(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図10は従来の長方形の座標入力領域8を有する座標入力パネル1であり、均一な面抵抗体2に、面抵抗体2と電気的に接続するように、面抵抗体2を取り囲む抵抗性周囲電極3を配設しており、4頂点に検出電極4、5、6、及び7を備えている。検出電極4、5、6、及び7は、抵抗性周囲電極3と電気的に接続されている。座標入力領域8は、面抵抗体2上にあり、抵抗性周囲電極3の内側である。
上記座標入力パネル1を用いた座標入力システムの座標検出方法として、座標入力パネル1が受信側であるような、座標指示器(以下入力ペンとする)から信号を発信し、静電容量結合もしくは直接の接触を介して、面抵抗体2が、入力ペンから発信された信号を受信する方法、更には面抵抗体2全体を電圧振動させて、指又は導電物で指示した点の位置を入力パネル側で検出する方法、及び、信号伝達の方向がこれと逆であって、座標入力パネル1が発信側であるような、面抵抗体2の各部を信号駆動し、入力ペンで受信する方法がある。
座標入力パネル1が受信側である場合は、面抵抗体2の一点に出入りする電流の、4頂点(4、5、6、及び7)へ配分される電流値を計測するものが知られている(特許3237629号(特許文献1)参照)。一方、座標入力パネル1が発信側である場合は、面抵抗体2に、検出電極4、5、6、及び7を一定電位やグランドに振り分けて接続することによって外部から電位勾配を与え、入力ペンによって指示座標点の電圧レベルを検出するものが知られている。指や入力ペンで指示した座標入力領域8内の位置の座標は、面抵抗体2に出入りする電流の4頂点への配分値、もしくは4頂点を駆動した際に入力ペンで計測した電圧を用いて、計算される。
4頂点への電流の配分、もしくは4頂点の駆動の仕方としては、4頂点全てに電流を配分したり、4頂点全てを一定電位かグランドのどちらかに振り分けて接続する方法が知られている。また、4頂点を、対角にある2個を1組として2組に組分けし、2組を交互に選択してそれらの対角の2頂点に電流を配分したり、2組を交互に選択してそれらの対角の2頂点を一定電位とグランドに接続して対角方向に電位勾配を与えるような、対角方式が知られている(特許4168537号(特許文献2))。
4頂点全てを同時に用いる方式では、座標入力領域8の形状を、正方形や長方形だけでなく、菱形を含む平行四辺形にまで拡張することができる。特に、座標入力パネル1が発信側である場合については、4頂点の隣り合う2頂点を一定電位に、残りの2頂点をグランドに接続して、等電位線が平行四辺形の対向する辺に対して平行になるような電位勾配を、対向辺ごとに形成することにより、容易に平行四辺形の座標入力領域8内の座標を計算することができる。また、座標入力パネル1が受信側である場合は、例えば同一出願人による特開2010−86088号(特許文献3)のような方法を用いて、座標を計算することが可能である。
一方、対角方向の2頂点を同時に用いる対角方式は、4頂点全てを同時に用いる方式に比べ、座標入力パネル1が受信側である場合は、1検出点当たりの電流検出量が多くなることによってS/N比が向上するし、座標入力パネル1が発信側である場合は、パネルを駆動するための消費電力が削減される、といった利点を持つ。ただし、この方法では、座標入力領域8の形状が、基本的に、正方形や長方形に限られていた。
ところで、座標入力パネル1が受信側である場合は、4頂点の検出電極4、5、6、及び7は制御基板の電流検出手段に、また座標入力パネル1が発信側である場合は、4頂点は制御基板の電位出力手段に、ケーブルやコネクタなどを介して、それぞれ接続されている。従って、4頂点と、制御基板の電流検出手段もしくは電位出力手段との間には、それらの接続手段に起因する抵抗値が存在する。これらの抵抗は、座標入力パネル1の外部に存在する外部抵抗成分である。
抵抗性周囲電極3の抵抗値は、一般的に、座標の直線性を向上させるために、抵抗性周囲電極3が取り囲む面抵抗体2の抵抗値よりも低くされる。外部抵抗成分の抵抗値が、抵抗性周囲電極3の抵抗値に比べて非常に小さい場合、外部抵抗成分を無視することができる。しかし、4頂点と、制御基板の電流検出手段もしくは電位出力手段との間の接続に、延長の長いケーブルや、細く印刷された導電性のパターンが使用された場合などに、外部抵抗成分の抵抗値が、抵抗性周囲電極3の抵抗値に比べて無視できないほど大きくなることがある。このようなとき、検出信号を基に計算した座標は、正しい位置から離れるとともに、座標入力パネル1内の位置によってそのずれ方が異なり、例えば座標入力パネル1内で長方形を入力したときに、計算した座標では、その形状が歪んでしまうことがある。特に、対角方式では、2つの対角方向の歪みが独立して発生するため、斜め方向の歪みが生じ、補正することが困難であることがあった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に従って、本発明に係る座標補正方法の好ましい実施の形態について詳説する。