特許第5768300号(P5768300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5768300-スタンプ作製方法及びスタンプ作製装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768300
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】スタンプ作製方法及びスタンプ作製装置
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/00 20060101AFI20150806BHJP
   B41C 1/00 20060101ALI20150806BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   B41K1/00 Z
   B41C1/00
   G03F7/00 502
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-277410(P2009-277410)
(22)【出願日】2009年12月7日
(65)【公開番号】特開2011-116072(P2011-116072A)
(43)【公開日】2011年6月16日
【審査請求日】2012年12月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴文
【審査官】 鈴木 友子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−268230(JP,A)
【文献】 特開昭51−012204(JP,A)
【文献】 特開昭49−003705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/00
B41C 1/00
G03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンプ作製に用いる作製ステージテープを移送する第1移送手段と、
前記作製ステージテープ上に感光性樹脂を塗布する塗布手段と、
スタンプのベース部材であって感光波長光を透過するスタンプテープを移送する第2移送手段と、
前記感光性樹脂の感光波長光を照射する光照射手段と、
を備え、
前記作製ステージテープと前記スタンプテープとの間に挟んで展延した感光性樹脂のスタンプ形状に対応する領域に、前記スタンプテープ側から前記光照射手段によって感光波長光を照射させて感光性樹脂を硬化させ、前記作製ステージテープと前記スタンプテープとを離間させて前記スタンプテープ上にスタンプを形成する構成であって、
前記スタンプテープにおける硬化後の感光性樹脂の密着性が前記作製ステージテープよりも高く、硬化後に前記作製ステージテープと前記スタンプテープとを離間させることで、前記スタンプテープ側に硬化後の感光性樹脂が密着して残って前記スタンプテープ上にスタンプが形成されると共に、スタンプ形成後に前記作成ステージテープに付着している未感光の感光性樹脂を露光により硬化させてから除去することを特徴とするスタンプ作製装置。
【請求項2】
前記第1移送手段及び第2移送手段が、スタンプの新規作製に備え、前記作製ステージテープ及び前記スタンプテープの使用済み部分をスタンプ作製領域から退避させ、後続の未使用部分をスタンプ作製領域に移送することを特徴とする請求項1記載のスタンプ作製装置。
【請求項3】
前記展延時における前記作製ステージテープと前記スタンプテープとの距離を調整して、前記スタンプの高さを可変に設定することを特徴とする請求項1又は2記載のスタンプ作製装置。
【請求項4】
前記第1移送手段及び前記第2移送手段は、供給側リールと巻取り側リールとを備え、
前記供給側リールと前記巻取り側リールとの間に張り渡した前記作製ステージテープと前記供給側リールと前記巻取り側リールとの間に張り渡した前記スタンプテープとの間に挟んで感光性樹脂を展延することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のスタンプ作製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンプ作製方法及びスタンプ作製装置に関し、詳しくは、感光性樹脂を用いてスタンプを作製する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紫外線硬化樹脂などの感光性樹脂を用いてスタンプを作製することが知られており、例えばネガフィルムをマスクとして感光性樹脂に光(例えば紫外線)を露光し、この露光による未硬化部分を取り除くことで、凹凸のスタンプ面を得ていた(例えば、特許文献1参照)。
