(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768287
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】車載用電子モジュールの樹脂モールド方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20150806BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20150806BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20150806BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20150806BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/14
B29C45/02
B29C45/16
B29C45/26
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-137994(P2011-137994)
(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-4939(P2013-4939A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100146075
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100092819
【弁理士】
【氏名又は名称】堀米 和春
(74)【代理人】
【識別番号】100141634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 善博
(74)【代理人】
【識別番号】100141461
【弁理士】
【氏名又は名称】傳田 正彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 正信
【審査官】
金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−094189(JP,A)
【文献】
特開2010−040992(JP,A)
【文献】
特開2010−071723(JP,A)
【文献】
特開平01−091498(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0128712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00−33/76
B29C 39/26−39/36
B29C 41/38−41/44
B29C 43/36−43/42
B29C 43/50
B29C 45/00−45/84
B29C 49/48−49/56
B29C 49/70
B29C 51/30−51/40
B29C 51/44
H01L 21/56
H01L 23/28−23/31
H01L 23/34−23/48
H01L 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された回路基板に、金属端子が予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂によりインサート成形されてコネクタ成形部が形成されたコネクタの基板接続端子を接続した車載用電子モジュールを準備する工程と、
前記車載用電子モジュールを型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、前記コネクタを除いた基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面のみを一次モールドする工程と、
前記一次モールドされた前記車載用電子モジュールを、第二のモールド金型に搬入して前記一次モールドされたパッケージ部と前記コネクタのコネクタ成形部をクランプすることで前記パッケージ部と前記コネクタ成形部との間でキャビティ内に露出する前記基板接続端子を二次モールド樹脂により前記コネクタ成形部をオーバーモールドして前記パッケージ部に連なるように二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする車載用電子モジュールの樹脂モールド方法。
【請求項2】
電子部品が搭載された回路基板を型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面を一次モールドする工程と、
前記一次モールドされた回路基板に、金属端子が予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂によりインサート成形されてコネクタ成形部が形成されたコネクタの基板接続端子を接続して車載用電子モジュールを形成する工程と、
前記一次モールドされ、前記コネクタが接続された前記車載用電子モジュールを、第二のモールド金型に搬入し、前記一次モールドされたパッケージ部と前記コネクタのコネクタ成形部をクランプすることで前記パッケージ部と前記コネクタ成形部との間でキャビティ内に露出する前記基板接続端子を二次モールド樹脂により前記コネクタ成形部をオーバーモールドして前記パッケージ部に連なるように二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする車載用電子モジュールの樹脂モールド方法。
