【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の防水栓によれば、構造が複雑になりがちなインサート成形用の射出装置を設けなければならず、設備コストやランニングコストが高騰するという問題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、インサート成形を不要とし、コストを低減することが可能な防水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、防水コネクタのキャビティ内に挿入され、前記キャビティ内に水が浸入するのを規制する防水栓であって、軸方向に貫通する挿入孔を有する防水栓本体と、前記防水栓本体の前記挿入孔内に挿入されて前記挿入孔の内周面に密着する外周面を有し、かつ軸方向に貫通する通気孔を有する軸部材と、前記軸部材の軸方向の一方端面に当接して前記通気孔の一方端の開口を塞ぐように配置され、液体の通過は規制するが気体の通過は許容する通気膜と、前記軸部材の軸方向の一方端面との間に前記通気膜を配置し、かつ前記通気膜を外部大気に臨ませる空間を確保しつつ前記軸部材に取り付けられる保護部材とを備え
、前記保護部材にはロック突起が形成され、前記軸部材にはロック溝が形成され、前記ロック溝に前記ロック突起が弾性的に嵌ることにより、前記保護部材が前記軸部材に保持されるものであり、前記ロック溝が前記通気膜を外部大気に臨ませる前記空間とされているところに特徴を有する。
【0009】
請求項
2の発明は、請求項
1に記載のものにおいて、前記通気膜が、前記軸部材の軸方向の一方端面における前記通気孔の開口周縁部に溶着されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項
3の発明は、請求項
2に記載のものにおいて、前記保護部材が、孔を有さない壁状をなし、前記通気膜の膜面を覆うように配置されるところに特徴を有する。
【0011】
請求項
4の発明は、請求項
1に記載のものにおいて、前記通気膜と前記保護部材との間には、弾性部材が配置され、前記通気膜が、前記軸部材の軸方向の一方端面と前記弾性部材との間に弾性的に挟持されるところに特徴を有する。
【0012】
請求項
5の発明は、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記軸部材には係止受け部が形成されており、前記係止受け部に、前記キャビティの内壁に形成されたランスが弾性的に係止されることにより、前記キャビティからの抜けが規制されるところに特徴を有する。
【0013】
請求項
6の発明は、請求項
5に記載のものにおいて、前記係止受け部が、前記軸部材の外周面に凹み形成され、前記通気孔に連通しているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
軸部材の軸方向の一方端面に通気膜が当接し、軸部材の軸方向の一方端面と保護部材との間に通気膜が配置され、軸部材が防水栓本体の挿入孔内に挿入されるため、インサート成形に依らずとも、防水栓本体に通気膜を取り付けることができる。その結果、設備コスト等が低減され、防水栓を比較的安価に製造することができる。この場合、保護部材によって通気膜の膜面に塵埃等の異物が付着するのが防止され、所定の通気性及び防水性を維持することができる。
【0015】
また、保護部材にロック突起が形成され、通気膜を外部大気に臨ませる空間がロック突起のロック溝とされているため、ロック溝にロック機能と通気機能とを兼用させることができ、全体の構成を簡素化することができる。
【0016】
<請求項
2の発明>
通気膜が軸部材の軸方向の一方端面における通気孔の開口周縁部に溶着されているため、通気孔の一方端の開口と通気膜の膜面との間に隙間が生じるのが回避され、通気孔内に水が浸入するのが確実に防止される。また、軸部材に通気膜を固定するに際して別部材が不要とされるため、部品点数の増加を招くこともない。
【0017】
<請求項
3の発明>
保護部材が孔を有さない壁状をなして通気膜の膜面を覆うように配置されるため、通気膜の膜面に塵埃等の異物が付着するのが確実に防止される。
