特許第5768296号(P5768296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768296
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150806BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2008-232657(P2008-232657)
(22)【出願日】2008年9月10日
(65)【公開番号】特開2010-63637(P2010-63637A)
(43)【公開日】2010年3月25日
【審査請求日】2011年8月18日
【審判番号】不服2013-17382(P2013-17382/J1)
【審判請求日】2013年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100089381
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 謙二
(72)【発明者】
【氏名】村上 宣彰
【合議体】
【審判長】 赤木 啓二
【審判官】 中田 誠
【審判官】 瀬津 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−300(JP,A)
【文献】 特開2008−61687(JP,A)
【文献】 特開2007−143917(JP,A)
【文献】 特開平11−294432(JP,A)
【文献】 実開平4−5883(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前面側に設けられた開口部と、
前記開口部に前面側から挿入されて係止されることで、前記開口部に閉蓋状に取り付けられる取付部材とを含む遊技機において、
前記取付部材には、前記開口部の周方向全域に設けられた前端縁部に当接する周方向に連続したフランジと、
前記フランジの裏側から後方に向けて一体に延設された弾性を有する舌片部と、舌片部の先端に一体に設けられた係止爪部からなる係止部を備え、
前記開口部の前端縁部の内側には、前記係止部の係止爪部が前記舌片部の弾性によって係止される係止受部を備え、
前記係止受部は、前記取付部材のフランジが前記開口部の前端縁部に当接した際に、前記係止部の係止爪部が係止される位置に備えられ、
前記係止部の係止爪部が前記係止受部から離れる方向へ前記取付部材が所定角度変位した後、その角度を越えて変位するのを防止することによって、前記取付部材の係止状態の解除を防止して、前記取付部材の前記開口部からの離脱を防止する離脱防止手段を備え、
前記離脱防止手段は、前記係止受部と相対向する前記開口部の内側に備えた当接部と、
前記フランジの裏側に配設され、前記係止部が係止された位置から離れる方向へ前記取付部材が変位した時、前記当接部方向へと近づく干渉突部とを含み、
前記係止部の係止爪部が前記係止受部から離れる方向へ前記取付部材が所定角度変位すると、前記干渉突部が前記当接部と当接して前記取付部材がその角度を超えて変位することを防止することにより構成されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機、詳しくは、遊技機の前面側に設けられた開口部に取り付けられる取付部材の不正離脱を防止した遊技機に関する。なお、本発明の遊技機は、いわゆるパチンコ機と称される弾球遊技機、パチスロ機と称される回胴式遊技機、及びスロットマシンなどの遊技機に広く適用可能である。
【背景技術】
【0002】
例えば弾球遊技機は、本体枠の一側面前方側に開閉扉(前面扉)を開閉(回動)可能に軸支して備え、この開閉扉の前面に遊技球を溜め置く上皿部(上皿ユニットともいう。)が備えられているものが知られている。
そして、このような遊技機にあっては、遊技機の前面側、すなわち、前記上皿ユニットの前面側に開口部が設けられており、この開口部には、遊技者の操作により所定の演出を実行するための操作ボタンと、操作ボタンを配設するための取付ベースとで構成されたボタンユニット(取付部材ともいう。)が、前面側から挿入されて取り付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−202801号公報
【0003】
しかし、このような先行文献に開示の技術的手段では、次のような問題点を抱えていた。
(1)ボタンユニットの取付ベースと開口部との間にドライバー等の治具を挿入し、取付ベースを抉じ開けてボタンユニットを抜き取る。そして、ボタンユニットが抜き取られて開け放された開口部から種々の治具等を挿入して出玉を不正に払い出させる等の不正行為が行われる虞がある。
