(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768981
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造
(51)【国際特許分類】
B65F 1/16 20060101AFI20150806BHJP
B66F 9/12 20060101ALI20150806BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20150806BHJP
B65F 1/12 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
B65F1/16
B66F9/12 J
B65F1/00 A
B65F1/12 101
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-51000(P2012-51000)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-184782(P2013-184782A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2013年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】502011409
【氏名又は名称】黒木 耕三
(72)【発明者】
【氏名】黒木 耕三
【審査官】
横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−246406(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3163010(JP,U)
【文献】
特開平11−292205(JP,A)
【文献】
特開2001−335105(JP,A)
【文献】
特開2000−185802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00
B65F 1/12
B65F 1/16
B66F 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機能を有する運搬用車両(X)に搭載するごみ回収用の容器であって、有底で上部を開放し、前面に蓋部(3)を有する可動容器本体(1)を設け、該可動容器本体(1)は、底部に運搬用車両(X)に搭載する搭載手段(2a)を備えた枠体(2)で取り囲まれ、該可動容器本体(1)の底部(1a)は、後部より前部に位置する蓋部(3)方向に向かって下降する傾斜面に形成し、該可動容器本体(1)は、該可動容器本体(1)を取り囲む前記枠体(2)の両側部(2b、2b’)に、回転可能に軸着され、且つ、該可動容器本体(1)と蓋部(3)間にリンク機構(4)を有する開放手段(10)を設けると共に、該可動容器本体(1)の蓋部(3)は、枠体(2)の両側部の上端部(2c、2c’)で回動可能に軸着され、該蓋部(3)の両側部の上端部(2a,2a’)に設けた軸(4f)と、それぞれリンクアーム(4a)と軸アーム(4b)をリンク軸(4c)で軸支したリンク機構(4)を有した開放手段(10)を介して、可動容器本体(1)に回動可能に軸着され、ごみ(A)の回収時に前記蓋部(3)は、該蓋部(3)を枠体(2)に係止した係止手段(5)により閉塞しておき、蓋部(3)の開放時に、前記係止手段(5)を開口手段(6)によって開放し、ごみ(A)を、車両の荷台あるいは受入れ容器等の受入れ容器(Y)に排出し、且つ、ごみ(A)を排出後には、蓋部(3)は該蓋部(3)の自重により自動的に閉口、あるいは、少し、蓋部(3)を押圧することにより閉口することを特徴とする昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【請求項2】
昇降機能を有する運搬用車両(X)に搭載するごみ回収用の容器であって、有底で上部を開放し、前面に蓋部(3)を有する可動容器本体(1)を設け、該可動容器本体(1)の底部には、運搬用車両(X)に搭載する搭載手段(2a)を備えた枠体(2)で取り囲まれ、該可動容器本体(1)の蓋部(3)が、ステアリングバー(4d)を介して、枠体(2)の両側部の上端部(2c、2c’)と蓋部(3)のやや下方に回転可能に軸着されたことを特徴とする請求項1記載の昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【請求項3】
