【実施例】
【0208】
以下に、実施例をもって本発明を説明するが、これにより実施態様は限られない。
【0209】
[実施例1]1,4−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ジエチルエステルの合成
【0210】
【化64】
【0211】
コンデンサーを備えた1Lのガラスフラスコに、1,4−ジヨードベンゼン50g(152mmol/1.0当量)、金属銅粉末44g(692mmol/4.6当量)とジメチルスルホキシド(DMSO)(脱水)250mLを加え、そこにブロモ−ジフルオロ酢酸エチル83g(408mmol/2.6当量)を滴下し、55℃で8時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、水、クロロホルムを加え、析出した不溶物を濾別した。得られた濾液を分液し、有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後減圧濃縮を行い、黄色油状物として1,4−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ジエチルエステル54g(収率82%、純度74%)を得た。
[1,4−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ジエチルエステルの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.69(s,4H),4.29(q,J=7.1 Hz,4H;C−CH
2CH
3のCH
2),1.29(t,J=7.1 Hz,6H;C−CH
2CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−104.68(s,4F)。
【0212】
[実施例2]α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジ酢酸の合成
【0213】
【化65】
【0214】
250MLのガラスフラスコに、実施例1で得られたジエステル15g(純度74%、34mmol)、水40mL、48%水酸化ナトリウム水溶液9.6g(115mmol/3.3当量)を加え、室温で18時間撹拌した後、
19F NMRにて反応終了を確認した。その後、ジイソプロピルエーテル40mLにて2回洗浄を行い、1mol/L塩酸60mL(60mmol/1.8当量)を滴下した。pH1を確認後、室温にて1時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル100mLを加え、分液した。水層をジイソプロピルエーテル100mLにて2回抽出を行った後、有機層を合わせ、減圧濃縮し、淡黄色固体としてα,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジ酢酸8.2g(収率70%、純度90%)を得た。
[α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジ酢酸の物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.75(s,4H).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−102.54(s,4F)。
【0215】
[実施例3]1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ジエチルエステルの合成
【0216】
【化66】
【0217】
コンデンサーを備えた1Lのガラスフラスコに、1,3‐ジヨードベンゼン50g(152mmol/1.0当量)、金属銅粉末43g(677mmol/4.5当量)とジメチルスルホキシド(DMSO)(脱水)250mLを加え、そこにブロモ−ジフルオロ酢酸エチル70g(345mmol/2.3当量)を滴下し、55℃で8時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、水、クロロホルムを加え、析出した不溶物を濾別した。得られた濾液を分液し、有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後減圧濃縮を行い、黄色油状物として1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ジエチルエステル49g(収率51%、純度52%)を得た。
[1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ジエチルエステルの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.85(s,1H),7.73(d,J=7.8 Hz,2H),7.55(t,J=7.1 Hz,1H),4.29(q,J=7.1 Hz,4H;C−CH
2CH
3のCH
2),1.30(t,J=7.1 Hz,6H;C−CH
2CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−104.35(s,4F)。
【0218】
[実施例4] α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジ酢酸の合成
【0219】
【化67】
【0220】
250MLのガラスフラスコに、実施例3で得られたジエステル21g(純度52%、34mmol)、水40mL、48%水酸化ナトリウム水溶液9.6g(115mmol/3.3当量)を加え、室温で18時間撹拌した後、
19F NMRにて反応終了を確認した。その後、ジイソプロピルエーテル40mLにて2回洗浄を行い、1mol/L塩酸60mL(60mmol/1.8当量)を滴下した。pH1を確認後、室温にて1時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル100mLを加え、分液した。水層をジイソプロピルエーテル10mLにて2回抽出を行った後、有機層を合わせ、減圧濃縮し、淡黄色固体としてα,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジ酢酸4.5g(収率47%、純度95%)を得た。
[α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジ酢酸の物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.85‐7.65(m,4H).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−102.30(s,4F)。
【0221】
[実施例5]α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジアセチルクロリドの合成
【0222】
【化68】
【0223】
コンデンサーを備えた250MLのガラスフラスコに、実施例1および2と同様にして得られたジカルボン酸49g(純度90%、167mmol/1.0当量)とアセトニトリル50mLを加え、そこに塩化チオニル50g(420mmol/2.5当量)を滴下し、室温で18時間攪拌した。
19F NMRにて反応終了を確認した後、減圧濃縮を行い、黄色油状物としてα,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジアセチルクロリド47g(収率85%、純度90%)を得た。
[α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジアセチルクロリドの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.76(s,4H).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−101.32(s,4F)。