(2)前記開け放された開口部から、飲料水や油などの液体を注入するなどの嫌がらせ行為が行われる虞がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的とするところは、遊技機の前面側に設けられた開口部に取り付けられる取付部材の係止状態の不正解除を防止して、取付部材の開口部からの不正離脱を防止することを可能とした遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明は、遊技機の前面側に設けられた開口部46と、
前記開口部46に前面側から挿入されて係止されることで、前記開口部46に閉蓋状に取り付けられる取付部材(操作ボタンユニット45)とを含む遊技機において、
前記取付部材(操作ボタンユニット45)には、前記開口部46の周方向全域に設けられた前端縁部107に当接する周方向に連続したフランジ50と、
前記フランジ50の裏側から後方に向けて一体に延設された弾性を有する舌片部と、舌片部の先端に一体に設けられた係止爪部からなる係止部70を備え、
前記開口部46の前端縁部の内側には、前記係止部70の係止爪部が前記舌片部の弾性によって係止される係止受部77を備え、
前記係止受部77は、前記取付部材(操作ボタンユニット45)のフランジ50が前記開口部46の前端縁部107に当接した際に、前記係止部70の係止爪部が係止される位置に備えられ、
前記係止部の係止爪部が前記係止受部から離れる方向へ前記取付部材が所定角度変位した後、その角度を越えて変位するのを防止することによって、前記取付部材の係止状態の解除を防止して、前記取付部材の前記開口部からの離脱を防止する離脱防止手段(干渉突部75)を備え、
前記離脱防止手段は、
前記係止受部77と相対向する前記開口部46の内側に備えた当接部46aと、
前記フランジ50の裏側に配設され、前記係止部70が係止された位置から離れる方向へ前記取付部材(操作ボタンユニット45)が変位した時、前記当接部46a方向へと近づく干渉突部75とを含み、
前記係止部70の係止爪部が前記係止受部77から離れる方向へ前記取付部材(操作ボタンユニット45)が所定角度変位すると、前記干渉突部75が前記当接部46aと当接して前記取付部材(操作ボタンユニット45)がその角度を超えて変位することを防止することにより構成されていることを特徴とする遊技機としたことである。
【0006】
本発明によれば、ドライバー等の治具100を挿入し、取付ベース48を抉じ開けてボタンユニット(操作ボタンユニット45)を抜き取って開け放された開口部46から種々の治具等を挿入して出玉を不正に払い出させる等の不正行為が防止できる。また、このような係止手段を備えた遊技機の場合、取付部材(操作ボタンユニット45)のフランジ50と、開口部46の前端縁部107とが当接している位置からドライバーなどの治具100を挿入して抉じ開けようとしても、前記離脱防止手段によって取付部材(操作ボタンユニット45)の離脱を防止することができる。
また、本発明によれば、取付部材(操作ボタンユニット45)に開口部46の当接部46aと接する干渉突部75を設けるだけの簡素な構成で上述した効果が実現できるので、製造コストに優れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊技機の前面側に設けられた開口部に取り付けられる取付部材の係止状態の不正解除を防止して、取付部材の開口部からの不正離脱を防止することを可能とした遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明遊技機の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態は本発明遊技機の一例にすぎずなんら図示した形態に限定解釈されるものではなく、その他の形態を有する遊技機、例えば封入球式遊技機なども本発明の範囲内であり、また回胴式遊技機(いわゆるパチスロ機)なども本発明の範囲内であり、本発明の範囲内で種々の遊技機に設計変更可能である。
【実施例1】
【0015】
遊技機は、図1に示すように、遊技場の島設備に配設される遊技機枠(本体枠ともいう。)1を含み、該遊技機枠1の前面側には、図示はしないが、一般入賞装置、遊技状態を大当りとするか否かの抽選処理を起動する始動領域としての始動入賞装置、大当たり遊技状態の発生に基づき、入賞口の開放動作を行うアタッカと称する特別電動役物を構成する大入賞装置、遊技球の流下に変化を与える多数の遊技釘などの遊技部材を備えた遊技盤が備えられている。また、遊技機枠1の背面側、すなわち、遊技盤の背面側との間に所定の空間をあけて、かつ遊技盤を介して画像による演出を表示する図示しない画像表示手段(例えば液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)など)が備えられている。なお、画像表示手段は、本実施例では特に限定解釈されず周知の画像表示手段を適用可能である。また、画像表示手段を備えない遊技機であっても本発明の範囲内である。
