うことが可能となる。ここで、本発明を実施する際には、スイング支援報知のテンポ、拍子が変更される節目に、ユーザに変更を知らせるための報知を行うとよい。例えば、この変更報知が音の場合は、単位報知と異なる音、所定のメロディ、メッセージボイス等とする。変更報知が光の場合は、単位報知と異なる色、発光パターン、発光時間等とする。変更報知が振動の場合は、単位報知と異なる強さ、長さ、振動数、振幅等とする。
【0033】
(9)好ましくは、前記制御手段が、前記ヘッドスピードの最大値が測定されたタイミングと、前記測定の際に行った前記スイング支援報知の拍子を構成する最後の1拍の前記単位報知が行われたタイミングとを比較して、前記ゴルフクラブのスイングと、前記測定の際に行った前記スイング支援報知とのタイミングのずれを算出する構成にするとよい。
【0034】
上記構成によれば、ユーザが選択したスイング支援報知の拍子と、ユーザが行ったスイングの拍子とのずれを検出することができ、ずれの程度を把握したうえで、スイングのテンポ矯正を効率よく行うことができる。例えば、ユーザは、本ゴルフ支援システムを用いて最適なテンポを見つけた後、この最適なテンポでスイング練習を行う。このときのスイングのテンポにずれが生じた場合は、音、光、振動等によってテンポがずれたことを報知する。例えば、スピーカから「テンポが遅いです」又は「テンポが速いです」といったメッセージを音声で出力し、又はこのようなメッセージを液晶画面に表示する。スイングのテンポのずれをLEDの発光色で抽象的に表示してもよい。例えば、テンポが遅いときはLEDを「緑」に発光させ、テンポが速いときはLEDを「赤」に発光させる。また、例えば、テンポが遅いときに振動数の低い振動、テンポが速いときに振動数の高い振動を発するようにしてもよい。
【0035】
(10)好ましくは、前記報知手段としてのスピーカを備え、前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、前記単位報知としての音を前記スピーカから出力させる構成にするとよい。(11)より好ましくは、前記報知手段として、ワイヤレス通信が可能な耳装着型の音出力手段を備え、前記測定に際し、前記メトロノーム手段が、前記単位報知としての音を前記音出力手段に内蔵されたスピーカから出力させる構成にするとよい。
【0036】
上記構成によれば、スイング支援報知を耳で聞きながら、スイングのテンポ、拍子を合わせることができるので、ユーザは意識を集中してスイングを行うことができる。特に、ワイヤレス通信が可能な耳装着型の音出力手段を用いてスイング支援報知を行う構成とした場合には、ゴルフ場やゴルフ練習場において、他のプレーヤに迷惑を掛けることなく、スイングのテンポ合わせを行うことが可能となる。ここで、「ワイヤレス通信」には、有線以外の通信方式が広く含まれ、例えば、電波を用いた無線通信、赤外線を用いた赤外線通信が含まれる。
【0037】
(12)上記目的を達成するために、本発明のゴルフ支援装置は、上述した本発明のゴルフ支援システムを実施するための装置であり、ドップラーセンサと、前記制御手段及び前記メトロノーム手段として機能するコンピュータとを備え、前記ドップラーセンサから出射したマイクロ波を前記クラブヘッド又は前記ボールに反射させ、反射波の周波数に基づいてヘッドスピード又はボールスピードに関する測定を行う構成としてある。
【0038】
上記構成によれば、ドップラー効果を利用してヘッドスピード及びボールスピードを高精度に測定することができ、ユーザが選択したテンポ、拍子のスイングを行った場合のヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離等を、正確に測定又は算出することが可能となる。これにより、異なるテンポ、拍子でスイングを行ったときの正確なデータが得られ、ユーザが最適なものとして選択したテンポ、拍子の信頼性は高い。
【0039】
(13)上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、上述した本発明のゴルフ支援システムを、ドップラーセンサを有するゴルフ支援装置で実施するためのプログラムであって、前記ゴルフ支援装置に搭載されたコンピュータを、前記制御手段及び前記メトロノーム手段として機能させる制御処理を行う。
【0040】
上記制御処理を行う本発明のプログラムによっても、上記(1)〜(11)のゴルフ支援システム、上記(12)のゴルフ支援装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、本発明のゴルフ支援システム、ゴルフ支援装置及びプログラムによれば、ゴルフクラブのスイングに関する測定結果と、この測定で行ったスイングのテンポとの相関関係に基づいて、個々のユーザに最適なスイングのテンポを見つけることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態に係るゴルフ支援装置(ゴルフ支援システム及びプログラムを含む)について、図面を参照しつつ説明する。
【0044】
[ゴルフ支援装置の外観構成]
図1(a)〜(c)において、本実施形態に係るゴルフ支援装置1は、スイング練習におけるクラブヘッドのヘッドスピード、ボールスピード、ボールのミート率、推定飛距離を測定し、測定結果を表示及び管理するためのものである。以下、本ゴルフ支援装置1の外観構成について、
図1〜
図3を参照しつつ説明する。
【0045】
<タッチスクリーン・ディスプレイ部>
図1(a)及び
図2に示すように、筐体10の正面には、例えば、LCD又は有機ELD等のディスプレイ部12が設けてあり、このディスプレイ部12の表面には、タッチした位置の座標を検出する透明のタッチスクリーン11が積層してある。このようなディスプレイ部12には、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果、測定に使用したゴルフクラブの種類等の情報が表示される。また、本実施形態では、タッチスクリーン11の面積をディスプレイ部12よりも大きくし、ディスプレイ部12の画面外にタッチ操作可能なメニューボタン14を設けた構成としてある。メニューボタン14は、ディスプレイ部12の画面下方に位置し、略正方形状に縁取られたボタンの描画である。このメニューボタン14をタッチ操作することで、ディスプレイ部12の表示を
図8(a)に示すメニュー画面に切り替えることができる。このように、本ゴルフ支援装置10の各種の操作(電源のON/OFFを除く)は、ほとんどがディスプレイ部12の画面上に表示した各種アイコンや、メニューボタン14をタッチ操作することで行うようになっている。