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態になる座標入力システムの一例を示す模式図であり、入力パネルが受信側である場合である。指21が座標入力パネル11の座標入力領域18内で指示した位置(X,Y座標)を検出する座標入力システムの構成図である。面抵抗体12は、透明なガラス、樹脂、または不透明な絶縁基材の片面に塗布、蒸着等により均一に形成したものである。面抵抗体12の表面は、指21が面抵抗体12に直接触れない様に絶縁処理することによって、指21と面抵抗体12との静電容量結合による信号伝達をさせるようにしてもよいし、絶縁処理せず、指21と面抵抗体12の直接的な電気的接触による信号伝達をさせるようにしてもよい。ここでは、面抵抗体12の表面に絶縁処理をした場合を説明する。均一な面抵抗体12の周囲又は内部に、各辺が直線である平行四辺形の抵抗性周囲電極13を密着配設し、抵抗性周囲電極13の内部を平行四辺形の座標入力領域18とする(
図1に示す座標入力パネル11は、長方形を斜視図で描いたものではなく、平行四辺形の座標入力領域18を有する座標入力パネル11を表すものである)。抵抗性周囲電極13上において、平行四辺形の座標入力領域18の4頂点に当たる位置を検出電極14〜17とし、そこにそれぞれ1本ずつ引き出し線22〜25を接続する。引き出し線22〜25は、ぞれぞれ外部抵抗成分26〜29を含む。引き出し線22〜25を、アナログ信号処理部30内の検出電極切り替えスイッチ31に接続する。
座標を検出する際、AC信号源としての振動電圧発生器33は、振動電圧印加回路32に振動電圧を与え、振動電圧印加回路32は、検出電極14〜17のうち、検出電極切り替えスイッチ31によって接続されている検出電極を、低インピーダンスで電圧振動させ、且つ、アナログマルチプレクサ34に検出電極から流入した電流を出力する。簡単な例としては、トランジスタのベースをAC信号で振動させ、エミッタを検出電極と接続して、コレクタから電流出力するものがある。
検出電極切り替えスイッチ31は、平行四辺形の座標入力領域18の2組の対角を同時に接続する組み合わせで動作させる。つまり、検出電極14と16を同時に接続し、検出電極15と17を非接続にする組み合わせと、検出電極15と17を同時に接続し、検出電極14と16を非接続にする組み合わせの2つを交互に実施する。
AC信号源としての振動電圧発生器33によって、面抵抗体12は、全面が電圧振動する。人体は、従来から知られているように、AC信号に対して接地効果を持っており、人体の指21が面抵抗体12に接触または近接すると、静電容量結合により、指先を通して面抵抗体12との間にAC信号電流が流れる。検出電極14〜17は、アナログマルチプレクサ34を通してA/Dコンバータ(アナログ/デジタル変換器)35に接続しており、各検出電極に流れる電流に比例した電圧がA/Dコンバータ35に印加される。このため、指先から面抵抗体12を通して流れ、検出電極14〜17のうち、検出電極切り替えスイッチ31によって接続されている検出電極へ配分される電流の値を、電圧値としてデジタル値で得ることができる。CPU36は、アナログマルチプレクサ34を順番に切り替え(図示せず)、A/Dコンバータ35が出力するデジタル値を入力し、後述するような方法で、指21や入力ペンの指示位置の座標を計算する。CPU36は計算した座標を出力し、座標は後段の装置によって利用される。
また、入力ペンから信号を発信する場合も、同様にして計測することが可能である。
面抵抗体12は、不透明なカーボン膜、または、スパッタ法によって形成した透明なITO(インジウム錫酸化物)膜、CVD法によって形成したNESA(酸化錫)膜、等を、基材上に均一に成膜したものであり、面抵抗値は約1KΩ/□程度が好ましい。基材は、例えば、ソーダガラスを使用することができるが、特に材質が限定されるものではなく、任意のガラス素材あるいはアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂などの透明な樹脂素材を使用できる。用途によっては不透明な絶縁性の基材を用いてもよい。
単連結である面抵抗体12の周囲又は内部に、各辺が直線である平行四辺形の抵抗性周囲電極13を、全ての辺が面抵抗体12と電気的に接触する様に設ける。ここで単連結とは、面抵抗体12は内部に孤立した穴が存在しないような形状であり、ひとつながりになっていることを意味するものである。ただし、成膜方法に応じて面抵抗体12上に生じるピンホール程度の大きさの穴のような、面抵抗体12内部の電流の巨視的な流れを阻害しないものであれば、あっても何ら問題にならない。また、受傷などによってより大きな穴が生じた場合は、少なくともその穴の周りで、穴の大きさに応じて座標が歪むものの、穴から離れるほど指21や入力ペンの指示位置の座標計算に及ぼす影響は小さくなるため、穴が小さければ、実用上の問題は生じない。