【0224】
[実施例6] α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリドの合成
【0225】
【化69】
【0226】
コンデンサーを備えた250MLのガラスフラスコに、実施例3および4と同様にして得られたジカルボン酸32g(純度93%、113mmol/1.0当量)とアセトニトリル50mLを加え、そこに塩化チオニル30g(252mmol/2.2当量)を滴下し、室温で18時間拌した。
19F NMRにて反応終了を確認した後、減圧濃縮を行い、黄色油状物としてα,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリド34g(収率81%、純度73%)を得た。
[α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリドの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.86(s,1H),7.81(d,J=7.8 Hz,2H),7.67(t,J=7.1 Hz,1H).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−101.10(s,4F)。
【0227】
[実施例7]5−メトキシ−1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,3−ジエチルエステルの合成
【0228】
【化70】
【0229】
コンデンサーを備えた1Lのガラスフラスコに、1,3−ジヨード−5−メトキシベンゼン50g(139mmol/1.0当量)、金属銅粉末44g(692mmol/5.0当量)とジメチルスルホキシド(DMSO)(脱水)250mLを加え、そこにブロモ−ジフルオロ酢酸エチル71g(350mmol/2.5当量)を滴下し、55℃で7時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、水、クロロホルムを加え、析出した不溶物を濾別した。得られた濾液を分液し、有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後減圧濃縮を行い、黄色油状物として5−メトキシ−1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ジエチルエステル52g(収率80%、純度75%)を得た。
[5−メトキシ−1,3−ベンゼンジ酢酸 α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ジエチルエステルの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=6.37(s,2H),6.44(s,1H),4.13(q,J=7.0 Hz,4H;C−CH
2CH
3のCH
2),3.73(s,3H;O−CH
3のCH
3),1.30(t,J=7.0 Hz,6H;C−CH
2CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−104.30(s,4F)。
【0230】
[実施例8]5−メトキシ−α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジ酢酸の合成
【0231】
【化71】
【0232】
250MLのガラスフラスコに、実施例7で得られたジエステル15g(純度75%、32mmol)、水40mL、48%水酸化ナトリウム水溶液10.0g(120mmol/3.8当量)を加え、室温で18時間撹拌した後、
19F NMRにて反応終了を確認した。その後、ジイソプロピルエーテル40mLにて2回洗浄を行い、1mol/L塩酸60mL(60mmol/1.9当量)を滴下した。pH1を確認後、室温にて1時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル100mLを加え、分液した。水層をジイソプロピルエーテル100mLにて2回抽出を行った後、有機層を合わせ、減圧濃縮し、淡黄色固体として5−メトキシ−α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジ酢酸8.1g(収率75%、純度88%)を得た。
[5−メトキシ−α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジ酢酸の物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=12.30(s,1H;OH),6.42(s,2H),6.46(s,1H),3.77(s,3H;O−CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−103.50(s,4F)。
【0233】
[実施例9]5−メトキシ−α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリドの合成
【0234】
【化72】
【0235】
コンデンサーを備えた250MLのガラスフラスコに、実施例7および8と同様にしてジカルボン酸30g(89.1mmol/1.0当量)とアセトニトリル50mLを加え、そこに塩化チオニル30g(純度89%、252mmol/2.8当量)を滴下し、室温で18時間拌した。
19F NMRにて反応終了を確認した後、減圧濃縮を行い、黄色油状物として5−メトキシ−α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリド31g(収率78%、純度75%)を得た。
[5−メトキシ−α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリドの物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=6.41(s,2H),6.45(s,1H),3.76(s,3H;O−CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−102.30(s,4F)。
【0236】
[実施例10]2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)ジエチルエステルの合成
【0237】
【化73】
【0238】
コンデンサーを備えた100mLのガラスフラスコに、4,4’−ジヨードビフェニル5.0g(12.3mmol/1.0当量)、金属銅粉末3.5g(55.1mmol/4.5当量)とジメチルスルホキシド(DMSO)(脱水)50mLを加え、そこにブロモ−ジフルオロ酢酸エチル5.5g(27.1mmol/2.2当量)を滴下し、55℃で7時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、水、クロロホルムを加え、析出した不溶物を濾別した。得られた濾液を分液し、有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥後減圧濃縮を行い、黄色固体として2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)ジエチルエステル3.1g(収率43%、純度68%)を得た。
[2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)ジエチルエステルの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.60(d,J=8.5 Hz,4H),7.56(d,J=8.5 Hz,4H),4.22(q,J=7.1 Hz,4H;C−CH
2CH
3のCH
2),1.22(t,J=7.1 Hz,6H;C−CH
2CH
3のCH
3).