また、図示はしないが、遊技機枠1内で画像表示手段の背面には、遊技の進行を制御する主制御基板(主制御回路)や、該主制御基板(主制御回路)からの信号に従って各演出装置(発光装置、画像表示手段,スピーカなど)を制御する副制御基板(副制御回路)などの制御装置を配した図示しない基板ベースが装着されている。
【0016】
本実施形態では、遊技機枠1の前面側上部1aに、該遊技機枠1の上部に備えられる図示しない左右のスピーカを覆うとともに、装飾レンズ105を備えた任意形状の前面上飾り2が配設されている。前面上飾り2は、図12及び図13に示すように、カバー体3と、スピーカカバー11と、装飾レンズ105と、拡散シート19と、装飾レンズ用リフレクタ17と、ベース部7とで構成されている。
【0017】
カバー体3は、左右のスピーカ上を覆う第一のカバー体4と第二のカバー体5、及び第一のカバー体4と第二のカバー体5の間に配されて、設置状態において第一のカバー体4と第二のカバー体5とともに外観上一体に備えられ、所定の形状に形成された装飾レンズ105の外周を覆う中央のカバー体6とで構成されている。装飾レンズ105は、例えば遊技機台の名称や所定のマークなどを表現している形状を有し、光による演出効果を向上させるものである。
【0018】
左右のスピーカは、遊技機枠1の前面側上部1aを覆うように取り付けられる合成樹脂製の長尺平板状のベース部7の左右位置に設けられたスピーカ用開口部8から前方に向けて臨むように配設されている。
ベース部7は、左右端9からそれぞれ一体に延設され、後側に向けて折り曲げ形成されている所定長さの左右サイド部10を備えており、この左右サイド部10は、遊技機枠1の上部左右端面1bを覆うように取り付けられている。
そして、その開口部8から臨むスピーカを覆う所定形状のスピーカカバー11が配設されている。
スピーカカバー11は、ベース部7の前面に係止されて取付けられる。
前記第一のカバー体4と第二のカバー体5は、このスピーカカバー11を前面側から覆うように配設され、ベース部7に取付固定される。本実施形態において、スピーカカバー11は、非透光性の合成樹脂材で形成されている。
【0019】
前記ベース部7における左右のスピーカ用開口部8の周縁前面(本実施形態では上縁12の前面)と、左右のスピーカ用開口部8の間の面部13前面には、それぞれLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)基板14が配設されている。すなわち、左右のスピーカ用開口部8の周縁前面に配されるLED基板14は、第一のカバー体4と第二のカバー体5をそれぞれ発光させる目的をもって配設されており、前記左右のスピーカ用開口部8の間の面部13前面に配されるLED基板14は、装飾レンズ105を発光させる目的をもって配設されている。
【0020】
前記ベース部7の面部13前面には、前面側15と後面側16をそれぞれ開口した所定形状の装飾レンズ用リフレクタ(光拡大部)17が係止されて配設されている。装飾レンズ用リフレクタ17は、例えば本実施形態では、非透光性の合成樹脂材で形成されており、装飾レンズ105を構成する各文字形態部分に適合する複数個の独立した筒部18が横並び状に一体成形されている。なお、透光性を有する合成樹脂材で形成されているものとしてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、前記リフレクタ17と装飾レンズ105との間に、リフレクタ17から前方へと送られたLED基板14の光を、拡散させて装飾レンズ105へと送る拡散シート19を配設している。
拡散シート19は、装飾レンズ105の形状と略同一の形状を有する薄肉シートに形成されている。
【0022】
中央のカバー体6は、非透光性の合成樹脂材で、前面側20と後面側21をそれぞれ開口した横長筒状に形成されており、前記リフレクタ17の前面側から、リフレクタ17の外周22に嵌り合う内面形状をもって形成され、ベース部7の面部13の前面に係止して取り付けられている。
そして、前記装飾レンズ105を中央のカバー体6の前端側23に取り付け固定するとともに、前記拡散シート19を前記リフレクタ17の前端面24と前記装飾レンズ105の裏面25に当接させて挟持している。なお、中央のカバー体6は、透光性を有する合成樹脂材で形成されているものとしてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、第一のカバー体4と第二のカバー体5は、それぞれが透光性を有する合成樹脂材で形成されるとともに、メッキ被覆でハーフミラー処理されている。また、前記スピーカカバー11は、ベース部7のスピーカ用開口部8の少なくとも上縁12の前面を覆わない大きさに形成されているものとしている。
