(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内鍋と、内鍋を取り出し可能に収容する炊飯器本体と、炊飯器本体上部の開口を覆蓋する蓋体と、炊飯器本体の下部にあって内鍋を加熱する加熱手段とからなり、上記蓋体は、その上板側に操作部および透明な表示窓を有する操作パネル、該操作パネル下方側の密閉空間内に当該操作パネルの操作部に対応した操作基板および透明な表示窓に対応した表示手段を有するとともに、上記操作パネルの上記透明な表示窓を除く部分に、上記透明な表示窓部分に比べて外部に対する断熱性の低い低断熱部を設け、同低断熱部分で集中的に水分を凝縮させることにより、上記透明な表示窓部分に曇りを発生させないようにしてなる電気炊飯器であって、上記低断熱部は、透明な表示窓部分よりも断熱性の低い薄肉部よりなることを特徴とする電気炊飯器。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施の形態1>
図1〜
図6は、本願発明の実施の形態1に係る電気炊飯器の炊飯器本体および要部の構成を示している。
【0028】
(炊飯器本体全体の構成)
この電気炊飯器では、先ず
図1〜
図3に示すように、例えば内鍋(飯器ないし保温容器)3として、非金属材料からなる蓄熱性の高い鍋(例えば、セラミック製の土鍋)が一例として採用されており、その底部3aの中央面(フラット面部)および同底部3a外周の湾曲面部(コーナー部)3bには、それぞれ内部に誘起されるうず電流によって自己発熱が可能な、例えば銀ペースト等の金属製の第1,第2の誘導発熱体G1,G2が設けられている。
【0029】
そして、この電気炊飯器では、同構成の内鍋3と、該内鍋3を任意に収納セットし得るように形成された下部側合成樹脂製の皿状の保護枠4aおよび上部側金属製の筒状壁4cよりなる内ケース4と、該内ケース4を保持する外部筺体である合成樹脂製の有底筒状の外ケース5と、該外ケース5の下部に一体に嵌合された合成樹脂製の底ケース13と、上記外ケース5と上記内ケース4とを合成樹脂製の肩部材10により一体化して形成された炊飯器本体1の上部に開閉可能に設けられた蓋体2とから構成されている。
【0030】
一方、内ケース4の底壁部である皿状の保護枠4aの下方側には、フェライトコア収納部を備えたコイルカバー(コイル台)6が設けられおり、その下部部分にはフェライトコアを配置し、またそれらの間には、上記内鍋3の底部3aの中央部側フラット面部と外周部側湾曲面部(コーナー部)3bの上記第1,第2の2組の誘導発熱体G1,G2位置に対応して各々リッツ線が同心状に巻成された第1,第2の2組のワークコイルC1,C2が設けられており、それらへの通電時には上記内鍋3の上記第1,第2の誘導発熱体G1,G2にうず電流を誘起して、上記内鍋3を効率良く加熱するようになっている。
【0031】
上記合成樹脂製の外ケース5の後部側は、平面視略H形の形状に成型されていて(図示省略)、前後方向に平行な左右の側壁部間後部に位置して左右に延びる仕切壁24が設けられている。そして、この仕切壁24の左右両端側には、後方側から平面視略コ字形の外ケースカバー5bの側壁部前端が嵌合(係合)されるようになっている。
【0032】
上記外ケース5の仕切壁24と上記外ケースカバー5bとの間には、上記内ケース4側と仕切られる形で、シール性の高い電装品収納空間が形成されている。そして、この電装品収納空間内に、ワークコイルC1,C2、保温ヒータH1等を駆動制御するIGBTやヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジよりなる整流回路、平滑回路などを備えた第1の電気基板(制御基板)B1および該第1の電気基板B1を保持した電気基板カバー(制御基板カバー)7が上下方向に立設する状態で設けられている。
【0033】
この第1の電気基板B1上には、IGBT等の発熱部品、その他の必要部品が設けられているとともに、接続用配線であるフレキシブルなフラットケーブルを介して後述する蓋体2側の第2の電気基板(マイコン基板)B2が接続されている。