面抵抗体12を取り囲む抵抗性周囲電極13は、カーボン、銀カーボン、又は銀等を密着配設したものであり、例えば、銀インクのような導電性インクをスクリーン印刷し、焼成する等の手法で作成する。抵抗性周囲電極13の各辺は、幅を持った直線形状でもよいし、低抵抗の導電性エレメントを互いに分離させて配列し、面抵抗体12の抵抗を活用して形成するようにしたものでもよい。抵抗性周囲電極13は、各辺毎に長さ当たりの抵抗値を一定にする。本実施の形態では、全ての辺の長さ当たりの抵抗値が等しい場合を説明する。
また、抵抗性周囲電極13の抵抗値は面抵抗体12の抵抗値に比べて低い方がよく、面抵抗体12の面抵抗値を1KΩ/□程度とした場合は、抵抗性周囲電極13の隣り合う頂点間の抵抗値を、20〜200Ω程度にするのが好ましい。
各頂点の検出電極14〜17は、引き出し線を接続するためのものであり、ハンダ付け可能な導電性インクを印刷・焼成して形成する。検出電極14〜17を形成するための導電性インクとして、抵抗性周囲電極13と同じものを使用することができる場合には、検出電極14〜17と、抵抗性周囲電極13は、一回の処理で印刷・焼成して形成することが可能である。
外部抵抗成分26〜29は、広範には、引き出し線22〜25だけでなく、検出電極切り替えスイッチ31、振動電圧印加回路32といった要素に含まれる抵抗成分の、検出電極14〜17の各々から発する経路ごとの合計である。しかし、引き出し線22〜25に内在する抵抗がそのうちの大きな部分を占めるため、ここでは、外部抵抗成分26〜29として、引き出し線22〜25に内在する抵抗のみを取り扱う。
引き出し線22〜25として、充分に低抵抗のリード線等を使用する場合は、外部抵抗成分26〜29は、抵抗性周囲電極13の抵抗値よりも極めて小さくなり、座標を計算する上で、独立して考慮しなくても済む程度になる。一方で、例えば、引き出し線22〜25の延長が長かったり、引き出し線22〜25の材質や形状によって抵抗が比較的高い場合などには、外部抵抗成分26〜29が大きくなる。また、座標入力パネル11とアナログ信号処理部30を接続するケーブルをまとめるために、座標入力パネル11上の、抵抗性周囲電極13の外側に、検出電極14〜17のそれぞれから座標入力パネル11の外周の任意の位置まで、導電性のパターンを形成するような場合にも、使用する導電性インク、パターンの太さなどに応じて、外部抵抗成分26〜29が大きくなる(このとき、導電性のパターンは、引き出し線22〜25の一部とみなす)。特に、印刷の回数を増やさないように、導電性パターンを抵抗性周囲電極13と同じ導電性インクで印刷する場合は、外部抵抗成分26〜29の抵抗値と抵抗性周囲電極13の抵抗値の比率は、パターンの太さに応じて、ほぼ数倍以内という低い比率になる。
抵抗性周囲電極13は、印刷等の手法で形成するうえ、検出電極14〜17に引き出し線22〜25を接続する必要があるため、有限の幅を持つ。このとき、少なくとも抵抗性周囲電極13と面抵抗体12の境界線においては、抵抗性周囲電極13と面抵抗体12が電気的に接触している必要がある。通常、面抵抗体12を成膜した上から抵抗性周囲電極13を形成するが、面抵抗体12が抵抗性周囲電極13の外側にはみ出ていても構わない。その際も、座標入力領域18は、抵抗性周囲電極13の内部である。
抵抗性周囲電極13及び面抵抗体12の形状は、基材に収まるものであればよく、必ずしも抵抗性周囲電極13及び面抵抗体12と基材の形状を略一致させる必要はないが、抵抗性周囲電極13及び面抵抗体12と基材の形状を同じようにした方が、座標入力システムを何らかの製品に組み込む際に、組み込む製品のデザイン上の自由度が大きくなるため好ましい。抵抗性周囲電極13の外側に、引き出し線22〜25の一部として導電性パターンを形成する場合は、面抵抗体12が導電性パターンと重ならないようにする必要がある。
次に、指21や入力ペンの指示位置の座標を計算する方法について説明する。
図2(a)に、平行四辺形の座標入力領域18と、最終的にその中で座標を計算する直交座標系XYを示す。平行四辺形の4頂点に便宜的に名前をつけ、検出電極14〜17に当たるそれぞれの頂点を、頂点A〜Dと呼ぶことにする。また、直交座標系XYは、利用者の都合に応じ、平行四辺形の座標入力領域18に対して任意の位置関係で設定された直交座標系であり、平行四辺形の座標入力領域18に対して、原点を任意の位置とし、X軸を任意の方向にとることができる。平行四辺形の座標入力領域18の中心に対する座標系のオフセットが既知であり、また平行四辺形の座標入力領域18のいずれかの辺に対するX軸の傾きが既知であれば、よく知られたアフィン変換によって、最終的に直交座標系XYの座標を求めることができる。本実施の形態では、説明のため、
図2(a)で示したように、直交座標系XYの原点を平行四辺形の座標入力領域18の中心と同一とし、X軸を平行四辺形の座標入力領域18の辺ABと平行とした場合を例とすることにするが、構成をこの関係に限定するものではない。
続いて、
図2(b)を用いて、平行四辺形の座標入力領域18の形状を規定するパラメータの定義を説明する。平行四辺形は、隣り合う2辺のそれぞれの長さと、それらの間の角度を決めることにより、一意に決定することができる。ここでは、辺ABの長さを2a、辺BCの長さを2b、頂点Bの内角、つまり角度ABCをθとする。