すなわち、前記ベース部7の上縁12にはLED基板14が配設されており、このLED基板14から発する光が前記第一のカバー体4と第二のカバー体5から可視可能とするためである。従って、第一のカバー体4と第二のカバー体5は、中央に位置する装飾レンズ105とともに、可視可能に発光する。
また、本実施形態では、それぞれ装飾レンズ105を構成する各文字形態部分に適合する複数個の独立した筒部18が横並び状に一体成形されているリフレクタ形態としたため、それぞれの装飾レンズ105の文字毎に発光させたり、それぞれの文字毎に異なる光を発色させたりすることもでき、装飾性を向上させることが可能である。このような発光形態は本実施形態に何等限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0024】
遊技機枠1の前面側で、前記前面上飾り2の下には、図1に示すように、開閉扉(ガラス枠ともいう。)26が開閉可能に備えられている。
【0025】
開閉扉26は、遊技機枠1の一側(本実施形態では遊技機に向かって左側)の前面側に、蝶番などを介して開閉可能に取り付けられ、前後方向に貫通する窓部(開口)27を備えた扉枠28と、扉枠28の背面側で、前記窓部27の周囲に備えた図示しない透明板保持枠と、透明板保持枠を介して取り外し可能に配設され、前記窓部27の面積よりも広い面積を有し、かつ透光性を有する合成樹脂板やガラス板などの透明板29と、扉枠28の前面側で、前記窓部27の下側に取付けられ、遊技球を溜め置く玉受皿(上皿)30で構成されている。すなわち、前記透明板29を介して遊技機枠1に配設した遊技盤を視認可能にしている。
【0026】
また、本実施形態の遊技機では、開閉扉26の下側で、遊技機枠1の前面側に取り付けられる取付パネル部31を備えている。取付パネル部31には、前面側に、遊技の結果、払い出され、上皿30から溢れた遊技球を溜め置く下皿32と、前記上皿30から図示しない発射装置へと送られた遊技球を、遊技盤の遊技領域へと打ち出す操作ハンドル33が備えられている。
また、本実施形態では、扉枠28の前面側で、左右の枠部34の前面には、所定の発光態様を奏する扉装飾部35が備えられている。扉装飾部35は、左右の枠部34の前面に配設される図示しないLED基板と、そのLED基板上を覆う装飾レンズ36とで構成されている。なお、本実施形態では特に図示していないが、上述した前面上飾り2と同様に、LED基板と装飾レンズ36との間に、光拡散部と拡散シートを配設することも可能である。
【0027】
上皿30は、例えば本実施形態では、図1乃至図3に示すように、遊技球を溜め置く受皿部37を凹設してなる平面部38と、平面部38の前端側39から一体に連続して形成された前面部40と、前面部40の下端側41から一体に連続して形成された前下面部42と、平面部38の後端側43から一体に連続して形成され、周縁部を残して開口状に形成した後面部44とで所定形状に形成され、後面部44の開口から連通する内部中空状に形成されている。図中、符号Fは、上皿30の中空内部を示す。
【0028】
本実施形態では、図1乃至図3に示すように、例えば上皿30の前面部40の略中央位置には、遊技者の操作により所定の演出を実行するための操作ボタンユニット45が備えられている。
上皿30の前面部40の略中央位置には、中空内部Fと連通して設けられ、前記操作ボタンユニット45を前面側から取り付けるためのボタンユニット配設用の開口部46を備えている。
すなわち、本実施形態では、前記操作ボタンユニット45が、本発明の構成である取付部材として機能し、前記上皿30の前面部40に設けられるボタンユニット配設用の開口部46が、本発明の構成である開口部として機能する。
そして、上皿30の開口部46の内面側には、後述する操作ボタンユニット45の係止部(係止片)70が係止される係止受部73が備えられている。本実施形態では、係止受部73は、後述する操作ボタンユニット45のフランジ50が、開口部46の前端縁部107に当接した際に、前記係止片70が係止される位置に備えられている上方の返し部が係止受部73として機能する。
また、本実施形態では、後述する操作ボタンユニット45の左係止片58と右係止片58が係止される係止受部106も備えられている。すなわち、本実施形態では、係止片70の係止受部73への係止とともに、左係止片58と右係止片58も開口部46のそれぞれの係止受部106に係止されるため、係止状態がより強固となる。
【0029】
操作ボタンユニット45は、図4乃至図8に示すように、本実施形態では、左右に並んだ二個のボタン部材47が、それぞれ取付ベース48に取り付けられて構成されている。
