【課題を解決するための手段】
【0029】
アイテムまたは物品のセキュアなトラッキングまたはトレーシングのための本発明のマーキングは、機械によるその認証および読み取り、ならびに人間の目によるその認証を可能にする、規定された光学特性を有するポリマー液晶物質を含む。マーキングは、その識別を可能にするユニークなコードを表すインディシアの形態で、可変情報印刷工程によって、基板上に作製される。マーキングは、その一部が人間の目に不可視であるようにレイアウトされていることがさらに好ましい。
【0030】
本発明のマーキングは、アイテムまたは物品、例えば、価値のある文書、銀行券、パスポート、身分証明文書、運転免許証、官許、アクセス文書、切手、納税印紙およびタックスバンダロール(tax banderole)、輸送チケット、イベントチケット、ラベル、ホイル、包装、予備部品、ならびに消費財などに施され、したがってこれらは、その表面に直接施され、またはその表面に施されたラベルに間接的に施されたマーキングを有する。
【0031】
ポリマー液晶物質は、コレステリック(すなわち、ねじれネマチック)型であることが好ましく、ある特定の用途については、ネマチック(複屈折)液晶物質も使用することができる。
【0032】
マーキングのポリマー液晶物質は、基板の表面上に重合された液晶物質として存在し、または代わりに、基板上に塗布されたコーティング組成物中に含まれる液晶ポリマーの顔料フレークからなることができる。
【0033】
前記基板は、織られた、または不織の、任意のタイプの基板であってよく、特にこれは、紙、ボール紙、木材、ガラス、セラミック、金属、プラスチック、繊維製品、革などとすることができ、基板は、コーティングされていても、コーティングされていなくてよく、またはシール表面もしくは非シール表面を含むことができる。
【0034】
マーキングのポリマー液晶物質は、偽造に対するその耐性を増大させるために存在する、さらなるセキュリティ物質(security material)を含むことが好ましい。これらのセキュリティ物質は、無機発光化合物、有機発光化合物、IR吸収剤、磁性物質、法医学的マーカー、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0035】
前記セキュリティ物質は、単なる混合物として、セキュリティ物質の性質に従って、液晶顔料の、液晶前駆体組成物の、もしくはインク結合剤の共重合成分としても存在することができる。特に、アクリルまたはビニル官能性を含む有機セキュリティ物質は、共重合により対応する主ポリマー中に容易に組み込まれる。あるいは、セキュリティ物質は、既存のポリマー鎖上にグラフト、すなわち化学的に連結することができる。
【0036】
液晶物質が塗布される背景を表す基板は、任意の色とすることができ、白色背景は、可視色がまったく観察されないという意味で肉眼に不可視であるマーキングを実現するのに好適な選択肢である。金属反射背景は、特に、ネマチック(複屈折)液晶物質の場合において、さらなる好適な選択肢である。基板は一般に、反射基板、着色基板、および透明基板からなる群から選択することができる。
【0037】
人間のユーザーによる容易な認証を可能にするために、液晶物質が塗布される背景の少なくとも一部は、対比色、例えば、赤色、緑色、青色、または黒色を有することが好適であり、これにより、液晶マーキングと組み合わせて、肉眼によって、可視色および角度依存性色変化を認知することが可能になる。
【0038】
したがって前記基板は、それぞれが、白色表面領域、黒色表面領域、目に見えるように着色された表面領域、反射表面領域、透明表面領域、およびこれらの組合せの群から選択される、少なくとも2つの異なって着色された表面領域を含む、パターン形成された基板であることが好ましい。したがって、液晶物質を有する基板表面は、液晶物質の下に2つ以上の着色領域を有することができることが当業者に明白である。
【0039】
液晶物質が塗布される基板表面は、インディシアをさらに有することができ、これは、任意の形態または色、例えば、パターン、像、ロゴ、テキスト、1D−もしくは2D−バーコード、またはマトリックスコードなどとすることができる。前記インディシアは、印刷またはコーティングの任意の方法によって施すことができる。
【0040】
基板は、無機発光化合物、有機発光化合物、IR吸収剤、磁性物質、法医学的マーカー、およびこれらの組合せの群から選択される少なくとも1つのセキュリティ要素をさらに有することができる。セキュリティ要素は、基板表面上にインディシアの形態で存在し、または基板自体に組み込む(埋め込む)ことができる。
【0041】
