【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
実施例1及び比較例1
表1に記載した配合成分(質量部)を混練してゴム組成物とし、シート状に押出し成形して、高温雰囲気にて加硫及び発泡させて架橋ゴムスポンジ材(発泡体ゴム材料)を製造した。
【0030】
【表1】
【0031】
なお、表1中、成分(a)は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムで具体的にはEPDMであり、成分(b)は、テルペン樹脂(YSレジンTO−105(ヤスハラケミカル(株)製)であり、成分(c)は、ADCA及びOBSHであり、成分(g)は、硫黄である。
【0032】
得られた架橋ゴムスポンジ材の特性を以下により評価した。3)及び4)以外は何れも3回の平均とした。結果を表2に示した。
(1)比重:試験片は長さ約40mmを採取した。
(2)吸水率:試験片は長さ約40mmを採取した。
【0033】
(3)圧縮量50%の圧縮時と開放時の荷重:試験片は厚み2.5mm、幅5.0mmで長さ100mmとした。JIS K6767(発行年度2007年)に準拠して、
図8及び
図9に示す要領で、平板の金属板を用いてオートグラフにて各試料高さの35%(高さ0.88mm)まで、つまり65%までを圧縮し、65%の圧縮量に到達すると同時に、その反対向き(開放)へ金属板を動かし、その間の荷重の変化を計測し、圧縮する際と開放する際の50%圧縮量のときの値を取った。圧縮速度及び開放速度は20mm/min.で、試験片を初めて圧縮する初回の圧縮時及び開放時の荷重を適用した。表3に圧縮時の圧縮量10〜60%までのデータを示し、表4に圧縮量50%の圧縮時と開放時のデータを並べて示した。圧縮時のデータは
図10にも示した。また、同じ圧縮量における圧縮時と開放時の荷重値の比率を変化率として示した。
[変化率(%)=(開放時の荷重/圧縮時の荷重)×100]
【0034】
(4)tanδ:試験機:ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製RSA−G2、試験体のサイズ(幅5.5mm、長さ20mm、厚み1.5mm)、測定歪み(試験体の長さ方向への伸張、0.1〜2%で測定温度により異なる)、測定周波数1Hz、測定温度−80〜150℃、昇温速度5℃/分で実施し、23℃のものを取った。表2及び
図11に、各温度におけるtanδを、表5には測定歪み(振動歪)を併記した。
【0035】
(5)TB(引張強度):JIS K6251(発行年度2006年)に準拠。2号ダンベル形状、引張速度:200mm/分。
(6)EB(伸び):JIS K6251(発行年度2006年)に準拠。2号ダンベル形状、引張速度:200mm/分。
(7)Cs(圧縮永久歪み率):JIS K6262(発行年度2006年)に準拠。50%圧縮。試験片は長さ約100mmを採取。試験温度 70℃、試験期間 22hr。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
実施例2及び比較例2
実施例1又は比較例1の架橋ゴムスポンジ材をウェザーストリップ止水部にシーラント部材として適用して、その止水性能を以下の止水試験により評価した。実施例1を実施例2へ適応し、比較例1を比較例2へ適応した。
【0041】
<止水試験>
車両の後部のトランク又はバックドアの構造を再現した止水試験の状態を
図2に示す。自動車用ウェザーストリップ5はトランク又はバックドアの開口縁周縁に組み付けられ、金属製又は樹脂製の芯材5Cを有し、ボデーから突出成形されたフランジ1に嵌合するグリップ部5Aと、ドアに衝突してドア周縁からの風、水、埃、音などの浸入を防ぐ断面略円形状で中央に空洞が設けられた中空形状のシール部5Bにより構成されている。
図2のように、一般的なトランク又はバックドア用のウェザーストリップ(長さ200mm)を使用した。ボデー側を再現した治具8とドア側を再現した治具7によりドア閉じ状態が再現されており,
図2のウェザーストリップ5を挟んで上側が車外側で,下側が車内側に該当する。水は車外から浸入するため,
図2のように前記車外側の空間9に水を貯めて車内側に水が漏れるか否か空間11にて確認した。車両のドア閉じ状態(ボデーとドアの組合せ状態)には車種毎に適正位置(正規位置)があり,本試験はその正規位置で実施した。
【0042】
本発明のシーラント部材は断面略U字状のグリップ部5Aの内側底部、つまりグリップ部5Aをフランジに嵌合した際にフランジの先端によって加圧圧縮される位置に配置されている。シーラント部材はフランジの先端によって押し込まれ、撓んだ状態にある。ここで、車体のフランジ1は2枚のパネルが重ね合わさった状態であるため、これらパネル間には
図1のような段差構造が発生する。
図1の段差構造のフランジ1は、厚みtが1.2、1.8、又は2.1mmのパネル2とパネル3(厚み1.3mm)を重ねて高さhの段差を設けたものである。
【0043】
図2に示すウェザーストリップ5の止水部6相当位置に厚み2.4mm、幅4.2mmの架橋ゴムスポンジ材を装着して止水部(シーラント部材)6としたウェザーストリップを実車と同様に矢印aの方向に圧縮して架橋ゴムスポンジ材を、フランジ1により厚み方向に60%圧縮して、空間9に水10を入れ、試験装置4にて止水試験を行った。実施例2の結果を表6に、比較例2の結果を表7に示す。○は、水漏れなし、×は水漏れ発生、−は未評価を示す。