また、スタンプとして、コンタクトプリントに用いるスタンプや、ナノインプリントに用いる凹凸の型としたスタンプなどがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−324086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のスタンプ作製方法及び装置では、多く工程及び複雑な構造の素材を必要とし、スタンプ作製に要するリードタイムが長く、また、スタンプの作製コストが高くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、簡易な工程及び構成でスタンプを作製でき、スタンプ作製を、短いリードタイムで、かつ、低コストに行えるスタンプ作製方法及びスタンプ作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るスタンプ作製装置は、スタンプ作製に用いる作製ステージテープを移送する第1移送手段と、作製ステージテープ上に感光性樹脂を塗布する塗布手段と、スタンプのベース部材であって感光波長光を透過するスタンプテープを移送する第2移送手段と、前記感光性樹脂の感光波長光を照射する光照射手段と、を備え、作製ステージテープとスタンプテープとの間に挟んで展延した感光性樹脂のスタンプ形状に対応する領域に、スタンプテープ側から光照射手段によって感光波長光を照射させて感光性樹脂を硬化させ、作製ステージテープとスタンプテープとを離間させてスタンプテープ上にスタンプを形成する構成であって、前記スタンプテープにおける硬化後の感光性樹脂の密着性が前記作製ステージテープよりも高く、硬化後に前記作製ステージテープと前記スタンプテープとを離間させることで、前記スタンプテープ側に硬化後の感光性樹脂が密着して残って前記スタンプテープ上にスタンプが形成されると共に、スタンプ形成後に前記作成ステージテープに付着している未感光の感光性樹脂を露光により硬化させてから除去する。
このような構成では、第1,第2移送手段によってそれぞれ移送可能な作製ステージテープとスタンプテープとの間に挟んで感光性樹脂を展延し、展延した感光性樹脂に対してスタンプテープ側から光照射手段からの光を照射させ、光の照射部分を硬化させてスタンプテープ上にスタンプを形成する。
【0010】
ここで、第1,第2移送手段が、スタンプの新規作製に備え、作製ステージテープ及びスタンプテープの使用済み部分をスタンプ作製領域から退避させ、後続の未使用部分をスタンプ作製領域に移送することができる。
このような構成では、スタンプ作製に使用し、未感光の感光性樹脂が付着した部分、及び、硬化した樹脂によってスタンプを形成した部分を、第1,第2移送手段によって移送させ、スタンプ作製領域から退避させると共に、後続の部分(未使用部分)をスタンプ作製領域に移送させるようにして、スタンプ作製毎にテープの未使用部分を用いてスタンプを作製する。
【0011】
また、展延時における作製ステージテープとスタンプテープとの距離を調整して、スタンプの高さを可変に設定することができる。
このような構成では、作製ステージテープとスタンプテープとの間に挟んで感光性樹脂を展延させるときの作製ステージテープとスタンプテープとの距離(隙間)を調整することで、展延後の感光性樹脂の厚みが変化し、以って、硬化後の感光性樹脂の厚みであるスタンプ高さが変化する。
【0012】
また、第1移送手段及び前記第2移送手段は、供給側リールと巻取り側リールとを備え、供給側リールと巻取り側リールとの間に張り渡した作製ステージテープと供給側リールと巻取り側リールとの間に張り渡したスタンプテープとの間に挟んで感光性樹脂を展延することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るスタンプ作製方法及びスタンプ作製装置によれば、作製ステージテープとスタンプテープとの間に挟んで展延した感光性樹脂を露光し、スタンプテープ上にスタンプを形成するので、簡易な工程及び構成でスタンプを作製でき、スタンプの作製を、短いリードタイムで、かつ、低コストに行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態におけるスタンプ作製装置及び作製方法の各工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスタンプ作製装置、及び、本発明に係るスタンプ作製方法の作製工程を示す図である。
