【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は制御駆動により駆動される少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御駆動により供給される力に加えて、前記燃焼室圧力と逆向きの相殺力がその前記燃焼室と逆方向の側において制御ピストンに付加されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0012】
好都合には、上記のような更なる圧縮力により前記制御ピストンに対する封止を大幅に向上することができ、この場合、単にオイルのみの擦取りだけで前記燃焼室に対する又は前記燃焼媒介流を誘導する注入管に対する封止を理想的に実行することができ、この点においてこれにより特許文献2から公知の封止を大幅に単純化することができる。
【0013】
なお、ここで、特に前記制御駆動は例えば油圧式、電気的、磁気的又は機械的制御駆動等、多様に構成されてもよい。
【0014】
非常に好都合には前記制御駆動により供給される力は前記相殺力の方向と異なり、本発明によれば、前記燃焼室圧力と逆向きである。
【0015】
一般に、制御駆動全体は基本的に誘導力(guide force)のみ吸収すればよいため、より小型に形成されてもよい。本発明によれば、この誘導力を超えて必要となる力は前記相殺力により供給され、これにより前記制御駆動は前記制御ピストンに対する封止に必要な力による負荷を受けない、又は受けたとしても問題ない程度となる。詳細には、受ける負荷が少なくなるため前記制御ピストンおよび前記制御駆動をより軽量な構造とすることができるため、上述の相殺力により制御時間をより短くできる。
【0016】
上記のような相殺力は構造により多様な方法で供給されてよいものとする。これを目的として、好ましい別の実施の形態によれば、前記軸方向ピストンエンジンにおいて機械的配置は構造的に非常に単純に実施することができるため、前記相殺力は例えばばねを介して機械的に供給される。
【0017】
上記に対して選択的又は追加的に、好都合には、前記相殺力は例えば油圧を介して油圧的に供給される。上記のような油圧はオイルポンプ、また特に分離されるオイルポンプを介して供給される。必要な油圧は、前記軸方向ピストンエンジン内で通常存在する油圧が前記相殺力の生成に十分となり、そのために使用可能となるよう決定されてもよい。しかしながら、分離されるオイルポンプをまた設けてもよい。
【0018】
更なる別の実施の形態に関して、前記相殺力は上記に追加的又は選択的に空気圧により、特に前記圧縮機圧力を介して供給される。この空気式変形例は詳細には、圧力を実際に生成する動作は前記作動ピストン内で既に実行されているため、前記軸方向ピストンエンジンにおいて前記相殺力を生成するための圧力が常に存在し、更に好ましくは前記燃焼室圧力に略対応するという利点を有する。この点において、封止に小さい圧力差のみ必要とする軽度の封止のみが必要となる。上記に補足して、オイルポンプが適切な油膜を生成して、好都合には分離される回路内にオイルを誘導してもよく、この場合このオイルポンプは非常に低い背圧のみを受ける。この点において、前記オイルポンプは、以下に更に詳述するように前記圧縮機圧力に対抗して動作する必要がなくなる。
【0019】
好都合には、空気圧により生成される相殺力は約30バールの燃焼媒介圧力により生成されてもよい。これを目的として、特に制御空間は気圧又は前記軸方向ピストンエンジンのその他の空間に対して適切に封止される必要があり、これによりオイルの擦取りのみで前記燃焼室又は対応する注入管と制御空間との間の封止が実行できる。必要に応じて、適切には小さい寸法の補助的な更なる封止を設けてもよい。
【0020】
この点において、本課題を更に達成することにより、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は制御駆動により駆動される少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンは圧力空間内に配置されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンが得られる。詳細には、前記制御室の制御空間、および前記制御ピストンおよび前記制御駆動のアセンブリの少なくとも一部、好ましくは主要な部分が配置される空間は圧力空間として形成されるため、上記が可能となる。
【0021】
そのため、用語「圧力空間」は、前記軸方向ピストンエンジンの好ましくは少なくとも10バールの、外界に対して区別できる程度に高い圧力を有する閉鎖された空間を意味する。
【0022】
前記制御ピストンは本質的に圧力空間内に配置されるため、好ましくは複雑な封止は必要なく、これにより前記軸方向ピストンエンジンにおける損失をほとんど受けることなく動作が行われ、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率が同様に向上する。従来技術からは前記燃焼室側を圧力空間内に設けることのみが公知であり、前記制御ピストンについては公知ではない。
【0023】
更に、本発明の課題はまた、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は制御駆動により駆動される少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御駆動は、前記制御ピストンを駆動し、その一側に圧縮機圧力が付加される軸封と連動する制御軸を含むことを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0024】
前記軸封が一側で圧縮機圧力を受ける場合、理想的な場合には更に封止する必要がなく、前記軸方向ピストンエンジンは好ましくはより少ない損失で動作することができる。前記軸封は好ましくは、前記軸方向ピストンエンジンの詳細には圧縮機圧力を有する圧力空間を封止する。
【0025】
しかしながら、軸封を適切に構成することにより、圧縮機圧力より低い大気圧又はその他のエンジン圧力下で動作することが可能である。
【0026】
更に、本発明の課題は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は制御駆動により駆動される少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンはオイルにより濡れ状態にされ、前記制御ピストンを濡らす前記オイルは分離されるオイル回路内に誘導されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0027】
当然のことながら、分離されるオイル回路内の前記制御ピストンを濡らすオイルを誘導するための2個のオイルポンプが必要となる。しかしながら、前記オイルポンプはさまざまな圧力に対抗して動作できる。そのため前記オイルポンプは非常に低い損失で動作可能である。
【0028】
この点について、用語「分離される」は、前記軸方向ピストンエンジンの更なる部材および/又は部材群に対して少なくとも1個の更なるオイル回路が設けられることを意味する。
【0029】
この点において、好ましくは前記軸方向ピストンエンジンは、前記分離されるオイル回路から分離される前記軸方向ピストンエンジンのアセンブリを潤滑化および/又は冷却する主オイル回路を含む。
【0030】
前記2個のオイル回路の前記オイルレベルを無理なく正確に比較又はチェックするため、好都合には前記軸方向ピストンエンジンは前記主オイル回路と前記分離されるオイル回路との間に開閉可能な接続を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の実際の実施例によって、前記分離されるオイル回路および前記圧縮機圧力は、両者が共に前記相殺力の生成のために上述の相殺圧力を供給するよう相互に一致していてもよい。
【0032】
前記軸方向ピストンエンジンは前記制御ピストンが噴霧冷却される場合更により低い損失で動作可能である。これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率が更に向上する。
【0033】
前記制御ピストンの冷却は詳細には、前記噴霧冷却がオイルを用いて実行される場合、極めて高い動作温度においてでも非常に良く実行される。
【0034】
前記制御ピストンにおいてオイルによる決定的な損失を防止するため、好ましくはオイルスクレーパが前記制御ピストン上に設けられる。詳細にはこれによりオイルが前記注入管内および前記作動シリンダ内に移動するのを防止できる。
【0035】
更に、本発明の課題を達成するため、選択的又は追加的に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、燃焼室圧力が付加される少なくとも1個の部材と、潤滑化用のオイル回路とを備え、前記オイル回路はエンジンオイル回路および前記エンジンオイル回路とは異なる圧力レベルを有するプレッシャオイル回路を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンを提案する。これにより、上述した本発明の課題の達成に対応して、異なる圧力レベルを有するオイル回路の各々内において、例えば前記プレッシャオイル回路のプレッシャオイルポンプ等、各回路の前記オイルポンプはオイルの運搬に必要な背圧のみを付加するだけでよいという利点、および当該回路内でその他の理由で必要となる可能性のある、オイルを搬送するための圧力より高い圧力が前記プレッシャオイルポンプにより供給される必要がないという利点が得られる。