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−104.15(s,4F)。
【0239】
[実施例11]2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)の合成
【0240】
【化74】
【0241】
50mLのガラスフラスコに、実施例1で得られたジエステル2.3g(純度68%、3.9mmol)、水5mL、48%水酸化ナトリウム水溶液0.65g(11.7mmol/3.0当量)を加え、室温で4.5時間撹拌した後、
19F NMRにて反応終了を確認した。その後、ジイソプロピルエーテル40mLにて2回洗浄を行い、1mol/L塩酸10mL(50mmol/2.6当量)を滴下した。pH1を確認後、室温にて1時間撹拌し、ジイソプロピルエーテル50mLを加え、有機層を分液した。水層をジイソプロピルエーテル50mLにて2回抽出を行った後、有機層を合わせ、減圧濃縮し、淡黄色固体として2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)1.5g(収率86%、純度80%)を得た。
[2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロ酢酸)の物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.89(d,J=8.5 Hz,4H),7.69(d,J=8.5 Hz,4H).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−102.12(s,4F)。
【0242】
[実施例12]2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)の合成
【0243】
【化75】
【0244】
コンデンサーを備えた250mLのガラスフラスコに、実施例11および12と同様に調製したジカルボン酸43g(純度80%、100mmol/1.0当量)とアセトニトリル80mLを加え、そこに塩化チオニル30g(250mmol/2.5当量)を滴下し、室温で24時間攪拌した。
19F NMRにて反応終了を確認した後、減圧濃縮を行い、黄色油状物として2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)33g(収率79%、純度91%)を得た。
[2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)の物性]
1H NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.75(d,J=8.5 Hz,4H),7.57(d,J=8.5 Hz,4H).
19F NMR(測定溶媒:重ジメチルスルホキシド,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−100.92(s,4F)。
【0245】
[参考例1]1,2−ベンゼンジ酢酸 α,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ジエチルエステルの合成
【0246】
【化76】
【0247】
1,2−ジヨードベンゼン25g(76mmol/1.0当量)、金属銅粉末23g(362mmol/4.8当量)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(脱水)250mL、そしてブロモ−ジフルオロ酢酸エチル42g(204mmol/2.7当量)を使用し、実施例1と同様にして1,2−ベンゼンジ酢酸 α,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ジエチルエステルを、黄色油状物として26g(収率80%、純度75%)得た。
【0248】
[参考例2]α,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジ酢酸の合成
【0249】
【化77】
【0250】
参考例1で得られたジエステル20g(純度75%、47mmol)、水50mL、そして48%水酸化ナトリウム水溶液13g(155mmol/3.3当量)を使用し、実施例2と同様にしてα,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジ酢酸を、淡黄色固体として11g(収率75%、純度87%)得た。
【0251】
[参考例3]α,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジアセチルクロリドの合成
【0252】
【化78】
【0253】
参考例2で得られたジカルボン酸10g(純度87%、33mmol/1.0当量)、アセトニトリル20mL、そして塩化チオニル12g(100mmol/3.0当量)を使用し、実施例5と同様にしてα,α
2,β,β
2テトラフルオロ−1,2−ベンゼンジアセチルクロリドを、淡黄色固体として9g(収率84%、純度93%)得た。
【0254】
[参考例4][1−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3,5−ジブロモベンゼンの製造]
【0255】
【化79】
【0256】
窒素雰囲気下、500mLのガラスフラスコに1,3,5−トリブロモベンゼン 30.0g(95.0mmol)、ジエチルエーテル 400mLを投入した後、−78℃に冷却した。−78℃にて1.6Mノルマルブチルリチウムヘキサン溶液 60ml(96.0mmol)を1時間かけて滴下し、続いて、−78℃にて熟成を1時間行なった。ガスクロマトグラフィーにてリチオ化を確認した後、ヘキサフルオロアセトン16.6g(100.0mmol)を−78℃にて吹込み、1時間攪拌した。攪拌終了後、2N塩酸 400mLに反応液を添加し有機層と水層を分離した。水層をイソプロピルエーテル 100mLで抽出して有機層に合わせ、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥した。エバポレーターにて濃縮した後、蒸留にて23.0g、収率60%で1−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3,5−ジブロモベンゼンを得た。
[1−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3,5−ジブロモベンゼンの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=7.79(s,3H)。
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−76.0(s,6F,CF
3)。
【0257】
[参考例5][5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸の製造]
【0258】
【化80】
【0259】
100mlオートクレーブに参考例4で得られた1−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−3,5−ジブロモベンゼン 10.0g(26mmol)、酢酸パラジウム 0.56g(2.5mmol)、トリフェニルホスフィン 2.63g(10mmol)、トリエチルアミン 10.1g(100mmol)、水 5.0g、テトラヒドロフラン 20gを投入した。その後、一酸化炭素圧2MPaにて100℃で17時間反応させた。反応終了後、反応液に2N塩酸 50mLを加えた。続いて、イソプロピルエーテル 50mLにて抽出し有機層を分離した。この有機層に7%水酸化ナトリウム水溶液 60mL加え水層を分離した。水層を ヘプタン 30mLで洗浄後、6N 塩酸 60mLを加えた。析出した固体をろ過にて単離しヘプタン 50mLで洗浄したところ、3.5g、収率41%で5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸を得た。
