特許第5768961号(P5768961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768961
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20150806BHJP
   B01D 61/44 20060101ALI20150806BHJP
   B01D 61/54 20060101ALI20150806BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20150806BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20150806BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   C02F1/44 A
   B01D61/44 520
   B01D61/54
   C02F1/44 D
   B01D61/12
   B01D61/58
   C02F1/46 103
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-62049(P2011-62049)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-196619(P2012-196619A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099841
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】泉 修平
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 敦行
(72)【発明者】
【氏名】安部 元
(72)【発明者】
【氏名】井伊 孝文
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−058011(JP,A)
【文献】 特開2005−007347(JP,A)
【文献】 特開平09−057271(JP,A)
【文献】 特開2003−211161(JP,A)
【文献】 特開2004−033977(JP,A)
【文献】 特開平11−010161(JP,A)
【文献】 特開2011−020029(JP,A)
【文献】 特開2003−001259(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/12
B01D 61/44
B01D 61/54
B01D 61/58
C02F 1/469
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理装置であって、
前記被処理水をろ過処理するための逆浸透膜装置と、
前記逆浸透膜装置からの透過水に含まれる残留イオンを除去することで前記処理水を調製するための電気脱イオン装置と、
前記透過水を前記電気脱イオン装置へ送水するための送水ポンプと、
前記処理水を前記需要部へ供給するための給水経路と、
前記逆浸透膜装置から前記電気脱イオン装置へ送水される前記透過水に対し、前記処理水を循環させるための循環経路と、
前記給水経路および前記循環経路のうちのいずれか一方を選択するための切換弁と、
前記電気脱イオン装置、前記切換弁および前記送水ポンプの動作を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記切換弁が前記循環経路を選択中において、断続的に、前記電気脱イオン装置および前記送水ポンプを停止する、
水処理装置。
【請求項2】
被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理装置であって、
前記被処理水に含まれるイオンを除去することで前記処理水を調製するための電気脱イオン装置と、
前記被処理水を前記電気脱イオン装置へ送水するための送水ポンプと、
前記処理水を前記需要部へ供給するための給水経路と、
前記電気脱イオン装置へ送水される前記被処理水に対し、前記処理水を循環させるための循環経路と、
前記給水経路および前記循環経路のうちのいずれか一方を選択するための切換弁と、
前記電気脱イオン装置、前記切換弁および前記送水ポンプの動作を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記切換弁が前記循環経路を選択中において、断続的に、前記電気脱イオン装置および前記送水ポンプを停止する、
水処理装置。
【請求項3】
電気脱イオン装置を用いて被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理方法であって、
前記被処理水を逆浸透膜装置でろ過処理して透過水を得る工程Aと、
前記透過水を前記電気脱イオン装置へ送水し、前記透過水に含まれる残留イオンを除去することで前記処理水を調製する工程Bとを含み、
工程Bにおいて、前記処理水の前記需要部への供給と前記透過水への循環とのいずれかを選択し、前記循環を選択しているときは、断続的に、前記電気脱イオン装置を停止するとともに、前記電気脱イオン装置への前記透過水の送水を停止する、
水処理方法。
【請求項4】
電気脱イオン装置を用いて被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理方法であって、