【0036】
前記プレッシャオイル回路は前記燃焼室内の燃焼室圧力に対抗して動作する部材を有する場合があるため、好都合には前記プレッシャオイル回路の前記圧力レベルは前記燃焼室圧力に対応する。上記に対して選択的又は追加的に、好都合には前記プレッシャオイル回路の前記圧力レベルは圧縮機圧力に対応する。前記プレッシャオイル回路の圧力レベルが前記燃焼室圧力又は前記圧縮機圧力に対応することにより、燃焼室圧力を受ける部材、例えば制御ピストンに作用するガス力は空気圧により大部分が相殺される。軸方向ピストンエンジンの効率を向上させるという課題は、前記制御ピストンに作用するピストン動作が最小限となる範囲で達成され、したがって前記軸方向ピストンエンジンにおける動作又は出力が可燃性物質の消費は同一のまま最大化される。
【0037】
なお、そのため「圧力に対応する圧力レベル」という表現はまた、圧力が前記圧縮機圧力であろうと前記燃焼室圧力であろうと、圧力レベルおよび圧力間の圧力差を40%まで許容可能にする。しかしながら好ましくは、「圧力に対応する圧力レベル」という表現は最大で7バールの圧力差を含む。上記のような圧力差は大きい封止効率損失を伴うことなく吸収する可能な範囲であり、また高い温度に対しても耐性を有する。
【0038】
前記軸方向ピストンエンジンの可変出力に関する効率を向上する利点を妨げることのないよう、前記プレッシャオイル回路は前記軸方向ピストンエンジンの全負荷において20バールより高い圧力レベルを有することを更に提案する。追加的又は選択的に、前記プレッシャオイル回路は前記軸方向ピストンエンジンの部分負荷中に5バールから20バールの圧力レベルを有することを提案する。これにより圧力比を平衡させることができ、これにより全動作条件の大部分に対して効率が最適となる。上記に対して選択的又は追加的に、前記軸方向ピストンエンジンのアイドリング中および/又は停止中に前記プレッシャオイル回路が5バールより低い圧力レベルを有することを更に提案する。特に上記の動作状態において、これにより封止における負荷を対応して小さくすることができ、詳細にはこれにより時間の経過により悪化する可能性もあるリーク流が実質的な悪影響を誘因しないようにできる。好都合には、詳細には停止/始動装置が前記軸方向ピストンエンジンを一時的に停止させる場合、前記プレッシャオイル回路内の圧力は保持され、この圧力が一時停止中も保持されるため、前記軸方向ピストンエンジンの始動後に前記プレッシャオイル回路内に新たに圧力を供給する必要がなくなる。前記軸方向ピストンエンジンにおける負荷下の動的な動作において、上述の手段により、燃焼室圧力を受ける部材における前記燃焼室圧力の相殺が常に前記軸方向ピストンエンジンの前記燃焼室圧力又は負荷点に対応するという利点を実現できる。必要に応じて、燃焼室圧力を受ける部材において前記燃焼室圧力の相殺に必要なガス力が利用可能なため、多様な動作条件下で効率が最適化される。常に高いガス力は前記燃焼室圧力を過度に相殺してしまう場合があり、これにより前記圧縮機段において相殺圧力を生成するために圧縮機の出力が必要となり、これは効率に対して好ましくない又は不都合である。
【0039】
この場合、「アイドリング」は、規定される前記軸方向ピストンエンジンの出力が前記軸方向ピストンエンジンの摩擦損失と略同一となるような動作状態、すなわち、有効出力がゼロということを意味する。
【0040】
前記オイル回路をエンジンオイル回路およびプレッシャオイル回路に分割することにより軸方向ピストンエンジンの効率を向上させるという本発明の課題は、詳細には前記エンジンオイル回路はエンジンオイル槽およびエンジンオイルポンプを有し、前記プレッシャオイル回路はプレッシャオイル槽およびプレッシャオイルポンプを有することにより、補助的に達成される。これにより、前記エンジンオイルポンプおよび前記プレッシャオイルポンプにより、前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路がそれぞれ異なる体積のオイル流を有することができ、したがって前記エンジンオイルポンプおよび前記プレッシャオイルポンプの出力要求は前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路の要求に対応するという、効率向上効果のある利点が得られる。
【0041】
例えば前記制御ピストンおよび前記制御ピストンと相互作用するその他の部材等の燃焼室圧力を受ける部材を確実に濡らすため、前記プレッシャオイル槽はオイルレベルの記録手段を有することを更に提案する。好都合には前記オイルレベルの記録手段は、前記オイルレベルの記録手段により決定される前記プレッシャオイル槽の前記オイルレベルは最小および/又は最大オイルレベルことを特徴とする。この利点により、不十分な潤滑化が動作上確実に防止されるだけでなく、前記プレッシャオイル回路の過充填、およびその結果の例えばオイルの発泡、前記プレッシャオイル回路からのオイルの噴出又はその他好ましくないリークが防止される。
【0042】
制御室に形成される少なくとも1個の圧力空間が前記プレッシャオイル回路の部材からなることを更に提案する。前記プレッシャオイル回路の前記圧力レベルが前記燃焼室圧力レベルと同一となるため、前記制御ピストンの前記燃焼室と逆方向の側に形成される前記制御室が前記制御ピストンに作用する前記燃焼室圧力を相殺できるという点によってこの配置の利点が得られる。
【0043】
この場合、「制御室」という用語は、1個又は複数の前記制御ピストンの前記燃焼室と逆方向の側に配置される空洞を表す。加えて、前記制御ピストンの運動方向により、前記燃焼室と逆方向の側が規定される。したがって、前記燃焼室と逆方向の側は、前記制御ピストンにおける、ガス圧が供給され、その結果、前記制御ピストンに作用する前記燃焼室圧力に対抗する側に対応する。例えば制御効果を有するカム板又は軸受け装置等、1個又は複数の前記制御ピストンと相互作用する更なるアセンブリを前記制御室内に設けてもよい。この点において、前記オイル回路の前記プレッシャオイル回路はまた1個又は複数の前記制御ピストンの一部を含んでいてもよく、これにより、前記制御ピストンを潤滑化するために循環するオイルが、前記制御ピストンに配置される摩擦対を濡らした後に当該制御室内に流入することができ、また、ここからオイル槽に収容することができる。
【0044】
多様な部材に作用する燃焼室圧力を相殺するという効率最適化のための利点を実現するため、前記プレッシャオイル回路を前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダに充填管路を介して接続することを更に提案する。上記のように充填管路を用いることにより、前記プレッシャオイル回路内で前記燃焼室内と類似な大きさの圧力レベルが必要に応じて動作上安全且つ単純に常に利用可能であるという利点が得られる。好都合且つ好ましくは、圧力の構築は動作点に基づいて上記充填管路を介して制御又は調整できる。
【0045】
前記軸方向ピストンエンジンの負荷点変更の要求に正しく対応するために、充填弁を前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダと前記プレッシャオイル回路との間に配置し、動作点に基づいて圧力構築を制御又は調整できるようにすることを提案する。この充填弁は詳細には上述した前記充填管路内に設けてもよい。
【0046】
前記充填弁がオンオフ可能に構成されていることにより、また特に前記充填弁が前記圧縮機圧力を介してオンオフ可能に構成されていることにより、前記充填弁は好ましくは複雑な調整に正しく対応する。これを目的として、前記充填弁は前記圧縮機段に動作可能に接続されていてもよく、オンオフ手段を有する対応する制御装置を備えていてもよい。
【0047】
適切な一実施の形態において、前記充填弁は例えば電気的又は電子的に、又は空気圧により作動する弁からなっていてもよい。したがって、前記充填弁は、制御機器又は前記制御装置により間接的に、又は前記弁における前記圧縮機圧力により直接的に作動させてもよい。前記圧縮機圧力が所定値を超える場合、例えば前記充填弁を開放して前記圧縮機段を前記プレッシャオイル回路に接続してもよく、これにより前記圧縮機段内の圧縮空気又はその他の媒介を前記プレッシャオイル回路に充填できる。
【0048】
前記軸方向ピストンエンジンの動作中における負荷点に対応して、前記充填弁は好都合には、5バール、好ましくは10バール、最も好ましくは30バールの充填圧力でオンオフすることを特徴とする。これにより、部材に作用する燃焼室圧力の相殺に必要な圧力、又はほぼこれに対応する圧力が前記プレッシャオイル回路内で利用可能になるという利点が得られる。更に、前記圧縮機圧力が前記プレッシャオイル回路内の圧力レベルより低いレベルまで降下するため、上述の前記充填弁により前記プレッシャオイル回路からの圧力リークを効率的に防止できる。好都合には、充填弁は空気式圧力制御による多方向弁として構成していてもよく、これにより前記充填弁の能動制御が可能となる。
【0049】
更に、前記充填弁は逆止め弁、特に圧力制御による逆止め弁とすることも考えられる。これにより、前記充填弁を更なる手段を必要とせずに構造的に非常に単純にオンオフすることができる。
【0050】
前記軸方向ピストンエンジンの圧縮機段により供給される圧力を用いる場合、この圧力を付加するために供給される空気又は供給燃焼媒介は通常環境条件から圧縮中の環境条件より高い温度レベルを有するため、例えば弁からなるスロットルポイントの後の圧力降下又は前記充填管路壁の冷却の結果、液体が凝縮する場合がある。したがって、前記プレッシャオイル回路の他の構成として、前記充填弁と前記プレッシャオイル回路との間にオイルトラップを配置することを提案する。