更に、
図2(c)を用いて、本発明になる対角方式において用いる座標系を定義する。対角方式の座標系は、その2つの座標軸が、平行四辺形の座標入力領域18の頂点の内角を2分する傾きを持ち、平行四辺形の座標入力領域18の中心を通るようなものとする。平行四辺形の座標入力領域18の頂点Bの内角を2分する直線41は、頂点Dの内角を2分する直線(図示せず)と同じ傾きを持つ。この傾きを持ち、平行四辺形の座標入力領域18の中心を通る座標軸を、頂点Dから頂点Bに向かう方向に、座標軸uとする。一方、頂点Cの内角を2分する直線42は、頂点Aの内角を2分する直線(図示せず)と同じ傾きを持つ。この傾きを持ち、平行四辺形の座標入力領域18の中心を通る座標軸を、頂点Aから頂点Cに向かう方向に、座標軸vとする。平行四辺形の幾何学的な性質を勘案すると、座標軸uと座標軸vは必ず直交することを容易に導出できる。従って、座標軸uと座標軸vとからなる座標系は直交座標系であり、この直交座標系uvを、対角方式においてまず座標を計算する座標系とする。
直交座標系uvは、例えば、
図2(a)に示した、X軸を辺ABと平行とした直交座標系XYに対して、θ/2だけ傾いている。従って、直交座標系uvから直交座標系XYへは、容易に座標変換することができる。勿論、直交座標系XYの位置がこれとは異なっていても、直交座標系uvとの関係が既知であれば、座標変換は可能である。
今、指先から面抵抗体12を通して座標入力パネル11に流れた電流のうち、検出電極切り替えスイッチ31によって検出電極14と16が接続され、検出電極15と17が非接続のときに、検出電極14(頂点A)に流れる電流をA/Dコンバータ35によって測定した値を測定値A、検出電極16(頂点C)に流れる電流を測定した値を測定値Cとする。また、検出電極切り替えスイッチ31によって検出電極15と17が接続され、検出電極14と16が非接続のときに、検出電極15(頂点B)に流れる電流を測定した値を測定値B、検出電極17(頂点D)に流れる電流を測定した値を測定値Dとする。このとき、指21の位置は、もし外部抵抗成分26〜29の抵抗値を0とするなら、直交座標系uvにおいて、次の数式1によって求めることができる。
【0009】
【数1】
数式1によって座標(u,v)を計算した段階で、測定値A〜Dは、いずれも分数表現の分母と分子に同じ次数で現れることにより、その単位の意味を失う。従って、測定値A〜Dは、同じ手段によって測定されたものであればよく、単位を問わない。加えて、数式1のuの式には測定値BとDのみが含まれ、vの式には測定値AとCのみが含まれる。測定値BとD、及び測定値AとCは、電極切り替えスイッチ31によって同時に接続される頂点BとD、及び頂点AとCに流れる電流を測定したものである。従って、測定値「B,D」と「A,C」が異なる式に切り離されていることになり、これは、電極切り替えスイッチ31によって頂点BとDを接続して測定するときと、頂点AとCを接続して測定するときとで、測定に関する条件が例え異なっていたとしても、それらの差異は、(u,v)を計算する時点で正規化されて問題でなくなり、計算結果の座標には何ら影響を与えないことを示唆している。
次に、外部抵抗成分26〜29の影響を補正する方法を説明する。数式1によって計算される座標(u,v)は、次の範囲の値となる。uは、[−(a+b)cos(θ/2),(a+b)cos(θ/2)]の範囲の値となり、指がそれぞれ頂点D、頂点Bの位置にあるときに、範囲の両端の値となる。vは、[−(a+b)sin(θ/2),(a+b)sin(θ/2)]の範囲の値となり、指がそれぞれ頂点A、頂点Cの位置にあるときに、範囲の両端の値となる。
図3(a)にuの場合の例を示す。
数式1によって計算される座標(u,v)の範囲は、外部抵抗成分26〜29によって影響を受ける。その影響を、座標uを例にとって、説明する。今、座標入力パネル11の検出電極15(頂点B)と検出電極17(頂点D)との間の抵抗値がR
BDであったとする。これは、座標入力パネル11に引き出し線22〜25が接続されていないか、引き出し線22〜25が回路側に接続していないなど、検出電極15と検出電極17との間が、電気的に、面抵抗体12及び抵抗性周囲電極13のみで接続されている状態で、検出電極15と検出電極17とにそれぞれテスタのプローブを当てて抵抗測定をするなどして得た値である。一方、外部抵抗成分27がR
Bext、外部抵抗成分29がR
Dextであったとする。これらは、R
BDを測定するときと同じ条件で、検出電極15と引き出し線23の検出電極15に接続していない端との間の抵抗値を測定したもの、また、検出電極17と引き出し線25の検出電極17に接続していない端との間の抵抗値を測定したものである。
図3(b)に、これらの間の関係を、座標uに与える影響を主眼として模式的に示す。
指がそれぞれ頂点D、頂点Bの位置にあるときに、数式1によって計算される座標uは、外部抵抗成分27及び29のために、前記した範囲の両端の値にならず、より内側の値になる。外部抵抗成分27及び29が存在するときに、指が頂点Dの位置にあるときに数式1によって計算される座標をu