【0018】
<請求項
4の発明>
通気膜が軸部材の軸方向の一方端面と弾性部材との間に弾性的に挟持されているため、通気孔の一方端の開口と通気膜の膜面との間に隙間が生じるのが回避され、通気孔内に水が浸入するのが確実に防止される。また、溶着作業が不要とされるため、作業負担が軽減される。
【0019】
<請求項
5の発明>
係止受け部にランスが弾性的に係止されることにより、防水栓がキャビティから抜け落ちるのを確実に防止することができる。
【0020】
<請求項
6の発明>
係止受け部が通気孔に連通していることにより、係止受け部に通気性能をもたせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図7によって説明する。実施形態1に係る防水栓10は、防水栓本体11と、軸部材30と、通気膜50と、保護部材70とからなる。そして、防水栓10は、防水コネクタ90内に取り付けられる。
【0023】
まず、防水コネクタ90の構造について簡単に説明する。
図1に示すように、防水コネクタ90は、互いに嵌合可能な第1、第2ハウジング91、92を備えている。第2ハウジング92は、筒状のフード部93を有している。第1ハウジング91は、フード部93内に挿入されるブロック状のハウジング本体94を有している。ハウジング本体94の内部には、複数のキャビティ95が軸方向(前後方向)に貫通して形成されている。各キャビティ95内には、後方から端子金具100が挿入される。各端子金具100は電線110の端末部に嵌着されたゴム栓120に接続されている。そして、各端子金具100がキャビティ95内に正規挿入されると、ゴム栓120の外周面がキャビティ95の内周面に弾性的に密着して、キャビティ95内が液密にシールされるようになっている。
【0024】
また、キャビティ95の内壁には、
図1に示すように、撓み可能なランス99が前方に突出して形成されている。ランス99の前端部の上面には係止突起98が形成されている。端子金具100にはランス孔105が開口して形成されており、ランス孔105にランス99が弾性的に嵌り込むことにより、端子金具100がキャビティ95から抜け出るのが防止されるようになっている。
【0025】
また、第1ハウジング91の外周面には、シールリング130が嵌着されている。第1、第2ハウジング91、92が正規嵌合された状態では、フード部93の内周面とハウジング本体94の外周面とにシールリング130が弾性的に密着し、シールリング130を介して第1、第2ハウジング91、92間が液密にシールされるようになっている。そして、各キャビティ95の中には、各端子金具100が挿入されないキャビティ95が含まれている。防水栓10は、この空きキャビティ95内に液密に挿入され、これによってキャビティ95内に水が浸入するのを規制するようになっている。
【0026】
続いて、防水栓10の構造について詳細に説明する。
防水栓本体11は、シリコンゴム等のゴム製であって、既存の端子金具用のゴム栓を流用可能とされている。具体的には、防水栓本体11は、
図3に示すように、全体として円筒状をなし、その内部に、軸方向に貫通する挿入孔12を有している。防水栓本体11の外周面には、複数条の外周リップ13が周回して形成されている。各外周リップ13は、キャビティ95の内周面に弾性的に密着し、防水栓本体11の後半部において前後方向に2条並んで配置されている。また、防水栓本体11の挿入孔12の内周面には、複数条の内周リップ14が周回して形成されている。各内周リップ14は、軸部材30の外周面37に弾性的に密着し、防水栓本体11の後半部において前後方向に3条並んで配置されている。
【0027】
軸部材30は合成樹脂製であって、
図6及び
図7に示すように、軸方向に細長い円筒状の形態とされている。具体的には、軸部材30は、軸方向に延出する軸本体部31と、軸本体部31の後端部の外周側に一体に連結されかつその連結位置から後方に突出する筒部32とを有している。
図3に示すように、軸本体部31の中心部には、通気孔33が軸方向に貫通して形成されている。
【0028】
