(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
  本発明のコネクタは、
  前記壁部が、左右方向に並ぶように二対設けられ、
  前記ブリッジ部が、前記二対の壁部の上端部に連なっていてもよい。
  この構成によれば、ブリッジ部の左右両端部を、夫々、左右に間隔を空けた2カ所で支持しているので、ブリッジ部がその中央部を上方へ持ち上げられるように湾曲変形することを、確実に防止できる。
 
【0013】
  <実施例1>
  以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図21を参照して説明する。本実施例1に係るコネクタは、互いに嵌合可能なハウジング10及び相手ハウジング50と、ハウジング10に組み付けられる検知部材70とを備えている。なお、以下の説明において前後方向については、両ハウジング10、50の互いの嵌合面側を前方とする。
 
【0014】
  相手ハウジング50は合成樹脂製であって、
図11に示すように、前方に開口する筒状のフード部51を有している。フード部51の上壁の前端部には、ロック受け部52が形成されている。ロック受け部52は、上壁を高さ方向(両ハウジング10、50の嵌合方向と交差する方向)に貫通する形態とされている。ロック受け部52の内前面は、前方へ向けてやや上向き勾配となる逆テーパ状の係止受け面53とされている。
 
【0015】
  また、フード部51の上壁の前端部には、ロック受け部52の直前位置に、干渉部54が形成されている。干渉部54の前面下端部には、前方へ向けて上向き勾配となるテーパ状の斜面55が形成されている。また、干渉部54の下面は、斜面55からロック受け部52にかけて略水平に配置され、検知部材70の突部87(後述する)及びロックアーム12のロック突起24を上方から押さえ付けることが可能な押さえ面56とされている。
 
【0016】
  ハウジング10は合成樹脂製であって、
図3及び
図4に示すように、ブロック状のハウジング本体11と、ハウジング本体11の上面に一体に連結される撓み変形可能な片持ち状のロックアーム12とからなる。ハウジング本体11の内部には、図示しない端子金具が挿入可能とされている。
 
【0017】
  ハウジング本体11の後端部の上面には、
図5及び
図6に示すように、ロックアーム12の後端部(後述する解除操作部28)の周りを取り囲むアーチ状の過度撓み規制部13が形成されている。また、
図19に示すように、過度撓み規制部13の内側空間は、後方から検知部材70が挿入される組み付け空間17になっている。
 
【0018】
  図5,6に示すように、過度撓み規制部13は、ハウジング本体11の上面の幅方向両端部から上方へ立ち上がる左右対称な一対の外側壁14(本発明の構成要件である壁部)と、両外側壁14の内側に位置してハウジング本体11の上面から上方へ立ち上がる左右対称な一対の内側壁15(本発明の構成要件である壁部)と、両内側壁15及び両外側壁14の各上端に連なってハウジング本体11の全幅に亘って架設される水平な平板状をなすブリッジ部16とで構成されている。つまり、ブリッジ部16は、その左端部と右端部において、夫々、左右に間隔を空けた二対の側壁14,15によって支持されている。
 
【0019】
  図3に示すように、ブリッジ部16には、その後縁部を切欠した形態の切欠部18が形成されている。ロックアーム12の解除操作部28における後端側領域が、切欠部18を通して上方から視認可能とされている。つまり、切欠部18を形成したことにより、解除操作部28を下方(ロック解除方向)へ押し操作することが可能となっている。また、内側壁15の後端は、切欠部18で区画されることにより、外側壁14の後端より前方に位置している。
 
【0020】
  両外側壁14の下端部の内面には、
図5及び
図19に示すように、一対のガイド溝19が形成されている。両ガイド溝19は、断面角凹状をなし、前後方向に延出して両外側壁14の前後両端に開口する形態とされている。両ガイド溝19の後端下部の内面には、一対の第1抜け止め部21が内側に突出して形成されている。
図16に示すように、第1抜け止め部21の後面は前方へ向けて内向き勾配となるテーパ状の形態とされ、第1抜け止め部21の前面は幅方向にほぼ沿った形態とされている。
 
【0021】
  両内側壁15の後端部の外面には、一対の第2抜け止め部22が外側に突出して形成されている。両第2抜け止め部22は、
図5及び
図6に示すように、ハウジング本体11の上面から上方へ向けて高さ方向に細長く延出するリブ状の形態とされている。そして、
図16に示すように、第2抜け止め部22の後面は前方へ向けて外向き勾配となるテーパ状の形態とされ、両第2抜け止め部22の前面は前方へ向けてやや内向き勾配となる逆テーパ状の形態とされている。
 