【請求項3】
電子部品が搭載された回路基板を型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、コネクタを除いた基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面のみを一次モールドする工程と、
前記一次モールドされた回路基板に金属端子の一端側である基板接続端子を接続する工程と、
前記金属端子が接続された回路基板を、第二のモールド金型に搬入し、前記一次モールドされたパッケージ部と前記回路基板並びに記金属端子の他端側である外部接続端子の先端を挿入する中子を一対の金型でクランプすることで、前記パッケージ部と前記金属端子の他端側である外部接続端子との間をキャビティ内に閉止し、前記基板接続端子を含むコネクタ成形部を前記パッケージ部に連なるように二次モールド樹脂により二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする車載用電子モジュールの樹脂モールド方法。
【請求項4】
前記二次モールド工程は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂のいずれかが用いられる請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
【請求項5】
前記一次モールドされた前記車載用電子モジュールの基板接続端子に臨むパッケージ部の近傍には、二次モールド樹脂との食い付きを高めるための凹凸部が形成されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子モジュールの樹脂モールド方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のECU等に用いられる電子モジュールは、電子部品が搭載された回路基板(樹脂基板、金属基板等)に、外部接続端子を有するコネクタが接続されている。コネクタは、予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂によりコネクタ端子が一体に成形されている製品が多い。
【0003】
例えば、回路基板にコネクタ端子を挿入しはんだ付けにより接続された車載用電子モジュールを加圧ジグによりコネクタのフランジ部がモールド金型の内部に位置するようにトランスファモールド金型に搬入し、熱硬化性の樹脂タブレットをモールド金型のポットに搬入する。そして、モールド金型をクランプして加圧ジグにより金属端子の突出方向と平行方向にフランジをモールド金型の側面に向って加圧する。この状態で、ポット内のプランジャを上昇させて溶融樹脂を圧送させ電子部品が搭載された回路基板を充填して加熱加圧により硬化させる。これにより、コネクタからの樹脂漏れを防いでモールドすることができ、金属端子やコネクタと回路基板との接合部にストレスや損傷が発生しないようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開20101−40992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コネクタの金属端子は、熱可塑性樹脂を用いて予めモールドされているため、モールド金型で熱硬化性樹脂を用いて電子部品が搭載された回路基板をその成形温度(およそ180℃)で成形する際に、フランジを含むコネクタが熱変形し、金属端子の寸法変化や精度が変化しやすい。
【0006】
また、熱硬化性樹脂の特性で、コネクタを金型若しくは他の部品(例えばフランジ等)でシールする必要があるが、フランジを形成する熱可塑性樹脂が変形し溶融することで樹脂漏れが発生するおそれがある。
また、加圧ジグによりコネクタに形成されたフランジを金型側面に加圧するため、加熱温度により、変形しやすいという課題があった。
【0007】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、車載用電子モジュールをモールドする際にコネクタ端子の変形や樹脂漏れなどが起こり難く成形品質を高めた樹脂モールド方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
電子部品が搭載された回路基板に
、金属端子が
予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂によりインサート成形され
てコネクタ成形部が形成されたコネクタの基板接続端子を接続した車載用電子モジュールを準備する工程と、前記車載用電子モジュールを型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、前記コネクタを除いた基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面
のみを一次モールドする工程と、前記一次モールドされた前記車載用電子モジュールを、第二のモールド金型に搬入して前記一次モールドされたパッケージ部と前記コネクタのコネクタ成形部をクランプすることで
前記パッケージ部と前記コネクタ成形部との間でキャビティ内に露出する前記基板接続端子を二次モールド樹脂により
