(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768782
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】実装基板のランド構造および実装基板の振動音低減方法
(51)【国際特許分類】
H01G 2/06 20060101AFI20150806BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20150806BHJP
H01G 4/12 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
H01G1/035 E
H01G1/035 C
H01G13/00 361Z
H01G4/12 343
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-177639(P2012-177639)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-36170(P2014-36170A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2014年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 和生
(72)【発明者】
【氏名】藤本 力
【審査官】
中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−100451(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/143075(WO,A1)
【文献】
特開2012−094670(JP,A)
【文献】
実開昭63−137971(JP,U)
【文献】
特開2008−171949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/06
H01G 4/12
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層と内部電極とが交互に積層された直方体形状の素体と、該素体の長手方向に沿った両側面にそれぞれ形成された外部電極とを備えた積層コンデンサが実装される実装基板に形成され、前記外部電極が実装されるランド電極のランド構造であって、
前記ランド電極は、前記素体が配置される領域の前記長手方向の両端間の中央であって、前記長手方向に直交する方向に離間して形成された一対の電極であり、前記長手方向の長さが前記外部電極の長手方向の長さよりも短く、
前記ランド電極の前記長手方向に沿った長さLDは、前記積層コンデンサの前記素体の長手方向に沿った長さLCの0.2倍から0.5倍である、
実装基板のランド構造。
【請求項2】
前記長手方向に沿った前記ランド電極の中心は、前記長手方向に沿った前記素体の中心と異なる位置にある、請求項1に記載の実装基板のランド構造。
【請求項3】
前記ランド電極の長さLDは、前記素体の長さLCの0.4倍である、請求項1または2に記載の実装基板のランド構造。
【請求項4】
複数の誘電体層と内部電極とが交互に積層された直方体形状の素体と、該素体の長手方向に沿った両側面にそれぞれ形成された外部電極とを備えた積層コンデンサが実装される実装基板に形成され、前記外部電極が実装されるランド電極のランド構造であって、
前記ランド電極は、前記素体が配置される領域の前記長手方向の両端間の中央であって、前記長手方向に直交する方向に離間して形成された一対の電極であり、前記長手方向の長さが前記外部電極の長手方向の長さよりも短く、
前記長手方向に沿った前記ランド電極の中心は、前記長手方向に沿った前記素体の中心と異なる位置にある、
実装基板のランド構造。
【請求項5】
前記ランド電極は、前記ランド電極の前記長手方向の端部が、前記素体の長手方向の中心から前記素体の長さの0.25倍の長さの範囲内に収まる形状で形成されている、請求項4に記載の実装基板のランド構造。
【請求項6】
前記長手方向に沿った前記ランド電極の中心と、前記長手方向に沿った前記素体が配置される領域の中心との距離は、前記素体の長さLCの0.1倍である、請求項4または請求項5に記載の実装基板のランド構造。
【請求項7】
実装基板の振動音低減方法であって、
複数の積層コンデンサが実装された実装基板の振動音を測定する工程と、
振動音が閾値以上となる積層コンデンサの実装位置を特定する工程と、
振動音発生源の積層コンデンサの実装用のランド電極のパターンを、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のランド電極のパターンに置き換える工程と、
を有する実装基板の振動音低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、誘電体層と内部電極が交互に積層された素体に外部電極を形成した積層コンデンサが実装される実装基板のランド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、積層コンデンサは、携帯電話等の移動体端末やパーソナルコンピュータ等の各種電子機器に多く利用されている。積層コンデンサは、コンデンサとして機能する直方体形状の素体を備える。素体は、平板状の誘電体層と電極(内部電極)とが交互に積層された構造からなる。
【0003】
このような積層コンデンサは、電子機器の実装基板の実装用ランドに外部電極を直接載置し、実装用ランドと外部電極とをはんだ等の接合剤で接合することで、実装基板に電気的物理的に接続されている。
【0004】