【0046】
<LED表示部>
ディスプレイ部12の上方には、例えば、青、黄、赤の三色に発光するLED表示部13が形成してある。LED表示部13は、筐体11表面の合成樹脂製の化粧板の一部を、例えば、乳白色又はスモークなどの半透過性としたものである。このLED表示部13の内部には、
図4に示す三色LED23が内蔵してあり、LED表示部13は、この三色LED23からの光を透過させて青、黄、赤の三色に発光する。好ましくは、LED表示部13の裏面を粗面とし、三色LED23からの光を乱反射して、LED表示部13全体が均一に発光するようにするとよい。
【0047】
<メモリカードスロット・電源スイッチ>
図1(b)及び
図2に示すように、筐体10の側面には、蓋付きのメモリカードスロット15が設けてある。モリカードスロット15の内部には、
図4に示すメモリカードリーダ25が内蔵してあり、本ゴルフ支援装置1は、メモリカードスロット15にセットされたメモリカード26からの情報の読み出し、又は情報の書き込みを行うことが可能となっている。また、メモリカードスロット15の隣には、本ゴルフ支援装置1の電源をON/OFF操作するための電源スイッチ16が設けてある。
【0048】
<ドップラーセンサ>
図1(c)及び
図2に示すように、筐体10の底面には、
図4に示すドップラーセンサ17のアンテナ開口面が配設してある。ドップラーセンサ17は、出力周波数24.15GHzのマイクロ波を出射し、反射波の周波数に応じた信号を出力する。本ゴルフ支援装置1は、例えば、
図5に示すように、ゴルフクラブCをスイングするユーザUの後方所定位置に設置し、ドップラーセンサ17から出射されたマイクロ波が、クラブヘッドCH又はボールBに反射されるようにする。
【0049】
<スタンド>
このような本ゴルフ支援装置1には、
図2に示す専用スタンド40と、
図3に示すワイヤレスイヤホン(報知手段)30が付属する。専用スタンド40は、本ゴルフ支援装置1を設置する面の傾斜に応じて、本ゴルフ支援装置1が水平になるように角度調整を行うためものである。専用スタンド40は、図示しないボールジョイントを備えており、上下方向及び左右方向に角度調整が可能となっている。
【0050】
<ワイヤレスイヤホン>
図3において、ワイヤレスイヤホン30は、後述する本ゴルフ支援装置1のメトロノーム機能を実現するためのものであり、ユーザのスイングテンポを矯正するためのスイング支援報知を出力する。本実施形態のワイヤレスイヤホン30の外観構成は、主として筐体31、イヤピース32及びクリップ33からなり、イヤピース32を耳介に引っ掛けるインナーイヤー型となっている。イヤピース32の内部には、
図4に示すスピーカ36が内蔵してあり、イヤピース32に穿設した透孔32aから音を出力する。また、クリップ33は、ワイヤレスイヤホン30を耳に保持するためのものであり、イヤピース32を耳介に引っ掛けた状態で耳朶を挟持する。
【0051】
[ゴルフ支援装置の内部構成]
次に、本ゴルフ支援装置1の内部構成について、
図4を参照しつつ説明する。本ゴルフ支援装置1は、制御手段及びメトロノーム手段としてのマイクロコントローラ21を備えている。本ゴルフ支援装置1の各種機能は、マイクロコントローラ21に接続したEEPROM28上にプログラムとして格納してあり、このプログラムをマイクロコントローラ21のCPUが実行することにより実現される。また、マイクロコントローラ21は、後述する本発明のメトロノーム機能、測定結果等の良否判定機能の制御処理を実行する。以下、マイクロコントローラ21に接続した各構成要素と、マイクロコントローラ21が実行する制御処理とを含めて説明する。
【0052】
<ドップラーセンサ・アンプ>
マイクロコントローラ21には、アンプ22を介して、上述したドップラーセンサ17が接続してある。ドップラーセンサ17は、上述したように、出力周波数24.15GHzのマイクロ波を出射し、反射波の周波数に応じた信号を出力する。ドップラーセンサ17の出力信号は、アンプ22によって増幅され、ドップラーパルス信号又はドップラーリニア信号としてマイクロコントローラ21に出力される。マイクロコントローラ21は、受信したドップラーパルス信号に基づいてヘッドスピードを測定するとともに、受信したドップラーリニア信号に基づいてボールスピードを測定する。また、マイクロコントローラ21は、これらヘッドスピード、ボールスピードの測定結果からミート率及び推定飛距離を算出する。上述したように、ミート率は、ボールスピード/ヘッドスピードにより導き出すことができる。また、推定飛距離は、ヘッドスピード又はボールスピードのいずれか一方から導き出すことができる。
【0053】
<タッチスクリーン・ディプレイ部>
マイクロコントローラ21には、上述したタッチスクリーン11及びディスプレイ部12が接続してある。タッチスクリーン11は、ディスプレイ部12に表示されたアイコンやボタン、メニューボタン14のタッチ操作を検出し、その位置座標をマイクロコントローラ21に送信する。マイクロコントローラ21は、受信した位置座標に基づいて所定の制御処理を実行する。また、マイクロコントローラ21は、電源スイッチ16又はタッチスクリーン11の操作に基づいて、オープニング画面、メニュー画面、各種モード画面、待受け画面、各種設定画面などをディスプレイ部12に表示させる。また、マイクロコントローラ21は、上述したヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果、測定に使用したゴルフクラブの種類等の情報等をディスプレイ部12に表示させる(
図1(a)中の「1W(1番ウッド)」を参照)。
【0054】
<三色LED>
マイクロコントローラ21には、上述した三色LED23が接続してある。この三色LED23は、測定結果の良否判定機能を実行する際の報知手段であり、良否判定の評価結果を異なる発光色で報知する。マイクロコントローラ21は、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果を、例えば、
図12に示す基準データと比較して良否判定する。
【0055】
本実施形態では、ヘッドスピード等の各測定結果に対応して、それぞれ高、中、低の3つの閾値を基準データとして設定し、各測定結果の良否の程度を上、中、下の三段階で評価するようにしている。測定結果が高い閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「青」に発光させる。また、測定結果が中間の閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「黄」に発光させる。さらに、測定結果が低い閾値を超えた場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を「赤」に発光させる。なお、測定結果が低い閾値を超えなかった場合には、マイクロコントローラ21は三色LED23を発光させない。
