(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
【0023】
筐体2は、その前面2A側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面2Aの上部から上面に渡る箇所に、接客部3が設けられている。
【0024】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、硬貨入出金口11、紙幣入出金口12、通帳挿入口13、カード挿入口14及び表示操作部15が設けられている。
【0025】
硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、顧客が入金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣BLがそれぞれ排出される部分である。また硬貨入出金口11及び紙幣入出金口12は、それぞれに設けられたシャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
【0026】
因みに紙幣BLは、例えば長方形の紙で構成されており、市場で流通する過程において折り癖や皺等を有するようになる場合、すなわち厚紙幣TBLとなる場合がある。
【0027】
通帳挿入口13は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳挿入口13の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
【0028】
カード挿入口14は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード挿入口14の奥部には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0029】
表示操作部15は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0030】
因みに筐体2は、前面2A側やその反対側(すなわち背面側)等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、各扉を閉塞することにより、内部に保有している紙幣BLや硬貨等を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
【0031】
図2は、
図1の現金自動預払機1を矢印A方向から見た側面図であり、当該現金自動預払機1の内部構成のうち主に紙幣BLの処理に関する部分を示している。同図に示したように、現金自動預払機1の内部には、上側に接客部3、紙幣BLの金種や真偽を判定する鑑別部4及び入金された紙幣BLを一時的に保留する一時保留部5等が設けられており、下側に紙幣BLを金種別に貯蔵する紙幣貯蔵部6等が設けられている。図中太線で示す搬送路7は、各部の間で紙幣BLを短辺方向に沿って搬送する。
【0032】
この現金自動預払機1は、制御部8により全体を統括制御するようになされている。制御部8は、例えば顧客が紙幣BLを入金する入金取引を行う場合、表示操作部15を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金口12のシャッタを開いて紙幣BLを投入させる。
【0033】
続いて制御部8は、投入された紙幣BLを搬送路7を介して鑑別部4へ搬送して鑑別させ、正常紙幣と鑑別された紙幣BLを一時保留部5へ搬送して一時的に保留する一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金口12へ搬送して顧客に返却する。
【0034】
その後制御部8は、表示操作部15を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部5に保留している紙幣BLを再び鑑別部4へ搬送して金種を再鑑別させた後、鑑別された金種に応じて紙幣貯蔵部6の各紙幣収納庫9へ搬送して収納させる。
【0035】
紙幣収納庫9は、搬送路7を介して1枚ずつ搬送されてくる紙幣BLを内部に取り込み、当該紙幣BLを厚さ方向に重ねて上下方向に集積するようになされている。
【0036】
[1−2.紙幣収納庫の構成]
図3に示すように、紙幣収納庫9は、筐体21内の空間22に紙幣BLを集積するようになされている。
【0037】
筐体21は、現金自動預払機1内に設置された際に前面2A(
図1)側となる前側及びその反対の後側、当該前面2A側に対峙した顧客から見て左及び右となる左側及び右側、並びに下側及び上側の各面を隔壁として閉塞することにより、当該隔壁に囲まれた
空間22を形成している。
【0038】
筐体21における前側面の上部には、前後方向に貫通する取込孔23が貫設されている。取込孔23の断面は、上下方向及び左右方向の長さがそれぞれ紙幣BLの厚さ及び長辺方向の長さよりも大きい長方形状に形成されている。
【0039】
また筐体21における左内側面21B及び右内側面21Cには、断面略U字状のステージ溝24が上下方向に沿って凹設されている。
【0040】
取込孔23の空間22に近い箇所には、当該取込孔23の下側に複数の集積ローラ25及び羽根車26が設けられている。集積ローラ25は、金属や硬質の樹脂のような比較的硬い材料が円柱状に形成されており、さらに周側面が紙幣BLに対し滑り難いようになされている。
【0041】
叩き付け部としての羽根車26は、円柱状でなる中心部分の外周面から外方へ向けて、矩形板状でなる羽根26Aが放射状に8本(8枚)延設されている。この羽根車26は、例えばエラストマー樹脂のように、可撓性を有すると共に滑り難い材料により構成されている。このため羽根車26の羽根26Aは、例えば紙幣BLに当接すると、弾性変形すると共に当該紙幣BLに当接した状態を維持し、当該紙幣BLとの間である程度の摩擦力を作用させることになる。
【0042】
図4に上面図を示すように、紙幣収納庫9には、4個の羽根車26及び3個の集積ローラ25が、左右方向に沿った細長い円柱状の軸27に交互に貫通されている。このため集積ローラ25及び羽根車26は、図示しない駆動機構により軸27が軸芯を中心に矢印F方向(
図3)に回転されると、当該軸27と共に矢印F方向に回転する。
【0043】
取込孔23(
図3)の上側には、3個の集積ローラ25とそれぞれ対向する3箇所にプレッシャローラ28が設けられている。プレッシャローラ28は、集積ローラ25と同様の円柱状に構成されており、軸29に貫通されている。この軸29は、軸27と同様の左右方向に細長い円柱状でなり、当該軸29の軸芯を中心に自在に回転すると共に、例えば圧縮スプリング(図示せず)等の押圧手段により下方向へ押し付けられている。