D、また、指が頂点Bの位置にあるときに数式1によって計算される座標をu
Bとする。すると、u
D及びu
Bは、検出電極15及び17間の抵抗値R
BD、外部抵抗成分27の値であるR
Bext、及び外部抵抗成分29の値であるR
Dextの比率を基にして、次の数式2のように求めることができる。数式2には、同様にして計算した、指が頂点Aの位置にあるときに数式1によって計算される座標v
A、及び、指が頂点Cの位置にあるときに数式1によって計算される座標v
Cをも示す。ただし、検出電極14と検出電極16との間の抵抗値をR
CA、外部抵抗成分26の値をR
Aext、外部抵抗成分28の値をR
Cextとする。
【0010】
【数2】
外部抵抗成分26〜29が存在しなければ、u
Dは−(a+b)cos(θ/2)、u
Bは(a+b)cos(θ/2)であるはずなので、次の数式3に示す変換を行うことにより、数式1によって計算された座標uを、外部抵抗成分27及び29の影響を除去した座標u’に補正することができる。同様にして、vも補正することができる。外部抵抗成分26〜29の影響を除去した座標(u’,v’)の計算式を、数式3に示す。
【0011】
【数3】
ここで、
図2(a)で示したように、直交座標系XYの原点が平行四辺形の座標入力領域18の中心と同一であり、直交座標系uvが直交座標系XYに対してθ/2だけ傾いているような場合を例にとって、最終的な座標(X,Y)を算出するための式を示す。(X,Y)は(u’,v’)を−θ/2だけ回転するようなアフィン変換によって求めることができるから、(u’,v’)にそのような座標変換を施し、その式に数式3を代入して整理すると、数式4に示す座標計算式を得る。
【0012】
【数4】
特殊な場合として、座標入力領域18が長方形か正方形であれば、直交座標系uvは、正立させた長方形か正方形の座標入力領域18に対して、45度の傾きを持つ。このとき、直交座標系XYを、長方形か正方形の座標入力領域18に対して
図2(a)のように設定すると、θ=90度、sinθ=1、cosθ=0であるので、座標計算式である数式2は、特に簡単な表現になる。
また、引き出し線22〜25として、充分に低抵抗のリード線等を使用する場合は、外部抵抗成分26〜29は、抵抗性周囲電極13の抵抗値よりも極めて小さくなり、座標を計算する上で、独立して考慮しなくても済む程度になる。このような場合は、外部抵抗成分を考慮しない座標(u,v)の計算式である数式1を、直交座標系XYに座標変換すればよい。
図2(a)で示したように、直交座標系XYの原点が平行四辺形の座標入力領域18の中心と同一であり、直交座標系uvが直交座標系XYに対してθ/2だけ傾いているようなとき、外部抵抗成分26〜29を無視できる場合の座標計算式は、数式5のようになる。
【0013】
【数5】
外部抵抗成分26〜29を無視でき、且つ、座標入力領域18が長方形か正方形であれば、数式5において、sinθ=1、cosθ=0とおくことができるので、座標計算式は、最も簡単な形になる。
〈第2の実施の形態〉
図4は、第2の実施の形態になる座標入力システムの一例を示す構成図であり、入力パネルが発信側である場合である。第1の実施の形態と同じ内容については、説明を適宜省略する。入力ペン(座標指示器)61が座標入力パネル51の座標入力領域58内で指示した位置(X,Y座標)を検出する座標入力システムの構成図である。均一な面抵抗体52の周囲又は内部に、各辺が直線である平行四辺形の抵抗性周囲電極53を密着配設し、抵抗性周囲電極53の内部を平行四辺形の座標入力領域58とする。ここでも第1の実施の形態と同様、面抵抗体52の表面に絶縁処理をした場合を説明する。抵抗性周囲電極53上の、平行四辺形の座標入力領域58の各頂点に当たる位置に駆動電極54〜57を形成し、そこにそれぞれ1本ずつ引き出し線62〜65を接続する。引き出し線62〜65は、ぞれぞれ外部抵抗成分66〜69を含む。引き出し線62〜65を、駆動電極切り替えスイッチ70に接続する。
座標を検出するには、電位出力手段である信号発生器71によって面抵抗体52にAC電位勾配を与える。電位勾配は、駆動電極切り替えスイッチ70によって、平行四辺形の座標入力領域58の対角を同時に接続する組み合わせで与えるようにする。即ち、次の4つの組み合わせが存在する。一つめ、駆動電極54を信号発生器71の出力側に接続し、駆動電極56を接地側に接続し、駆動電極55及び57を非接続にする。二つめ、駆動電極55及び57を非接続のまま、駆動電極54と56の、信号発生器71に対する出力側と接地側の接続を入れ替える。三つめ、駆動電極55を信号発生器71の出力側に接続し、駆動電極57を接地側に接続し、駆動電極54及び56を非接続にする。四つめ、駆動電極54及び56を非接続のまま、駆動電極55と57の、信号発生器71に対する出力側と接地側の接続を入れ替える。