前記被処理水を前記電気脱イオン装置へ送水し、前記被処理水に含まれるイオンを除去することで前記処理水を調製する工程を含み、
前記工程において、前記処理水の前記需要部への供給と前記被処理水への循環とのいずれかを選択し、前記循環を選択しているときは、断続的に、前記電気脱イオン装置を停止するとともに、前記電気脱イオン装置への前記被処理水の送水を停止する、
水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置、特に、電気脱イオン装置を用いて被処理水から処理水を調製するための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や医薬の製造過程においては、製品の品質向上や安全性確保等の観点から、溶存している天然成分や懸濁物質等の夾雑成分を除去した精製水が大量に使用されており、そのような精製水は、例えば、工業用水、上水または地下水などの原水を逆浸透膜装置によりろ過処理した後、電気脱イオン装置でさらに処理することで製造されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ここで用いられる電気脱イオン装置は、逆浸透膜装置において得られた透過水に残留するイオンを除去することで精製水の純度を高めるためのものである。この電気脱イオン装置は、一対の電極間に複数の陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を交互に配置することで、陽極室と陰極室との間に、隣接し合う脱塩室と濃縮室とからなるセルペアを数対から数十対形成している。各脱塩室には、イオン交換体(イオン交換樹脂またはイオン交換繊維)が充填されている。このイオン交換体は、陽イオン交換体と陰イオン交換体とを混床としたものである。
【0004】
電気脱イオン装置の通常運転では、逆浸透膜装置で得られた透過水を各脱塩室、各濃縮室、陽極室および陰極室へ供給し、電極間に直流電圧を印加する。これにより、各脱塩室へ供給された透過水に残留している陽イオンおよび陰イオンは、それぞれ、脱塩室内の陽イオン交換体および陰イオン交換体に吸着される。そして、各脱塩室において陽イオン交換体に吸着された陽イオンは、陽イオン交換膜を通過して隣接する濃縮室または陰極室へ移動する。同時に、各脱塩室において陰イオン交換体に吸着された陰イオンは、陰イオン交換膜を通過して隣接する濃縮室または陽極室へ移動する。この結果、各脱塩室へ供給された透過水は、イオンが取り除かれた処理水(精製水)となって流出する。一方、各濃縮室、陽極室および陰極室へ供給された透過水は、イオン濃度が高まることで純度が低下しているため、廃棄されるか、或いは、原水と適宜混合することで水源として再利用される。
【0005】
このような電気脱イオン装置は、需要部への精製水の供給停止時において、電力消費を抑える観点から、運転を停止している。すなわち、需要部への精製水の供給停止時において、電極間への直流電圧の印加および各室への通水を停止している。しかし、電気脱イオン装置は、このような運転停止中において、濃縮室から脱塩室へイオンの拡散移動が発生するため、運転停止時間が長くなるに従い、各脱塩室内に滞留している精製水の純度が徐々に低下して透過水の純度に近づいていく。したがって、需要部へ精製水の供給を再開するために電気脱イオン装置を再稼働するとき、各脱塩室内の精製水を一旦廃棄した後に供給を開始する等といった復帰動作が必要になることから、電気脱イオン装置へ供給される透過水の利用率が下がり、無駄が生じる。
【0006】
この不具合に関し、特許文献3には、電気脱イオン装置の再稼働時において、各脱塩室内に滞留している精製水を逆浸透膜装置からの透過水へ循環させながら、電気脱イオン装置を運転することが記載されている。つまり、各脱塩室から流出する精製水が要求される純度になるまで通常よりも高い直流電圧を印加しながら循環し、その後に精製水を需要部へ供給している。ここでは、再稼働時において各脱塩室内の精製水の純度が透過水の純度に近くなっているほど、要求純度の精製水が得られるまでに長時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−29752号公報
【特許文献2】特開2003−1259号公報
【特許文献3】特開2010−58011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、電気脱イオン装置を用いた水処理において、需要部への処理水の供給を停止した後の供給再開時に、要求純度の処理水の供給をエネルギー消費を抑えて短時間で再開できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理装置に関するものであり、この水処理装置は、被処理水をろ過処理するための逆浸透膜装置と、逆浸透膜装置からの透過水に含まれる残留イオンを除去することで処理水を調製するための電気脱イオン装置と、透過水を電気脱イオン装置へ送水するための送水ポンプと、処理水を需要部へ供給するための給水経路と、逆浸透膜装置から電気脱イオン装置へ送水される透過水に対し、処理水を循環させるための循環経路と、給水経路および循環経路のうちのいずれか一方を選択するための切換弁と、電気脱イオン装置、切換弁および送水ポンプの動作を制御するための制御装置とを備えている。制御装置は、切換弁が循環経路を選択中において、断続的に、電気脱イオン装置および送水ポンプを停止する。
