特許第5768993号(P5768993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5768993LED自動車前照灯用のLED光源モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768993
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】LED自動車前照灯用のLED光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20150806BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20150806BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20150806BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150806BHJP
【FI】
   F21S8/12 155
   F21S8/10 150
   F21S8/10 171
   F21S8/12 263
   F21S8/12 151
   F21W101:10
   F21Y101:02
【請求項の数】48
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-519342(P2014-519342)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-524115(P2014-524115A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】AT2012050106
(87)【国際公開番号】WO2013020156
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】A1140/2011
(32)【優先日】2011年8月8日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513057681
【氏名又は名称】ツィツァラ リヒトシステメ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジュングヴィルス,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】モサー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クレン,ギュンター
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02306074(EP,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第02280215(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0225999(US,A1)
【文献】 特許第4971137(JP,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第00721085(EP,A1)
【文献】 特開平08−167301(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02149077(GB,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00689002(EP,A2)
【文献】 特開平07−326204(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/130655(WO,A2)
【文献】 特表2011−518716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10− 8/12
B60Q 1/00− 1/56
F21W 101/10
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED自動車前照灯(SWl、SWr)、とりわけ動的な光分布を形成するためのLED自動車前照灯(SWl、SWr)用のLED光源モジュール(M1〜M4,M1’〜M4’)であって、
前記LED光源モジュール(M1〜M4,M1’〜M4’)は、少なくとも1つのLED光源(LEQ)を有し、
該少なくとも1つのLED光源(LEQ)は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED1,LED2)から成り、前記少なくとも1つのLED光源(LEQ)の少なくとも1つの発光ダイオード(LED1,LED2)は、割り当てられた一次光学エレメント(P1〜P4)に光を入力結合し、該入力結合された光は、前記一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)から少なくとも部分的に再び出射し、
前記LED光源モジュール(M1〜M4,M1’〜M4’)は二次光学エレメント(S1〜S4)を有し、該二次光学エレメント(S1〜S4)は、前記少なくとも1つの一次光学エレメント(P1〜P4)の少なくとも1つの光出射面(L1〜L4)から出射した光を、前照灯(SW)が車両に組み込まれた状態で、光像として車両の前方にある領域に結像し、
前記少なくとも1つの一次光学エレメント(P1〜P4)の少なくとも1つの光出射面(L1〜L4)と前記二次光学エレメント(S1〜S4)との間にはシェード構成体(BAO)が設けられており、該シェード構成体(BAO)は光学的に作用し、前記光出射面(L1〜L4)に対して垂直方向に配置される少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)を有するLED光源モジュールにおいて、
1つまたは複数の一次光学エレメント(P1〜P4)の1つまたは複数の光出射面(L1〜L4)から形成される全体光出射面(GLF)が、規定の高さ広がりと幅広がりを、長方形の形状で有し、前記全体光出射面(GLF)は、側方縁部領域(RB1)と縁部領域(RB2)を有し、
前記二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)は、前記全体光出射面(GLF)の前記側方縁部領域(RB1)内にあり、及び前記光出射面(L1〜L4)に対して垂直方向に配置される水平面(EH)を通り、
少なくとも1つの前記シェードエッジ(BK1,BK2)が経過/輪郭を有し、当該経過/輪郭では、
前記シェードエッジ(BK1,BK2)と前記水平面(EH)の間隔である標準間隔については、
前記側方縁部領域(RB1)における前記標準間隔は、前記縁部領域(RB2)における前記標準間隔よりも大きく、
前記水平面(EH)に沿って、前記二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)までの前記標準間隔が最大間隔であり、前記焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)からさらに離れる前記縁部領域(RB2)に向かうにつれて前記標準間隔は減少し、
これにより、前記光像の上方および/または下方領域に発生する不所望の歪みが、少なくとも部分的に光像内でフェードアウトされる、ことを特徴とするLED光源モジュール。
【請求項2】
前記LED光源モジュール(M)は2つまたは複数のLED光源(LEQ)を有し、LED光源(LEQ)はそれぞれ少なくとも1つの発光ダイオード(LED1,LED2)から成り、各LED光源(LEQ)の発光ダイオード(LED1,LED2)は、当該光源(LEQ)にそれぞれ割り当てられた一次光学エレメント(P1〜P4)に光を入力結合し、該入力結合された光は、割り当てられた一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)から少なくとも部分的に再び出射し、前記二次光学エレメント(S1〜S4)は、前記一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)により形成された光セグメントを、前照灯(SWl、SWr)が車両に組み込まれた状態で、車両の前方にある領域に結像する、ことを特徴とする請求項1に記載のLED光源モジュール。
【請求項3】
前記水平面(EH)に沿って、前記二次光学エレメント(S1〜S4)の前記焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)までの前記標準間隔が最大間隔であり、前記焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)を有する前記側方縁部領域(RB1)を超えると、前記標準間隔は、焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)における前記標準間隔のように同じに留まる、ことを特徴とする請求項1または2に記載のLED光源モジュール。
【請求項4】
