(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定する無線制御装置であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件に基づいて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する第二送信局送信電力決定手段を備え、
前記第二送信局送信電力決定手段は、前記第一の条件と、各々の前記第二送信局の送信電力に関する第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量に関する第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定し、
前記第二の条件は、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することであり、
前記第二送信局送信電力決定手段は、
前記第一の条件と、前記第二の条件とによって導出される計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する仮送信電力算出手段と、
前記第三の条件に基づき、前記仮の送信電力を補正する第一の補正手段とを含み、
前記第三の条件は、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定めるものであり、
前記第一の補正手段は、
仮の送信電力が前記許容最大送信電力以上となる第二送信局に、前記許容最大送信電力を割り当てる第一の許容最大送信電力割当手段と、
前記許容最大送信電力が割り当てられた第二送信局が前記第一受信局に与える干渉電力を、システム与干渉量の許容値から減算して新たな許容値として定める与干渉量許容値更新手段とを有し、
前記仮送信電力算出手段は、前記新たな許容値を用いて、前記許容最大送信電力が割り当てられていない第二送信局の仮の送信電力を再度算出する
ことを特徴とする無線制御装置。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定する無線制御装置であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件に基づいて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する第二送信局送信電力決定手段を備え、
前記第二送信局送信電力決定手段は、前記第一の条件と、各々の前記第二送信局の送信電力に関する第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量に関する第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定し、
前記第二の条件は、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することであり、
前記第二送信局送信電力決定手段は、
前記第一の条件と、前記第二の条件とによって導出される計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する仮送信電力算出手段と、
前記第三の条件に基づき、前記仮の送信電力を補正する第一の補正手段とを含み、
前記仮送信電力算出手段は、前記第一の条件として示される前記システム与干渉量についての許容値である許容干渉電力を、送信電力の算出対象とされる第二送信局の数で割る項と、該算出対象とした第二送信局から前記第一受信局に至る伝搬利得の逆数を掛ける項とを少なくとも含む計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する
ことを特徴とする無線制御装置。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定する無線制御装置であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件に基づいて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する第二送信局送信電力決定手段を備え、
前記第二送信局送信電力決定手段は、前記第一の条件と、各々の前記第二送信局の送信電力に関する第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量に関する第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定し、
前記第二の条件は、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することであり、
前記第三の条件は、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定めるものであり、
前記第二送信局送信電力決定手段は、前記拘束条件内において、前記第一受信局への伝搬利得が小さい第二送信局からまたは前記第一受信局との距離が大きい第二送信局から順に許容最大送信電力を割り当てていくことにより、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する
ことを特徴とする無線制御装置。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定方法であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する過程で、
コンピュータが、前記第一の条件と、前記第二の条件とによって導出される計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出し、
コンピュータが、前記第三の条件に基づき、仮の送信電力が前記許容最大送信電力以上となる第二送信局に、前記許容最大送信電力を割り当てることで、前記仮の送信電力を補正し、
コンピュータが、前記許容最大送信電力が割り当てられた第二送信局が前記第一受信局に与える干渉電力を、システム与干渉量の許容値から減算して新たな許容値として定め、
コンピュータが、前記新たな許容値を用いて、前記許容最大送信電力が割り当てられていない第二送信局の仮の送信電力を再度算出する
ことを特徴とする第二送信局送信電力決定方法。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定方法であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する過程で、
コンピュータが、前記第一の条件として示される前記システム与干渉量についての許容値である許容干渉電力を、送信電力の算出対象とされる第二送信局の数で割る項と、該算出対象とした第二送信局から前記第一受信局に至る伝搬利得の逆数を掛ける項とを少なくとも含む計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出し、
コンピュータが、前記第三の条件に基づき、前記仮の送信電力を補正する
ことを特徴とする第二送信局送信電力決定方法。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定方法であって、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する過程で、
コンピュータが、前記拘束条件内において、前記第一受信局への伝搬利得が小さい第二送信局からまたは前記第一受信局との距離が大きい第二送信局から順に許容最大送信電力を割り当てていくことにより、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する
ことを特徴とする第二送信局送信電力決定方法。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定用プログラムであって、
コンピュータに、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する処理を実行させ、
前記送信電力を決定する処理で、
前記第一の条件と、前記第二の条件とによって導出される計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する処理、
前記第三の条件に基づき、仮の送信電力が前記許容最大送信電力以上となる第二送信局に、前記許容最大送信電力を割り当てることで、前記仮の送信電力を補正する処理、
前記許容最大送信電力が割り当てられた第二送信局が前記第一受信局に与える干渉電力を、システム与干渉量の許容値から減算して新たな許容値として定める処理、および
前記新たな許容値を用いて、前記許容最大送信電力が割り当てられていない第二送信局の仮の送信電力を再度算出する処理
を実行させる第二送信局送信電力決定用プログラム。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定用プログラムであって、
コンピュータに、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する処理を実行させ、
前記送信電力を決定する処理で、
前記第一の条件として示される前記システム与干渉量についての許容値である許容干渉電力を、送信電力の算出対象とされる第二送信局の数で割る項と、該算出対象とした第二送信局から前記第一受信局に至る伝搬利得の逆数を掛ける項とを少なくとも含む計算式を用いて、各々の前記第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する処理、および
前記第三の条件に基づき、前記仮の送信電力を補正する処理
を実行させるための第二送信局送信電力決定用プログラム。
第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局で用いる送信電力を決定するための第二送信局送信電力決定用プログラムであって、
コンピュータに、
全ての前記第二送信局から第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件と、各々の前記第二送信局の許容最大送信電力を少なくとも定める第三の条件とを拘束条件として、前記第二の無線システムの伝送容量を最大化することである第二の条件を満足するように、所定の最適化アルゴリズムを用いて、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する処理を実行させ、
前記送信電力を決定する処理で、
前記拘束条件内において、前記第一受信局への伝搬利得が小さい第二送信局からまたは前記第一受信局との距離が大きい第二送信局から順に許容最大送信電力を割り当てていくことにより、各々の前記第二送信局で用いる送信電力を決定する処理
を実行させるための第二送信局送信電力決定用プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施形態では、プライマリシステムの受信局に与える干渉量についての許容値を満足しつつ、セカンダリシステムの伝送容量を最大あるいは最大に近い値とするためのセカンダリ基地局の送信電力決定方法を採用する。また、セカンダリ基地局の送信電力の最大値・最小値についても条件に加え、セカンダリ基地局の送信電力を決定している。
