特許第5768269号(P5768269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768269
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】調律器
(51)【国際特許分類】
   G10G 7/02 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   G10G7/02 100
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-2099(P2012-2099)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-142746(P2013-142746A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】徳田 洋志
【審査官】 上田 雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−074497(JP,U)
【文献】 特開平08−050484(JP,A)
【文献】 実開昭58−074298(JP,U)
【文献】 特開2007−114367(JP,A)
【文献】 米国特許第03968719(US,A)
【文献】 特開平07−253776(JP,A)
【文献】 特開2009−169062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向から、第1の方向とは反対方向の第2の方向へ一列に配列された発光素子と、
前記発光素子の中央に位置する初期発光位置から発光位置を順次移動させ調律すべき楽音信号の周期と標準周期との差の値が所定値に達した状態で発光位置を停止させるメーター表示手段と、
前記楽音信号の周期が前記標準周期より長いことを検出することにより発光位置を前記第2の方向へ順次移動させ、前記楽音信号の周期が前記標準周期より短いことを検出することにより、発光位置を前記第1の方向へ順次移動させるストロボ表示手段と、
前記楽音信号の周期が前記標準周期より長いことを検出することにより、前記メーター表示手段の点灯する発光位置を前記初期発光位置より前記第2の方向側へ表示させるとともに、前記ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を前記初期発光位置より前記第1の方向側へ表示させる低状態表示手段と、
前記楽音信号の周期が前記標準周期より短いことを検出することにより、前記メーター表示手段の点灯する発光位置を前記初期発光位置より前記第1の方向側へ表示させるとともに、前記ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を前記初期発光位置より前記第2の方向側へ表示させる高状態表示手段と、
前記楽音信号の周期が前記標準周期と一致していることを検出することにより、前記メーター表示手段の点灯させる発光位置を前記初期発光位置に表示させるとともに、前記ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を直前の発光位置から前記初期発光位置の方向へ順次移動させ前記初期発光位置に達した状態で停止させる一致状態表示手段と、
を備えることを特徴とする調律器。
【請求項2】
請求項1に記載の調律器であって、
前記発光素子は、少なくとも第1の色と、第1の色とは異なる第2の色を発光可能であり、
前記メーター表示手段は、前記第1の色で前記発光素子を発光させ、
前記ストロボ表示手段は、前記第2の色で前記発光素子を発光させる
ことを特徴とする調律器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は楽器の調律をする場合に用いる調律器に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器用調律器は一般に、特許文献1に記載されているように、マイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータにより調律しようとする楽器音の基本周期を検出する基本周期検出手段と、ピッチ誤差算出手段とを備え、調律しようとする楽器の音のピッチ誤差を表示する。ピッチ誤差の表示方法には、例えば、特許文献2や特許文献3に記載されている方法がある。
【0003】
特許文献2に記載の調律器は、複数の発光素子を一列に配列し、その配列の中央の発光素子を0セント表示素子、左端の発光素子を−50セント表示素子、右端の発光素子を+50セント表示素子として、どの発光素子が発光するかによって0セントからのピッチ誤差を表示する。
【0004】
特許文献3に記載の調律器は、一列に配列された発光素子を予め定めた複数発光させ、楽音信号の周期が標準周期より長いことを検出することにより、その発光位置を一方側から他方側へ移動させることで楽音信号の周波数が標準周波数より低い状態にあることを表示する。楽音信号の周期が標準周期より短いことを検出することにより、その発光位置を他方側から一方側へ移動させることで楽音信号の周波数が標準周波数より高い状態にあることを表示する。楽音信号の周期が標準周期と一致していることを検出することにより、その発光位置の移動を停止させることで調律が正しく行われていることを表示する。