図1に示すスタンプ作製装置100は、スタンプ作製に用いる作製ステージテープMSTを移送する第1移送手段200と、前記作製ステージテープMST上に液体の感光性樹脂PHPを塗布する塗布手段300と、スタンプSTのベース部材として用いるスタンプテープSTTを移送する第2移送手段400と、感光性樹脂PHPを硬化させる波長の光RAを照射する光照射手段500と、を備える。
【0017】
前記スタンプテープSTTは、例えばポリエチレンテレフタレートPETやポリイミドなどを基材としてテープ状に形成したスタンプSTのベース部材であり、後述するように、このスタンプテープSTT上にスタンプSTを形成する。
また、前記スタンプテープSTTは、感光性樹脂PHPの感光波長光の透過率が高く、かつ、感光硬化後の感光性樹脂PHPとの密着性に優れるものが望ましく、密着性を高めるためのコーティングを施しても良い。
【0018】
一方、スタンプSTの作製に用いる作製ステージテープMSTは、スタンプテープSTTと略同一幅のテープ状に形成される。
作製ステージテープMSTの材料としては、種々の材料を用いることが可能で、前記感光波長光を透過する特性も不要であるが、感光硬化後の感光性樹脂PHPとの離型性(剥離性)に優れるものが望ましく、離型性(剥離性)を高めるためのコーティング(例えば、フッ素樹脂コーティング)を施しても良い。
前記スタンプ作製装置100では、後述するように、液体の感光性樹脂PHPを作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの間に挟んだ状態で、スタンプテープSTTを透過させて感光波長光を感光性樹脂PHPに露光させ、硬化後に作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとを離間させて、スタンプテープSTT上にスタンプSTを形成する。
【0019】
従って、スタンプテープSTTとして、感光波長光を透過させる特性を有するものを使用する。また、硬化後に作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとを離間させるときに、硬化した感光性樹脂PHPが作製ステージテープMSTから剥離する一方、硬化した感光性樹脂PHPがスタンプテープSTTに密着して残るように、作製ステージテープMSTは、硬化した感光性樹脂PHPに対する離型性(剥離性)を備える一方、スタンプテープSTTは、硬化した感光性樹脂PHPに対する密着性を備えるようにしてある。
換言すれば、スタンプテープSTTは、作製ステージテープMSTに比べて、硬化した感光性樹脂PHPに対する密着性が高く、逆に、作製ステージテープMSTは、スタンプテープSTTに比べて、硬化した感光性樹脂PHPに対する離型性(剥離性)が高くなるように、スタンプテープSTT及び作製ステージテープMSTの材料やコーティングを選択してある。
【0020】
また、感光性樹脂PHP(光硬化性樹脂)としては、紫外線硬化樹脂や可視光硬化樹脂を用いることができ、樹脂として、例えばアクリル樹脂やポリイミドやシリコーン樹脂などを用いることができる。
光照射手段500は、感光性樹脂PHPとして紫外線硬化樹脂を用いる場合には、紫外線ランプを光源として備え、また、感光性樹脂PHPとして可視光硬化樹脂を用いる場合には、ハロゲンランプなどを光源として備え、光源が放射した光RAを、レンズなどを介して感光性樹脂PHPに照射する。
【0021】
また、光照射手段500は、感光性樹脂PHPの硬化させたい領域、即ち、所望のスタンプ形状に対応する領域に対して選択的に光RAを照射し、所望形状のスタンプ面(凹凸型)を得るための光学デバイスを備えており、例えば、スタンプ面の形状に対応する開口を有するメカニカルスリット(マスク)を介して光を照射したり、複数のマイクロミラーの傾斜を個々に制御することでマイクロミラー毎に光の投射を制御できるDMD(デジタルミラーデバイス)によって、硬化させたい領域に対応するマイクロミラーから光を投射させるようにしたりする。
前記DMD(デジタルミラーデバイス)を用いる構成であれば、個々のマイクロミラーのオン・オフを制御することで光の投射領域を任意に変更できるので、スタンプ面(凹凸型)の形状変更に対してデバイスの交換が不要であり、高い汎用性をもって種々の形状のスタンプSTを作製することができる。
【0022】
作製ステージテープMSTを移送する第1移送手段200は、スタンプ作製に用いる作製ステージテープMSTを予め巻きつけてある供給側リール201と、スタンプ作製に用いた作製ステージテープMSTを巻き取る巻取り側リール202と、巻取り側リール202を図で反時計回りに回転駆動する図外の駆動モータとを備え、これらを、図外の第1ベースプレートに対して一体的に取り付けてある。