【0020】
図1は、本発明に係る無線制御装置50の一例を含み、かつ、第一の無線システム11と第二の無線システム12を備える無線システム1を示すシステム構成図である。本発明においては、第一の無線システム11をプライマリシステム、第二の無線システム12をセカンダリシステムとして説明する。
【0021】
プライマリシステム11は、基地局101を備える。また、システム帯域として、例えば、
図2に示すような周波数帯域21が割り当てられている(または優先的な使用が許可されている)。
【0022】
また、プライマリシステム11は、基地局101との間で通信または放送が可能なエリア(カバーエリア)102内に端末局103を備える。なお、
図1では、基地局101のカバーエリア102内に5つの端末局103(端末局103−1〜103−5)を示しているが、端末局103の数はいくつであってもよい。
【0023】
一方、セカンダリシステム12は、
図1に示す例では、基地局201と、基地局301と、基地局401とを備える。基地局201は、そのカバーエリア202が、プライマリシステム11の基地局101のカバーエリア102の周辺またはオーバーラップするように配置される。また、基地局201のカバーエリア202内には1台以上の端末局203が存在すると仮定する。
【0024】
同様に、基地局301と401とは、それぞれのカバーエリア302、402が、プライマリシステム11の基地局101のカバーエリア102の周辺またはオーバーラップするように配置される。また、基地局301と401のカバーエリア302と402内に、それぞれ1台以上の端末局303、1台以上の端末局403が存在すると仮定する。
【0025】
なお、
図1に示す例では、基地局201のカバーエリア202内に端末局203−1と端末局203−2とが存在し、基地局301のカバーエリア302内に端末局303−1と端末局303−2とが存在し、基地局401のカバーエリア402内に端末局403−1と端末局403−2とが存在する例を示している。ただし、端末局203、303、403の数はいくつであってもよい。
【0026】
ここで、セカンダリシステム12は、例えば
図2に示すような、プライマリシステム11のシステム帯域として割り当てられている、または優先的な使用が許可されている周波数帯域21と同一の周波数帯域22を空間的に離れて使用する。
【0027】
また、プライマリシステム11が、システム帯域として例えば
図3に示すような周波数帯域31が割り当てられている、または優先的な使用が許可されている場合に、セカンダリシステム12が、その周波数帯域31の隣接周波数帯域32を使用する場合もある。
【0028】
このようなシステムモデルにおいて、無線制御装置50は、セカンダリシステム12からプライマリシステム11に到達する干渉信号がプライマリシステムの受信局における受信性能に影響を与えないように、セカンダリシステム12の送信局の送信電力を決定する。ここでは、プライマリシステムの下り回線において、
図2に示す周波数帯域21または
図3に示す周波数帯域31を使用する形態を想定し、セカンダリシステムの下り回線において、
図2に示す周波数帯域22または
図3に示す周波数帯域32を使用する形態を想定する。そのため、プライマリシステムの基地局101のカバーエリア102内のプライマリ端末局103−1〜103−5がプライマリシステムの受信局となる。また、セカンダリシステムの基地局201、301、401がセカンダリシステムの送信局となる。
【0029】
図4は、無線制御装置50の構成例を示すブロック図である。無線制御装置50は、プライマリ情報格納部501と、伝搬利得算出部502と、許容干渉電力算出部503と、送信電力算出部504と、他受信点干渉評価部505と、評価指標算出部506と、信号受信部507と、セカンダリ情報格納部508と、送信電力決定部509と、信号送信部510とを備える。
【0030】
プライマリ情報格納部501は、プライマリシステムの情報(以下、プライマリ情報という。)が格納されたプライマリDB(DateBase)104よりプライマリ情報を入手して格納する。プライマリ情報は、例えば、プライマリ基地局の使用周波数情報、カバーエリア情報、位置情報、送信電力情報、送信アンテナ高情報、送信アンテナ指向特性情報や、プライマリ端末局の位置情報、受信アンテナ高情報、受信アンテナ指向特性情報や、周辺の地形や地物情報や、許容SIR(Signal to Interference Ratio:信号電力対干渉電力比)情報等である。
【0031】
なお、プライマリ情報格納部501が格納するプライマリ情報は、伝搬利得算出部502、許容干渉電力算出部503、送信電力算出部504、他受信点干渉評価部505、評価指標算出部506によって参照される。無線制御装置50(より具体的にはプライマリ情報格納部501)とプライマリDB104とは有線で接続されていてもよいし、無線によりプライマリ情報を入手する構成であってもよい。なお、プライマリ情報格納部501の代わりにプライマリDB104そのものを、無線制御装置50が備える構成であってもよい。
【0032】
信号受信部507は、各セカンダリ基地局201、301、401からセカンダリ情報を受信し、セカンダリ情報格納部508に出力(格納)する。セカンダリ情報とは、セカンダリシステムの情報であって、例えば、セカンダリ基地局の使用周波数情報、カバーエリア情報、位置情報、許容最大送信電力値情報、所要最小送信電力値情報、送信アンテナ高情報、送信アンテナ指向特性情報や、周辺の地形や地物情報等である。さらにセカンダリ情報には、トラフィックが発生中のセカンダリ端末局の位置情報、受信アンテナ高情報、受信アンテナ指向特性情報、無線リソース割り当て情報等が含まれていてもよい。なお、無線制御装置50(より具体的には信号受信部507)と各セカンダリ基地局201、301、401とは、有線で接続されていてもよいし、無線によりセカンダリ情報を入手する構成であってもよい。無線にてセカンダリシステムの各基地局と情報を交換(収集および通知)する場合には、無線制御装置50は送信アンテナおよび受信アンテナを備える構成となる。
【0033】
ここで、セカンダリ情報に含まれるセカンダリ基地局の許容最大送信電力値や所要最小送信電力値は、セカンダリ基地局を構成するパワーアンプなどの性能面から規定されるものであってもよい。また、これらの値は、セカンダリ基地局における現在のまたは将来予想されるトラフィックやトラフィックが発生中のセカンダリ端末局の位置情報等に基づいて適応的に変更される値であってもよい。例えば、各セカンダリ基地局のトラフィック量について、許容最大送信電力値を規定するための閾値を定めておき、現在のまたは将来予想されるトラフィックが所定の閾値よりも多い場合には、性能面から規定される最大値を許容最大送信電力値としてもよい。また、例えば現在のまたは将来予想されるトラフィックが所定の閾値よりも少ない場合には、性能面から規定される最大値よりも低い値を許容最大送信電力値としてもよい。また、例えばトラフィックが発生中のセカンダリ端末局の位置がセカンダリ基地局の近傍(例えば、所定の閾値以内の距離)に存在する場合には、性能面から規定される最大値よりも低い値を許容最大送信電力値としてもよい。
【0034】
なお、ここでは無線制御装置50が、セカンダリシステム12とは独立して存在する構成を説明したが、本実施形態はそれに限定されない。例えば、無線制御装置50が、セカンダリシステム12のネットワーク内に存在する構成としてもよい。また、セカンダリシステム12の送信局(基地局や端末局)に無線制御装置50を備える構成としてもよい。
【0035】
セカンダリ情報格納部508は、信号受信部507から出力されたセカンダリ情報を格納する。なお、セカンダリ情報格納部508が格納するセカンダリ情報は、伝搬利得算出部502、送信電力算出部504、他受信点干渉評価部505、評価指標算出部506によって参照される。
【0036】
伝搬利得算出部502は、セカンダリシステムの基地局201、301、401からプライマリシステムへの受信局103(本例では、受信局103−1〜103−5)との間の伝搬利得の算出を行う。より具体的には、伝搬利得算出部502は、プライマリ情報格納部501に格納されているプライマリ情報(例えば、プライマリ端末局の位置情報や受信アンテナ高情報、周辺の地形や地物情報)と、セカンダリ情報格納部508に格納されているセカンダリ情報(例えば、セカンダリ基地局の使用周波数情報やセカンダリ基地局の位置情報、送信アンテナ高情報)とを用いて、所定の伝搬損失算出式によってセカンダリシステムの基地局からプライマリ端末局までの伝搬損失L
jSP0[dB](jはセカンダリ基地局の番号を表す)を算出する。例えば、秦式(中小都市モデル)を用いて算出する場合には、伝搬損失は、以下の式(1)で算出される。
【0037】
L
jSP0=69.55+22.16log(f)−13.82log(h
b)−(1.1log(f)−0.7)h
m+(1.56log(f)−0.8)+(44.9−6.55log(h
b))logd ・・・式(1)
【0038】
ここで、fはセカンダリ基地局が使用する周波数を表し、h
bはセカンダリ基地局のアンテナ高を表し、h
mはプライマリ端末局のアンテナ高を表し、dはセカンダリ基地局とプライマリ端末局間の距離を表す。
【0039】
なお、ここでは伝搬損失の算出に秦式(中小都市モデル)を用いた場合の例を示したが、伝搬損失の算出式は上記のものに限定されない。例えば、複数の伝搬利得算出モデルを用意しておき、プライマリ情報格納部501に格納されているプライマリ情報(例えば、周辺の地形や地物情報)を用いて、最適な伝搬利得算出式を選択する構成としてもよい。例えば、大都市モデル、郊外地モデル、開放地モデルなどから最適な伝搬利得算出式を選択してもよい。さらには、伝搬損失の算出に、坂上式やITU−R勧告のP.1546モデル、平面大地伝搬モデル、自由空間伝搬損失式など、他の伝搬モデルや伝搬損失式を用いてもよい。
【0040】
次に、プライマリシステムとセカンダリシステム間の伝搬利得G
jSP0を以下の式(2)より求める。
【0042】
ここで、伝搬利得は伝搬損失とは逆の関係になる。そのため、伝搬利得が大きいとは伝搬損失が小さいことを意味し、伝搬利得が小さいとは伝搬損失が大きいことを表す。さらに、プライマリシステムの端末局(プライマリ端末局)とセカンダリ基地局間のシステム間伝搬利得G
jSPは、プライマリ端末局のセカンダリ基地局方向へのアンテナ指向特性を考慮した受信アンテナ利得と、セカンダリ基地局のプライマリ端末局方向への送信アンテナ指向特性を考慮した送信アンテナ利得とを考慮して、以下の式(3)のように表される。
【0043】
G
jSP=G
jSP0×TxG
j×RxG
j ・・・式(3)
【0044】
ここで、TxG
jは、セカンダリ基地局jのプライマリ端末局の方向への送信アンテナ指向特性を考慮した送信アンテナ利得を表す。また、RxG