軸本体部31の後端部には筒部32が連結される基部34が一回り大きく形成され、軸本体部31のうちの基部34を除く部分は、基部34より小径薄肉の挿入部35とされている。基部34と挿入部35との間には周方向の段差36が形成されている。
図2に示すように、挿入部35は、防水栓本体11の挿入孔12内に挿入され、各内周リップ14に弾性的に密着する外周面37を有している。挿入部35の前端部の外周面37には複数の半球状の突起38が周方向に間隔をあけて形成されている。
【0029】
挿入部35が防水栓本体11の挿入孔12内に正規挿入されると、各突起38が防水栓本体11の挿入孔12の前端開口縁に前方から当接するとともに、段差36が防水栓本体11の挿入孔12の後端開口縁に後方から当接し、これによって軸部材30が防水栓本体11に位置決め状態で保持されるようになっている。このとき、挿入部35の前端部は、挿入孔12を抜けて防水栓本体11の前端より前方に突出した状態で配置される。
【0030】
また、軸本体部31の後端面には、円環状のリブ39が突出して形成されている。リブ39は、通気孔33と同心であって通気孔33の後端開口の周りを取り囲むように形成されている。リブ39の突出端は径方向に沿った平坦な端面41とされ、ここに通気膜50が溶着されるようになっている。
【0031】
筒部32は円筒状をなし、
図6及び
図7に示すように、周方向に間隔をあけて複数のロック溝42が形成されている。各ロック溝42は、各突起38と対応する位置に等間隔をあけて4つ配置されている。そして、各ロック溝42は、筒部32を厚み方向に貫通しつつ前後方向に延出する形態とされ、その前端が筒部32の前端に開口し、その後端が筒部32の後端部に閉止して配置されている。筒部32の各ロック溝42の後端には、保護部材70のロック突起71(後述する)が係止可能とされている。
【0032】
通気膜50は、円形の板状をなし、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂シートとされ、気体の通過は許容するが液体の通過は規制する性質を有している。そして、通気膜50は、
図4に示すように、軸部材30のリブ39に後方から当接し、その状態でリブ39の端面41に熱溶着又は超音波溶着等の溶着手段によって固定される。このとき、通気膜50の前面(前側の膜面)は、通気孔33の後端開口を塞ぐように対向して配置される。これにより、通気膜50から通気孔33内への水の浸入が規制され、ひいては通気孔33からキャビティ95内への水の浸入が規制される。
【0033】
保護部材70は合成樹脂製であって、
図3に示すように、全体として円形のキャップ状をなしている。また、保護部材70は、孔を有さない中実の壁状をなし、その前端部の外周面には複数のロック突起71が形成されている。各ロック突起71は、筒部32の各ロック溝42と対応する位置に、周方向に間隔をあけて配置されている。そして、保護部材70は、その全体が筒部32内に挿入され、挿入完了時に、各ロック突起71が各ロック溝42内に弾性的に嵌ってその後端に係止可能に配置されることにより、防水栓本体11に保持される。なお、筒部32の各ロック溝42は、通気膜50の径方向外方に位置し、各ロック突起71が嵌め込まれた状態でその内部に通気膜50を外部大気に臨ませる空間80が形成されている(
図2を参照)。
【0034】
次に、実施形態1に係る防水栓10の組み付け手順を説明する。
まず、
図4に示すように、軸部材30の筒部32内に後方から通気膜50を挿入し、リブ39の端面41に通気膜50の前面を溶着する。続いて、
図5に示すように、軸部材30の筒部32内に後方から保護部材70を挿入し、各ロック溝42に各ロック突起71を弾性的に嵌めて、軸部材30に保護部材70を保持させる。これにより、軸部材30の後端と保護部材70との間に通気膜50が配置される。
【0035】
次いで、防水栓本体11の挿入孔12内に後方から軸部材30の挿入部35を挿入する。軸部材30の正規挿入時には、