【0010】
他の観点に係る本発明は、被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理装置に関するものであり、この水処理装置は、被処理水に含まれるイオンを除去することで処理水を調製するための電気脱イオン装置と、被処理水を電気脱イオン装置へ送水するための送水ポンプと、処理水を需要部へ供給するための給水経路と、電気脱イオン装置へ送水される被処理水に対し、処理水を循環させるための循環経路と、給水経路および循環経路のうちのいずれか一方を選択するための切換弁と、電気脱イオン装置、切換弁および送水ポンプの動作を制御するための制御装置とを備えている。制御装置は、切換弁が循環経路を選択中において、断続的に、電気脱イオン装置および送水ポンプを停止する。
【0011】
さらに他の観点に係る本発明は、電気脱イオン装置を用いて被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理方法に関するものである。この水処理方法は、被処理水を逆浸透膜装置でろ過処理して透過水を得る工程Aと、透過水を電気脱イオン装置へ送水し、透過水に含まれる残留イオンを除去することで処理水を調製する工程Bとを含み、工程Bにおいて、処理水の需要部への供給と透過水への循環とのいずれかを選択し、循環を選択しているときは、断続的に、電気脱イオン装置を停止するとともに、電気脱イオン装置への透過水の送水を停止する。
【0012】
さらに他の観点に係る本発明は、電気脱イオン装置を用いて被処理水から処理水を製造して需要部へ供給するための水処理方法に関するものである。この水処理方法は、被処理水を電気脱イオン装置へ送水し、被処理水に含まれるイオンを除去することで処理水を調製する工程を含み、当該工程において、処理水の需要部への供給と被処理水への循環とのいずれかを選択し、循環を選択しているときは、断続的に、電気脱イオン装置を停止するとともに、電気脱イオン装置への被処理水の送水を停止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水処理装置および水処理方法は、被処理水を逆浸透膜装置で処理することで得られた透過水または被処理水へ処理水を循環することで需要部への処理水の供給を停止しているとき、電気脱イオン装置による透過水または被処理水の処理を断続的に停止しているため、エネルギー消費を抑えながら電気脱イオン装置に滞留する処理水の純度低下を抑えることができ、需要部への処理水の供給再開時に要求純度の処理水の供給を短時間で再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る水処理装置の概略図。
図2】前記水処理装置において用いられる電気脱イオン装置の概略図。
図3】本発明の実施の形態2に係る水処理装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る水処理装置を説明する。図において、水処理装置1は、被処理水としての原水から処理水である精製水を製造するためのものであり、原水の供給経路10、逆浸透膜装置20、貯水槽30、電気脱イオン装置40および制御装置50を主に備えている。
【0016】
供給経路10は、原水の供給源(図示せず)からの原水を逆浸透膜装置20に対して供給するためのものであり、原水の供給および停止を制御するための給水制御弁11と、第1水質検査装置12とを主に有している。
【0017】
第1水質検査装置12は、原水の水質を検査するためのものであり、供給経路10から分岐する、原水の一部を水質検査用の試料として採取するためのサンプリング経路120を有している。サンプリング経路120は複数に分岐しており、各分岐路は、それぞれ、原水の電気伝導率を測定するための電気伝導率センサ121、原水のpHを測定するためのpHセンサ122、原水のMアルカリ度を測定するためのMアルカリ度センサ123および原水のシリカ濃度を測定するためのシリカセンサ124を有している。電気伝導率センサ121、pHセンサ122、Mアルカリ度センサ123およびシリカセンサ124としては、水質検査用において用いられる各種のものを使用することができる。
【0018】
逆浸透膜装置20は、供給経路10からの原水をろ過処理するためのものであり、逆浸透膜モジュール21と加圧ポンプ22とを主に備えている。
【0019】
逆浸透膜モジュール21は、単一または複数の逆浸透膜エレメント(図示せず)を備え、逆浸透膜エレメントの二次側に連絡する送水路210と、逆浸透膜エレメントの一次側出口に連絡する排水路211とを有している。供給経路10は、逆浸透膜エレメントの一次側入口に連絡している。逆浸透膜エレメントを形成する逆浸透膜は、原水に含まれる分子量が数十程度の微細な夾雑成分の透過を阻止可能な膜であり、原水の処理目的によっては夾雑成分の透過阻止率が若干低いナノ濾過膜(NF膜)であってもよい。
【0020】
送水路210は、逆浸透膜モジュール21において生成した透過水を貯水槽30へ送水するための経路である。一方、排水路211は、逆浸透膜モジュール21において生成した濃縮水を逆浸透膜モジュール21から排出するための経路であり、逆浸透膜モジュール21側から環流経路212と排水制御弁213とをこの順に備えている。
【0021】