【0051】
このオイルトラップ内に収容されるオイルは既に高い圧力レベルにあり、前記オイルトラップの排水管を前記プレッシャオイル槽に接続することを更に提案する。
【0052】
更に、前記充填弁と前記プレッシャオイル回路との間に排水器を配置することを提案する。これにより、圧縮空気の導入前にその圧縮空気内の水蒸気を効率的に回収することが可能となり、これにより前記プレッシャオイル回路内の水蒸気の凝縮が防止でき、その結果、前記軸方向ピストンエンジンの耐用年数が腐食の発生により制限されることがなくなる。プレッシャオイル管路から前記圧縮機段への回帰流については、ここに提案するように、オイルトラップを用いて前記オイルトラップの排水管が収容されるオイルを前記プレッシャオイル回路を再供給することにより、前記プレッシャオイル回路からのオイル損失を効率的に防止できる。また、前記オイルトラップにより、詳細には前記圧縮機段内でのオイルを含む空気の自己発火が原因の前記軸方向ピストンエンジンの損傷を防止することもできる。
【0053】
効率向上を目的として、前記プレッシャオイル回路内の圧力レベルを前記エンジンオイル回路内より高くすることにより、既存の圧力勾配が原因で前記プレッシャオイル回路から前記エンジンオイル回路内に更に多量のオイルがリークする可能性がある。前記軸方向ピストンエンジンの動作全体の最中において、プレッシャオイル回路の効率を向上させるための利点を連続して維持するため、好ましくは前記プレッシャオイル槽と前記プレッシャオイルポンプとの間、および前記エンジンオイル槽又は前記エンジンオイルポンプと前記プレッシャオイルポンプとの間に均圧弁を配置する。これにより、前記プレッシャオイルポンプは前記プレッシャオイル槽の前記オイルレベルが少なくとも最小レベルを超えて最大レベルに到達するまで前記エンジンオイル槽からオイルを引き込むため、前記プレッシャオイル槽内のオイルレベルが必要最小レベルを超過することが防止できるという利点が得られる。前記オイル回路の効率保持のための構成は更に、前記均圧弁を前記オイルレベルの記録手段に動作可能に接続することによっても実施できる。
【0054】
更に、前記均圧弁を制御装置に動作可能に接続することを提案する。上記のような制御装置は例えば性能特性又はアルゴリズムを備える前記軸方向ピストンエンジンの制御機器からなっていてもよく、これにより、前記プレッシャオイル回路内の前記オイルレベルを均一化するため、同様に前記プレッシャオイル回路は前記エンジンオイル回路に接続される。その結果、前記均圧弁は前記オイルレベルの記録手段に直接、又は制御装置を介して間接的に接続されていてもよい。
【0055】
また、前記制御装置は、例えば前記プレッシャオイル回路内のオイルを交換するため、前記プレッシャオイル回路内の前記オイルレベルに基づいてのみではなく温度、又は例えば緊急稼動信号又はメンテナンス信号等のその他の特性変数に基づいて前記均圧弁を駆動することが考えられる。
【0056】
好ましくは第1の動作状態において前記均圧弁が前記プレッシャオイル槽を前記プレッシャオイルポンプに結合し、第2の動作状態において前記エンジンオイル槽又は前記エンジンオイルポンプを前記プレッシャオイルポンプに結合する場合、エネルギ的に非常に好都合には前記プレッシャオイル回路内の圧力レベルを前記エンジンオイル回路内より高く設定する。これにより前記プレッシャオイル回路を用いることによる効率性が保証され、前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路が上記2個の部分回路間における小さい圧力差のみで接続され、これにより前記プレッシャオイルポンプの消費出力が大きい圧力差を克服するために効率損失が発生することがなくなるという利点が得られる。
【0057】
前記均圧弁を効率保持した状態で構成するため、上記に追加的に、前記第1の動作状態が前記軸方向ピストンエンジンの部分負荷および/又は全負荷に対応し、前記第2の動作状態が前記軸方向ピストンエンジンのアイドリングおよび/又は停止状態に対応することを提案する。前記均圧弁をこのように構成することにより、前記均圧弁が前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路間の小さい圧力差のみで確実にオンオフされ、これにより負の圧力勾配により前記プレッシャオイル回路から前記エンジンオイル回路内へオイルが回帰することを効率的に防止する。前記プレッシャオイル回路が空になると、潤滑化が不十分になり、前記軸方向ピストンエンジンの効率が大幅に損なわれる可能性がある。
【0058】
したがって、選択的又は追加的に、逆止め弁として構成した回帰流弁を前記エンジンオイル槽および前記均圧弁間、又は前記エンジンオイルポンプおよび前記均圧弁間に配置することを更に提案する。好都合にはこの回帰流弁により、前記均圧弁に異常が発生中に前記プレッシャオイル回路が不注意で空になるのを更に防止できる。
【0059】
詳細には、前記回帰流弁は前記エンジンオイル回路から前記プレッシャオイル回路への流れ方向を有することを適宜提案する。
【0060】
前記逆止め弁の安全防護対策機は好ましくはこの構成で実施され、これにより前記プレッシャオイル回路を正の圧力勾配で満たすことが更に可能になり、負の圧力勾配により空になることを抑制する。
【0061】
効率が向上した軸方向ピストンエンジンを実現するため、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、燃焼室圧力下における前記燃焼室から前記膨張機段の前記シリンダへの燃焼媒介流は少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記軸方向ピストンエンジンは潤滑化のための少なくとも1個のオイル回路を有し、前記オイル回路はエンジンオイル回路内およびプレッシャオイル回路内へと分割され、前記軸方向ピストンエンジンの燃焼室圧力を受ける部材は前記プレッシャオイル回路により潤滑化されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を提案する。
【0062】
上記に加えて、前記制御ピストンに作用する前記燃焼室圧力を制御室内の前記燃焼室圧力に対応する圧力レベルにより相殺することを提案する。
【0063】
提案する軸方向ピストンエンジンに関する上記の方法により前記軸方向ピストンエンジンの効率が向上し、一方で前記オイル回路の独立しているものと見なされる前記2個の部分回路の各々が必要最小限の圧力レベルで動作し、これにより前記部分回路内の前記オイルポンプの消費出力が需要に最小限に適合し、したがって効率に関して最適化される。他方で、燃焼室圧力を受ける部材、特に燃焼室圧力を受ける前記制御ピストンの燃焼室圧力を相殺することにより、動作サイクルの効率を促進しないような前記制御ピストン上のピストン動作を防止又は最小限にすることができ、これにより前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率が最大となる。
【0064】
好都合には、前記燃焼室圧力に対応する前記制御室内の前記圧力レベルは前記圧縮機段により供給してもよい。これにより対応する圧力レベルを生成するための更なる集合体又はアセンブリが必要ないという利点が得られ、更にこれにより前記圧縮機段により供給される圧力又は前記圧力レベルが相殺される前記燃焼室圧力に対応するという利点が得られる。
【0065】
好ましくは、プレッシャオイル槽内においてオイルレベルが最小レベル未満まで降下した場合、前記プレッシャオイル回路には前記エンジンオイル回路からオイルが充填される。これにより、前記エンジンオイル回路からのオイルが上昇圧力により前記プレッシャオイル回路からのオイルの代替となるため、燃焼室圧力を受ける部材を潤滑化するためのオイルが常に十分に利用可能であるという利点が得られる。これを目的として、特に前記軸方向ピストンエンジンのアイドリング中および/又は停止中に前記プレッシャオイル回路を前記エンジンオイル回路に接続してもよく、これにより圧力差が相対的に小さくなる。前記プレッシャオイル回路および前記エンジンオイル回路間の克服すべき大きい圧力差は好ましくは上記に提案の方法により回避され、前記エンジンオイル回路からのオイルの排出が詳細には前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路間の圧力差が最小の時に実行され、これによりこの圧力差による前記2個のプレッシャオイルポンプの消費出力が最小となり、その結果前記軸方向ピストンエンジンの全体効率が最大となる。
【0066】
直上に記載の方法に選択的又は補助的に、前記プレッシャオイル回路は前記プレッシャオイル回路および前記エンジンオイル回路間で5バールより小さい圧力差で前記エンジンオイル回路に接続されていてもよい。この工程により、前記エンジンオイル回路および前記プレッシャオイル回路間の圧力差が、前記プレッシャオイル回路を満たすために必要な圧力差を克服するために必要となる前記オイルポンプの消費出力が最小となるような所定の値となった時に、前記軸方向ピストンエンジンの回転速度と独立して前記プレッシャオイル回路に前記エンジンオイル回路からのオイルが充填されるという利点が得られる。したがって、前記プレッシャオイル回路の動作中でも前記プレッシャオイル回路を動作上確実に好ましい効率で充填することができる。
【0067】