jは、プライマリ端末局のセカンダリ基地局jの方向へのアンテナ指向特性を考慮した受信アンテナ利得を表す。
【0045】
伝搬利得算出部502は、セカンダリ基地局とその基地局のカバーエリア内に存在する端末局との間の伝搬利得や、当該端末局(セカンダリ基地局のカバーエリア内に存在する端末局)と当該端末局が接続する基地局とは異なる基地局との間の伝搬利得も算出してもよい。このように求めた伝搬利得情報は、送信電力算出部504、他受信点干渉評価部505、評価指標算出部506に出力され、セカンダリシステムの伝送容量を求めるために使用される。なお、セカンダリ基地局とその基地局のカバーエリア内に存在する端末局との間の伝搬利得は、例えば、後述する式(5)の伝搬利得G
jkとして用いられる。また、セカンダリ基地局のカバーエリア内に存在する端末局と、当該端末局が接続する基地局とは異なる基地局との間の伝搬利得は、例えば、後述する式(6)のG
hjkSSとして用いられる。
【0046】
許容干渉電力算出部503は、プライマリシステムにおける許容干渉電力を算出し、許容干渉電力情報として送信電力算出部504に出力する。許容干渉電力は、例えば、プライマリシステムの所要受信信号電力がS[dBm]であり、許容SIRが23[dB]と規定されている場合、S−23[dBm]で求められる。
【0047】
送信電力算出部504は、プライマリ情報と、セカンダリ情報と、伝搬利得算出部502によって算出された伝搬利得情報と、許容干渉電力算出部503によって算出された許容干渉電力情報とを用いて、各セカンダリ基地局の送信電力を算出する。より具体的には、送信電力算出部504は、対象とするプライマリ端末局に対して、セカンダリ基地局から与えられる干渉量を許容値以下に抑えつつ、プライマリシステムの伝送容量を出来るだけ大きくするための各セカンダリ基地局の送信電力を求める。送信電力算出部504は、算出した送信電力を送信電力情報として、他受信点干渉評価部505に出力する。なお、送信電力算出部504のより詳細な構成および送信電力算出部504におけるより詳細な送信電力の算出方法については後述する。
【0048】
他受信点干渉評価部505は、プライマリ情報と、セカンダリ情報と、伝搬利得算出部502によって算出された伝搬利得情報と、送信電力算出部504によって算出された送信電力情報とを用いて、送信電力算出部504での処理において対象としたプライマリ端末局以外のプライマリ端末局において干渉量が許容値以下であるかを評価する。その結果、全てのプライマリ端末局において干渉量が許容値以下である場合には、他受信点干渉評価部505は、その旨と送信電力算出部504からの送信電力情報とを評価指標算出部506に通知する。
【0049】
評価指標算出部506は、プライマリ情報と、セカンダリ情報と、伝搬利得算出部502によって算出された伝搬利得情報と、送信電力算出部504によって算出された送信電力情報(ここでは、全てのプライマリ端末局において干渉量が許容値以下であると評価された送信電力の情報)とを用いて、送信電力情報によって示される送信電力を評価するための評価指標を算出し、評価指標情報として送信電力決定部508に出力する。例えば、評価指標として、セカンダリシステム全体の伝送容量を算出してもよい。セカンダリシステム全体の伝送容量Cは、例えば、以下の式(4)を用いて算出できる。
【0051】
ここで、Bは使用する周波数帯域幅を表し、Mはセカンダリ基地局数を表し、K
jはセカンダリ基地局jにおける端末局数を表す。また、SINR
jkは、各セカンダリ基地局jのカバーエリアにおける各端末局kのSINR(Signal to Interference and Noise Ratio:信号電力対干渉および雑音電力比)を表す。なお、信号電力(S
jk)と干渉電力(I
jk)はそれぞれ以下の式(5),(6)で表される。
【0054】
ここで、P
jはセカンダリ基地局jの送信電力を表し、G
jkはセカンダリ基地局jからセカンダリ基地局jのカバーエリア内に存在するセカンダリ端末局kへの伝搬利得を表す。また、P
pはプライマリ基地局の送信電力を表し、G
jkPSはプライマリ基地局からセカンダリ基地局jのカバーエリア内に存在するセカンダリ端末局kへの伝搬利得を表し、G
hjkSSはセカンダリ基地局hからセカンダリ基地局jのカバーエリア内に存在するセカンダリ端末局kへの干渉信号を表す。また、Nは雑音電力である。なお、S
jk、I
jk、Nは真数で表されるとする。
【0055】
なお、ここではセカンダリ情報に、トラフィックが発生中のセカンダリ端末局の位置情報と受信アンテナ高情報と受信アンテナ指向特性情報とが含まれている場合を想定して、セカンダリシステム全体の伝送容量を厳密に算出した。ただし、評価指標はこれに限定されない。例えば、各セカンダリ基地局に対して代表端末1台(K
j=1)を想定することで、セカンダリシステム全体の伝送容量を簡易的に算出しても構わない。その際、G
jk、G
jkPS、G
hjkSSを、各セカンダリ基地局のカバーエリア情報を基に算出してもよいし、全ての基地局で均一の値を用いてもよい。また、プライマリ基地局からの干渉電力や、端末局が接続するセカンダリ基地局とは異なるセカンダリ基地局からの干渉電力が共に無視できるほど小さい場合には、I
jk=0としても構わない。このような近似が可能となる例としては、対象のセカンダリ基地局がプライマリシステムから大きく離れていて、セカンダリ基地局間が大きく離れている場合などである。大きく離れているか否かは、例えば、両者の距離がそれぞれ所定の閾値以上であるか否かによって判定してもよい。
【0056】
送信電力決定部509は、送信電力算出部504での送信電力の算出から評価指標算出部506での評価指標の算出まで処理を全てのプライマリ端末局に対して実行した後、それぞれのプライマリ端末局において算出された評価指標情報を基に、最終的なセカンダリ基地局の送信電力を決定する。より具体的には、送信電力決定部509は、それぞれのプライマリ端末局において算出されたセカンダリシステムの伝送容量が最大となるようなプライマリ端末局に対する送信電力を最終的なセカンダリ基地局の送信電力として決定する。決定した送信電力の情報である送信電力決定情報は、信号送信部510に出力され、信号送信部510を介して各セカンダリ基地局201,301,401に送信される。
【0057】
信号送信部510は、必要に応じて送信電力決定部509が決定した送信電力の情報を各セカンダリ基地局に送信する。
【0058】
図5は、送信電力算出部504の構成例を示すブロック図である。
図5に示す送信電力算出部504は、仮送信電力計算部520と、最大送信電力値判定部521と、スイッチ部522と、最大送信電力値割り当て部523と、与干渉電力算出部524と、許容干渉電力更新部525と、計算対象更新部526と、最小送信電力値判定部527と、スイッチ部528と、二次利用不可決定部529と、送信電力割り当て部530とを備える。
【0059】
仮送信電力計算部520は、計算対象となる各セカンダリ基地局の仮の送信電力(仮送信電力)を計算する。ここで計算された仮送信電力は、以降に示す許容最大送信電力値や所要最小電力値との比較などを通して値が修正され、最終的な送信電力として決定される。仮送信電力計算部520は、計算した仮送信電力を仮送信電力情報として、最大送信電力値判定部521に出力する。
【0060】
仮送信電力計算部520における仮送信電力の計算方法には、幾つかの計算方法が挙げられる。仮送信電力計算部520で仮送信電力を計算する第1の手法は、各セカンダリ基地局からプライマリシステムの受信局に与える干渉電力が等しくなるように,各セカンダリ基地局からの仮送信電力を計算する手法である。具体的には、仮送信電力計算部520は、セカンダリ基地局jの仮送信電力P
j’を以下の式(7)を用いて算出する。
【0062】
ここで、I
allowは許容干渉電力情報を表す。また、M’は計算対象となるセカンダリ基地局数である。
【0063】
仮送信電力計算部520で仮送信電力を計算する第2の手法は、以下の計算式(8)による手法である。
【0065】
ここで、バー付きのG
jはセカンダリ基地局jにおける端末局への伝搬利得の代表値である。なお、P
pG
jPSはプライマリ基地局からセカンダリ端末局に至る干渉電力を表している。なお、この値が雑音電力Nに比べて小さい場合には、P
pG
jPS=0としても構わない。
【0066】
式(8)は、計算対象とされた全てのセカンダリ基地局からプライマリ受信局に与える干渉量を許容値とする条件のもとで、それらセカンダリ基地局の受信局であるセカンダリ端末局での伝送容量を最大化するためのセカンダリ基地局jの送信電力を理論的に算出したものである。また、式(7)は、式(8)の第2項が小さいものと仮定し、この項を無視したものである。
【0067】
最大送信電力値判定部521は、送信電力計算部520によって算出された各セカンダリ基地局の仮送信電力と、セカンダリ情報格納部508に格納されているセカンダリ情報によって示される各セカンダリ基地局の許容最大送信電力値とを比較する。そして、最大送信電力値判定部521は、比較結果によりスイッチ部522の接続先(ここでは、次の制御指示の意味を含む当該最大送信電力値判定部521からの仮送信電力情報の出力先を意味する)を切り換える。ここでは、各セカンダリ基地局の仮送信電力情報の中に許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が1つ以上含まれている場合には、当該最大送信電力値判定部521の出力が最大送信電力値割り当て部523に接続されるようにスイッチ部522を切り換える。この場合、最大送信電力値割り当て部523に仮送信電力情報が出力される。一方、各セカンダリ基地局の仮送信電力情報の中に許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が含まれていない場合には、最小送信電力値設定部527に接続されるようにスイッチ部522を切り換える。この場合、最小送信電力値設定部527に仮送信電力情報が出力される。
【0068】
最大送信電力値割り当て部523は、各セカンダリ基地局の仮送信電力情報の中に許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が1つ以上含まれている場合に、最大送信電力判定部521からの仮送信電力情報を受けて、許容最大送信電力による補正を行う。最大送信電力値割り当て部523は、仮送信電力が許容最大送信電力値以上となる全てのセカンダリ基地局に対して、許容最大送信電力値を当該基地局の送信電力として割り当てる。そして、最大送信電力値割り当て部523は、該当するセカンダリ基地局の仮送信電力の値を変更して仮送信電力情報を更新し、与干渉電力算出部524および許容干渉電力更新部525に出力する。なお、最大送信電力値割り当て部523から許容干渉電力更新部525へは、許容最大送信電力値を割り当てたセカンダリ基地局の情報が出力されればよい。そのため、最大送信電力値割り当て部523は、後述の与干渉電力算出部524を介して許容干渉電力更新部525へセカンダリ基地局の情報を出力してもよい。
【0069】