環流経路212は、逆浸透膜モジュール21からの濃縮水の一部を供給経路10へ循環させるためのものであり、排水路211から分岐し、サンプリング経路120と加圧ポンプ22との間において供給経路10に連絡している。
【0022】
加圧ポンプ22は、供給経路10からの原水を加圧して逆浸透膜モジュール21へ供給可能なものである。供給経路10からの原水は、この加圧ポンプ22により逆浸透膜での浸透圧以上に加圧された状態で逆浸透膜モジュール21へ供給されることで逆浸透膜エレメントにおいて逆浸透し、一部が逆浸透膜エレメントを透過する。これにより、原水は、逆浸透膜エレメントにおいて、夾雑成分が除去された透過水と、夾雑成分濃度が高まった濃縮水とに分離される。
【0023】
貯水槽30は、逆浸透膜装置20から送水路210へ送水された透過水を貯留するためのものであり、貯留した透過水を電気脱イオン装置40へ供給するための供給路31を有している。供給路31は、貯水槽30側から順に、貯水槽30に貯留された透過水を電気脱イオン装置40へ送水するための送水ポンプ32と、第2水質検査装置33とを有している。
【0024】
第2水質検査装置33は、貯水槽30から電気脱イオン装置40へ流れる透過水の水質を検査するためのものであり、供給路31から分岐する、透過水の一部を水質検査用の試料として採取するためのサンプリング経路330を有している。サンプリング経路330は複数に分岐しており、各分岐路は、それぞれ、透過水の電気伝導率を測定するための電気伝導率センサ331、透過水のpHを測定するためのpHセンサ332、透過水のMアルカリ度を測定するためのMアルカリ度センサ333、透過水のシリカ濃度を測定するためのシリカセンサ334および透過水の温度を測定するための温度センサ335を有している。電気伝導率センサ331、pHセンサ332、Mアルカリ度センサ333、シリカセンサ334および温度センサ335としては、水質検査用において用いられる各種のものを使用することができる。
【0025】
電気脱イオン装置40は、透過水に残留するイオンを除去するためのものであり、図2に示すように、一対の陽極401および陰極402の間に、複数の陰イオン交換膜403および陽イオン交換膜404を交互に配置している。陰イオン交換膜403および陽イオン交換膜404の間隔は、ガスケットやスペーサ等を介在させることにより、所定間隔に保たれている。このような膜の配置により、陽極401側および陰極402側には、それぞれ陽極室405および陰極室406が形成され、その間に脱塩室407および濃縮室408が交互に形成される。なお、図2では、模式的に陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を2対とし、脱塩室が2室、濃縮室が1室となるよう形成した場合を示している。より多量の透過水を処理する場合には、より多数の陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を配置することで、さらに多数の脱塩室および濃縮室を形成することができる。すなわち、より多数のN対の陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を配置した場合、N室の脱塩室と、N−1室の濃縮室とを形成することができる。
【0026】
ここで用いられる陽イオン交換膜404は、陰イオンの透過を阻止可能でありかつ陽イオンを透過可能なものである。また、陰イオン交換膜403は、陽イオンの透過を阻止可能でありかつ陰イオンを透過可能なものである。
【0027】
また、各脱塩室407には、それぞれ、イオン交換体409が充填されている。イオン交換体409は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを混床としたものである。イオン交換体409は、樹脂ビーズに限らず繊維状のものを用いることもできる。なお、イオン交換体409は、通常、脱塩室407のみに充填されていればよいが、脱塩室407に加えて濃縮室408に充填されていてもよい。イオン交換体409は、水中イオンの移動媒体、すなわち導電体として機能するため、脱塩室407および濃縮室408の両方にイオン交換体409が充填されている場合、通電時における電極間の電気抵抗が減少し、消費電力を節減することができる。
【0028】
電気脱イオン装置40において、送水路31の端部は複数本に分岐しており、各分岐路のそれぞれが陽極室405、陰極室406、脱塩室407および濃縮室408へ個別に連絡している。
【0029】
また、各脱塩室407からは、それぞれを通過した処理水を送水するための水路が延びており、両水路は合流して単一の第1取出水路420を形成している。この第1取出水路420は、給水経路430と第1循環経路440とが連絡した第1切換弁450に連絡している。給水経路430は、処理水を一時的に貯留するためのタンクや、処理水を利用する各種装置(例えば、半導体製造装置、医薬品製造装置または蒸気ボイラ装置等)などの需要部へ処理水を供給するためのものであり、このような需要部に連絡している。第1循環経路440は、処理水を貯水槽30へ循環するための経路である。第1切換弁450は、給水経路430および第1循環経路440のうちのいずれか一方を選択して第1取出水路420と連絡させるためのものであり、その選択によって処理水の流路を給水経路430または第1循環経路440に切換え可能である。
【0030】