【0044】
また筐体21における後内側面の上部には、当該後内側面よりも前方に、上下方向に長い四角柱状のビルストッパ31が2本、左右に隙間を介して設けられている。このビルストッパ31は、左右方向に貫通する回動軸31Aを介して筐体21の後側部分に取り付けられており、筐体21に対し回動軸31Aを回動中心として回動し得るようになされている。
【0045】
因みにビルストッパ31は、その前面に、左右方向に延びる溝が上下方向に繰り返し形成されており、紙幣BLが衝突した時に当該紙幣BLの後側端部を滑らせないようになされている。
【0046】
ビルストッパ31と筐体21の内側面との間には、コイルばねでなるビルストッパスプリング32が取り付けられている。すなわちビルストッパ31は、後方向への外力が加えられると、後方向へ回動すると共にビルストッパスプリング32を圧縮させることにより当該外力を吸収し、さらに当該ビルストッパスプリング32の復元力により前方向へ向かう力が作用することになる。
【0047】
さらに筐体21の空間22内には、矩形板状のステージ33が設けられている。ステージ33は、その上面33Aがほぼ平坦に構成されており、且つ前後方向及び左右方向の長さがそれぞれ紙幣BLの短辺及び長辺よりも長くなっている。
【0048】
ステージ33の左右には、取付部材34を介して上下に2個のローラ35が取り付けられている。各ローラ35は、それぞれ左右方向を回転軸として自在に回転すると共に、筐体21における左右のステージ溝24にそれぞれ嵌るようになされている。
【0049】
各ローラ35は、ステージ溝24の内側面に当接し、ステージ33の上下方向への移動に伴って摺動し、また回転する。このためステージ33は、ステージ溝24に沿って上下方向へ滑らかに移動することができる。
【0050】
またステージ33は、筐体21の底面21Dからステージスプリング36を介して支持されている。このためステージ33は、その上面に何も置載されていない時はステージスプリング36がほぼ自然長となるような高さに位置する一方、上面33Aに物品が置載された時には当該物品の重量に応じてステージスプリング36が圧縮されることにより、下方向へ移動するようになされている。
【0051】
具体的にステージスプリング36は、ステージ33の上面33Aに何も置載されていないときに、当該上面33Aと受け止め部41の対向面42との間を微小な距離nだけ隔てる一方、ステージ33の上面33Aに紙幣BLが置載されたときに、当該紙幣BLの重量に応じて、当該紙幣BLが平坦である場合の厚さに相当する長さだけ圧縮されるようになされている。
【0052】
そのうえ筐体21の
前側面21Eにおける取込孔23の下方には、受け止め部41が形成されている。受け止め部41は、
前側面21Eにおける取込孔23近傍(すなわち上側)の一部分がその下方部分よりも距離mだけ後方に突出した形状となっている。換言すれば、
前側面21Eには、下側部分が前方向へ陥没したことによる段差として、受け止め部41が設けられている。
【0053】
受け止め部41は、ステージ33の上面と対向する対向面42と、当該対向面42から上方へ向けて徐々に湾曲する湾曲面43と、当該湾曲面43と取込孔23との間を結ぶ前側面44とを有している。
【0054】
このため紙幣収納庫9は、ステージ33の上面33A上に集積され
前側面21Eに当接する紙幣BLを、当該上面33Aと受け止め部41の対向面42との間に挟み込むことができる。
【0055】
因みに
前側面21Eにおける距離mについては、ステージ33の上面33Aと受け止め部41の対向面42との間に挟み込んだ紙幣BLに対し、当該上面33A及び対向面42から動かない程度の摩擦力を加えられる程度の長さにすれば良い。
【0056】
具体的に、集積する紙幣BLにおける短手方向の長さが1種類のときには、距離mを例えば10[mm]とすれば良い。また集積する紙幣BLにおける短手方向の長さが複数種類のときには、短手方向に最も長い紙幣BLと最も短い紙幣BLとにおける短手方向の長さの差分値に10[mm]を加算した値を距離mとすれば良い。
【0057】
また受け止め部41の対向面42及び湾曲面43は、左右の側面から見て、羽根車26における羽根26Aの先端部分(最外周部分)の回転軌跡Lよりも回転中心寄りの位置に形成されている。このため、回転する羽根車26の羽根26Aが紙幣BLを前方へ引き込んだ場合、当該紙幣BLの前側端部が受け止め部41の湾曲面43又は前側面21Eに当接することになる。
【0058】
因みに受け止め部41は、対向面42及び湾曲面43及び前側面44のうち、羽根車26の羽根26Aが回転時に通過する部分を空けるよう所定形状の孔が形成されている。これにより受け止め部41は、羽根26Aと干渉することなく羽根車26を回転させることができる。
【0059】
さらに受け止め部41の対向面42及び湾曲面43は、その表面が滑らかに仕上げられており、これにより紙幣BLとの間の摩擦抵抗を低く抑えるようになされている。
【0060】
このように紙幣収納庫9は、従来の紙幣収納庫309(
図25)と同様の構成に加え、前側面21Eの上側部分が後方へ向けて空間22内に突出してなる受け止め部41が設けられている。
【0061】
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣収納庫9は、搬送路7(
図2)から紙幣BLが搬送されてくると、軸27と共に集積ローラ25及び羽根車26を所定の回転速度で矢印F方向に回転させると共に、当該紙幣BLを取込孔23から取り込む。
【0062】
このとき紙幣収納庫9は、取込孔23内においてプレッシャローラ28及び集積ローラ25の間に紙幣BLを挟み込み、当該プレッシャローラ28により当該紙幣BLを集積ローラ25に押し付ける。
【0063】
集積ローラ25は、軸27と共に回転されることにより、その回転駆動力を紙幣BLに伝達し、当該紙幣BLを後方向へ進行させて空間22内へ放出する。このとき羽根車26の羽根26Aは、紙幣BLに押し当てられることにより弾性変形し、集積ローラ25と共に紙幣BLを後方向へ進行させる。その後紙幣BLは、空間22内を後方へ進行し、ビルストッパ31に衝突する。
【0064】
ビルストッパ31は、紙幣BLの衝突により後方へ回動すると共にビルストッパスプリング32を圧縮させることにより当該紙幣BLの運動エネルギーを吸収し、さらに当該ビルストッパスプリング32の復元力により紙幣BLを前方に押し返す。
【0065】
回転している羽根車26は、空間22のうち取込孔23の近傍である近傍空間22Aにおいて、羽根26Aにより紙幣BLの前側端部近傍を下方向へ叩き付け、
図5に示すように、当該紙幣BLをステージ33の上面33Aに落とす。