前記シェード構成体(BAO)は、光学的に作用する2つのシェードエッジ、すなわち上方シェードエッジ(BK1)と下方シェードエッジ(BK2)を有する、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項5】
前記シェード構成体(BAO)は1つのシェード(BLE)または2つのシェード(BLE1,BLE2)から成り、該シェードは光学的に作用する少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)を有する、ことを特徴とする請求項4に記載のLED光源モジュール。
【請求項6】
前記シェード構成体(BAO)、すなわち1つまたは2つのシェードは、一次光学系用のホルダ(HAL)とワンピースに構成されているか、または当該ホルダに固定されている、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項7】
前記シェード構成体(BAO)、すなわち1つまたは2つのシェードは、光学領域において少なくとも部分的に透明な材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項8】
前記シェード構成体ないし少なくとも1つのシェードは、半透明の材料によって被覆されている、ことを特徴とする請求項7に記載のLED光源モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つのシェードは平坦に構成されており、ないし前記少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)は、一次光学エレメント(P1〜P4)の全体光出射面(GLF)に対して垂直な面内にある、ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのシェードないし少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)は水平方向に湾曲して構成されており、当該湾曲は前記二次光学エレメント(S1〜S4)の画像湾曲に実質的に相当するか、ないしは当該画像湾曲に追従する、ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項11】
シェードエッジ(BK1,BK2)ないし少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)の投影は、垂直面に湾曲した経過を有する、ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項12】
シェードエッジ(BK1,BK2)ないし少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)の投影は、垂直面内において1つまたは複数の直線状部分(A11,A12,A13,A14,A15,A16,A21,A22,A23,A24,A25,A26)から成る、ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項13】
2つの直線状部分間の移行部または2つの湾曲した曲線部分間の移行部は、非連続的であり、エッジの形状になる、ことを特徴とする請求項11または12に記載のLED光源モジュール。
【請求項14】
シェードエッジ(BK1,BK2)ないし少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)の投影は、連続的または非連続的な経過を有する、ことを特徴とする請求項1から13までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項15】
ちょうど2つのシェードエッジ(BK1,BK2)が設けられており、上方エッジ(BK1)は、二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点を通る水平面(EH)に対して、水平広がり全体に沿って、下方エッジ(BK2)よりも小さい標準間隔を有する、ことを特徴とする請求項1から14までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項16】
ちょうど2つのシェードエッジ(BK1,BK2)が設けられており、上方エッジ(BK1)と下方エッジ(BK2)とは水平対称面を基準にして鏡像対称の経過を有する、ことを特徴とする請求項1から15までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項17】
LED光源モジュール(M)の一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)は、一次光学エレメント(P1〜P4)に入力結合された光が光透過性材料に入射し、該光透過性材料の光出射面(LF1,LF2)を介してこれから再び出射できるように当該光透過性材料によって互いに結合されている、ことを特徴とする請求項1から16までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項18】
一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)は共通の面内にあり、光透過性材料の光出射面(LF1,LF2)も同様に一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面の共通の面内にある、ことを特徴とする請求項17に記載のLED光源モジュール。
【請求項19】
前記一次光学エレメント(P1〜P4)の前記光出射面(L1〜L4)は、上方および/または下方領域において互いに結合されている、ことを特徴とする請求項17または18に記載のLED光源モジュール。
【請求項20】
実質的に水平に延在する少なくとも1つの結合ウェブ(VS1,VS2)が設けられており、該結合ウェブは光透過性材料から形成され、前記一次光学エレメント(P1〜P4)を、その光出射面(L1〜L4)の上方および/または下方領域において互いに結合する、ことを特徴とする請求項17から19までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項21】
実質的に水平に延在する2つの結合ウェブ(VS1,VS2)が設けられており、該結合ウェブは光透過性材料から形成され、前記一次光学エレメント(P1〜P4)を、その光出射面(L1〜L4)の上方および下方領域において互いに結合する、ことを特徴とする請求項20に記載のLED光源モジュール。
【請求項22】
前記少なくとも1つの結合ウェブ(VS1,VS2)は、前記一次光学系(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)と、ないしは当該一次光学系(P1〜P4)とワンピースに構成されている、ことを特徴とする請求項20または21に記載のLED光源モジュール。
【請求項23】
前記一次光学系(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)と、少なくとも1つの結合ウェブ(VS1,VS2)のいずれかとは共通の光出射面を形成する、ことを特徴とする請求項20から22までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項24】
前記一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)は長方形に構成されている、ことを特徴とする請求項17から23までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項25】
全ての光出射面(L1〜L4)は同じ形態を有する、ことを特徴とする請求項17から24までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項26】
前記一次光学系(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)は互いに平行に、同じ配向で配置されている、ことを特徴とする請求項17から25までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項27】
LED光源モジュール(M;M1,M2,M3,M4)の一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)は、水平に間隔(A)を置いて並んで配置されている、ことを特徴とする請求項17から26までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項28】
前記光出射面(L1〜L4)は、幅(b)よりも大きな高さ(h)をもって垂直方向に起立するよう構成されている、ことを特徴とする請求項17から27までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項29】