与干渉電力算出部524は、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局の情報を抽出する。そして、与干渉電力算出部524は、抽出した全てのセカンダリ基地局に対して許容最大送信電力で信号送信した場合のプライマリ端末局に与える干渉電力I
afterを算出する。干渉電力I
afterは、例えば、以下の式(9)により算出できる。なお、算出された干渉電力は、干渉電力情報として許容干渉電力更新部525に出力される。なお、与干渉電力算出部524は、必要に応じて、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局の情報も出力する。
【0071】
ここで、P
jMAXは許容最大送信電力値を表し、Xは許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局数を表す。
【0072】
許容干渉電力更新部525は、与干渉電力算出部524から出力される干渉電力情報を基に、許容干渉電力情報I
allowを以下の式(10)を用いて更新する。なお、ここで更新された許容干渉電力は、以降に行われる仮送信電力計算部520における仮送信電力の再計算に用いられる。許容干渉電力更新部525は、許容干渉電力を更新した旨を計算対象更新部526に出力する。なお、許容干渉電力更新部525は、必要に応じて、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局の情報も出力する。
【0073】
I
allow−=I
after ・・・式(10)
【0074】
一方、最小送信電力値設定部527は、各セカンダリ基地局の仮送信電力情報の中に許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が含まれていない場合に、最大送信電力判定部521からの仮送信電力情報を受けて、所要最小送信電力値による補正(ここでは条件判定)を行う。最小送信電力値設定部527は、仮送信電力計算部520で算出された仮送信電力のうち最小の仮送信電力が割り当てられているセカンダリ基地局を抽出する。最小送信電力値設定部527は、抽出したセカンダリ基地局の仮送信電力と、セカンダリ情報格納部508に格納されているセカンダリ情報で示される当該セカンダリ基地局の所要最小送信電力値とを比較する。そして、最小送信電力値設定部527は、その結果によりスイッチ部528の接続先(ここでは、次の制御指示の意味を含む当該最小送信電力値設定部527からの最小送信電力判定結果の出力先を意味する)を切り換える。
【0075】
最小送信電力値設定部527は、評価対象の仮送信電力が所要最小送信電力値未満となる場合には、二次利用不可決定部529に接続するようにスイッチ部528を切り換える。この場合、二次利用不可決定部529に最小送信電力判定結果が出力される。一方、評価対象の仮送信電力が所要最小送信電力値以上となる場合には、最小送信電力値設定部527は、送信電力割り当て部530に接続するようにスイッチ部528を切り換える。この場合、送信電力割り当て部530に最小送信電力判定結果が出力される。
【0076】
二次利用不可決定部529は、各セカンダリ基地局の仮送信電力情報の中に許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が含まれていない場合であって、各セカンダリ基地局に割り当てられている仮最小電力の中で最小の仮送信電力である評価対象の仮送信電力が所要最小送信電力値未満となる場合に、最小送信電力値設定部527からの最小送信電力判定結果を受けて、対象のセカンダリ基地局に対して二次利用を不可とする判定を行う。二次利用不可決定部529は、受け付けた最小送信電力判定結果を基に、送信電力が所要最小電力値未満と判定されたセカンダリ基地局に対して、対象とされた周波数帯域に対して二次利用不可の判定を行う。そして、二次利用不可決定部529は、その結果を二次利用不可判定結果として計算対象更新部526に出力する。
【0077】
計算対象更新部526は、1つ以上のセカンダリ基地局に許容最大送信電力が割り当てられた結果、許容干渉電力更新部525からの許容干渉電力を更新した旨の情報や、二次利用不可決定部529からの二次利用判定結果を受けて、次回の仮送信電力割り当ての計算対象とするセカンダリ基地局を決定する。計算対象更新部526は、最大送信電力値割り当て部523で許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局、および二次利用不可決定部529で二次利用不可と判定されたセカンダリ基地局を、次回の仮送信電力割り当ての計算対象から除外する。そして、計算対象更新部526は、除外した結果残ったセカンダリ基地局があればそのセカンダリ基地局を計算対象として示す計算対象情報を仮送信電力計算部520に出力する。
【0078】
仮送信電力計算部520は、入力される計算対象情報を基に、計算対象として示されたセカンダリ基地局について新たに仮送信電力を算出する。そして、仮送信電力計算部520は、その結果を仮送信電力情報として最大送信電力値判定部521に出力する。
【0079】
このようにして所定の条件が満たされるまで仮送信電力の計算が繰り返し行われる。最終的に、計算対象とされた全てのセカンダリ基地局について、二次利用不可と判定されるか、または、許容最大送信電力以下かつ所要最小送信電力値以上の値が割り当てられることになる。
【0080】
ここで、最小送信電力値判定部527において、評価対象の仮送信電力が所要最小送信電力値以上となる場合には、既に説明したように、最小送信電力値設定部527の出力先が送信電力割り当て部530に接続するようにスイッチ部528が切り替えられる。そして、送信電力割り当て部530に最小送信電力判定結果が出力される。
【0081】
送信電力割り当て部530は、この時点の計算対象のセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)に対して、仮送信電力計算部520から出力される仮送信電力を当該基地局の送信電力として割り当てる。そして、送信電力割り当て部530は、最終的な割り当て結果を送信電力情報として他受信点干渉評価部505に出力する。
【0082】
なお、本実施形態において、プライマリ情報格納部501、セカンダリ情報格納部508は、例えば、記憶装置によって実現される。また、伝搬利得算出部502、許容干渉電力算出部503、送信電力算出部504、他受信点干渉評価部505、評価指標算出部506は、例えば、所定の信号処理を行うよう構成されたハードウェアや、プログラムに従って動作するCPU等のプロセッサユニットによって実現される。なお、それぞれ別々のユニットとして実現されることを妨げない。また、信号受信部507、信号送信部510は、例えば、所定の信号処理を行うよう構成されたハードウェアや、プログラムに従って動作するCPU等のプロセッサユニットと、送信用または受信用アンテナとによって実現される。
【0083】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図6は、無線制御装置50全体の動作の一例を示すフローチャートである。
【0084】
無線制御装置50は、まず、プライマリDB104よりプライマリ情報を取得し、プライマリ情報格納部501に格納する(ステップS101)。プライマリ情報の取得およびプライマリ情報格納部501への格納は、例えば、図示しないプライマリ情報取得手段によって行ってもよいし、少なくとも一部の情報についてユーザ操作等によって予め行われてもよい。
【0085】
次に、信号受信部507は、二次利用を要求するセカンダリ基地局からセカンダリ情報を取得し、セカンダリ情報格納部508に格納する(ステップS102)。また、許容干渉電力算出部503は、プライマリ情報を用いて許容干渉電力を算出する(ステップS103)。
【0086】
次に、送信電力算出部504は、各プライマリ受信点(本例では、プライマリ端末局)に対して、セカンダリ基地局の送信電力を算出する処理を行う(ステップS104〜ステップS113:ループA)。
【0087】
ループAでは、まず伝搬利得算出部502が、各セカンダリ基地局に対して、対象となるプライマリ端末局との間の伝搬利得を算出する処理を行う(ステップS105〜ステップS107:ループB)。伝搬利得算出部502は、ループBにおいて、二次利用を要求するセカンダリ基地局を1つずつ選択していき、選択したセカンダリ基地局と、対象とされたプライマリ端末局との間の伝搬利得を算出する処理(ステップS106)を順次行う。
【0088】
伝搬利得算出のステップ(ステップS106)において、伝搬利得算出部502は、選択したセカンダリ基地局と、対象とされたプライマリ端末局との間の伝搬利得を算出する。伝搬利得算出部502は、そのほか、当該セカンダリ基地局とその基地局のカバーエリア内に存在する端末局との間の伝搬利得や、当該端末局と、当該端末局が接続する基地局とは異なる基地局との間の伝搬利得も算出してもよい。
【0089】
ループBが完了すると、次に送信電力算出部504が、対象とされたプライマリ端末局に対して、セカンダリ基地局から与えられる干渉量を許容値以下に抑えつつプライマリシステムの伝送容量を出来るだけ大きくするための各セカンダリ基地局の送信電力を算出する処理を行う(ステップS108)。送信電力算出ステップの詳細については後述する。
【0090】
送信電力算出ステップが完了すると、次に他受信点干渉評価部505が、算出された各セカンダリ基地局の送信電力に対して、全てのプライマリ端末局において与干渉量が許容値以下となっているかを確かめる処理を行う(ステップS109〜ステップS111:ループC)。具体的には、他受信点干渉評価部505は、対象とされたプライマリ端末局(プライマリ受信局)以外のプライマリ端末局を1つずつプライマリ観測点として選択する。そして、他受信点干渉評価部505は、選択したプライマリ端末局に対して、算出された各セカンダリ基地局の送信電力における与干渉電力が許容干渉電力以下であるか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110では、あるプライマリ端末局に対する各セカンダリ基地局の送信電力において、与干渉電力が許容干渉電力以下であると判定されると(ステップS110のYes)、別のプライマリ端末局をプライマリ観測点として選択し、同様の判定を行っていく。
【0091】
ループCにおいて、あるプライマリ端末局に対する各セカンダリ基地局の送信電力における与干渉電力が許容干渉電力を超えると判定された場合(ステップS110のNo)、他受信点干渉評価部505は、現在の各セカンダリ基地局の送信電力設定値が不適切であると判断して、算出された送信電力は採用しないことに決定する。この場合、無線制御装置50は、ループAの先頭に戻り、次のプライマリ端末局を選択し、選択したプライマリ端末局に対してステップS105以降の処理を行う。
【0092】
一方、全てのプライマリ端末局において与干渉電力が許容干渉電力以下であった場合には、ループCが完了しステップS112に進む。ステップS112では、評価指標算出部506は、あるセカンダリ基地局の送信電力を用いた場合の当該セカンダリシステムの評価指標として、例えば伝送容量の算出を行う。