【0056】
<赤外線LED・ワイヤレスイヤホン>
マイクロコントローラ21には、ワイヤレスイヤホン30への送信手段としての赤外線LED24が接続してある。ワイヤレスイヤホン30は、メトロノーム機能を実行する際の報知手段である。マイクロコントローラ21は、後述するスイング支援報知のテンポ、拍子、音量の設定に関する情報を、赤外線LED24を介してワイヤレスイヤホン30に送信する。
【0057】
ワイヤレスイヤホン30は、赤外線受光部34、CPU35及びスピーカ36を備えている。赤外線受光部34は、マイクロコントローラ21からの設定に関する信号を受信し、この信号に基づいて、CPU35が、設定に従ったテンポ、拍子、音量のスイング支援報知をスピーカ36に出力させる。
【0058】
なお、本実施形態では、ワイヤレスイヤホン30との通信手段として、赤外線通信を採用したが、有線以外の通信方式ならば、例えば、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)などの電波を用いた無線通信手段であってもよい。
【0059】
<メモリカードリーダー・メモリカード>
マイクロコントローラ21には、上述したメモリカードリーダ25が接続してある。このメモリカードリーダ25には、例えば、SDカード、ミニDカード、マイクロSDカード等のメモリカード26が挿入される。このメモリカード26には、各種設定情報、ヘッドスピード等の各測定結果の履歴等が記憶される。また、メモリカード26を図示しないパソコンに接続して、インターネット上から更新プログラムをダウンロードし、EEPROM28に格納されたソフトウェアのバージョンアップなどを行なうことが可能である。
【0060】
<電源スイッチ・電源>
マイクロコントローラ21には、上述した電源スイッチ16及び電源27が接続してある。電源スイッチ16をONにすると、マイクロコントローラ21がプログラムの起動を開始し、ディスプレイ部12にオープニング画面を表示させる。その後、プログラムの起動が完了すると、マイクロコントローラ21は、各種機能を実行するための複数のアイコンが並んだメニュー画面(
図8(a)を参照)をディスプレイ部12に表示させる。ユーザがいずれかのアイコンにタッチすることで、いずれかの機能が実行される。また、本ゴルフ支援装置1に用いる電源としては、例えば、世界各国で入手が容易な単三型のアルカリ乾電池、ニッケル水素蓄電池が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0061】
[ゴルフ支援装置の使用方法]
次に、上記構成からなる本ゴルフ支援装置1の使用方法の具体例について、
図5及び
図6を参照しつつ説明する。
【0062】
図5及び
図6は、ゴルフクラブCをスイングするユーザUの後方所定位置に、本ゴルフ支援装置1を設置した場合を例示している。なお、本ゴルフ支援装置1は、ユーザUの前方所定位置に設置してもヘッドスピード、ボールスピードの測定を行うことができる。以下、本ゴルフ支援装置1を、ユーザUの後方所定位置に設置するものとして説明する。
【0063】
本ゴルフ支援装置1は、上述したドップラーセンサ17の検知範囲が、スイング中のクラブヘッドCHが最大速度で移動する地点を含む位置に設置する。
図5に示すように、クラブヘッドCHの移動軌跡Kの最下点付近が、ボールBに対するインパクト位置となり、通常はインパクト位置の付近でクラブヘッドCHの移動速度が最大速度になる。したがって、本ゴルフ支援装置1は、クラブヘッドCHの移動軌跡Kの最下点の接線L上で、かつユーザUの後方所定位置に設置する。
【0064】
上記インパクト位置におけるクラブヘッドCH及びボールBに対する本ゴルフ支援装置1の距離は、バックスイング時にクラブヘッドCHが本ゴルフ支援装置1に当たらない位置とする。例えば、
図6に示すように、本ゴルフ支援装置1をボールBの約1m後方に設置するとよい。本ゴルフ支援装置1を設置する際には、ドップラーセンサ17のアンテナ開口面が、ボールBに正対する(接線L上を向く)ようにする。またこのとき、本ゴルフ支援装置1が水平になるように、
図2に示す専用スタンド40を使用して本ゴルフ支援装置1の角度調整を行うとよい。
【0065】
ここで、本ゴルフ支援装置1でヘッドスピード等を測定する際に使用するクラブの種類は、ウッド、ユーティリテイ、アイアン、ウエッジ又はパター等のいずれでもよい。なお、使用するクラブがパターの場合、本ゴルフ支援装置1は、ヘッドスピードの測定を行わず、ボールスピードのみを測定する。そして、測定の際に「使用クラブ種」を、タッチバネル11を介して本ゴルフ支援装置1に入力する。すると、マイクロコントローラ21が「使用クラブ種」に応じた係数で推定飛距離を算出する。また、「使用クラブ種」は、そのときの測定結果等とともにクラブの種類をディスプレイ部12に表示され、この測定結果等とともに履歴としてメモリカード26に記憶される。
【0066】
[ゴルフ支援装置の各種機能]
本ゴルフ支援装置1では、
図4に示すマイクロコントローラ21が、EEPROM28に格納されたプログラムを実行することで、「スイングモード」、「練習モード」、「メトロノーム機能」、「良否判定機能」等の各種機能を実現する。
【0067】
<スイングモード>
「スイングモード」は、本ゴルフ支援装置1のメイン機能であり、ゴルフクラブをスイングしたときのクラブヘッドのヘッドスピードと、クラブヘッドに打ち出されたボールのボールスピードとを同時に測定する。これら測定結果に基づいてミート率及び推定飛距離を算出し、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等をディスプレイ部12に表示する(
図1(a)を参照)。また、「スイングモード」の測定結果等は、履歴としてメモリカード26に蓄積される。
【0068】
<練習モード>
「練習モード」は、上述した「スイングモード」にゲーム要素を付加したものであり、例えば、アプローチ練習に最適な50〜150yardの目標飛距離を設定し、ユーザは目標飛距離にできるだけ近づけるようにスイングする。このときのヘッドスピード又はボールスピードに基づいて算出した推定飛距離が合格範囲内の場合は、ディスプレイ部12に「ナイスオン表示」を報知する。目標飛距離は、マイクロコントローラ21がランダムに選択するか、ユーザが任意の値を設定する。また、推定飛距離の合格範囲は、ユーザが任意の数値範囲を設定できる。