これらのそれぞれの接続状態において、面抵抗体52の、入力ペン61の先端に近い位置のAC信号レベルは、静電容量結合を介して入力ペン61に伝達され、更にケーブル72を通じてアナログ信号処理部73に伝達される。アナログ信号処理部73は、図示しないが、増幅器、帯域通過フィルタ、AC/DC変換器(AM検波器)等を含み、入力したAC信号レベルに比例したDC信号レベルを出力する。CPU75は、A/Dコンバータ74が出力するデジタル値を入力し、入力ペン61の指示位置を計算する。
今、入力ペン61の先端に近い位置の電位を測定した値のうち、駆動電極切り替えスイッチ70によって駆動電極54(頂点A)が信号発生器71の出力側に、駆動電極56が接地側に接続され、駆動電極55と57が非接続のときの測定値を測定値A、駆動電極55(頂点B)が信号発生器71の出力側に、駆動電極57が接地側に接続され、駆動電極54と56が非接続のときの測定値を測定値B、駆動電極56(頂点C)が信号発生器71の出力側に、駆動電極54が接地側に接続され、駆動電極55と57が非接続のときの測定値を測定値C、駆動電極57(頂点D)が信号発生器71の出力側に、駆動電極55が接地側に接続され、駆動電極54と56が非接続のときの測定値を測定値Dとする。このとき、入力ペン61の位置は、外部抵抗成分66〜69の抵抗値を0とするなら、直交座標系uvにおいて、同じく、前出の数式1によって求めることができる。
外部抵抗成分66〜69の影響の仕方は、第1の実施の形態と同様であり、同じようにして補正することができる。
直交座標系uvにおいて求めた座標を、直交座標系XYに座標変換することにより、求める座標を得ることができる。
〈第3の実施の形態〉
第1の実施の形態において、抵抗性周囲電極13の、全ての辺の長さ当たりの抵抗値が等しい場合を説明した。第3の実施の形態として、面抵抗体12を取り囲む平行四辺形の抵抗性周囲電極13について、平行四辺形の対辺同士の長さ当たりの抵抗値は等しく、平行四辺形の互いに隣り合う辺同士の長さ当たりの抵抗値の関係には制限がない場合を説明する。第1の実施の形態と同じ内容については、説明を適宜省略する。
抵抗性周囲電極13の、辺AB及び辺CDの長さ当たりの抵抗値をr
a、辺BC及び辺DAの長さ当たりの抵抗値をr
b(次元は共に[オーム/長さ])とする。このとき、直交座標系XYにおける最終的な座標(X,Y)は、数式6によって求めることができる。
【0014】
【数6】
数式6は、抵抗性周囲電極13の互いに隣り合う辺同士の長さ当たりの抵抗値が等しければ(R
a=R
bであれば)、数式4(のu,u
D,u
B,v,v
A及びv
Cを展開したもの)と一致するし、更に外部抵抗成分26〜29が無視できる場合には、それらを0と置くことによって、数式5と一致する。
また、詳細は説明しないが、入力パネルが発信側であるような、第2の実施の形態において説明した構成についても、抵抗性周囲電極13の互いに隣り合う辺同士の長さ当たりの抵抗値が等しくない場合、本実施の形態と同じ計算方法を適用することができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例により、本発明を説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例を含むものである。
(実施例1)
本実施例1は、第1の実施の形態に対応するものであり、座標入力パネル11を受信側とするものである。
座標入力パネル11は、次のようにして作成した。ガラス基材として、ソーダガラス(厚さ3ミリ)を略469×375mmの大きさに切断したものを用い、ガラス基材の表面に、スパッタ法によってITO(インジウム酸化物)膜を形成して面抵抗体12とした。次に、抵抗性周囲電極13、及び引き出し線22〜25の一部を、(株)アサヒ化学研究所製銀ペーストLS−504(樹脂バインダー)にカーボンを混合したペーストをスクリーン印刷し、加熱硬化させることで形成した。このとき、座標入力領域18の形状として、2a=378mm、2b=303mm、θ=90度の長方形とした。抵抗性周囲電極13の幅は、抵抗性周囲電極13の頂点AB間の抵抗値が約68Ω、頂点BC間の抵抗値が約52Ωになるよう調整し、378/303=1.25≒68/52=1.31とすることによって、抵抗性周囲電極13の全ての辺の長さ当たりの抵抗値をほぼ等しくした。また、引き出し線22〜25は、それぞれをガラス上に印刷した部分と低抵抗のリード線部分とに分割し、印刷した部分は、抵抗性周囲電極13の外側に、座標入力パネルの左辺中央部で引き出し線22〜25の低抵抗のリード線部分と接続するように、ただし、検出点16に接続する引き出し線24は最短距離ではなく遠い側を回り込むように構成し、印刷した部分の幅は、一辺当たりの抵抗値が抵抗性周囲電極の一辺の抵抗値の1/2〜1/4程度になるよう、調整した。
図5に、引き出し線22〜25の印刷した部分を含めた座標入力パネル11の模式図を示す。次に、抵抗性周囲電極13の4頂点に、銀ペーストを用いて、検出電極14〜17を形成した。