本課題はまた、本発明のその他の特性と独立して、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンは鉄又は鋼鉄から前記燃焼室側に形成されることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0068】
前記制御ピストンは前記軸方向ピストンエンジンの非常に高温な作動媒体又は燃焼媒介に接触するため、好都合には前記制御ピストンの少なくともこれに関連する領域は耐熱に構成される。
【0069】
好都合には前記制御ピストンはまたアルミニウム又はその合金から形成され、これにより前記制御ピストンが非常に軽量となり、これにより極めて短い制御時間が可能となる。
【0070】
上記に選択的に、前記制御ピストンは通常小型であり、したがって低い質量を有するため、前記制御ピストン全体は鉄又は鋼鉄から形成されていてもよい。上記は、詳細には極めて短い制御時間が特に大切ではない場合、又は前記制御ピストンが軽量であるためにいずれにせよ制御時間が極めて短くなる場合に良好な解決手段である。
【0071】
本発明の更なる様態により、上述の課題を達成ため、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を燃焼室を介して前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備える軸方向ピストンエンジンであって、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は制御駆動により駆動される少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンは前記軸方向ピストンエンジンの動作温度において液状の金属が充填される空洞又は前記軸方向ピストンエンジンの動作温度において液状の金属合金が充填される空洞を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンを提案する。動作温度において液状の金属合金又は金属を用いることにより前記制御ピストンの集中冷却が可能となり、これにより前記制御ピストンは好都合には高温においても十分な耐用年数および強度で用いられる。
【0072】
上記に追加的に、前記金属又は前記金属合金は少なくともナトリウムを含むことを提案する。燃焼エンジン内で非常に低い融点および良好な可操作性を有するため、ナトリウムは高温な部材内で用いることが可能であるという利点を有する。前記軸方向ピストンエンジンの動作温度より低い融点を有する、周期律のアルカリ族からなる金属を用いてもよいものとする。更に、上記を目的として、同様に水銀、ガリウム、インジウム、錫、鉛又はこれらの合金からなる材料、およびその他の液体金属又は前記軸方向ピストンエンジンの動作温度において液状の金属を用いてもよいものとする。
【0073】
上述の課題はまた、特に特許文献2と対照的に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、前記燃焼室と前記膨張機段との間の少なくとも1個の制御ピストンおよび導管とを備え、前記制御ピストンおよび前記導管は主流れ方向を有し前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、前記制御ピストンは前記主流れ方向に平行な案内面および/又は前記主流れ方向に垂直な衝突面を有し、前記制御ピストンおよび前記導管は前記制御ピストンの運動により解放される流量断面を有し、前記制御ピストンの運動は前記制御ピストンの長さ方向の軸に沿って実行され、前記制御ピストンは前記前記制御ピストンの長さ方向の軸に対して鋭角を成す案内面および/又は衝突面を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0074】
通常、体積が付加された燃焼エンジンの2個の部材間でのchargeの交換は、スロットルポイントを介して流動損失を伴って結合される 。この場合前記導管および前記制御ピストンにより形成される上記のようなスロットルポイントは、この流動損失により効率を低下させる。したがって、前記導管および/又は前記制御ピストンを流体的に好ましく構成することにより効率を向上できる。
【0075】
したがって、前記制御ピストンの案内面を前記主流れ方向と平行に配置することにより、流動損失を防止して効率を最大にする利点が得られる。詳細には、流れを前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直には発生しないよう構成することにより、前記制御ピストンの前記長さ方向の軸に対して鋭角に配置される案内面により、前記案内面をこの案内面上を流れる流れに対して好ましい角度に配置することが可能である。好ましくは、前記案内面又は前記制御ピストンにおける流動損失を最小限にできるため、前記軸方向ピストンエンジンの効率が上記の手段により更に向上する。
【0076】
本発明において「主流れ方向」は、燃焼媒介の層流および乱流について測定および図示可能な、燃焼媒介が前記導管を流れる方向を意味する。したがって「平行」という特性はこの主流れ方向に関して数学的又は幾何学的観点から理解されるべきであり、前記主流れ方向と平行な制御ピストンの案内面は可燃性物質の流れにより運動量を吸収することは全くなく、又は流れの運動量を変化させることも全くない。
【0077】
前記制御ピストンが前記制御ピストンが解放された流量断面を閉鎖する位置に到達すると、前記主流れ方向と垂直に形成される衝突面は好ましくは前記燃焼室に対して最小表面で配置され、これにより前記燃焼室内の燃焼媒介により前記制御ピストン内に伝達される熱流量が最小となる。したがって、このように前記主流れ方向に対する衝突面を最小寸法とすることにより、壁における熱損失を最小にすることが可能であり、これにより同様に前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率を最大にできる。
【0078】
上述の前記案内面と同様に、前記衝突面も鋭角に配置してもよく、また燃焼媒介流において、流れは前記制御ピストン又は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直に発生しないため、前記衝突面が流れに対して最小表面を有するよう配置してもよい。衝突面を最小に構成することにより、同様に、壁における熱損失を軽減でき、また渦が形成されることによる好ましくない流れの偏向を最小限にすることができ、対応して前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率を最大にできるという利点が得られる。
【0079】
前記案内面および/又は前記衝突面は平面、球状の面、筒状の面又は円錐状の面からなっていてもよい。前記案内面および/又は前記衝突面を平面に構成することにより、一方で前記制御ピストンを非常に単純且つコスト効率良く製造でき、他方で前記案内面と連動するシール面を単純な構造で構成することができ、この案内面における封止効果が最大となる。前記案内面および/又は前記衝突面を球状に構成することにより、前記導管もまた円形又は楕円形の断面を有する場合、前記案内面を続く前記導管に幾何学的に非常に良く適応させることができるという更なる利点が得られる。したがって、前記制御ピストン又は前記前記制御ピストンの案内面から前記導管への移行部において、好ましくない離脱流又は乱流は発生しない。同様に、案内面および/又は衝突面を円筒状に形成することにより、前記制御ピストンと前記導管との間の移行部、又は前記制御ピストンと前記燃焼室との間の移行部において離脱流又は乱流の発生が抑制されるという利点が得られる。あるいは、好ましくは前記案内面および/又は前記衝突面を円錐状に形成してもよく、この場合前記制御ピストンに続く前記導管は前記導管の長さに対応して変更可能な断面を有する。前記導管がディフューザ又はノズルとして形成される場合も、前記制御ピストンの円錐形に形成される案内面により、流れにおいて離脱流又は乱流を発生させないようにできる。上述の手段はいずれも、その他の手段とは独立して、それ自体が効率を最大化する効果を有していてもよいものとする。
【0080】
前記軸方向ピストンエンジンは前記燃焼室と前記膨張機段との間に案内面シール面を有していてもよく、この場合前記案内面シール面は前記案内面と平行に形成され、前記制御ピストンの上死点において前記案内面と連動する。前記制御ピストンはまたその上死点において封止効果を有するため、前記案内面シール面は好ましくは前記制御ピストンの上死点において前記案内面と大きい領域で連動するよう形成され、したがって封止効果が得られる。前記案内面シール面の全ての地点が前記案内面に対して同一の距離を有する場合、好ましくは前記案内面に対する距離がゼロの場合、前記案内面シール面の封止効果が最大になる。案内面シール面を前記案内面に対して補完的に形成することにより、前記案内面の形状に関わらず上記の条件を満たすことができる。
【0081】
上記に追加的に、前記案内面シール面を前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直な表面において前記導管側に結合することを提案する。非常に単純な構成により、前記案内面シール面の、前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と垂直な表面への移行部は鋭角な折曲部を含んでいてもよく、これにより前記案内面シール面を流れる流れはこの鋭角な折曲部又は突出部において離脱し、これにより燃焼媒介流は可能な限り少ない流動損失で前記制御ピストンから続く前記導管内に流れることができる。前記案内面シール面は離脱端を有するため、前記制御ピストンの案内面は必ずしも前記案内面シール面と平行に形成する必要がないものとする。この場合、前記案内面を鋭角な折曲部又は突出部を設けずに形成することも考えられる。