【0066】
続いて羽根車26は、羽根26Aを紙幣BLの前側端部近傍に当接させたまま矢印F方向へ回転することにより、当該羽根26Aを弾性変形させると共にその摩擦力によりステージ33上における最上面の紙幣BLを矢印G方向(すなわち前方向)へ移動させ、当該紙幣BLの前側端部を筐体21の前側面21Eに当接させる。
【0067】
因みに最上面の紙幣BLが前側面21Eに当接した場合、当該紙幣BLが前方向へこれ以上移動しないことから、羽根車26の羽根26Aは、当該紙幣BL上で滑り続けることになる。
【0068】
このように紙幣収納庫9は、紙幣BLを空間22内へ放出してビルストッパ31に衝突させた後、当該紙幣BLの前側端部近傍を羽根車26の羽根26Aにより下方向へ叩き付けると共に、前方向へ移動させて前端部を筐体21の前側面21Eに当接させるようになされている。
【0069】
その後紙幣収納庫9は、順次搬送されてくる紙幣BLについて同様の処理を繰り返すことにより、
図6に示すように、ステージ33上に紙幣BLを前側面21Eに寄せるよう積み重ねた状態となる。ステージ33は、上面33A上に積み重ねられた集積済紙幣CBLの重量に応じてステージスプリング
36を圧縮させるため、
図3の高さよりも下降する。
【0070】
ここで
図6は、集積済紙幣CBLに折り癖や皺等を有する厚紙幣TBLが含まれる場合を表しており、当該厚紙幣TBLが含まれず平坦な紙幣BLのみを集積した場合と比較して、当該集積済紙幣CBLの後側部分が高くなっている。
【0071】
一方、集積済紙幣CBLの前側部分は、その上面が受け止め部41の対向面42と当接しており、当該対向面42とステージ33の上面33Aとの間に挟まれることにより、平坦な紙幣BLのみを集積した場合と同程度まで圧縮されたような状態となる。
【0072】
ここで新たな紙幣BLが搬送されてくると、当該紙幣BLは集積ローラ25等により近傍空間22Aへ放出される。近傍空間22Aに放出された紙幣BLは、ビルストッパ31に衝突した後、羽根車26の羽根26Aにより下方向、すなわち既存の
集積済紙幣CBLの上に叩き付けられる。
【0073】
紙幣BLは、集積済紙幣CBLの上面(すなわち他の紙幣BL)との間の摩擦力よりも、羽根車26の羽根26Aとの間の摩擦力の方が大きいため、当該羽根26Aにより矢印G方向へ移動される。
【0074】
このとき紙幣BLは、前端部分が受け止め部41の湾曲面43に衝突した後、当該湾曲面43に沿って当該湾曲面43と集積済紙幣CBLとの隙間へ突入していく。さらに紙幣BLは、前端部分が湾曲面43から続く対向面42と集積済紙幣CBLとの間へ潜り込んでいくように前方向へ移動し続け、前端部分が前側面21Eに当接した段階で停止する。この結果、紙幣BLは、集積済紙幣CBLに追加されることになる。
【0075】
このように紙幣収納庫9は、空間22内へ放出される紙幣BLを受け止め部41の対向面42の下へ潜り込ませることができるので、近傍空間22Aを常に空けておくことができる。
【0076】
これにより紙幣収納庫9は、新たに搬送されてきた紙幣BLを既存の紙幣BLに衝突させることなく当該近傍空間22Aへ放出して既存の集積済紙幣CBLに重ねて追加することができ、結果的に紙幣BLを順次適切に集積していくことができる。
【0077】
因みに、紙幣収納庫9に集積された紙幣BLについては、所定の保守作業等において、筐体21に設けられた開閉扉(図示せず)を開放して取り出すようになされている。
【0078】
以上の構成によれば、現金自動預払機1の紙幣収納庫9は、空間22内に放出した紙幣BLを羽根車26により下方に叩き付け、さらに当該羽根車26によって前方へ引き込むことにより、当該紙幣BLの先端部分を集積済紙幣CBLの最上面と受け止め部41の対向面42との間に潜り込ませる。これにより紙幣収納庫9は、集積済紙幣CBLの前側部分を常にステージ33の上面33Aと受け止め部41の対向面42との間に挟み込み、これに伴い近傍空間22Aを常に空けた状態を維持することができるので、新たに搬送されてきた紙幣BLを集積済紙幣CBLに衝突させることなく当該近傍空間22Aへ放出させて当該集積済紙幣CBLに順次追加していくことができる。
【0079】
[1−4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、受け止め部41における対向面42と前側面44との間を湾曲した湾曲面43により繋ぐようにした場合について述べた。
【0080】
しかしながら本発明はこれに限らず、対向面42と前側面44との間を、例えば
図7に示すような受け止め部51における平面状の斜面53など、種々の形状の面により繋ぐようにしても良い。また
図8に示すように、受け止め部61において、湾曲面43及び対向面42の一部を切り欠くと共に円柱状の引込ローラ63を1個又は2個以上設け、当該引込ローラ63を左右方向に沿った回転軸64を中心に自在に回転させるようにしても良い。この場合、紙幣BLの移動に伴って引込ローラ63が回転されることにより、紙幣BLと湾曲面43及び対向面42との摩擦を大幅に低減することができる。要は、羽根車26の羽根26Aにより前方向へ引き込まれる紙幣BLを受け止め部41において対向面42の下方へ滑らかに引き込むことができれば良い。
【0081】
また上述した第1の実施の形態においては、羽根車26を可撓性を有しある程度の摩擦力を有する材料により構成するようにした場合について述べた。
【0082】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図9に示すように、羽根車76の羽根76Aの先端における、回転時に進行面となる側に摩擦力を高める高摩擦部材76Bを設けるようにしても良い。これにより羽根車76は、羽根76Aにより紙幣BLを下方向へ叩き付けた後に前方向へ確実に移動させてその前側端部を前側面21Eに当接させることができる。
【0083】
さらに上述した第1の実施の形態においては、叩き付け部としての羽根車26を、円柱状でなる中心部分の外周面から外方へ向けて、矩形板状でなる羽根26Aが放射状に8枚延設された構成とする場合について述べた。
【0084】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば羽根の形状を楕円状や菱形状、台形状等の種々の形状としても良く、或いは羽根の根本及び先端の双方を中心部分に固定することによりループ状としても良い。また羽根は平板状に限らず、湾曲し、或いはねじれを有していても良く、その厚さも均一でなくとも良い。或いは、各羽根が回転軸に沿った方向に複数枚に分割されていても良い。
【0085】
