(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、車両の通過方向(例えば直進、右折又は左折)によって減速制御の制御内容を変更することは行われていない。尚、特許文献1ではステアリング角度が正常位置に戻り始めたことを検出した場合に減速制御を終了することについては記載されているが、これは車両の旋回が終了した時点で不要となった減速制御を解除することを目的とした技術であり、車両の通過方向によって減速制御の制御内容自体(例えば、制動力の大きさや目標減速値や減速制御の実施タイミング)を変更するものではない。
【0006】
しかしながら、車両が分岐点で左折する場合と右折する場合とでは、必要な減速制御の制御内容も大きく異なる。例えば、
図10に示すように車両101が進行方向前方にある分岐点102を右折又は左折により通過する場合には、右折する場合に旋回を開始する旋回開始点Xよりも左折する場合に旋回を開始する旋回開始点Yが手前側となる。即ち、車両101が分岐点102を左折する場合には、右折する場合よりも早く旋回を開始する必要がある。従って、車両101が分岐点102を左折する場合には、右折する場合よりも早いタイミングで目標速度まで減速するように減速制御を行う必要がある。ここで、上記特許文献1では車両が右折するか左折するかに関わらず一律な減速制御を行っているので、例えば車両が分岐点を左折する場合において十分に減速がされなかったり、車両が分岐点を右折する場合において必要以上に減速される場合があった。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両が分岐点を通過する場合に、車両の分岐点での通過方向に応じた内容で減速制御を実施することが可能となり、分岐点における運転者の適切な運転支援を行うことを可能にした車両制御装置、車両制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両制御装置(1)は、車両(51)の進行方向前方にある分岐点(52、55、61)に対して減速目標地点を設定する減速目標地点設定手段(13)と、前記車両が前記分岐点を通過する際における前記車両の通過方向を予測する通過方向予測手段(13)と、前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で右折又は左折することが予測される場合に、前記車両が前記減速目標地点に到達するまでに、前記車両の車速が所定の閾値以下となるように前記車両の減速制御を行う車両制御手段(13)と、を有し、前記減速目標地点設定手段は、
前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で右折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記分岐点の中心近傍地点に設定し、前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で左折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記中心近傍地点よりも前記車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定することを特徴とする。
尚、「車両」としては、自動車以外に二輪車等も含む。
また、「進行方向前方」とは、車両が移動する道なりの道路に沿った車両の進行方向前方の範囲としても良いし、経路と関係なく車両の進行方位に対して所定角度以内の範囲としても良い。更に、案内経路が設定されている場合には案内経路に沿った車両の進行方向前方の範囲としても良い。
また、請求項中の「右折」と「左折」は、国毎の交通規則によって適宜変化するものである。即ち、上記請求項は日本やイギリスのように左側通行の国を想定したものであり、アメリカやドイツのように右側通行の国であれば「右折」と「左折」が入れ替わることとなる。
【0010】
また、請求項
2に係る車両制御装置(1)は、請求項
1に記載の車両制御装置であって、前記中心近傍地点は、前記分岐点内のリンク接続点又は分岐点内リンクの中間点であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項
3に係る車両制御装置(1)は、請求項
1又は請求項
2に記載の車両制御装置であって、前記車両(51)が前記分岐点(52、55、61)を左折して通過する場合における前記分岐点からの退出道路である左折退出道路(53)を特定する左折退出道路予測手段(13)と、前記左折退出道路に設けられた車線の内、前記車両の進行方向に対応する対応車線の車線数及び1車線当たりの車線幅を取得する道路情報取得手段と、を有し、前記所定距離は、前記対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅を乗じた値であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項
4に係る車両制御方法は、
減速目標地点設定手段が、車両(51)の進行方向前方にある分岐点(52、55、61)に対して減速目標地点を設定す
るステップと、
通過方向予測手段が、前記車両が前記分岐点を通過する際における前記車両の通過方向を予測す
るステップと、
車両制御手段が、前記通過方向予測
手段によって前記車両が前記分岐点で右折又は左折することが予測される場合に、前記車両が前記減速目標地点に到達するまでに、前記車両の車速が所定の閾値以下となるように前記車両の減速制御を行
うステップと、を有し、前記減速目標地点設定
手段は、
前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で右折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記分岐点の中心近傍地点に設定し、前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で左折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記中心近傍地点よりも前記車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項
5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータ
を、車両(51)の進行方向前方にある分岐点(52、55、61)に対して減速目標地点を設定する減速目標地点設定
手段と、前記車両が前記分岐点を通過する際における前記車両の通過方向を予測する通過方向予測
手段と、前記通過方向予測
手段によって前記車両が前記分岐点で右折又は左折することが予測される場合に、前記車両が前記減速目標地点に到達するまでに、前記車両の車速が所定の閾値以下となるように前記車両の減速制御を行う車両制御
手段と、
して機能させる為のコンピュータプログラムであって、前記減速目標地点設定
手段は、
前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で右折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記分岐点の中心近傍地点に設定し、前記通過方向予測手段によって前記車両が前記分岐点で左折することが予測される場合には、前記減速目標地点を前記中心近傍地点よりも前記車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の車両制御装置によれば、車両の進行方向前方に分岐点があって、該分岐点に対する車両の減速制御を行う場合において、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、車両が分岐点で右折することが予測される場合よりも減速目標地点を車両の進行方向に対して手前側に設定するので、車両が分岐点を通過する場合に、車両の分岐点での通過方向に応じた内容で減速制御を実施することが可能となる。その結果、分岐点における運転者の適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0015】
また、請求項
1に記載の車両制御装置によれば、車両が分岐点で右折することが予測される場合には、減速目標地点を分岐点の中心近傍地点に設定し、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、減速目標地点を中心近傍地点よりも車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定するので、車両が交差点を右折する場合には、旋回を開始する分岐点中心近傍に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。一方、車両が交差点を左折する場合には、旋回を開始する分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0016】
また、請求項
2に記載の車両制御装置によれば、中心近傍地点は、分岐点内のリンク接続点又は分岐点内リンクの中間点であるので、交差点の形状が複雑な形状を有していたとしても、分岐点の中心近傍に対して適切に減速目標地点を設定することが可能となる。
【0017】
また、請求項
3に記載の車両制御装置によれば、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、減速目標地点を中心近傍地点よりも左折退出道路の対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅を乗じた距離だけ手前側に設定するので、車両が交差点を左折する場合には、旋回を開始する分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0018】
また、請求項
4に記載の車両制御方法によれば、車両の進行方向前方に分岐点があって、該分岐点に対する車両の減速制御を行う場合において、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、車両が分岐点で右折することが予測される場合よりも減速目標地点を車両の進行方向に対して手前側に設定するので、車両が分岐点を通過する場合に、車両の分岐点での通過方向に応じた内容で減速制御を実施することが可能となる。その結果、分岐点における運転者の適切な運転支援を行うことが可能となる。
【0019】
更に、請求項
5に記載のコンピュータプログラムによれば、車両の進行方向前方に分岐点があって、該分岐点に対する車両の減速制御を行う場合において、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、車両が分岐点で右折することが予測される場合よりも減速目標地点を車両の進行方向に対して手前側に設定させるので、車両が分岐点を通過する場合に、車両の分岐点での通過方向に応じた内容で減速制御を実施することが可能となる。その結果、分岐点における運転者の適切な運転支援を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る車両制御装置をナビゲーション装置に具体化した第1実施形態及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は第1実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0023】
図1に示すように第1実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。また、ナビゲーション装置1はCAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置1の搭載された車両に対する各種制御を行う車両制御ECU19と双方向通信可能に接続されている。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0026】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、各分岐点に関する分岐点データ34、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0027】
ここで、リンクデータ32としては、例えば、該リンクを識別するリンクID、該リンクの端部に位置するノードを特定する端部ノード情報、該リンクを構成する道路の道路種別、車線数、車線幅等が記憶される。また、ノードデータ33としては、該ノードを識別するノードID、該ノードの位置座標、該ノードがリンクを介して接続される接続先ノードを特定する接続先ノード情報等が記憶される。また、分岐点データ34としては、該分岐点(交差点)を形成するノードを特定する該当ノード情報、該分岐点に接続されるリンク(以下、接続リンクという)を特定する接続リンク情報、分岐点の形状(例えば分岐点に接続されるリンクの本数や接続角度等)を特定する分岐点形状情報等が記憶される。