一方、濃縮室408、陽極室405および陰極室406からは、それぞれにおいて生成した濃縮水および電極水を排水するための水路が延びており、これらの水路は合流して単一の第2取出水路460を形成している。この第2取出水路460は、第2循環経路461と第3循環経路462とが連絡した第2切換弁470に連絡している。第2循環経路461は、供給経路10において、サンプリング経路120の下流側に連絡している。第3循環経路462は、第1循環経路440に連絡している。
【0031】
さらに、電気脱イオン装置40は、図示しない電源装置を備えている。この電源装置は、陽極401と陰極402との間に直流電圧を印加するためのものである。
【0032】
制御装置50は、水処理装置1の動作を制御するためのものであり、動作を統括する中央制御装置、水処理装置1の動作プログラムや各種のデータを記憶する記憶装置および情報の入出力装置(いずれも図示せず)を備えた電子情報処理組織である。入出力装置の入力部は、第1水質検査装置12が連絡しており、電気伝導率センサ121、pHセンサ122、Mアルカリ度センサ123およびシリカセンサ124の各センサでの測定データを受信可能である。また、入力部は、第2水質検査装置33が連絡しており、電気伝導率センサ331、pHセンサ332、Mアルカリ度センサ333、シリカセンサ334および温度センサ335の各センサでの測定データを受信可能である。さらに、入力部には、水処理装置1の動作において必要な各種のデータや指令等を手動で入力するための操作盤51などが連絡している。一方、入出力装置の出力側は、給水制御弁11、加圧ポンプ22、排水制御弁213、送水ポンプ32、第1切換弁450、第2切換弁470、電気脱イオン装置40の電源装置並びに第1水質検査装置12および第2水質検査装置33での測定データやその他の情報を表示したり、所要の情報の手動入力を案内したりするための表示装置52が連絡しており、これらの各部に対して所要の動作信号を発信可能である。
【0033】
次に、上述の水処理装置1の動作を説明する。水処理装置1による原水の水処理動作中において、第1切換弁450は、給水経路430を選択するよう制御される。また、第2切換弁470は、第2循環経路461を選択するよう制御される。さらに、電気脱イオン装置40は、電源装置により陽極401と陰極402との間に直流電圧が印加される。
【0034】
水処理装置1により処理可能な原水は、通常、工業用水、水道水、地下水(浅井戸水、深井戸水、湧水若しくは伏流水等)または地表水(河川水若しくは湖沼水等)等であり、水源の地質や大気などの影響により、シリカ(ケイ酸およびケイ酸塩等)、各種イオン(ナトリウムイオン、硬度成分(カルシウムイオンおよびマグネシウムイオン)、塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸水素イオンおよび炭酸イオン等)および炭酸ガスなどを夾雑成分として含んでいる。
【0035】
水処理装置1において、給水制御弁11を開放して原水の供給源から供給経路10へ原水を供給すると、この原水は、加圧ポンプ22により逆浸透膜モジュール21での浸透圧以上に加圧されて逆浸透膜モジュール21へ供給される。逆浸透膜モジュール21へ加圧されて供給された原水は、一部が逆浸透膜を透過し(すなわち、ろ過され)、夾雑成分が除去された透過水として送水路210を流れ、貯水槽30に貯留される。一方、残余の原水は、逆浸透膜により透過を阻止された夾雑成分の濃度が高まった濃縮水として排水路211へ押し流される。排水路211へ流れた濃縮水は、一部が環流経路212へ流れ、供給経路10を流れる原水に合流する。また、環流経路212へ循環しない残余の濃縮水は、排水制御弁213から廃棄される。
【0036】
ここで、逆浸透膜モジュール21は、供給経路10からの原水の流量(F)、透過水の流量(F)および排水制御弁213から廃棄される濃縮水の流量(F)を制御することで、回収率を調節することができる。ここで、回収率とは、逆浸透膜モジュール21へ供給される原水の流量(F)に対する透過水の流量(F)の割合(%)(すなわち、F/F×100)をいう。なお、透過水の流量(F)は、電気脱イオン装置40に対して安定した純度の透過水を過不足なく供給する観点から、加圧ポンプ22の回転数を調整することで一定流量に維持することが望ましい。そのため、回収率は、透過水の流量(F)を一定に制御しつつ、排水制御弁213から廃棄する濃縮水の流量(F)を制御(すなわち、原水の流量(F)を増減)することで調整することができる。
【0037】
また、排水路211から環流経路212へ流れる濃縮水の流量は、排水制御弁213から廃棄する濃縮水の流量により調整される。
【0038】
貯水槽30に貯留された透過水は、送水ポンプ32により供給路31を通じて電気脱イオン装置40へ供給される。電気脱イオン装置40へ供給された透過水は、供給路31の端部の各分岐路に分流し、脱塩室407、濃縮室408、陽極室405および陰極室406のそれぞれへ供給される。ここで、供給路31から各脱塩室407へそれぞれ供給された透過水は、逆浸透膜装置20において除去されずに残留するイオンがイオン交換体409に吸着されて取り除かれた処理水、すなわち精製水となり、第1取出水路420を経由して給水経路430へ流れ、当該経路が連絡する需要部へ供給される。
【0039】