また中心部分からの羽根の延長方向については、回転中心軸から放射方向へ延びる構成に限らず、例えば中心部分との接続箇所において回転方向又はその反対方向に傾斜させても良く、或いは羽根の全体又は一部分を回転方向又はその反対方向に向けて湾曲させても良い。
【0086】
さらに羽根の枚数については、8枚とする場合に限らず、1枚以上の任意の枚数としても良い。また羽根車については、1の羽根車に複数種類の羽根を混在させても良く、さらには互いに異なる種類の羽根を有する羽根車同士(すなわち異なる種類の羽根車同士)を1本の軸27上に混在させるようにしても良い。すなわち羽根車としては、軸27を中心に回転されることにより空間22内において紙幣BLをステージ33の方向(下方向)へ叩き付けることができるような羽根が1枚以上設けられていれば良い。
【0087】
さらに上述した第1の実施の形態においては、左右方向に沿った軸27に4個の羽根車26と3個の集積ローラ25を交互に設けるようにした場合について述べた(
図4)。
【0088】
しかしながら本発明はこれに限らず、1個以上の任意数の羽根車26と1個以上の任意数の集積ローラ25を軸27に設けるようにしても良く、軸27上における羽根車26及び集積ローラ25の順序や位置についても、紙幣BLの通過経路との関係等を基に任意に定めるようにしても良い。
【0089】
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態による現金自動預払機101(
図1、
図2)は、第1の実施の形態と比較して、紙幣収納庫9に変わる紙幣収納庫109を有している点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0090】
[2−1.紙幣収納庫の構成]
紙幣収納庫109は、
図3との対応部分に同一符号を付した
図10に示すように、第1の実施の形態による紙幣収納庫9(
図3)と比較して、受け止め部41に代わる受け止め部141を有すると共にプーリ125を有する点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0091】
プーリ125は、集積ローラ25よりも外径が小さく扁平な円柱状に構成されると共に、その外周面に当該円柱の中心軸とほぼ平行な所定の溝が形成されている。このプーリ125は、
図4と対応する
図11に示すように、集積ローラ25及び羽根車26の間に位置する3箇所に、軸27により左右に貫通されるように設けられている。
【0092】
このためプーリ125は、軸27が矢印F方向に回転されることにより、集積ローラ25及び羽根車26と同様に矢印F方向に回転する。
【0093】
受け止め部141は、
図10に示したように、第1の実施の形態と同様の対向面42、湾曲面43及び前側面44に加えて、引込ローラ142、軸143及びタイミングベルト144を有している。
【0094】
引込ローラ142は、プーリ125と同様に、扁平な円柱状に構成されると共にその外周面に溝が形成されている。この引込ローラ142は、左右方向に沿った軸143により中心部分を貫通されているため、外部から周方向に力が加えられると、当該軸143を中心に回転する。
【0095】
タイミングベルト144は、樹脂等の可撓性のある材料を円環状に形成したものであり、その外周面がほぼ平坦に形成される一方、その内周面にはプーリ125の外周面と対応する溝が刻まれている。
【0096】
このタイミングベルト144は、プーリ125と引込ローラ142との間に所定の張力が生じる状態で掛け渡されており、当該引込ローラ142に掛け渡された部分において、その一部が当該引込ローラ142の最外周よりも外側へはみ出ると共に、湾曲面43よりも後方ないし下方へ、すなわち空間22側へ突出するようになされている。
【0097】
因みに湾曲面43には、当該タイミングベルト144を空間22側に露出させると共に当該タイミングベルト144との干渉を回避するような所定形状の孔が穿設されている。
【0098】
かくして紙幣収納庫109は、軸27に貫通されている集積ローラ25及び羽根車26と共にプーリ125を矢印F方向へ回転させることにより、当該プーリ125の回転力をタイミングベルト144に伝達し、当該タイミングベルト144を
引込ローラ142との間で矢印H方向へ走行させる。
【0099】
このときタイミングベルト144は、湾曲面43の近傍における空間22側に突出した部分において、矢印G方向に沿って、すなわち当該湾曲面43の後方から下方へ向けて走行する。
【0100】
このように紙幣収納庫109は、集積ローラ25及び羽根車26を回転させる回転力をタイミングベルト144に伝達すると共に、湾曲面43の近傍において、当該タイミングベルト144を空間22側へ突出させ後方から下方へ向けて走行させるようになされている。
【0101】
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣収納庫109は、第1の実施の形態による紙幣収納庫109の場合と同様、搬送路7(
図2)から紙幣BLが搬送されてくると、軸27と共に集積ローラ25及び羽根車26を所定の回転速度で矢印F方向に回転させると共に、当該紙幣BLを取込孔23から取り込む。
【0102】
このとき紙幣収納庫9は、第1の実施の形態と同様に、紙幣BLを空間22内へ放出してビルストッパ31に衝突させた後、近傍空間22Aにおいて、羽根26Aにより紙幣BLの前側端部近傍を下方向へ叩き付け、当該紙幣BLをステージ33の上面33Aに落とす。
【0103】
続いて羽根車26は、羽根26Aを紙幣BLの前側端部近傍に当接させたまま矢印F方向へ回転してその摩擦力によりステージ33上における最上面の紙幣BLを矢印G方向(すなわち前方向)へ移動させ、
図5と対応する
図12に示すように、当該紙幣BLの前側端部を筐体21の前側面21Eに当接させる。
【0104】
このとき紙幣BLは、受け止め部41の対向面42とステージ33の上面33Aとの隙間に入り込むため、湾曲面43から露出しているタイミングベルト144とは当接しない。
【0105】
その後紙幣収納庫109は、順次搬送されてくる紙幣BLについて同様の処理を繰り返すことにより、
図6と対応する
図13に示すように、ステージ33上に紙幣BLを前側面21Eに寄せるよう積み重ねた状態となる。
【0106】
ここで
図13は、
図6と同様に集積済紙幣CBLに折り癖や皺等を有する厚紙幣TBLが含まれる場合を表しており、当該厚紙幣TBLが含まれず平坦な紙幣BLのみを集積した場合と比較して、当該集積済紙幣CBLの後側部分が高くなっている。
【0107】
一方、集積済紙幣CBLの前側部分は、その上面が受け止め部141の対向面42及び湾曲面43から露出したタイミングベルト144と当接しており、当該対向面42及びタイミングベルト144とステージ33の上面33Aとの間に挟まれて圧縮された状態となる。