【0022】
  また、両内側壁15の前端部の外面には、
図17に示すように、一対の規制部23が外側に突出して形成されている。両規制部23は、
図5及び
図6に示すように、ブリッジ部16の下面から下方へ向けて高さ方向に細長く延出するリブ状の形態とされている。そして、規制部23は、第2抜け止め部22より小さい突出寸法を有するとともに、第2抜け止め部22より短い延出長さを有し、第2抜け止め部22よりも上方に配置されている。
図17に示すように、規制部23の後面は、前方へ向けて外向き勾配となるテーパ状の形態とされ、規制部23の前面は、前方へ向けて内向き勾配となるテーパ状の形態とされている。
 
【0023】
  ロックアーム12は、
図4に示すように、ハウジング本体11の前端部の上面から後方へ片持ち状に延出する形態とされている。ロックアーム12の下面とハウジング本体11の上面との間には、ハウジング本体11と相手ハウジング50が嵌合する過程でロックアーム12の弾性撓みを許容するための撓み空間25が形成されている。
 
【0024】
  また、
図3に示すように、ロックアーム12の前後方向略中央部には、ロック突起24が高さ方向に突出して形成されている。ロック突起24の後面は、後方に開放された係止面29とされ、
図11に示すように、ロック受け部52の係止受け面53と対向する上部側がやや逆テーパ状の形態とされ、検知部材70の突当部94(後述する)と対向する下部側がややテーパ状の形態とされている。
 
【0025】
  ロックアーム12は、ロック突起24よりも前方に、矩形板状の基端部26を有している。
図4に示すように、基端部26の前端側は、ハウジング本体11の上面に連結され、ロックアーム12の撓み動作の支点を構成している。さらに、
図3及び
図4に示すように、ロックアーム12は、ロック突起24の両脇から後方へ延出する左右対称な一対の側枠部27と、ロックアーム12をロック解除操作するための解除操作部28を有している。
 
【0026】
  図1,11に示すように、解除操作部28は、左右一対の第1操作部28Aと1つの第2操作部28Bとで構成されている。側枠部27の後端部は、
図3,
図4に示すように、上面がロック突起24の上端よりも高く設定されていて、この高くなった領域が第1操作部28Aとなっている。また、第2操作部28Bは、左右対称な一対の第1操作部28Aの上端同士を橋渡し状に連結する平板状をなしている。
 
【0027】
  前後方向において、解除操作部28の前端縁はブリッジ部16の前端縁と同じ位置に設定され、第1操作部28Aの後端縁及び第2操作部28Bの後端縁は、いずれも、ブリッジ部16の後端縁よりも後方の位置に設定されている。したがって、解除操作部28の前端側領域は、左右方向の全幅に亘り、ブリッジ部16によって上から覆われていることになる。そして、解除操作部28の後端側領域は、切欠部18と対応しているので、上方へ開放されている。また、第1操作部28Aの後端は第2操作部28Bの後端よりも後方へ突出しているので、切欠部18における前後方向の露出領域は、第2操作部28Bに比べて第1操作部28Aの方が大きい。
 
【0028】
  図13に示すように、両ハウジング10、50が正規嵌合されると、ロック突起24がロック受け部52に下方から弾性的に嵌り込み、係止面29が係止受け面53に当接可能に配置されて、両ハウジング10、50が嵌合状態に保持されるようになっている。一方、両ハウジング10、50が正規嵌合された状態で、解除操作部28の上面を下方へ押圧することにより、ロックアーム12が撓み空間25に撓み変形させられる。これにより、ロック受け部52からロック突起24が抜け出て、両ハウジング10、50を引き離すことが可能となる。
 
【0029】
  また、
図11に示すように、ロックアーム12の下面には、収容凹部31が後方に開口して形成されている。前後方向において収容凹部31はロック突起24と対応する位置に配置されている。収容凹部31は、検知部材70の突部87が適合可能な大きさ及び形状をなし、ロックアーム12の下面(撓み空間25側)及びロック突起24の後面に開口する形態とされている。収容凹部31の内上面は、ロックアーム12の基端部26の上面よりも上方に位置している。また、収容凹部31の内上面には、補助凹部32が部分的に凹み形成されている。
図6に示すように、補助凹部32は、収容凹部31の内上面における幅方向中央部に配置され、収容凹部31の全幅の概ね1/3の幅寸法を有している。そして、補助凹部32の深さは、収容凹部31の深さよりも充分に小さくされている。
 