【0028】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の車両制御処理プログラム(
図2参照)や減速目標地点決定テーブル(
図4)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、減速目標地点設定手段は、車両の進行方向前方にある分岐点に対して減速目標地点を設定する。通過方向予測手段は、車両が分岐点を通過する際における車両の通過方向を予測する。車両制御手段は、車両が分岐点で右折又は左折することが予測される場合に、車両が減速目標地点に到達するまでに、車両の車速が所定の閾値以下となるように車両の減速制御を行う。左折退出道路予測手段は、車両が分岐点を左折して通過する場合における分岐点からの退出道路である左折退出道路を特定する。道路情報取得手段は、左折退出道路に設けられた車線の内、車両の進行方向に対応する対応車線の車線数及び1車線当たりの車線幅を取得する。
【0029】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0030】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、後述のように車両の分岐点に対する減速制御を実行した場合には、その旨を警告する案内について表示する。
【0031】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、後述のように車両の分岐点に対する減速制御を実行した場合には、その旨を警告する案内について表示する。
【0032】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0033】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0034】
また、車両制御ECU19は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の制御を行う電子制御ユニットである。そして、ナビゲーションECU13は、CANを介して車両制御ECU19から取得したデータに基づいて車両状態(例えば、方向指示器の作動状態、アクセル開度等)を取得することが可能である。また、ナビゲーションECU13は、CANを介して車両制御ECU19に対して指示信号を送信することによって、シフトダウンやブレーキの作動を行い、後述のように車両の減速制御を実施する。
【0035】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する車両制御処理プログラムについて
図2に基づき説明する。
図2は第1実施形態に係る車両制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、車両制御処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定間隔で繰り返し実行され、車両の進行方向前方にある分岐点に対する車両の減速制御を行うプログラムである。尚、以下の
図2及び
図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0036】
先ず、車両制御処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ナビゲーション装置1に接続された各種センサや車両制御ECU19から車両に関する各種車両情報を取得する。尚、前記S1で取得する車両情報としては、GPS21により検出した車両の現在位置、ジャイロセンサ24により検出した車両方位、車速センサ22により検出した車両の車速、ナビゲーション装置1で設定されている案内経路、方向指示器の作動状態、アクセル開度等がある。尚、車両の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することとしても良い。
【0037】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した車両情報と地図情報DB31に記憶された地図データとに基づいて、車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば200m以内)に、分岐点があるか否か判定する。尚、「進行方向前方」とは、車両が移動する道なりの道路に沿った車両の進行方向前方の範囲としても良いし、経路と関係なく車両の進行方位に対して所定角度以内の範囲としても良い。更に、案内経路が設定されている場合には案内経路に沿った車両の進行方向前方の範囲としても良い。
【0038】
そして、車両の進行方向前方の所定距離以内に分岐点があると判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方の所定距離以内に分岐点が無いと判定された場合(S2:NO)には、車両に対する減速制御を行うことなく当該車両制御処理プログラムを終了する。
【0039】
S3においてCPU41は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、車両の進行方向前方にあると判定された分岐点(以下、前方分岐点という)における車両の通過方向を予測する。尚、予測される手前分岐点の通過方向としては、例えば、直進、右折、左折があるが、分岐点の形状によっては直角方向以外の角度での右折や左折も含む。また、具体的に手前分岐点の通過方向を予測する方法としては、ナビゲーション装置1に案内経路が設定されている場合には、案内経路に従って車両が走行すると仮定して通過方向を予測する。一方、案内経路が設定されていない場合には、車両が走行する車線の種類(例えば右折専用レーン、左折専用レーン)や方向指示器の作動状態に基づいて通過方向を予測する。
【0040】
次に、S4においてCPU41は、前記S3の予測結果に基づいて、前方分岐点を車両が右折又は左折のいずれかにより通過すると予測されたか否かを判定する。
【0041】
そして、車両が前方分岐点を右折又は左折により通過すると予測された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両が前方分岐点を右折又は左折以外(例えば直進)により通過すると予測された場合(S4:NO)には、車両に対する減速制御を行うことなく当該車両制御処理プログラムを終了する。