【0005】
特許文献2に記載されているようなピッチ誤差の表示方法は一般にメーター表示と呼ばれており、特許文献3に記載されているようなピッチ誤差の表示方法は一般にストロボ表示と呼ばれている。メーター表示ではピッチ誤差の方向や大きさを直感的に把握しやすく、ストロボ表示ではピッチが正確に一致しているかを確認しやすいという傾向があるが、いずれを使用するかは目的とする奏法や利用者の好みにより適宜選択できることが望ましい。
【0006】
また、従来から、メーター表示とストロボ表示の両方を同時に表示することを1台で実現した調律器も存在している。この種の調律器では、一列に配列された発光素子を二本用いて、一本はメーター表示によりピッチ誤差を表示し、もう一本はストロボ表示によりピッチ誤差を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−099034号公報
【特許文献2】特開2000−066667号公報
【特許文献3】特開平8−050484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、メーター表示とストロボ表示の両方を備えた従来の調律器では、発光素子を二列必要とするため、ピッチ誤差を表示するために必要とする領域の面積が広くなり調律器の小型化を妨げる一因となっていた。また、部品点数が多くなるため、このような調律器を安価に実現することが難しかった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、一列に配列された一本の発光素子を用いてメーター表示とストロボ表示の両方を同時に表示することで、利用者の利便性や視認性を維持しつつ小型化することができる調律器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の調律器は、発光素子とメーター表示手段とストロボ表示手段と低状態表示手段と高状態表示手段と一致状態表示手段を備える。発光素子は、第1の方向から、第1の方向とは反対方向の第2の方向へ一列に配列される。メーター表示手段は、発光素子の中央に位置する初期発光位置から発光位置を順次移動させ調律すべき楽音信号の周期と標準周期との差の値が所定値に達した状態で発光位置を停止させる。ストロボ表示手段は、楽音信号の周期が標準周期より長いことを検出することにより発光位置を第2の方向へ順次移動させ、楽音信号の周期が標準周期より短いことを検出することにより、発光位置を第1の方向へ順次移動させる。低状態表示手段は、楽音信号の周期が標準周期より長いことを検出することにより、メーター表示手段の点灯する発光位置を初期発光位置より第2の方向側へ表示させるとともに、ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を初期発光位置より第1の方向側へ表示させる。高状態表示手段は、楽音信号の周期が標準周期より短いことを検出することにより、メーター表示手段の点灯する発光位置を初期発光位置より第1の方向側へ表示させるとともに、ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を初期発光位置より第2の方向側へ表示させる。一致状態表示手段は、楽音信号の周期が標準周期と一致していることを検出することにより、メーター表示手段の点灯させる発光位置を初期発光位置に表示させるとともに、ストロボ表示手段の点灯させる発光位置を直前の発光位置から初期発光位置の方向へ順次移動させ初期発光位置に達した状態で停止させる。
【0011】
好ましくは、発光素子は、少なくとも第1の色と、第1の色とは異なる第2の色を発光可能であるとする。メーター表示手段は、第1の色で発光素子を発光させる。ストロボ表示手段は、第2の色で発光素子を発光させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の調律器によれば、一列に配列された一本の発光素子を用いてメーター表示とストロボ表示の両方を同時に表示することができるため、利用者の利便性や視認性を維持しつつ小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の調律器2の構成を示すブロック図。
図2】本発明の調律器2の表示方法の一例を示す図。
図3】変形例の調律器2’の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0015】
図1を参照して、本発明の実施例1の調律器2の動作を詳細に説明する。図1は本実施例の調律器2の構成を示すブロック図である。調律器2は、マイクロコンピュータなどから構成され、調律器2の全体の動作を司る。マイクロコンピュータには、調律器2全体の動作制御のプログラムなどが格納されたリード・オンリー・メモリや、プログラムを実行する際に必要なワーキング・エリアとしてのランダム・アクセス・メモリ、およびクロック発振器や時間計測のタイマ機能などから構成される。