図2に示すように、防水栓本体11が軸部材30に嵌着され、防水栓本体11の挿入孔12の各内周リップ14が軸部材30の挿入部35の外周面37に弾性的に密着し、これによって防水栓本体11と軸部材30との間が液密にシールされる。以上で防水栓10の組み付けが完了する。その後、防水栓10は第1ハウジング91の空きのキャビティ95内に後方から挿入される。キャビティ95への正規挿入時には、防水栓本体11の各外周リップ13がキャビティ95の内周面に弾性的に密着し、これによってキャビティ95内が液密にシールされる。
【0036】
ところで、防水コネクタ90が嵌合状態になると、キャビティ95内の圧力が空気の熱膨張等に起因して上昇することがある。しかるに実施形態1によれば、キャビティ95内で膨張した空気が通気孔33から各ロック溝42の空間80を経て外部大気に抜けるため、キャビティ95内の圧力が外部大気とほぼ同じ圧力に保たれる。その結果、防水栓10が内圧によってキャビティ95から不用意に抜け出るのが防止される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、軸部材30の後端に通気膜50が当接し、軸部材30の後端と保護部材70との間に通気膜50が配置され、軸部材30が防水栓本体11の挿入孔12内に挿入されるため、インサート成形に依らずとも、防水栓本体11に通気膜50を取り付けることができる。その結果、設備コスト等が低減され、防水栓10を比較的安価に製造することができる。この場合に、保護部材70によって通気膜50の膜面に塵埃等の異物が付着するのが防止され、通気膜50が所定の通気性及び防水性を発揮することが可能となる。
【0038】
また、保護部材70に各ロック突起71が形成され、通気膜50を外部大気に臨ませる空間80が各ロック突起71のロック溝42とされているため、ロック溝42にロック機能と通気機能の両機能を兼用させることができ、全体の構成を簡素化することができる。
【0039】
さらに、軸部材30の後端面における通気孔33の開口周縁部にはリブ39が形成され、通気膜50がリブ39に溶着されているため、通気孔33の後端開口と通気膜50の前面との間に隙間が生じるのが回避され、通気孔33内に水が浸入するのが確実に防止される。また、後述する実施形態2と違って、軸部材30に通気膜50を固定するに際して別部材が不要とされるため、部品点数の増加を招くこともない。
【0040】
しかも、保護部材70が孔を有さない壁状をなして通気膜50の後面を覆うように配置されるため、通気膜50の後面に塵埃等の異物が付着するのが確実に防止される。
【0041】
<実施形態2>
図8ないし
図10は、本発明の実施形態2を示す。実施形態2に係る防水栓10Aは、防水栓本体11と、軸部材30Aと、通気膜50と、弾性部材60と、保護部材70Aとからなる。この防水栓10Aには、通気膜50を軸部材30Aに固定する手段として、実施形態1の溶着手段に代わって、弾性部材60が用いられている。防水栓本体11及び通気膜50は実施形態1とほぼ同一の形状とされ、軸部材30A及び保護部材70Aも実施形態1とその基本的構造は同一とされている。したがって、実施形態2において、実施形態1と同様の構造には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
軸部材30Aの筒部32Aは、その内部に、通気膜50、弾性部材60、及び保護部材70Aが順次挿入され、弾性部材60の挿入分、実施形態1の筒部32よりも前後長が長くされている。保護部材70Aの中心部には、
図9に示すように、貫通孔73が形成されている。貫通孔73の孔径は通気孔33の孔径とほぼ同一とされている。
【0043】
弾性部材60はシリコンゴム等のゴム製であって、全体として円環状をなし、既存のゴムリングを流用可能とされている。弾性部材60の前後厚は、通気膜50より大きく、かつ保護部材70Aより小さくされている。弾性部材60の中心孔61は、貫通孔73や通気孔33より大きい孔径を有し、保護部材70Aの貫通孔73と連通している。
【0044】
組み付けに際し、まず軸部材30Aの筒部32A内に後方から通気膜50を挿入し、リブ39の端面41に通気膜50を当接させる。続いて、筒部32A内に後方から弾性部材60を挿入する。さらに、