【0030】
  続いて、検知部材70について説明する。検知部材70は、ハウジング本体11と同じく、合成樹脂製であって、
図7及び
図8に示すように、本体部71と、本体部71の前端に一体に連結された弾性アーム部72とを有している。そして、検知部材70は、ハウジング本体11に対して初期位置から待機位置を経て検知位置へと移動可能に組み付けられる。
 
【0031】
  本体部71は、
図2及び
図9に示すように、幅方向及び高さ方向に延出する背部73を有している。背部73には、解除操作窓74が開口して形成されている。解除操作窓74は、背部73の上端縁の幅方向略中央部に略角U字形に大きく凹む形態とされている。検知部材70がハウジング本体11に組み付けられた状態で背面視すると、解除操作窓74を通してロックアーム12の解除操作部28を視認することが可能となっている。
 
【0032】
  また、背部73は、幅方向両端部で高さ方向に延出する一対の縦部75と、両縦部75の下端部に連なって幅方向に延出する横部76とを有している。解除操作窓74は、両縦部75及び横部76によって区画されている。両縦部75及び横部76の各後面は、高さ方向にほぼ沿って配置され、検知位置への移動時に後方から押圧可能となっている。そして、両縦部75の上端には、一対の引っ掛け部77が突出して形成されている。両引っ掛け部77には指又は治具が引っ掛けられ、その状態で両引っ掛け部77に後方への引き抜き力が作用することにより、検知部材70が検知位置から初期位置へと引き戻されるようになっている。
 
【0033】
  図8に示すように、両縦部75は、側面視略矩形状をなし、その両外面の下端部に、一対のガイド部78を有している。ガイド部78は、横部76の前後方向の全長に亘って延出するリブ状の形態とされている。両ガイド部78の略下半部には、
図10に示すように、一対の第1止め部79が形成されている。第1止め部79の後面は幅方向に沿った形態とされている。そして、両ガイド部78は、両第1止め部79を挟んだ前後両側に、前後方向に延出して前後両端に開口する溝部81を有している。
 
【0034】
  両ガイド部78の後部の上面には、
図8及び
図9に示すように、両第1止め部79と前後方向で重なる位置に、一対の第1ガタ詰め部82が突出して形成されている。両第1ガタ詰め部82は、前後方向に延出する断面三角形のリブ状をなし、本体部71の幅方向両端部における下側後方に配置されている。
 
【0035】
  また、両縦部75の前部の上端面には、一対の第2ガタ詰め部83が突出して形成されている。第2ガタ詰め部83は、前後方向に延出する断面三角形のリブ状をなし、第1ガタ詰め部82より一回り小さいサイズで構成されている。そして、両第2ガタ詰め部83は、本体部71の幅方向両端部における上側前方に配置されている。検知部材70の移動過程では、両第1ガタ詰め部82が両ガイド溝19の内上面に圧潰状態で摺接するとともに、両第2ガタ詰め部83がブリッジ部16の下面に圧潰状態で摺接することにより、検知部材70の移動姿勢が正規姿勢に矯正されるようになっている。
 
【0036】
  また、
図7に示すように、両縦部75の前端には、一対の弾性片84が前方に突出して形成されている。両弾性片84は、
図8に示すように、側面視略矩形の板状をなし、縦部75の前端を支点として幅方向に撓み変形可能とされている。そして、両弾性片84の前端部には、
図9に示すように、一対の仮係止部85と一対の第2止め部86とが高さ方向に並んで形成されている。
 
【0037】
  仮係止部85は、弾性片84の前端部の略上半部から内側に突出するとともに高さ方向に延出する形態とされている。
図7に示すように、仮係止部85の後面は、前方へ向けて内向き勾配となるテーパ状の形態とされ、仮係止部85の前面は、前方へ向けて外向き勾配となるテーパ状の形態とされている。
図17に示すように、検知部材70が初期位置にあるときには、両仮係止部85の前面が両規制部23に後方からセミロック状態で当接することにより、検知部材70の検知位置への移動が副次的に規制されるようになっている。また、
図18に示すように、検知部材70が検知位置にあるときには、両仮係止部85の後面が両規制部23に前方からセミロック状態で当接することにより、検知部材70の初期位置への戻り移動が副次的に規制されるようになっている。
 
【0038】
  第2止め部86は、
図9に示すように、弾性片84の前端部の略下半部から内側に突出するとともに高さ方向に延出する形態とされている。
図10に示すように、第2止め部86は、仮係止部85よりも一回り小さくされている。そして、第2止め部86の後面は、後方へ向けてやや内向き勾配となる逆テーパ状の形態とされている。
図16に示すように、検知部材70が初期位置にあるときには、第1止め部79の後面が第1抜け止め部21に前方から当接するとともに、第2止め部86の後面が第2抜け止め部22に前方から当接することにより、検知部材70がハウジング本体11から抜け出るのが規制されるようになっている。
 