積層コンデンサに交流電圧または交流成分が重畳された直流電圧が印加された場合、圧電または電歪の効果により、機械的な歪みによる振動が生じる。特に、積層コンデンサの誘電体にチタン酸バリウム等の高誘電率系セラミックを使用した場合、積層コンデンサの機械的な歪みによる振動は大きくなる。当該積層コンデンサの振動が発生すると、振動は実装基板に伝達されて、実装基板が振動する。実装基板が振動すると、人の耳に聞こえる振動音が生じることがある。
【0005】
これを解決する構成として、例えば、特許文献1には、内部電極の面が基板面に対して垂直向きになるように、積層コンデンサを基板に実装することで、電圧を印加したときに誘電体セラミックがその厚み方向(内部電極の積層方向)に膨張、復帰を繰り返して振動しても振動が基板に直接的に伝わることがなく、振動音を低減することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−55752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、積層コンデンサは、その厚み方向に振動するだけでなく、内部電極の面方向に対しても振動する。このため、特許文献1の構成を用いても、実装基板によっては、振動音が低減しない場合があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、振動音の発生を抑制できる積層コンデンサ用の実装ランド構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、複数の誘電体層と内部電極とが交互に積層された略直方体形状の素体と、該素体の長手方向に沿った両側面にそれぞれ形成された外部電極とを備えた積層コンデンサが実装されるランド電極を備えた実装基板のランド構造に関するものであって、ランド電極は、積層コンデンサが実装され、素体が配置される領域の長手方向の両端間の略中央に形成されていることを特徴としている。
【0010】
本願発明者は、積層コンデンサを実装基板に接合する際の積層コンデンサの素体に対する実装位置によって、振動音が変化することを見いだした。
【0011】
そして、この構成では、上述のように積層コンデンサを実装基板に接合する際の積層コンデンサの素体に対する実装位置を規定する構成として、積層コンデンサの長手方向の中央で外部電極とランド電極とが接合される。この領域は、圧電や電歪による素体の体積が変化し難い領域であるので、振動音の発生を抑制することができる。
【0012】
また、この発明の実装基板のランド構造では、ランド電極の長手方向に沿った長さLDは、積層コンデンサの素体の長手方向に沿った長さLCの略0.2倍から略0.5倍であることが好ましい。
【0013】
また、この発明の実装基板のランド構造では、ランド電極の長さLDは、素体の長さLCの略0.4倍であることがより好ましい。
【0014】
これらの構成では、さらに体積変化の起きにくい領域で回路基板に実装されるので、振動音の発生を抑制することができる。
【0015】
また、この発明の実装基板のランド構造では、長手方向に沿ったランド電極の中心は、長手方向に沿った素体の中心と異なる位置にあることが好ましい。
【0016】
また、この発明の実装基板のランド構造では、ランド電極は、ランド電極の長手方向の端部が、素体の長手方向の中心から素体の長さの略0.25倍の長さの範囲内に収まる形状で形成されていることが好ましい。
【0017】
また、この発明の実装基板のランド構造では、手方向に沿ったランド電極の中心と、前記長手方向に沿った前記素体が配置される領域の中心との距離は、前記素体の長さLCの略0.1倍であることがより好ましい。
【0018】
これらの構成でも、振動音の発生をさらに抑制することができる。
【0019】
また、この発明は、実装基板の振動音低減方法であって、複数の積層コンデンサが実装された実装基板の振動音を測定する工程と、振動音が閾値以上となる積層コンデンサの実装位置を特定する工程と、振動音発生源の積層コンデンサの実装用のランド電極のパターンを、本願発明のランド電極のパターンに置き換える工程と、を有することを特徴としている。
【0020】
この方法を用いることで、実装基板の振動音を効果的に低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、積層コンデンサを実装基板に実装しても、振動音が殆ど発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る実装基板10の外観斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る実装基板10の三面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る実装基板10に積層コンデンサ20を実装した状態を示す斜視図である。
【
図4】積層セラミックコンデンサの電圧印加による歪み分布を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る実装基板10のランド構造の振動音抑制効果を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る実装基板10Aの平面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る実装基板10Aのランド構造の振動音抑制効果を示す図である。
【
図8】実装基板の振動音の低減方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る実装基板のランド構造について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る実装基板10の外観斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る実装基板10の三面図である。