前記枠体(2)の両側部(2b、2b’)に、可動容器本体(1)を軸着する位置(α、α’)が、可動容器本体(1)の後部で、且つ、可動容器本体(1)の底部(1a)の傾斜面の頂部(1b)近傍に設けることを特徴とする請求項1記載の昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【請求項4】
係止手段(5)は全体の形状が「へ」字状のフック装置(5a)であり、前記枠体(2)に、該フック本体(5b)とフックハンドル(5c)からなるフック装置(5a)の中央部を、フック軸(5d)として、回転自在に軸支し、該フック装置(5a)の先端には、蓋部(3)に設けた金具(3a)を係止する係止爪(5e)を設け、該フックハンドル(5c)の他端には、グリップエンド(5f)を形成したことを特徴とする請求項1記載の昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【請求項5】
開放手段(10)が、可動容器本体(1)側に、容器側スプロケット歯車(11a)を設け、蓋部(3)側に蓋側スプロケット歯車(11b)を設け、チェーン(11c)を巻回することを特徴とする請求項1記載の昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【請求項6】
開放手段(10)が、可動容器本体(1)側に、容器側歯車(12a)を設け、蓋部(3)側に蓋部側歯車(12b)を設け、これら両歯車(12a,12a’)を噛みあわせることを特徴とする請求項1記載の昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造に関するものであり、特に、フォークリフトに搭載したゴミ回収用容器の蓋の開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空き缶や、複数の空き缶を収納した袋等のごみ収集運搬車等による積み込み作業は、回収したごみを運搬車の荷台の箱の上まで持ち上げ、作業員が回収したごみを運搬する車両の荷台に上がり、該作業員の手により箱の蓋を開けて、ごみを取り出していた。
【0003】
しかも、これらの箱は、作業現場には多数存在し、毎回、その容器の数だけ荷台に上がる必要があり、この同様の作業を繰り返して作業員が行っており、その作業は極めて煩雑であり、しかも作業時間も増え、作業員の安全性や衛生面にも多くの問題があった。
【0004】
また、従来の、容器本体をフォークリフトで吊り上げる構造のものは存在するが、容器本体は底部が開き、この開いた箇所からごみを落下させる構造となっており、フォークリフトを使用する場合、フォークリフトのフォークを差し込む穴部は、必然的に容器本体の上部に形成しなければならず、容器の高さによっては、フォークリフトの昇降可能な長さは限定されるため、高い場所に位置する容器までは届かないものであった。
【0005】
さらに、回収容器は、前面が開く構造のものも存在するが、フォークリフトで上昇させた回収されたごみと共に、該回収容器に作業員が同乗して、容器の側面を開き、その開いた面よりごみを運搬車の荷台の箱に落下させており、その作業も煩雑であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、空き缶等のごみを回収する際、ごみの移動作業を簡単に行える昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この発明は、昇降機能付き車両である,フォークリフトに、枠体と該枠体内に可動容器本体を搭載し、作業員が上方に登らなくても、簡単に作業のできる昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造にある。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、可動容器本体(1)と枠体(2)に設けた開口手段(6)を、地上より簡単な動作により開口できるため、その都度、車両上の荷台の受入れ容器、あるいは、作業場にある受入れ容器(Y)上に登って、ごみの排出作業をする必要がなく、極めて省力的であり、かつ便利である等の極めて優れた効果を奏する。
【0009】
さらに、開放手段(10)により、前記容器本体(1)の蓋部(3)を大きく開口することができ、本体内のごみ(A)を一気に排出することができ、作業が容易であると共に、ごみがすべて排出されるため、衛生的である等の効果を有する。
【0010】