【0034】
上記電気基板カバー7は、例えば上記外ケース5の仕切壁24に対して着脱可能な状態で取り付けられるようになっていて、その下部側には保護枠4aの下面側ワークコイルC1,C2部分および第1の電気基板B1のヒートシンク25の放熱フィン部分に冷却用の空気を流す第1の送風ファン11Aが、また左右両側には、上記内鍋3の第1,第2の発熱体G1,G2部分に向けて直接冷却空気を送風する第2,第3の送風ファン11B,11C(但し、11Bは
図2の断面手前側で見えないため省略している)が、それぞれ一体に取り付けられている。
【0035】
第1の送風ファン11Aは、上下方向に開口した短筒状のファンケーシング56a内の送風通路56bに軸流ファン56cを備えるとともに、保護枠4aの底部側への吹出空気分流ダクト56dを備えて構成されている。
【0036】
ご飯を美味しく炊き上げるためには、昇温工程や昇温工程後の炊き上げ工程などの、飯米に十分に熱を通す高温、かつ高加熱出力が要求される炊飯工程で、内鍋3に対して可能な限り高い加熱出力を与えることが好ましい。
【0037】
しかし、その場合において、内鍋3に局部的に高温になる部分があると、同部分での耐熱対策が必要となり、有効に加熱出力を増大させることができない。
【0038】
ところが、上記のように内鍋3の発熱体G2,G1部分に直接冷却用の空気を第2,第3の送風ファン11B,11Cで送風することにより、上記局部的に高温になる発熱体G2,G1部分を冷却して、その熱を有効に回収し、逆に低温の側壁部3c側に移送して作用させるようにすると、内鍋3全体の加熱温度を可及的に均一化し、加熱効率を向上させて、吹きこぼれ、焦げ付きを防止することができるとともに、さらに従来加熱不足であった内鍋3の側壁部3cへの加熱量を大きく増大させることができるようになり、より一層美味しいご飯を炊き上げることが可能となる。
【0039】
この場合において、上記内鍋3の底部3a側から側壁部3c側に移送される高温の空気は、内鍋開口縁部(フランジ部)3dの外周面まで流され、側壁部3cの全体を下端から上端まで効率良く加熱する。
【0040】
さらに上記内ケース4の皿状の底壁部である保護枠4aは、その底面部の中央部に内鍋3の底部3aの温度を検知するサーミスタを内装した底センサー18のセンサー部嵌合口が形成されているとともに、同センサー部嵌合口の外周側上面にはドーナツ状の遮熱板8が設けられている。また、その上端部4b上の環状ダクト9部分には、所定幅の段部が設けられ、この段部部分に上記上部側筒状壁部4cの下端側が係合載置されている(
図2参照)。
【0041】
他方、同上部側筒状壁部4cの上端は、図示しない内枠部材を介して上記炊飯器本体側外ケース5上端の肩部材10側に連結して固定されている。
【0042】
また、上記内ケース4の上部側筒状壁部4cの外周には、上述のように炊飯および保温時において加熱手段として機能する保温ヒータH1が設けられており、炊飯時および保温時において上記内鍋3の側壁部3cの全周を有効かつ均一に加熱するようになっている。
【0043】
(蓋体の構成)
一方、符号2は上述の蓋体であり、該蓋体2は、その最上面を構成するとともに、中央部の蒸気パイプ嵌合孔部分におねば戻し機能を有する蒸気パイプ(調圧ユニット)14を備えた合成樹脂製の外カバー2aと、該外カバー2aの外周部に嵌合一体化して設けられた同じく合成樹脂製の内カバー2bと、該内カバー2bの外周部内に設けられた内枠部材2cと、該内枠部材2cの内側に設けられた金属製の放熱板2dと、該放熱板2dの上面に設けられた蓋ヒータH2と、上記放熱板2dの下方側に設けられた金属製の内蓋2eとを備えて構成されている。
【0044】