【0082】
上述の特徴に選択的又は追加的に、前記燃焼室と前記膨張機段との間にステムシール面を備え、前記ステムシール面は前記制御ピストンの前記長さ方向の軸と平行に形成され、前記制御ピストンのステムの表面と連動する軸方向ピストンエンジンを提案する。前記制御ピストンがその上死点に到達すると、前記制御ピストンの前記ステムおよび対応するステムシール面の相互作用として、前記制御ピストンは前記燃焼室に対して封止を行うだけでなく、好ましくは前記膨張機段に対しても封止を行う。これにより前記制御ピストンにおけるリークによる損失が更に軽減され、これにより前記軸方向ピストンエンジンの全体効率を同様に最大化することができる。
【0083】
更に、前記制御ピストンの前記ステムの前記案内面、前記衝突面、前記案内面シール面、前記ステムシール面および/又は前記表面を反射性表面を有するよう構成することを提案する。上記の各表面は燃焼媒介と接触してもよいため、上記面の各々を介して壁において熱流が発生し、その結果として効率損失が発生する可能性がある。したがって、反射性表面は熱放射が原因の不必要な損失を防止し、したがって前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率が向上するという利点が得られる。
【0084】
本発明の課題を更に達成するため、選択的又は追加的に、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンの前記燃焼室側の少なくとも1つの表面は反射性であることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンを提案する。上記のような反射性により、好ましくは各アセンブリの熱負荷を特に熱負荷を伴う放熱を反射することにより軽減することが可能である。
【0085】
上記に対して選択的又は追加的に、本発明の課題は、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの前記燃焼媒介流は少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記燃焼室は反射性金属からなる燃焼室床を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより適宜に達成される。
【0086】
金属表面を反射性にすることにより、燃焼する燃焼媒介および前記金属表面間の大きい温度差が原因で発生する前記壁の熱流を、少なくとも熱放射が原因の前記壁内の熱流について軽減できるという利点が更に得られる。燃焼エンジン内の効率損失は上述の前記壁内の熱流が原因で大きくなるため、提案する本発明の効果により、前記壁内の熱流を軽減することにより前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率を効率的且つ単純に向上できる。
【0087】
一方で、非金属製の表面においても反射性により熱力学効率的利点が得られるものとし、また他方で、この熱力学効率的利点は、燃焼媒介の温度は前記壁の温度より高いため、前記軸方向ピストンエンジンの燃焼媒介と接触する部材の各々を反射性とすることにより追加的又は選択的に達成されるものとする。
【0088】
更に、部材表面の分光反射率を増強できるその他の表面コーティングを用いてもよいものとする。当然のことながら、対流が原因の熱力学的損失を減少させるため、上記に対して選択的又は追加的に部材表面の熱伝達係数を減少させる表面コーティングが更に考えられる。
【0089】
本発明の目的はまた、本発明のその他の特性と独立して、連続動作燃焼室から供給を受ける少なくとも1個の作動シリンダを備え、前記燃焼室は好ましくは2個の流入燃焼空気を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0090】
流入燃焼空気を複数とすることにより、燃焼空気のラムダ比(λ)、すなわち燃料に対する酸素の比率をほとんど問題なく調節することができる。公知の方法においては、全燃料を燃焼するために必要なだけの酸素が利用可能なため、全燃料をλ=1で完全燃焼させることができる。又は、λ>1のより希薄な混合燃焼体を余剰の酸素により調節してもよい。しかしながら、2個の流入燃焼空気を設けることにより、λ<1のより濃厚な混合燃焼体および酸素不足も非常に均一且つ急速に調節することができる。この点において、好都合には、燃焼空気は前記2個の流入燃焼空気を介して2個の異なるレベルで供給される。
【0091】
この場合、前記軸方向ピストンエンジンの本燃焼室の構成は重要ではない。例えば、前記燃焼室は予熱室および主燃焼室を備え、好ましくは二段階の燃焼を実行可能としてもよい。
【0092】
前記2個の流入燃焼空気の調整は好ましくは回転速度に基づいて実行される。しかしながら、選択的に調整は出力に基づいて実行されてもよく、これにより両方の場合において燃焼空気供給の調整をより良く実行することができる。例えば、第2の又は更なる流入燃焼空気は前記軸方向ピストンエンジンの動作状態に対して好ましい場合に実行されてもよい。
【0093】
更に、前記2個の流入燃焼空気が異なる温度の燃焼空気に対して構成されている場合、前記燃焼室内の火炎を容易に温度調節することができ、これにより燃焼をより単純に制御することができる。
【0094】
なお、これらの同一の流入燃焼空気は必ずしも上述のように前記燃焼室に接続されている必要はない。替わりに、好ましくは流入燃焼空気は例えば上流の、燃焼媒介を混合するための混合パイプに接続されていてもよい。
【0095】
前記軸方向ピストンエンジンが少なくとも1個の熱交換器を有する場合、好都合には、第1の流入燃焼空気は熱交換器より前に燃焼空気を供給され、第2の流入燃焼空気は前記熱交換器又はその他の熱交換器の後で燃焼空気を供給される。これにより異なる温度の燃焼空気を構造的に非常に単純な方法で供給することができる。特にこの場合、燃焼空気の利用を効率に基づいて調整することができる。
【0096】
必要に応じて、特に始動工程に対して燃焼空気用の加熱装置を別に設けてもよく、これにより、燃焼空気と接触する燃料が不必要に冷却されない。
【0097】
本発明の課題はまた、連続動作燃焼室による供給を受け、排ガス排出口を有する少なくとも1個の作動シリンダを備え、前記燃焼室内の温度を決定するための燃焼室温度センサを備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0098】
上述のような温度センサは、単純な方法において前記軸方向ピストンエンジンの燃焼品質又は稼動安定性に関して有意値を得る。
【0099】
温度センサとして、例えば抵抗温度センサ、熱電対センサ、赤外線センサ等、様々なセンサを用いてもよい。
【0100】
好ましくは前記燃焼室温度センサは前記燃焼室内の火炎温度を計測するよう構成又は配置される。これにより、非常に有意な値を決定することができる。
【0101】
この場合、前記燃焼室温度センサは前記燃焼室内側のほぼ任意の位置に配置してもよい。例えば、燃焼室温度センサは予熱室および/又は主燃焼室領域内に設けられてもよい。
【0102】
前記軸方向ピストンエンジンは詳細には、入力センサとしての前記燃焼室温度センサを含み、前記燃焼室の温度が1,000℃から1,500℃の間となるよう前記燃焼室を調整する燃焼室調整装置を含んでいてもよい。これにより、相対的に単純であり、したがって動作上確実且つ非常に高速な調整回路により、前記軸方向ピストンエンジンが生成する汚染物質を極めて少なくできる。詳細には、煤煙が形成される危険性を最小にできる。前記燃焼室の温度は非常に急速に制御することができ、したがって好ましくは2個以上の燃焼空気供給管路が異なる温度の燃焼空気と共に用いられる。
【0103】
更に、上記に追加的又は選択的に、前記軸方向ピストンエンジンは前記排ガス温度を決定するための排ガス温度センサを含んでいてもよい。連続動作燃焼室の動作状態は上記のような排ガス温度センサにより技術的に単純な方法で同様にチェックおよび制御できる。
【0104】
上記のような調整装置により詳細には単純な方法で燃料を適切且つ完全に燃焼させることができ、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率を最適化すると同時に排出する汚染物質を最小にできる。
【0105】
好都合には、前記燃焼室調整装置は入力センサとして前記排ガス温度センサを含んでいてもよい。任意で、前記燃焼室は動作状態、好ましくはアイドリング時の前記排ガス温度が850℃から1,200℃の間となるよう制御される。これは、上述の要件に基づいて、例えば水の温度又は体積、又は熱交換器内の予熱および非予熱空気の比率を制御することにより、例えば適切に水を供給および/又は燃焼媒介、詳細には空気を予熱することにより実現される。上記のような水冷式の調整装置は上述の従来技術には記載が無い。
【0106】
上記のような動作状態は好ましくは前記軸方向ピストンエンジンのアイドリングであり、これにより汚染物質を更に削減できる。
【0107】
本発明において、好ましくは特に予熱室温度も調整できるようにするため、前記燃焼室温度センサは追加的又は選択的に予熱室温度センサを含んでいてもよい。
【0108】