【0093】
全てのプライマリ端末局に対して以上の処理(ステップS105〜S112)を実行するとループAが完了し(ステップS113)、ステップS114に進む。
【0094】
ステップS114では、送信電力決定部509が、これまでの処理結果に基づき、許容干渉電力を満足するセカンダリ基地局の送信電力のうち、セカンダリシステムの伝送容量が最大となるプライマリ端末局に対する送信電力を、最終的なセカンダリ基地局の送信電力として決定する。
【0095】
次に、セカンダリ基地局の送信電力の算出ステップ(ステップS108)について説明する。
図7は、セカンダリ基地局の送信電力の算出ステップのより詳細な動作の一例を示すフローチャートである。
【0096】
セカンダリ基地局の送信電力の算出ステップでは、まず、仮送信電力計算部520が、全セカンダリ基地局の仮送信電力を算出する(ステップS201)。ここで計算された仮送信電力は、以降に示す許容最大送信電力値や所要最小電力値との比較などを通して値が修正された後、最終的な送信電力に決定される。
【0097】
次に、最大送信電力値判定部521が、算出された仮送信電力の中から許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が1つ以上存在するかを判定する(ステップS202)。許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が1つ以上存在する場合には(ステップS202のYes)、ステップS203に進む。
【0098】
ステップS203では、最大送信電力値割り当て部523が、該当する全てのセカンダリ基地局に許容最大送信電力値を割り当てる。次いで、与干渉電力算出部524が、該当する全てのセカンダリ基地局から許容最大送信電力で信号送信した場合のプライマリ端末局に与える与干渉電力を算出する(ステップS204)。
【0099】
その後、許容干渉電力更新部525が、算出された与干渉電力をもともとの許容干渉電力から減算して許容干渉電力を更新する(ステップS205)。そして、計算対象更新部526は、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局を次回の仮送信電力割り当ての計算対象から除外し(ステップS206)、残ったセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)を対象にして、再度仮送信電力を算出する処理を行う(ステップS201に戻る)。
【0100】
一方、ステップS202で許容最大送信電力値以上となるセカンダリ基地局が存在しない場合には(ステップS202のNo)、ステップS207に進む。
【0101】
ステップS207では、最小送信電力値判定部527が、算出された仮送信電力のうち最小の仮送信電力が割り当てられているセカンダリ基地局を抽出し、当該セカンダリ基地局の仮送信電力が所要最小送信電力値未満となっているかを判定する。仮送信電力が最小のセカンダリ基地局の仮送信電力が所要最小送信電力値未満となる場合には(ステップS207のYes)、ステップS208に進む。
【0102】
ステップS208では、二次利用不可決定部529が、当該セカンダリ基地局は対象の周波数帯域に対して二次利用不可とする判定(決定)を行う(ステップS208)。そして、計算対象更新部526が、二次利用不可と判定されたセカンダリ基地局を次回の送信電力割り当ての計算対象から除外する(ステップS209)。そして、仮送信電力計算部520は、残ったセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)を対象にして、再度仮送信電力を算出する処理を行う(ステップS201に戻る)。
【0103】
一方、ステップS207で、仮送信電力が最小のセカンダリ基地局の仮送信電力が所要最小送信電力値以上となる場合には(ステップS207のNo)、この時点の計算対象のセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)に対して、ステップS201にて算出された仮送信電力を当該基地局の送信電力として割り当てる(ステップS210)。
【0104】
なお、上記説明では、送信電力算出部504による各セカンダリ基地局の送信電力算出方法として
図5や
図7に示す構成およびフローチャートを示したが、本実施の形態はこれに限定されない。例えば、一般的な数値解析による最適化アルゴリズムを用いて各セカンダリ基地局の送信電力を算出してもよい。最適化アルゴリズムの具体例としては、ニュートン法の適用が挙げられる。その際、以下の式(11)、式(12)が拘束条件となる。
【0106】
ここで、P
MINは所要最小送信電力値を表し、P
MAXは許容最大送信電力値を表す。このとき、上述の式(4)で規定されるセカンダリシステムのシステム伝送容量Cを最大化するように、セカンダリ基地局の仮送信電力P
jを決定する。
【0107】
また、本実施形態の送信電力算出部504による各セカンダリ基地局の送信電力算出においては、各セカンダリ基地局に許容最大送信電力値ならびに所要最小送信電力値が規定されていることを前提に、各セカンダリ基地局の送信電力がこれらの範囲に収まるようにした。
【0108】
セカンダリ基地局に許容最大送信電力値や所要最小送信電力値が規定されていない場合には、関連する処理は不要である。例えば、許容最大送信電力値が規定されていない場合には、構成に関して、
図5に示す送信電力算出部504の構成例における最大送信電力値判定部521、スイッチ部522、最大送信電力値割り当て部523、与干渉電力算出部524、許容干渉電力更新部525が不要となる。また、動作に関して、
図7に示すセカンダリ基地局の送信電力算出ステップにおけるステップS202〜ステップS206までの処理が不要となる。一方、所要最小送信電力値が規定されていない場合には、構成に関して、
図5に示す送信電力算出部504の構成例における最小送信電力値判定部527、スイッチ部528、二次利用不可決定部529が不要となる。また、動作に関して、
図7に示す無線制御装置50のセカンダリ基地局の送信電力算出ステップにおけるステップS207〜ステップS209までの処理が不要となる。
【0109】
ここで、許容最大送信電力値および所要最小送信電力値が共に規定されていない場合には、構成に関して、
図5に示す送信電力算出部504の構成例における最大送信電力値判定部521、スイッチ部522、最大送信電力値割り当て部523、与干渉電力算出部524、許容干渉電力更新部525、最小送信電力値判定部527、スイッチ部528、二次利用不可決定部529が不要となるのに加えて、計算対象更新部526も不要となる。また、動作に関して、
図7に示す無線制御装置50のセカンダリ基地局の送信電力算出ステップにおけるステップS202〜ステップS209までの処理が不要となる。
【0110】
また上記説明では、全てのプライマリ端末局に対してセカンダリ送信電力を算出した上で、伝送容量が最大となるようなプライマリ端末局に対する送信電力を最終的なセカンダリ基地局の送信電力として決定する例を示したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、プライマリ端末局の位置が既知でない場合には、プライマリのカバーエリアを所定のメッシュエリアに分割し、そのメッシュエリア内に観測点を設定して、その観測点をプライマリ端末局として扱ってもよい。
【0111】
または、全てのプライマリ端末局に対して、
図6のステップS104〜ステップS113までの処理を実施するのではなく、セカンダリ基地局からの与干渉電力が大きいと想定されるプライマリ端末局を予め選定しておき、それらに対してステップS104〜ステップS113までの処理を実施しても構わない。セカンダリ基地局からの与干渉電力が大きいと想定されるプライマリ端末局の選定方法としては、例えば、二次利用を要求する各セカンダリ基地局に対して、当該セカンダリ基地局からの伝搬利得が最も大きいまたはセカンダリ基地局からの距離が短いプライマリ端末局を選定すればよい。
【0112】
また、セカンダリ基地局からの干渉が及ぶプライマリ受信局が実質的に1点のみの場合には、この点に対して伝搬利得の算出(ステップS106)や、セカンダリ基地局の送信電力の算出(ステップS108)を実施しても構わない。この場合、ループAやループC、セカンダリの評価指標算出(ステップS112)などは不要となる。すなわち、ステップS108で算出されたセカンダリ基地局の送信電力をそのまま最終的なセカンダリ基地局の送信電力とすればよい。セカンダリ基地局からの干渉が及ぼされるプライマリ受信局が実質的に1点のみとなる場合とは、例えば、プライマリシステムが上り回線において、
図2または
図3に示す周波数帯域21または周波数帯域22を使用する場合が考えられる。また、上記場合として、例えばプライマリシステムの端末局が1台あるいは少数に限定される場合が考えられる。
【0113】
また、上記説明では、セカンダリシステムの下り回線において、
図2または
図3に示す周波数帯域22または周波数帯域32を使用する場合を例に説明した。その他、上り回線においてプライマリシステムに割り当てられまたは優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する形態であっても構わない。その場合には、セカンダリシステムの端末局がセカンダリシステムの送信局となる。このとき、全ての端末局をそれぞれ個別に扱って送信電力を決定してもよい。また、各セカンダリ基地局から代表となる端末局を1局選択した上で、選択された代表端末に対して送信電力を決定し、当該送信電力を当該基地局における上り信号の(最大)送信電力としてもよい。このときの代表端末としては、セカンダリ基地局からの伝搬利得が小さくまたは距離が離れた場所にあって、プライマリ受信局への伝搬利得が大きいまたは距離が近い場所にある末局を選択することが望ましい。
【0114】
また、上記説明ではセカンダリ基地局201、301、401は、1つのセカンダリシステムに属するとして説明したが、全てのセカンダリ基地局が必ずしも同一のシステムに属している必要はない。例えば、セカンダリ送信局として異なるシステムに属する基地局または端末局に対しても本実施形態を適用可能である。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、プライマリシステム11のシステム帯域として割り当てられたまたは優先的な使用が許可された周波数帯域を二次利用するセカンダリシステム12において、各セカンダリ基地局の送信電力(すなわち、セカンダリ送信電力)を、プライマリシステム11に与える干渉量についての許容値を満足しつつ、セカンダリシステムの伝送容量を最大または最大に近い値とする値に適切に設定することができる。なぜなら、少なくともプライマリ受信局に与える干渉量に基づいて、各セカンダリ基地局に送信電力を分配する制御方法をとっているからである。また、セカンダリ送信局の最大値・最小値についても条件に加えることで、現実的な制約条件の下でセカンダリ送信電力を適切に設定することができる。
【0116】
実施形態2.