さらに、この発明は、前記容器本体(1)の蓋部(3)の係止手段(5)を用いることにより、ごみ(A)の積載時に、蓋部(3)を確実に係止することができ、排出時には開口手段(6)によって、地面から操作することにより、その都度、作業員が荷台の受入れ容器(Y)や、作業現場に設置された受入れ容器(Y)に登って作業をする必要がない極めて有益なる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の一実施例を示し、(a)は側面図、(b)は一部欠截側面図である。
【
図5】この発明の他の実施例を示す一部欠截側面図である。
【
図6】この発明の他の実施例を示す一部欠截正面図である。
【
図7】この発明の他の使用状態を示す一部欠截側面図である。
【
図8】この発明のさらに他の実施例を示す一部欠截側面図である。
【
図9】この発明のさらに他の実施例を示す一部欠截正面図である。
【
図10】この発明のさらに他の使用状態を示す一部欠截側面図である。
【
図11】この発明のさらに他の実施例を示す一部欠截側面図である。
【
図12】この発明のさらに他の実施例を示す一部欠截正面図である。
【
図13】この発明のさらに他の使用状態を示す一部欠截側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の好適な実施の形態として詳細に説明する。尚、この発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0013】
次に、この発明の一実施例を
図1〜
図4に基づいて詳述すると、昇降機能を有する運搬用車両(X)に搭載するごみ回収用の容器であって、有底で上部を開放し、側面に蓋部(3)を有する可動容器本体(1)を設け、該本体(1)は、底部に運搬用車両(X)に搭載する搭載手段(2a)を備えた枠体(2)で取り囲まれ、該本体(1)の底部(1a)は、後部より前部に位置する蓋部(3)方向に向かって下降する傾斜面に形成し、該本体(1)は、該容器本体(1)を取り囲む前記枠体(2)の両側部(2b,2b′)に、回動可能に軸着され、且つ、該容器本体(1)の蓋部(3)は、枠体(2)の両側部の上端部(2c,2c′)で回動可能に軸着され、ごみ(A)の回収時に前記蓋部(3)は、該蓋部(3)を枠体(2)に係止した係止手段(5)により閉塞しておき、ごみ(A)の開放時には、前記係止手段(5)を開口手段(6)によって開放し、ごみ(A)を、車両の荷台あるいは受入れ容器等の受入れ容器(Y)に排出し、且つ、ごみ(A)を排出後には、蓋部(3)は該蓋部(3)の自重により自動的に閉口、あるいは、少し、蓋部(3)を押圧することにより閉口することを特徴とする昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造から構成される。
【0014】
さらに、この発明は、昇降機能を有する運搬用車両(X)に搭載するごみ回収用の容器であって、有底で上部を開放し、側面に蓋部(3)を有する可動容器本体(1)を設け、該本体(1)の底部には、運搬用車両(X)に搭載する搭載手段(2a)を備えた枠体(2)で取り囲まれ、該容器本体(1)の蓋部(3)が、該蓋部(3)の両側部の上端部(2a,2a′)に設けた軸(2b,2b′)と、それぞれリンクアーム(4a)と軸アーム(4b)をリンク軸(4c)で軸支したリンク機構(4)を介して本体(1)に回動可能に軸着されることを特徴とする昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造である。
【0015】
また、さらに、この発明は、昇降機能を有する運搬用車両(X)に搭載するごみ回収用の容器であって、有底で上部を開放し、側面に蓋部(3)を有する可動容器本体(1)を設け、該本体(1)の底部には、運搬用車両(X)に搭載する搭載手段(2a)を備えた枠体(2)で取り囲まれ、該容器本体(1)の蓋部(3)が、ステアリングバー(4d)を介して、枠体(2)の両側部の上端部(2c,2c′)と、蓋部(3)のやや下方に回動可能に軸着されたことを特徴とする昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造である。
【0016】
そして、可動容器本体(1)の蓋部(3)は、例えば、格子状の枠材で形成し、この枠材にエキスパンドメタルや金網状の素材を貼着したものを用いれば、該本体(1)内に積載されたごみ(A)の積載状態がよく外部から確認できる。
【0017】
なお、前記枠体(2)の両側部(2b,2b′)に、該容器本体(1)を軸着する位置(α)(α′)が、容器本体(1)の後部部分で、且つ、容器本体(1)の底部(1a)の傾斜面の頂部(1b)近傍に設けることを特徴とする昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造である。尚、前記枠体(2)の上端部後部にはストッパー(8)を設け、ごみ(A)排出後に、開口した該容器本体(1)が元の位置に戻る際、必要以上移動しないよう制限するものである。