また、放熱板2dの外周縁部下方および内蓋2eの外周縁部下方には、それぞれパッキンP1,P2が設けられており、内蓋2eは、パッキンP2を介して内鍋3の開口縁部3dの内側に傾斜した上面部に広く接触させられている。また、蒸気パイプ14には、下方側放熱板2dの蒸気導入口部から上方側外カバー2aの蒸気排出口14aに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路25が形成されている。そして、14cは、同蒸気排出通路25における調圧パイプ14b内の調圧弁(球体弁)、14dはその下方側の弁口部を有する筒状の弁座部、14eは同弁座部の下端に嵌合された調圧キャップである。
【0045】
この蓋体2は、上記外ケース5の後壁上部の肩部材10に対してヒンジ部(開放付勢用のコイルバネ40を備えたヒンジ機構)30を介して上下方向に回動自在に取付けられており、その開放端側(前端側)内周面には、該蓋体2に係合して当該蓋体2の上方への開放を係止する炊飯器本体1側ロック片17aのロック爪17bが係合する係合部2gが設けられている。
【0046】
そして、上記外ケース1の前壁5a側上部位置に設けられているロック機構アンロック操作部17のON操作によって、同ロック片17aのロック爪17bの蓋側係合部2gとの係合が解除されると、上述したヒンジ部30部分のコイルバネ40(蓋側係合片41aと本体側係合片41bを有する)の付勢力によって、上記蓋体2が自動的に上方に開かれるようになっている。
【0047】
また、符号16は、上記内鍋3内の温度および沸騰状態を検知する蓋センサ(蒸気センサ)である。
【0048】
この蓋センサ16は上記内蓋2eの開口部に蒸気通路16eを有した蒸気パイプ16cを嵌合するとともに、同蒸気パイプ16c内の蒸気通路16e内に上方側放熱板2d側に取付ホルダー16aおよび16dを介して取り付けられている温度センサ16bの先端を挿入する形で設けられている。この場合、上記同温度センサ16bは、図示のように上方から下方に向けて長く延びる軸体状のものよりなり、その先端側センサ部(温度検知部)が、上記内鍋3の開口縁部3dよりも内側に臨んで設けられている。
【0049】
一方、上記蓋体2の外カバー2aの前部中央には、当該炊飯器の操作部および表示部を構成する操作パネル20嵌合用の開口部が、また対応する内カバー2b側には、同操作パネル20嵌合用の凹溝部が形成されており、同開口部および凹溝部部分に外カバー2aの外周面と連続する外周面を形成する形で、例えば透明なABS樹脂製の操作パネル(銘板)20が嵌合されてカバーされるようになっている。
【0050】
該操作パネル20は、そのパネル部裏側に所定の深さの基板および液晶パネル収納ボックス2fを備えてなり、上記外カバー2aの開口部および内カバー2bの凹溝部内に嵌合して収納されている。そして、その中央部には液晶パネル21の表示面に対応する透明窓(透明な表示窓)20aを有するとともに、同透明窓20aの周囲には、例えば
図1、
図3に示すように、タイマー炊飯用の炊飯予約スイッチ22c、炊飯スイッチ22a、火かげんスイッチ22h、保温取消スイッチ22d、炊飯メニュー(例えば白米、早炊き、おこわ、おかゆ、玄米その他のコースメニュー)を指定するメニュースイッチ22g、お米選択スイッチ22i、時計及びタイマーの時刻時・分設定スイッチ22b、音声ガイド設定スイッチ22eの各操作キー面部分が設けられている。
【0051】
この操作キー面22a〜22iおよび上記透明窓20aは、例えば
図5および
図6に示すように、全体に亘って透明なABS樹脂よりなる操作パネル20の表面側に色の付いた非透明部20pbと色の付かない透明部20paとからなるPET製の所定の厚さの印刷シート20pを接着剤を介して一体に貼設することにより形成されており、同印刷シート20pの非透明部20pb部分に操作キー面22a〜22iが少し突出する形で、また透明部20pa部分に透明窓20aがフラットな形で形成されるようになっている。
【0052】
この印刷シート20pの表面には、さらに必要に応じて、傷をつきにくくするための透明なフィルムが貼られることもある。
【0053】