【0069】
<メトロノーム機能>
「メトロノーム機能」は、上述した「スイングモード」とともに実行される機能であり、ヘッドスピード等の測定を行う際に、
図3及び
図4に示すワイヤレスイヤホン30からスイング支援報知(本実施形態ではビープ音)を行い、ユーザがスイングのタイミングを取ることを支援する。以下、本ゴルフ支援装置1により実行される「メトロノーム機能」について、
図7〜10を参照しつつ詳細に説明する。
【0070】
<<スイング支援報知>>
図7は、本ゴルフ支援装置1が行うスイング支援報知の内容を示す説明図である。同図(a)は3拍子、同図(b)は4拍子、同図(c)は拍子なしのスイング支援報知Pをそれぞれ示す。
【0071】
図7(a)〜(c)に示すように、スイング支援報知Pは、あらかじめ設定された所定のテンポで単位報知(図中の符号P1、P2を参照)を繰り返す一連の報知である。本実施形態では、ワイヤレスイヤホン30のスピーカ36から出力されるビープ音を、単位報知としている。テンポとは、拍(beat)を打つ速さであり、拍に相当する単位報知P1、P2の1分間における数(Beat Per Minute=BPM)によって特定される。本実施形態のスイング支援報知Pは、少なくとも単位報知を一定の間隔で繰り返すテンポを有している。本ゴルフ支援装置1では、例えば、20〜120BPMの範囲で、ユーザが任意のテンポを設定することが可能となっている(
図8(c)を参照)。
【0072】
また、本実施形態では、スイング支援報知Pに所定の拍子を付けることができるようになっている。拍子とは、強拍と弱拍との組み合わせからなる一定数の拍の集まりをいい、リズムを形成する一単位である。リズムとは、アクセントのある拍の周期的な繰り返しをいう。
図7(a)及び(b)に示すように、スイング支援報知Pを形成する単位報知のうち、所定の単位報知P1にアクセントを付け、アクセントのある単位報知P1と、アクセントのない単位報知P2とからなるからなる所定の拍子が周期的に繰り返されるリズムを形成することができる。本ゴルフ支援装置1では、例えば、2〜6拍子の範囲で、ユーザが任意の拍子を設定することが可能となっている(
図8(d)を参照)。
【0073】
例えば、
図7(a)に示すように、スイング支援報知Pを3拍子に設定した場合は、アクセントのある1つの単位報知P1と、アクセントのない2つの単位報知P2、P2とが3拍子を形成し、例えば、「ピ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音を所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pになる。ユーザは、この3拍子のスイング支援報知Pにタイミングを合わせてスイングを行う。例えば、1拍目の単位報知P1でアドレス、2拍目の単位報知P2でトップスイング、3拍目の単位報知P2でインパクトからフォロースルーまでを行う。
【0074】
また、
図7(b)に示すように、スイング支援報知Pを4拍子に設定した場合は、アクセントのある1つの単位報知P1と、アクセントのない3つの単位報知P2、P2、P2、P2とが4拍子を形成し、例えば、「ピ!」、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音を所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pになる。ユーザは、この4拍子のスイング支援報知Pにタイミングを合わせてスイングを行う。例えば、1拍目の単位報知P1でショット方向確認、2拍目の単位報知P2でアドレス、3拍目の単位報知P2でトップスイング、4拍目の単位報知P2でインパクトからフォロースルーまでを行う。
【0075】
一方、スイング支援報知Pに拍子を付けるか否かは、ユーザの好みに応じて選択することができ、
図7(c)に示すように、アクセントのない単位報知P2、P2、P2…のみを所定のテンポで繰り返すスイング支援報知Pを行うこともできる。この場合は、アクセントのない複数の単位報知P2、P2、P2…が所定のテンポで繰り返され、例えば、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」、「ポ!」…のビープ音が連続する拍子のないスイング支援報知Pになる。拍子のないスイング支援報知Pは、スイングのタイミングが何拍子であっても合わせることができ、また、連続する単位報知P2、P2、P2…のどこからでもスイング動作を開始することができるメリットがある。
【0076】
<<スイング支援報知の各種設定>>
次に、本ゴルフ支援装置1の「メトロノーム機能」を実行する場合の各種設定画面及び操作手順について、
図8(a)〜(e)を参照しつつ説明する。
【0077】
図8(a)は、本ゴルフ支援装置1において各種機能を選択するためのメニュー画面を示すものである。ディスプレイ部12に表示されるメニュー画面には、「スイングアイコン」、「練習アイコン」、「バットアイコン」、「ボールアイコン」、「メトロノームアイコン」、「設定アイコン」、「戻るボタン」が含まれており、いずれのアイコン及びボタンも、タッチパネル11のタッチ操作で選択が可能となっている。なお、「スイングアイコン」及び「練習アイコン」は、上述した「スイングモード」及び「練習モード」を選択するためのものである。また、「バットアイコン」、「ボールアイコン」は、後述する「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」を選択するためのものである。「設定アイコン」は、本ゴルフ支援装置1の各種設定を行うための「設定画面」に移行するためのものである。「戻るボタン」は、現在のメニュー画面に移行する前の画面に戻すためのものである。
【0078】
図8(a)に示すメニュー画面上で「メトロノームアイコン」をタッチすると、上述したマイクロコントローラ21が、ディスプレイ部12の表示を
図8(b)に示す「メトロノーム機能」の実行画面に切り替える。この実行画面には、いずれもタッチ操作で選択可能な「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」「送信ボタン」、「戻るボタン」が含まれている。これらのうち、「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」には、それぞれ「テンポ:80」、「拍子:3」、「音量:大」というように、現在の設定内容が表示されている。この状態で「送信ボタン」をタッチ操作で選択すると、マイクロコントローラ21が、現在の設定に関する情報をワイヤレスイヤホン30に送信し、ワイヤレスイヤホン30のスピーカ36からテンポ=80BPM、3拍子のスイング支援報知Pが出力される。