図10に示すように、筒部32A内に後方から保護部材70Aを挿入し、各ロック溝42に各ロック突起71を弾性的に嵌め込む。こうして軸部材30Aに保護部材70Aが保持されると、保護部材70Aが弾性部材60を後方から押圧し、弾性部材60が通気膜50の後面に弾性的に密着し、さらに、通気膜50が軸部材30Aの後端と弾性部材60との間に弾性的に挟持される。これにより、軸部材30Aの通気孔33の後端開口と通気膜50の前面との間に隙間が生じるのが回避され、通気孔33内に水が浸入するのが確実に防止される。また、実施形態1と違って、溶着作業が不要とされるため、作業負担が軽減される。なお、組み付け状態では、通気孔33、通気膜50、中心孔61、及び貫通孔73が、それぞれ軸方向に連通して配置され、これらを通して空気の流通が許容されている。その後、防水栓10Aは、防水栓本体11に後方から軸部材30Aの挿入部35を挿入した後、
図8に示すように、防水コネクタ90のキャビティ95内に挿入され、実施形態1と同様、キャビティ95内を液密にシールするとともに、キャビティ95内の圧力上昇を抑える役割をはたす。
【0045】
<実施形態3>
図11及び
図12は、本発明の実施形態3を示す。実施形態3は、防水栓10Bにキャビティ95からの抜け止め構造が設けられており、その点で実施形態1とは異なる。抜け止め構造以外は、実施形態1と同様であり、実施形態1と同様の構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0046】
防水栓10Bの軸本体部31Bは、実施形態1、2の軸本体部31より前後方向に長い長さで形成されている。
図11に示すように、軸本体部31Bのうち、防水栓本体11Bの挿入孔12B内に正規挿入された状態で、防水栓本体11Bの前端より前方に突出する部分は、軸部材30B全体の前後長の半分又は半分より大きい突出寸法を有している。
【0047】
そして、軸本体部31Bの前端部には、係止受け部47が凹み形成されている。係止受け部47は、ランス99の係止突起98が嵌合可能な開口寸法を有し、かつ通気孔33Bにほぼ直交して連通する形態とされている。係止受け部47の前端は、係止突起98に係止可能な係止縁48とされ、上下方向(軸本体部31Bの径方向)にほぼ沿って配置されている。なお、軸本体部31Bの前端外周縁には、テーパ状の案内面49が全周に亘って切り欠いて形成されている。かかる案内面49は、実施形態1、2の軸本体部31にも形成されていたものである(
図2及び
図10を参照)。
【0048】
防水栓10Bは、実施形態1と同様の手順で組み付けられ、防水コネクタ90の第1ハウジング91のキャビティ95内に後方から挿入される。防水栓10Bがキャビティ95内に挿入される過程では、係止突起98が案内面49を摺動してランス99が撓み変形させられ、
図12に示すように、正規挿入時には、ランス99が弾性的に復帰して、係止突起98が係止受け部47に嵌り込むようになっている。
【0049】
防水栓10Bが正規挿入された状態で、キャビティ95内の圧力が上昇して、防水栓10Bに後方への抜出力が作用しても、係止受け部47の係止縁48にタンスの係止突起98が係止することにより、防水栓10Bがキャビティ95内に保持される。したがって、実施形態3によれば、通気孔33Bの通気性によって防水栓10Bの内圧上昇を抑えることができるのに加え、防水栓10Bがランス99に弾性係止可能となっていることにより、防水栓10Bのキャビティ95からの抜け出しが確実に防止される。また、係止受け部47が通気孔33Bに連通しているため、係止受け部47も通気領域として利用される。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)軸部材と保護部材とはヒンジを介して一体に連結されるものであってもよい。
(2)軸部材の後端に係止爪が形成され、通気膜が係止爪にスナップ的に係止されて軸部材の後端に固定されるものであってもよい。
(3)実施形態1、3の保護部材にも実施形態2と同様の貫通孔が形成されていてもよい。
(4)実施形態3では、係止受け部が、軸本体部の外面から突出してランスに係止される形態であってもよい。