【0108】
このときタイミングベルト144には集積済紙幣CBLからの上向きの力N1が加えられ、その反力として集積済紙幣CBLの最上面にはタイミングベルト144からの下向きの力N2が加えられる。
【0109】
すなわち空間22内では、第1の実施の形態と同様に近傍空間22Aを常に空けておくことができるので、新たに搬送されてきた紙幣BLを既存の紙幣BLに衝突させることなく当該近傍空間22Aへ放出させることができる。
【0110】
近傍空間22Aに放出された紙幣BLは、他の紙幣BLと同様、ビルストッパ31に衝突し、羽根車26の羽根26Aにより下方向、すなわち既存の
集積済紙幣CBLの上に叩き付けられる。
【0111】
ここで、紙幣BLと羽根車26の羽根26Aとの間に作用する摩擦力は、当該紙幣BLと集積済紙幣CBLの上面(すなわち他の紙幣BL)との間に作用する摩擦力よりも大きい。
【0112】
このため紙幣BLは、回転する羽根車26の羽根26Aにより前方向へ移動され、前端部分が受け止め部141の湾曲面43から突出したタイミングベルト144に当接する。
【0113】
タイミングベルト144は、矢印H方向に走行しており、また紙幣BLの前端部分との間で摩擦力を作用させるため、その走行経路に沿って、当該紙幣BLの前端部分を矢印H方向(すなわち前方向)へ引き込む。
【0114】
ここで、タイミングベルト144からの下向きの力N2により当該タイミングベルト144と紙幣BLとの間に生じる摩擦力は、集積済紙幣CBLからの上向きの力によりその上面と紙幣BLとの間に生じる摩擦力よりも大きい。
【0115】
このため紙幣BLは、走行するタイミングベルト144の摩擦力により前方向へ進行し、対向面42と集積済紙幣CBLとの隙間へ割り込むように進行して、前端部分が前側面21Eに当接した段階で停止する。この結果、当該紙幣BLは集積済紙幣CBLに追加されたことになる。
【0116】
因みに最上面の紙幣BLが前側面21Eに当接した場合、当該紙幣BLが前方向へこれ以上移動しないことから、タイミングベルト144は、当該紙幣BL上で滑り続けることになる。
【0117】
このように紙幣収納庫109は、第1の実施の形態と同様、空間22内へ放出される紙幣BLを受け止め部141の対向面42の下へ潜り込ませることができるので、近傍空間22Aを常に空けておくことができる。
【0118】
特にこの第2の実施の形態では、集積済紙幣CBLからの上向きの力N1に対する反力である下向きの力N2により、タイミングベルト144と紙幣BLとの間で強力な摩擦力を発生させることができる。このため紙幣収納庫109は、第1の実施の形態のように羽根車26のみによる場合よりも強力に紙幣BLを前方向へ進行させることができるので、当該紙幣BLの前端を前側面21Eに確実に当接させることができる。
【0119】
かくして紙幣収納庫109は、第1の実施の形態と同様、新たに搬送されてきた紙幣BLを既存の紙幣BLに衝突させることなく近傍空間22Aへ放出して既存の集積済紙幣CBLに重ねて追加することができ、結果的に紙幣BLを順次適切に集積していくことができる。
【0120】
以上の構成によれば、現金自動預払機101の紙幣収納庫109は、空間22内に放出した紙幣BLを羽根車26により下方に叩き付け、さらにタイミングベルト144によって前方へ引き込むことにより、当該紙幣BLの先端部分を集積済紙幣CBLの最上面と受け止め部41の対向面42との間に潜り込ませる。これにより紙幣収納庫109は、集積済紙幣CBLの前側部分を常にステージ33の上面33Aと受け止め部141の対向面42との間に挟み込み、これに伴い近傍空間22Aを常に空けた状態を維持することができるので、新たに搬送されてきた紙幣BLを集積済紙幣CBLに衝突させることなく当該近傍空間22Aへ放出させて当該集積済紙幣CBLに順次追加していくことができる。
【0121】
[2−3.他の実施の形態]
なお上述した第2の実施の形態においては、受け止め部141においてプーリ125と引込ローラ142との間にタイミングベルト144を掛け渡し、湾曲面43から空間22内へ露出した当該タイミングベルト144により紙幣BLを前方向へ引き込むようにした場合について述べた。
【0122】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図14に示すように、受け止め部141に代わる受け止め部151を設けても良い。受け止め部151は、ギア152を軸27が貫通しており、当該軸27と共にギア152が回転する。ギア152は、順次歯合するギア153及びギア154を介して引込ローラ155に回転力を伝達することにより、当該引込ローラ155を矢印H方向に回転させる。引込ローラ155は、その外周面の全部又は一部に高摩擦材料が設けられており、タイミングベルト144と同様、紙幣BLとの間で十分な摩擦力を発生させるようになされている。
【0123】
このように受け止め部151は、タイミングベルト144に代えて複数のギアの組み合わせにより動力を伝達し、また回転する引込ローラ155が紙幣BLと当接し摩擦力を発生させることにより、紙幣BLを前方向へ引き込むことができる。
【0124】
因みに
引込ローラ155の回転速度については、ギア152、153及び154におけるギア比を適宜設定することにより、軸27の回転速度と比較して高速化又は低速化するようにしても良い。
【0125】
さらにこの場合、引込ローラ155に代えて、
図15に示すように、羽根車26と同様に可撓性を有する平板状の羽根161Aを複数放射状に設けた引込ローラ161を用いても良い。この引込ローラ161を用いた場合、紙幣BLが湾曲面43から多少離れた箇所に位置していたとしても、羽根161Aが当該紙幣BLの前端近傍に到達すれば、当該紙幣BLを前方向に引き込むことができる。
【0126】
また上述した第2の実施の形態においては、引込ローラ142の回転軸となる軸143を固定するようにした場合について述べた。
【0127】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図16に示すように、受け止め部171において、軸143を前斜め下方向又はその反対方向へ移動し得るようにし、コイルばね172により当該軸143と共に引込ローラ142及びタイミングベルト144を矢印H方向に付勢するようにしても良い。
【0128】
この受け止め部171は、タイミングベルト144に加えられる集積済紙幣CBLからの上向きの力に応じて軸143、引込ローラ142及びタイミングベルト144を後斜め上方向へ移動させ、当該上向きの力がある閾値以上となったときにタイミングベルト144を湾曲面43の内部へ退避させることができる。
