【実施例】
【0025】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、球状炭酸カルシウム粒子の平均粒子径と濾液の導電率は次のようにして測定し、また、球状炭酸カルシウム粒子の特性として球状性と撥水性と滑り性を次のようにして評価した。
【0026】
球状炭酸カルシウム粒子のメジアン径
株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−750を用いて、体積基準によるメジアン径D50を測定した。
【0027】
濾液の導電率
(株)堀場製作所製導電率計ES−12を用いて測定した。
【0028】
表面処理球状炭酸カルシウム粒子の球状性
SEM写真から粒子100個をランダムに選び、長径と短径をそれぞれ測定して、短径/長径比を求めて、球状性とした。
【0029】
表面処理球状炭酸カルシウム粒子の撥水性
容量20mLのガラス製の透明な蓋付きの瓶に蒸留水10mLを計り取り、これに精秤した試料粉体1gを入れた。瓶に蓋をし、手で上下に5分間、振とうした後、振動のない水平な場所に静置して、24時間後に試料粉体が水中に沈降したかどうかを目視で調べて、試料粉体のすべてが沈降しているときは「×」とし、少しでも水面に浮いているときを「○」とた。
【0030】
表面処理球状炭酸カルシウム粒子の滑り性
試料粉体を一つまみ、手の甲に載せ、指先で伸ばして、そのとき、試料粉体が滑らかに伸びる感触を得たときを「○」、シャリシャリした感触を得たときを「△」、きしみ感がある感触を得たときを「×」とした。
【0031】
実施例1
生成する炭酸カルシウムの理論量に対して0.3重量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを0.5モル/L濃度の塩化カルシウム水溶液200mLに加え、これを1L容量のビーカーに入れた。この塩化カルシウム水溶液を室温で磁気攪拌子を用いて攪拌しながら、これに0.5モル/L濃度の炭酸ナトリウム水溶液200mLを加えた後、10分間攪拌した。
【0032】
得られた炭酸カルシウムを濾過し、濾液の導電率が70μS/cm以下となるまで、繰り返し、洗浄した後、120℃で乾燥して、平均粒子径4.9μmの球状炭酸カルシウム粒子を得た。この球状炭酸カルシウムにおけるバテライト結晶の割合は99%であった。
【0033】
この球状炭酸カルシウム30gを純水2.4Lに分散させて水分散液とし、30℃に昇温した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、そのpHを10とした。
【0034】
表面処理剤としてミリスチン酸カリウム1.05g(炭酸カルシウム100重量部に対して3.5重量部)を純水180mLに溶解させて水溶液とした。上記球状炭酸カルシウムの水分散液に攪拌しながら、この水溶液を50mL/分の割合で加えた後、攪拌下に70℃に昇温し、この温度で30分間、更に、攪拌した。次いで、得られた水分散液を常温まで冷却した後、分散液のpHが7となるように、分散液に希塩酸を加えた後、炭酸カルシウムを濾過した。得られた炭酸カルシウムを濾液の導電率が50μS/cm以下となるまで、繰り返し、濾過、洗浄した後、120℃で12時間乾燥して、本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1を得た。
【0035】
炭酸カルシウム100重量部に対して、表面処理剤としてミリスチン酸カリウム3.5重量部に代えて、ミリスチン酸カリウム5.0重量部及び10重量部を用いた以外は、上記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、それぞれ本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A2及びA3を得た。
【0036】
また、球状炭酸カルシウムの分散液に攪拌しながら、ミリスチン酸カリウム水溶液を加えた後、30℃、50℃及び90℃で攪拌した以外は、上記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、それぞれ本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A4、A5及びA6を得た。
【0037】
比較例1
実施例1で得た球状炭酸カルシウム粒子そのままを表面処理なしの比較例による球状炭酸カルシウム粒子B1とする。
【0038】
炭酸カルシウム100重量部に対して、ミリスチン酸カリウム3.5重量部に代えて、ミリスチン酸カリウム1.8重量部を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、比較例による表面処理球状炭酸カルシウム粒子B2を得た。
上記実施例1で得た表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1〜A6及び比較例1で得た表面処理球状炭酸カルシウム粒子B1とB2の球状性と滑り性と撥水性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2
ミリスチン酸カリウムに代えて、表面処理剤としてパルミチン酸カリウム1.05g(炭酸カルシウム100重量部に対して3.5重量部)を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A7を得た。
【0041】
ミリスチン酸カリウムに代えて、表面処理剤としてヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン1.05g(炭酸カルシウム100重量部に対して3.5重量部)を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A8を得た。
【0042】
ミリスチン酸カリウムに代えて、表面処理剤としてミリスチン酸ナトリウム0.99g(炭酸カルシウム100重量部に対して3.3重量部)を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、本発明による表面処理球状炭酸カルシウム粒子A9を得た。
【0043】
比較例2
炭酸カルシウム100重量部に対して、表面処理剤としてパルミチン酸カリウム1.8重量部を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、比較例による表面処理球状炭酸カルシウム粒子B3を得た。
炭酸カルシウム100重量部に対して、表面処理剤としてヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン1.8重量部を用いた以外は、前記表面処理球状炭酸カルシウム粒子A1の製造と同様にして、比較例による表面処理球状炭酸カルシウム粒子B4を得た。
【0044】
上記実施例2で得た表面処理球状炭酸カルシウム粒子A7〜A9と比較例2で得た表面処理球状炭酸カルシウム粒子B3とB4の球状性と滑り性と撥水性を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、本発明によって得られる表面処理球状炭酸カルシウム粒子は、球状性と撥水性のみならず、滑り性にすぐれるので、化粧料に好適に配合することができる。