【0030】
取付ベース48は、合成樹脂材からなり、中空の横長筒状に形成されたベース本体部49と、同じく合成樹脂材からなり、該ベース本体部49の前面の上端部と下端部、そして左端部と右端部から、それぞれベース本体部49の外方へと延設されたフランジ50とで構成されている。
ベース本体部49は、左右のボタン部材47を挿入してそれぞれ離間状態に取付可能な2個の取付孔51を所定間隔あけて設けた前面板部52と、曲面を有する板状に形成された左側板部53と右側板部54、及び長尺の略平板状に形成された上板部55と下板部56で、中空の横長筒状に一体に構成されている。また、図5中で、符号57で示す部材は、ベース本体部49の開口した後面側を塞ぎ、その前面側の所定位置にLEDを備えたLED基板であり、左側板部53と右側板部54の係止受部に係止されて備えられる。
なお、ベース本体部49は、上皿30の開口部46に挿入可能な大きさをもって形成されており、フランジ50は、前記開口部46の前端縁部107に当接可能な大きさをもって形成されている。
【0031】
前面板部52は、所定の装飾を図った前面形状を有し、上端部52a、下端部52b、左端部52c、右端部52dから延設された隣り合うそれぞれのフランジ50は連続している。
また、前面板部52における2個の取付孔51の間には、窪み部52eが形成されている。
そして、左端部52cと右端部52dのそれぞれのフランジ50の裏側からは、上皿30の開口部46内に操作ボタンユニット45を挿入した際に係止可能なユニット用の左係止片58と右係止片58が後方に向けて突設されている。
【0032】
左係止片58と右係止片58は、フランジ50の裏側から延設された舌片部59と、舌片部59の先端に一体に設けられた楔状の係止爪部60とで構成され、舌片部59の弾性により、上皿30の開口部46の左右内面部分に設けられているユニット用の左右係止受部106に係止される。なお、このそれぞれの左右係止片58のみの弾性力でもって係止されることでも十分に係止されて取付けられる効果は発揮されるが、さらに本実施形態では次の構成を採用している。
【0033】
すなわち、前記左側板部53から一体に設けられた左弾性片部61と、その左弾性片部61と前記左係止片58との間に、それぞれの面部と当接して一体に配設されたゴムなどの弾性体62とを備えて構成している。また、前記右側板部54から一体に設けられた右弾性片部63と、その右弾性片部63と前記右係止片58との間に、それぞれの面部と当接して一体に配設されたゴムなどの弾性体64とを備えて構成している。左弾性片部61と右弾性片部63は、それぞれ左側板部53と右側板部54から直交する方向に延設された延設片65と、該延設片65から後方(舌片部59の延設方向と同じ方向)に一体に延設された作用片66とで構成されている。
このような構成を採用していることにより、左係止片58と右係止片58には、それぞれ左弾性片部61と弾性体62、右弾性片部63と弾性体64による強固な外向きの押圧力が掛かるため、係止されて取付けられる力が強く、簡単には抜き外すことができない。
【0034】
上板部55と下板部56の所定箇所には、それぞれ、後述する左右のボタン部材47の上下のベース取付片86が係止可能な取付片用係止孔67が、所定間隔をあけて貫通状に設けられている。
本実施例によれば、取付片用係止孔67は、本実施形態では、上板部55と下板部56のそれぞれの後端68寄りに設けられている。
【0035】
上端部52aから延設されたフランジ50の裏側と上板部55との境界位置には、複数個のリブ69が設けられており、そして、前記フランジ50の裏側の略中央で、左右のリブ69の間には、フランジ50の裏側から後方に向けて一体に突出する係止片70が備えられている。
そして、本実施形態では、所定の間隔をあけて水平方向(図中、矢印Hで示す方向)で隣り合う2個の係止片70が備えられている。
【0036】
係止片70は、フランジ50の裏側から延設された舌片部71と、舌片部71の先端に一体に設けられた楔状の係止爪部72とで構成されており、舌片部71の弾性により、上皿30の開口部46の内面に備えたユニット用の係止受部73に係止される。
なお、本実施形態では、それぞれの係止片70の両側に左右のリブ74が設けられている。
【0037】
下板部56の所定箇所には、図2乃至図8に示すように、本発明の特徴的な構成である離脱防止手段を構成する干渉突部75が設けられている。
離脱防止手段は、前記操作ボタンユニット45が、前記上皿30の開口部46内面の係止受部73に係止された位置に対して、所定角度を超えて変位するのを防止することによって、操作ボタンユニット45の係止状態の解除を防止して、操作ボタンユニット45の開口部46からの離脱を防止する機能を奏する。
【0038】