LED光源モジュール(M;M1,M2,M3,M4)の一次光学エレメント(P1〜P4)の隣接する光出射面(L1〜L4)は互いに第2の標準間隔(A)を有し、前記第2の標準間隔は光出射面(L1〜L4)の幅(B)に相当する、ことを特徴とする請求項17から28までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項30】
3つ以上の一次光学エレメント(P1〜P4)がある場合、隣接する一次光学系(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)間の第2の標準間隔(A)は同じである、ことを特徴とする請求項17から29までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール。
【請求項31】
請求項1から30までのいずれか一項に記載のLED光源モジュール(M1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’)を2つ以上含む、動的な光分布を形成するためのLED自動車前照灯(SWl、SWr)。
【請求項32】
LED光源モジュール(M1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’)の二次光学エレメント(S1〜S4)と、一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)の配置とは、個々のLED光源モジュール(M1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’)からの、前記一次光学エレメント(P1〜P4)の光出射面(L1〜L4)により形成された光セグメントが水平方向に互いにずらされて結像されるように相互に整合されており、個々のLED光源は別個に制御可能である、ことを特徴とする請求項31に記載の前照灯。
【請求項33】
少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)の経過は全てのLED光源モジュール(M1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’)において同じであり、とりわけLED光源モジュールごとに2つのシェードエッジ(BK1,BK2)がある場合、上方シェードエッジ(BK1)が同じ経過を有し、および/または下方シェードエッジ(BK2)が同じ経過を有する、ことを特徴とする請求項31または32に記載の前照灯。
【請求項34】
少なくとも1つのシェードエッジ(BK1,BK2)は、全体光出射面(GLF)を基準にして、異なるLED光源モジュールにおいては異なって配置されている、ことを特徴とする請求項31から33までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項35】
前記LED光源モジュール(M1〜M4;M1’〜M4’)は、1つの水平の列に配置されている、ことを特徴とする請求項31から34までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項36】
前記LED光源モジュールの二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点(SF1〜SF4)は、共通の垂直面および共通の水平面(EH)内にあり、前記共通の垂直面は、LED光源モジュールの一次光学系(PG)の全体光出射面(GLF)により形成される、ことを特徴とする請求項35に記載の前照灯。
【請求項37】
一次光学系(PG)のそれぞれの全体光出射面(GLF)を基準にして、個々のLED光源モジュール(M1〜M4)の二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点(SF1〜SF4)は側方に、すなわち水平方向に互いにずらされて配置されている、ことを特徴とする請求項36に記載の前照灯。
【請求項38】
前記二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点(FS1,FS2,FS3,FS4)は、それぞれ所属の一次光学系(PG)の全体光出射面(GLF)の前記側方縁部領域(RB1)内にあり、第1の外側LED光源モジュール(M1)では焦点(FS1)が全体光出射面(GLF)の縁部に最も接近しており、第2の外側LED光源モジュール(M4)の方向に進むにつれ、焦点(FS2,FS3,FS4)は前記縁部から離れていく、ことを特徴とする請求項37に記載の前照灯。
【請求項39】
車両内側LED光源モジュール(M1)では、焦点(FS1)が一次光学系(PG)の全体光出射面(GLF)の縁部に最も接近しており、車両外側LED光源モジュール(M1)では、焦点(FS4)が所属の一次光学系(PG)の全体光出射面(GLF)の縁部から最も離れている、ことを特徴とする請求項38に記載の前照灯。
【請求項40】
個々のLED光源モジュール(M1〜M4;M1’〜M4’)は同じ二次光学エレメント(S1〜S4)を有する、ことを特徴とする請求項31から39までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項41】
隣接するLED光源の光出射面(L1〜L4)間の第2の標準間隔(A)は、前照灯全体に亘って同じである、ことを特徴とする請求項31から40までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項42】
LED光源モジュール(M1,M2,M3,M4)の光出射面(L1〜L4,LF1,LF2)の全体構成体は、二次光学エレメント(S1〜S4)の光軸(X)を基準にして水平方向に規定位置を取り、個々のLED光源モジュール(M1,M2,M3,M4)の異なる全体構成体は、それぞれ割り当てられた二次光学エレメント(S1〜S4)の光軸を基準にして水平方向に互いに異なる規定位置を有する、ことを特徴とする請求項31から41までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項43】
光出射面の第1の全体構成体が、その二次光学系の光軸を基準にして第1の規定位置を取り、第2/第3/第4...第nの全体構成体は、それらの二次光学系の光軸を基準にして、前記第1の全体構成体と比較して半分/1倍/2倍/4倍/((n−1)/2)倍の第2の標準間隔(A)だけ、LED光源モジュール(M;M1,M2,M3,M4)の隣接する2つの光出射面間でずらされている、ことを特徴とする請求項31から42までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項44】
前照灯の全てのLED光源モジュール(M;M1,M2,M3,M4)の光出射面は、これらにそれぞれ割り当てられた二次光学エレメント(S1〜S4)の光軸を通る垂直面の側にそれぞれ配置されている、ことを特徴とする請求項31から43までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項45】
LED光源の各発光ダイオードは別個に制御可能である、ことを特徴とする請求項31から44までのいずれか一項に記載の前照灯。
【請求項46】
請求項31から45までのいずれか一項に記載の前照灯(Swl、SWr)を2つ備える車両前照灯システムであって、車両に組み込まれた状態で、左の前照灯(SWl)は道路上に光分布の左部分を形成し、右の前照灯(SWr)は光分布の右部分を形成する、車両前照灯システム。
【請求項47】
各LED光源2つの前照灯の各発光ダイオードは別個に制御可能である、ことを特徴とする請求項46に記載の車両前照灯。
【請求項48】
左と右の前照灯は、割り当てられた一次光学系を基準にする二次光学エレメント(S1〜S4)の焦点の配置の点で、およびシェードエッジの経過の点で鏡像的な構造を有する、ことを特徴とする請求項45から47までのいずれか一項に記載の車両前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED自動車前照灯、とりわけ動的な光分布を形成するためのLED自動車前照灯用のLED光源モジュールに関する。ここでLED光源モジュールは少なくとも1つのLED光源を有し、該少なくとも1つのLED光源は少なくとも1つの発光ダイオードから成り、該少なくとも1つのLED光源の少なくとも1つの発光ダイオードは、割り当てられた一次光学エレメントに光を入力結合し、該入力結合された光は、前記一次光学エレメントの光出射面から少なくとも部分的に再び出射し、前記LED光源モジュールは二次光学系を有し、該二次光学系は、少なくとも1つの一次光学エレメントの少なくとも1つの光出射面から出射した光を、前照灯が車両に組み込まれた状態で、光像として車両の前方にある領域に結像する。
【0002】
本発明はさらに、このようなLED光源モジュールを備える前照灯、並びに対応の前照灯システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
自動車構造では、たとえばロービームおよび/またはハイビームを形成するような主前照灯機能の実現のために、しかし高速道路灯、悪天候灯および昼間灯のようなさらなる光機能を実現するために、発光ダイオードがますます頻繁に使用されている。