一方、同操作パネル20の裏側の上記基板および液晶パネル収納ボックス2f内には、上記各操作スイッチの操作(設定)状態等表示制御機能、上記第1,第2のワークコイルC1,C2、保温ヒータH1、蓋ヒータH2各々への通電制御機能等を有するマイコン制御ユニットを備えた第2の電気基板(マイコン基板)B2とともに液晶パネル21が設けられている。
【0054】
第2の電気基板(マイコン基板)B2は、上記基板および液晶パネル収納ボックス2f内の収納空間24の底部側に位置して設置されており、その上部側に液晶パネル21を支持している。
【0055】
液晶パネル21は、断面H型の液晶パネルホルダー21b内側の凹部21e部分に液晶ディスプレイ(液晶本体部分)21aを収納し、その上部側を透明カバー21dで覆うとともにホルダー部下部の脚部21c,21cを介して第2の電気基板B2上に固定されている。
【0056】
そして、上記液晶ディスプレイ21aは、電源および信号配線21fを介して第2の電気基板B2の所要部に接続されている。
【0057】
一方、基板および液晶パネル収納ボックス2fは、上部を開放したボックス壁29a側壁部の上端側に、例えば
図5に示すようなシール用のゴム製パッキン21gを備え、同ゴム製パッキン21gを介して、上述の操作パネル20の非透明部20pb裏面側に当接せしめられており、それによって基板および液晶パネル収納ボックス2f内を気密状態(密閉状態)にシールした状態で取り付けられるようになっている。
【0058】
なお、上記液晶パネル21の透明カバー21dは、液晶ディスプレイ21aの表示面に対応する部分が透明で、その周囲には、例えば
図3および
図4に示すように、必要な文字表示部A,B,Cが設けられている。なお、
図4では、わかりやすくするためにシール用のゴム製パッキン21gおよび液晶パネルホルダー21bを除去した状態で示している。
【0059】
そして、この実施の形態の場合、例えば
図6に拡大して示すように、上記操作パネル20の上記液晶パネル21の透明カバー21dに対応する範囲20W部分(少なくとも透明窓20a部分)のパネル厚さt2は、その他の周囲部分のパネル厚さt1よりも相対的に厚く形成されており、(t2>t1)、さらに、その前後両側部分には左右両方向に亘って延びる第1,第2の低断熱部20b,20cが設けられている。
【0060】
この第1,第2の低断熱部20b,20cのパネル厚さt3,t4は、上記液晶パネル21対応部の外周部部分のパネル厚さt1よりも一段と薄く凹溝状の薄肉部に形成され、同部分では外部との断熱性が特に低くなるように構成されている。
【0061】
この実施の形態の場合、設置スペースの関係で、前側第1の低断熱部20bの方が、後側第2の低断熱部20cよりも幅が広く形成されているが、これは設置スペースが取れる限り、同じでも逆の関係でもかまわない。また、液晶パネル21の左右両側で前後方向に延びるように形成してもかまわない。
【0062】
そして、この実施の形態の場合にも、従来のように基板および液晶パネル収納ボックス2f内の所望部位、例えば
図3に示す液晶パネル21の上端側左右両位置には、例えば
図4に示すように、乾燥剤収納用の凹部41,41が形成されていて、その中にシリカゲル等の吸湿用の乾燥剤30a,30bが設けられていて、可能な限り基板および液晶パネル収納空間24内の水分を吸着し、上述した操作パネル20の透明窓20a部分に曇りを生じさせないようになっている。
【0063】
ところで、従来の構成の電気炊飯器の場合には、炊き上げ時の内鍋3からの沸とう熱、または上述した蓋ヒータH2からの熱によって、すでに述べたように、炊飯時に蓋体2下部の温度が高くなると、上記第2の電気基板B2や液晶パネル21(液晶ディスプレイ21a)を有する密閉された収納空間24内の水分が蒸発し、液晶パネル21の表示面に対応する透明窓20a部分で外気により冷やされて曇り(結露)を生じる恐れがあった。そして、このような曇りが生じると、上記液晶パネル21の透明カバー21dの各種情報表示面A〜Cの表示内容が見にくくなるだけでなく、操作パネル20部分の見映えを悪くする。
【0064】