干渉突部75は、前面板部52の下端部から延設されたフランジ50の裏側から、該フランジ50と直交する方向で、下板部56の後端より外方に突出する長さをもって下板部56から下方に一体に突設されている。本実施形態では、このように下板部56の前後端方向(矢印Xで示す方向)の幅よりも長い細幅板状に形成された干渉突部75を、下板部56の左右両端寄りにそれぞれ1個ずつ備えている。
そして、本実施形態では、上皿30の開口部46の内面46aが当接部として機能する。
前記干渉突部75は、操作ボタンユニット45が上皿30の開口部46に挿入され、フランジ50が開口部46の前端縁部107に当接するとともに、係止片70が係止受部73に係止されて装着された状態で、上皿30の開口部46の内面(当接部)46aとの間に所定の隙間Lをもって位置する。従って、干渉突部75は、操作ボタンユニット45を装着した際に、この隙間Lが形成される程度の突出高さ(図中矢印Y方向の高さ)で形成する。
よって、係止片70が係止された位置から操作ボタンユニット45が離れる方向(図中矢印Aで示す方向)へ操作ボタンユニット45が変位した時、前記当接部46a方向へと近づく。
そして、係止片70が係止受部73から離れる方向へ操作ボタンユニット45が所定角度変位すると、干渉突部75が当接部46aと当接して操作ボタンユニット45がその角度を超えて変位することを防止する。
【0039】
本実施形態のボタン部材47は、図10及び図11に示すように、取付ベース48に取り付けられるボタンベース76と、該ボタンベース76の前端に係止により取り付けられるボタンキャップ(被覆部材)77と、発光手段を備え、所定の発光態様を奏する構造としている。
【0040】
ボタンベース76は、非透光性部材からなり、円筒状部78と、円筒状部78の前端に設けられた正面視で四角形状のベースフランジ部79と、円筒状部78の内部に設けられた導光部90と、ベースフランジ部79の前面側に角柱状に立ち上げ形成された前周壁部80とを備えて構成され、前面側81と後面側82を開口し、内部が連通している。
このように構成されたことにより、前周壁部80の先端であるベース前端部83と、導光部90の前端部84との間には、凹状に形成された収容部85が設けられている。この収容部85内には、後述する第一の拡散シート部97と、光拡大部93と、第二の拡散シート部98が収容される。
円筒状部78の後端側には、ベース取付片86が一体に形成されている。ベース取付片86は、円筒状部78から一体に突設された舌片部87と、その舌片部87の先端に一体に設けられた楔状の取付爪部88とで構成されており、舌片部87の弾性により、取付ベース48の取付用係止孔67に係止される。
【0041】
本実施形態の発光手段は、ボタンベース76の後方で、円筒状部78の開口側から臨むように配設されるLEDなどの発光体と、その発光体からの光を前方へと誘導するための誘導面部89を備えた導光部90と、導光部90の前方に配設される第一の拡散シート部97と、第一の拡散シート部97の前方に配設される光拡大部93と、光拡大部93の前方に配設される第二の拡散シート部98とで構成されている。
なお、発光体は、本実施形態で使用したLEDに限定されるものではなく、周知のランプやLCDなどを用いることも可能である。また、本実施形態では、LEDが、ボタンベース76の後方で、円筒状部78の開口側から臨むように配設するものとしたが、円筒状部78内に配設する構成としてもよい。
【0042】
導光部90は、本実施形態では、前面側91と後面側92の双方を開口して内部を中空状に形成した後面側から前面側に行くに従って拡開する台形状とし、ボタンベース76内に、該ボタンベース76と一体に非透光性部材で形成されている。
【0043】
光拡大部93は、後面側(底部)93aが閉鎖され、前面側93bが拡大されて開口を有する台形状に形成され、底部93aが透光性を有し、側壁93cは非透光性として形成されている。
具体的には、導光部90の前方に配設される小径後端部(底部)95と、小径後端部95よりも前方に配され、小径後端部95よりも径を大きく構成した大径前端部(前面部)96と、小径後端部95から入った光を大径前端部96へと案内する径が連続して拡大された誘導部94とが一体に構成されている。本実施形態では、光拡大部93の拡開角度は、導光部90の拡開角度よりも大きく構成している。照射範囲をさらに拡大するためである。
【0044】
第一の拡散シート部97は、前記光拡大部93の小径後端部95と導光部90の前端部とにそれぞれ接触した状態で配した少なくとも一枚の光拡散シートからなる。本実施形態では、導光部90の前端部と光拡大部93の底部93aよりも大きく形成されている。
【0045】