更に、本発明の課題は、連続動作燃焼室から供給を受ける少なくとも1個の作動シリンダを備え、前記燃焼室内への水の供給を含む燃焼室調整装置を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0109】
前記水の供給は、燃焼媒介圧縮機内又は前での水の供給と独立して実行されることにより、更に調整能力が向上する。この場合、水は理想的には冷却を目的として前記燃焼室内に直接供給される。
【0110】
前記水の供給が燃焼媒介圧縮機内又は前での水の供給と独立して実行される場合、これにより、更に多様で好都合な調整および冷却の変形例が可能となる。
【0111】
前記水の供給は前記予熱室内で実行されてもよい。
【0112】
上記に追加的又は選択的に、前記水の供給は好都合には前記主燃焼室内で実行されてもよく、これは非常に好都合である。詳細には前記水の供給は、水が事前に特に燃焼空間に対する冷却水として用いられる実行されてもよい。また、水又は水蒸気は、前記燃焼室の壁に沿って流れるよう燃焼室に注入され、これにより、前記燃焼室壁が可能な限り保護される。
【0113】
前記水の供給が排ガス温度調整に用いられる場合、好都合には特に熱交換器内の燃焼空気への熱伝達を制御してもよい。
【0114】
実際の実施例によって、所定の割合の水を水の化学的又は触媒反応による前記燃焼室内の温度調整および/又は汚染軽減のために補助的に用いてもよい。
【0115】
その他の本発明の様態によって、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、前記熱交換器の前記吸熱部および/又は放熱部は下流および/又は上流に少なくとも1個の液体を供給する手段を有することを特徴とする軸方向ピストンエンジンを提案する。
【0116】
例えば燃焼媒介流の所定の熱容量を適切な液体の供給により排ガス流の所定の熱容量に調節してもよく、又は排ガス流の所定の熱容量を超えて増加させてもよいため、燃焼媒介流に液体を供給することにより前記熱交換器の伝達容量を増加できる。変更された排ガス流から燃焼媒介流への伝熱は、例えば好都合には前記熱交換器の構造寸法を同一に保持したままより高い熱量を燃焼媒介流および動作サイクルに結合させることができ、これにより熱力学効率が向上する。選択的又は追加的に、排ガス流に液体を供給してもよい。供給される液体はこの場合、例えば理想的には前記熱交換器内で形成される乱流により排ガス流と混合される下りにおける処理後排ガスに不可欠な支援であってもよく、これにより下流の排ガス後処理装置を最大効率で動作させることができる。
【0117】
「下流」はこの場合、前記熱交換器の各液体が排出される側、又は燃焼媒介を輸送する排ガス管路又は配管の前記液体が前記熱交換器から排出された後に流入する部分を指す。
【0118】
同様に、「上流」は前記熱交換器の所定の液体が流入する側、又は燃焼媒介を輸送する排ガス管路又は配管の前記液体が前記熱交換器に流入する部分を指す。
【0119】
この点において、前記液体の供給が前記熱交換器のすぐ近傍の空間で実行されるか、又は空間的距離がより大きい位置で実行されるかは重要ではない。
【0120】
水および/又は可燃性物質は例えば液体として適切に供給されてもよい。これにより、一方で燃焼媒介流の熱容量が水および/又は可燃性物質の供給により所定値まで増加するという上述の利点を有し、他方で前記熱交換器内又は前記予熱室で事前に混合体を準備でき、燃焼が前記燃焼室内で可能な限り最良の局所的均質性を有する燃焼空気比率で実行されるという利点が得られる。詳細には上記はまた、燃焼作用において効率の低下、不完全燃焼がほとんど又は全く見られないという利点を有する。
【0121】
軸方向ピストンエンジンのその他の構成について、排水器を前記熱交換器の前記放熱部内又は前記熱交換器の前記放熱部の下流に配置することを提案する。前記熱交換器における温度の低下により、蒸気質の水が凝結し、続く排ガス管路を腐食して損傷する可能性がある。排ガス管路の損傷は好ましくは上述の手段により軽減される。
【0122】
更に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室と、少なくとも1個の熱交換器とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置される軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を提案し、前記方法は前記熱交換器を流れる燃焼媒介流および/又は前記熱交換器を流れる排ガス流に少なくとも1個の液体が供給されることを特徴とする。これにより、上述した通り、外界に誘導される排ガス流からの燃焼媒介流内への効率向上効果のある伝熱を、燃焼媒介流の所定の熱容量を液体の供給により増大させることにより、またしたがって燃焼媒介流への熱流を増大させることにより、向上させることが可能である。この場合、前記軸方向ピストンエンジンの動作サイクルにおけるエネルギ流の再生結合により、工程が適切に実行された場合、同様に効率を向上させることができ、詳細には熱力学効率を向上できる。
【0123】
好ましくは、前記軸方向ピストンエンジンは水および/又は可燃性物質が供給されるよう動作してもよい。その結果、同様に効率、詳細には燃焼工程の効率が前記熱交換器内および前記予熱室での理想的な混合により向上する。
【0124】
可燃性物質は例えば排ガス後処理に好都合であれば同様に排ガス流に供給されてもよく、これにより排ガス温度は前記熱交換器内又は前記熱交換器後において更に上昇する。必要に応じて、好ましい方法で排ガスを後処理し汚染物質を最低限にする後燃焼をこのように実行してもよい。したがって、前記熱交換器の前記放熱部内に放出される熱も燃焼媒介流を更に暖めるために間接的に利用することもでき、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率が不都合な影響を受けることはない。
【0125】
上述の利点を更に実施するため、前記液体を前記熱交換器の下流および/又は上流で供給することを更に提案する。
【0126】
上記に追加的又は選択的に、水を分離した形で燃焼媒介流および/又は排ガス流内に再度供給してもよい。最も好ましくは、これにより外部から更に水を供給する必要のない閉じた水回路が形成される。したがって、この構造からなる軸方向ピストンエンジンを備える車両又は定置装置には水、詳細には蒸留水を補充する必要がないという更なる利点が得られる。
【0127】
好ましくは、水および/又は可燃性物質の供給は前記軸方向ピストンエンジンが停止する前の所定の時点で停止され、前記軸方向ピストンエンジンは停止するまで水および/又は可燃性物質の供給なしで動作する。上述の方法により、排ガス管路を損傷させる可能性のある水が詳細には冷却される際に排ガス管路内に堆積するのを防止する。好都合には、前記軸方向ピストンエンジンが停止する前に前記軸方向ピストンエンジン自体から全ての水が除去され、これにより特に停止動作中の前記軸方向ピストンエンジンの部材に対する水又は水蒸気が原因の損傷が抑制される。
【0128】
上記の課題はまた、熱伝達により相互に結合される燃焼媒介供給装置および排ガス除去装置とを備え、少なくとも2個の熱交換器を備えることを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0129】
2個の熱交換器を設けることにより当初はコストが上がり流動条件もより複雑になるが、2個の熱交換器を用いることにより前記熱交換器への経路を大幅に短くし、前記熱交換器におけるエネルギ配置をより好ましいものにできる。これにより、前記軸方向ピストンエンジンの効率が想像以上に大幅に向上する。
【0130】
上記は詳細には、シリンダを案内する1個の排ガス管路のみを必要とする、シリンダおよびピストンが回転軸の周囲を回転する軸方向ピストンエンジンとは対照的に、各場合においてピストンがその中で動作する固定シリンダを備える軸方向ピストンエンジンについて適用される。
【0131】
好ましくは、前記熱交換器は略軸方向に配置され、この場合本文脈において用語「軸方向に」は前記軸方向ピストンエンジンの主回転軸と平行又は回転エネルギの回転軸と平行な方向を指す。これにより、非常に小型の、したがって省エネルギな構成が可能となる。
【0132】
更に、本発明のその他の特徴と独立して、前記熱交換器は好都合には断熱されていてもよい。
【0133】
前記軸方向ピストンエンジンが少なくとも4個のピストンを有する場合、好都合には少なくとも2個の隣接するピストンからの排ガスは各場合において1個の熱交換器内に誘導される。これにより、ピストンおよび熱交換器間の排ガス経路を最短にすることができ、これにより前記熱交換器により回復できない廃熱という形の損失を最小にすることができる。
【0134】
上記は、3個の隣接するピストンからの排ガスが各場合において1個の共通の熱交換器内に誘導される場合にも達成される。
【0135】
一方、少なくとも2個のピストンを備える軸方向ピストンエンジンも考えられ、この場合各ピストンからの排ガスは各自の熱交換器内に誘導される。この点において、本発明の実際の実施例によって、好都合には各ピストンに対して熱交換器が設けられる。これにより製造コストが上昇することは確かであるが、一方で、前記熱交換器の各々はより小型に構成されていてもよく、したがってより単純な構造が可能となり、これにより前記軸方向ピストンエンジン全体がより小型に形成され、損失がより小さくなる。
【0136】