前記供給側リール201及び巻取り側リール202は、略水平な軸を中心に回転可能に支持され、かつ、前記供給側リール201の回転軸と巻取り側リール202の回転軸とを、略同一高さで所定距離だけ離間するように配置し、供給側リール201の上部と巻取り側リール202の上部との間に、作製ステージテープMSTを、表面を略水平として張り渡すようにしてある。
【0023】
一方、スタンプテープSTTを移送する第2移送手段400は、スタンプ作製に用いるスタンプテープSTTを予め巻きつけてある供給側リール401と、スタンプ作製に用いたスタンプテープSTTを巻き取る巻取り側リール402と、巻取り側リール402を図で反時計回りに回転駆動する図外の巻き取り用駆動モータと、供給側リール401を図で時計回りに回転駆動してスタンプテープSTTを巻き戻し、作製済みのスタンプSTの中からの選択使用を可能にする図外の巻き戻し用駆動モータと、前記供給側リール401から巻取り側リール402に向かうスタンプテープSTTの移送経路を迂回させるための一対の回転軸(スピンドル)403a,403bとからなり、これらを、図外の第2ベースプレートに対して一体的に取り付けてある。
【0024】
前記供給側リール401及び巻取り側リール402は、略水平な軸を中心に回転可能に支持され、かつ、前記供給側リール401の回転軸と巻取り側リール402の回転軸とが、略同一高さで所定距離だけ離間するように配置してある。
また、一対の回転軸403a,403bを、略水平な軸を中心に回転可能に支持し、かつ、相互に略同一高さで所定距離だけ離間して配置し、更に、供給側リール401及び巻取り側リール402の回転中心よりも、両回転軸403,403の回転中心が、下方に位置するようにしてある。
【0025】
そして、供給側リール401から引き出したスタンプテープSTTを、回転軸403aの下側に掛け、更に、回転軸403bの下側に掛けてから巻取り側リール402に巻き取らせることで、スタンプテープSTTを、回転軸403aの下部と回転軸403bの下部との間に、表面を略水平として張り渡す。
即ち、供給側リール201の上部と巻取り側リール202の上部との間に張り渡した作製ステージテープMSTと、回転軸403aの下部と回転軸403bの下部との間に張り渡したスタンプテープSTTとが、スタンプテープSTTを上側として相互に平行に対向するようになっている。
【0026】
尚、第1移送手段200を一体的に備える第1ベースプレートと、第2移送手段400を一体的に備える第2ベースプレートとの少なくとも一方を、少なくとも垂直方向に移動可能に構成してある。ここで、前記ベースプレートを垂直方向に移動させる手段として、ベースプレートを垂直方向に移動可能に支持する案内レールと、該案内レールに沿ってベースプレートを移動させる送りネジ機構とからなる手段を用いることができ、前記送りネジ機構は、ベースプレートに設けたボールナットと、該ボールナットに螺合し、固定側に回転可能に支持したボールネジと、該ボールネジを回転駆動するモータとを備える。
また、前記塗布手段300は、供給側リール201の上部と巻取り側リール202の上部との間に張り渡した作製ステージテープMSTの上面に、液体の感光性樹脂PHPを塗布する手段であり、ディスペンサなどの接触塗布方式や、インクジェットなどの非接触方式など、既知の種々の方式による塗布手段を適宜採用することができる。
【0027】
次に、上記構成のスタンプ作製装置を用いたスタンプSTの作製工程を、詳細に説明する。
まず、第1移送手段200の上部から第2移送手段400を退避させた状態(又は第2移送手段400の直下から第1移送手段200を退避させた状態)で、第1移送手段200の供給側リール201の上部と巻取り側リール202の上部との間に張り渡した作製ステージテープMSTの上面に、前記塗布手段300によって液体の感光性樹脂PHPを塗布する(図1(a)参照)。
【0028】
ここで、感光性樹脂PHPの塗布量は、スタンプSTの高さ(展延厚さ)やスタンプSTの外形面積などに応じて適量が異なるため、予め実験等から適量を求めておき、この適量だけ塗布する。
液体の感光性樹脂PHPの塗布を終えると、次いで、作製ステージテープMSTの上面に塗布した液体の感光性樹脂PHPに対してスタンプテープSTTを押し当てて、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの間で液体の感光性樹脂PHPを展延する。
【0029】