【0004】
さらに前照灯LED光源は、特別の適用、たとえば対象物照明にも特に適するものであり、ここでは所定のLED光源だけが可視であり、ないしは光を放射し、残りのLED光源は光を放射しない。対象物照明では、たとえば道路脇にある対象物、たとえば歩行者や交通標識を光、たとえば赤外線光により照射し、こうしてこれらの対象物を赤外線カメラにより記録することができる。もちろん可視光を、たとえば交通標識照明のために使用することもできる。
【0005】
もちろん反対に、光分布から、たとえばハイビーム分布から、対向車両が現れた場合に対向車両を幻惑することになる光分布のちょうどその領域をフェードアウトすることもでき、これにより幻惑が発生しない。
【0006】
上記課題は、所定のLED光源の選択的な作動により、後者の場合は選択的な非作動により実現することができる。
【0007】
所定のLED光源を選択するために、現在、電子的解決策が存在する。この解決策では、所定のLED光源だけが作動ないし非作動にされ、これにより所望のLED光源だけが光を道路に放射する。この解決策は高いフレキシビリティを提供する。なぜなら基本的に任意のLED光源が作動されるからである。
【0008】
他の解決策は、所定のLED光源の光を遮閉するために相応の位置にもたらすことのできるシェードである。
【0009】
本出願人のオーストリア特許出願第508604号から、冒頭に述べたLED光源モジュールを備える前照灯が公知であり、この前照灯により動的な光分布を形成することができ、この光分布は走行中に種々の交通状況等に適合することができる。
【0010】
とりわけこのような前照灯は、従来から入手可能なLED光源によって実現することができる。
【0011】
このような前照灯により静的光技術で、個々の光機能、たとえばロービーム、ハイビーム、カーブビーム等を可動部材無しで実現することができる。これは発光する面が別個に切り替え可能なセグメントに分割されていることによって行われる。LEDから発する光は、光出射面の個々のセグメントを形成する個々の一次光学エレメントと所属の二次光学系とを介して、セグメント化された光分布として道路に投射される。
【0012】
しかしながら、一次光学系の発光するセグメント間の割り当てられた二次光学系の光軸からの間隔が増大するにつれ、二次光学系(投影レンズ)のディストーションエラーが問題になる。そのため、一次光学エレメントの、光軸から最も離れた(単数または複数の)セグメントにより形成される光像の外側領域に、光像の歪み、とりわけ枕状の歪みが生じる。そしてこの歪みは主に明暗境界の上方にある。
【0013】
二次光学系を光学的に補正することが技術的には実現可能であるが、経済的には意味が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】オーストリア特許出願第508604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、上記の問題を経済的に意味のあるやり方で解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は冒頭に述べたLED光源モジュールによって次のようにして解決される。すなわち本発明によれば、少なくとも1つの一次光学エレメントの少なくとも1つの光出射面と二次光学系との間にシェード構成体が設けられており、該シェード構成体は、光学的に作用する少なくとも1つのシェードエッジを有し、該シェードエッジは、光像の上方および/または下方領域に発生する不所望の歪みが少なくとも部分的に光像中でフェードアウトされるように配置され、および/または延在する。
【0017】
シェード構成体を使用することにより、簡単で安価なやり方で、光像の縁部にいずれにしろ発生する歪みを、残りの光像に悪影響を及ぼすことなくフェードアウトすることができる。
【0018】
冒頭に述べた問題はとりわけ、上ですでに述べたように、LED光源モジュールが2つ以上のLED光源を有する場合に発生する。ここでLED光源はそれぞれ少なくとも1つの発光ダイオードから成り、各LED光源の発光ダイオードは、光源にそれぞれ割り当てられた一次光学エレメントに光を入力結合し、該入力結合された光は、割り当てられた一次光学エレメントの光出射面から少なくとも部分的に再び出射し、ここで二次光学系が、一次光学エレメントの光出射面により形成された光セグメントを、前照灯が車両に組み込まれた状態で、車両の前方にある領域に結像する。
【0019】
シェード構成体を使用することにより、とりわけこのような構成において発生する問題が理想的に除去される。
【0020】
二次光学系に割り当てられた全ての一次光学エレメントが、いわゆる「一次光学系」を形成し、一次光学エレメントは好ましくは互いに結合され、むしろ通常はワンピースに構成される。この一次光学系は、一次光学エレメントの個々の光出射セグメントにより形成される全体光出射面を有する。
【0021】
本発明の具体的な変形例では、1つまたは複数の一次光学エレメントの1つまたは複数の光面から形成される全体光出射面が規定の高さ広がりと幅広がりを、たとえば長方形の形状で有し、二次光学エレメントの焦点は、全体光出射面の側方縁部領域内にあり、すくなくとも1つのエッジが、当該エッジが焦点に対して、焦点に対向する全体光出射面の縁部領域内にある二次光学エレメントの焦点を通る水平面に対するよりも大きな標準間隔を有するような経過/輪郭を有する。
【0022】
したがってシェードエッジは、焦点からさらに離れた縁部においては、(他の縁部領域にある)焦点の領域におけるよりも小さい(標準)間隔を有する。異なるモジュールに対して焦点は異なる箇所にあっても良いが、常に1つの縁部領域内にある。
【0023】
ここで二次光学系の焦点は、一次光学エレメントないしは一次光学系の光出射面の面内にあり、ここで二次光学系の光軸がこの平面を「突き通る」。
【0024】
二次光学エレメントの焦点までのシェードエッジの標準間隔が、水平面までのシェードエッジの最大間隔であり、焦点からさらに離れた縁部領域に向かって、水平面への標準距離が減少すると合目的的である。
【0025】
上記の措置により、歪みの発する領域においては光が対応して遮閉され、一方、歪みの少ないまたは歪みのまったくない領域からの光は、光像において僅かしか遮閉されないか、またはまったく遮閉されない。
【0026】
二次光学エレメントの焦点までのシェードエッジの標準間隔が、水平面までのシェードエッジの最大間隔であり、好ましくは焦点を有する縁部領域を超えて、水平面までの標準間隔が、焦点までのシェードエッジの標準間隔のように同じに留まると、とりわけ有利である。
【0027】
さらに光像における歪みを明暗境界の上方でも下方では遮閉できるようにするために、シェード構成体は、光学的に作用する2つのシェードエッジ、すなわち上方シェードエッジと下方シェードエッジとを有し、ここで上方シェードエッジが水平面の上方で二次光学系の光軸を通って延在し、下方エッジはこの面の下方に延在すると有利である。
【0028】
シェード構成体は1つまたは2つのシェードから成り、1つまたは2つのシェードは光学的に作用する少なくとも1つのシェードエッジを有する。しかし好ましくは1つのシェード部材、すなわち1つまたは2つのシェードエッジを備えるちょうど1つのシェードが設けられている。
【0029】
シェード構成体、すなわちたとえば1つまたは2つのシェードが、一次光学系のためのホルダとワンピースに構成されているか、またはこのホルダに固定されていると、コンパクトで安定した構成が得られる。
【0030】
さらにシェード構成体、すなわちたとえば1つまたは2つのシェードを、光学領域において少なくとも部分的に透明な材料から形成することもできる。この場合、たとえばシェード構成体ないし少なくとも1つのシェードは半透明の材料により被覆される。
【0031】
この場合、シェード構成体ないし少なくとも1つのシェードは完全には光を遮閉しない、すなわち100%には光を遮閉しないように構成され、光の一部を通過させる。このようにして光分布において穏やかな出射を、主に明暗境界において実現することができる。
【0032】
たとえばこのために、透明な材料から形成されたシェードの表面が、たとえば金属により被覆される。層の厚さに応じて、この層は多かれ少なかれ半透明である。すなわち部分的に光透過性である。この被覆はたとえば、シェードエッジの領域ではこれが完全に光透過性であり、シェードエッジから離れるにつれ、光透過性がますます小さくなるように構成することができる。
【0033】
必要なスペースが小さく、光学的に非常に良好な結果を提供する、簡単に実現される実施形態では、少なくとも1つのシェードが平坦に構成されており、ないし少なくとも1つのシェードエッジが、好ましくは一次光学エレメントの全体光出射面に対して平行に延在する垂直面内にある。
【0034】
少なくとも1つのシェードは平坦に構成されており、光線路の光出射方向に対して垂直である。
【0035】
少なくとも1つのシェードないし少なくとも1つのシェードエッジが水平方向に湾曲して構成されていると、多くの場合、光学的にさらに良好な結果を達成できる。ここでこの湾曲は好ましくは実質的に、二次光学エレメントの画像野湾曲に相当するか、ないしはこの画像野湾曲に追従する。
