【実施例】
【0023】
<第1の実施例>
図1は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第1の実施例の全体構成を示している。これは、仮蓋の下面周縁のエッジ部によって、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式であり、最も簡単な構成例である。
【0024】
高速増殖炉の原子炉蓋部10には、炉心上部機構挿入用の炉心貫通スリーブ11が形成されており、通常時は、該炉心貫通スリーブ11に炉心上部機構(図示せず)が挿入された状態であるが、点検や修理、あるいは交換などの際には、該炉心上部機構が引き抜かれる。前記炉心貫通スリーブ11の直上に開閉自在のドアバルブ14を設ける。
【0025】
ドアバルブ14上には仮蓋収納キャスク15を設置し、該仮蓋収納キャスク15の上方に仮蓋揚重装置16を設ける。更に、前記仮蓋収納キャスク15の内部に、前記炉心貫通スリーブ11に挿入可能な仮蓋20を設ける。そして、該仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。
【0026】
更に、前記原子炉蓋部10に形成されている炉心貫通スリーブ11の周囲上面に、複数本のガイドロッド22を植設しておき、前記仮蓋20の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッドが貫入することで仮蓋20の水平面内方向での位置決めがなされ、前記仮蓋20が炉心貫通スリーブ11内に正確に挿入できるようにしている。
【0027】
この実施例は、仮蓋20の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。
【0028】
残留ナトリウムの除去作業では、ドアバルブ14を開き、仮蓋収納キャスク15内の仮蓋20を仮蓋揚重装置16によって吊り降ろす。仮蓋20は、その自重によって、ドアバルブ14を通って前記原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされる。このとき、仮蓋20の上端フランジ部に形成されているガイド穴に前記ガイドロッド22が貫入することで仮蓋20の水平面内方向での位置決めがなされ、そのため不用意に揺れて内部機器を損傷する恐れはない。仮蓋20が、炉心貫通スリーブ11内に正確に挿入されることで、該仮蓋20の下面周縁のエッジ部によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが取り除かれる。取り除かれたナトリウムは、原子炉内へと落下する。その際、炉心貫通スリーブの内周壁面を損傷させたり、内周壁面の削りかすが異物として原子炉内に落下するのを避けるため、若干の隙間を残して切り落とす。この切り落としのための仮蓋挿入操作は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
【0029】
仮蓋によるナトリウムの取り除き作業が終了したならば、炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされている仮蓋20は、前記仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14を通って吊り上げられて仮蓋収納キャスク15内に収納され、ドアバルブ14が閉じられる。
【0030】
このようにすると、仮蓋20で炉心部の放射線を遮蔽すると共に、内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0031】
<残留ナトリウム除去装置の設置形態の他の例>
図2は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の設置形態の他の例を示している。これは、炉心貫通スリーブの上部周辺に干渉物などが存在するために直接ドアバルブを載置できない場合である。残留ナトリウムの機械的除去装置自体は、
図1の構成と同様であるので、対応する部分に同一符号を付し、説明は省略する。
【0032】
前記原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11上に延長管17を接続し、該延長管17の上部にドアバルブ14を設置している。そして仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14及び延長管17を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。このようにすると、延長管17、仮蓋20などの機器で炉心部の放射線を遮蔽した状態になると共に、内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0033】
<残留ナトリウム除去装置の設置形態の更に他の例>
図3は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の設置形態の更に他の例を示している。これも、炉心貫通スリーブの上部周辺に干渉物などが存在するために直接ドアバルブを載置できず、しかも延長管の上部にもドアバルブを直接設置できない場合である。残留ナトリウムの機械的除去装置自体は、
図1の構成と同様であるので、対応する部分に同一符号を付し、説明は省略する。
【0034】
前記原子炉蓋部10の上方に位置する作業床12の開口部にドアバルブ14を設置し、該ドアバルブ14の下部に延長管17を垂設すると共に、該延長管17から原子炉蓋部10に至るように垂れ下がるビニールキャスクなどのシール手段18を設ける。そして仮蓋20が、仮蓋揚重装置16によって、ドアバルブ14、延長管17及びシール手段18を通って昇降し、前記炉心貫通スリーブ11に挿入できるように構成する。このようにすると、作業床12、延長管17、仮蓋20などの機器で炉心部の放射線を遮蔽した状態になると共に、ビニールキャスクなどのシール手段18によって内部のアルゴンガス雰囲気を維持した状態(ナトリウムに空気が触れないようにした状態)で、遠隔操作によるナトリウム除去が可能となる。
【0035】
<第2の実施例>
図4は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第2の実施例の要部を示している。これは、仮蓋の下面に設けた切刃によって、高速増殖炉の原子炉蓋部に形成されている炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。仮蓋下面の切刃を除いて全体的な構成は
図1と同様であってよいので、説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。
【0036】
この実施例では、炉心貫通スリーブ11に挿入可能な仮蓋20の下面に、切刃24a,24bが下向きに突設されている。ここでは、炉心貫通スリーブ11に段差が形成されているため、それに対応して、切刃は外側と内側の上下2段構造となっている。外側の切刃24a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径で上方に位置し、内側の切刃24b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径で、延長部25によって更に下方に突出している。いずれも切刃24a,24bは、