具体的には、供給側リール201の上部と巻取り側リール202の上部との間に張り渡した作製ステージテープMSTと、回転軸403aの下部と回転軸403bの下部との間に張り渡したスタンプテープSTTとが、相互に平行に対向する状態で、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの隙間Sが設定値になるまで、第1移送手段200と第2移送手段400との相対距離を徐々に縮めるようにすることで、作製ステージテープMSTの上面に塗布した液体の感光性樹脂PHPにスタンプテープSTTを押し当てる。
前記第1移送手段200と第2移送手段400との相対距離を縮めるときの目標値である、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの隙間Sの設定値は、液体の感光性樹脂PHPの展延厚さの目標であって、引いては、スタンプの高さを既定することになるので、センサによって前記相対距離を検出しつつ、第1移送手段200と第2移送手段400との少なくとも一方を移動させる。
従って、前記隙間Sを調整することで、任意の高さのスタンプSTを作製することができる。
【0030】
前記作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの隙間Sが設定値になるまで、第1移送手段200と第2移送手段400との相対距離を徐々に縮めることで、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの間に挟まれる感光性樹脂PHPを、設定値に対応する厚さに展延する(図1(b)参照)。
作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの間に挟んで感光性樹脂PHPを展延すると、そのときの隙間Sを保ったまま、スタンプテープSTTのスタンプ形成面の反対側から光照射手段500によって感光性樹脂PHPに向けて光RAを照射させる(図1(c)参照)。
尚、前記光照射手段500を、第2移送手段400を搭載した第2ベースプレートに対して一体的に取り付けることができる。
【0031】
光照射手段500が照射する光RAは、スタンプテープSTTを透過し、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの間に挟まれた感光性樹脂PHPを露光することになり、更に、光の照射領域を、所望のスタンプ形状に対応する領域に限定するので、所望のスタンプ形状に対応する領域の感光性樹脂PHPが硬化する。
予め決定した照射時間だけ光照射手段500による光RAの照射を行い、スタンプ面を構成する部分を硬化させると、次いで、第1移送手段200と第2移送手段400とを離間させることで、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの隙間Sを広げる(図1(d)参照)。
【0032】
このとき、硬化した感光性樹脂PHPは作製ステージテープMSTから剥離し易いが、硬化した感光性樹脂PHPはスタンプテープSTTに密着しているため、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの隙間Sを広げると、硬化した感光性樹脂PHPがスタンプテープSTT側に密着して残ることになる。
また、未感光で液体の状態を保持している感光性樹脂PHPは、作製ステージテープMSTとスタンプテープSTTとの双方に付着して残ることになる。
【0033】
ここで、作製ステージテープMSTについては、第1移送手段200による巻き取り移送を行うことで、供給側リール201と巻取り側リール202との間の領域、即ち、スタンプの作製に用いる領域から、未感光で液体の感光性樹脂PHPが付着している作製ステージテープMST(使用済の作製ステージテープMST)を退避させ、後続する液体の感光性樹脂PHPが付着していない作製ステージテープMSTの未使用部分を、スタンプの新規作製に備えて供給側リール201と巻取り側リール202との間に張り渡すようにする(図1(d)参照)。
【0034】
一方、スタンプテープSTTについては、硬化した感光性樹脂PHPの周囲に、未感光で液体の状態を保持している感光性樹脂PHPが付着しているので、この液体の感光性樹脂PHPを溶剤等で洗浄・除去し、スタンプテープSTT上に硬化した感光性樹脂PHPのみを残す。
これによって、スタンプテープSTT上の硬化した感光性樹脂PHPを、スタンプST(凹凸型)として用いることができるようになり(図1(e)参照)、作製したスタンプSTを使用する場合には、スタンプテープSTTを台座とした状態のまま、コンタクトプリントやナノインプリントなどに用いる。