【0036】
少なくとも1つのシェードエッジの湾曲は(水平面において)二次光学系の画像野湾曲に追従するか、ないしシェード(少なくとも1つのシェードエッジ)は一次光学エレメントの光出射面から離れるように湾曲される。
【0037】
しかしながらこの変形例は製造が面倒であり、より多くの構造空間を必要とする。
【0038】
さらに有利には、シェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影は、垂直面に湾曲した経過を有する。
【0039】
したがってシェードエッジは、垂直面への投影において1つまたは複数の湾曲した曲線部分を有する。
【0040】
しかしシェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影が、垂直面において1つまたは複数の直線状の部分から形成されても良い。
【0041】
ここでは2つの直線状部分間の移行部または2つの湾曲した曲線部分間の移行部は、非連続的であり、たとえばエッジの形状になっても良い。
【0042】
同様にシェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影は、連続的または非連続的な経過を有することができる。
【0043】
通常、最適な結果は、光線シェードを一次光学系の前方に小さな間隔を置いて、たとえば具体的な変形例では一次光学系から約10mmから20mm離して配置すると得られることが判明した。構造空間に起因して、光線シェードを一次光学系の上に直接(すなわちその光出射面の上に)配置することが必要な場合、光分布には障害となるギザギザが発生する。シェードエッジ(単数または複数)が不連続に「ギザギザ」であることにより、光像におけるこのギザギザを最小にすることができる。
【0044】
さらにちょうど2つのシェードエッジが設けられている場合、上方エッジは、二次光学エレメントの焦点を通る水平面に対して、好ましくは水平広がり全体に沿って、下方エッジよりも小さい標準間隔を有する。
【0045】
このようにして最適に、たとえばハイビームまたは部分ハイビームが形成される。平面EHの位置は基本的に、どのような光分布を形成すべきかに依存する。したがって本発明は、平面EHが対称面の上方に位置することに制限されるものではない。
【0046】
通常、一次光学系の光出射面は、垂直方向と水平方向に対称に構成されている。上方および下方シェードエッジは、この光出射面を二等分する水平面に対して(水平方向の面に沿って同じ位置で)ほぼ同じ間隔を有する。それどころか多くの変形例では、上方および下方エッジは互いにこの面を中心に鏡像対称であり、したがって同じ間隔を有する。
【0047】
所望の光像を形成するために、二次光学系の焦点を通る水平面はこの対称面の上方にある。したがって、二次光学系の焦点を通る水平面に対して2つのシェードエッジには異なる間隔が生じる。
【0048】
光像は、下方領域においては上方領域におけるよりも対応してさほど切断されない(下方領域は、二次光学系による光出射面の上方領域の投影によって生じ、逆も真である)。
【0049】
基本的に上方および下方エッジは、具体的な経過に関して任意の形態、とりわけ互いに任意に異なる形態を有することができる。すなわち、上方エッジと下方エッジとの間に何れの対称性も必ずしも必要ではない。
【0050】
しかしちょうど2つのシェードエッジが設けられている場合、上方エッジと下方エッジが水平対称面を基準にして鏡像対称の経過を有するのが有利であり得る。
【0051】
すなわち上方エッジが対称面を中心に鏡像対称されて、下方エッジが生じる。
【0052】
二次光学系の焦点を通る水平面は、全体光出射面を通って延在するこの水平対称面の上方にある。(上記参照)。
【0053】
全体光出射面のセグメント化により、とりわけ前方領域における光分布には、たとえばささくれのような不均一性、縞状形態、または斑点が生じ、これらは地面/道路への投影に障害として作用する。これらを回避するために、ないしはこれらの作用を低減するために、LED光源モジュールの一次光学エレメントの光出射面を光透過性材料によって互いに結合し、これにより一次光学エレメントに入力結合される光が光透過性材料に入射し、光透過性材料の光出射面を介してこれから再び出射できるようにすることができる。
【0054】
その光出射面が光像中にセグメントを形成する個々の一次光学エレメントを光透過性材料によって結合することにより、縞状形態の結果による光像中の不均一性が互いに不明瞭になり、これにより光像中の障害的作用が緩和され、または完全に除去されることが達成される。
【0055】
本発明の具体的な変形例では、一次光学エレメントの光出射面が共通の面内にあり、光透過性材料の光出射面も同様に一次光学エレメントの光出射面の共通の面内にある。この共通の面は、平面として構成されるか、または二次光学系の画像野湾曲に対応して湾曲される。
【0056】
一次光学エレメントに入射する光の一部は、今や一次光学エレメントの光出射面自体を介して放射されるのではなく、光透過性材料に入射し、その光出射面を介して出射する。これにより一次光学エレメントに入射する光の一部が混合され、光像中の不均一性が低減または除去される。したがって光透過性材料から出射する光は光分布に寄与する。
【0057】
不均一性を低減/除去するためには、一次光学エレメントの光出射面が上方および/または下方領域において互いに結合されると特に有利であることが判明した。
【0058】
ここで好ましくは一次光学エレメントは、何れの場合でも上方領域で互いに結合される。ここで概念「上方」および「下方」は、モジュール/前照灯が車両に組み込まれた状態を基準にする。
【0059】
この上方領域は、二次光学系を介して光像中で明暗境界の下方に結像される。主にここに、ないしここに最も強く不所望の不均一性が発生する。
【0060】
下方領域での結合は、光学的観点ではさほど意味がなく、とりわけ機械的観点では、個々の一次光学エレメントから形成されるエレメント全体の安定性を高めるために有利である。
【0061】
LED光源モジュールの具体的な変形例では、実質的に水平に延在する少なくとも1つの結合ウェブが設けられており、この結合ウェブは光透過性材料から形成され、一次光学エレメントをその光出射面の上方および/または下方領域で互いに結合する。
【0062】
とりわけ実質的に水平に延在するちょうど2つの結合ウェブが設けられており、これらの結合ウェブは光透過性材料から形成され、一次光学エレメントをその光出射面の上方および下方領域で互いに結合する。ここで上方ウェブは光学的観点でも機械的観点でも重要であり、一方、下方ウェブはもっぱら機械的観点で重要である。
【0063】
好ましくは少なくとも1つの結合ウェブは、一次光学エレメントの光出射面と、ないしは一次光学エレメントとワンピースに構成されている。すなわち個々の一次光学エレメントおよび1つまたは複数の結合ウェブが、ただ1つのエレメント、すなわちいわゆる一次光学系を形成する。
【0064】
ウェブおよび一次光学エレメントが互いにワンピースに結合されているか否かに関係なく、一次光学エレメントの光出射面と少なくとも1つの結合ウェブのいずれかとが、共通の光出射面を形成すると有利である。すなわち、これらは共通の平面内にあり、好ましくは中断無しで、すなわち切れ目無しに互いに結合されている。
【0065】
最適の光学的効果を達成するために、少なくとも1つの結合ウェブは垂直方向で上方/下方に、ある程度の規定の高さに亘り、一次光学エレメントの光出射面を超えて伸張している。
【0066】
上記の意味で、少なくとも1つの結合ウェブは水平方向で側方にある程度の長さに亘り、一次光学系の光出射面を超えて伸張もしている。
【0067】
さらに、少なくとも1つの結合ウェブが水平方向に光源の方向で後方に伸張し、ある程度の広がりに亘って一次光学系と結合されていると合目的的である。
【0068】
1つまたは複数の結合ウェブの構成、とりわけ1つまたは複数の結合ウェブの後方への広がりは、一方では光像の均一性に作用し、他方では光分布における極大の低減に結び付く。すなわち、より均一な光像が選択されるにつれ、極大がより強く低減される。
【0069】
したがって所望の効果に応じて、少なくとも1つの結合ウェブの下方/上方への広がり、および/または少なくとも1つの結合ウェブの、一次光学エレメントの光出射面を側方に超える拡張広がり、および/または少なくとも1つの結合ウェブの水平方向で下方への広がり、とりわけ少なくとも1つの結合ウェブが一次光学エレメントと結合されている広がりは、所望の程度の光像の均一性、および光分布における所望の程度の極大の低減が得られるように選択される。
【0070】
前照灯ではさらに下に説明するように複数のLED光源モジュールが使用される。ここでは基本的に、これらのLED光源モジュールは、可能である限り同じ構造を有し、とりわけこれらは同じ一次光学エレメントないし一次光学系(=1つまたは2つのウェブと結合された一次光学エレメント)をも有する。しかし主に光学的理由から、モジュール、とりわけ一次光学系、およびここではとりわけ少なくとも1つの結合ウェブの構成は互いに異なっていても良く、これにより所望の光像への最適の適合を行うことができる。