このため、前述のように液晶パネル21や第2の電気基板B2をゴム製パッキン21gでシールされた密閉された収納空間24内に密閉するとともに、基板および液晶パネル収納ボックス2f内の所望部位、例えば
図3に示す液晶パネル21の上端側左右位置に、例えば
図4に示すように、乾燥剤収納用凹部41,41を形成して、その中にシリカゲル等の吸湿用の乾燥剤30a,30bを設け、可能な限り基板および液晶パネル収納空間24内の水分を吸着させて、上述した操作パネル20の透明窓20a部分に曇りを生じさせないようにしている。
【0065】
しかし、単に液晶パネル21や第2の電気基板B2を所定の密閉空間内に密閉し、同密閉空間内の水分を乾燥剤30a,30bで吸着させたとしても、一旦飽和状態まで吸着された水分は上記炊飯時の加熱によって再び脱着されて、上記密閉空間内に蒸発せしめられる。
【0066】
したがって、結局のところ外部と密閉空間内部との温度差が小さい非炊飯時には有効であっても、外部と密閉空間内部との温度差が大きくなる炊飯時には有効に作用せず、曇りが解消されない。
【0067】
ところが、この実施の形態の場合には、上記操作パネル20の上記透明窓20aを除く部分に上記透明窓20a部分よりも外部との断熱性の低い薄肉部よりなる低断熱部20b,20cを設けており、上記透明窓20a以外の断熱性の低い薄肉の低断熱部20b,20c部分で集中的に水分を凝縮させる一方、相対的に透明窓20a部分の断熱性を高くして水分の凝縮が生じにくくなるようにし、上記透明窓20a部分に「曇り」を生じさせないようにしている。
【0068】
また、このような構成の場合、操作パネル20部分の肉厚を変えるだけで簡単に構成することができるので、新たな部品や特別な2次加工も必要とせず、極めて低コストに実現することができる。
【0069】
また、以上の構成の場合、乾燥剤30a,30bがなくても、十分に曇り防止効果を実現することができるようになり、より低コストになる。
【0070】
(変形例)
なお、以上のABS樹脂による薄肉部自体をなくして、PET製の印刷シート20pのみによる低断熱部20b,20cとすることも、もちろん可能である。
【0071】
そのような構成にすると、上記低断熱部20b,20cの断熱性が特に低くなるので、蒸発水分の凝縮性能が顕著に向上し、操作パネル20の透明窓20a部分の曇り防止性能が大きく向上する。
【0072】
ただし、このような構成を採用した場合、印刷シート20p部分の強度、支持剛性が問題となるので、完全な開口とするのではなく、後述するようなグリル構造(
図12参照)とすることが好ましい。
【0073】
<実施の形態2>
次に
図7は、本願発明の実施の形態2に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0074】
上述の実施の形態1の構成では、電気基板B2および液晶パネル21を収納している基板および液晶パネル収納空間24のみをシール用のゴム製パッキン21gを介してシールすることにより、外気が入らない密閉空間に形成しているが、このような一重の密閉空間では未だ液晶パネル21表示面部分のシール性が完全ではなく、湿度が高い外気が侵入する恐れがある。
【0075】
その結果、曇りを発生させる可能性が残されている。
【0076】
そこで、この実施の形態2の構成では、先ず実施の形態1と同じように第1のシール用のゴム製パッキン20iを介して基板および液晶パネル収納ボックス2f内を第1の密閉空間24aに形成するとともに、さらに液晶ホルダー21bの外周囲の凸部壁(張出壁)に第2のシール用のゴム製パッキン21iを設け、この第2のシール用のゴム製パッキン21iに対して操作パネル20の裏面側に設けた仕切用のリブ(仕切壁)28を圧接させて取り付けることにより、液晶パネル21の上面側空間を第2の密閉空間24bに形成し、第1の密閉空間24a内に、さらにシール性の高い第2の密閉空間24bを形成することにより、液晶パネル21表示面部分の気密性を特に高く維持できるようにしたことを特徴とするものである。