ポリマー液晶物質は、インディシア、例えば、テキストまたはコードなどの形態で存在することが好ましい。好適なインディシアは、一次元、スタックド一次元、および二次元バーコードを含む群から選ばれる。現在のバーコード記号は、「Understanding Barcoding」、Pira International Ltd.、2004(ISBN 1 85802 917 1)において、Bob Williamsによって開示されている。
【0042】
本発明の液晶マーキングは、基板に液晶前駆体組成物を塗布し、秩序液晶状態の組成物を硬化させることによって作製されることが好ましい。前記前駆体組成物は、少なくとも1つのネマチック液晶化合物の反応性モノマーまたはオリゴマーを含む。反応性モノマーまたはオリゴマーは、UV硬化性であることが好ましく、この場合、塗布された組成物は当業者に知られるように、UV硬化され、また光開始剤系を含む。
【0043】
秩序液晶状態は、キラルドーパントの存在に依存する。キラルドーパントを含まないネマチック液晶は、その複屈折を特徴とする分子構造となるように配置される。ネマチック前駆体は、EP−A−0216712、EP−B−0847432、およびUS−B−6,589,445から知られている。
【0044】
コレステリック(すなわち、ねじれネマチック)液晶ポリマーを作製するために、前記前駆体組成物は、キラルドーパントも含まなければならない。前記ドーパントは、以下に記載される一般式(I)による、イソソルビドおよびイソマンニドの誘導体、ならびにこれらの混合物から選ぶことができる。イソソルビドは、右らせん状ねじれを誘導することが知られており、一方イソマンニドは、左らせん状ねじれを誘導することが知られている。
【0045】
前記ドーパントは、ネマチック液晶化合物中に、可視光の波長の桁のらせんピッチを特徴とするらせん構造を誘導し、規定された波長での光反射、したがって、干渉色の出現、ならびに角度依存性色ずれに導く。コレステリック液晶相からの反射光は、コレステリックらせん状ねじれの回転センス(rotation sense)に従って、円偏光している(左旋または右旋)。
【0046】
本発明のマーキングは、請求項1に記載したように得られる。例示的な一実施形態では、液晶前駆体組成物が基板に最初に塗布される。第2のステップでは、溶媒を蒸発させ、所望の液晶状態を促進することの両方のために、基板上に塗布された液晶前駆体組成物を加熱する。第3のステップでは、所望の液晶状態で、基板上の前記組成物を硬化させる。しかし、当業者は、上述した順序は、以下にさらに記載されるように、何らかの点で改変することができることを理解するであろう。
【0047】
溶媒を蒸発させ、液晶状態を促進するのに使用される温度は、液晶モノマー組成物に依存する。本発明によれば、温度は、好ましくは55℃から150℃の間、より好ましくは55℃から100℃の間、最も好ましくは60℃から100℃の間で選ばれる。硬化は、塗布された組成物をUV光の照射に曝すことによって実施されることが好ましく、これは、反応性モノマーまたはオリゴマーの重合を誘導して液晶ポリマーを形成する。それによって、液晶の分子秩序化は保持され、すなわち、ネマチックまたはコレステリック構造は、照射の間に存在していた状態で固定される。コレステリック液晶物質の場合では、らせんピッチ、およびこれとともに光学的性質、例えば、反射色および角度依存性色ずれなどは、こうして固定されたままである。
【0048】
本発明の別の実施形態は、アイテムまたは物品のための本発明によるマーキングであり、前記マーキングは、規定された光学特性を有するポリマー液晶物質を含み、基板上に作製される前記ポリマー液晶物質は、以下に記載される一般式(I)のキラルドーパントを用いて得られる。
【0049】
したがって、アイテムまたは物品をマークするための方法は、マークされる適当なアイテムまたは物品を提供するステップと、前記アイテムまたは物品上に、可変情報印刷工程によって、ユニークなコードを表すインディシアの形態で、少なくとも1つのポリマー液晶物質を塗布するステップとを含む。特に、前記インディシアによって表されるユニークなコードは、暗号化された情報であってもよく、この方法は、前記情報を暗号化するステップを含むことができる。
【0050】
前記液晶前駆体組成物は、任意のコーティングまたは印刷技法によって基板に塗布することができる。組成物は、可変情報印刷工程、例えば、レーザー印刷、またはコンティニュアス型もしくはドロップオンデマンド型のインクジェット印刷などによって塗布されることが好ましい。前記可変情報印刷法は、各印刷されるアイテムについて、マーキングのユニークなコード化を可能にする。
【0051】
インクジェット印刷による塗布について、組成物は、当業者に知られるように、選ばれた印刷工程に適合するように組成物の粘度値を調整するために、有機溶媒も含む。
【0052】