第二の拡散シート部98は、前記光拡大部93の大径前端部96とボタンキャップ77の内面とにそれぞれ接触した状態で配した少なくとも一枚の光拡散シートからなる。本実施形態では、光拡大部93の大径前端部96と略同一の大きさに形成されている。
【0046】
本実施形態では、第一の拡散シート部97と第二の拡散シート部98に、大きさのみ異なる同一の拡散シートを採用しているが、構成の異なる拡散シートを採用することも可能である。
また、第一の拡散シート部97と第二の拡散シート部98が、それぞれ複数枚の拡散シートをもって構成する形態とすることも可能である。
【0047】
ボタンキャップ77は、発光態様が視認可能な透光性を有する部材で形成され、前記収容部85内に収容された第一の拡散シート部97と、光拡大部93と、第二の拡散シート部98を被覆して前記ベース前端部83に係止により取り付けられ、第二の拡散シート部98に照射された光が視認できる。ボタンキャップ77の形状は、本実施形態の形状に限定解釈されるものではない。
「本実施形態の作用効果」
【0048】
本実施形態によれば、下端部のフランジ50と開口部46の前端縁部107との間に、ドライバー等の治具100を挿入して取付ベース48を抉じ開けようとすると、係止片70が係止受部73から離れる方向(図中Aで示す方向)へ操作ボタンユニット45が所定角度変位する。そのような動作をすると、操作ボタンユニット45に備えた干渉突部75が、当接部46aと当接して操作ボタンユニット45がその角度を超えて変位することを防止する(図2及び図3参照。)。
従って、操作ボタンユニット45を抜き取って開け放された開口部46から種々の治具100等を挿入して出玉を不正に払い出させる等の不正行為が防止できる。
本実施形態によれば、操作ボタンユニット45の取付ベース48に、上皿30の開口部46内面の当接部46aと接する干渉突部75を設けるだけの簡素な構成で上述した効果が実現できるので、製造コストに優れる。
【0049】
なお、本実施形態において、操作ボタンユニット45を取り外す場合には、まず上皿30を開閉扉26の扉枠28から取り外す。そして、上皿30の開口状の後面部から作業者が手を入れて係止片70を操作して係止状態を解除すれば、操作ボタンユニット45の取り外しが可能となる。
また、本実施形態では、下端部のフランジ50と開口部46の前端縁部107との間に、ドライバー等の治具100を挿入して取付ベース48を抉じ開けようとした場合を説明したが、上端部のフランジ50と開口部46の前端縁部107との間に、ドライバー等の治具100を挿入して取付ベース48を抉じ開けようとした場合は、係止片70が係止受部73より離脱することがないので取り外しができない。
【0050】
本発明によれば、導光部90によって前方へと案内されたLEDからの光は、第一の拡散シート部97によって屈折角度を大きくして発光範囲(照射範囲)を拡大し、そして光拡大部93によってその発光範囲が拡大された状態で、前方に配設された第二の拡散シート部98へと照射される。従って、第二の拡散シート部98において、光量にムラが少なく、全体的に均一に光が照射されるので、光による演出効果が向上できる。
【0051】
また、配設スペースの関係で、遊技機の奥行き方向や水平方向において導光部90の拡開角度が必然的に狭められることも有り得るが、そのような状況となったとしても、本発明によれば、光量にムラが少なく、全体的に均一に光が照射されるので、配設スペースの省スペース化に有効に対応可能である。それと同時に、発光態様を表示する表示シートの発光領域は、現状と同じく広い領域を確保することができる。
【実施例2】
【0052】
図14は、本発明の実施例2を示す。
この実施例2によれば、干渉突部75の先端に係止用の窪み101を設け、その係止用の窪み101に対応する係止用突起102を上皿30の開口部46の内面(当接部46a)に形成している(図14(a))。
従って、下端部のフランジ50と開口部46の前端縁部107との間に、ドライバー等の治具100を挿入して取付ベース48を抉じ開けようとすると、係止片70が係止受部73から離れる方向へ操作ボタンユニット45が所定角度変位する。そのような動作をすると、操作ボタンユニット45に備えた干渉突部75の係止用の窪み101に、当接部46a領域に形成されている係止用突起102が係止されるため(図14(b))、引き抜き方向への弊害となり、操作ボタンユニット45の引き抜きをより困難とする。よって、操作ボタンユニット45がその角度を超えて変位することを防止できる。
【実施例3】
【0053】
図15は、本発明の実施例3を示す。
この実施例3によれば、干渉突部75の先端に下方に向けて突出する突起103を設け、その突起103に対応する突起係止用の孔部104を上皿30の開口部46の内面(当接部46a)に形成している(図15(a))。