【0039】
  弾性アーム部72は、
図8に示すように、本体部71の前端の幅方向略中央部から斜め上前方へ片持ち状に延出する形態とされている。そして、弾性アーム部72は、略角棒状をなし、本体部71の前端に連なる後端部を支点として高さ方向(ロックアーム12と同じく上下方向)に撓み変形可能とされている。自然状態では、弾性アーム部72は後端から前端にかけてほぼ一定の傾斜角で上向きに傾斜する形態とされている。
 
【0040】
  一方、
図11〜
図13に示すように、検知部材70が初期位置から待機位置へと変位するに従い、弾性アーム部72はその傾斜角を段々小さくするように撓み変形させられる。そして、
図15に示すように、検知部材70が検知位置に至ると、弾性アーム部72が実質的に傾斜せずに略水平な姿勢をとるようになっている。このため、弾性アーム部72は、待機位置及び検知位置において弾発力を蓄勢した状態になる。
 
【0041】
  検知部材70を構成する弾性アーム部72の前端部には、
図8に示すように、略角ブロック状の突部87が上方に突出して形成されている。突部87の上端面には、補助突部91が、部分的に上方へ突出した形態で形成されている。補助突部91は、突部87の上端面の幅方向略中央部において、前後方向に延出するリブ状の形態とされている。したがって、補助突部91は、突部87よりも幅狭である。
 
【0042】
  補助突部91の突部87からの高さ方向への突出寸法は、突部87の弾性アーム部72からの高さ方向への突出寸法よりも充分に小さく設定されている。また、補助突部91の上面は、後方へ向けて下向き勾配となるテーパ状をなしている。そして、突部87が収容凹部31に挿入されたときには、補助突部91が補助凹部32内に嵌合して挿入されるようになっている。
 
【0043】
  突部87の前面のうち幅方向において補助突部91と対応する中央領域は、前後方向(検知部材70が待機位置と検知位置との間で移動する方向)に対して傾斜し、補助突部91の前面に対して面一状に連なった急傾斜面88となっている。また、突部87の前面のうち幅方向において補助突部91と非対応の領域(急傾斜面88以外の領域)は、前後方向に対する傾斜角度が急傾斜面88よりも小さく設定された左右一対の緩傾斜面92となっている。つまり、突部87の前面は、急傾斜面88と、急傾斜面88を左右両側から挟むように位置する一対の緩傾斜面92とによって構成されている。そして、一対の緩傾斜面92は、急傾斜面88に対して段差状に後退した形態(つまり、急傾斜面88よりも後方へ寝かせた形態)となっている。
 
【0044】
  図13に示すように、検知部材70が待機位置にあるときには、突部87の緩傾斜面92がロック突起24の後面における収容凹部31の上端開口縁31Eに後方から対向して配置されるようになっている。また、検知部材70が待機位置から検知位置に向かう過程では、
図14に示すように、緩傾斜面92が収容凹部31の上端開口縁31Eに摺接し、それに伴って弾性アーム部72が弾性的に下方へ傾倒するようになっている。さらに、検知部材70が検知位置に至ると、突部87が収容凹部31内に位置決め状態で挿入されるようになっている。収容凹部31の内面には、検知位置にて突部87の急傾斜面88と対向するテーパ状のガイド受け面34が形成されている。
 
【0045】
  また、突部87の前端下端部には、当接部93が前方に突出して形成されている。当接部93は、
図7に示すように、平面視矩形状をなしている。検知部材70が初期位置にあるときには、
図11に示すように、当接部93の上面がほぼ水平に配置されて収容凹部31の内上面に対して下方から当接するようになっている。これにより、弾性アーム部72がロックアーム12にプリロードを付与した状態で少し撓み変形させられた状態になる。
 
【0046】
  また、
図8に示すように、突部87の前面における急傾斜面88及び緩傾斜面92と当接部93との間の領域は、突当部94となっている。突当部94は、弾性アーム部72が自然状態にあるときには、高さ方向にほぼ沿って配置される。また、
図11に示すように、検知部材70が初期位置にあるときには、突部87の突当部94がロック突起24の係止面29に対して後方から対向して配置されるようになっている。
 
【0047】
  次に、本実施例1に係るコネクタの作用を説明する。組み付けに際し、まずハウジング本体11の組み付け空間17に後方から検知部材70が挿入される。組み付け過程では、第1ガタ詰め部82がガイド溝19の内上面に圧潰状態で摺接するとともに、第2ガタ詰め部83がブリッジ部16の下面に圧潰状態で摺接することにより、検知部材70の組み付け姿勢の安定性が担保される。
 