前記コネクタ成形部をオーバーモールドして前記パッケージ部に連なるように二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂モールド方法を用いれば、一次モールド工程でコネクタを除いた基板面を熱硬化性樹脂によりパッケージ部を成形することにより、次いで行われる二次モールド工程で、パッケージ部とコネクタのコネクタ成形部との間で露出する基板接続端子を二次モールドする際に、コネクタ成形部が成形温度に負けて変形したり、コネクタ寸法が変化したりすることなくモールドすることができる。
【0009】
他の方法としては、電子部品が搭載された回路基板を型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面を一次モールドする工程と、前記一次モールドされた回路基板に金属端子が
予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂によりインサート成形され
てコネクタ成形部が形成されたコネクタの基板接続端子を接続して車載用電子モジュールを形成する工程と、前記一次モールドされ、前記コネクタが接続された前記車載用電子モジュールを、第二のモールド金型に搬入し、前記一次モールドされたパッケージ部と前記コネクタのコネクタ成形部をクランプすることで
前記パッケージ部と前記コネクタ成形部との間でキャビティ内に露出する前記基板接続端子を二次モールド樹脂により
前記コネクタ成形部をオーバーモールドして前記パッケージ部に連なるように二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂モールド方法によれば、一次成形において、コネクタが装着される前の電子部品が搭載された回路基板のみを第一のモールド金型に搬入して一次モールドを行うため、第一のモールド金型の金型構造を簡略化することができる。
【0010】
更に他の方法としては、電子部品が搭載された回路基板を型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型に搬入し、熱硬化性樹脂をポット内に搬入し、コネクタを除いた基板面を前記第一のモールド金型によりクランプして前記電子部品が搭載された基板面
のみを一次モールドする工程と、前記一次モールドされた回路基板に金属端子の一端側である基板接続端子を接続する工程と、前記金属端子が接続された回路基板を、第二のモールド金型に搬入し、前記一次モールドされたパッケージ部と
前記回路基板並びに記金属端子の他端側である外部接続端子の先端を挿入する中子を一対の金型でクランプすることで、前記パッケージ部と前記金属端子の他端側である外部接続端子との間をキャビティ内に閉
止し、前記基板接続端子を含むコネクタ成形部を
前記パッケージ部に連なるように二次モールド樹脂により二次モールドする工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂モールド方法によれば、予めインサート成形されているコネクタを二次モールド工程でコネクタ成形部を含めてインサート成形することができるので、予めコネクタを成形する工程を省略することができる。
【0011】
前記二次モールド工程は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂のいずれかが用いられることが好ましい。
これによれば、熱可塑性樹脂を用いて二次モールドした場合には、一次モールドより低い温度で成形されるため、コネクタ成形部が変形して二次モールド樹脂が漏れ出すおそれはない。また、二次モールド樹脂として熱硬化性樹脂を用いても、ガラス転移点を超えない温度範囲でモールドすることで、コネクタ成形部の変形やコネクタの寸法変化を防ぐことができる。
【0012】
前記一次モールドされた前記車載用電子モジュールの基板接続端子に臨むパッケージ部の近傍には、二次モールド樹脂との食い付きを高めるための凹凸部が形成されていることが好ましい。
これによれば、一次モールドされるパッケージ部と二次モールドされるコネクタが異なる樹脂を用いて成形されても、樹脂同士の食い付き(密着性)が高めて信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記モールド金型を用いれば、車載用電子モジュールをモールドする際にコネクタ端子の変形や樹脂漏れなどが起こり難い成形品質を高めた樹脂モールド方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施例に係る樹脂モールド方法の工程説明図である。
【
図2】第2実施例に係る樹脂モールド方法の工程説明図である。
【
図3】第3実施例に係る樹脂モールド方法の工程説明図である。
【
図4】他例に係る一次モールド後のパッケージ部の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車載用電子モジュールの樹脂モールド方法の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。
[第1実施例]
先ず車載用電子用モジュールについて
図1(A)を参照して説明する。
車載用電子モジュール1は、電子部品2が搭載された回路基板3(樹脂基板、金属基板等)に、外部接続端子を有するコネクタ4が接続されている。コネクタ4は、予め柔軟性を有する熱可塑性樹脂により金属端子5が一体に成形されている。コネクタ成形部4aは一般には熱可塑性樹脂を用いたインサート成形(射出成形)によりモールドされるが、熱硬化性樹脂を用いたトランスファ成形によりモールドされてもよい。金属端子5は一端側が基板接続端子5aとして用いられ、他端はコネクタ樹脂4aに囲まれて外部に露出する外部接続端子5bとして用いられる。