【0079】
スイング支援報知Pの設定を変更する場合は、
図8(b)に示す「テンポアイコン」、「拍子アイコン」、「音量アイコン」をそれぞれタッチ操作すればよい。「テンポアイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(c)に示すテンポ設定画面に切り替わる。このテンポ設定画面では、20〜120BPMの範囲で、スイング支援報知Pのテンポを設定することができる。設定値の入力は、「0」〜「9」のキーボードを使用して行う。20〜120BPMの範囲内の数値を入力して「OKボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(b)の実行画面に戻る。一方、20〜120BPMの範囲外の数値を入力すると、テンポ設定画面上に「範囲外です」とのメッセージが表示され、数秒後に
図8(b)の実行画面に戻る。
【0080】
「拍子アイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(d)に示す拍子設定画面に切り替わる。この拍子設定画面では、2〜6拍子の範囲で、スイング支援報知Pのテンポを設定することができる。設定値の入力は、「2」〜「6」のキーボードを使用して行う。2〜6拍子の範囲内の数値を入力して「OKボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(b)の実行画面に戻る。一方、2〜6拍子の範囲外の数値を入力すると、拍子設定画面上に「範囲外です」とのメッセージが表示され、数秒後に
図8(b)の実行画面に戻る。
【0081】
「音量アイコン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(e)に示す音量設定画面に切り替わる。この音量設定画面では、スイング支援報知Pの音量を「大」、「中」、「小」のいずれかに設定することができる。設定後、「戻るボタン」をタッチ操作すると、ディスプレイ部12の表示が、
図8(b)の実行画面に戻る。
【0082】
<<測定結果とテンポ、拍子との相関関係>>
上述した「メトロノーム機能」を実行しつつ、「スイングモード」でヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定及び算出を行った場合、マイクロコントローラ21は、これらの測定結果及び算出結果と、測定の際に出力したスイング支援報知Pのテンポ及び拍子の設定値とを対応付けて、メモリカード26に記憶させる。そして、マイクロコントローラ21は、各測定結果等と、スイングのテンポ及び拍子との相関関係を、
図9(a)及び(b)に示す態様でディスプレイ部12に表示させる。
【0083】
図9(a)は、各測定結果等と、スイングのテンポ及び拍子との相関関係を数値で示す履歴表示である。この履歴表示では、左欄から順番に、測定の「回数」、「ヘッドスピード(m/s)」の測定結果、「ボールスピード(m/s)」の測定結果、「ミート率」の算出結果、「推定飛距離(yard)」の算出結果、測定時の「テンポ(BPM)」の設定値、測定時の「拍子」の設定値が、互いに対応付けられて表示される。ユーザは、この履歴表示を参照して、自分に最も適したテンポを見つけることができる。
【0084】
また、各測定結果等と、スイングのテンポとの相関関係は、ヘッドスピード等の測定項目ごとにグラフで表示される。例えば、
図9(b)は、推定飛距離の算出結果と、スイングのテンポとの相関関係を示すグラフである。
図9(b)のグラフは、テンポ50〜80BPMにかけて推定飛距離が延び、80BPMを超えたあたりから推定飛距離が220yard前後で変わらなくなったことを視覚的に示している。ユーザは、このようなグラフを参照して、自分に最も適したテンポが80BPM付近であると目星を付けることができる。
【0085】
<<スイングのテンポずれ判定機能>>
上述した本ゴルフ支援装置1に、スイング支援報知Pのテンポと、実際のスイングのテンポとのずれの有無を判定する機能を追加することができる。以下、マイクロコントローラ21により実行されるスイングのテンポずれ判定制御の流れを、
図10に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0086】
なお、以下に説明するスイングのテンポずれ判定機能を追加するためには、マイクロコントローラ21がスイング支援報知Pのテンポ、拍子、音量の各設定情報をワイヤレスイヤホン30に送信するだけでは足りず、スイング支援報知Pを形成する各単位報知P1、P2の出力タイミングを監視可能な構成としなければならない。例えば、マイクロコントローラ21が、スイング支援報知Pの元となる音声信号を生成してワイヤレスイヤホン30に送信する構成、又はワイヤレスイヤホン30のCPU35が、スイング支援報知Pの元となる音声信号を生成し、この音声信号の出力タイミングをマイクロコントローラ21に送信する構成が考えられる。
【0087】
図10のステップS1において、まず、マイクロコントローラ21は、「スイングモード」が選択されたか否かを判断する。「スイングモード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。本テンポずれ判定機能は「メトロノーム機能」に付随するものであり、「スイングモード」が選択されなければ、「メトロノーム機能」が実行されないからである。
【0088】
一方、ステップS1において、「スイングモード」が選択されたと判別した場合(YES)は、ステップS2に進み、マイクロコントローラ21は、「メトロノーム機能」が選択されたか否かを判断する。「メトロノーム機能」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。「メトロノーム機能」が選択されなければ、テンポずれの判断基準となるスイング支援報知Pが出力されず、ずれの有無を判定できないからである。
【0089】
一方、ステップS2において、「メトロノーム機能」が選択されたと判別した場合(YES)は、ステップS3に進み、2〜6拍子の範囲内の拍子Xが設定されたか否かを判断する。拍子Xが設定されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。2〜6拍子の範囲外、すなわち、ユーザが拍子なしを設定した場合は、拍子を構成する最後の1拍に相当する単位報知の出力タイミングを特定できないので、テンポずれの有無を判定できないからである。