【0071】
LEDの光は、全反射の結果、一次光学エレメントに伝播する。これにより十分な量の光が光透過領域、すなわち1つまたは複数の結合ウェブに入射することができる。したがって上に述べたように、結合ウェブがある程度の広がりに亘って一次光学系と結合されていると有利である。これは互いに接触する、好ましくは互いに結合され、とりわけワンピースであるという意味である。
【0072】
少なくとも1つの、とりわけ上方の結合ウェブが一次光学エレメントの光入力結合箇所の方向で、たとえば円錐形に先細に構成されていることも光学的に有利であり得る。
【0073】
この構成は、結合ウェブが長方形である場合と比較して、すなわち結合ウェブが先細に構成されていない場合と比較して光学的観点で格段の改善をもたらす。このことはとりわけ、結合ウェブが後方へさらに伸張している場合に当てはまる。さらに円錐形状によって材料を節約することができ、このことはコスト削減につながる。
【0074】
一次光学エレメントがその光入力結合箇所から光出射面に向かって拡張していると、とりわけ有利であり得る。ここでは下方に向かって延在する一次光学エレメントが上方に向かうよりも強く拡張する。
【0075】
一次光学エレメントはたとえば円錐形の形態を有し、エレメントは下方に向かってより強く膨らむ。
【0076】
基本的に比較的任意の形状を、一次光学エレメントの光出射面に対して使用することができる。一次光学エレメントの光出射面が長方形に構成されていると有利であることが判明した。対応の一次光学系は簡単に製造され、一次光学系によって二次光学系を介して形成される光分布のセグメントの重なり合いに関して良好な光学的特性を有する。さらにこのような光出射面により、光分布の水平方向での高さ全体に亘り、切れ目のない均一な光分布を光像中に形成することができる。
【0077】
大概の適用に対しては、全ての光出射面が同じ形態を有すれば十分である。このことは前照灯の見積もりと製造が簡単であるという利点を有し、前照灯のコストを格段に低減する。
【0078】
しかしながら形態の異なる光出射面、たとえば幅(水平方向の広がり)の異なる光出射面を使用することもできる。たとえば光分布のある程度の領域を比較的狭い光出射面により形成することができ、これによりそこでは光像のより微細なセグメント化が行われ、比較的小さな、ないしは比較的狭い領域をフェードアウトすることができる。
【0079】
さらに一次光学エレメントの光出射面が互いに平行に、かつ同じ配向で配置されていると有利である。
【0080】
平行かつ同じ配向によって簡単に、垂直方向にも簡単に、法に則った光像を形成することができる。
【0081】
LED光源モジュールの一次光学エレメントの光出射面が、水平に間隔を置いて並んで配置されていると特に有利である。
【0082】
一方でこのような配置は実際には特段の困難もなく実現できる。他方で光出射面は二次光学系を介して、鮮明に画定されたセグメントを光像中に結像し、これらセグメントの重なり合いが全体光像となる。1つまたは複数のLED光源を遮断することにより、このような配置において規定の領域が光像中で最適にフェードアウトされる。
【0083】
上にすでに述べたように、各LED光源モジュールには二次光学系が割り当てられており、この二次光学系は、一次光学エレメントの光出射面により形成された光セグメントを、前照灯が車両に組み込まれた状態で、車両の前方にある領域に結像する。
【0084】
2つまたはそれ以上のLED光源モジュールにLED光源を本発明により配置することにより、均一の光分布、たとえばハイビーム分布を、個々の光セグメントの相応の水平連結および/または重なり合いによって形成することができる。そして、このような光分布から個別のまたは複数のLED光源を遮断することにより、たとえば対向車両の幻惑を回避するために、光分布のまったく特別の領域を「フェードアウト」すること、すなわち照明しないことができる。
【0085】
たとえば個々の光セグメントを水平方向に直接並べ隣接して配置することができる。過度に急激な移行が発生せず、または光分布中にエッジが観察されないようにするため、付加的にさらに1つまたは複数の別の光セグメントを、光セグメントの互いに隣接するそのような領域に重ね合わせることができる。このことは、後でさらに詳細に議論するように、たとえば2つの光セグメントをフェードアウトすることによって、1つの光セグメントより狭い領域を光分布から「フェードアウト」することができ、ないしは照明しないことができるという利点を有する。
【0086】
具体的な形状では、光出射面は、幅よりも大きな高さをもって垂直方向に起立するように構成されており、たとえば長方形または楕円形等の形状である。
【0087】
比較的大きな高さと比較的小さな幅をもって起立するこの形状によって、光出射面により水平方向に狭い角度領域が照明され、垂直に関しては、この水平方向の角度領域に対して全領域をこの1つの光出射面により照明することができる。
【0088】
LED光源モジュールの一次光学エレメントの隣接する光出射面が、光出射面の幅に相当する標準間隔を互いに有し、好ましくは光出射面の第1の全体構成体がその二次光学系の光軸を基準にして第1の規定位置を取り、第2/第3/第4...第nの全体構成体がそれらの二次光学系の光軸を基準にして、第1の全体構成体と比較して半分/1倍/2倍/4倍/((n−1)/2)倍の標準間隔だけ、LED光源モジュールの隣接する2つの光出射面間でずらされていると特に有利である。
【0089】
この場合、水平方向の縁部領域は別にして、全前照灯の2つの光源のフェードアウトによって、光出射面の幅の半分に相当する鋭い領域をフェードアウトすることのできる構成が得られる。
【0090】
本発明の具体的な信頼性のある実施形態では、3つ以上の一次光学エレメントがある場合、隣接する一次光学エレメントの光出射面間の間隔が同じであり、好ましくは隣接するLED光源の光出射面間の全ての間隔は、前照灯全体を通じて同じである。
【0091】
これにより、同じモジュールを備えた簡単な構造が得られ、この構造により均一な光分布を達成することができる。
【0092】
動的な光分布を形成するための本発明のLED自動車前照灯は、上に述べたように2つまたは複数のLED光源モジュールを含み、好ましくはLED光源モジュールの二次光学エレメントと一次光学エレメントの光出射面の配置とが、個々のLED光源モジュールからの光セグメントが水平方向に互いにずらされて結像されるように互いに整合されている。ここで個々のLED光源は別個に制御可能である。
【0093】
このような前照灯においては、少なくとも1つのシェードエッジの経過が、全てのLED光源モジュールに置いて同じであると特に有利である。とりわけLED光源モジュールごとに2つのシェードエッジがある場合、上方シェードエッジが同じ経過を有し、および/または下方シェードエッジが同じ経過を有する。
【0094】
このことはとりわけ、シェードの簡単な製造、モジュールの組み立ておよび倉庫管理の観点で、大きな利点をもたらす。
【0095】
具体的な変形例では、それぞれ少なくとも1つのシェードエッジが、全体光出射面を基準にして、異なるLED光源モジュールにおいては異なって配置されている。
【0096】
一つの変形例では、LED光源モジュールが1つの水平の列に配置されている。
【0097】
このようにして一次光学系の個々のセグメントが、所望の光分布を車両の前方に形成するために並置され重なり合って結像される。
【0098】
さらにLED光源モジュールの二次光学エレメントの焦点は、LED光源モジュールの一次光学系の全体光出射面により形成される共通の垂直面並びに共通の水平面内にある。
【0099】
さらに最後に、一次光学系のそれぞれの全体光出射面を基準にして、個々のLED光源モジュールの二次光学系の焦点は側方に、すなわち水平方向に互いにずらされて配置されている。
【0100】
ここでは具体的に、二次光学エレメントの焦点は、それぞれ所属の一次光学系の全体光出射面の側方縁部領域内にある。第1の外側LED光源モジュールでは焦点が全体光出射面の縁部に最も接近しており、第2の外側LED光源モジュールの方向に進むにつれ、焦点はこの縁部から離れていく。
【0101】
したがって焦点は縁部から離れていくが、それでもなお焦点は「縁部領域」に留まる。すなわち2つの外側焦点は、おおよそ1つのセグメントの幅の領域内で、すなわち一次光学エレメントの光出射面の幅の領域内で離れて存在する。
【0102】
さらに有利には、車両内側LED光源モジュールでは焦点が一次光学系の全体光出射面の縁部に最も接近しており、車両外側LED光源モジュールでは焦点が所属の一次光学系の全体光出射面の縁部から最も離れている。
【0103】
簡単で安価な前照灯の構造という意味では、個々のLED光源モジュールは同じ二次光学エレメントを有する。
【0104】
好ましくは、隣接するLED光源の光出射面間の全ての間隔は全前照灯を通じて同じである。これにより、基本的に可及的に均一な光分布を達成することのできる同じモジュールを備える簡単な構造が得られる。
【0105】
「均一」とは、照明される領域に亘って光像がどこでも同じ明るさであるという意味ではなく、明るさの異なる領域間の移行が光像中で連続的であり、明瞭な移行が発生しないという意味であることをここで簡単に述べておく。光像全体に「むら」があってはならず、明るい領域から暗い領域へ流れるように移行すべきである。