【0077】
そして、その場合において、上記実施の形態1のものと同様に、第2の密閉空間24b内の印刷シート20p下方側の操作パネル20裏面部分に透明窓20aよりも肉厚の薄い水分凝縮作用促進用の低断熱部20b,20cを形成することによって、透明窓20a部分に曇りを生じさせないようにしている。
【0078】
このような構成の場合、第2の密閉空間が密閉空間内の密閉空間となって、一段とシール性能が高くなり、該特にシール性能の高い第2の密閉空間24b内に液晶パネル21の表示面側が収納される結果、第2の密閉空間24b内の湿度が一層低くなり、少々の加熱では透明窓20a部分に曇りが生じにくくなる。
【0079】
しかも、仮に或る程度の水分の蒸発による湿度の上昇があっても、同湿度の上昇による水分の凝縮は、上記第2の密閉空間24b内の薄肉の低断熱部20b,20cのみで集中的に生じるために、透明窓20a部分には全く曇りを生じさせなくて済む。
【0080】
なお、この実施の形態では、基板および液晶パネル収納ボックス2fのボックス壁29aの側壁部に断面U状の操作パネル嵌合溝(嵌合壁)29bを設け、この嵌合溝29b内に第1のシール用ゴム製パッキン20iを介して操作パネル20の周縁部20gが気密に嵌合されている。
【0081】
<実施の形態3>
次に
図8は、本願発明の実施の形態3に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0082】
上記実施の形態1,2の構成では、操作パネル20の透明窓20a部分を特別に肉厚にして断熱性を高くする一方、それ以外の部分に特別に断熱性が低い薄肉の低断熱部20b,20cを作って、同薄肉の低断熱部20b,20c部分に集中的に水分を凝縮させるようにしているが、この実施の形態では、さらに上記低断熱部20b,20c部分に銅材などの極めて伝熱性の高い金属部材26a,26bを埋め込み、同部分全体としては見掛上の厚さを変えることなく、断熱性を低くして集中的に水分の凝縮を促進させるようにしたことを特徴とするものである。
【0083】
このような構成によっても、やはり同様の作用で透明窓20a部分の曇りを防止することができる。
【0084】
(変形例)
なお、以上のように、部分的な薄肉部を形成して、同薄肉部部分に金属部材26a,26bを埋め込むのに変えて、例えば同パネル部裏面に伝熱性の高い金属シートを部分的にインサート成型することにより、同様にして水分の凝縮部を形成するようにしてもよい。
【0085】
<実施の形態4>
次に
図9は、本願発明の実施の形態4に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0086】
この実施の形態4の場合にも、操作パネル20の透明窓20a部分以外の部分に外部との断熱性が低い水分の凝縮作用促進部を形成する点は以上の各実施の形態のものと同じである。
【0087】
しかし、この実施の形態4のものでは、薄肉とした低断熱部20b,20cの部分に、さらに放熱フィン27a,27bを設けて、より冷却性能を高くし、より効果的に凝縮作用が促進されるようにしたことを特徴とするものである。
【0088】
このような構成によっても、上述の各実施の形態のものと同様の曇り防止作用を得ることができる。
【0089】
<実施の形態5>
次に
図10および
図11は、それぞれ本願発明の実施の形態5に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0090】
すでに述べたように、基板および液晶パネル収納ボックス2f内には、例えば
図10に示すように、液晶パネル21上端の左右両側に位置して乾燥剤30a,30bが設けられている。
【0091】
そして、炊飯時の内鍋3内の沸とう熱および蓋ヒータH2の熱によって乾燥剤30a,30b部分が加熱され、同乾燥剤30a,30b内に吸着されていた水分が脱着蒸発することによって、密閉された基板および液晶パネル収納空間24内の湿度が上がり、これが操作パネル20の透明窓20a部分で外気により冷やされて透明窓20aの内面側に曇りを発生させる。