【0016】
本実施例の調律器2は、基本周期抽出部10とピッチ誤差算出部20と表示制御部30と表示処理部40と発光素子50を備える。表示制御部30は、低状態表示手段31と高状態表示手段32と一致状態表示手段33を備える。表示処理部40は、メーター表示手段41とストロボ表示手段42を備える。発光素子50は、第1の方向から第1の方向とは反対方向の第2の方向へ一列に配列されたm+1個のLED51〜LED51を備える。
【0017】
以下、実際に行われる手続きの順に説明してゆく。楽器1により演奏された音は、例えばマイクロホンまたは電気弦楽器に用いられるピックアップ等により楽音信号に変換され、入力端子を介して調律器2へ入力される。
【0018】
基本周期抽出部10は、調律器2に入力された楽音信号の基本周期を抽出する。基本周期とは、楽音に含まれる信号の中の最も周期が長い基本波成分の周期である。ピッチ誤差算出部20は、予め定められている標準周期と基本周期抽出部10の抽出した基本周期とを比較し、入力中の楽音信号のピッチ誤差を算出する。基本周期の抽出方法およびピッチ誤差の算出方法は周知のいかなる方法をも適用することができる。例えば、「特開2003−099034号公報」に記載の方法を適用することができる。ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差は、表示制御部30に入力される。
【0019】
表示制御部30は、基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期より長いことを検出した場合には、低状態表示手段31を実行させる。基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期より短いことを検出した場合には、高状態表示手段32を実行させる。基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期と等しいことを検出した場合には、一致状態表示手段33を実行させる。
【0020】
低状態表示手段31は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差を、表示処理部40を制御することにより、発光素子50に表示する。まず、低状態表示手段31は発光素子50の中央のLED51を発光させる。次に、発光素子50の中央のLED51より第2の方向側において、メーター表示手段41の発光位置を発光させる。そして、発光素子50の中央のLED51より第1の方向側において、ストロボ表示手段42の発光位置を発光させる。
【0021】
図2(A)に、調律器2が入力された楽音信号のピッチが標準よりも低い状態を表示する方法の一例を示す。ここでは、第1の方向は右方向であり、第2の方向は左方向である。発光素子50の中央のLED51をピッチ誤差0セントの位置とし、左端のLED51はピッチ誤差−50セントの位置とする。メーター表示手段41は、中央のLED51から左方向へ発光位置を順次移動させ、発光位置と中央のLED51との間隔がピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差に達した状態で発光位置を停止させる。ストロボ表示手段42は、右端のLED51から中央のLED51へ発光位置を順次移動させ、発光位置が中央のLED51へ到達した後は発光位置を右端のLED51へ戻し、再度右端のLED51から中央のLED51へ発光位置を順次移動させる。このとき、ピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差の絶対値が大きいほど発光位置の移動速度が早くなるように制御する。発光位置の移動速度の制御方法は、周知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、特許文献3に記載された発光位置の移動速度の制御方法を利用することができる。
【0022】
高状態表示手段32は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差を、表示処理部40を制御することにより、発光素子50に表示する。まず、高状態表示手段32は発光素子50の中央のLED51を発光させる。次に、発光素子50の中央のLED51より第1の方向側において、メーター表示手段41の発光位置を発光させる。そして、発光素子50の中央のLED51より第2の方向側において、ストロボ表示手段42の発光位置を発光させる。
【0023】
図2(B)に、調律器2が入力された楽音信号のピッチが標準よりも高い状態を表示する方法の一例を示す。発光素子50の中央のLED51をピッチ誤差0セントの位置とし、右端のLED51はピッチ誤差+50セントの位置とする。メーター表示手段41は、中央のLED51から右方向へ発光位置を順次移動させ、発光位置と中央のLED51との間隔がピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差に達した状態で発光位置を停止させる。ストロボ表示手段42は、左端のLED51から中央のLED51へ発光位置を順次移動させ、発光位置が中央のLED51へ到達した後は発光位置を左端のLED51へ戻し、再度左端のLED51から中央のLED51へ発光位置を順次移動させる。このとき、ピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差の絶対値が大きいほど発光位置の移動速度が早くなるように制御する。