図3は、第1の実施形態に係る実装基板10に積層コンデンサ20を実装した状態を示す斜視図である。
【0024】
実装基板10は、平板状の絶縁性基板11を備える。絶縁性基板11は、例えばFR−4等のガラスエポキシ樹脂基板などからなる。絶縁性基板11の一方主面(表面)には、ランド電極12,13が形成されている。ランド電極12は、積層コンデンサ20の第1外部電極22が接合される電極である。ランド電極13は、積層コンデンサ20の第2外部電極23が接合される電極である。
【0025】
このような構造からなる実装基板10に対して、積層コンデンサ20が実装される。
【0026】
積層コンデンサ20は、素体21と、第1外部電極22および第2外部電極23とを備える。素体21は、長手方向と短手方向および高さ方向を有する略直方体形状からなる。以下、長手方向の長さをLCとし、短手方向の長さをLCwとする。
【0027】
素体21は、誘電体層と内部電極100が交互に積層されてなる。誘電体層と内部電極200は、それぞれ矩形の平板からなる。誘電体層は、例えばセラミック素材からなり、内部電極200は、例えば銅(Cu)等からなる。誘電体層と内部電極100は、素体21の天面および底面に平行に配置され、これら天面および底面に対して直交する方向に順次積層されている。
【0028】
第1外部電極22は、素体21の長手方向に沿った第1長手方向側面に形成されている。第2外部電極23は、素体21の長手方向に沿った第2長手方向側面に形成されている。第1外部電極22および第2外部電極23は、第1、第2長手方向側面の全面に亘り形成されている。
【0029】
このような構造からなる積層コンデンサ20を、
図3に示すように、実装基板10に実装する。より具体的には、第1外部電極22をランド電極12にハンダ100で接合し、第2外部電極23をランド電極13にハンダで接合することにより、積層コンデンサ20を実装基板10の所定領域に実装する。
【0030】
ここで、積層コンデンサ20は、印加される電圧により歪みを生じることが知られている。本願の発明者らは、電圧印加により積層コンデンサ20の歪みを解析し、次の結果を得た。
【0031】
図4は積層コンデンサ20の電圧印加による歪み分布を示す図である。
図4において、A81,A82,A83は歪み量の大きさに応じて区分けした領域であり、各領域間での歪み量の大きさの関係は、A81<A82<A83である。すなわち、A81が最も歪みにくい領域であり、A83が最も歪みやすい領域である。
【0032】
図4に示すように、積層コンデンサ20に所定電圧が印加されると天面及び底面の全体が歪み、中央領域ほど歪みが大きくなる。一方、天面及び底面の第1、第2長手方向側面に当接する端辺の中央近傍の領域で歪みが小さい。
【0033】
また、積層コンデンサ20の第1、第2長手方向側面の長手方向の両端辺、言い換えれば第1、第2長手方向側面の第1、第2短手方向側面に当接する端辺付近で、歪みが大きくなる。一方、積層コンデンサ20の第1、第2長手方向側面の長手方向の中央近傍の領域で歪みが小さい。
【0034】
また、積層コンデンサ20の長手方向両端面(第1、第2短手方向側面)の高さ方向の中央領域も歪みが大きくなる。
【0035】
以上のような結果に基づいて、本実施形態の構成では、積層コンデンサ20の実装される領域に対するランド電極12,13の配置位置および形状を以下に示すようにする。
【0036】
ランド電極12,13は、積層コンデンサ20の素体21が配置される領域における長手方向の両端間の略中央位置に、配置される。より具体的には、ランド電極12,13の長手方向の中心が、素体21が配置される領域における長手方向の両端間の中心位置に一致するように、ランド電極12,13が絶縁性基板11に対して形成される。
【0037】
このような構成とすることで、当該ランド電極12,13を用いて積層コンデンサ20を実装すれば、積層コンデンサ20の第1、第2外部電極22,23は、歪みが小さい領域で、ランド電極12,13に接合される。言い換えれば、積層コンデンサ20は、歪みが小さい領域において実装基板10に実装される。したがって、歪みによる振動は実装基板10に殆ど生じず、振動音の発生を大幅に抑制できる。
【0038】
さらに、ランド電極12,13は、次に示す寸法であることが好ましい。ランド電極12,13の長手方向の長さをLDとし、素体21(および素体21が配置される実装基板10上の領域)の長手方向の長さをLCとする。なお、積層コンデンサ20が実装されていない状態では、素体21の長さではなく、素体21が配置される実装基板10上の領域の長さであるが、説明を簡素化するため、これらを、単に素体21の長さと称する。
【0039】
図5は、素体21の長さLCに対するランド電極12,13の長さLDの比と、ピーク振動レベルとの相関を示す図である。
図5において、0.2LCとは、ランド電極12,13の長さLDが素体21の長さLCの0.2倍であることを示す。また、
図5は、素体21の長手方向の中心と、ランド電極12,13の長手方向の中心とが一致する場合を示す。
【0040】
なお、
図5において、REFは、素体の長手方向の両端(第1、第2短手方向側面に相当)に外部電極が形成されており、この外部電極で実装基板に接合されている構成の場合(一般的な従来の積層コンデンサの構成)を示す。また、
図5は、素体21の長手方向の長さLC=1.0mm、素体21の短手方向の長さLCw=0.5mmとし、素体11の高さを0.5mmとした場合の結果である。
【0041】
