【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は冒頭に述べたLED光源モジュールによって次のようにして解決される。すなわち本発明によれば、少なくとも1つの一次光学エレメントの少なくとも1つの光出射面と二次光学系との間にシェード構成体が設けられており、該シェード構成体は、光学的に作用する少なくとも1つのシェードエッジを有し、該シェードエッジは、光像の上方および/または下方領域に発生する不所望の歪みが少なくとも部分的に光像中でフェードアウトされるように配置され、および/または延在する。
【0017】
シェード構成体を使用することにより、簡単で安価なやり方で、光像の縁部にいずれにしろ発生する歪みを、残りの光像に悪影響を及ぼすことなくフェードアウトすることができる。
【0018】
冒頭に述べた問題はとりわけ、上ですでに述べたように、LED光源モジュールが2つ以上のLED光源を有する場合に発生する。ここでLED光源はそれぞれ少なくとも1つの発光ダイオードから成り、各LED光源の発光ダイオードは、光源にそれぞれ割り当てられた一次光学エレメントに光を入力結合し、該入力結合された光は、割り当てられた一次光学エレメントの光出射面から少なくとも部分的に再び出射し、ここで二次光学系が、一次光学エレメントの光出射面により形成された光セグメントを、前照灯が車両に組み込まれた状態で、車両の前方にある領域に結像する。
【0019】
シェード構成体を使用することにより、とりわけこのような構成において発生する問題が理想的に除去される。
【0020】
二次光学系に割り当てられた全ての一次光学エレメントが、いわゆる「一次光学系」を形成し、一次光学エレメントは好ましくは互いに結合され、むしろ通常はワンピースに構成される。この一次光学系は、一次光学エレメントの個々の光出射セグメントにより形成される全体光出射面を有する。
【0021】
本発明の具体的な変形例では、1つまたは複数の一次光学エレメントの1つまたは複数の光面から形成される全体光出射面が規定の高さ広がりと幅広がりを、たとえば長方形の形状で有し、二次光学エレメントの焦点は、全体光出射面の側方縁部領域内にあり、すくなくとも1つのエッジが、当該エッジが焦点に対して、焦点に対向する全体光出射面の縁部領域内にある二次光学エレメントの焦点を通る水平面に対するよりも大きな標準間隔を有するような経過/輪郭を有する。
【0022】
したがってシェードエッジは、焦点からさらに離れた縁部においては、(他の縁部領域にある)焦点の領域におけるよりも小さい(標準)間隔を有する。異なるモジュールに対して焦点は異なる箇所にあっても良いが、常に1つの縁部領域内にある。
【0023】
ここで二次光学系の焦点は、一次光学エレメントないしは一次光学系の光出射面の面内にあり、ここで二次光学系の光軸がこの平面を「突き通る」。
【0024】
二次光学エレメントの焦点までのシェードエッジの標準間隔が、水平面までのシェードエッジの最大間隔であり、焦点からさらに離れた縁部領域に向かって、水平面への標準距離が減少すると合目的的である。
【0025】
上記の措置により、歪みの発する領域においては光が対応して遮閉され、一方、歪みの少ないまたは歪みのまったくない領域からの光は、光像において僅かしか遮閉されないか、またはまったく遮閉されない。
【0026】
二次光学エレメントの焦点までのシェードエッジの標準間隔が、水平面までのシェードエッジの最大間隔であり、好ましくは焦点を有する縁部領域を超えて、水平面までの標準間隔が、焦点までのシェードエッジの標準間隔のように同じに留まると、とりわけ有利である。
【0027】
さらに光像における歪みを明暗境界の上方でも下方では遮閉できるようにするために、シェード構成体は、光学的に作用する2つのシェードエッジ、すなわち上方シェードエッジと下方シェードエッジとを有し、ここで上方シェードエッジが水平面の上方で二次光学系の光軸を通って延在し、下方エッジはこの面の下方に延在すると有利である。
【0028】
シェード構成体は1つまたは2つのシェードから成り、1つまたは2つのシェードは光学的に作用する少なくとも1つのシェードエッジを有する。しかし好ましくは1つのシェード部材、すなわち1つまたは2つのシェードエッジを備えるちょうど1つのシェードが設けられている。
【0029】
シェード構成体、すなわちたとえば1つまたは2つのシェードが、一次光学系のためのホルダとワンピースに構成されているか、またはこのホルダに固定されていると、コンパクトで安定した構成が得られる。
【0030】
さらにシェード構成体、すなわちたとえば1つまたは2つのシェードを、光学領域において少なくとも部分的に透明な材料から形成することもできる。この場合、たとえばシェード構成体ないし少なくとも1つのシェードは半透明の材料により被覆される。
【0031】
この場合、シェード構成体ないし少なくとも1つのシェードは完全には光を遮閉しない、すなわち100%には光を遮閉しないように構成され、光の一部を通過させる。このようにして光分布において穏やかな出射を、主に明暗境界において実現することができる。
【0032】