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、プライマリシステムへの伝搬利得が小さなセカンダリ基地局から順番に、プライマリシステムの受信局に与える干渉量についての許容値を満足できる限り、許容最大送信電力値を割り当てる方法について説明する。
【0117】
本実施形態においても、
図1に示すシステム構成図を用いて説明する。以下、本実施形態では、各セカンダリ基地局201、301、401とプライマリシステムの端末局103−5との距離がそれぞれd1,d2,d3とする。また、それを基に算出した各セカンダリ基地局から端末局103−5への伝搬利得(システム間伝搬利得)G
201SP,G
301SP,G
401SPについて、G
201SP>G
301SP>G
401SPの関係が成立している場合を例に説明する。本実施形態では、伝搬利得の小さいセカンダリ基地局の順(本例では、セカンダリ基地局401→301→201の順)に許容最大送信電力値の割り当てが可能か否かを判定し、可能である場合には当該基地局に許容最大送信電力値を割り当てていく。
【0118】
以下、具体例を用いて説明する。まず,セカンダリ基地局201,301,401の中から、プライマリシステムの端末局103−5への伝搬利得が最も小さなセカンダリ基地局401を選択し、許容最大送信電力値を設定する。このとき、許容最大送信電力値を割り当てたセカンダリ基地局401からプライマリシステムの端末局103−5への干渉電力I
401を算出し、許容干渉電力I
allowと比較する。そして、干渉電力I
401が許容干渉電力以下となる場合には、セカンダリ基地局401に許容最大送信電力値を割り当てる。その後、許容干渉電力I
allowから干渉電力I
401を減算して、新たな許容干渉電力I
allowとして更新する。このような操作を伝搬利得の小さなセカンダリ基地局から順番に実行して、各セカンダリ基地局の送信電力を決定していく。
【0119】
その際、あるセカンダリ基地局において、許容最大送信電力値を割り当てた場合に許容干渉電力を越えるタイミングが発生する場合がある。例えば、二番目に伝搬利得が小さなセカンダリ基地局301に許容最大送信電力値を割り当てた際に、許容最大送信電力値を割り当てたセカンダリ基地局301からプライマリシステムの端末局103−5への干渉電力I
301が現在の許容干渉電力I
allowを越えてしまうとする。このような場合には、現在の許容干渉電力I
allowと、セカンダリ基地局301からプライマリ端末局への伝搬利得G
301SPとを用いて、セカンダリ基地局301の送信電力P
301を例えば以下の式(13)により算出する。なお、本例の場合、セカンダリ基地局jはセカンダリ基地局301である。
【0121】
このとき、セカンダリ基地局301に許容干渉電力に相当する全ての送信電力を割り当てるため、当該セカンダリ基地局301よりも伝搬利得が大きいセカンダリ基地局201には送信電力を割り当てられない。そこで、本実施形態ではそのような場合には残りのセカンダリ基地局(本例では、セカンダリ基地局201)に対して二次利用不可と判定する。
【0122】
次に、本実施形態の構成についてより詳細に説明する。本実施形態の無線制御装置50の全体構成は基本的には
図4と同様である。ただし、本実施形態の無線制御装置50は、送信電力算出部504の代わりに送信電力算出部504Aを備える。
【0123】
図8は、送信電力算出部504Aの構成例を示すブロック図である。
図8に示す送信電力算出部504Aは、セカンダリ基地局数判定部601と、スイッチ部602と、最小伝搬利得基地局選択部603と、第1の与干渉電力算出部604と、第1の与干渉電力判定部605と、スイッチ部606と、最大送信電力値割り当て部607と、許容干渉電力更新部608と、最大伝搬利得基地局選択部609と、第2の与干渉電力算出部610と、第2の与干渉電力判定部611と、スイッチ部612と、二次利用不可決定部613と、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614とを備える。
【0124】
セカンダリ基地局数判定部601は、二次利用を要求するセカンダリ基地局数を判定し、二次利用を要求するセカンダリ基地局数に従いスイッチ部602の接続先を制御する。セカンダリ基地局数判定部601は、二次利用を要求するセカンダリ基地局数が2以上の場合には、次の制御指示の出力先として、スイッチ部602を最小伝搬利得基地局選択部603に接続させる。一方、二次利用を要求するセカンダリ基地局数が1以下の場合、セカンダリ基地局数判定部601は、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614に接続されるようにスイッチ部602を切り換える。
【0125】
最小伝搬利得基地局選択部603は、この時点の計算対象のセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)に対して、対象とするプライマリシステム端末局への伝搬利得が最も小さなセカンダリ基地局を選択し、最小伝搬利得基地局情報として第1の与干渉電力算出部604に出力する。
【0126】
第1の与干渉電力算出部604は、最小伝搬利得基地局選択部603によって選択されたセカンダリ基地局jに許容最大送信電力値を割り当てた場合のプライマリシステム端末局への与干渉電力I
testを以下の式(14)により算出する。なお、算出された与干渉電力I
testの情報は、与干渉電力情報1として第1の与干渉電力判定部605に出力される。
【0127】
I
test=P
MAXG
jSP ・・・式(14)
【0128】
第1の与干渉電力判定部605は、与干渉電力情報1によって示される与干渉電力I
testと現在の許容干渉電力I
allowとを比較して、その結果に基づいてスイッチ部606の接続先を制御する。第1の与干渉電力判定部605は、与干渉電力I
testが許容干渉電力I
allow以下となる場合には、次の制御指示の出力先として、スイッチ部606を最大送信電力値割り当て部607に接続する。一方、与干渉電力I
testが許容干渉電力I
allowを超える場合、第1の与干渉電力判定部605は、最大伝搬利得基地局選択部609に接続されるようスイッチ部606を切り換える。
【0129】
最大送信電力値割り当て部607は、選択されたセカンダリ基地局に許容最大送信電力値を割り当て、その結果を許容干渉電力更新部608に出力する。
【0130】
許容干渉電力更新部608は、選択されたセカンダリ基地局に許容最大送信電力値を割り当てた場合の与干渉電力I
testを許容干渉電力I
allowから減算し、新たな許容干渉電力情報I
allowとして、最小伝搬利得基地局選択部603に出力する。
【0131】
最小伝搬利得基地局選択部603は、算出対象とされているセカンダリ基地局(ここでは、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局を除いた、送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)の中で、伝搬利得が最も小さなセカンダリ基地局の選択を行う。
【0132】
一方、与干渉電力I
testが許容干渉電力I
allowを超えた場合に動作することになる最大伝搬利得基地局選択部609は、この時点で計算対象とされているセカンダリ基地局(送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局)に対して、プライマリシステム端末局103−5への伝搬利得が最大となるセカンダリ基地局を選択する。そして、最大伝搬利得基地局選択部609は、選択したセカンダリ基地局の情報を第2の最大伝搬利得基地局情報として、第2の与干渉電力算出部610に出力する。
【0133】
第2の与干渉電力算出部610は、最大伝搬利得基地局選択部609によって選択されたセカンダリ基地局に所要最小送信電力値を割り当てた場合のプライマリシステム端末局への与干渉電力I
testを以下の式(15)により算出する。なお、算出された与干渉電力の情報は、与干渉電力情報2として第2の与干渉電力判定部611に出力される。
【0134】
I
test=P
MING
jSP ・・・式(15)
【0135】
第2の与干渉電力判定部611は、与干渉電力情報2によって示される与干渉電力I
testと現在の許容干渉電力I
allowとを比較し、その結果に基づいてスイッチ部612の接続先を制御する。
【0136】
第2の与干渉電力判定部611は、与干渉電力I
testが許容干渉電力I
allowを超える場合には、次の制御指示の出力先として、スイッチ部612を二次利用不可決定部613に接続する。一方、与干渉電力I
testが許容干渉電力I
allow以下となる場合、第2の与干渉電力判定部611は、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614に接続されるようスイッチ部612を切り換える。
【0137】
二次利用不可決定部613は、対象とされたセカンダリ基地局に所要最小送信電力値を割り当てたとしても許容干渉電力以上となることから、対象とされたセカンダリ基地局に対して二次利用不可とする判定を行う。そして、二次利用不可決定部613は、当該セカンダリ基地局を送信電力割り当て対象から除外し、その結果を最大伝搬利得基地局選択部609に出力する。
【0138】
最大伝搬利得基地局選択部609は、既に説明したように、送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局(ここでは、送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局と二次利用不可と判定されたセカンダリ基地局とを除いたセカンダリ基地局)の中から、伝搬利得が最も大きなセカンダリ基地局の選択を行う。
【0139】
送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614は、この時点で送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局の送信電力を算出して、それらの結果をまとめて送信電力算出情報として出力する。
【0140】