従って、下端部のフランジ50と開口部46の前端縁部107との間に、ドライバー等の治具100を挿入して取付ベース48を抉じ開けようとすると、係止片70が係止受部73から離れる方向へ操作ボタンユニット45が所定角度変位する。そのような動作をすると、操作ボタンユニット45に備えた干渉突部75の突起103が、当接部46a領域に形成されている突起係止用の孔部104に係止されるため(図15(b))、引き抜き方向への弊害となり、操作ボタンユニット45の引き抜きをより困難とする。よって、操作ボタンユニット45がその角度を超えて変位することを防止できる。
「変形例1」
【0054】
なお、上述した操作ボタンユニット45の配設個所、配設個数若しくは形状などは特に限定されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
本実施形態では、上皿30の前面部にボタンユニット配設用の開口部46を設けているが、開口部46は、遊技機の前面側、すなわち遊技場の島設備に設置した状態で、遊技者と向かい合う遊技機の正面側に設けられているものであればよく、他の箇所を採択することは可能である。
「変形例2」
【0055】
遊技機の前面側に設けられた開口部と、開口部に前面側から挿入されて係止されることで、開口部に閉蓋状に取り付けられる取付部材とで構成される関係にあるものであれば、本実施形態に何等限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
例えば、前記実施例1で説明した前面上飾り2の装飾レンズ105に離脱防止手段を採用することも可能であり、本発明の範囲内である。
すなわち、装飾レンズ105の外周面を後方に向けて所定長さ広く形成するとともに前端縁部をフランジ状に延設する。そして、そのフランジ裏面側の上端に、後方に向けて延設する係止片を設けるとともに、係止片と対向する外周面に、後方に向けて延設する二本の干渉突部75を設ける。そして、カバー体3の内面には、前記フランジがカバー体3の前端に当接した際に前記係止片が係止可能な係止受部を設ける。
従って、係止部が係止受部から離れる方向へ装飾レンズ105が所定角度変位すると、干渉突部75がカバー体3の内面(当接部46a)と当接して装飾レンズ105がその角度を超えて変位することを防止することができる。
また、開閉扉26の扉枠28の前面に備えた装飾レンズ105に離脱防止手段を備えることも可能で、本発明の範囲内である。
「変形例3」
【0056】
本実施形態では、操作ボタンユニット45のボタン部材47に上述した発光手段を適用したが、発光する部材であれば何れの場所においても採用することができ、例えば装飾ランプやエラーなどの報知ランプについても採用可能である。
また、光拡大部は、本実施形態では、底部のみ透光性を有するものとしたが、光拡大部全体を透光性部材からなるものとしてもよい。すなわち、底部と側壁の双方が透光性を有するものであれば、側壁も発光し、光による装飾性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】実施例1の遊技機の一例を示す概略正面斜視図である。
図2】操作ボタンユニットを上皿の開口部に係止して装着している状態の概略断面図である。
図3】操作ボタンユニットを不正に取り外そうとし、離脱防止手段が作用している状態を示す概略断面図である。
図4】操作ボタンユニットの概略正面斜視図である。
図5】操作ボタンユニットの概略背面斜視図である。
図6】操作ボタンユニットの背面側を斜め上方から見た状態の概略図である。
図7】操作ボタンユニットの背面側を斜め下方から見た状態の概略図である。
図8】操作ボタンユニットの概略側面図である。
図9】上皿の開口部を上皿の中空内部側から見た状態の概略図である。
図10】操作ボタンの分解斜視図である。
図11】操作ボタンの概略断面図である。
図12】正面側から見た前面上飾りの分解斜視図である。
図13】背面側から見た前面上飾りの分解斜視図である。
図14】実施例2の概略を一部省略して示す断面図で、(a)は操作ボタンユニットを上皿の開口部に係止して装着している状態の概略断面図、(b)は操作ボタンユニットを不正に取り外そうとし、離脱防止手段が作用している状態を示す概略断面図である。
図15】実施例3の概略を一部省略して示す断面図で、(a)は操作ボタンユニットを上皿の開口部に係止して装着している状態の概略断面図、(b)は操作ボタンユニットを不正に取り外そうとし、離脱防止手段が作用している状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 遊技機枠
26 開閉扉
30 上皿
45 操作ボタンユニット
46a 当接部
75 干渉突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15