本発明の更なる様態により、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、前記圧縮機段は前記膨張機段とは異なるストローク体積を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンを提案する。
【0137】
詳細には、上記に追加的に前記圧縮機段の前記ストローク体積を前記膨張機段の前記ストローク体積より小さくすることを提案する。
【0138】
更に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法であって、燃焼媒介又は排ガスとしての燃焼した燃焼媒介は前記膨張機段内での膨張中に、記圧縮機段内での圧縮中の圧力比より大きい圧力比で膨張させられることを特徴とする、方法を提案する。
【0139】
例えば特許文献2のような上述の従来技術とは対照的に、軸方向ピストンエンジン内で実行される動作サイクルの理論的熱力学的ポテンシャルが長時間の膨張により最大限活用できるため、好都合には前記軸方向ピストンエンジンの熱力学効率は各場合において、特に好都合には上述の手段により最大化することができる。外界から吸気し、同一の外界に排気するエンジンにおいて、外界圧力まで膨張が実行された場合、上述の手段により熱力学効率は最大効率となる。
【0140】
したがって、前記膨張機段内で燃焼媒介を外界圧力近くまで膨張させる軸方向ピストンエンジンを動作させるための方法を更に提案する。
【0141】
「近く」という言葉は、軸方向燃焼エンジンの平均摩擦圧力量により最大となった外圧を意味する。平均摩擦圧力量までの膨張に比べて、外圧そのものまでの膨張には平均摩擦圧力が0バールではない場合の効率に関して実質的な利点はない。平均摩擦圧力量は通常の前記ピストンに対する作用において一定な圧力として解釈してもよく、この場合前記ピストンは、前記ピストンの上部側に作用する前記シリンダ内部の圧力が前記ピストンの底部側に作用する外圧に平均摩擦圧力を足したものと同等である場合、力を受けていないと考えられる。したがって平均摩擦圧力に対応する相対膨張圧力が得られた時点で、燃焼エンジンの全体効率はより好ましいものとなる。
【0142】
好都合には、上記の利点を実現するための軸方向ピストンエンジンは更に、前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダの各ストローク体積が、前記膨張機段の少なくとも1個のシリンダの各ストローク体積より小さくなるよう構成される。詳細には、前記膨張機段および前記圧縮機段のシリンダ数が同一に保持される場合に前記膨張機段の前記シリンダの各ストローク体積を大きくすることにより、表面積対体積率を好ましく変化させることにより熱力学効率を変化させることが考えられ、これにより前記膨張機段の壁における熱損失をより小さくできる。この場合、上述の構成は、本発明のその他の特徴とは別に、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンおいて好ましいものとする。
【0143】
選択的又は追加的に、前記圧縮機段のシリンダ数を前記膨張機段のシリンダ数と同等又はより小さくすることを提案する。
【0144】
上述の利点に加えて、前記軸方向ピストンエンジンの機械的効率、およびすなわち前記軸方向ピストンエンジンの全体効率はまた、前記膨張機および圧縮機段のシリンダの各ストローク体積を同一に保ったまま適切なシリンダ数を選択する、特にシリンダ数を減らすことにより最大化してもよく、この場合膨張を持続させるため前記圧縮機段の少なくとも1個のシリンダが省略され、したがって当該省略されたシリンダの摩擦損失が発生することもない。ピストン又はシリンダを上記のように非対称に配置することにより発生する可能性のある不均衡は所定の状況において許容可能又は補助的手段により防止可能である。
【0145】
最初に目的とされた課題を達成するため、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室を備える軸方向ピストンエンジンが更に提案されており、前記軸方向ピストンエンジンは軽金属からなる少なくとも1個のガス交換弁を有する少なくとも1個のシリンダを備えることを特徴とする。軽金属は、特に運動部材の使用中にこの軽金属を含む部材の慣性を低減させ、低密度なために、前記軸方向ピストンエンジンの摩擦損失を軽減することができ、前記ガス交換弁の制御駆動がより低い慣性力に対応するよう構成される。同様に、軽金属からなる部材を用いて摩擦損失を軽減することにより、前記軸方向ピストンエンジンにおける総損失がより小さくなり、同時に全体効率が向上する。
【0146】
上記に追加的に、軽金属はアルミニウム又はアルミニウム合金、特にジュラルミンからなることを特徴とする前記軸方向ピストンエンジンを提案する。アルミニウム、ジュラルミンのような特に強度が高い又は強度が非常に高いアルミニウム合金には、材料密度に対応するガス交換弁の重量だけでなく、ガス交換弁の強度も向上又は高レベルに保持されるため、ガス交換弁の構成に対して特別に利点を有する。また当然のことながら、アルミニウム又はアルミニウム合金に替えて、チタン又はマグネシウム又はアルミニウム、チタン、マグネシウムおよび/又はその他の成分の合金からなる材料も考えられる。詳細には、対応して軽量なガス交換弁は、既により大きい慣性を有する重量の重い又は高密度のガス交換弁に比べてより高速で負荷の交換に対応することができる。
【0147】
詳細には、前記ガス交換弁は入口弁からなっていてもよい。前記軸方向ピストンエンジンのこの部分はアルミニウム又はアルミニウム合金の融点に十分余裕のある低温度となるため、軽量なガス交換弁および対応して得られる前記軸方向ピストンエンジンのより低い平均摩擦圧力又はより小さい摩擦損失の利点は、特に軽量な材料からなる入口弁の使用中に実行される。一方、軽金属からなるガス交換弁の利点は好都合には同様に前記圧縮機シリンダ出口弁および前記圧縮機シリンダ入口弁に関して上述した構成に追加的に用いてもよいものとする。
【0148】
本発明の課題はまた、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記燃焼室から前記作動シリンダへの注入管を介した前記燃焼媒介流は、制御駆動により駆動されて前記注入管を開放および閉鎖する少なくとも1個の制御ピストンを介して制御され、前記制御ピストンは相互に異なる開放時間および閉鎖時間を有することを特徴とする、軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0149】
前記開放時間および閉鎖時間は相互に異なるため、本軸方向ピストンエンジンにおいて、異なる動作条件に対する非常に高い適応性が得られる。この点において、上記のような非対称な制御時間が好ましい。
【0150】
この点において好ましい別の実施の形態によれば、好都合には前記制御ピストンは開放よりも高速に閉鎖される。これにより、各シリンダを満たすために動作上確実に適切な時間を使用することができる。しかしながらこの場合、実行されるべき膨張動作を考慮して、上記のような非対称な制御時間により保証されるように、前記燃焼室内への背圧が発生しないよう注意する必要がある。更に、前記作動シリンダが詳細には燃焼媒介が決定的に充填され前記作動ピストンの過負荷を誘因する危険性を軽減する。
【0151】
本発明の課題はまた、予熱室、主燃焼室および排ガス排出口を有する連続動作燃焼室から供給を受ける少なくとも1個の作動シリンダを備え、前記予熱室内の温度を決定する予熱室温度センサを備えることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0152】
上述のような温度センサは、単純な方法において前記軸方向ピストンエンジンの燃焼品質又は稼動安定性に関して有意値を得る。温度センサとして、例えば抵抗温度センサ、熱電対センサ、赤外線センサ等、様々なセンサを用いてもよい。
【0153】
好ましくは前記予熱室温度センサは前記予熱室内の火炎温度を決定するよう構成又は配置される。これにより、非常に有意な値が可能となる。
【0154】
前記軸方向ピストンエンジンは詳細には、入力センサとしての前記予熱室温度センサを含み、前記予熱室温度が1,000℃から1,500℃の間となるよう前記燃焼室を調整する燃焼室調整装置を含んでいてもよい。これにより、相対的に単純であり、したがって動作上確実且つ非常に高速な調整回路により、前記軸方向ピストンエンジンが生成する汚染物質を極めて少なくできる。詳細には、煤煙が形成される危険性を最小にできる。
【0155】
更に、上記に追加的又は選択的に、前記軸方向ピストンエンジンは前記排ガス温度を決定するための排ガス温度センサを含んでいてもよい。
【0156】
上記のような排ガス温度センサにより、技術的に単純な方法で同様に連続動作燃焼室の動作状態をチェックおよび制御することができる。上記のような調整装置により詳細には単純な方法で燃料を適切且つ完全に燃焼させることができ、これにより前記軸方向ピストンエンジンの効率を最適化すると同時に排出する汚染物質を最小にできる。
【0157】
任意で、前記燃焼室は動作状態、好ましくはアイドリング時の前記排ガス温度が850℃から1,200℃の間となるよう制御される。これは、上述の要件に基づいて、例えば水の温度又は体積、又は熱交換器内の予熱および非予熱空気の比率を制御することにより、例えば適切に水を供給および/又は燃焼媒介、詳細には空気を予熱することにより実現される。
【0158】
本発明の課題は、上述の特性に追加的又は選択的に、少なくとも1個の圧縮機シリンダと、少なくとも1個の作動シリンダと、圧縮された燃焼媒介を前記圧縮機シリンダから前記作動シリンダへ誘導する少なくとも1個の圧力管路とを備え、前記圧縮機シリンダ内に配置される圧縮機ピストンの吸気行程中に前記圧縮機シリンダに水又は水蒸気が供給されることを特徴とする軸方向ピストンエンジンにより達成される。