【0018】
また、係止手段(5)は、全体の形状が「へ」字状のフック装置(5a)であり、前記枠体(2)に、該フック本体(5b)とフックハンドル(5c)からなるフック装置(5a)の中央部を、フック軸(5d)として、回動自在に軸支し、該フック装置(5a)の先端には、蓋部(3)に設けた受具(3a)を係止する係止爪(5e)を設け、該フックハンドル(5c)の他端には、グリップエンド(5f)を形成したものである。
【0019】
そして、開口手段(6)が、フック装置(5a)のグリップエンド(5f)近傍に巻回するロープ(B)であって、滑車(7)を介して、フック装置(5a)のグリップエンド(5f)を上方に上げ、あるいは、
図1(b)に示すように、フック装置(5a)のグリップエンド(5f)付近を、上方に押圧する棒材(C)である。又、(9)は、可動容器位置決車輪であり、前記容器本体(1)の底部に装着されており、フォークリフト(X)の昇降動作により該車輪(9)が地面に当接することにより該容器本体(1)が上方に押し戻され、その結果、リンク機構(4)や係止手段(5)に連動して蓋部(3)を押し上げ係止爪(5e)に係止され、固定されるものである。
【0020】
尚、前記の昇降機能を有する運搬用車両(X)とは、具体的には、作業用に用いられている公知のフォクーリフトであるが、このフォクーリフトに限定されることはなく、要するに、昇降機能を有する運搬用車両であれば、特に限定はされない。
【0021】
また、前記リンク機構(4)の他の実施例を、
図5〜7に基づいて説明すると、可動容器本体(1)の上端部付近にステアリングバー(4d)を設け、該バー(4d)の一端を該容器本体(1)の側面に回動可能に軸着し、他端を蓋部(3)の側面であって、蓋軸(4f)よりやや下方に回動可能に軸着するものである。
【0022】
また、蓋部(3)は、閉塞時には、前記可動容器本体(1)に、係止手段(5)によって係止されているが、ごみ(A)を排出する際にはスムーズに排出されるよう、蓋部(3)は大きく開口する必要がある。そのため、この発明の一実施例である開放手段(10)を
図8〜10に基づいて説明すると、該容器本体(1)側に容器側スプロケット歯車(11a)を設け、蓋部(3)側に蓋側スプロケット歯車(11b)を設け、チェーン(11c)を巻回しておくことにより、蓋部(3)が係止手段(5)である係止爪(5e)を、開口手段(6)であるロープ(B)や棒材(C)でフックハンドル(5c)を上部に押し上げることにより開口した際に、蓋部(3)が自重により大きく開口し、ごみ(A)排出後に、開口した蓋部(3)を該容器本体(1)側に押圧することにより、元とおり、閉塞されるものである。
【0023】
さらに、この発明の他の実施例である開放手段(10)を、
図11〜13に基づいて説明すると、該容器本体(1)側に容器側歯車(12a)を設け、蓋部(3)側に蓋部側(12b)を設け、これら両歯車(12a,12b)を噛み合わせることにより、蓋部(3)が係止手段(5)である係止爪(5e)を、開口手段(6)であるロープ(B)や棒材(C)でフックハンドル(5c)を上部に押し上げることにより開口した際に、蓋部(3)が自重により大きく開口し、ごみ(A)排出後に、開口した蓋部(3)を該容器本体(1)側に押圧すれば、元とおり、閉塞されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明によると、昇降機能付き車両搭載用容器における蓋の開閉構造の技術を確立し、これに基づいて大量に製造・販売することにより産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0025】
1 可動容器本体
1a 底部
2 枠体
2a 搭載手段
2b,2b′枠体の側部
2c,2c′枠体上端部
3 蓋部
3a 受け具
4 リンク機構
4a リンクアーム
4b 蓋アーム
4c リンク軸
4d ステアリングバー
4e 可動容器リンク側軸
4f 蓋軸
5 係止手段
5a フック装置
5b フック本体
5c フックハンドル
5d フック軸
5e 係止爪
5f グリップエンド
6 開口手段
7 滑車
8 ストッパー
9 可能容器位置決車輪
10 開放手段
11a 容器側スプロケット歯車
11b 蓋側スプロケット歯車
11c チェーン
12a 容器側歯車
12b 蓋部側歯車
A ごみ
B ロープ
C 棒材
X 昇降機能を有する運搬用車両
Y 受入れ容器
α,α′ 容器本体の軸着位置