図5に示すように、ランド電極12,13の長さLDを、素体21の長さLCよりも短くし、ランド電極12,13を素体21の長手方向の中心に配置すれば、REFよりも、振動レベルを低くすることができる。
【0042】
さらに、
図5に示すように、ピーク振動レベルは、素体21の長さLCに対するランド電極12,13の長さLDの比に対して、極小値を有することがわかる。具体的には、
図5に示すように、LD≒0.4LC、すなわち、ランド電極12,13の長さLDが素体21の長さLCの略0.4倍の時に極小値を有する。また、この極小値となる0.4LCを含み、所定の長さLDの範囲では、歪みによる振動が十分に小さいと認められる範囲が存在する。具体的には、
図5に示す振動レベルが低減値Thよりも小さい範囲である、ランド電極12,13の長さLDが、素体21の長さLCの略0.2倍から略0.5倍の範囲である。なお、本実施形態では、低減値Thは、REF1,REF2のピーク振動レベルの−10dBにしている。この低減値Thは、使用態様によって上下させることも可能であるが、−10dBにすると、よりよい。
【0043】
このように、ランド電極12,13の長さLDを、素体21の長さLCの略0.2倍から略0.5倍の範囲にすれば、振動を大幅に抑制することができる。さらに、ランド電極12,13の長さLDを、素体21の長さLCの略0.4倍にすれば、振動をさらに大幅に抑制することができる。
【0044】
次に、第2の実施形態に係る実相基板のランド構造について、図を参照して説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る実装基板10Aの平面図である。本実施形態の実装基板10Aは、第1の実施形態に係る実装基板10に対して、素体21の長手方向に沿ったランド電極12,13の位置をシフトさせた(ずらした)ものである。他の構成は、第1の実施形態に係る実装基板10と同じであり、具体的な説明は省略する。
【0045】
図6に示す実装基板10Aは、ランド電極12A,13Aの長手方向の中心が、素体21の長手方向の中心に対してずれている。このズレ量SSは、素体21の長さLCの略0.1倍である。
【0046】
図7は、実装基板10Aのランド構造の振動音抑制効果を示す図である。なお、
図7は、ランド電極12A,13Aの長さLDが積層コンデンサ20の素体21の長さLCの略0.2倍である場合の結果である。
【0047】
図7に示すように、ピーク振動レベルは、素体21の長さLCに対するランド電極12A,13Aのズレ量SSの比に対して、極小値を有することがわかる。具体的には、
図7に示すように、SS≒0.1LC、すなわち、ランド電極12A,13Aの長手方向の中心位置からのズレ量SSが素体21の長さLCの略0.1倍の時に極小値を有する。
【0048】
したがって、ランド電極12A,13Aのズレ量SSを、素体21の長さLCの略0.1倍にすれば、振動をさらに大幅に抑制することができる。
【0049】
なお、
図5の結果と
図7の結果とを用いて、ランド電極の位置および形状を次のように規定してもよい。
【0050】
(A)
図5から分かるように、ランド電極の長さLDが素体21の長さLCの0.5倍以下であると振動音が低減する。
【0051】
(B)
図7から分かるように、ランド電極の長手方向に沿った中心を、素体21の長手方向の中心から約0.15までずらしても、中心にあるときより振動音が低減する。
【0052】
これら(A)、(B)の結果から、ランド電極の長手方向の端部が、素体21の長手方向の中心から素体21の長さLDの略0.25倍の長さの範囲内に収まるようにする。この構造は、ランド電極の長手方向に沿った中心を素体の中心と一致させ、ランド電極の長さLDを0.5にした場合と同等以上に振動音を低減することができる。
【0053】
したがって、ランド電極の長手方向の端辺が素体21の長手方向の中心から0.25の範囲内に収まるように、ランド電極を形成するとよい。
【0054】
また、上述の構成からなるランド電極の構造は、次のように使用することで、振動音を効果的に低減させることができる。
図8は、実装基板の振動音の低減方法を示すフローチャートである。
【0055】
複数の積層コンデンサが実装された実装基板の振動音を測定する(S101)。振動音の測定方法は、マイクによって直接振動音を測定する方法や、レーザ―ドップラー振動計などを用いて振動を測定することによって間接的に振動音を測定する方法がある。
【0056】
振動音が予め定められた閾値以上となる場合、振動音の発生源となる積層コンデンサの実装位置を特定する(S102)。
【0057】
振動音発生源の積層コンデンサの実装用ランド電極のパターンを、本願発明のランド電極のパターンに置き換える(S103)。具体的には、例えば、実装基板上のランド電極を本願発明のランド電極のパターンに変換する変換用基板や変換用パターン電極を、実装基板と積層コンデンサとの間に設置すればよい。また、可能であれば、実装基板のランド電極のパターンを変更してもよい。なお、振動音の閾値は、使用される電子機器の用途などによって定められる。
【0058】
このような方法を用いることで、ランド電極のパターンを変更する前に発生していた振動音を低減することができる。なお、上述の
図8に示す低減方法は、長手方向の長さLC=1.0mm、短手方向の長さLCw=0.5mmで、高さが0.5mmの積層コンデンサを用いた場合を実験的に行っている。しかしながら、他の寸法の積層コンデンサにも適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10,10A:実装基板、
11:絶縁性基板、
12,12A:第1ランド電極、
13,13A:第2ランド電極、
20:積層コンデンサ、
21:素体、
22:第1外部電極、
23:第2外部電極、
200:内部電極