【0092】
そして、以上の各実施の形態では、これを印刷シート20pに覆われた透明窓20a以外の部分に薄肉部その他の構成による低断熱部を形成することによって、局部的に凝縮作用を促進させ、そこで集中的に結露を生じさせることによって、透明窓20a部分には曇りが生じないようにしている。
【0093】
ところで、この間の曇りの発生状況を色々実験により確認して見ると、当然ながら乾燥剤30a,30bに近い透明窓20a部分に濃い曇りが発生することが分った。
【0094】
そこで、この実施の形態では、例えば
図11に示すように、上述のものと同様の薄肉部よりなる低断熱部20dを乾燥剤30a,30bの真上に対向させて設けることにより、乾燥剤30a,30bから蒸発した水分が基板および液晶パネル収納ボックス2f内の密閉された空間24全体に広がる前に速やかに凝縮させるようにしたことを特徴とするものである。
【0095】
このような構成によると、実験結果でも、略完全に透明窓20a部分に発生する曇りを解消することができた。
【0096】
なお、これと同様の構成は、決して
図11に示すような薄肉部によって低断熱部20dを形成する場合に限らず、上述した実施の形態3,4および後述する実施の形態6などの構成による場合にも全く同様に適用することができる。
【0097】
<実施の形態6>
次に
図13は、本願発明の実施の形態6に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0098】
上記実施の形態5のように、乾燥剤30a,30bの真上に薄肉部等よりなる低断熱部20dを設けると、有効に透明窓20a部分の曇りを解消することができる。
【0099】
これと同様の構成は、何も薄肉部によって低断熱部を形成する場合に限らず、例えば
図12に示すように、乾燥剤30a,30bに対向する操作パネル20部分をグリル構造(クロス格子構造又は平行スリット構造、あるいは複数の円形孔構造)として、部分的に印刷シート20pのみの部分を形成することによって実現してもよい。
【0100】
このような構成によると、グリル構造の低断熱部20e部分の断熱性が特に低くなり、印刷シート20pに伝熱性の高い部材を採用すると、同部分を略外気温度と等しい状態にすることができるようになり、極めて高い凝縮作用を実現することができる。
【0101】
しかも、同構成では、上記低断熱部20e部分がグリル構造となっているため、凝縮した水滴がグリル部の各孔部周壁又は孔部部分に表面張力によって付着滞留し、下方に落下しにくいので、落下水分が再び蒸発されることもないので、より曇りが生じにくくなる。
【0102】
また、印刷シート20p部分の強度もそのまま維持される。
【0103】
なお、このようなグリル構造の低断熱部構造は、例えば上述の実施の形態1や実施の形態2の薄肉部構造に代えて適用することも可能である。
【0104】
<実施の形態7>
次に
図13および
図14は、本願発明の実施の形態7に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0105】
上述のように、基板および液晶パネル収納ボックス2f内には、例えば
図13,
図14に示すように、液晶パネル21上端の左右両側に位置して乾燥剤30a,30bが設けられている。
【0106】
そして、炊飯時の内鍋3内の沸とう熱および蓋ヒータH2の熱によって、同乾燥剤30a,30b部分が加熱され、同乾燥剤30a,30b内に吸着されていた水分が脱着蒸発することによって、密閉空間24内の湿度が上がり、これが操作パネル20の透明窓20a部分で外気により冷やされて透明窓20aの内面側に曇りを発生させる。
【0107】
これは、上述の乾燥剤30a,30bが飽和状態まで水分を吸湿している状態で、脱着温度まで加熱されることにより折角吸着している水分が脱着蒸発されることによる。
【0108】
そこで、この実施の形態では、例えば