【0024】
一致状態表示手段33は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差が0セントであることを、表示処理部40を制御することにより、発光素子50に表示する。まず、一致状態表示手段33は発光素子50の中央のLED51を発光させる。低状態表示手段31が直前に実行されていた場合には、発光素子50の中央のLED51より第2の方向側において、ストロボ表示手段42の発光位置を直前の発光位置から中央のLED51の方向へ順次移動させる。高状態表示手段32が直前に実行されていた場合には、発光素子50の中央のLED51より第1の方向側において、ストロボ表示手段42の発光位置を直前の発光位置から中央のLED51の方向へ順次移動させる。いずれの場合においても、ストロボ表示手段42の発光位置が中央のLED51へ達した状態で停止させる。
【0025】
図2(C)に、調律器2が入力された楽音信号のピッチが標準と一致している状態を表示する方法の一例を示す。メーター表示手段41は、中央のLED51を発光させる。ストロボ表示手段42は、一致状態表示手段33が実行される直前の発光位置から中央のLED51の方向へ発光位置を順次移動させる。したがって、低状態表示手段31が直前に実行されていた場合には、中央のLED51より右側から左方向へ発光位置が移動する。高状態表示手段32が直前に実行されていた場合には、中央のLED51より左側から右方向へ発光位置が移動する。発光位置が中央のLED51へ達した状態で発光位置を停止させる。
【0026】
このように、本発明の調律器によれば、一列に配列された一本のLED列を用いて、メーター表示とストロボ表示の両方を同時に表示することができる。利用者は目的とする奏法で必要とする調律精度や自分にとっての使いやすさ等を基準にいずれの表示を見ながらでも調律を行うこともできる。もしくは、メーター表示の方に注目しながら大まかに調律を合わせ、ストロボ表示の方に注目してより精度よく調律を合わせるようにすることもできる。本発明の調律器は必要とする発光素子が一本でよいので部品点数を削減することができる。そのため、調律器を小型化することができ、メーター表示とストロボ表示の両方を同時に表示する調律器を安価に実現することが可能となる。
【0027】
[変形例]
図3を参照して、本発明の変形例の調律器2’の動作を詳細に説明する。図3は本変形例の調律器2’の構成を示すブロック図である。調律器2’は、調律器2と同様に、マイクロコンピュータなどから構成される。
【0028】
本変形例の調律器2’は、基本周期抽出部10とピッチ誤差算出部20と表示制御部30と表示処理部40’と発光素子50’を備える。表示処理部40’は、メーター表示手段41’とストロボ表示手段42’を備える。発光素子50’は、第1の方向から第1の方向とは反対方向の第2の方向へ一列に配列されたm+1個の多色LED52〜多色LED52を備える。多色LED52〜多色LED52は2種以上の任意の色で発光可能な発光素子である。以下では、発光素子50’が発光可能な2種の色を第1の色と第2の色として説明する。第1の色と第2の色はLEDにより発光可能な2色であればいかなる色を用いてもよいが、判別しやすいように近くない色であることが望ましい。例えば第1の色は赤とし、第2の色は青とすることができる。
【0029】
以下、実際に行われる手続きの順に説明してゆく。基本周期抽出部10は、調律器2に入力された楽音信号の基本周期を抽出する。ピッチ誤差算出部20は、予め定められている標準周期と基本周期抽出部10の抽出した基本周期とを比較し、入力中の楽音信号のピッチ誤差を算出する。表示制御部30は、基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期より長いことを検出した場合には、低状態表示手段31を実行させる。基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期より短いことを検出した場合には、高状態表示手段32を実行させる。基本周期抽出部10の検出した基本周期が予め定められている標準周期と等しいことを検出した場合には、一致状態表示手段33を実行させる。
【0030】
低状態表示手段31は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差を、表示処理部40’を制御することにより、発光素子50’に表示する。まず、低状態表示手段31は発光素子50’の中央の多色LED52を第1の色で発光させる。次に、発光素子50’の中央の多色LED52より第2の方向側において、メーター表示手段41’の発光位置を第1の色で発光させる。そして、発光素子50’の中央の多色LED52より第1の方向側において、ストロボ表示手段42’の発光位置を第2の色で発光させる。
【0031】