【0129】
さらに上述した第2の実施の形態においては、プーリ125の外周面に回転中心軸とほぼ平行な溝を形成し、タイミングベルト144の内周面にこれと対応する溝を形成するようにした場合について述べた。
【0130】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図17に示す受け止め部181のように、内周面及び外周面に歯を有するタイミングベルト184を用い、プーリ125及び引込ローラ142にこの歯と対応する溝を設けるようにしても良い。
【0131】
この受け止め部181では、タイミングベルト184の外周面に形成された歯により紙幣BLとの摩擦力を高めることができ、当該紙幣BLをより強力に前方向へ引き込むことができる。
【0132】
或いは、例えばプーリ125とタイミングベルト144との間に十分な摩擦力を確保できる場合等に、プーリ125の外周面及びタイミングベルト144の内周面のいずれからも溝を省略してそれぞれ平坦に形成するようにしても良い。
【0133】
さらに上述した第2の実施の形態においては、
図11に示したように、軸27上にプーリ125を3箇所に設け、当該プーリ125とそれぞれ対応するように3組の引込ローラ142及びタイミングベルト144を設けるようにした場合について述べた。
【0134】
本発明はこれに限らず、軸27上における任意の1箇所以上にプーリ125を設け、当該プーリ125と対応する箇所に、当該プーリ125と同組数の引込ローラ142及びタイミングベルト144を設けるようにしても良い。
【0135】
さらに上述した第2の実施の形態においては、受け止め部141の対向面42及びタイミングベルト144により集積済紙幣CBLからの上向きの力N1を受け止め、ステージ33の上面33Aとの間に当該集積済紙幣CBLを挟み込むようにした場合について述べた。
【0136】
本発明はこれに限らず、例えば対向面42を省略し、タイミングベルト144のみにより集積済紙幣CBLからの上向きの力N1を受け止め、当該タイミングベルト144とステージ33の上面33Aとの間に当該集積済紙幣CBLを挟み込むようにしても良い。
【0137】
[3.第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態による現金自動預払機201(
図1、
図2)は、第1の実施の形態と比較して、紙幣収納庫9に変わる紙幣収納庫209を有している点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0138】
[3−1.紙幣収納庫の構成]
紙幣収納庫209は、
図3との対応部分に同一符号を付した
図18に示すように、第1の実施の形態による紙幣収納庫9(
図3)と比較して、受け止め部41に代わる受け止め部241を有すると共にビルプレス245を有する点が相違する。
【0139】
また紙幣収納庫209では、紙幣収納庫9と比較して、筐体221の内側における前側面221Eに受け止め部41のような段差が設けられておらず、ほぼ平坦に形成されている点が異なるものの、他の点については同様に構成されている。
【0140】
受け止め部241は、レバー242、軸243及びレバースプリング244により構成されており、
図19に平面図を示すように、左右方向に所定間隔を空けて3箇所に設けられている。
【0141】
レバー242は、筐体221の内側における前側面221Eよりも前側に位置し左右方向に沿った中心軸を有する円筒状の基部242Aを中心に構成されており、当該基部242Aを左右方向に貫通する軸孔242Bを有している。
【0142】
またレバー242は、基部242Aから後方へ向けて空間22内まで至るよう突設された対向部242Cを有している。この対向部242Cは、下面が平坦に形成されると共に、上面には後方へ進むにつれて低くなるような傾斜が設けられており(
図18)、また上下方向への投影形状が長方形となっている(
図19)。
【0143】
軸243は、左右方向に沿った中心軸を有する細長い円柱状に構成されており、レバー242の軸孔242Bを貫通している。また筐体221の前側面221Eには、当該レバー242に応じた孔が形成されている。このためレバー242は、当該軸243を回動中心として矢印J方向又はその反対方向へ回動し得るようになされている。
【0144】
因みにレバー242は、図示しない規制部材により、対向部242Cが後方を向いた自然状態(
図18)からは、矢印J方向へのみ回動し、その反対方向へは回動しないようになされている。
【0145】
レバースプリング244は、ねじりコイルばねでなり、コイル状の部分が軸243に貫通され、当該コイル状の部分から延設されている延長部分の一方がレバー242の対向部242Cに固定されると共に他方が筐体
221に固定されている。
【0146】
このためレバー242は、何ら外力が加わらないときには、レバースプリング244が自然状態となり、
図18に示したように対向部242Cを後方へ向けた状態で静止する。
【0147】
またレバー242は、対向部242Cに対し下方へ向かう外力が加わったときには、
図20に示すように、レバースプリング244が弾性変形することにより軸243を中心として矢印J方向へ回動し、当該対向部
242Cが前側面221Eよりも前側へ押し込まれた状態となる。
【0148】
一方レバー242は、この外力が解放されると、レバースプリング244の復元力により軸243を中心として矢印Jと反対の方向へ回動し、対向部
242Cを後方へ向けて前側面221Eから突出させた状態(
図18)に復帰する。
【0149】
ビルプレス245は、全体として矩形平板状に構成されており、前後方向及び左右方向の長さがそれぞれ紙幣BLの短辺及び長辺よりも長くなっている。またビルプレス245の前側には、
図19に示したように、レバー242と対応する3箇所に切り欠きが形成されている。
【0150】
ビルプレス245の左右には、取付部材246を介して上下に2個のローラ247がそれぞれ取り付けられている。ローラ247は、ステージ33のローラ35と同様、それぞれ左右方向を回転軸として自在に回転すると共に、筐体21における左右のステージ溝24にそれぞれ嵌るようになされている。
【0151】
このためビルプレス245は、ステージ33と同様、ステージ溝24に沿って上下方向へ滑らかに移動することができる。因みにビルプレス245は、図示しない駆動機構により、空間22内の最上部からステージ33までの間を下方向又は上方向へ移動するようになされている。
【0152】
すなわちビルプレス245は、空間22内の最上部に位置しているときには、空間22内に放出される紙幣BLとの干渉を回避し、下方向に移動されたときにはステージ33との間に紙幣BL及び集積済紙幣CBLを挟み込むようになされている。