図9は、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614の構成例を示すブロック図である。
図9に示す送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614は、第2の最小伝搬利得基地局選択部620と、第2の送信電力計算部621と、第2の送信電力割り当て部622とを備える。
【0141】
第2の最小伝搬利得基地局選択部620は、この時点で送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局の中でプライマリシステム端末局103−5への伝搬利得が最小のセカンダリ基地局を選択する。そして、第2の最小伝搬利得基地局選択部620は、選択したセカンダリ基地局の情報を最小伝搬利得基地局情報2として第2の送信電力計算部621に出力する。
【0142】
第2の送信電力計算部621は、最小伝搬利得基地局情報2を基に、選択されたセカンダリ基地局jのプライマリシステム端末局103−5への伝搬利得G
jSPと、現在の許容干渉電力I
allowとを用いて、選択されたセカンダリ基地局の送信電力P
jを算出する。また、第2の送信電力計算部621は、算出した送信電力の情報を送信電力算出情報2として、第2の送信電力割り当て部622に出力する。第2の送信電力計算部621は、例えば、以下の式(16)を用いて選択されたセカンダリ基地局の送信電力P
jを算出する。
【0144】
第2の送信電力割り当て部622は、送信電力算出情報2を基に、選択されたセカンダリ基地局jに対して、第2の送信電力計算部621で算出された送信電力P
jを割り当てる。また、第2の送信電力割り当て部622は、送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局の中で第2の最大伝搬利得基地局選択部620で選択されなかった他のセカンダリ基地局に対しては、二次利用不可と判定し、送信電力を割り当てない。
【0145】
次に、本実施形態の動作を説明する。本実施形態における無線制御装置50の動作は、基本的に
図6に示す第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、セカンダリ送信電力算出ステップS108がセカンダリ送信電力算出ステップS108Aとなる点で異なる。
【0146】
図10は、本実施形態におけるセカンダリ送信電力算出ステップS108Aのより詳細な動作の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、まず、セカンダリ基地局数判定部601が、二次利用要求セカンダリ基地局数の判定を行う(ステップS301)。セカンダリ基地局数判定部601は、二次利用を要求するセカンダリ基地局の数が2以上の場合にはステップS302へ進み、1以下の場合にはステップS311に進む。
【0147】
ステップS302では、最小伝搬利得基地局選択部603が、この時点で送信電力が未割り当ての基地局(最初は、二次利用要求する全てのセカンダリ基地局)の中から、プライマリシステム端末局への伝搬利得が最も小さな基地局を選択する。
【0148】
最小伝搬利得基地局選択部603によってセカンダリ基地局が1つ選択されると、次に第1の与干渉電力算出部604は、その選択されたセカンダリ基地局に許容最大送信電力値を設定した場合のプライマリシステムへの与干渉電力を算出する(ステップS303)。そして、第1の与干渉電力判定部605が、算出された与干渉電力と許容干渉電力とを比較する(ステップS304)。
【0149】
比較した結果、与干渉電力が許容干渉電力以下の場合には(ステップS304のYes)、最大送信電力値割り当て部607に制御が移る。最大送信電力値割り当て部607は、選択されたセカンダリ基地局に許容最大送信電力値を割り当てる(ステップS305)。
【0150】
次いで、許容干渉電力更新部608が、ステップS303で算出された与干渉電力を許容干渉電力から減算して許容干渉電力を更新する(ステップS306)。許容干渉電力を更新した後は、ステップS302に戻り、この時点で送信電力が未割り当ての基地局(二回目以降は、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局を除く全てのセカンダリ基地局)の中から、プライマリシステム端末局への伝搬利得が最も小さな基地局を選択する処理が再度行われる。
【0151】
一方、ステップS304で、与干渉電力が許容干渉電力を超えると判定された場合には(ステップS304のNo)、最大伝搬利得基地局選択部609に制御が移る。最大伝搬利得基地局選択部609は、この時点で送信電力未割り当て基地局(例えば、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局を除く全てのセカンダリ基地局)の中からプライマリシステム端末局への伝搬利得が最も大きな基地局を選択する(ステップS307)。
【0152】
最大伝搬利得基地局選択部609によってセカンダリ基地局が1つ選択されると、次に第2の与干渉電力算出部610は、その選択されたセカンダリ基地局に所要最小送信電力値を設定した場合のプライマリシステムへの与干渉電力を算出する(ステップS308)。次いで、第2の与干渉電力判定部611が、第2の与干渉電力算出部610によって算出された与干渉電力と許容干渉電力とを比較して、与干渉電力による判定を行う(ステップS309)。
【0153】
比較した結果、与干渉電力が許容干渉電力を超える場合には(ステップS309のYes)、二次利用不可決定部613に制御が移る。二次利用不可決定部613は、当該セカンダリ基地局は二次利用不可と判定して、送信電力の割り当て対象から除外する(ステップS310)。そして、送信能力未割り当ての基地局がまだ存在している場合にはステップS307に戻り、次のセカンダリ基地局を選択させる。ステップS307では、この時点で送信電力が未割り当ての基地局(二回目以降は、許容最大送信電力値が割り当てられたセカンダリ基地局と二次利用不可と判定されたセカンダリ基地局を除く全てのセカンダリ基地局)の中から、プライマリシステム端末局への伝搬利得が最も大きな基地局を選択する。
【0154】
一方、ステップS309で、与干渉電力が許容干渉電力以下と判定された場合には(ステップS309のNo)、ステップS311に進む。
【0155】
ステップS311では、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614が、この時点で送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局に対する送信電力を算出する。これにより、二次利用を要求した全てのセカンダリ基地局について、二次利用不可とされるか送信電力が算出される。そして、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614は、それらの情報(各セカンダリ基地局について二次利用不可または送信電力を示す情報)を送信電力算出情報として出力する。
【0156】
なお、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614における送信電力算出方法は、上述した方法に限定されない。例えば、以下に示す方法を適用してもよい。
【0157】
すなわち、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614における送信電力決定方法の他の手法として、第1の実施形態で示した仮送信電力計算部520における送信電力の計算方法を適用してもよい。具体的には、上述の式(7)または式(8)が用いられる。
【0158】
さらに他の手法として、送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局の送信電力を等しくする方法を適用することも可能である。
図11は、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614の他の構成例を示すブロック図である。
図11に示す送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614(以下、送信電力未割り当て基地局用送信電力算出部614Aという。)は、総伝搬利得算出部630と、第3の送信電力計算部631と、第3の送信電力割り当て部632とを備える。
【0159】
総伝搬利得算出部630は、送信電力が未割り当てのセカンダリ基地局のプライマリシステム端末局107への伝搬利得の和(以下、総伝搬利得という。)を算出し、その結果を総伝搬利得情報として第3の送信電力算出部631に出力する。
【0160】
第3の送信電力計算部631は、総伝搬利得情報で示される総伝搬利得と、許容干渉電力情報I
allowとを用いて、以下の式(17)により送信電力が未割り当ての基地局に割り当てる送信電力P’を算出する。第3の送信電力計算部631は、算出結果を送信電力算出情報3として第3の送信電力割り当て部632に出力する。
【0162】
第3の送信電力割り当て部632は、送信電力算出情報3を基に、第3の送信電力計算部631で算出された送信電力値を、送信電力が未割り当てである全てのセカンダリ基地局にそれぞれ割り当てる。
【0163】
以上のように、本実施形態によれば、プライマリシステム11に割り当てられたまたは優先的な使用が許可された周波数帯域を使用するセカンダリシステム12において、伝搬利得が小さなセカンダリ基地局から順番に、プライマリシステム11に与える干渉量についての許容値を満足できる限り許容最大送信電力値を割り当てる。そのため、伝搬利得が小さなセカンダリ基地局に対しては、大きな伝送容量を確保することができる。また、セカンダリ基地局の最大値・最小値についても考慮されているため、現実的な制約条件の下で、セカンダリ基地局の送信電力を適切に設定することができる。
【0164】
すなわち、各セカンダリ基地局の送信電力を、プライマリシステム11に与える干渉量についての許容値を満足し、セカンダリシステムの伝送容量を出来るだけ大きくする値に適切に設定することができる。
【0165】