更に、面抵抗体12上に、透明絶縁性基材を形成した。透明絶縁性基材を形成するには、面抵抗体12と抵抗性周囲電極13上にガラスペーストを印刷し、熱処理して粉末ガラスを溶融させ、焼結させた。最後に、検出電極14〜17上に、引き出し線22〜25を、ハンダ付けにより接続した。この際、面抵抗体12のシート抵抗は500Ω/□となるようにした。
また、座標計算に用いる抵抗値を測定したところ、R
A=8.0Ω、R
B=27.0Ω、R
C=42.8Ω、R
D=8.2Ω、R
BD=47.9Ω、R
CA=47.9Ωであった。
このように作成した座標入力パネル11を、
図1に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。ただし、CPU31から出力される座標データを、シリアル通信によってパソコンに取り込むようにした。直交座標系XYは、
図2(a)のように設定し、最終的な座標計算式として、数式1及び数式4に前記パラメータを代入して求めた数式7を使用した。数式7の単位はミリメートルである。
【0016】
【数7】
この座標入力システムを用いて座標入力パネル11を評価したところ、
図6(a)に示すような結果を得た。これは、座標入力領域18内で、一定間隔の縦横格子上を指でなぞり、座標を計算した結果である。グラフの範囲は、座標入力パネル11の入力可能範囲におおよそ合わせてある。全体的に見られる格子の内側への歪みの程度は、面抵抗体12の抵抗値と抵抗性周囲電極13の抵抗値の比率によって決まるものであり、これを修正したり補正したりする方法は一般的に開示されている。
因みに、R
A、R
B、R
C、R
Dの4つの値をすべて0として、同じデータに基づいて座標を計算すると、
図6(b)に示すような結果になる。つまり、外部抵抗成分26〜29によって、座標の範囲が正しくなくなり、歪んでしまう。このとき、外部抵抗成分26〜29のうち、値が大きいところほど、それが接続している検出点14〜17から、より内側に座標が歪むことが判っている。本座標システムは、このように、外部抵抗成分26〜29が均一の値でなくとも、それらの影響を排除して座標を計算することができる。
従って、本座標システムが、対角方式において、4頂点と、制御基板の電流検出手段との間に、抵抗性周囲電極13の抵抗値に比べて無視できない程度の大きな抵抗値を持つ外部抵抗成分26〜29が存在する場合にも、指示位置の座標を計算できることが確認された。
(実施例2)
本実施例2は、第2の実施の形態に対応するものであり、座標入力パネル51を発信側とするものである。
座標入力パネル51は、実施例1と同じように製作したが、抵抗性周囲電極53の幅が、抵抗性周囲電極53の頂点AB間の抵抗値が約68Ω、頂点BC間の抵抗値が約52Ωになるよう調整し、抵抗性周囲電極53の全ての辺の長さ当たりの抵抗値をほぼ等しくした。また、引き出し線62〜65は、それぞれをガラス上に印刷した部分と低抵抗のリード線部分とに分割し、印刷した部分は、抵抗性周囲電極13の外側に、座標入力パネルの左辺中央部で引き出し線62〜65の低抵抗のリード線と接続するように、全てがそれぞれ最短距離となるようなパターンで構成し、印刷した部分の幅は、一辺当たりの抵抗値が抵抗性周囲電極の一辺の抵抗値の1/2〜1/4程度になるよう、調整した。
図7に、引き出し線22〜25の印刷した部分を含めた座標入力パネル51の模式図を示す。
座標計算に用いる抵抗値を測定したところ、R
A=7.4Ω、R
B=25.6Ω、R
C=23.7Ω、R
D=7.6Ω、R
BD=60.1Ω、R
CA=59.8Ωであった。
座標入力パネル51を、
図3に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。直交座標系XYは、
図2(a)のように設定し、最終的な座標計算式として、数式1及び数式4に前記パラメータを代入して求めた数式8を使用した。数式8の単位はミリメートルである。
【0017】
【数8】
この座標入力システムを用いて座標入力パネル51を評価したところ、
図8(a)に示すような結果を得た。これは、座標入力領域58内で、一定間隔の縦横格子上を入力ペンでなぞり、座標を計算した結果である。
因みに、R
A、R
B、R
C、R
Dの4つの値をすべて0として、同じデータに基づいて座標を計算すると、
図8(b)に示すような結果になる。つまり、外部抵抗成分26〜29によって、座標の範囲が正しくなくなり、歪んでしまう。
従って、本座標システムが、対角方式において、4頂点と、制御基板の電位出力手段との間に、抵抗性周囲電極53の抵抗値に比べて無視できない程度の大きな抵抗値を持つ外部抵抗成分66〜69が存在する場合にも、指示位置の座標を計算できることが確認された。
(実施例3)
本実施例3は、第1の実施の形態の、外部抵抗成分26〜29を無視できる場合に対応するものであり、座標入力パネル11を受信側とするものである。