【0042】
S5においてCPU41は、後述の減速目標地点設定処理(
図3)を行う。尚、減速目標地点設定処理は、車両の前方分岐点の通過方向と前方分岐点の形状とに基づいて、減速目標地点を設定する処理である。尚、減速目標地点は、車両に対して減速制御を実施する際において、車両がその地点に到達するまでに目標速度(例えば10km/h)への減速を完了することを目標とする地点であり、車両が旋回を開始すると予測される地点が相当する。そして、後述のように車両に対する減速制御を行う際には、車両が減速目標地点に到達するまでに、車速が目標速度以下となるように車両の減速制御を行う(S6〜S8)。
【0043】
次に、S6においてCPU41は、車両に対して減速制御を実施する条件を満たしているか否かを判定する。ここで、車両に対して減速制御を実施する条件としては以下の(A)〜(C)の条件があり、全ての条件を満たした場合に車両に対して減速制御を実施する条件を満たしていると判定する。
(A)減速目標地点で車両の速度を目標速度(例えば10km/h)まで減速する為に必要な減速度が所定減速度(例えば0.1G)以上であること。
(B)現在の車両の速度が目標速度(例えば10km/h)より高速であること。
(C)アクセルがOFFの状態であること。
【0044】
そして、車両に対して減速制御を実施する条件を満たしていると判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、車両に対して減速制御を実施する条件を満たしていないと判定された場合(S6:NO)には、S8へと移行する。
【0045】
S7においてCPU41は、CANを介して車両制御ECU19に対して指示信号を送信することによって、車両の減速制御を実施する。具体的には、シフトダウンによるエンジンブレーキを生じさせたり、ディスクブレーキやドラムブレーキを作動させることによって車に制動力を付与する。また、車両の減速制御を実施している場合には、その旨を案内する表示や音声を、液晶ディスプレイ15やスピーカ16に対して出力することが望ましい。
【0046】
次に、S8においてCPU41は、車両情報と前記S5で設定された減速目標地点とに基づいて、車両が減速目標地点に到達したか否かを判定する。
【0047】
そして、車両が減速目標地点に到達したと判定された場合(S8:YES)には、当該車両制御処理プログラムを終了する。それに対して、車両が減速目標地点に到達していないと判定された場合(S8:NO)には、S6へと戻り、車両に対する減速制御を継続して実施する。
【0048】
次に、前記S5において実行される減速目標地点設定処理のサブ処理について
図3に基づき説明する。
図3は減速目標地点設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0049】
先ず、S11においてCPU41は、車両の進行方向前方にある前方分岐点の形状を、地図情報DB31に記憶された分岐点データ34から取得する。尚、前記S11で取得される前方分岐点の形状としては、分岐点に接続されるリンクの本数や接続角度等がある。
【0050】
次に、S12においてCPU41は、前記S11で取得された前方分岐点の形状に基づいて、前方分岐点が複雑形状を有する分岐点(以下、複雑分岐点という)か否か判定する。尚、本実施形態において複雑分岐点は、交差道路が進行方向毎にリンクを有する大型の道路(即ち、複数のリンクから構成される道路)である分岐点とする。
【0051】
そして、前方分岐点が複雑分岐点であると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、前方分岐点が複雑分岐点でないと判定された場合(S12:NO)には、S14へと移行する。
【0052】
S13においてCPU41は、前方分岐点の形状を“複雑分岐点”と判定する。一方、S14においてCPU41は、前方分岐点の形状を“単純分岐点”と判定する。判定結果はRAM42等に格納する。その後、S15へと移行する。
【0053】
S15においてCPU41は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、車両が前方分岐点を右折して通過するか左折して通過するかを判定する。
【0054】
そして、車両が前方分岐点を右折して通過すると判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、車両が前方分岐点を左折して通過すると判定された場合(S15:NO)には、S17へと移行する。
【0055】
S16においてCPU41は、車両の前方分岐点での通過方向を、“右折”して通過と判定する。一方、S17においてCPU41は、“左折”して通過と判定する。判定結果はRAM42等に格納する。その後、S18へと移行する。
【0056】
S18においてCPU41は、前記S13、S14、S16、S17の判定結果の組み合わせに基づいて、減速目標地点の設置位置を決定する。具体的には、CPU41はS13、S14の前方分岐点の形状の判定結果と、S16、S17の車両の前方分岐点の通過方向の判定結果の組み合わせと、減速目標地点の設置位置と、を対応付けた減速目標地点決定テーブルをROM43等から読み出す。そして、読み出した減速目標地点決定テーブルと前記S13、S14、S16、S17で取得した判定結果の組み合わせとに基づいて、減速目標地点の設置位置を決定する。
【0057】
ここで、
図4は減速目標地点決定テーブルの一例を示した図である。
図4に示すように、減速目標地点決定テーブルでは、S13、S14の前方分岐点の形状の判定結果が“単純分岐点”であって、前記S16、S17の車両の前方分岐点の通過方向が“右折”である場合には、減速目標地点は前方分岐点の中心近傍の地点となるリンク接続点Aに決定される。尚、車両が走行する道路が進行方向毎にリンクを有する大型の道路(即ち、複数のリンクから構成される道路)である場合には、車両の進行方向に対応するリンクのリンク接続点とする。
例えば、