[5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸の物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=9.27(s,1H),8.58(m,1H),8.46(s,2H)。
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−73.5(s,6F,CF
3)。
【0260】
[参考例6] [カルボン酸クロリド1 [5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸クロリドの製造]
50mLのガラスフラスコに、参考例5で得られた5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸3.5g(10.5mmol)と塩化チオニル 20mlを投入した。その後、攪拌しながら70℃で5時間反応させた。反応後、塩化チオニルを留去し、目的とするカルボン酸クロリド1 [5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸クロリド を3.8g、収率98%で得た。
[[5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3−ベンゼンジカルボン酸クロリドの物性]
1H NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン);δ=8.52(m,1H),8.41(s,2H)。
19F NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:トリクロロフルオロメタン);δ=−72.7(s,6F,CF
3)。
【0261】
[実施例13]
ポリマー1の合成
【0262】
【化81】
【0263】
攪拌機を備えた100mlの三口フラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA) 2.28g(10.0mmol)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)20.0gを入れ、窒素雰囲気下、氷冷下で攪拌した。その中へ、実施例5で得られた酸塩化物(α,α
4,β,β
4テトラフルオロ−1,4−ベンゼンジアセチルクロリド)を純分換算で3.03g(10.0mmol)を約10分かけてゆっくりと添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を中和するために炭酸リチウム0.70g(9.5mmol)を添加し、次いで得られた粘ちょう溶液を500mLのメタノールに投入し、得られた沈殿をろ別回収後、80℃で真空乾燥した。その結果、4.13g (収率90%)のポリマー1を得た。得られたポリマーは、97%濃硫酸を溶媒とし、キャピラリー粘度計を用いて30℃での比粘度を測定した(以下において同じ。)。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0264】
得られたポリマー1(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0265】
フィルム厚さは約10μmとして、比誘電率は次の方法で測定した(すべての実施例および比較例において同じ。)。
【0266】
JIS−K6911に準拠し、周波数100kHzで、ヒューレットパッカード社製HP−4284A Precision LCRメーターを用いてフィルムの容量測定を行い下記計算式により比誘電率を算出した。
【0267】
比誘電率=(容量測定値×フィルムの厚み)/(真空の誘電率×測定面積)
[実施例14]
ポリマー2の合成
【0268】
【化82】
【0269】
実施例6で得られた酸塩化物(α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリド)を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ビスフェノールAを2.28g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同一の方法にて、3.99g (収率87%)のポリマー2を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0270】
得られたポリマー2(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0271】
[実施例15]
ポリマー3の合成
【0272】
【化83】
【0273】
実施例9で得られた酸塩化物(5−メトキシ−α,α
3,β,β
3テトラフルオロ−1,3−ベンゼンジアセチルクロリド)を純分換算で3.33g(10.0mmol)、ビスフェノールAを2.28g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.21g (収率86%)のポリマー3を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0274】
得られたポリマー3(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0275】
[実施例16]
ポリマー4の合成
【0276】
【化84】
【0277】
【化85】
【0278】
実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジオール1を3.36g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.64g (収率82%)のポリマー4を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0279】
得られたポリマー3(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0280】
[実施例17]
ポリマー5の合成
【0281】
【化86】
【0282】
【化87】
【0283】
実施例6で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジオール1を3.36g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.81g (収率85%)のポリマー5を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0284】
得られたポリマー5(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0285】
[実施例18]
ポリマー6の合成
【0286】
【化88】
【0287】
【化89】
【0288】