一方、供給路31から濃縮室408へ供給された透過水は、陽イオン交換膜404を介して隣接する脱塩室407内のイオン交換体409から溶離して陽イオン交換膜404を透過した陽イオンと、陰イオン交換膜403を介して隣接する脱塩室407内のイオン交換体409から溶離して陰イオン交換膜403を透過した陰イオンとが供給され、イオン濃度が高まった濃縮水となる。また、供給路31から陽極室405へ供給された透過水は、陰イオン交換膜403を介して隣接する脱塩室407内のイオン交換体409から溶離して陰イオン交換膜403を透過した陰イオンが供給された電極水となる。さらに、供給路31から陰極室406へ供給された透過水は、陽イオン交換膜404を介して隣接する脱塩室407内のイオン交換体409から溶離して陽イオン交換膜404を透過した陽イオンが供給された電極水となる。そして、これらの濃縮水および電極水は、第2取出水路460において合流し、第2切換弁470から第2循環経路461を経由して供給経路10を流れる原水に合流する。
【0040】
なお、電気脱イオン装置40において、陽極401と陰極402との間に印加される直流電圧は、脱塩室407内で水分子の解離が起こる限界電流密度以上の電流密度が得られるように設定される。このため、各脱塩室407内に充填されたイオン交換体409は、水分子の解離によって生じた水素イオンおよび水酸化物イオンにより、吸着した陽イオンおよび陰イオンが溶離して濃縮室408または陽極室405若しくは陰極室406へ移動することになるため、自動的に再生されることになる。
【0041】
このような原水の水処理過程において、制御装置50は、第1水質検査装置12の電気伝導率センサ121、pHセンサ122、Mアルカリ度センサ123およびシリカセンサ124からの測定情報により、逆浸透膜装置20へ供給される原水の電気伝導率、pH、Mアルカリ度およびシリカ濃度を常時監視するとともに、pHセンサ122およびMアルカリ度センサ123からの測定情報に基づいて、原水の炭酸ガス濃度(遊離炭酸濃度)を常時推定する。また、制御装置50は、第2水質検査装置33の電気伝導率センサ331、pHセンサ332、Mアルカリ度センサ333、シリカセンサ334および温度センサ335からの測定情報により、貯水槽30から電気脱イオン装置40へ供給される透過水の電気伝導率、pH、Mアルカリ度、シリカ濃度および温度を常時監視するとともに、pHセンサ332およびMアルカリ度センサ333からの測定情報に基づいて、透過水の炭酸ガス濃度(遊離炭酸濃度)を常時推定する。
【0042】
そして、制御装置50は、原水または透過水の電気伝導率、炭酸ガス推定濃度およびシリカ濃度のいずれかの数値が所定値以上に上昇したとき(すなわち、原水または透過水の夾雑成分濃度が上昇したとき)、或いは、透過水の温度が所定値以下に低下したとき(すなわち、透過水において、含有イオン濃度が高まるものと予想されるとき)、電気脱イオン装置40において陽極401と陰極402との間に印加する直流電圧を通常よりも高める。これにより、電気脱イオン装置40において、透過水に含まれるイオンの除去能が高まるため、電気脱イオン装置40の給水経路430からは安定的に高純度の精製水が得られる。
【0043】
水処理装置1は、需要部への処理水の供給が不要なとき(例えば、給水経路430が連絡するタンクが満水になったとき)、制御装置50が第1切換弁450において第1循環経路440を選択するとともに、第2切換弁470において第3循環経路462を選択する。これにより、需要部への処理水の供給が停止し、脱塩室407からの処理水は第1循環経路440から貯水槽30へ流れる。また、濃縮室408からの濃縮水並びに陽極室405および陰極室406からの電極水は、第3循環経路462から第1循環経路440へ流れ、処理水と合流して貯水槽30へ流れる。また、需要部への処理水の供給が必要になったとき、制御装置50は、第1切換弁450において給水経路430を選択するとともに、第2切換弁470において第2循環経路461を選択し、処理水の供給を再開する。
【0044】
ここで、需要部への処理水の供給停止中、制御装置50は、断続的に、陽極401および陰極402への直流電圧の印加を停止するとともに、送水ポンプ32を停止するよう制御する。すなわち、制御装置50は、断続的に、電気脱イオン装置40の運転を停止するとともに、脱塩室407、濃縮室408、陽極室405および陰極室406に対する透過水の供給を停止するよう制御する。これにより、需要部への処理水の供給停止中の水処理装置1は、電力等のエネルギー消費が大幅に抑制される。また、処理水の供給停止中の電気脱イオン装置40は、貯水槽30に貯留された透過水を断続的に循環して脱イオン処理することになるため、運転停止中において、各脱塩室407内に滞留する処理水のイオン濃度の上昇を抑え、処理水の純度を通常運転時(すなわち、需要部への処理水の供給運転時)のそれに近い状態に維持することができる。したがって、電気脱イオン装置40は、需要部への処理水の供給再開時において、要求純度の処理水の供給を短時間で再開することができる。
【0045】
なお、需要部への処理水の供給停止中、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32は、例えば、次のような動作で断続的に停止させることができる。
【0046】
<動作例1>