なお、上記説明では、プライマリシステム端末局への伝搬利得が小さいセカンダリ基地局から順に選択して許容最大送信電力値を割り当てていく方法で説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、プライマリシステム端末局との間の距離が大きいセカンダリ基地局から順に選択して許容最大送信電力値を割り当てていく方法を適用することも可能である。
【0166】
また、プライマリシステム端末局への伝搬利得が小さいセカンダリ基地局を選択する前に、各セカンダリ基地局に所要最小送信電力値を割り当てた場合のプライマリシステムへの与干渉電力を算出しておき、与干渉電力が許容干渉電力以上となるセカンダリ基地局を除外しておくことも可能である。
【0167】
また、送信電力算出部504Aによる各セカンダリ基地局の送信電力算出においては、セカンダリ基地局に許容最大送信電力値ならびに所要最小送信電力値が規定されていることを前提に、セカンダリ基地局の送信電力がこれらの範囲に収まるようにした。
【0168】
一方で、セカンダリ基地局に許容最大送信電力値や所要最小送信電力値が規定されていない場合には、関連する処理は不要である。例えば、許容最大送信電力値が規定されていない場合には、構成に関して、
図8に示す送信電力算出部504Aの構成例における最小伝搬利得基地局選択部603、第1の与干渉電力算出部604、第2の与干渉電力判定部605、スイッチ部606、最大送信電力値割り当て部607、許容干渉電力更新部608が不要となる。また、動作に関して、
図10に示すセカンダリ送信電力算出ステップにおけるステップS302〜ステップS306までの処理が不要となる。一方、所要最小送信電力値が規定されていない場合には、構成に関して、
図8に示す送信電力算出部504の構成例における最大伝搬利得基地局選択部609、第2の与干渉電力算出部610、第2の与干渉電力判定部611、スイッチ部612、二次利用不可決定部613が不要となる。また、動作に関して、
図10に示すセカンダリ送信電力算出ステップにおけるステップS307〜ステップS310までの処理が不要となる。
【0169】
ここで、許容最大送信電力値および所要最小送信電力値が共に規定されていない場合には、構成に関して、
図8に示す送信電力算出部504Aの構成例における最小伝搬利得基地局選択部603、第1の与干渉電力算出部604、第1の与干渉電力判定部605、スイッチ部606、最大送信電力値割り当て部607、許容干渉電力更新部608、最大伝搬利得基地局選択部609、第2の与干渉電力算出部610、第2の与干渉電力判定部611、スイッチ部612、二次利用不可決定部613が不要となる。また、動作に関して、
図10に示すセカンダリ送信電力算出ステップにおけるステップS302〜ステップS310までの処理が不要となる。
【0170】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の部分については、第1の実施形態について示した変形例が適用可能である。具体的には、プライマリ端末局をメッシュエリア内の観測点とする方法や、セカンダリ基地局からの与干渉電力が大きいと想定されるプライマリ端末局を予め選定しておく方法、プライマリ受信局を1点に限定する手法、セカンダリシステムが上り回線の場合の処理方法、セカンダリシステムが別々のシステムである場合の方法などがそれぞれ適用可能である。
【0171】
次に、本発明の概要について説明する。
図12は、本発明の概要を示すブロック図である。
図12に示す無線制御装置70は、第二送信局送信電力決定手段701を備えている。
【0172】
第二送信局送信電力決定手段701は、第一の無線システムに割り当てられた周波数帯域、または優先的な使用が許可された周波数帯域を使用する第二の無線システムの送信局である複数の第二送信局全てから第一の無線システムの所定の受信局である第一受信局に与える干渉量であるシステム与干渉量についての許容値を満足させる第一の条件に基づいて、各々の第二送信局で用いる送信電力を決定する。
【0173】
なお、第二送信局送信電力決定手段701は、上記実施形態では、許容干渉電力算出部503、送信電力算出部504(または504A)、他受信点干渉評価部505、評価指標算出部506、送信電力決定部509によって示されている。
【0174】
また、第二送信局送信電力決定手段701は、第一の条件と、第二の無線システムの伝送容量に関する第二の条件とに基づいて、各第二送信局で用いる送信電力を決定してもよい。
【0175】
また、第二送信局送信電力決定手段701は、さらに各第二送信局の送信電力に関する第三の条件を加えて、各第二送信局で用いる送信電力を決定してもよい。
【0176】
また、第二送信局送信電力決定手段701は、第一の条件と第二の条件とによって導出される計算式を用いて、各第二送信局で用いる仮の送信電力を算出する仮送信電力算出手段(例えば、仮送信電力計算部520)と、第三の条件に基づき、仮の送信電力を補正する第一の補正手段(例えば、最大送信電力値判定部521と最大送信電力値割り当て部523や、最小送信電力値判定部527と二次利用不可決定部529)とを含んでいてもよい。そのような場合には、第一の補正手段によって補正された送信電力を、第二送信局で用いる送信電力に決定してもよい。
【0177】
このような構成によれば、第一受信局に与える干渉量による条件を満たしつつ、第二の無線システムの伝送容量をできるだけ増加させるように、各第二送信局に送信電力を分配することができる。
【0178】
また、第三の条件を、各第二送信局の許容最大送信電力を定めるものであるとして、第一の補正手段は、仮の送信電力が許容最大信電力以上となる第二送信局に、許容最大送信電力を割り当てる第一の許容最大送信電力割当手段(例えば、最大送信電力値割り当て部523)と、第一の許容最大送信電力割当手段によって許容最大送信電力が割り当てられた第二送信局が第一受信局に与える干渉電力を、システム与干渉量の許容値から減算して新たな許容値として定める与干渉量許容値更新手段(例えば、許容干渉電力更新部525)とを有していてもよい。
【0179】
このような構成によれば、第一受信局に与える干渉量による条件を満たしつつ、さらに、各第二送信局の許容最大送信電力を超えない範囲で、第二の無線システムの伝送容量をできるだけ増加させるように、各第二送信局に送信電力を分配することができる。
【0180】
また、第三の条件を、各第二送信局の所要最小送信電力を定めるものであるとし、第一補正手段は、仮の送信電力が所要最小送信電力未満となる第二送信局に対して、周波数帯域の使用を認めない旨の判定を行う第一の可否判定手段(例えば、最小送信電力判定部527および二次利用不可決定部529)を有していてもよい。
【0181】
また、第一の条件と第二の条件とによって導出される計算式として、第二送信局jの仮の送信電力をP
j’、許容干渉電力をI
allow、計算対象となる送信局数をM’、第二送信局jから第一受信局に至る伝搬利得をG
jSPとしたとき、式(7)で表されるものを用いてもよい。
【0182】
また、第一の条件と第二の条件とによって導出される計算式として、第一の無線システムの第一送信局の送信電力をP
p、第一送信局から第二送信局jの配下になる第二受信局に至る伝搬利得をG
jPSとし、第二受信局における雑音電力をN、第二送信局jから配下にある第二受信局に至る伝搬利得を(バー付き)G
jとしたとき、式(8)で表されるものを用いてもよい。
【0183】
また、第二送信局送信電力決定手段70は、第一の条件と第三の条件とを拘束条件として、第二の条件を満足する第二送信局の送信電力を、数値計算の最適化アルゴリズムによって算出してもよい。
【0184】
また、第二送信局送信電力決定手段70は、第三の条件によって与えられる第二送信局の仮の送信電力を、第一の条件に基づいて補正する第二の補正手段(例えば、第一の与干渉電力判定部605と最大送信電力値割り当て部607や、第2の与干渉電力判定部611と二次利用不可決定部613)を含んでいてもよい。そのような場合には、第二の補正手段によって補正された送信電力を、第二送信局で用いる送信電力に決定してもよい。
【0185】
このような構成によれば、第一受信局に与える干渉量による条件を満たしつつ、さらに各第二送信局においての送信電力についての現実的な制約条件の下で、各第二送信局に送信電力を分配することができる。
【0186】
また、第三の条件を、各第二送信局の許容最大送信電力を定めるものであるとし、第二補正手段は、仮の送信電力として許容最大送信電力を与えた場合の第一受信局に与える干渉電力が、許容干渉電力以下となる第二送信局に、許容最大送信電力を割り当てる第二の許容最大送信電力割当手段(例えば、最大送信電力値割り当て部607)と、第二許容最大送信電力割当手段によって許容最大送信電力が割り当てられた第二送信局が第一受信局に与える干渉電力を、システム与干渉量の許容値から減算して新たな許容値として定める与干渉量許容値更新手段(例えば、許容干渉電力更新部608)とを有していてもよい。
【0187】
このような構成によれば、第一受信局に与える干渉量による条件を満たしつつ、さらに、各第二送信局の許容最大送信電力を超えない範囲で、第二の無線システムの伝送容量をできるだけ増加させるように、各第二送信局に送信電力を分配することができる。
【0188】
また、第三の条件を、各第二送信局の所要最小電力を定めるものであるとし、第二補正手段は、仮の送信電力として許容最小送信電力を与えた場合の第一受信局に与える干渉電力が、許容干渉電力を超える第二送信局に対して、周波数帯域の使用を認めない旨の判定を行う第二可否判定手段(例えば、第2の与干渉電力判定部611および二次利用不可決定部613)を有してもいてもよい。
【0189】
このような構成によれば、第一受信局に与える干渉量による条件を満たしつつ、さらに、各第二送信局の所要最小電力による条件を満たないものについては周波数帯域の使用を認めないとする現実的な制約条件の下で、第二の無線システムの伝送容量をできるだけ増加させるように、各第二送信局に送信電力を分配することができる。
【0190】
また、第二の無線システムのトラフィックまたは受信局の位置に基づいて、第三の条件を定めてもよい。
【0191】
以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0192】
この出願は、2010年6月18日に出願された日本特許出願2010−139144を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。