コンティニュアスインクジェット印刷による塗布について、組成物は、導電剤(塩)も含み、これは、使用される組成物中で可溶性でなければならない。そのような導電剤は、当業者に知られるように、この印刷工程の技術的要件として必要である。
【0053】
本発明による組成物は、光開始剤を含み、これは使用される組成物中で可溶性でなければならない。光開始剤の例について、これは、α−ヒドロキシケトン、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、混合物(1:1)の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、または2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンなど、フェニルグリオキシレート、例えば、メチルベンゾイルホルメート、またはオキシ−フェニル−酢酸2−[2オキソ−2フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンなどのベンジルジメチルケタール、α−アミノケトン、例えば、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンなど、ホスフィンオキシド誘導体、例えば、Cibaによって供給される、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド、またはホスフィンオキシド フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)など、およびまた、チオキサントン誘導体、例えば、Lambsonによって供給される、Speedcure ITX(CAS142770−42−1)、Speedcure DETX(CAS82799−44−8)、Speedcure CPTX(CAS5495−84−1−2もしくはCAS83846−86−0)などを使用することができる。
【0054】
本発明による組成物は、シラン誘導体も含むことができ、これは、使用される組成物中で可溶性でなければならない。シラン誘導体の例について、これは、ビニルシラン誘導体、例えば、Evonikによって供給されるDynasylan(登録商標)ファミリーからの、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、または3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどを使用することができる。
【0055】
一般に、本発明によるマーキングを有するアイテムまたは物品を認証するための方法は、a)本発明によるマーキングを有するアイテムまたは物品を提供するステップと、b)少なくとも1つの光源からの少なくとも1つの質の光で、前記アイテムまたは物品上のマーキングを照らすステップと、c)マーキングによって反射された光を検知することによって、前記マーキングの光学特性を検出するステップと、d)マーキングの検出された光学特性からアイテムまたは物品の真正性を判定するステップとを含む。
【0056】
本発明のマーキングは、周囲光下での単純な視覚検査による第1の方法によって認証することができる。この目的のために、液晶物質が塗布される背景は、十分な光学コントラストをもたらし、その結果、人間の観察者が、液晶物質の反射された色および色ずれを認知することを可能にしなければならない。背景に応じて、マーキングの一部は、肉眼に対して実質的に不可視なままであってもよい。
【0057】
第2の方法では、マーキングは、光学フィルターなどの受動的検出手段を利用して、周囲光下で認証される。好適なそのような受動的検出手段は、左旋もしくは右旋円偏光フィルター、または両方の並列である。これは、前記物質によって反射された光の偏光状態を求めることによって、コレステリック液晶物質のらせんピッチの回転センスを求めることを可能にする。任意選択により、偏光フィルターは、スペクトルバンド幅を、液晶物質のスペクトル反射バンドに狭め、したがって背景の寄与を低減するために、カラーフィルターと組み合わせることができる。2以上の光学フィルターを組み合わせて使用することができる。
【0058】
第3の方法では、マーキングは、少なくとも1つの偏光源からの円偏光を利用して認証される。液晶物質は、異なる円偏光の光を異なって反射し、したがって、左および右らせんピッチの物質は、円偏光した光に対するそのそれぞれの応答によって区別することができる。偏光源によるマーキングの照射、ならびにマーキングからの反射光の観察は、カラーフィルターを通して任意選択により実施することができる。2以上の偏光源を組み合わせて使用することができる。
【0059】