図5に示すように、円環状をなし、内周面側が刃の表、外周面側が刃の裏となるようにしている。
【0037】
仮蓋20が、その自重により降下し、炉心貫通スリーブ11内に挿入されることで、該仮蓋20の下面の上下2段の切刃24a,24bによって炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。切り取られたナトリウムは、原子炉内へ落下する。なお、仮蓋20の底部外周に、ヒータや熱風ノズル(符号26で示す)を付加することもできる。
【0038】
<第3の実施例>
図6は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第3の実施例の要部を示している。これは、仮蓋の下面に設けた切刃及び切刃旋回駆動機構によって、炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムを取り除く方式である。仮蓋を炉心貫通スリーブ内に吊り降ろす全体的な構成は
図1と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。
【0039】
この実施例では、仮蓋30は、円筒状の仮蓋本体30aと、その底部にて旋回軸受31で旋回自在に支持された旋回テーブル30bとからなり、該旋回テーブル30bを、仮蓋30内に組み込んだ旋回モータ32で旋回駆動する構造である。具体的には、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、旋回テーブル30b上に旋回モータ32を設置して該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が前記チェーン33と噛み合うように構成している。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0040】
切刃は、前記旋回テーブル30bの下面に固定されている。炉心貫通スリーブ11が段差を有するため、それに対応して、切刃は、外側と内側の2重構造となっている。外側の切刃36a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置となるように切刃台37aの外側面に固着される。内側の切刃36b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように切刃台37bの外側面に固着され、前記外側の切刃36aよりも長く下方まで刃先が延びている。
図7に示すように、いずれも切刃36a,36bは、複数の刃部が適当な間隔をおいて円周状に配設され、各刃部は、内周面側が刃の表、外周面側が刃の裏となるようにしている。
【0041】
仮蓋30を原子炉蓋部10の炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろしつつ、切刃旋回駆動機構によって切刃36a,36bを旋回させることによって、前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。このように切刃の旋回動作を加えると、単に吊り降ろすだけの場合よりも、より一層効率よく残留ナトリウムを除去することができる。
【0042】
<第4の実施例>
図8は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第4の実施例の要部を示している。切刃、及び切刃の水平方向の移動機構などを除いて、切刃旋回駆動機構など基本的な構成は第3の実施例(
図6)と同様であってよいので、説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0043】
切刃40は、旋回テーブル30bの下方に設けられている。炉心貫通スリーブに段差が形成されているため、それに対応して、切刃40は、水平方向(径方向)の移動機構に搭載されている。切刃40は、水平駆動ラックを備えた水平スライダ41の先端に固定されており、該水平スライダ41が旋回テーブル30bの下面に設置されている。前記水平駆動ラックは、旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸42と噛み合う。仮蓋30内に設置した水平駆動モータ43によって、前記水平駆動ピニオン軸42を回転駆動することによって、前記切刃40を前記炉心貫通スリーブ内で径方向の位置移動が可能となる。これによって、切刃40の水平位置を、炉心貫通スリーブの上段大径部よりも若干小径の位置としたり、炉心貫通スリーブの下段小径部よりも若干小径の位置となるように、自由な位置調整が可能となる。
【0044】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、非旋回(ガイドロッド22で旋回動作が規制されている)の仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0045】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃水平移動機構によって適切な径方向位置に調整した切刃40を、切刃旋回駆動機構によって旋回することによって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。このように、この実施例では、1種類の切刃40で上方の大径部と下方の小径部の両方でのナトリウム除去操作に対応でき、また切刃40の水平位置調整によって掻き落とし厚さ(炉心貫通スリーブの内壁面に付着したまま残るナトリウム層の厚さ)が制御可能となる。
【0046】
<第5の実施例>
図9は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第5の実施例の要部を示している。切刃や切刃上下駆動機構などを除いて、基本的な構成は
図6(第3の実施例)と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を旋回駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0047】
切刃45は、前記旋回テーブル30bの下方に設けられている。ここでも、炉心貫通スリーブに段差が形成されているため、それに対応して、切刃は、外側と内側が上下2段に連なった構造となっている。上段の切刃45a(外刃)は、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置となるように調整され、下段の切刃45b(内刃)は、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように調整される。この切刃45は、切刃台46で支持され、該切刃台46は旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド47の下端に結合し、切刃ガイド48に沿って上下方向に案内される。仮蓋30内に設けた昇降シリンダ49で昇降ロッド47を昇降すると、それに係合する切刃45が切刃ガイド47に沿って上下方向に駆動される。