【0090】
一方、ステップS3において、2〜6拍子の範囲内の拍子Xが設定されたと判別した場合(YES)は、ステップS4に進み、スイング支援報知が開始されたか否かを判断する。スイング支援報知が開始されていないと判別した場合(NO)は、ステップS4の判断を繰り返す。一方、スイング支援報知が開始されたと判別した場合(YES)は、ステップS5に進み、マイクロコントローラ21は、単位報知の出力タイミングを監視する。
【0091】
次いで、ステップS6に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値を測定したか否か判断する。ヘッドスピードの最大値を測定していないと判別した場合(NO)は、このステップS6の判断を繰り返す。一方、ヘッドスピードの最大値を測定したと判別した場合(YES)は、ステップS7に進み、ヘッドスピードの最大値の測定タイミングt1を検出する。その後、ステップS8に進み、マイクロコントローラ21は、測定タイミングt1に最も近い、拍子Xの最後のX拍目(ex.3拍子ならば3拍目)の単位報知の出力タイミングt2を検出する。そして、マイクロコントローラ21は、測定タイミングt1と、X拍目の単位報知の出力タイミングt2とのタイミングずれtnを算出する(ステップS9)。
【0092】
次いで、ステップS10に進み、マイクロコントローラ21は、タイミングずれがtn≒0であるか否かを判断する。ここで、厳密に「tn=0」でずれの有無を判断すると、ほとんどの場合がずれ有りと判別されてしまうので、ステップS10では、許容範囲内の誤差を含めた「tn≒0」でタイミングすれtnの有無を判断している。タイミングずれがtn≒0であると判別した場合(YES)は、ステップS11に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「青」に発光させて、「スイングのテンポが合っている」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS10において、タイミングずれがtn≒0でないと判別した場合(NO)は、ステップS12に進み、タイミングずれがtn<0であるか否かを判断する。タイミングずれがtn<0であると判別した場合(YES)は、ステップS13に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「黄」に発光させて、「スイングのテンポが速い」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS12において、タイミングずれがtn<0でないと判別した場合(NO)は、ステップS14に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「赤」に発光させて、「スイングのテンポが遅い」ことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0095】
上記構成によれば、ユーザが選択したスイング支援報知Pの拍子Xと、ユーザが行ったスイングの拍子とのずれを検出することができ、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを三色LED23の発光色で報知することができる。これにより、ユーザは、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを把握したうえで、スイングのテンポ矯正を効率よく行うことができる。
【0096】
すなわち、従来のメトロノーム装置では、ユーザが行ったスイングのテンポがずれているか否かを判別していなかった。このため、ユーザは、自分のスイングのテンポがずれているか否かを把握しないで、メトロノーム装置から提供されるテンポを体で覚える練習を行っていた。これに対し、本実施形態におけるスイングのテンポずれ判定機能によれば、三色LED23が「青」に発光したときのテンポを体で覚える練習をする。この練習において、三色LED23が「黄」に発光したならば、スイングのテンポを若干遅くするように矯正し、三色LED23が「赤」に発光したならば、スイングのテンポを若干速くするよう矯正する。これにより、ユーザは、スイングのテンポが合っているのか、速いのか又は遅いのかを把握したうえで、スイングのテンポ矯正を効率よく行うことができる。
【0097】
<良否判定機能>
「良否判定機能」は、上述した「スイングモード」及び「練習モード」とともに実行される機能であり、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等の良否判定を行い、三段階の評価結果を三色LED23の発光色で報知するものである。以下、本ゴルフ支援装置1により実行される「良否判定機能」について、
図11〜14を参照しつつ詳細に説明する。
【0098】
<<良否判定機能の各種設定>>
まず、本ゴルフ支援装置1の「良否判定機能」を実行する場合の各種設定画面及び操作手順について、
図11(a)及び(b)を参照しつつ説明する。
【0099】
図8(a)に示すディスプレイ部12のメニュー画面において、「設定アイコン」をタッチ操作すると、図示しない設定画面が表示される。この設定画面の設定項目の中から「良否判定機能」を選択すると、ディスプレイ部12の表示が、
図11(a)に示す「良否判定機能」の設定画面に切り替わる。この「良否判定機能」の設定画面には、「良否判定機能」、「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の5つの設定項目と、設定を終了するための「OKボタン」が含まれている。
【0100】
この「良否判定機能」の設定画面は、常時、
図11(a)に示す状態で表示されているのではなく、一番上に位置する「良否判定機能」の「ON/OFFアイコン」をONに設定すると、その下のスペースに「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の設定項目が表示され、これら設定項目が設定可能となる。これと逆に、「良否判定機能」の「ON/OFFアイコン」をOFFに設定すると、「適用モード」、「判定項目」及び「基準データ選択」の設定項目が非表示となり、
図11(a)に示す設定画面上には、「良否判定機能」の設定項目、「ON/OFFアイコン」及び「OKボタン」だけが表示されるようになる。
【0101】