【0048】
  また、組み付け過程では、両弾性片84が撓み変形し、
図16に示すように、検知部材70が初期位置に至ることにより、両弾性片84が弾性復帰して第2止め部86が第2抜け止め部22に前方から係止可能に配置される。同時に、第1止め部79が第1抜け止め部21に前方から係止可能に配置される。これにより、検知部材70がハウジング本体11から後方へ抜け出るのが規制される。
 
【0049】
  検知部材70が初期位置に至ると、
図11に示すように、突部87の突当部94がロック突起24の係止面29に後方から係止可能に配置される。このため、初期位置で検知部材70を前方へ押し込もうとすると、突当部94が係止面29に当接して、検知部材70のそれ以上の前進が規制される。また、
図17に示すように、仮係止部85が規制部23に後方から当接することによっても、初期位置における検知部材70の前進が二次的に規制される。かくして、
図1に示すように、検知部材70は、ハウジング本体11に対して初期位置において前後方向への移動を規制された状態に保持される。
 
【0050】
  さらに、初期位置では、
図11に示すように、弾性アーム部72の当接部93が収容凹部31の内上面に下方から当接して、弾性アーム部72がロックアーム12に対して弾発力を蓄勢しつつ保持される。そして、当接部93が収容凹部31の内上面に当接することにより、突部87の突当部94とロック突起24の係止面29とのラップ代も所定値に自動的に定まる。しかも、当接部93が下から収容凹部31の内上面に当接することにより、弾性アーム部72がロックアーム12に対して相対的に上方へ変位すること、つまり、突当部94と係止面29との当接が解除されることが防止される。したがって、検知部材70の前進規制がより確実となる。
 
【0051】
  続いて、相手ハウジング50のフード部51内にハウジング本体11が嵌合される。嵌合過程では、ロック突起24が、干渉部54の斜面55に摺接した後、
図12に示すように、干渉部54の押さえ面56に押圧され、ロックアーム12が撓み空間25に撓み変形させられる。そして、ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合されると、ロック突起24に対する干渉部54からの押圧状態が解除され、
図13に示すように、ロックアーム12が弾性的に復帰するとともに、ロック突起24がロック受け部52内に下方から嵌り込む。これにより、ロック突起24の係止面29の上部がロック受け部52の係止受け面53に係止可能に配置され、両ハウジング10、50が正規嵌合状態に保持される。
 
【0052】
  ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合されると、
図13に示すように、突部87の上端面における補助突部91が干渉部54の押さえ面56によって下向きに押圧される。このとき、突部87はロックアーム12の復動変位に追従せずに干渉部54との当接状態を維持し、当接部93は収容凹部31から抜け出る。これにより、検知部材70は、弾性アーム部72がロックアーム12から解離して相手ハウジング50と当接する待機位置に留め置かれる。待機位置では、弾性アーム部72が干渉部54により撓み変形させられて水平に近い傾倒姿勢をとるようになる。
 
【0053】
  また、検知部材70が待機位置にある状態では、
図13に示すように、ロック突起24の後面における収容凹部31の上端開口縁31Eに対して突部87の緩傾斜面92が若干の隙間を空けつつ後方から対向して配置される。つまり、突部87の緩傾斜面92の高さ範囲に収容凹部31の上端開口縁31Eが収まるように配置される。
 
【0054】
  ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合された後は、検知部材70の背部73の後面を前方へ押して、検知部材70を検知位置に向かって前進させる。待機位置の検知部材70に前方への押し込み力が加わると、仮係止部85と規制部23とのセミロック状態が解除され、弾性片84が撓み変形して規制部23に乗り上げられる。また、検知位置への前進過程では、
図14に示すように、突部87の緩傾斜面92が収容凹部31の上端開口縁31Eに摺接する。この摺接過程では、緩傾斜面92の前後方向に対する傾斜角度が、急傾斜面88に比べて小さいので、摺接に起因する抵抗が小さく抑えられる。緩傾斜面92と収容凹部31の上端開口縁31Eとの摺接により、弾性アーム部72がより大きく撓み変形させられるとともに撓み空間25に深く挿入され、さらに、突部87が収容凹部31に後方から挿入される。
 
【0055】
  検知部材70が検知位置に至ると、
図15に示すように、突部87の略全体が収容凹部31に嵌合して収容され、同じく補助突部91も補助凹部32に嵌合して収容される。突部87が収容凹部31の内前面に当接することにより、検知部材70のそれ以上の前進が規制される。また、検知位置では、
図18に示すように、弾性片84が弾性復帰して、仮係止部85が規制部23に前方から当接することにより、検知部材70の後退が規制される。こうして検知部材70は検知位置に留め置かれる。
 