【0106】
本発明により、光像をさらに付加的に格段に改善することができる。
【0107】
ここでさらに具体的には、LED光源モジュールの光出射面の全体構成体は、二次光学エレメントの光軸を基準にして水平方向に規定の位置を取り、個々のLED光源モジュールの全体構成体が異なれば、それぞれ割り当てられた二次光学エレメントの光軸を基準にして水平方向に互いに異なる規定の位置を有する。
【0108】
前照灯の全てのLED光源モジュールの光出射面を、これらにそれぞれ割り当てられた二次光学系の光軸を通る垂直面の側にそれぞれ配置することができる。
【0109】
さらに前照灯の全ての光出射面のちょうど1つの光出射面が、それに割り当てられた二次光学系の光軸と交差するようにすることができる。
【0110】
ここではLED光源が、水平に重なり合って配置された少なくとも2つの発光ダイオードを含み、これらの発光ダイオードは互いに独立して制御可能である。ここで少なくとも2つの発光ダイオードのそれぞれは、一次光学エレメントの光出射面を介して、水平な光セグメントとして一次光学エレメントにより結像される垂直方向の光セグメント内に結像される。
【0111】
好ましくはLED光源の各発光ダイオードは別個に制御可能である。
【0112】
上記のような2つの前照灯を備える本発明の車両前照灯システムでは、車両に組み込まれた状態で左の前照灯が道路上に光分布の左部分を、右の前照灯が光分布の右部分を形成し、好ましくは少なくとも各LED光源、好ましくは2つの前照灯の各発光ダイオードは別個に制御可能である。
【0113】
とりわけ左右の前照灯は、割り当てられた一次光学系を基準にする、二次光学系の焦点の配置に関し、およびシェードエッジの経過に関し鏡像的な構造を有する。
【0114】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
図1】光像を形成するための複数(4つ)のLED光源モジュールを備える前照灯の斜視図である。
図2図1の個々のLED光源モジュールの拡大図である。
図3】左前照灯(下)と右前照灯(上)、並びにそれらの鏡像的配置を対比する概略図である。
図4図2のモジュールを上から見た図である。
図5図2のモジュールの裏側斜視図である。
図6】本発明のシェード構成体を備えない個々のモジュールの光分布を例として示す図である。
図7】本発明のシェード構成体を使用した場合の個々のモジュールの光分布を例として示す図である。
図8】光像を形成するための複数(4つ)のLED光源モジュールを備える別の前照灯の斜視図である。
図9図8の個々のLED光源モジュールの拡大図である。
図10図9のモジュールを前方から見た図である。
図11図9のモジュールの側面図である。
図12図9のモジュールの裏側斜視図である。
図13】シェード構成体が補助光学系ホルダ(一次光学系ホルダ)と結合された、ないしワンピースに構成された光源モジュールの斜視図である。
図14図13のモジュールの展開図である。
図15】湾曲したシェードを備える光源モジュールを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
図1は、一列に配置された4つのLED光源モジュールM1〜M4を備える、動的な光分布を形成するためのLED自動車前照灯SWl、ここでは左前照灯を示す。各LED光源モジュールM1〜M4は二次光学系S1,S2,S3,S4を有し、これらは一次光学系PGの全体光出射面GLFから発する光を、前照灯SWlが車両に組み込まされた状態で、光像として車両前方にある領域に結像する。
【0117】
図2は、二次光学系を備えないこのようなLED光源モジュールM1(M2,M3,M4)を詳細に示す。LED光源モジュールM1は複数のLED光源LEQ、ここでは具体的に4つのそのようなLED光源を含み、これらのLED光源はさらにそれぞれ少なくとも1つの発光ダイオードから成る。図2には個々の発光ダイオードは示されていないが、図10は例として、それぞれちょうど2つの発光ダイオードLED1,LED2を備えるLED光源LEQを示す。
【0118】
図4図5は、図2のLED光源モジュールをさらに上から見た図と、斜め後方から見た斜視図である。
【0119】
各LED光源LEQは、光を割り当てられた一次光学エレメントP1〜P4に入力結合する。この光は一次光学エレメントP1〜P4のそれぞれの光出射面L1〜L4を介して再び出射する。これら光出射面セグメントL1〜L4は、光セグメントとして光像中に結像され、(左)前照灯の個々のモジュールM1〜M4のセグメントと、右前照灯のそれとの重なり合いが全体光分布を形成する。
【0120】
光出射面L1〜L4は全体光出射面GLFを形成し、本発明のこの変形例では有利には、一次光学エレメントP1〜P4が上方領域で結合ウェブVS1と、好ましくは下方領域でもこのようなウェブVS2と結合されている。これらのウェブVS1,VS2にも同様にLED光源LEQの光が入射し、この光はウェブVS1,VS2の光出射面LF1,LF2を介して再び出射し、光分布に寄与し、これを均一にする。
【0121】
したがって2つのウェブの光出射面LF1,LF2は、全体光出射面GLFの構成部分であり、一次光学エレメントP1〜P4と2つのウェブVS1,VS2はいわゆる一次光学系を形成する。この一次光学エレメントP1〜P4と2つのウェブVS1,VS2とは好ましくはワンピースに、同じ材料から形成されている。
【0122】
一次光学系PGの(全体)光出射面GLFと二次光学系との間には、本発明によればシェード構成体BAOがあり、このシェード構成体は図示の例では光学的に作用する2つのシェードエッジBK1,BK2を有する。これらのシェードエッジは、光像の上方および/または下方領域に発生する不所望の歪みが少なくとも部分的に光像中でフェードアウトされるように配置され、および/または延在する。
【0123】
図2の概略的変形例では、2つのシェードエッジBK1,BK2は、2つの平坦なシェードBLE1、BLE2のエッジとして構成されている。
【0124】
シェードエッジBK1,BK2ないし垂直面へのそれらの投影は、たとえば湾曲した経過を有する。したがってシェードエッジは、垂直面への投影において1つまたは複数の湾曲した曲線部分から成る。
【0125】
図3は、図3の上部に図示されている1つの右前照灯SWrと、下部に図示されている1つの左前照灯SWlとから成る車両前照灯システムを概略的に示す。もちろん実際にはこれら2つの前照灯は、好ましくは車両の車両フロントのコーナ領域に左右で配置されており、図示のように上下には配置されていない。
【0126】
図示の変形例で、前照灯のモジュールM1〜M4(M1’〜M4’)はほとんど同じ構造を有する。すなわち同じ一次光学系PGと同じシェード構成体、すなわち同じシェードエッジBK1,BK2が使用される。
【0127】
個々のモジュールM1〜M4(M1’〜M4’)間の相違は、一次光学系PFの光出射面GLFを基準にするシェードエッジBK1,BK2の位置であり、これについては以下で詳細に述べる。
【0128】
二次光学系も通常、基本的には同じであるが、前照灯内部と前照灯間においては、異なるデザイン部分によって区別される。
【0129】
一次光学エレメントP1〜P4の光出射面L1〜L4と結合ウェブVF1,VF2の光出射面LF1,LF2とから形成される一次光学系PGの全体光出射面GLFは、規定の高さ広がりと幅広がりを、たとえば長方形の形状で有する。したがって全体出射面GLFは、光出射面が存在しない領域を除いたこのような長方形である。すなわち、とりわけ一次光学エレメント間の、2つの外側一次光学エレメントの側方に並ぶ領域である。
【0130】
左前照灯SWlを観察すると(右前照灯SWrに対しても同じ考察が同様に当てはまる)、(図示しない)二次光学エレメントの焦点FS1,FS2,FS3,FS4(右前照灯SWr:FS1’〜FS4’)が全体光出射面GLFの側方縁部領域RB1内にあることが分かる。エッジBK1,BK2は、これらのエッジBK1,BK2が焦点FS1,FS2,FS3,FS4に対しては(すなわち焦点にある焦点を通る水平面EHに対して)、焦点FS1,FS2,FS3,FS4のある縁部領域RB1に対向する全体光出射面GLFの縁部領域RB2にある焦点を通る水平面EHに対するよりも大きな標準間隔を有するような経過/輪郭を有する。
【0131】
したがってシェードエッジは焦点からさらに離れる縁部領域RB2において、この水平面に対して、焦点の領域RB1におけるよりも小さい(標準)間隔を有する。異なるモジュールM1〜M4に対して焦点は、図3から分かるように異なる位置にあるが、しかし常にこの縁部領域RB1内にある。
【0132】
ここで二次光学系の焦点は、一次光学系の光出射面の(垂直)面内にあり、ここで二次光学系の光軸はこの面を「突き通す」。
【0133】
二次光学エレメントS1〜S4の焦点FS1,FS2,FS3,FS4に対するシェードエッジBK1,BK2の標準間隔が、水平面EHに対するシェードエッジBK1,BK2の最大間隔である。焦点FS1,FS2,FS3,FS4からさらに離れる縁部領域RB2に向かって、水平面EHまでの標準間隔は減少する。