第4の方法では、マーキングは、電気光学認証デバイスを利用して認証される。第1の実施形態では、前記デバイスは、円偏光フィルターおよび/または円偏光源と組み合わせて、少なくとも1つのフォトセルを備える。別の実施形態では、前記デバイスは、円偏光フィルターおよび/または円偏光源と組み合わせて、電気光学カメラ、例えば、線形CCDセンサーアレイ、二次元CCD画像センサーアレイ、線形CMOS画像センサーアレイ、二次元CMOS画像センサーアレイなどを備える。
【0060】
任意選択により、上記実施形態における円偏光フィルター、または円偏光源は、カラーフィルターと組み合わせることによって、特定のスペクトルドメインを選択し、液晶物質から反射される光と、背景から反射される光のコントラスト比を増強することができる。
【0061】
円偏光フィルターは一般に、電気光学偏光スイッチと取り替えることもできる。そのようなデバイスは、例えば、DE10211310B4から当技術分野で知られており、印加される対応する電圧によって一方、または他方の円偏光状態を選択することを可能にする。
【0062】
コレステリック液晶物質のすべての場合において、本発明のマーキングは、その特徴的な特性、すなわち、マーキングからの反射光の円偏光状態および/または視角依存性色の1つまたは複数を検証することによって認証される。偏光源もしくは偏光検出装置、または両方は、マーキングの光学特性に従って、電磁スペクトルの可視、赤外、もしくはUV領域、またはこれらの組合せにおいて動作するように選ぶことができる。
【0063】
本発明のマーキングは、これが表すインディシアを読み取り、マーキングからそのように取り込まれた情報を、データベース中に記憶された情報と相関させることによって識別することができる。特定の実施形態では、マーキングのインディシアによって表される情報は暗号化されており、前記識別は、前記情報を解読するステップを含む。好ましくは、インディシアは、電気光学カメラ、例えば、CCD−またはCMOS−画像センサーアレイなどによって読み取られる。
【0064】
一般に、本発明によるマーキングを有するアイテムまたは物品を識別するための方法は、a)本発明によるマーキングを有するアイテムまたは物品を提供するステップと、b)少なくとも1つの光源からの少なくとも1つの質の光で、前記アイテムまたは物品上のマーキングを照らすステップと、c)マーキングによって表されるインディシアを読み取り、対応する情報を引き出すステップと、d)マーキングのインディシアから取り込まれた情報を、データベース中に記憶された情報と相関させるステップと、e)アイテムまたは物品の素性に関する確認または否認を得るステップとを含む。
【0065】
本発明によるマーキングを有するアイテムまたは物品の識別は、認証のために使用される、同じ読取装置構成またはアセンブリーを用いて実施することができる。
【0066】
第1の実施形態では、前記インディシアは、一次元または二次元バーコードによって表され、デジタル形式で電気光学カメラによって取り込まれる画像は、対応するアルゴリズムを使用して解析される。バーコードに含まれる情報が取り込まれ、必要であれば、解読され、データベース中に記憶された情報と比較され、これによってアイテムを識別し、例えば、アイテムの履歴についての補足の情報でデータベースを任意選択によりアップデートする。カメラは、独自の通信能力を装備した読取デバイスの一部、または携帯電話などの通信デバイスの一部とすることができ、情報の取り込みは、携帯電話の内部資源を使用して行われる。データベースは、通信デバイス内(内蔵メモリーもしくは交換可能なメモリー)、または通信ネットワークを介して到達される外部サーバー上に配置することができる。
【0067】
第2の実施形態では、前記インディシアは、英数字コードで表され、デジタル形式で電気光学カメラ(読取デバイス)によって取り込まれた画像は、対応する光学式文字認識(OCR)アルゴリズムを使用して解析される。コードに含まれる情報が取り込まれ、データベース中に記憶された情報と比較され、これによってアイテムを識別し、任意選択によりデータベースをアップデートする。第1の実施形態と同様に、データベースは、読取デバイス内(内蔵メモリーもしくは交換可能なメモリー)、または通信ネットワークを介して到達される外部サーバー上に配置することができる。英数字コードは、標準的なフォントまたは特殊な機械識別可能なフォントを使用して印刷することができる。あるいは、英数字コードは、視覚的に読み取り、バリデーションのためにデータセンターに通信システム(例えば、インターネットもしくはSNS)を介して送信し、またはラベル、参照マーク、もしくは別の英数字コードの形態でアイテムに提供されたデータに対して照合することができる。
【0068】