【0056】
  また、検知位置では、
図15に示すように、弾性アーム部72がロックアーム12とハウジング本体11との間に弾発力を蓄勢させた状態でほぼ水平姿勢に保持される。そして、弾性アーム部72が撓み空間25に正規深さで挿入され、これによってロックアーム12の撓み動作が規制される結果、両ハウジング10、50の嵌合状態が強固に保持される。なお、検知部材70が初期位置から待機位置を経て検知位置に向かう過程では、第1ガタ詰め部82がガイド溝19の内上面に圧潰状態で摺接するとともに、第2ガタ詰め部83がブリッジ部16の下面に圧潰状態で摺接することにより、本体部71が傾倒するのが回避され、検知部材70の移動姿勢の安定性が担保される。また、初期位置、待機位置及び検知位置の各位置では、
図2及び
図20に示すように、第1ガタ詰め部82及び第2ガタ詰め部83のガタ詰め作用によって本体部71のガタ付きが抑えられ、検知部材70がハウジング本体11に位置決め状態に保持される。
 
【0057】
  一方、ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合されずに半嵌合位置で留まっていると、
図12に示すように、ロックアーム12が干渉部54の押さえ面56に押圧されて撓み空間25に撓み変形したままの状態となる。したがって、この状態で検知部材70を前方へ押し込もうとしても、突部87がロック突起24と干渉して、弾性アーム部72が撓み空間25に進入することができず、検知部材70の検知位置への移動が阻止される。したがって、検知部材70が検知位置に移動可能か否かによって、ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合されたかどうかを知ることが可能となっている。
 
【0058】
  また、正規嵌合状態に保持されている両ハウジング10、50を離脱させる際には、まず引っ掛け部77に指又は治具をあてがい、その状態で検知部材70を後方へ引っ張るようにする。検知部材70に後方への引っ張り力が作用すると、弾性片84の撓み動作を伴いながら仮係止部85と規制部23との係止状態が解除されるので、検知部材70は初期位置に引き戻される。
 
【0059】
  この後、後方から解除操作窓74に指又は治具を挿入し、解除操作部28の上面に指又は治具をあてがって、解除操作部28を下方(ロック解除方向)へ押し操作する。このとき、解除操作部28の上方にはブリッジ部16が配置されているのであるが、解除操作部28における後端側領域(第1操作部28Aの後端側領域又は第2操作部28Bの後端部)が、切欠部18において上方へ露出されているので、解除操作部28をロック解除方向へ押し操作することが可能となっている。
 
【0060】
  解除操作部28をロック解除操作すると、ロックアーム12が下方へ弾性撓みし、ロック突起24がロック受け部52から解離して、ロックアーム12とロック受け部52との係止状態が解除される。この後は、解除操作部28を押し下げた状態を維持したままで、ハウジング本体11を相手ハウジング50から引き離すことにより、両ハウジング10、50が互いに離脱される。
 
【0061】
  以上のように、本実施例1によれば、次の効果を奏することができる。本実施例1のコネクタは、ハウジング本体11の上面から後方へ片持ち状に延出した形態であって、ハウジング本体11と相手ハウジング50との嵌合方向と交差する上下方向に撓み変形可能とされていて、ロック受け部52に弾性的に係止することでハウジング本体11と相手ハウジング50とを正規嵌合状態に保持するロックアーム12と、ハウジング本体11の上面に組み付けられ、ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合したときに初期位置から検知位置に向かって移動させられる検知部材70とを備える。
 
【0062】
  検知部材70には、斜め上前方へ片持ち状に延出した形態であって、上下方向への撓み変形を可能とされた弾性アーム部72が形成されている。弾性アーム部72の延出端部(前端部)には、ロックアーム12の係止面29に対して後方から係止することで検知部材70の初期位置から検知位置への移動を規制し、ハウジング本体11が相手ハウジング50に正規嵌合したときにロックアーム12への係止が解除される突当部94が形成されている。弾性アーム部72の延出端部には、ロックアーム12の収容凹部31の内上面に対して下方(撓み空間25側)から当接することで、ロックアーム12に係止している突当部94が上方(撓み空間25とは反対側)へ外れるのを規制する当接部93が形成されている。
 