たとえばこのために、透明な材料から形成されたシェードの表面が、たとえば金属により被覆される。層の厚さに応じて、この層は多かれ少なかれ半透明である。すなわち部分的に光透過性である。この被覆はたとえば、シェードエッジの領域ではこれが完全に光透過性であり、シェードエッジから離れるにつれ、光透過性がますます小さくなるように構成することができる。
【0033】
必要なスペースが小さく、光学的に非常に良好な結果を提供する、簡単に実現される実施形態では、少なくとも1つのシェードが平坦に構成されており、ないし少なくとも1つのシェードエッジが、好ましくは一次光学エレメントの全体光出射面に対して平行に延在する垂直面内にある。
【0034】
少なくとも1つのシェードは平坦に構成されており、光線路の光出射方向に対して垂直である。
【0035】
少なくとも1つのシェードないし少なくとも1つのシェードエッジが水平方向に湾曲して構成されていると、多くの場合、光学的にさらに良好な結果を達成できる。ここでこの湾曲は好ましくは実質的に、二次光学エレメントの画像野湾曲に相当するか、ないしはこの画像野湾曲に追従する。
【0036】
少なくとも1つのシェードエッジの湾曲は(水平面において)二次光学系の画像野湾曲に追従するか、ないしシェード(少なくとも1つのシェードエッジ)は一次光学エレメントの光出射面から離れるように湾曲される。
【0037】
しかしながらこの変形例は製造が面倒であり、より多くの構造空間を必要とする。
【0038】
さらに有利には、シェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影は、垂直面に湾曲した経過を有する。
【0039】
したがってシェードエッジは、垂直面への投影において1つまたは複数の湾曲した曲線部分を有する。
【0040】
しかしシェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影が、垂直面において1つまたは複数の直線状の部分から形成されても良い。
【0041】
ここでは2つの直線状部分間の移行部または2つの湾曲した曲線部分間の移行部は、非連続的であり、たとえばエッジの形状になっても良い。
【0042】
同様にシェードエッジ、ないし少なくとも1つのシェードエッジの投影は、連続的または非連続的な経過を有することができる。
【0043】
通常、最適な結果は、光線シェードを一次光学系の前方に小さな間隔を置いて、たとえば具体的な変形例では一次光学系から約10mmから20mm離して配置すると得られることが判明した。構造空間に起因して、光線シェードを一次光学系の上に直接(すなわちその光出射面の上に)配置することが必要な場合、光分布には障害となるギザギザが発生する。シェードエッジ(単数または複数)が不連続に「ギザギザ」であることにより、光像におけるこのギザギザを最小にすることができる。
【0044】
さらにちょうど2つのシェードエッジが設けられている場合、上方エッジは、二次光学エレメントの焦点を通る水平面に対して、好ましくは水平広がり全体に沿って、下方エッジよりも小さい標準間隔を有する。
【0045】
このようにして最適に、たとえばハイビームまたは部分ハイビームが形成される。平面EHの位置は基本的に、どのような光分布を形成すべきかに依存する。したがって本発明は、平面EHが対称面の上方に位置することに制限されるものではない。
【0046】
通常、一次光学系の光出射面は、垂直方向と水平方向に対称に構成されている。上方および下方シェードエッジは、この光出射面を二等分する水平面に対して(水平方向の面に沿って同じ位置で)ほぼ同じ間隔を有する。それどころか多くの変形例では、上方および下方エッジは互いにこの面を中心に鏡像対称であり、したがって同じ間隔を有する。
【0047】
所望の光像を形成するために、二次光学系の焦点を通る水平面はこの対称面の上方にある。したがって、二次光学系の焦点を通る水平面に対して2つのシェードエッジには異なる間隔が生じる。
【0048】
光像は、下方領域においては上方領域におけるよりも対応してさほど切断されない(下方領域は、二次光学系による光出射面の上方領域の投影によって生じ、逆も真である)。
【0049】
基本的に上方および下方エッジは、具体的な経過に関して任意の形態、とりわけ互いに任意に異なる形態を有することができる。すなわち、上方エッジと下方エッジとの間に何れの対称性も必ずしも必要ではない。
【0050】
しかしちょうど2つのシェードエッジが設けられている場合、上方エッジと下方エッジが水平対称面を基準にして鏡像対称の経過を有するのが有利であり得る。
【0051】
すなわち上方エッジが対称面を中心に鏡像対称されて、下方エッジが生じる。
【0052】
二次光学系の焦点を通る水平面は、全体光出射面を通って延在するこの水平対称面の上方にある。(上記参照)。
【0053】
全体光出射面のセグメント化により、とりわけ前方領域における光分布には、たとえばささくれのような不均一性、縞状形態、または斑点が生じ、これらは地面/道路への投影に障害として作用する。これらを回避するために、ないしはこれらの作用を低減するために、LED光源モジュールの一次光学エレメントの光出射面を光透過性材料によって互いに結合し、これにより一次光学エレメントに入力結合される光が光透過性材料に入射し、光透過性材料の光出射面を介してこれから再び出射できるようにすることができる。