処理水の供給停止時に、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を同時に停止する。そして、第1設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を運転する。運転開始から第2設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度停止する。さらに、運転停止から第1設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度運転する。以降は、処理水の供給を再開するまで、このような停止および運転の動作を繰り返す。
【0047】
<動作例2>
処理水の供給停止時に、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を同時に停止する。そして、第1設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を運転する。運転開始後に脱塩室407から流出する処理水の比抵抗が設定値Rまで上昇し、かつ設定値R以上の比抵抗を検出した状態で第2設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度停止する。さらに、運転停止から第1設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度運転する。以降は、処理水の供給を再開するまで、このような停止および運転の動作を繰り返す。
【0048】
<動作例3>
処理水の供給停止時に、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32の運転を維持し、供給停止から第3設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を停止する。運転停止から第4設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を運転する。さらに、運転開始から第3設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度停止する。以降は、処理水の供給を再開するまで、このような運転および停止の動作を繰り返す。
【0049】
<動作例4>
処理水の供給停止時に、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32の運転を維持しておき、脱塩室407から流出する処理水の比抵抗が設定値Rまで上昇し、かつ設定値R以上の比抵抗を検出した状態で第3設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を停止する。運転停止から第4設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を運転する。さらに、運転開始後に脱塩室407から流出する処理水の比抵抗が設定値Rまで上昇し、かつ設定値R以上の比抵抗を検出した状態で第3設定時間Tが経過すると、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32を再度停止する。以降は、処理水の供給を再開するまで、このような運転および停止の動作を繰り返す。
【0050】
なお、上述の動作例において、電気脱イオン装置40および送水ポンプ32の停止タイミングは、必ずしも完全に同期させる必要はなく、いずれか一方の停止タイミングを他方の停止タイミングよりも遅延させてもよい。この場合、電気脱イオン装置40での通電を停止した後に、送水ポンプ32を停止するのが好ましい。電気脱イオン装置40および送水ポンプ32の運転タイミングについても同様であり、いずれか一方の運転タイミングを他方の運転タイミングよりも遅延させてもよい。この場合、脱塩室407から流出する処理水の流量が規定値に達した後に、電気脱イオン装置40での通電を開始するのが好ましい。
【0051】
この実施の形態では、原水および透過水の電気伝導率、炭酸ガス推定濃度およびシリカ濃度のいずれかの数値が所定値以上に上昇したとき、或いは、透過水の温度が所定値以下に低下したとき、電気脱イオン装置40において陽極401と陰極402との間に印加する直流電圧を通常よりも高めることで精製水の純度を維持しているが、原水または透過水の水質変動状況に応じて他の手段をとることもできる。
【0052】
例えば、原水または透過水の電気伝導率が所定値以上に上昇したとき、或いは、透過水の温度が所定値以下に低下したときは、逆浸透膜装置20での回収率を下げることにより、精製水の純度を維持することができる。
【0053】
また、原水または透過水の炭酸ガス推定濃度またはシリカ濃度が所定値以上に上昇したときは、それぞれ供給経路10を流れる原水または供給路31を流れる透過水へ水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ剤を添加することで原水または透過水に含まれる炭酸ガスまたはシリカのイオン化を促進し、これによって生成したイオンが逆浸透膜装置20または電気脱イオン装置40において除去されるようにすることで、精製水の純度を維持することができる。この場合、供給経路10および供給路31のいずれかまたは両方に薬剤添加装置を設け、この薬剤添加装置から原水または透過水に対してアルカリ剤を添加する。
【0054】
実施の形態2