【0063】
  このように当接部93がロックアーム12に対して下から当接しているので、ハウジング本体11が相手ハウジング50と未嵌合であって検知部材70が初期位置にある状態で、検知部材70が前方へ不正に押し動かされた場合、弾性アーム部72の前端部がロックアーム12を上方(つまり、ロックアーム12の本来の弾性撓み方向とは逆の方向)へ突き上げられてしまう。ロックアーム12が過度に突き上げられると、突当部94が係止面29から外れ、その結果、弾性アーム部72がロックアーム12の下に潜り込むようにして検知位置側へ押し込まれてしまうことが懸念される。
 
【0064】
  しかし、本実施例1のコネクタは、ハウジング本体11の上面から立ち上がる左右で対をなす壁部(外側壁14,内側壁15)と、これらの壁部(外側壁14,内側壁15)の上端同士を繋ぐブリッジ部16とを備えていて、このブリッジ部16が、ロックアーム12の解除操作部28の上面を覆うように配置されている。したがって、ロックアーム12が突き上げられても、
図21に示すように、解除操作部28の上面がブリッジ部16に下から当接し、この当接作用によって、ロックアーム12のそれ以上の上動が規制される。これにより、検知部材70が不正に検知位置へ押し込まれてしまうのを防止できる。また、ロックアーム12が、その弾性限度を超えて過度に撓むことも防止される。
 
【0065】
  また、本実施例1では、ブリッジ部16の左右両端部が、ハウジング本体11から立ち上がって対をなす壁部(外側壁14,内側壁15)によって支持されているので、ロックアーム12側からの押圧力に負けて上方へ湾曲するように変形する虞がない。したがって、本実施例1によれば、ロックアーム12が突き上げられることを確実に規制して、検知部材70が不正に検知位置へ移動することを確実に防止できるので、検知部材70による嵌合検知機能の信頼性に優れている。
 
【0066】
  さらに、本実施例1のコネクタは、ブリッジ部16の左右両端部を支持する壁部(外側壁14,内側壁15)が、左右方向に並ぶように(つまり、左右に間隔を空けて)二対設けられていて、ブリッジ部16が、これら二対の壁部(外側壁14,内側壁15)の上端部に連なっている。このように、ブリッジ部16の左右両端部を、夫々、左右に間隔を空けた2カ所で支持しているので、ブリッジ部16がその中央部を上方へ持ち上げられるように湾曲変形することを、確実に防止できる。
 
【0067】
  また、本実施例1のコネクタは、ロックアーム12の後端部に、ロック受け部52との係止状態を解除する際に下方へ押圧操作するための解除操作部28が形成されていて、この解除操作部28がブリッジ部16に当接するようになっている。しかし、ブリッジ部16は、解除操作部28の上面のうち前端側領域のみを覆う形態となっているので、解除操作部28の後端側領域が、ブリッジ部16と非対応であって上方に露出している。したがって、解除操作部28をロック解除操作する際にブリッジ部16が操作の妨げになることはない。
 
【0068】
  また、検知部材70が初期位置にあるときに、弾性アーム部72がロックアーム12に高さ方向から当接してプリロードを付与した状態になり、それに伴って弾性アーム部72がロックアーム12に後方から当接可能な位置に配置されてロックアーム12に対するラップ代も適正に定まるため、検知部材70の寸法を厳密に管理しなくても、検知信頼性の向上を図ることができる。
 
【0069】
  ここで、検知部材70が待機位置にあるときに、弾性アーム部72の突部87がロックアーム12と高さ方向で重なる位置に配置され、突部87の緩傾斜面92が待機位置から検知位置への移動過程でロックアーム12に摺接するため、待機位置における突部87の位置精度の正確性が要求される。その点、本実施例1によれば、弾性アーム部72が初期位置でロックアーム12に高さ方向から当接するため、突部87の位置精度を満足させることができる。
 
【0070】
  また、検知部材70が検知位置への移動時に押圧される本体部71を有し、ハウジング本体11には検知部材70の移動過程で本体部71が摺接するようになっており、本体部71とハウジング本体11の両摺接面のうち、本体部71の摺動面にはハウジング本体11の摺動面に対して高さ方向に圧潰され得る第1ガタ詰め部82及び第2ガタ詰め部83が設けられているため、検知部材70が高さ方向にがた付くのが防止される。その結果、検知部材70の検知信頼性がより高められる。
 
【0071】
  また、第1ガタ詰め部82及び第2ガタ詰め部83が、本体部71において前後方向に2つ並んで配置されているとともに、高さ方向に2つ並んで配置されているため、検知部材70が前後方向に傾動するのが防止され、検知部材70の姿勢の安定性が担保される。
 