図11(a)において、「良否判定機能」の設定項目には、上述した「ON/OFFアイコン」が設けてあり、この「ON/OFFアイコン」をスライド操作することで、「良否判定機能」のON/OFFを切り替えることが可能となっている。「ON/OFFアイコン」をOFFにした場合、「良否判定機能」は実行されない。
【0102】
「適用モード」の設定項目には、「スイングモードアイコン」及び「練習モードアイコン」が設けてあり、これらアイコンのうちから選択した機能モードについて「良否判定機能」が実行される。これらアイコンの選択/解除はいずれもタッチ操作で行うことができ、選択されたアイコンは明るく点灯した描画になり、解除されたアイコンは暗く消灯した描画になる。また、これらアイコンの選択を両方とも解除することはできず、少なくとも一方のアイコンは選択された状態になる。
【0103】
「適用項目」の設定項目には、「ヘッドスピードアイコン」、「ボールスピードアイコン」、「ミート率アイコン」及び「推定飛距離アイコン」が設けてあり、これらアイコンのうちから選択した測定項目について「良否判定機能」が実行される。上記と同様に、アイコンの選択/解除はいずれもタッチ操作で行うことができ、選択されたアイコンは明るく点灯した描画になり、解除されたアイコンは暗く消灯した描画になる。また、全てのアイコンの選択を解除することはできず、少なくとも1つのアイコンは選択された状態になる。
【0104】
<<基準データの選択>>
図11(a)に示す「基準データ選択」の設定項目には、「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」、「EASYアイコン」及び「OPTIONアイコン」が設けてある。この「基準データ選択」の設定項目では、ヘッドスピード、ボールスピード、ミート率及び推定飛距離の測定結果等の良否判定を行うための基準データを選択する。
【0105】
ここで、本実施形態では、所定の閾値が予め設定された難易度の異なる第1〜第3基準データ(
図13を参照)を用意し、これら第1〜第3基準データをそれぞれ「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」及び「EASYアイコン」に割り当てている。「HARDアイコン」を選択した場合には、難易度の高い第1基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。また、「NORMALアイコン」を選択した場合には、中間の難易度の第2基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。さらに、「EASYアイコン」を選択した場合には、難易度の低い第3基準データを用いて測定結果等の良否判定が行われることになる。ユーザは、自分のゴルフの実力に応じて「HARDアイコン」、「NORMALアイコン」又は「EASYアイコン」を選択すればよい。
【0106】
<<基準データの閾値設定>>
一方、この「基準データ選択」の設定項目において「OPTIONアイコン」を選択した場合、ユーザは、基準データの閾値を任意に設定することができる。
図11(a)に示す「OPTIONアイコン」をタッチ操作で選択すると、ディスプレイ部12の画面表示が、
図11(b)に示すような基準データ設定画面に切り替わる。この基準データ設定画面には、「ヘッドスピード」、「ボールスピード」、「ミート率」及び「推定飛距離」の各設定項目が含まれており、これら設定項目ごとに「第1閾値アイコン」、「第2閾値アイコン」及び「第3閾値アイコン」が設けてある。このように、本実施形態では、ボールスピード等の設定項目ごとに、第1〜第3の3つの閾値を設定することが可能となっている。
【0107】
図11(b)に示す各設定項目の「第1閾値アイコン」、「第2閾値アイコン」及び「第3閾値アイコン」のいずれかをタッチ操作すると、ディスプレイ部12の画面表示が、
図11(c)〜(f)に示すような基準データの閾値入力画面に切り替わる。同図(c)はヘッドスピード、同図(d)はボールスピード、同図(e)はミート率、同図(f)は推定飛距離の閾値入力画面である。
【0108】
このような閾値入力画面では、予め定められた数値範囲内の閾値を「0」〜「9」のキーボードをタッチ操作して入力を行う。入力する閾値は、「単位ボタン」をタッチ操作することでメートル法又はポンドヤード法に単位換算することができる。例えば、
図11(c)及び(d)に示すヘッドスピードの閾値「49.0」、ボールスピードの閾値「72.7」は、いずれもメートル法の速度単位[m/s]における数値であるが、「単位ボタン」をタッチ操作して、ポンドヤード法の速度単位[mph]における数値に換算することができる。また、同図(f)に示す推定飛距離の閾値「260.0」は、ポンドヤード法の距離単位[yard]における数値であるが、「単位ボタン」をタッチ操作して、メートル法の距離単位[m]における数値に換算することができる。なお、同図(e)に示すミート率に単位はない。
【0109】
<<基準データの具体例>>
次に、「良否判定機能」に用いる基準データの具体例について、
図12及び
図13を参照しつつ説明する。
【0110】
図12は、一の基準データの具体例を示す表である。同表は、左側から順に「測定項目」、「LED発光色」、「設定可能範囲」、「基準データ(初期値)」の欄となっている。「良否判定機能」により良否判定を行う測定項目は、「ヘッドスピード」、「ボールスピード」、「推定飛距離」及び「ミート率」であり、各測定項目についての良否判定の評価結果は、三色LED23の「青」、「黄」、「赤」いずれかの発光色で報知される。
【0111】
本実施形態では、ヘッドスピード等の各測定項目について、それぞれ「基準データ(初期値)」の欄に示す基準データが設けてあり、各測定項目の基準データは、三色LED23の「青」、「黄」、「赤」の発光色にそれぞれ対応する3つの閾値(上記単位換算を含めると6つの閾値)からなっている。
図12の「基準データ(初期値)」の欄に示す各測定項目の閾値は一例であり、各測定項目において、「青」の発光色に対応する閾値が最も高く設定してあり、次に「黄」の発光色に対応する閾値が高く、「赤」の発光色に対応する閾値が最も低く設定してある。すなわち、「青」、「黄」、「赤」の順番に良否判定の評価結果が高いことを意味する。
【0112】
なお、実際にユーザに提供する閾値の初期値は、例えば、プロゴルファやアマチュアゴルファの平均値を参考にした値に設定することができる。但し、閾値をあまり高く設定すると、「青」や「黄」の評価結果が得にくくなり、「良否判定機能」の面白さが低減してしまう。逆に、閾値をあまり低く設定すると、「青」の評価結果が頻発するようになり、「良否判定機能」の面白さが低減してしまう。したがって、実際にユーザに提供する閾値の初期値は、高すぎず低すぎず、適度な難易度となるような値とすることが好ましい。このため、本実施形態では、