【0153】
このように紙幣収納庫209は、筐体221の前側面221Eから後方へレバー242を突出させると共に外力に応じて当該レバー242を回動させ前側面221Eよりも前方へ押し込む受け止め部241と、上下方向に移動するビルプレス245とを有している。
【0154】
[3−2.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による紙幣収納庫209は、制御部8(
図2)の制御に基づき、搬送路から搬送されてくる紙幣BLを内部に取り込む搬送動作モードと、集積済紙幣CBLの高さを圧縮する圧縮動作モードとを適宜切り換えることにより、紙幣BLを順次集積していくようになされている。
【0155】
まず紙幣収納庫209は、動作モードを搬送動作モードに切り換え、ビルプレス245を空間22内の最上部近傍に位置させると共にレバー242を対向部242Cが後方へ向いた自然状態として、搬送路からの紙幣BLの供給を受ける。
【0156】
このとき紙幣収納庫209は、第1及び第2の実施の形態と同様に、紙幣BLを空間22内へ放出してビルストッパ31に衝突させた後、近傍空間22Aにおいて、羽根26Aにより紙幣BLの前側端部近傍を下方向へ叩き付け、当該紙幣BLをステージ33の上面33A又は集積済紙幣CBLの上面に落とす。
【0157】
ここで最初に搬送されてきた紙幣BLは、
図21に示すように、その前端近傍がレバー242の上側に載った状態となる。因みに
図21は、既にある程度の量の紙幣BLを集積した状態、すなわちステージ33の上面33A上に集積済紙幣CBLが置載され、当該集積済紙幣CBLの前側部分が当該ステージ33の上面33Aとレバー242の対向部242Cとの間に挟まれた状態を表している。
【0158】
その後に搬送されてきた紙幣BLは、最初の紙幣BLの上に重なった状態、すなわちいずれの紙幣BLもレバー242の上側に載った状態となる。以下、レバー242の上側に重なっている全ての紙幣BLをまとめて追加紙幣ABLと呼ぶ。
【0159】
すなわちステージ33の上面33Aに置載された紙幣は、レバー242により下側の集積済紙幣CBLと上側の追加紙幣ABLとに分離された状態となっている。
【0160】
その後紙幣収納庫209は、所定の切換条件を満たしたときに、動作モードを圧縮動作モードに切り換える。因みに切換条件としては、例えば搬送動作モードに切り換えてから所定枚数の紙幣BLを内部に取り込み終えること、或いは最後に紙幣BLが搬送されてから所定時間が経過したこと、さらにはその組み合わせ等を利用することができる。
【0161】
この圧縮動作モードにおいて紙幣収納庫209は、まずビルプレス245を下方向へ移動させる。
【0162】
ビルプレス245は、追加紙幣ABL及び集積済紙幣CBLをステージ33側に押し付けてその高さを圧縮していくと共に、当該ステージ33を支持するステージスプリング236も徐々に圧縮させていく。
【0163】
すなわちビルプレス245は、追加紙幣ABL、集積済紙幣CBL及びステージ33を一体として空間22内を徐々に下降させていく。
【0164】
このとき追加紙幣ABLは、ビルプレス245からの下方向へ向かう力をレバー242の上面に加えることになり、
図22に示すように、レバースプリング244を弾性変形させながら、当該レバー242を矢印J方向に回動させていく。
【0165】
その後ビルプレス245は、下方向への移動を継続することにより、追加紙幣ABLを介してレバー242を矢印J方向に回動させ続け、
図20に示したように前側面221Eよりも前側に押し込む。
【0166】
さらにビルプレス245は、下方向への移動を継続することにより、
図23に示すように、レバー242よりも下側まで移動する。このときレバー242は、矢印J方向への力が加わらなくなるため、レバースプリング244の復元作用により矢印Jと反対の矢印K方向へ回動し、対向部242Cが後方を向いた自然状態に復帰する。
【0167】
またレバー242は、追加紙幣ABLと集積済紙幣CBLとの間から抜けるため、当該追加紙幣ABLと当該集積済紙幣CBLとの分離を解消して両紙幣BLを一体化させることになる。すなわち、追加紙幣ABLは集積済紙幣CBLに追加されたことになる。以下、一体化された紙幣BLの束を新たな集積済紙幣CBLとする。
【0168】
その後ビルプレス245は、下方向への移動を中止し、今度は上方向へ移動する。このときステージ33は、集積済紙幣CBLを介して加えられていた下方向への力が徐々に弱まりステージスプリング236が徐々に復元するため、上方向へ移動していく。
【0169】
ビルプレス245は、上方向への移動中にレバー242の高さまで到達すると、切り欠きが形成されていることにより(
図19)、当該レバー242と干渉することなくすれ違う。
【0170】
このとき集積済紙幣CBLは、前側端部の上面がレバー242における対向部242Cの下面に当接することにより、ステージスプリング236の復元力によるステージ33の上昇を停止させる。すなわち追加紙幣ABLが追加された新たな集積済紙幣CBLは、レバー242の対向部242Cとステージ33の上面33Aとの間に挟まれることになる。
【0171】
さらにビルプレス245は、上方向への移動を継続し、最上部へ到達した段階で停止する。その後紙幣収納庫209は、動作モードを再び搬送動作モードに切り換え、新たな紙幣BLの搬送を待ち受ける。
【0172】
これにより紙幣収納庫209では、集積済紙幣CBLにおける前側端部以外の中ほどや後側において、上側から下方向へ向かう力が加わらなくなるため、厚紙幣TBLの折り癖や皺の作用により上側へ膨らむ。
【0173】
しかしながら紙幣収納庫209では、集積済紙幣CBLにおける前側端部をレバー242によりステージ33の上面33Aとの間に挟んでいるため、近傍空間22Aを空けておくことができる。
【0174】
このように紙幣収納庫209は、搬送動作モードにおいて新たに取り込んだ紙幣BLを圧縮動作モードにおいてビルプレス245によりレバー242の下側に押し下げて既存の集積済紙幣CBLに追加していくことにより、近傍空間22Aを空けた状態に保つことができる。
【0175】
かくして紙幣収納庫209は、第1及び第2の実施の形態と同様、新たに搬送されてきた紙幣BLを既存の紙幣BLに衝突させることなく近傍空間22Aへ放出して既存の集積済紙幣CBLに重ねることができ、結果的に紙幣BLを順次適切に集積していくことができる。
【0176】