【0072】
  また、検知部材70が検知位置に至ると、突部87がロックアーム12の収容凹部31内に収容されるため、高さ方向に関してロックアーム12と検知部材70とが重なる位置に配置されることになり、コネクタの低背化を図ることができる。この場合に、収容凹部31が、ロックアーム12の撓み空間25側及び後方に開口する形態とされ、ハウジング本体11に連なる前端部には開口しないため、ロックアーム12の強度が減退するのが回避される。その結果、ロックアーム12によるロックの信頼性が高められる。
 
【0073】
  また、ロックアーム12にはロック突起24が高さ方向に突出して形成され、収容凹部31がロック突起24の後面に開口する形態とされているから、ロック突起24の高さ範囲で収容凹部31の開口領域を高さ方向に大きく確保することができる。また、検知部材70が待機位置にあるときに、突部87とロック突起24とが高さ方向に関して重なる位置に配置されるため、コネクタのよりいっそうの低背化を図ることができる。
 
【0074】
  また、検知部材70が待機位置から検知位置に至る過程で、突部87の緩傾斜面92が収容凹部31の上端開口縁31Eに摺接することにより、突部87の収容凹部31への挿入動作が案内されるため、検知部材70の移動操作の安定性が担保される。
 
【0075】
  また、収容凹部31には突部87に加えて補助突部91が挿入され、補助突部91の高さ分、収容凹部31の深さも増加してロックアーム12の強度が低下する懸念があるものの、本実施例1によれば、収容凹部31の内上面の一部に、検知位置で補助突部91が嵌る補助凹部32が凹み形成されるに過ぎないため、収容凹部31全体の深さが増加することはなく、ロックアーム12の強度が低下するのを抑えることができる。
 
【0076】
  また、解除操作部28における撓み空間25に臨む面とは反対側の面が、部分的にではあるが、保護壁13のブリッジ部16によって覆われているので、保護壁13によって解除操作部28への不用意な解除操作が規制されている。また、その一方で、ロックアーム12の係止状態を解除する際には検知部材70の背部73に開口する解除操作窓74を通して指や治具を解除操作部28にあてがって解除操作を行うことができるようになっている。さらに、ブリッジ部16には、解除操作部28の上面の一部を上方へ開放させる切欠部18を形成しているので、ロックアーム12の係止状態を解除する操作を容易に行うことができる。
 
【0077】
  また、ハウジング本体11から相手ハウジング50を引き離す際には、背部73の引っ掛け部77に指や治具を引っ掛けて検知部材70を初期位置側へ引き戻し、その後、解除操作部28への解除操作を行うことが可能となる。この場合に、引っ掛け部77が背部73における解除操作窓74を挟んだ両側に対をなして配置されているため、背部73のスペース効率が良好となり、コネクタの小型化に対応することができる。
 
【0078】
  <他の実施例>
  本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
  (1)検知部材が検知位置に至ったときに、検知部材がロックアームの撓み動作を規制することができない構成であってもよい。
  (2)収容凹部は、突部が適合可能な大きさ及び形状に形成されていなくてもよく、突部が遊嵌される大きさに形成されるものであってもよい。
  (3)収容凹部は、ロックアームにおけるロック突起以外の部分で後方に開口する形態であってもよい。
  (4)ガタ詰め部は、ハウジング本体に形成され、本体部には形成されないものであってもよい。また、ガタ詰め部は、本体部とハウジング本体の双方に形成されるものであってもよい。
  (5)ガタ詰め部は、前後方向及び高さ方向の同軸上に複数並んで配置されるものであってもよい。
  (6)ガタ詰め部は、前後方向及び高さ方向に3つ以上並んで配置されるものであってもよい。
  (7)補助突部は、突部の上端に複数形成されていてもよく、例えば、突部の上端の幅方向両側に対をなして形成されていてもよい。この場合、収容凹部には、補助突部と対応する位置に、複数の補助凹部が形成されていればよい。
  (8)ガイド面及びガイド斜面は、曲面状の斜面として形成されるものであってもよい。
  (9)上記実施例では、ブリッジ部の左右両端部を二対の壁部で支持したが、ブリッジ部の左右両端部を一対の壁部で支持してもよい。
  
<参考例>
  (1)上記実施例では、ブリッジ部が解除操作部の上面を覆う形態としたが、参考例として、ブリッジ部が、ロックアームの上面のうち解除操作部以外の領域を覆う形態とすることができる。
  (2)上記実施例では、ブリッジ部が解除操作部の前端側領域のみを覆う形態としたが、参考例として、ブリッジ部が、解除操作部の後端側領域のみ、又は解除操作部の前後方向における中央部のみを覆う形態とすることができる。