座標入力パネル11は、次のようにして作成した。ガラス基材として、ソーダガラス(厚さ3ミリ)を略469×375mmの大きさに切断したものを用い、ガラス基材の表面に、スパッタ法によってITO(インジウム酸化物)膜を形成して面抵抗体12とした。次に、抵抗性周囲電極13、及び検出電極14〜17を、(株)アサヒ化学研究所製銀ペーストLS−504(樹脂バインダー)にカーボンを混合したペーストをスクリーン印刷し、加熱硬化させることで形成した。このとき、座標入力領域18の形状として、2a=320mm、2b=240mm、θ=60度とした。抵抗性周囲電極13の幅は、抵抗性周囲電極13の頂点AB間の抵抗値が約42Ω、頂点BC間の抵抗値が約35Ωになるよう調整し、320/240=1.33≒42/35=1.2とすることによって、抵抗性周囲電極13の全ての辺の長さ当たりの抵抗値をほぼ等しくした。次に、抵抗性周囲電極13の4頂点に、銀ペーストを用いて、検出電極14〜17を形成した。
更に、面抵抗体12上に、透明絶縁性基材を形成した。透明絶縁性基材を形成するには、面抵抗体12と抵抗性周囲電極13上にガラスペーストを印刷し、熱処理して粉末ガラスを溶融させ、焼結させた。最後に、検出電極14〜17上に、引き出し線22〜25を、ハンダ付けにより接続した。この際、面抵抗体12のシート抵抗は500Ω/□となるようにした。
このように作成した座標入力パネル11を、
図1に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。ただし、CPU31から出力される座標データを、シリアル通信によってパソコンに取り込むようにした。直交座標系XYは、
図2(a)のように設定し、最終的な座標計算式として、数式5に前記パラメータを代入して求めた数式9を使用した。数式9の単位はミリメートルである。
【0018】
【数9】
この座標入力システムを用いて座標入力パネル11を評価したところ、指示位置の座標を計算できることが確認された。
(実施例4)
本実施例4は、第2の実施の形態の、外部抵抗成分26〜29を無視できる場合に対応するものであり、座標入力パネル51を発信側とするものである。
座標入力パネル51は、実施例1で作成した座標入力パネル11をそのまま使用することができる。座標入力パネル51を、
図4に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。直交座標系XYは、
図9に示すように、X軸を辺AB上に、AからBに向かう方向にとり、Y軸を、X軸と直交し、辺ABから辺CDに向かう方向に、また頂点D上を通るように、設定した。このことから、最終的な座標計算式として、数式5に、平行移動の座標変換を施した上で前記パラメータを代入して求めた数式10を使用した。数式10の単位はミリメートルである。
【0019】
【数10】
この座標入力システムを用いて座標入力パネル51を評価したところ、指示位置の座標を計算できることが確認された。
(実施例5)
本実施例5は、第3の実施の形態の、外部抵抗成分26〜29を無視できる場合に対応するものであり、座標入力パネル11を受信側とするものである。
座標入力パネル11は、次のようにして作成した。ガラス基材として、ソーダガラス(厚さ3ミリ)を略469×375mmの大きさに切断したものを用い、ガラス基材の表面に、スパッタ法によってITO(インジウム酸化物)膜を形成して面抵抗体12とした。次に、抵抗性周囲電極13、及び検出電極14〜17を、(株)アサヒ化学研究所製銀ペーストLS−504(樹脂バインダー)にカーボンを混合したペーストをスクリーン印刷し、加熱硬化させることで形成した。このとき、座標入力領域18の形状として、2a=320mm、2b=240mm、θ=60度とした。抵抗性周囲電極13の幅は、抵抗性周囲電極13の頂点AB間の抵抗値が約85Ω、頂点BC間の抵抗値が約35Ωになるよう調整し、r
a=85/320=0.266(Ω/mm)、r
b=35/240=0.146(Ω/mm)とすることによって、抵抗性周囲電極13の互いに隣り合う辺の辺の長さ当たりの抵抗値を等しくなくした。次に、抵抗性周囲電極13の4頂点に、銀ペーストを用いて、検出電極14〜17を形成した。
更に、面抵抗体12上に、透明絶縁性基材を形成した。透明絶縁性基材を形成するには、面抵抗体12と抵抗性周囲電極13上にガラスペーストを印刷し、熱処理して粉末ガラスを溶融させ、焼結させた。最後に、検出電極14〜17上に、引き出し線22〜25を、ハンダ付けにより接続した。この際、面抵抗体12のシート抵抗は500Ω/□となるようにした。
このように作成した座標入力パネル11を、
図1に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。ただし、CPU31から出力される座標データを、シリアル通信によってパソコンに取り込むようにした。直交座標系XYは、
図2(a)のように設定し、最終的な座標計算式として、数式6に前記パラメータ(及びR
Aext=0,R
Bext=0,R
Cext=0,R
Dext=0)を代入して求めた数式11を使用した。数式11の単位はミリメートルである。
【0020】
【数11】
この座標入力システムを用いて座標入力パネル11を評価したところ、指示位置の座標を計算できることが確認された。