規定された光学特性を有するポリマー液晶物質でできた本発明のマーキングは、アイテム、物品、または商品のセキュアなトラッキングおよびトレーシングのための個別化された、偽造耐性コードを用いて、前記アイテム、物品、または商品のセキュアなトラッキングおよびトレーシングのために使用することができる。
【0069】
個別化されたコードを商品またはアイテムに施すには、可変情報印刷工程を必要とする。本発明の文脈における好適な可変情報印刷工程は、コンティニュアスインクジェット印刷、およびドロップオンデマンドインクジェット印刷の群から選ばれ、これらの印刷工程は、任意の種類の表面上に、前記個別化されたコードを迅速に、非接触で塗布することを可能にする。前記個別化されたコードは、それぞれ1個のアイテムを、そのライフサイクルの後の段階で識別することを可能にする。
【0070】
前記個別化されたコードのコピーを有する偽造品によって本来のアイテムが置き換えられることを防止するために、前記個別化されたコードは、偽造耐性でなければならない。偽造耐性は、特定の物理的特性、好ましくは、光学特性を有する特定のセキュリティ物質を通じてもたらすことができ、前記物質は、マーキング中の構成要素であっても、マーキング中に組み込まれていてもよい。特定のセキュリティ物質は、規定された光学特性を有するポリマー液晶物質、または無機発光化合物、有機発光化合物、IR吸収剤、磁性物質、法医学的マーカー、およびこれらの組合せの群から選択される添加剤とすることができる。
【0071】
本発明のマーキングは、アイテムまたは物品、例えば、価値のある文書、銀行券、パスポート、身分証明文書、運転免許証、官許、アクセス文書、切手、納税印紙およびタックスバンダロール(特にタバコ製品およびアルコール飲料のため)、輸送チケット、イベントチケット、ラベル、ホイル、包装(特に医薬品のため)などに使用することができ、一般に予備部品および消費財(特に責任問題に対処するため)をマーキングするために使用することができる。
【0072】
アイテム、商品、または物品に施される本発明のマーキングは、そのようなマークされたアイテム、商品、または物品のセキュアなトラッキングおよびトレーシングにおいて使用するのに適している。アイテムまたは物品のそのようなセキュアなトラッキングおよびトレーシングは、トレースされるアイテムまたは物品に、本発明によるマーキングを施すステップ、およびb)データベース中にマークされたアイテムまたは物品に関する情報を記憶させるステップからなる、注目すべき第1の交換可能なステップと、c)本明細書に開示される認証方法によってアイテムまたは物品を認証するステップ、およびd)データベース中に先に記憶された情報を使用して、本明細書に開示される識別方法によってアイテムまたは物品を識別するステップからなる、第2の交換可能なステップとを含む。任意選択により、これによって、データベースは、アイテムまたは物品に関する新しい情報要素でアップデートすることができる。
【0073】
アイテムまたは商品に施されるコードは、後の段階でアイテムまたは商品を識別するために、データベース中に記憶されるデジタル情報を表す。前記コードは、データベースを往来して伝達される時、前記コードが含む情報を保護するように暗号化することができる。前記データベースは、データベース管理システムの一部であってもよい。すべての種類の暗号化アルゴリズムは適当であり、例えば、RSAタイプの公開−秘密鍵である。
【0074】
前記データベースは、認証デバイス中に組み込まれたローカルデータベースとすることができる。あるいはこれは、有線または無線接続を通じて認証デバイスにリンクされたリモートデータベースであってもよい。ローカルデータベースは、リモートサーバーから定期的にアップデートすることもできる。
【0075】
さらなる態様では、本発明は、可変情報印刷工程による、個々のマーキングの適用を提供する。コンティニュアスインクジェット、もしくはドロップオンデマンド(DOD)インクジェット、またはバブルジェット印刷工程を使用するインクジェット印刷が好適である。コンディショニングライン(conditioning line)および印刷機での番号付けおよびコード化用途に一般に使用される工業用インクジェットプリンターが特に適している。好適なインクジェットプリンターは、シングルノズルコンティニュアスインクジェットプリンター(ラスターまたはマルチレベルデフレクテッドプリンター(deflected printer)とも呼ばれる)、およびドロップオンデマンドインクジェット、特に、バブルジェットプリンターである。
【0076】
完全に秘密の機械可読なマーキングを提供するために、ネマチック液晶物質が使用される。公然または半秘密の機械可読なマーキングを提供するために、コレステリックまたはキラルネマチック液晶物質が使用される。
【0077】
本発明をより完全に理解するために、発明の詳細な説明および添付の図面を参照する。