【0159】
これにより、一方で燃焼媒介内で水を確実に最適に分布させることができる。他方で、水の供給により前記軸方向ピストンエンジン全体のエネルギバランスに過度に不都合な影響を与えることなく、水により変更された圧縮エンタルピが非決定的に燃焼媒介内に導入される。詳細には、これにより圧縮工程を等温圧縮に近い状態とすることができ、その場合、圧縮中にエネルギバランスが最適化される。前記燃焼室内の温度を調整するため、および/又は水の化学反応又は触媒反応による汚染を軽減するため、実際の実施例に合わせて、且つ熱交換器に関連して上述した前記水の供給と組合せて、水を補助的に用いてもよい。
【0160】
本発明の実際の実施例によって、水の供給は例えば定量ポンプにより実行可能である。定量ポンプは逆止め弁に替えてもよく、その場合、前記圧縮機ピストンがその吸気行程中に前記逆止め弁を介して水を引き込むことができ、前記逆止め弁は圧縮中は閉鎖される。この実施例において、特に好ましくはエンジン停止中のリークを防止するために水供給管路内に電磁弁等の安全弁が設けられる。
【0161】
異なる位置で前記軸方向ピストンエンジンに水を供給することも可能であるものとする。
【0162】
本発明の更なる様態によれば、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備える軸方向ピストンエンジンが提案されており、この場合、前記軸方向ピストンエンジンは往復運動し流量断面を解放するガス交換弁を含み、前記ガス交換弁は前記ガス交換弁に作用する前記弁スプリングのばね力によりこの流量断面を閉鎖し、前記軸方向ピストンエンジンは衝突スプリングを有する前記ガス交換弁を備えることを特徴とする。圧力差に反応して開放する自律作動型、すなわちカム作動型ではないガス交換弁は圧力差により非常に大きい開放力が発生した場合、強力に加速されて、前記ガス交換弁の前記弁スプリングを完全に圧縮したり、前記弁スプリング板又はその他の部材の同様な固定リングに衝突する可能性がある。上記のような許容を超える好ましくない2個の部材の接触はこれらの部材を非常に速く破損させる可能性がある。したがって前記弁スプリング板の衝突を効率的に防止するため、好都合には前記ガス交換弁の過剰な運動エネルギを放散させ、前記ガス交換弁を停止させる衝突スプリングとして構成される更なるばねが設けられる。
【0163】
詳細には、前記衝突スプリングは前記弁スプリングのばね長より短いばね長を有していてもよい。2個のばねである前記弁スプリングおよび前記衝突スプリングが共通の座面を有するため、前記衝突スプリングは好都合には取付けられた弁スプリングのばね長が常に前記衝突スプリングのばね長より短くなるよう構成され、これにより前記弁スプリングは、前記ガス交換弁を開放する際、最初に前記ガス交換弁を閉鎖するために必要な力のみを付加し、実行された最大弁ストロークに到達すると、前記ガス交換弁が更に開放されることを即座に防止するため前記衝突スプリングが前記ガス交換弁に接触する。
【0164】
上記に追加的に、前記衝突スプリングのばね長は前記ガス交換弁の弁ストロークにより短縮された前記弁スプリングのばね長と同一でもよい。便宜上好ましくは、この場合、前記2個のばねのばね長の差が前記弁ストロークの量と正確に同一であるという状況が利用される。
【0165】
この場合、用語「弁ストローク」は、放前記ガス交換弁により解放される流量断面がそこから略最大になる前記ガス交換弁のストロークを意味する。エンジン構造において一般的に用いられる板弁は通常、少しの開放で線形に増幅し、その後前記弁が更に開放されると一定値で直線形状となる流量断面を有する。通常、前記弁ストロークが内部弁座の直径の25%に到達すると、開口断面が最大となる。内部弁座の直径は前記弁座における最小の直径である。
【0166】
用語「ばね長」はこの場合、前記衝突スプリング又は取付けられた状態の前記弁スプリングの最大可能長さを意味する。したがって前記衝突スプリングのばね長は非展張状態のばね長と同一であり、前記弁スプリングのばね長は前記ガス交換弁が閉鎖された状態で取付けられた前記弁スプリングが有する長さと同一である。
【0167】
上記に選択的又は追加的に、前記衝突スプリングのばね長を前記衝突スプリングのばね運動により高くなった弁ガイドの高さと同一とすることを更に提案する。これにより、前記衝突スプリングはたわんだとしても接触が発生しない程には圧縮されないため、弁ガイドおよび前記弁制御装置の運動する部材と接触し得るその他の固定部材が、絶対に前記弁制御装置の運動部材と接触しないという利点を有する。
【0168】
用語「ばね運動」はこの場合、ばね長から最大負荷が与えられた状態のばね長を引いたものを意味する。最大負荷は同様に安全係数を考慮して計算された弁駆動の構成により規定される。したがってばね運動は、前記軸方向ピストンエンジンの動作中に発生する最大負荷又は軸方向ピストンエンジンの動作中に実行される最大弁ストロークが異常負荷中に発生する時にばねが圧縮される長さである。この場合、最大弁ストロークは、上述のように規定される前記弁ストロークに、運動部材および固定部材間の接触が発生する前記ガス交換弁のストロークを足したものを意味する。
【0169】
前記弁の運動部分と接触するその他の部材で弁ガイドを代替してもよい。
【0170】
更に、前記衝突スプリングにばね運動が発生すると、前記衝突スプリングは流量断面が解放された時に動作上発生する前記ガス交換弁の最大運動エネルギと同一のポテンシャルエネルギを有する可能性がある。この物理的又は動的条件が正確に満たされると、2個の部材がまだ接触していない場合、好都合には前記ガス交換弁は制動される。上述した通り、動作上発生する最大の運動エネルギは、安全係数を考慮して計算された構成の弁駆動に対して発生する前記ガス交換弁の運動エネルギである。動作上発生する最大の運動エネルギは前記ガス交換弁における最大圧力又は圧力差により発生し、これにより前記ガス交換弁はその質量に基づいて加速され、この加速の減衰後に運動の最大速度が得られる。前記ガス交換弁内に蓄積される過剰な運動エネルギは前記衝突スプリングを介して吸収され、これにより前記衝突スプリングは圧縮されてポテンシャルエネルギを得る。前記衝突スプリングにばね運動が発生すると、又は前記衝突スプリングの圧縮が最大になると、好都合には前記ガス交換弁又は前記弁群の運動エネルギがゼロまで放散され、これにより2個の部材は接触しない。用語「動作上発生する最大の運動エネルギ」はしたがって、例えばバルブキー、弁スプリング板又は弁スプリング等の前記ガス交換弁と共に移動する全ての部材の運動エネルギも含む。
【0171】
最初に述べられた課題はまた、少なくとも1個のシリンダを備える圧縮機段と、少なくとも1個のシリンダを備える膨張機段と、前記圧縮機段と前記膨張機段との間の少なくとも1個の燃焼室とを備え、前記熱交換器の吸熱部は前記圧縮機段と前記燃焼室との間に配置され、前記熱交換器の放熱部は前記膨張機段と外界との間に配置され、前記熱交換器は2個の材料流を分離するため前記放熱部を前記熱交換器の前記吸熱部から分割する少なくとも1個のパイプ壁を含み、製造工程において前記パイプは前記パイプと同一の材料を含む少なくとも1個のマトリクス内に配置され、前記マトリクスに物質的および/又は摩擦的に接続されることを特徴とする軸方向ピストンエンジンの熱交換器の製造方法により達成される。
【0172】
上述した軸方向ピストンエンジン内で熱交換器を用いることにより、一方では前記熱交換器の入力および出力間で、また他方では前記熱交換器の吸熱部および放熱部間で発生する高い温度差により、材料が損傷を受けて耐用年数が制限され、不都合が発生する場合がある。上記により発生する熱応力および損傷が原因で発生する燃焼媒介又は排ガスの損失に適切な構成で対抗するため、上述の提案によれば、熱交換器の限界応力を受ける地点は好ましくはほぼ1個の材料のみで製造されてもよい。それ以外の場合でも、好都合には、材料応力は上述の解決手段により軽減される。
【0173】
前記熱交換器を固定又取付けるためのはんだ付け又はその他の手段は、特に高い熱応力又は高い封止強さが求められる領域が対象ではない場合、異なる材料を含んでいてもよいものとする。
【0174】
同一の熱膨張係数を有する2個の以上の材料を用いることも考えられ、これにより材料において発生する熱応力に類似の方法で対抗できる。
【0175】
前記パイプおよび前記マトリクス間に材料接続および/又は摩擦接続を構築するため、前記パイプおよび前記マトリクス間の材料接続を溶接又ははんだ付けにより実行することを特徴とする熱交換器の製造方法を更提案する。熱交換器の封止強さは単純な方法、特に好ましくは類似の方法により保証される。この場合もまた、溶接又ははんだ付け材料として前記パイプ又は前記マトリクスと同一の材料を用いてもよい。
【0176】
選択的又は上記に追加的に、前記パイプおよび前記マトリクス間の摩擦結合は収縮により構築してもよい。これにより同様に、前記パイプ又は前記マトリクスの材料とは異なる材料を用いて例えば物質的に接着して接続すること避けられるため、前記パイプおよび前記マトリクス間の熱応力が防止できるという利点が得られる。この利点を更に実現するため、前記液体は前記熱交換器の下流および/又は上流で供給されてもよい。
【0177】
多様な軸方向ピストンエンジンおよびそのアセンブリの実施例を図示した以下の添付の図面の記載に基づいて、本発明の更なる利点、目的および特性を説明する。