【0016】
次に上述した車載用電子モジュール1の樹脂モールド方法について
図1(A)〜(E)を参照して説明する。
先ず、
図1(A)において、電子部品2が搭載された回路基板3にインサート成形された金属端子5を備えたコネクタ4の基板接続端子5aを接続して車載用電子モジュール1を準備する。基板接続端子5aは基板に設けられた貫通孔に挿入されてはんだ接続されている。なお、コネクタ4は、予め金属端子5が熱可塑性樹脂を用いてインサート成形されてコネクタ成形部4aが形成されている。
【0017】
図1(B)において、車載用電子モジュール1を型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型6に搬入する。第一のモールド金型6は、上型7と下型8を備えている。上型7には、上型カル7a、上型ランナゲート7b、キャビティ凹部7c、基板クランプ部7d、コネクタ逃げ部7eなどが形成されている。下型8には、基板載置部8aとポット8bが設けられている。ポット8b内にはプランジャ9が設けられている。プランジャ9は公知のトランスファ機構により昇降可能に設けられている。
【0018】
図1(B)に示すように、車載用電子モジュール1は、下型8の基板載置部8aに載置される。また、樹脂タブレット10(熱硬化性樹脂)をポット8b内に装填される。ここでは固形状の樹脂タブレットを記載するが、粉末樹脂、顆粒樹脂、液状樹脂であっても良い。第一のモールド金型6を型閉じすると、回路基板3の電子部品2は、キャビティ凹部7cに収容され、コネクタ4がコネクタ逃げ部7eに収容された状態で基板面が基板クランプ部7dにクランプされる。
【0019】
そして、プランジャ9を押し上げて上型カル7a、上型ランナゲート7bを通じてキャビティ凹部7cに溶融した樹脂を圧送りし、電子部品2が搭載された基板面を一次成形する。
図1(C)にパッケージ部11が形成された車載用電子モジュール1を示す。
【0020】
最後に、一次成形された車載用電子モジュール1を、例えば射出成型用の第二のモールド金型12に搬入する。
図1(D)において、一方の金型12aと他方の金型12bとで車載用電子モジュール1をクランプする。一方の金型12aには、キャビティ12cとスプル12dが形成されている。一方の金型12aはパッケージ部11とコネクタ成形部4aをクランプする。また他方の金型12bは回路基板3及びコネクタ成形部4aをクランプする。そして、スプル12dより溶融した熱可塑性樹脂をキャビティ12cに圧送りしながら、金型を冷却することにより硬化させる。これにより、一次成形されたパッケージ部11とコネクタ4のコネクタ成形部4aをクランプして基板接続端子5aを二次モールドする。これにより、
図1(E)に示すように、一次モールド部であるパッケージ部11にコネクタ成形部4aが二次モールド部4bによりオーバーモールドされて一体成形された成形品質の良い車載用電子モジュール1を製造することができる。
【0021】
上記樹脂モールド方法を用いれば、コネクタ4を除いた基板面を熱硬化性樹脂によりパッケージ部11を一次モールドすることにより、熱可塑性樹脂で出来たコネクタをモールド金型に接触させること無く一次モールドすることができるため、コネクタ変形や樹脂漏れを防ぐことが出来る。また、次いで行われる二次モールド工程で、パッケージ部11とコネクタ成形部4aとの間に露出する基板接続端子5aを二次モールドする際に、コネクタ樹脂が成形温度に負けて変形したり、コネクタ寸法が変化したりすることなくモールドすることができる。二次モールドを射出成形により行う場合には、一次モールドより低い温度で成形されるため、コネクタ樹脂が変形して樹脂が漏れ出すおそれはない。尚、二次モールド工程は、熱可塑性樹脂を用いたが、熱硬化性樹脂を用いてもよい。熱硬化性樹脂を用いても、ガラス転移点を超えない温度範囲でモールドすることで、コネクタ樹脂の変形やコネクタの寸法変化を防ぐことができる。
【0022】
[第2実施例]
次に上述した車載用電子モジュール1の樹脂モールド方法の他例について
図2(A)〜(E)を参照して説明する。尚、第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図2(A)において、電子部品2が搭載された回路基板3を用意する。コネクタ4は、回路基板3に接続されていない。
図2(B)において、型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型6に回路基板3を搬入する。上型7にはコネクタ逃げ部7eは設けられていない。回路基板3は、下型8の基板載置部8aに載置される。また、樹脂タブレット10(熱硬化性樹脂)をポット8b内に装填される。第1のモールド金型6を型閉じすると、回路基板3の電子部品2は、キャビティ凹部7cに収容され、基板面が基板クランプ部7dにクランプされる。
【0023】
そして、プランジャ9を押し上げて上型カル7a、上型ランナゲート7bを通じてキャビティ凹部7cに溶融した樹脂を圧送りし、電子部品2が搭載された基板面を一次成形する。
次いで、
図2(C)に示すように、パッケージ部11が形成された回路基板3に、予めインサート成形された金属端子5を備えたコネクタ4の基板接続端子5aを接続して車載用電子モジュール1を形成する。