実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン1を2.26g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.24g (収率93%)のポリマー6を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0289】
得られたポリマー6(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1示した。
【0290】
[実施例19]
ポリマー7の合成
【0291】
【化90】
【0292】
【化91】
【0293】
実施例6で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン1を2.26g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.154g (収率91%)のポリマー7を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0294】
得られたポリマー7(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0295】
[実施例20]
ポリマー8の合成
【0296】
【化92】
【0297】
【化93】
【0298】
実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン2を3.34g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.81g (収率85%)のポリマー8を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0299】
得られたポリマー8(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0300】
[実施例21]
ポリマー9の合成
【0301】
【化94】
【0302】
【化95】
【0303】
実施例6で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン2を3.34g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.47g (収率79%)のポリマー9を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0304】
得られたポリマー9(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフ
レキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0305】
[実施例22]
ポリマー10の合成
【0306】
【化96】
【0307】
【化97】
【0308】
実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン3を3.20g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、4.52g (収率82%)のポリマー10を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0309】
得られたポリマー10(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持された
フレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0310】
[実施例23]
ポリマー11の合成
【0311】
【化98】
【0312】
【化99】
【0313】
実施例6で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミノジフェノール1を3.66g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にてポリマー11を5.07g (収率85%)得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0314】
[実施例24]
ポリマー12の合成
【0315】
【化100】
【0316】
実施例20で得られたポリマー11(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。赤外吸収スペクトル(IR)分析から、得られたフィルムの構造はポリマー12であることがわかった。得られたフィルムの物性(比誘電率)を表2に示した。同様にして、さらに300℃で1時間の加熱処理を行い、同様の観察と測定を行ったところ、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムが得られ、比誘電率は追加の加熱処理をしない場合と変わらなかった。
【0317】
[実施例25]
ポリマー13の合成
【0318】
【化101】
【0319】
【化102】
【0320】
実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、特開2007−119503号に記載の方法に従って合成したジアミノジオール1を5.30g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にてポリマー13を6.01g (収率79%)得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0321】
[実施例26]
ポリマー14の合成
【0322】
【化103】
【0323】
実施例22で得られたポリマー13(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。IR分析から、得られたフィルムの構造はポリマー14であることがわかった。得られたフィルムの物性(比誘電率)を表1に示した。同様にして、さらに300℃で1時間の加熱処理を行い、同様の観察と測定を行ったところ、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムが得られ、比誘電率は追加の加熱処理をしない場合と変わらなかった。
【0324】
[実施例27]
ポリマー15の合成
【0325】
【化104】
【0326】
攪拌機を備えた100mlの三口フラスコに、ビスフェノールA 2.28g(10.0mmol)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)20.0gを入れ、窒素雰囲気下、氷冷下で攪拌した。その中へ、テレフタル酸クロリド0.20g(1.0mmol)と実施例5で得られた酸塩化物を純分換算で2.73g(9.0mmol)を10分以上かけてゆっくりと添加した。さらに1時間攪拌した後、反応で発生した塩化水素を中和するために炭酸リチウム0.70g(9.5mmol)を添加し、次いで得られた粘ちょう溶液を500mLのメタノールに投入し、得られた沈殿をろ別回収後、80℃で真空乾燥した。その結果、4.08g (収率91%)のポリマー15を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0327】
得られたポリマー1(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
[実施例28]
ポリマー22の合成
【0328】
【化105】
【0329】