図5に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点52を右折して通過する場合には、前方交差点52のリンク接続点Aに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点52を右折する場合において旋回を開始する地点である前方交差点52の中心近傍付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0058】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S13、S14の前方分岐点の形状の判定結果が“単純分岐点”であって、前記S16、S17の車両の前方分岐点の通過方向が“左折”である場合には、減速目標地点はリンク接続点Aよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Bに決定される。尚、所定距離は、車両が前方分岐点を左折して通過する場合における前方分岐点からの退出道路(以下、左折退出道路という)に設けられた車線の内、車両の進行方向に対応する車線(以下、対応車線という)の車線数に1車線当たりの車線幅(例えば3m)を乗じた距離とする。尚、車線幅は固定値としても良いし、地図情報DB31のリンクデータ32から取得する構成としても良い。
例えば、
図5に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点52を左折して通過する場合には、前方交差点52のリンク接続点Aから、左折退出道路53の対応車線の車線数(
図5では1車線)に1車線当たりの車線幅を乗じた距離だけ手前側の地点Bに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点52を左折する場合において旋回を開始する地点である分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0059】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S13、S14の前方分岐点の形状の判定結果が“複雑分岐点”であって、前記S16、S17の車両の前方分岐点の通過方向が“右折”である場合には、減速目標地点は前方分岐点の中心近傍の地点となる分岐点内リンクの中間点Cに決定される。尚、前方分岐点に分岐点内リンクが複数ある場合には、車両の進行方向に対応する分岐点内リンク(即ち、車両の走行リンクに対して直進方向に接続された分岐点内リンク)の中間点に減速目標地点が決定される。
例えば、
図6に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点55を右折して通過する場合には、前方交差点55内にある4本の分岐点内リンクの内、車両51の進行方向に対応する分岐点内リンク56の中間点Cに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点55を右折する場合において旋回を開始する地点である前方交差点55の中心近傍付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0060】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S13、S14の前方分岐点の形状の判定結果が“複雑分岐点”であって、前記S16、S17の車両の前方分岐点の通過方向が“左折”である場合には、減速目標地点は分岐点内リンクの中間点Cよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Dに決定される。尚、所定距離は、左折退出道路の対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅(例えば3m)を乗じた距離とする。
例えば、
図6に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点55を左折して通過する場合には、前方交差点55内にある4本の分岐点内リンクの内、車両51の走行車線且つ進行方向に対応する分岐点内リンク56の中間点Cから、左折退出道路53の対応車線の車線数(
図6では2車線)に1車線当たりの車線幅を乗じた距離だけ手前側の地点Dに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点55を左折する場合において旋回を開始する地点である分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0061】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1を用いた車両制御方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、車両の進行方向前方の所定距離以内に分岐点があって、該分岐点を車両が右折又は左折して通過すると予測される場合に、減速目標地点を設定し(S5)、減速目標地点に車両が到達するまでに目標速度となるように車両に対する減速制御を行う(S6〜S8)。そして、減速目標地点を設定する場合において、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、車両が分岐点で右折することが予測される場合よりも減速目標地点を車両の進行方向に対して手前側に設定する(S18)ので、車両が分岐点を通過する場合に、車両の分岐点での通過方向に応じた内容で減速制御を実施することが可能となる。その結果、分岐点における運転者の適切な運転支援を行うことが可能となる。
また、車両が分岐点で右折することが予測される場合には、減速目標地点を分岐点の中心近傍地点に設定し、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、減速目標地点を中心近傍地点よりも車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定するので、車両が交差点を右折する場合には、旋回を開始する分岐点中心近傍に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。一方、車両が交差点を左折する場合には、旋回を開始する分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
また、中心近傍地点は、分岐点内のリンク接続点又は分岐点内リンクの中間点であるので、交差点の形状が複雑な形状を有していたとしても、分岐点の中心近傍に対して適切に減速目標地点を設定することが可能となる。