【0035】
新規にスタンプSTを作製する場合には、第2移送手段400による巻き取り移送を行うことで、回転軸403aと回転軸403bとの間に張り渡したスタンプテープSTTであって、スタンプSTを形成した使用済みのスタンプテープSTTを、回転軸403aと回転軸403bとの間(スタンプ作製領域)から退避させ、後続するスタンプ形成が行われていないスタンプテープSTT(未使用部分)を、スタンプSTの新規作製に備えて、回転軸403aと回転軸403bとの間に張り渡すようにする。
従って、スタンプ作製を複数回行うことで、スタンプテープSTT上に複数のスタンプSTを形成でき、また、スタンプ作成毎に露光パターンを変えることで、異形状の複数種のスタンプSTをスタンプテープSTT上に形成でき、第2移送手段400によるスタンプテープSTTの移送(送り又は巻き戻し)によって回転軸403aと回転軸403bとの間に位置させるスタンプSTを切り替えることで、複数のスタンプSTの中から選択的に使用することができる。
【0036】
以上のように、本実施形態のスタンプ作製方法及びスタンプ作製装置によれば、感光性樹脂PHPを、所望のスタンプ形状に合わせて露光・硬化させて、スタンプST(凹凸型)を作製するので、短時間での作製が可能である。
また、感光性樹脂PHPを露光させる領域の形状に応じて、スタンプST(凹凸型)の形状が決まるので、任意の形状のスタンプST(凹凸型)を容易かつ安価に作製することができる。
また、感光性樹脂PHPを展延させるときのスタンプテープSTTと作製ステージテープMSTとの対向距離(換言すれば、第1移送手段200と第2移送手段400とにおける相対移動距離)を制御することによって、スタンプST(凹凸型)の高さを任意に制御することが可能である。
【0037】
また、スタンプテープSTT上に複数のスタンプST(凹凸型)を並べて形成でき、異形状のスタンプST(凹凸型)の選択的使用を容易に行え、スタンプST(凹凸型)を用いたコンタクトプリントやナノインプリントの作業性が向上する。
また、液状の感光性樹脂PHPを、スタンプテープSTTと作製ステージテープMSTとの間に挟んで展延し、所望の厚さにするので、回転塗布(スピンコート)方式などを用いて厚さを均一にする場合に比べて、装置を簡略化できる。
【0038】
尚、スタンプ作製後に、未感光の感光性樹脂PHPが作製ステージテープMSTに付着して残った場合に、前述のように、新規作製に備えて液体の感光性樹脂PHPが付着した状態のままで作製ステージテープMSTの巻き取りを行わせても良いし、溶剤で洗浄してから巻き取りを行わせても良いし、更には、付着している感光性樹脂PHPに露光し、硬化させてから除去しても良い。
ここで、硬化した感光性樹脂PHPは、作製ステージテープMSTから剥離し易いため、硬化後に除去する構成とすれば、溶剤で洗浄させる場合に比べて、作製ステージテープMSTから感光性樹脂PHPを容易に除去できる。
【0039】
また、感光性樹脂PHPを展延させるときのスタンプテープSTTと作製ステージテープMSTとの距離を規制するスペーサ部材を、スタンプテープSTTと作製ステージテープMSTとの少なくとも一方に対して一体的に設け、スタンプST(凹凸型)の作製に用いる面が、前記スペーサ部材が制限する距離以下に近づかないようにすることができる。
前記スペーサ部材として、例えばテープの幅方向両端に積層した帯状部材を用いることができ、このようなスペーサ部材であれば、感光性樹脂PHPを展延させるときに、液体の感光性樹脂PHPがテープの幅方向端部から漏れ出すことを規制するストッパとしても機能することになる。
【0040】
また、例えばスタンプテープSTTを、両端を連結させた環状とし、第1移送手段200が環状のスタンプテープSTTを一方向に移送させることで、スタンプテープSTT上に複数形成されたスタンプST(凹凸型)の選択使用を行えるように構成できる。
また、前記第1移送手段200及び第2移送手段400におけるリールや回転軸の構成を、図1に示したものに限定するものではなく、スタンプテープSTTと作製ステージテープMSTとを平行に対向させ、かつ、スタンプ作製後にテープの使用済み部分を退避させ、代わりに、テープの未使用部分を作製領域にまで移送させることができればよい。
【符号の説明】
【0041】
100…スタンプ作製装置
200…第1移送手段
300…塗布手段
400…第2移送手段
500…光照射手段
PHP…感光性樹脂
STT…スタンプテープ
MST…作製ステージテープ
ST…スタンプ(凹凸型)
図1