図3を参照して、本発明の実施の形態2に係る水処理装置を説明する。図において、実施の形態1に係る水処理装置1と同じ部位には同じ符号を付している。水処理装置2は、実施の形態1の水処理装置1から貯水槽30を取り除いたもの、すなわち、逆浸透膜装置20からの送水路210に対して電気脱イオン装置40を直結したものであり、送水路210に送水ポンプ211を配置したものである。送水路210の電気脱イオン装置40側の端部は複数本に分岐しており、実施の形態1と同じく、各分岐路のそれぞれが陽極室405、陰極室406、脱塩室407および濃縮室408へ個別に連絡している。
【0055】
この水処理装置2において、電気脱イオン装置40からの第1循環経路440は、送水路210において、送水ポンプ211の上流側に連絡している。
【0056】
水処理装置2による原水の水処理動作中において、第1切換弁450は、給水経路430を選択するよう制御される。また、第2切換弁470は、第2循環経路461を選択するよう制御される。さらに、電気脱イオン装置40は、電源装置により陽極401と陰極402の間に直流電圧が印加される。また、水処理装置2による原水の水処理動作は、逆浸透膜装置20からの透過水が送水ポンプ211により送水路210を流れて電気脱イオン装置40へ直接に供給される点を除き、実施の形態1の水処理装置1と同じである。
【0057】
水処理装置2は、需要部への処理水の供給が不要になったとき(例えば、給水経路430が連絡するタンクが満水になったとき)、制御装置50が第1切換弁450において第1循環経路440を選択するとともに、第2切換弁470において第3循環経路462を選択する。これにより、需要部への処理水の供給が停止し、脱塩室407からの処理水は第1循環経路440から送水路210へ流れる。また、濃縮室408からの濃縮水並びに陽極室405および陰極室406からの電極水は、第3循環経路462から第1循環経路440へ流れ、処理水と合流して送水路210へ流れる。また、需要部への処理水の供給が必要になったとき、制御装置50は、第1切換弁450において給水経路430を選択するとともに、第2切換弁470において第2循環経路461を選択し、処理水の供給を再開する。
【0058】
ここで、需要部への処理水の供給停止中、制御装置50は、断続的に、陽極401および陰極402への直流電圧の印加を停止するとともに、送水ポンプ211を停止するよう制御する。すなわち、制御装置50は、断続的に、電気脱イオン装置40を停止するとともに、脱塩室407、濃縮室408、陽極室405および陰極室406に対する透過水の供給を停止するよう制御する。これにより、需要部への処理水の供給停止中の水処理装置2は、電力等のエネルギー消費が大幅に抑制される。また、処理水の供給停止中の電気脱イオン装置40は、逆浸透膜装置20からの透過水を断続的に循環して脱イオン処理することになるため、運転停止中において、各脱塩室407内に滞留する処理水のイオン濃度の上昇を抑え、処理水の純度を通常運転時(すなわち、需要部への処理水の供給運転時)のそれに近い状態に維持することができる。したがって、電気脱イオン装置40は、需要部への処理水の供給再開時において、要求純度の処理水の供給を短時間で再開することができる。
【0059】
なお、需要部への処理水の供給停止中、電気脱イオン装置40および送水ポンプ211は、例えば、実施の形態1で説明した動作例に従って停止することができる。
【0060】
この実施の形態の水処理装置2では、送水路210に設けた送水ポンプ211を省略して逆浸透膜装置20と電気脱イオン装置40とを直結し、加圧ポンプ22を逆浸透膜装置20からの透過水を電気脱イオン装置40へ送水するための送水ポンプとして兼用することもできる。この場合、第1循環経路440を加圧ポンプ22の上流側の供給経路10に連絡し、第1循環経路440からの循環水を供給経路10を流れる原水に合流させる。
【0061】
この変形例において、制御装置50は、第1切換弁450が第1循環経路440および第3循環経路462を選択しているとき(すなわち、需要部への処理水の供給停止中)、断続的に、電気脱イオン装置40の運転を停止するとともに、加圧ポンプ22を停止するよう制御する。
【0062】
他の実施の形態
(1)実施の形態1、2では、電気脱イオン装置40の濃縮室408、陽極室405および陰極室406からの水の全量を供給経路10を流れる原水に合流させて循環しているが、この水は全部または一部を廃棄することもできる。
【0063】
(2)実施の形態1、2では、逆浸透膜装置20においてろ過処理された原水を被処理水として電気脱イオン装置40へ供給し、処理水を製造しているが、電気脱イオン装置40で処理する被処理水は、逆浸透膜装置20とは異なる精製装置、例えば、他の形式のろ過装置や2床2塔式イオン交換塔などで精製処理されたものであってもよい。この場合、水処理装置は、実施の形態1、2において逆浸透膜装置20に替えて異なる精製装置を備えた形態のものであってもよいが、精製装置を分離し、この精製装置で原水を処理することで得られた被処理水を貯水槽等から電気脱イオン装置40へ供給する形態のものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、2 水処理装置
10 供給経路
20 逆浸透膜装置
22 加圧ポンプ
32 送水ポンプ
40 電気脱イオン装置
210 送水路
211 送水ポンプ
430 給水経路
440 第1循環経路
450 第1切替弁
50 制御装置
図1
図2
図3