図12の「設定可能範囲」の欄に示す数値範囲内で、ユーザの好みに応じた任意の閾値を設定することができるようにしている。
【0113】
図13は、段階的に難易度の異なる複数の基準データの具体例を示す表である。同図に示すように、所定の閾値が予め設定された難易度の異なる第1〜第3基準データを設けてもよい。同図において、「第1基準データ(HARD)」の欄に示す閾値が最も高く設定してあり、次に「第2基準データ(NORMAL)」の欄に示す閾値が高く、「第3基準データ(EASY)」の欄に示す閾値が最も低く設定してある。ユーザは、自分のゴルフの実力に応じて、「第1基準データ(HARD)」、「第2基準データ(NORMAL)」又は「第3基準データ(EASY)」のいずれかを選択すればよい。
【0114】
<<良否判定制御>>
以下、マイクロコントローラ21により実行される「良否判定機能」における良否判定制御の流れについて、
図14を参照しつつ説明する。
図14は、一例としてヘッドスピードの測定結果の良否判定制御の流れを示すフローチャートである。
【0115】
図14のステップS21において、まず、マイクロコントローラ21は、「スイングモード」が選択されたか否かを判断する。「スイングモード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、ステップS22に進み、マイクロコントローラ21は、「練習モード」が選択されたか否かを判断する。「練習モード」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。「良否判定機能」は、「スイングモード」又は「練習モード」における測定結果等の良否判定を行うものだからである。
【0116】
一方、ステップS21において、「スイングモード」が選択されたと判別した場合(YES)、又はステップS22において、「練習モード」が選択されたと判別した場合(YES)は、いずれもステップS23に進み、マイクロコントローラ21は、「良否判定機能」が選択されたか否かを判断する。「良否判定機能」が選択されていないと判別した場合(NO)は、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0117】
一方、ステップS23において、「良否判定機能」が選択されていると判別した場合(YES)は、ステップS24に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが測定されたか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが測定されていないと判別した場合(NO)は、このステップS24の判断を繰り返す。
【0118】
一方、ステップS24において、ヘッドスピードの最大値HSが測定されたと判別した場合(YES)は、ステップS25に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、
図12に示す第1の閾値「50m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「50m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS26に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「青」に発光させて、ヘッドスピードの測定結果が良好あったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0119】
一方、ステップS25において、ヘッドスピードの最大値HSが「50m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、ステップS27に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、
図12に示す第2の閾値「40m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「40m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS28に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「黄」に発光させ、ヘッドスピードの測定結果が平均的あったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0120】
一方、ステップS27において、ヘッドスピードの最大値HSが「40m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、ステップS29に進み、マイクロコントローラ21は、ヘッドスピードの最大値HSが、
図12に示す第3の閾値「30m/s」以上であるか否かを判断する。ヘッドスピードの最大値HSが「30m/s」以上であると判別した場合(YES)は、ステップS30に進み、マイクロコントローラ21は、三色LED23を「赤」に発光させ、ヘッドスピードの測定結果があまり良くなかったことをユーザに報知する。その後、本フローチャートの制御処理を終了する。
【0121】
一方、ステップS29において、ヘッドスピードの最大値HSが「30m/s」以上でないと判別した場合(NO)は、マイクロコントローラ21は、三色LED23を発光させないで、本フローチャートの制御処理を終了する。この場合は、ヘッドスピードの測定結果が悪かったことを意味する。
【0122】
以上、ヘッドスピードの測定結果の良否判定制御を一例として説明したが、マイクロコントローラ21は、ボールスピード、ミート率、推定飛距離の測定結果等についても、上記とほぼ同様の制御処理を実行し、良否判定の評価結果を三色LED23の発光色で報知する。
【0123】
<その他の機能>
本ゴルフ支援装置1は、上述したゴルフ支援機能の他に、「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」の野球支援機能を備えている。これら「野球ボール検出モード」及び「野球バット検出モード」は、本ゴルフ支援装置1のドップラーセンサ17を利用して、野球ボールのボールスピード又は野球バットのスイングスピードを測定するものである。各測定結果は、ディスプレイ部12に表示されるとともに、図示しない本ゴルフ支援装置1内のRAMに一時的に記憶される。