実施例12で得られた2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)を純分換算で3.79g(10.0mmol)、ジオール1を3.36g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例13と同一の方法にて、5.78g (収率90%)のポリマー22を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0330】
得られたポリマー22(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
[実施例29]
ポリマー23の合成
【0331】
【化106】
【0332】
実施例12で得られた2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)を純分換算で3.79g(10.0mmol)、ジアミン2を3.34g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同一の方法にて、5.64g (収率88%)のポリマー23を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0333】
得られたポリマー23(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
[実施例30]
ポリマー24の合成
【0334】
【化107】
【0335】
実施例12で得られた2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)を純分換算で3.79g(10.0mmol)、ジオールジフェノール1を3.66g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同一の方法にて、5.72g (収率85%)のポリマー24を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
[実施例31]
ポリマー25の合成
【0336】
【化108】
【0337】
得られたポリマー24(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。赤外吸収スペクトル(IR)分析から、得られたフィルムの構造はポリマー25であることがわかった。得られたフィルムの物性を表1に示した。
[実施例32]
ポリマー26の合成
【0338】
【化109】
【0339】
実施例12で得られた2,2’−(ジフェニル−4,4’−ジイル)ビス(2,2−ジフルオロアセチルクロリド)を純分換算で3.79g(10.0mmol)、ジオールジオール1を5.30g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を30.0g使用して、実施例10と同一の方法にて、6.85g (収率82%)のポリマー26を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
[実施例33]
ポリマー27の合成
【0340】
【化110】
【0341】
得られたポリマー26(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。赤外吸収スペクトル(IR)分析から、得られたフィルムの構造はポリマー27であることがわかった。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0342】
[比較例1]
ポリマー16の合成
【0343】
【化111】
【0344】
実施例10において、実施例5で得られた酸塩化物の代わりにテレフタル酸クロリド2.0g(10.0mmol)を用いて、実施例10と同様の手法にてポリマー16を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0345】
得られたポリマー16(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。重合度が低く、クラックが多く発生した。
【0346】
[比較例2]
ポリマー17の合成
【0347】
【化112】
【0348】
実施例15において、実施例5で得られた酸塩化物の代わりにテレフタル酸クロリド2.0g(10.0mmol)を用いて、実施例15と同様の手法にてポリマー17を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0349】
得られたポリマー17(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。重合度が低く、クラックが多く発生した。
【0350】
[比較例3]
ポリマー18
【0351】
【化113】
【0352】
【化114】
【0353】
【化115】
【0354】
実施例20において、実施例6で得られた酸塩化物の代わりにカルボン酸クロリド1の3.69g(10.0mmol)を用いて、実施例20と同様の手法にて構造18−1を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0355】
得られた構造18−1(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離し、形状の保持されたフレキシブルな透明フィルムを得た。IR分析から、得られたフィルムは構造18−1と構造18−2との混合したポリマー(ポリマー18)であることがわかった。また、クラックが多く発生し、フィルムとして得られなかった。
【0356】
[比較例4]
ポリマー19およびポリマー20の合成
【0357】
【化116】
【0358】
【化117】
【0359】
実施例22において、実施例5で得られた酸塩化物の代わりにテレフタル酸クロリドを用いて、実施例22と同一の手法にてポリマー19を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0360】
得られたポリマー19(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片を剥離したが、フレキシビリティの乏しい透明フィルムを得た。IR分析から、得られたフィルムの構造はポリマー20であることがわかった。得られたフィルムの物性を表1に示した。
【0361】
[参考例7]
ポリマー21の合成
【0362】
【化118】
【0363】
参考例3で得られた酸塩化物を純分換算で3.03g(10.0mmol)、ジアミン1を2.26g(10.0mmol)、そしてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を20.0g使用して、実施例10と同様の方法にて、2.08g (収率46%)のポリマー21を得た。比粘度測定の結果を表1に示した。
【0364】
得られたポリマー21(1.00g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.00g)を混合し、均一溶液を作成した。得られた溶液を濾過後、濾液をガラス基板上にスピンコート塗布し、窒素雰囲気下、80℃で30分、150℃で30分、250℃で1時間加熱処理した。ガラス基板上に作成したフィルム片は重合度が低いためかクラックが多く発生していた。
【0365】
【表1】
【0366】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の含フッ素ジカルボン酸誘導体から誘導した新規な高分子化合物は比較的低温で良好な強度と優れた電気特性を与えることが明らかとなった。