図13および
図14に示すように、乾燥剤30a,30bの表面に所定幅のシール部材(テープ等)42を貼り、乾燥剤30a,30bの実質的な吸脱着面積(開口面積)を小さくし、それによって水分吸着時の飽和時間を長くし、吸着性能の長期に亘る保持を図るとともに、吸着能力保持後の吸着水分の脱着能力を制限し、脱着温度に達しても多量の水分を短時間で放出することがないようにしている。
【0109】
このような構成によると、吸湿機能が長期に亘って保持され、簡単に飽和しないこと、また飽和したとしても、飽和状態まで吸着されている水分が徐々にしか脱着されないことにょって、炊飯時に周囲温度が高くなったとしても、急には液晶パネル21周囲の湿度は上昇せず、長時間に亘って徐々にしか上昇しないようになる。
【0110】
その結果、収納空間内全体としての湿度上昇が低く、かつ均一になり、乾燥剤30a,30b付近で集中的に高く上昇して、透明窓20a部分に部分的に濃い曇りを発生させる現象が確実に解消されるとともに、全体に亘って生じる薄い曇りも生じなくなる。
【0111】
これらの作用効果は、実験の結果でも、確実に立証された。
【0112】
(変形例)
なお、以上のようなシール材(テープ等)42による乾燥剤30a,30bの吸脱着面積の制限に加えて、また同制限とは別に上記乾燥剤30a,30bと液晶パネル21との間に迂回用の仕切壁を設け、上記乾燥剤30a,30bから脱着された水分が直ぐには透明窓20a側には移動せず、遠回りして透明窓20a側に移動せざる得ないようにすることもできる。
【0113】
このようにすると、乾燥剤30a,30bから出た水分が遠回りしている間に低湿度状態に薄まってしまい、透明窓20a部分で冷やされても殆ど曇りを生ぜしめないようになる。
【0114】
<実施の形態8>
さらに
図15は、本願発明の実施の形態8に係る電気炊飯器の炊飯器本体の要部の構成を示している。
【0115】
この実施の形態8は、例えば
図15に示すように、前述の各実施の形態におけるPET製の印刷シート20pのABS製の操作パネル20側透明窓20aに対応する透明部20pa部分のみを他の部分とは異なって接着剤を用いることなく貼り付けており、それによって同印刷シート20pの透明部20pa部分と操作パネル20の透明窓20a部分との間に断熱空気層Wを形成することにより、操作パネル20の透明窓20a部分の断熱性をさらに向上させ、より曇りを生じにくくしたことを特徴とするものである。
【0116】
その他の構成は、上述の各実施の形態のものと全く同一であり、同一の作用効果を奏する。
【0117】
なお、
図15では、便宜上低断熱部の例として、実施の形態1と同様の薄肉部による構成の場合20b,20cで示しているが、上述した各種実施の形態の内の何れの実施の形態の構成(例えば
図8の20b+26a,20c+26b、
図9の20b+27a,20c+27b、
図11の20d、
図12の20eなど)の採用(組み合わせ)も可能である。
【0118】
(変形例1)
なお、この実施の形態では、上述のように、当該印刷シート20pの透明部20pa部分の断熱空気層Wに加えて、薄肉部による低断熱部20b,20cなどを組み合わせて構成しているが、これは単に断熱空気層Wのみによる構成でも十分に有効である。
【0119】
(変形例2)
また、以上のように構成した場合において、上記表面側PET製印刷シート20pの透明部20pa部分に全く接着剤を使用することなく展張させたとすると、一定の厚さの有効な断熱層の形成が難しく、また素材の質によっては周囲温度との関係で若干熱膨張し、時間の経過によって弛み(反りなど)を生じる可能性もある。
【0120】
そこで、その対応策として、可能な限り熱膨張性の低いタイプの素材を選択するようにし、また好ましくは、全体に接着剤を用いないまでも、部分的にピンポイントで接着剤を使用することなどにより、全体に亘って均一な厚さの断熱空気層を形成するとともに、殆ど弛み(反り)を生じさせることなく、有効な断熱空気層を形成することができるようにする。