【0048】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30aの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回する。
【0049】
仮蓋が炉心貫通スリーブ内に吊り降ろされ、切刃旋回駆動機構によって切刃を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。この実施例の場合、切刃が旋回すると同時に上下動することも可能なので、ナトリウム切り落としの抵抗が大きくても、比較的容易に作業ができる。
【0050】
<第6の実施例>
図10は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第6の実施例の要部を示している。切刃及びその水平・上下駆動機構を除いて基本的な構成は
図6と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。
【0051】
切刃50は、前記旋回テーブル30bの下方に設けられている。炉心貫通スリーブ11に段差が形成されているため、それに対応して、切刃50は、水平方向(径方向)の移動機構に搭載されている。切刃50は水平スライダ51に支持され、該水平スライダ51に水平駆動ラックが取り付けられている。旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸53が前記水平駆動ラックと噛み合う。仮蓋30内の水平駆動モータ54によって前記水平駆動ピニオン軸53が回転することで、前記切刃50は前記炉心貫通スリーブ11内で径方向に水平移動可能となる。これによって、切刃50を、炉心貫通スリーブ11の上段大径部よりも若干小径の位置としたり、炉心貫通スリーブ11の下段小径部よりも若干小径の位置となるように、位置調整する。
【0052】
更に、切刃50を支持している前記水平スライダ51は、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド55に結合し、切刃ガイド56によって上下方向に案内される。仮蓋30内に設けた昇降シリンダ57で昇降ロッド55が昇降し、それによって切刃50が切刃ガイド56に沿って上下方向に移動可能となっている。即ち、この実施例は、前記第5の実施例に水平駆動機構を追加したような構成である。
【0053】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋本体30bの内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋30内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が前記チェーン33と噛み合うように構成する。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが回転する。
【0054】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされつつ、切刃旋回駆動機構によって切刃50を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブの内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。切刃50の水平方向の位置は切刃水平移動機構で調整され、切刃上下駆動機構で切刃50が上下方向に駆動されてナトリウムの切り落とし作業が補助される。
【0055】
<第7の実施例>
図11は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第7の実施例の要部を示している。基本的な構成は
図10に示す第6の実施例と同様であるので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この第7の実施例が第6の実施例と異なる点は、昇降台の幅を広くし、昇降台の中央をシリンダで押すようにした点である。これによって、強度を向上させることができる。
【0056】
切刃50は、水平移動機構に搭載され,更に上下駆動機構に搭載されている。即ち、切刃50は、水平駆動ラックを備えた水平スライダ51で支持され、該水平駆動ラックが旋回テーブル30bを貫通する水平駆動ピニオン軸53と噛み合う。仮蓋30内の水平駆動モータ54により前記水平駆動ピニオン軸53を回転することで前記切刃50を前記炉心貫通スリーブ11内で径方向に水平移動を可能とする。更に、前記水平スライダ51は昇降台60で支持され、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド55に結合し、仮蓋30内に設けた昇降シリンダ57で前記昇降ロッド55を上下方向に駆動する。
【0057】
この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構とを具備している。仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃旋回駆動機構によって切刃50を旋回させることによって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。
【0058】
<第8の実施例>
図12は、本発明に係る残留ナトリウムの機械的除去装置の第8の実施例の要部を示している。基本的な構成は
図6と同様であってよいので、ここでも説明を簡略化するため、対応する機器・部材には同一符号を付す。この実施例も、仮蓋の下面下方に位置する切刃と、該切刃を回転駆動する切刃旋回駆動機構を具備している。
【0059】
この実施例では、切刃62は、
図13に示すように、てこ方式で支持されている。一端に切刃62が、他端が支点となっているアーム63の中間を、旋回テーブル30bを貫通する昇降ロッド64で支持し、仮蓋30内に設けた昇降シリンダ65で駆動する。昇降ロッド64が昇降すると、切刃62は、切刃ガイド66によって案内されて上下動する。
【0060】
切刃旋回駆動機構は、第3の実施例と同様、仮蓋の内周壁に沿って1周するようにチェーン33を配置すると共に、仮蓋内で旋回テーブル30b上の偏心した位置に旋回モータ32を配置し、該旋回モータ32の駆動軸に結合したスプロケット34が、前記チェーン33と噛み合うようにした構成である。これによって、旋回モータ32を駆動すると、仮蓋本体30aに対して旋回テーブル30bが旋回し、切刃62も旋回する。
【0061】
仮蓋30が炉心貫通スリーブ11内に吊り降ろされ、切刃62の上下動と切刃旋回駆動機構による切刃62の旋回によって前記炉心貫通スリーブ11の内周壁面に付着している残留ナトリウムが切り落とされる。その際、切刃62がてこ方式で支持されていることによって、切り込み深さを調節することができる。