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
表2〜7から、本発明の特性を満たす架橋ゴムスポンジ材(発泡体ゴム材料)をシーラント部材とした実施例2は、止水性能が比較例2に比べて優れていることが理解される。
また、本実施例では、トランク用のウェザーストリップへの適用例を示したが、人が乗降するドアの車体側開口縁周縁に取り付けられるドアオープニング用ウェザーストリップやドアの外周縁部に取り付けられるドアウェザーストリップ、又は昇降可動するドアガラスを保持するグラスランや、車両のベルトラインに付けられるベルトラインウェザーストリップ等、あらゆるウェザーストリップにおいて、従来から使用が知られている比重が0.05〜0.4の架橋又は非架橋ゴムスポンジ材全てを本発明の架橋ゴムスポンジ材に置換できる。
【0047】
実施例3〜6及び比較例3
表8に記載した配合成分(質量部)を混練してゴム組成物とし、シート状に押出し成形して、高温雰囲気にて加硫及び発泡させて架橋ゴムスポンジ材を製造した。
なお、表1とは、成分(d)のカーボンブラックのグレード(品番)が異なり、成分(c)がOBSH単独となっているが、その他の成分は同様である。従ってテルペン樹脂はYSレジンTO−105(ヤスハラケミカル(株)製)である。
【0048】
【表8】
【0049】
得られた架橋ゴムスポンジ材の圧縮荷重を実施例1と同様に評価した。但し、試験片の厚みは3mmを用いた。表9及び
図12に圧縮量50%の圧縮時と開放時のデータを示す。また、変化率(変化率=開放時/圧縮時)も示した。
そして表9には比重、吸水率、及び止水試験の結果も示している。比重と吸水率は実施例1と同様にして実施した。但し、試験片は厚み3mm、長さ30mmを用いた。止水試験は実施例2と同様に実施した。つまり実施例3〜6又は比較例3の架橋ゴムスポンジ材をウェザーストリップ止水部にシーラント部材として適用して、その止水性能を評価した。
【0050】
【表9】
【0051】
表8と表9から、本発明の変化率を満たす架橋ゴムスポンジ材をシーラント部材とした実施例3〜6は、止水性能が比較例3に比べて優れていることが理解される。
【0052】
実施例7〜9
表8に記載した配合成分(質量部)において、(b)テルペン系樹脂の種類を表10に示すとおりに変更して50phr(Parts per hundred rubber)の配合量を混練してゴム組成物とし、シート状に押出し成形して、高温雰囲気にて加硫及び発泡させて架橋ゴムスポンジ材を製造した。
【0053】
得られた架橋ゴムスポンジ材の圧縮荷重を実施例1と同様に評価した。但し、試験片の厚みは3mmを用いた。表10に圧縮量50%の圧縮時と開放時のデータを示す。また、変化率(変化率=開放時/圧縮時)も示した。
そして表10には比重、吸水率、及び止水試験の結果も示している。比重と吸水率は実施例1と同様にして実施した。但し、試験片は厚み3mm、長さ30mmを用いた。止水試験は実施例2と同様に実施した。つまり実施例7〜9の架橋ゴムスポンジ材をウェザーストリップ止水部にシーラント部材として適用して、その止水性能を評価した。
【0054】
【表10】
【0055】
表10から、本発明の変化率を満たす架橋ゴムスポンジ材をシーラント部材とした実施例は、止水性能が優れていることが理解される。
【0056】
実施例10〜12及び比較例4
上記表8に記載した配合成分(質量部)を、実施例1及び比較例1と同じカーボンブラックのグレード(成分(d))で、発泡剤も同じADCA及びOBSH(成分(c))に戻し、テルペン樹脂をYSレジンTO−105(ヤスハラケミカル(株)製)にして、該テルペン樹脂の量を変更させた。これら以外は同様にして、加硫及び発泡させて架橋ゴムスポンジ材を製造した。
得られた架橋ゴムスポンジ材を、実施例3〜6及び比較例3と同様に評価した。それらの結果を表11に示す。
【0057】
【表11】
【0058】
表11から、本発明の変化率を満たす架橋ゴムスポンジ材をシーラント部材とした実施例10〜12は、比較例4に比して、止水性能が優れていることが理解される。
【0059】
以上のとおり、本発明の変化率の特性を満たす発泡体ゴム材料をシーラント部材とした実施例は、止水性能が優れている。これはウェザーストリップを車体に組み付ける際では相応の荷重を持って車体の組み付け箇所になじみながら変形し、組付け後には浮き上がる力が小さくて組付け後に直ぐに浮き上がることがなく、従ってシーラント部材に求められている隙間を無くす効果が高いことにあると考える。
また、不乾性シーラントは車体組み付け時に、一度組み付けるとシーラントが車体側に付着するため再組み付けができなかったり、周辺を汚したりすると共に、圧縮永久歪も期待できないが、本発明は架橋ゴムスポンジ材であるため車体側などへの付着も気にならず、更に圧縮永久歪にも優れるため、高い止水性が経年で保有できる。
【0060】
本発明の発泡体ゴム材料は、止水性能が高く、シール性に優れており、ウェザーストリップ用シーラント部材として好適に用いることができる。