【0024】
最後に、車載用電子モジュール1を、例えば射出成型用の第二のモールド金型12に搬入する。
図2(D)において、一方の金型12aはパッケージ部11とコネクタ成形部4aをクランプする。また他方の金型12bは回路基板3及びコネクタ成形部4aをクランプする。そして、スプル12dより溶融した熱可塑性樹脂をキャビティ12cに圧送りしながら、金型を冷却することにより硬化させる。これにより、一次成形されたパッケージ部11とコネクタ4のコネクタ成形部4aをクランプして露出する基板接続端子5aを二次モールドする。これにより、
図2(E)に示すように、一次モールドされたパッケージ部11にコネクタ成形部4aが二次モールド部4bによりオーバーモールドされて一体成形された成形品質の良い車載用電子モジュール1を製造することができる。
【0025】
上記樹脂モールド方法によれば、一次成形において、コネクタ4が装着される前の電子部品2が搭載された回路基板3のみを第一のモールド金型6に搬入して一次モールドを行うため、第一のモールド金型の金型構造を簡略化することができる。
【0026】
[第3実施例]
次に上述した車載用電子モジュール1の樹脂モールド方法の更に他例について
図3(A)〜(E)を参照して説明する。尚、第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図3(A)において、電子部品2が搭載された回路基板3を用意する。コネクタ4は、回路基板3に接続されていない。
図3(B)において、型開きしたトランスファ成形用の第一のモールド金型6に回路基板3を搬入する。上型7にはコネクタ逃げ部7eは設けられていない。回路基板3は、下型8の基板載置部8aに載置される。また、樹脂タブレット10(熱硬化性樹脂)をポット8b内に装填される。第1のモールド金型6を型閉じすると、回路基板3の電子部品2は、キャビティ凹部7cに収容され、基板面が基板クランプ部7dにクランプされる。
【0027】
そして、プランジャ9を押し上げて上型カル7a、上型ランナゲート7bを通じてキャビティ凹部7cに溶融した樹脂を圧送りし、電子部品2が搭載された基板面を一次成形する。
次いで、
図3(C)に示すように、パッケージ部11が形成された回路基板3に、金属端子5の基板接続端子5aを接続する。基板接続端子5aは基板の貫通孔に挿入されてはんだ接続される。
図3(D)は正面からの断面図を示す。
【0028】
最後に、回路基板3を例えば射出成型用の第二のモールド金型12に搬入する。
図3(E)は第二のモールド金型12の平面図、
図3(F)は右側面図、
図3(G)は断面図である。
図3(E)において、一方の金型12aはパッケージ部11と回路基板3を保持する。また他方の金型12bは回路基板3を保持する。更に金型12a,12bにクランプされる中子12eは回路基板3の端面に当接し金属端子5の外部接続端子5bの先端側を挿入するように設けられる。そして、スプル12dより溶融した熱可塑性樹脂をキャビティ12cに圧送りしながら、金型を冷却することにより硬化させる。これにより、一次成形されたパッケージ部11とコネクタ4のコネクタ成形部4aをクランプして露出する基板接続端子5aを二次モールドする。
上記樹脂モールド方法によれば、
図3(H)に示すようにコネクタ4を形成する熱可塑性樹脂を用いた二次モールド部4bで一体にインサート成形することができるので、予めコネクタ4をインサート成形する工程を省略することができる。
【0029】
尚、
図4(A)において、第1実施例〜第3実施例共通に使える技術として、一次モールド工程において、車載用電子モジュール1の基板接続端子5aに臨むパッケージ部11の近傍には、二次モールド樹脂との食い付きを高めるための凹凸部11aが形成されていてもよい。これにより、一次モールドされるパッケージ部11と二次モールドされるコネクタ4が異なる樹脂を用いて成形されても、樹脂同士の食い付き(密着性)が高めて信頼性を向上することができる。
【0030】
また、一次モールドするパッケージ部11(キャビティ凹部7c)の形状は、
図4(B)に示す平面視矩形状であっても、
図4(C)に示す平面視凹形状であってもいずれでもよい。或いは、
図4(D)に示すように、一次モールド工程で回路基板3全体をモールド樹脂で覆ってパッケージ部11を形成して封止するようにしてもよい。これらは、放熱板を露出する場合であっても同様に適用できる。
【0031】
上述したモールド金型は、上型キャビティ、下型ポット配置タイプのモールド金型を用いて説明したが、下型キャビティであってもよいし、上型ポット、下型キャビティ配置のモールド金型であってもよい。また、上型2と下型3のいずれを固定型とし、いずれを可動型とするかは任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 車載用電子モジュール
2 電子部品
3 回路基板
4 コネクタ
4a コネクタ成形部
4b 二次モールド部
5 金属端子
5a 基板接続端子
5b 外部接続端子
6 第一のモールド金型
7 上型
7a 上型カル
7b 上型ランナゲート
7c キャビティ凹部
7d 基板クランプ部
7e コネクタ逃げ部
8 下型
8a 基板載置部
8b ポット
9 プランジャ
10 樹脂タブレット
11 パッケージ部
11a 凹凸部
12 第二のモールド金型
12a 一方の金型
12b 他方の金型
12c キャビティ
12d スプル
12e 中子