以上の構成によれば、現金自動預払機201の紙幣収納庫209は、搬送動作モードにおいて空間22内に放出した紙幣BLを羽根車26により下方に叩き付けてレバー242の上側に追加紙幣ABLを重ねていく。その後紙幣収納庫209は、圧縮動作モードにおいてビルプレス245によりレバー242を回動させながら追加紙幣ABLをレバー242の下側に押し下げ、当該追加紙幣ABLを既存の集積済紙幣CBLに追加した後、当該レバー242を元の位置に戻す。これにより紙幣収納庫209は、集積済紙幣CBLの前側部分をステージ33の上面33Aと受け止め部241の対向部
242Cとの間に挟み込み、これに伴い近傍空間22Aを常に空けた状態を維持することができるので、新たに搬送されてきた紙幣BLを集積済紙幣CBLに衝突させることなく当該近傍空間22Aへ放出させて当該集積済紙幣CBLに順次追加していくことができる。
【0177】
[3−3.他の実施の形態]
なお上述した第3の実施の形態においては、受け止め部241のレバー242を軸243を中心に回動させることにより、当該レバー242の対向部242Cを前側面221Eよりも前側に押し込むようにした場合について述べた。
【0178】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図24に示すように、受け止め部251において、レバー252を前後方向へ移動し得るように構成し、当該レバー252をレバースプリング254により後方向へ付勢するようにしても良い。このレバー252は、レバー242の対向部242Cと同様、下面が平坦に形成されると共に、上側が後側へ進むにつれて低くなるような傾斜が設けられている。
【0179】
このレバー252は、搬送動作モードにおいては前側面221Eから後方に突出することにより、ステージ33の上面33Aとの間に集積済紙幣CBLの前端部分を挟み込むことができる。またレバー252は、圧縮動作モードにおいてビルプレス245により矢印P方向(すなわち下方向)への力が加わると、斜面により矢印Q方向への力が作用し、一時的に前方向へ押し込まれるため、追加紙幣ABLを下方向へ移動させることができる。
【0180】
また上述した第3の実施の形態においては、ビルプレス245から下方向の力が加えられると、レバースプリング244の弾性作用を利用してレバー242の対向部242Cを一時的に前側面221Eよりも前側に押し込み、この力が解放されると対向部242Cを再び後方へ突出させるようにした場合について述べた。
【0181】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばレバースプリング244を省略し、ビルプレス245を駆動させる駆動機構(図示せず)の駆動力をレバー242に伝達して回動させるようにしても良い。この場合、例えばビルプレス245を下降させる前若しくは下降させる最中にレバー242を矢印J方向に回動させ、当該ビルプレス245の下降後にレバー242を矢印K方向に回動させるようにしても良い。
【0182】
さらに上述した第3の実施の形態においては、筐体221における前側の内部側面である前側面221Eに3個のレバー242を設けるようにした場合について述べた。
【0183】
しかしながら本発明はこれに限らず、1個以上の任意数のレバー242を設けるようにしても良く、またその設置箇所としては前側面221Eに限らず、左右の側面であっても良い。さらに、レバー242については全て同一形状でなくても良く、設置箇所ごとに形状を相違させても良い。この場合、要はレバー242の対向部242Cとステージ33の上面33Aとの間に集積済紙幣CBLを挟むことができ、且つ挟んだ状態で近傍空間22Aを空けておくことができれば良い。
【0184】
またビルプレス245の形状としては、下降時に追加紙幣ABLに対し下方向への力を加えることによりレバー242に当該下方向への力を伝達することができ、且つ上昇時に当該レバー242と干渉しないような形状であれば良い。
【0185】
さらに上述した第1、第2及び第3の実施の形態においては、紙幣貯蔵部6(
図2)において金種別の金券を集積する紙幣収納庫9、109又は209に本発明を適用するようにした場合について述べた。
【0186】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣入出金口12の内部に設ける紙幣集積機構や、取引すべきでないリジェクト紙幣を集積するためのリジェクト紙幣集積庫等に適用するようにしても良い。
【0187】
さらに上述した第1、第2及び第3の実施の形態においては、紙幣収納庫9、109又は209に紙幣BLを排出する機構を設けないようにした場合について述べた。
【0188】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫9、109又は209の前側下部に、集積済紙幣CBLのうち最下層の紙幣BLを順次分離して排出する排出機構を設けるようにしても良い。
【0189】
さらに上述した第1、第2及び第3実施の形態においては、現金を取引する現金自動預払機1の紙幣収納庫9、109又は209において、媒体としての紙幣BLを集積するようにした場合について述べた。
【0190】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を集積する種々の装置に適用するようにしても良い。この場合、媒体の大きさや形状に応じて距離m(
図3)やレバー242の大きさ、設置数及び設置箇所等を適宜定めれば良い。
【0191】
さらに上述した第1、第2及び第3実施の形態においては、放出部としての集積ローラ25と、ステージとしてのステージ33と、受け止め部としての受け止め部41、141又は241と、叩き付け部としての羽根車26と、追加部としての羽根車26、タイミングベルト144又はビルプレス245によって媒体集積装置としての紙幣収納庫9、109又は209を構成する場合について述べた。
【0192】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる放出部と、ステージと、受け止め部と、叩き付け部とによって媒体集積装置を構成するようにしても良い。
【0193】
さらに上述した第1、第2及び第3実施の形態においては、受付部としての接客部3と、搬送部としての
搬送路7と、放出部としての集積ローラ25と、ステージとしてのステージ33と、受け止め部としての受け止め部41、141又は241と、叩き付け部としての羽根車26と、追加部としての羽根車26、タイミングベルト144又はビルプレス245によって媒体集積装置としての紙幣収納庫9、109又は209を構成する場合について述べた。
【0194】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる接客部と、搬送部と、放出部と、ステージと、受け止め部と、叩き付け部とによって媒体集積装置を構成するようにしても良い。