また、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、減速目標地点を中心近傍地点よりも左折退出道路の対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅を乗じた距離だけ手前側に設定するので、車両が交差点を左折する場合には、旋回を開始する分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係るナビゲーション装置について
図7〜
図9に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記
図1乃至
図6の第1実施形態に係るナビゲーション装置1の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係るナビゲーション装置1等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0063】
この第2実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成は、第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係るナビゲーション装置1とほぼ同じ制御処理である。
そして、第2実施形態に係るナビゲーション装置では、減速目標地点を設定する際に、車両の前方分岐点における通過方向や前方分岐点の形状に加えて、前方分岐点の交差道路の形状についても考慮して、より適切な減速目標地点を設定する。
【0064】
以下に、第2実施形態に係るナビゲーション装置が実行する減速目標地点設定処理のサブ処理について
図7に基づき説明する。
図7は第2実施形態に係る減速目標地点設定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0065】
先ず、S31においてCPU41は、車両の進行方向前方にある前方分岐点の形状及び前方交差点の交差道路の形状を、地図情報DB31に記憶された分岐点データ34やリンクデータ32から取得する。尚、前記S31で取得される前方分岐点の形状としては、分岐点に接続されるリンクの本数や接続角度等がある。また、交差道路の形状としては、交差道路の車線数や道路幅等がある。
【0066】
次に、S32においてCPU41は、前記S11で取得された交差道路の形状に基づいて、前方分岐点が特殊形状を有する分岐点(以下、特殊分岐点という)か否か判定する。尚、本実施形態において特殊分岐点は、交差道路が単車線(一方通行の道路や双方向通行可能な道路であっても1車線相当の道路幅しかない道路を含む)である分岐点とする。
【0067】
そして、前方分岐点が特殊分岐点であると判定された場合(S32:YES)には、S33へと移行する。それに対して、前方分岐点が特殊分岐点でないと判定された場合(S32:NO)には、S34へと移行する。
【0068】
S33においてCPU41は、前方分岐点の形状を“特殊分岐点”と判定する。判定結果はRAM42等に格納する。その後、S37へと移行する。
【0069】
次に、S34においてCPU41は、前記S31で取得された前方分岐点の形状に基づいて、前方分岐点が複雑形状を有する複雑分岐点か否か判定する。尚、本実施形態において複雑分岐点は、交差道路が進行方向毎にリンクを有する大型の道路(即ち、複数のリンクから構成される道路)である分岐点とする。
【0070】
そして、前方分岐点が複雑分岐点であると判定された場合(S34:YES)には、S35へと移行する。それに対して、前方分岐点が複雑分岐点でないと判定された場合(S34:NO)には、S36へと移行する。
【0071】
S35においてCPU41は、前方分岐点の形状を“複雑分岐点”と判定する。一方、S36においてCPU41は、前方分岐点の形状を“単純分岐点”と判定する。判定結果はRAM42等に格納する。その後、S37へと移行する。
【0072】
S37においてCPU41は、前記S1で取得した車両情報に基づいて、車両が前方分岐点を右折して通過するか左折して通過するかを判定する。
【0073】
そして、車両が前方分岐点を右折して通過すると判定された場合(S37:YES)には、S38へと移行する。それに対して、車両が前方分岐点を左折して通過すると判定された場合(S37:NO)には、S39へと移行する。
【0074】
S38においてCPU41は、車両の前方分岐点での通過方向を、“右折”して通過と判定する。一方、S39においてCPU41は、“左折”して通過と判定する。判定結果はRAM42等に格納する。その後、S40へと移行する。
【0075】
S40においてCPU41は、前記S33、S35、S36、S38、S39の判定結果の組み合わせに基づいて、減速目標地点の設置位置を決定する。具体的には、CPU41はS33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果と、S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向の判定結果の組み合わせと、減速目標地点の設置位置と、を対応付けた減速目標地点決定テーブルをROM43等から読み出す。そして、読み出した減速目標地点決定テーブルと前記S33、S35、S36、S38、S39で取得した判定結果の組み合わせとに基づいて、減速目標地点の設置位置を決定する。
【0076】
ここで、
図8は第2実施形態に係る減速目標地点決定テーブルの一例を示した図である。
図8に示すように、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“単純分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“右折”である場合には、減速目標地点は前方分岐点の中心近傍の地点となるリンク接続点Aに決定される。詳細については第1実施形態(
図5参照)と同様であるので説明は省略する。
【0077】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“単純分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“左折”である場合には、減速目標地点はリンク接続点Aよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Bに決定される。尚、所定距離は、車両が前方分岐点を左折して通過する場合における前方分岐点からの退出道路(以下、左折退出道路という)に設けられた車線の内、車両の進行方向に対応する車線(以下、対応車線という)の車線数に1車線当たりの車線幅(例えば3m)を乗じた距離とする。詳細については第1実施形態(