例えば、実施例1と同様に、第1の方向は右方向であり、第2の方向は左方向であるとする。発光素子50’の中央の多色LED52をピッチ誤差0セントの位置とし、左端の多色LED52はピッチ誤差−50セントの位置とする。メーター表示手段41’は、中央の多色LED52から左方向へ発光位置を順次移動させ、発光位置と中央の多色LED52との間隔がピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差に達した状態で発光位置を停止させる。ストロボ表示手段42’は、右端の多色LED52から中央の多色LED52へ発光位置を順次移動させ、発光位置が中央の多色LED52へ到達した後は発光位置を右端の多色LED52へ戻し、再度右端の多色LED52から中央の多色LED52へ発光位置を順次移動させる。このとき、ピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差の絶対値が大きいほど発光位置の移動速度が早くなるように制御する。発光位置の移動速度の制御方法は、周知のいかなる方法を用いてもよく、例えば、特許文献3に記載された発光位置の移動速度の制御方法を利用することができる。
【0032】
高状態表示手段32は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差を、表示処理部40’を制御することにより、発光素子50’に表示する。まず、高状態表示手段32は発光素子50’の中央の多色LED52を第1の色で発光させる。次に、発光素子50’の中央の多色LED52より第1の方向側において、メーター表示手段41’の発光位置を第1の色で発光させる。そして、発光素子50’の中央の多色LED52より第2の方向側において、ストロボ表示手段42’の発光位置を第2の色で発光させる。
【0033】
例えば、メーター表示手段41’は、中央の多色LED52から右方向へ発光位置を順次移動させ、発光位置と中央の多色LED52との間隔がピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差に達した状態で発光位置を停止させる。ストロボ表示手段42’は、左端の多色LED52から中央の多色LED52へ発光位置を順次移動させ、発光位置が中央の多色LED52へ到達した後は発光位置を左端の多色LED52へ戻し、再度左端の多色LED52から中央の多色LED52へ発光位置を順次移動させる。このとき、ピッチ誤差算出部20の算出するピッチ誤差の絶対値が大きいほど発光位置の移動速度が早くなるように制御する。
【0034】
一致状態表示手段33は、ピッチ誤差算出部20の算出したピッチ誤差が0セントであることを、表示処理部40’を制御することにより、発光素子50’に表示する。まず、一致状態表示手段33は発光素子50’の中央の多色LED52を第1の色で発光させる。低状態表示手段31が直前に実行されていた場合には、発光素子50’の中央の多色LED52より第2の方向側において、ストロボ表示手段42’の発光位置を直前の発光位置において第2の色で発光させ、中央の多色LED52の方向へ順次移動させる。高状態表示手段32が直前に実行されていた場合には、発光素子50’の中央の多色LED52より第1の方向側において、ストロボ表示手段42’の発光位置を直前の発光位置において第2の色で発光させ、中央の多色LED52の方向へ順次移動させる。いずれの場合においても、ストロボ表示手段42’の発光位置が中央の多色LED52へ達した状態で停止させる。この際、中央の多色LED52の発光色は、第1の色、第2の色、第1の色と第2の色の混色のいずれで発光させてもよい。
【0035】
なお、本変形例では、少なくとも第1の色と、第1の色とは異なる第2の色で発光可能な多色LEDを一列に配列するように構成した例を用いて説明したが、例えば、第1の色で発光する単色LEDと第2の色で発光する単色LEDをそれぞれ一列に隣接するように配列し、例えば、メーター表示手段41’は第1の色で発光する単色LEDを発光させ、ストロボ表示手段42’は第2の色で発光する単色LEDを発光させるように構成してもよい。
【0036】
このように、本変形例の調律器によれば、メーター表示とストロボ表示がそれぞれ異なる色により発光するため、いずれの発光位置がメーター表示であり、いずれの発光位置がストロボ表示であるかを容易に区別することができ、視認性を向上することができる。例えば、ピッチ誤差がわずかでありストロボ表示の移動速度が遅い状態などでは、周波数が高い方にずれているのか低い方にずれているのかを判別するときに有用である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明はギターやベース等の弦楽器の調律に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 楽器
2,2’ 調律器
10 基本周期抽出部
20 ピッチ誤差表示部
30 表示制御部
31 低状態表示手段
32 高状態表示手段
33 一致状態表示手段
40,40’ 表示処理部
41,41’ メーター表示手段
42,42’ ストロボ表示手段
50,50’ 発光素子
51 LED
52 多色LED
図1
図2
図3