【0134】
上記の措置により、歪みの発生する領域においては光が相応に遮閉され、一方、歪みが少ないか、または歪みの全くない領域からの光は光像において僅かしか遮閉されないか、またはまったく遮閉されない。
【0135】
さらに、焦点FS1,FS2,FS3,FS4までのシェードエッジBK1,BK2の標準間隔が、水平面EHまでのそれぞれのシェードエッジBK1,BK2の最大間隔であり、好ましくは焦点FS1,FS2,FS3,FS4を有する縁部領域RB1を超えると、水平面EHに対する標準間隔が同じに留まると有利であることが認識される。
【0136】
シェードエッジBK1,BK2の経過は互いに「独立」していることができるが、しかしモジュールのシェードエッジは、図3に示すように(面EHの下方にある)水平対称面を基準にして鏡像的な経過を有することもできる。すなわち上方エッジが、対称面を中心に鏡像対称されて、下方エッジが生じる。
【0137】
二次光学系の焦点を通る水平面は、ハイビームおよび/または部分ハイビームが形成される図示の例では、全体光出射面を通るこの水平対称面の上方にある(上記参照)。
【0138】
たとえばロービーム用の前照灯では、面EHは一次光学系の対称面内にある。
【0139】
したがって上方エッジBK1は、図示の例のように、好ましくは全体水平広がりに沿って、二次光学エレメントS1〜S4の焦点FS1,FS2,FS3,FS4を通る水平面EHに対し、下方エッジBK2よりも(それぞれ水平面に沿った規定の点を基準にして)小さな標準間隔を有する。
【0140】
所望の光像(ハイビーム、部分ハイビーム)を形成するために、二次光学系の焦点を通る水平面はこの対称面の上方にある。したがって、二次光学系の焦点を通る水平面に対して2つのシェードエッジには異なる間隔が生じる。
【0141】
光像は、下方領域においては上方領域におけるよりも対応してそれほど切断されない(下方領域は、二次光学系による光出射面の上方領域の投影によって生じ、逆もまた真である)。
【0142】
基本的に上方および下方エッジは、具体的な経過に関して、任意の、とりわけ互いに任意に異なる形態を有することができることが当てはまる。すなわち上方エッジと下方エッジとの間に何れの対称性も絶対的には必要でない。
【0143】
LED光源モジュールM1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’の二次光学エレメントと、一次光学系PGの光出射面GLFの配置とは、個々のLED光源モジュールM1,M2,M3,M4;M1’,M2’,M3’,M4’からの光セグメントが水平方向に互いにずらされて結像されるように相互に整合されている。個々のLED光源は別個に制御することができる。
【0144】
前照灯のLED光源モジュールM1〜M4;M1’〜M4’はそれぞれ1つの水平列に配置されており、したがって一次光学系の個々のセグメントは、所望の光分布を車両の前方に形成するために並置され重なり合って結像される。
【0145】
LED光源モジュールの二次光学エレメントの焦点FS1〜FS4,FS1’〜FS4’は、共通の垂直面および共通の水平面EH内にある。この共通の垂直面は、LED光源モジュールの一次光学系PGの全体光出射面GLFにより形成される。
【0146】
一次光学系PGのそれぞれの全体光出射面GLFを基準にして、個々のLED光源モジュールの二次光学系の焦点FS1〜FS4,FS1’〜FS4’は側方に、すなわち水平方向に互いにずらされて配置されている。
【0147】
このようにして個々の一次光学エレメントの個々のセグメントの最適な重なり合いが達成される。
【0148】
ここで具体的には、二次光学エレメントの焦点FS1〜FS4,FS1’〜FS4’は、それぞれ所属の一次光学系PGの全体光出射面GLFの側方縁部領域RB1内にそれぞれあり、第1の外側LED光源モジュールM1,M1’(車両内側モジュール)では焦点FS1,FS1’が全体光出射面GLFの縁部に最も接近しており、前照灯の対向する外側LED光源モジュールM4,M4‘(車両外側)の方向に進むにつれ、焦点FS2〜FS4,FS2’〜FS4‘は縁部から離れていく。
【0149】
したがって焦点は縁部から離れていくが、それでもなお焦点は「縁部領域」RB1内に留まる。すなわち2つの外側焦点(図3:FS1,FS4ないしFS1’,FS4’)は、おおよそ1つのセグメントの幅の領域内で、すなわち一次光学エレメントの光出射面の幅の領域内で離れて存在する。
【0150】
縁部を基準にした個々の焦点のずれは、セグメントの幅(一次光学エレメントの光出射面の幅)に依存しており、光分布の所望の均一性と解像度が得られるように選択される。たとえば図示の変形例では、焦点FS1からFS3までの間隔(4つモジュールを想定すれば、上下に重なることになる)は、補助光学系の光出射面の幅とちょうど同じ大きさである。これにより、モジュールM1とモジュールM3が完全な光分布を形成する(すなわちモジュールM3がモジュールM1の隙間を照明する)ことが保証される。焦点FS2とFS4も同様に互いに同じ間隔を有し、同様に完全な光分布を形成する。しかしFS1とFS2との間隔、ないしFS3とFS4との間隔は完全なセグメント幅ではなく、セグメント幅の半分である。この重なり合いによって解像度の改善が得られ、(ハイ)ビームの均一性も同様に改善される。
【0151】
したがって車両内側LED光源モジュールM1,M1’では、焦点FS1,FS1’が一次光学系PGの全体光出射面GLFの縁部に最も接近しており、車両外側LED光源モジュールM4,M4’では、焦点FS4,FS4’が所属の一次光学系PGの全体光出射面GLFの縁部から最も離れている。
【0152】
理解されるように、シェードないしシェードエッジは二次光学系の焦点を基準にして固定配置されている。すなわち具体的な実施形態では、シェードは投影レンズ(二次光学系)に対して固定して位置決めすることができる。
【0153】
したがって一次光学系は、投影レンズおよびシェードに対して水平方向で側方にずらされている。したがって投影レンズは、好ましくはシェードとともに1つの構造的なユニットを形成することができ、たとえばシェードをレンズホルダに固定することができる。
【0154】
図6は、本発明のシェード構成体を備えていない個々のLED光源モジュールにより形成された光分布を例として概略的に示す。図から分かるように、光像は垂直0゜ラインから離れるにつれ、ますます歪む。
【0155】
図7は、図6で使用されたモジュールの光分布を例として概略的に示すが、ここでは本発明のシェード構成体が中間接続されている。図からよく分かるように、この光像は言うに値するほどの歪みをもはや有していない。
【0156】
図8もまた図1と同様に、4つのLED光源モジュールM1〜M4を一列に有する車両前照灯を示す。ここでシェード構成体BAOは(詳細については図9も参照)、光学的に作用する2つのシェードエッジBK1,BK2を含み、これらのシェードエッジはただ1つのシェードBLEに形成されている。
【0157】
図10によく示されているように、シェードエッジBK1,BK2、ないし2つのシェードエッジBK1,BK2の投影は垂直面内において、複数の直線状部分A11,A12,A13,A14,A15,A16,A21,A22,A23,A24,A25,A26から成る。ここで2つの直線状部分間の移行は、エッジの形状に示されるように、たとえば非連続的に行われる。
【0158】
図11と12は、図8のモジュールをさらに横から見た図と、斜め後方から見た図である。
【0159】
図13と14はさらに、図8のようにシェード構成体BAOを備えるLED光源モジュールを示すが、ここではシェード構成体BAOが一次光学系PG用のホルダHALとワンピースに構成されている点で異なる。言い替えると、シェードエッジBK1,BK2は、一次光学系PG用のホルダHAL内に形成されている。ホルダHALは基本的に、シェードエッジがそれに形成されている場合だけでなく、非透光性の材料から成る。そうでないと光がホルダ内で伝播し、これにより光学的機能が、機能不全に陥るまで損なわれることになりかねないからである。ホルダにより一次光学系PGがLEDプリントPRIに固定される。
【0160】
上記の実施形態では、必要なスペースが小さく、光学的に非常に良好な結果が得られる。この実施形態ではそれぞれ、シェードが平坦に構成されており、ないしシェードエッジBK1,BK2が、一次光学エレメントPGの全体光出射面に対して平行に延在する垂直面内にある。シェードは平坦に構成されており、光線路の光出射方向に対して垂直である。
【0161】
図15は、別の変形例を上から見た図に示す。この図では、シェードBLE(したがって1つまたは2つのシェードエッジ)が水平方向に湾曲して構成されている。ここでこの湾曲は、好ましくは二次光学エレメントの画像野湾曲に実質的に対応するか、ないしはこの画像野湾曲に追従する。シェードBLEは、一次光学エレメントの光出射面から離れるように湾曲している。
【0162】
少なくとも1つのシェードエッジの湾曲は、(水平面において)二次光学系の画像野湾曲に追従する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15