図5参照)と同様であるので説明は省略する。
【0078】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“複雑分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“右折”である場合には、減速目標地点は前方分岐点の中心近傍の地点となる分岐点内リンクの中間点Cに決定される。詳細については第1実施形態(
図6参照)と同様であるので説明は省略する。
【0079】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“複雑分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“左折”である場合には、減速目標地点は分岐点内リンクの中間点Cよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Dに決定される。尚、所定距離は、左折退出道路の対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅(例えば3m)を乗じた距離とする。詳細については第1実施形態(
図6参照)と同様であるので説明は省略する。
【0080】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“特殊分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“右折”である場合には、減速目標地点はリンク接続点Aよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Eに決定される。尚、所定距離は、単車線である交差道路の道路幅に1/2を乗じた距離とする。尚、交差道路の道路幅は固定値としても良いし、地図情報DB31のリンクデータ32から取得する構成としても良い。
例えば、
図9に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点61を右折して通過する場合には、前方交差点61のリンク接続点Aから、交差道路62の道路幅に1/2を乗じた距離だけ手前側の地点Eに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点61を右折する場合において旋回を開始する地点である分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0081】
また、減速目標地点決定テーブルでは、S33、S35、S36の前方分岐点の形状の判定結果が“特殊分岐点”であって、前記S38、S39の車両の前方分岐点の通過方向が“左折”である場合には、右折の場合と同様に、減速目標地点はリンク接続点Aよりも車両の進行方向に対して所定距離手前側の地点Eに決定される。尚、所定距離は、単車線である交差道路の道路幅に1/2を乗じた距離とする。
例えば、
図9に示すように車両51が進行方向前方に位置する前方交差点61を左折して通過する場合には、前方交差点61のリンク接続点Aから、交差道路62の道路幅に1/2を乗じた距離だけ手前側の地点Eに減速目標地点が決定される。それによって、車両51が前方交差点61を左折する場合において旋回を開始する地点である分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0082】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係るナビゲーション装置、ナビゲーション装置を用いた移動案内方法及びナビゲーション装置で実行されるコンピュータプログラムによれば、減速目標地点を設定する場合において、分岐点の交差道路が単車線である場合には、車両が分岐点で右折するか左折するかに関わらず、減速目標地点を分岐点の中心近傍地点よりも車両の進行方向に対して所定距離手前側に設定するので、旋回を開始する分岐点入口付近に対して、減速目標地点を適切に設定することが可能となる。
【0083】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、車両が前方分岐点を右折又は左折する場合に減速制御を行うこととしているが、右折又は左折する方向は直角方向に限られない。例えば3叉路や5叉路において斜め方向に右左折する場合も含む。
【0084】
また、第1実施形態及び第2実施形態は、日本やイギリスのように左側通行の国を想定して記載するものである。従って、アメリカやドイツのように右側通行の国であれば明細書や図面中の「右折」と「左折」は入れ替わることとなる。
【0085】
また、車両が分岐点で右折することが予測される場合には、減速目標地点を分岐点内のリンク接続点又は分岐点内リンクの中間点に設定することとしているが、前方分岐点の中心近傍であれば他の地点に設定しても良い。
【0086】
また、車両が分岐点で左折することが予測される場合には、減速目標地点を中心近傍地点よりも左折退出道路の対応車線の車線数に1車線当たりの車線幅を乗じた距離だけ手前側に設定することとしているが、中心近傍地点より手前側であれば他の地点に設定しても良い。例えば、停止線や手前側信号機の設置位置に設定しても良い。
【0087】
また、第1実施形態及び第2実施形態の車両制御処理プログラム(
図2、
図3、
図7)はナビゲーション装置の備えるナビゲーションECU13が実行することとしているが、車両制御ECU19が実行するようにしても良い。また、複数のECUによって処理を分担して行うようにしても良い。
【0088】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、車両制御ECU19を介して車両の制御が可能な各種装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やスマートフォンやPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した車両制御処理プログラム(
図2、
図3、
図7)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、自動車以外の車両、例えば、携帯端末等のユーザが運転する2輪車等に対する車両制御を行う場合もある。