【0054】
その光出射面が光像中にセグメントを形成する個々の一次光学エレメントを光透過性材料によって結合することにより、縞状形態の結果による光像中の不均一性が互いに不明瞭になり、これにより光像中の障害的作用が緩和され、または完全に除去されることが達成される。
【0055】
本発明の具体的な変形例では、一次光学エレメントの光出射面が共通の面内にあり、光透過性材料の光出射面も同様に一次光学エレメントの光出射面の共通の面内にある。この共通の面は、平面として構成されるか、または二次光学系の画像野湾曲に対応して湾曲される。
【0056】
一次光学エレメントに入射する光の一部は、今や一次光学エレメントの光出射面自体を介して放射されるのではなく、光透過性材料に入射し、その光出射面を介して出射する。これにより一次光学エレメントに入射する光の一部が混合され、光像中の不均一性が低減または除去される。したがって光透過性材料から出射する光は光分布に寄与する。
【0057】
不均一性を低減/除去するためには、一次光学エレメントの光出射面が上方および/または下方領域において互いに結合されると特に有利であることが判明した。
【0058】
ここで好ましくは一次光学エレメントは、何れの場合でも上方領域で互いに結合される。ここで概念「上方」および「下方」は、モジュール/前照灯が車両に組み込まれた状態を基準にする。
【0059】
この上方領域は、二次光学系を介して光像中で明暗境界の下方に結像される。主にここに、ないしここに最も強く不所望の不均一性が発生する。
【0060】
下方領域での結合は、光学的観点ではさほど意味がなく、とりわけ機械的観点では、個々の一次光学エレメントから形成されるエレメント全体の安定性を高めるために有利である。
【0061】
LED光源モジュールの具体的な変形例では、実質的に水平に延在する少なくとも1つの結合ウェブが設けられており、この結合ウェブは光透過性材料から形成され、一次光学エレメントをその光出射面の上方および/または下方領域で互いに結合する。
【0062】
とりわけ実質的に水平に延在するちょうど2つの結合ウェブが設けられており、これらの結合ウェブは光透過性材料から形成され、一次光学エレメントをその光出射面の上方および下方領域で互いに結合する。ここで上方ウェブは光学的観点でも機械的観点でも重要であり、一方、下方ウェブはもっぱら機械的観点で重要である。
【0063】
好ましくは少なくとも1つの結合ウェブは、一次光学エレメントの光出射面と、ないしは一次光学エレメントとワンピースに構成されている。すなわち個々の一次光学エレメントおよび1つまたは複数の結合ウェブが、ただ1つのエレメント、すなわちいわゆる一次光学系を形成する。
【0064】
ウェブおよび一次光学エレメントが互いにワンピースに結合されているか否かに関係なく、一次光学エレメントの光出射面と少なくとも1つの結合ウェブのいずれかとが、共通の光出射面を形成すると有利である。すなわち、これらは共通の平面内にあり、好ましくは中断無しで、すなわち切れ目無しに互いに結合されている。
【0065】
最適の光学的効果を達成するために、少なくとも1つの結合ウェブは垂直方向で上方/下方に、ある程度の規定の高さに亘り、一次光学エレメントの光出射面を超えて伸張している。
【0066】
上記の意味で、少なくとも1つの結合ウェブは水平方向で側方にある程度の長さに亘り、一次光学系の光出射面を超えて伸張もしている。
【0067】
さらに、少なくとも1つの結合ウェブが水平方向に光源の方向で後方に伸張し、ある程度の広がりに亘って一次光学系と結合されていると合目的的である。
【0068】
1つまたは複数の結合ウェブの構成、とりわけ1つまたは複数の結合ウェブの後方への広がりは、一方では光像の均一性に作用し、他方では光分布における極大の低減に結び付く。すなわち、より均一な光像が選択されるにつれ、極大がより強く低減される。
【0069】
したがって所望の効果に応じて、少なくとも1つの結合ウェブの下方/上方への広がり、および/または少なくとも1つの結合ウェブの、一次光学エレメントの光出射面を側方に超える拡張広がり、および/または少なくとも1つの結合ウェブの水平方向で下方への広がり、とりわけ少なくとも1つの結合ウェブが一次光学エレメントと結合されている広がりは、所望の程度の光像の均一性、および光分布における所望の程度の極大の低減が得られるように選択される。
【0070】
前照灯ではさらに下に説明するように複数のLED光源モジュールが使用される。ここでは基本的に、これらのLED光源モジュールは、可能である限り同じ構造を有し、とりわけこれらは同じ一次光学エレメントないし一次光学系(=1つまたは2つのウェブと結合された一次光学エレメント)をも有する。しかし主に光学的理由から、モジュール、とりわけ一次光学系、およびここではとりわけ少なくとも1つの結合ウェブの構成は互いに異なっていても良く、これにより所望の光像への最適の適合を行うことができる。
【0071】
LEDの光は、全反射の結果、一次光学エレメントに伝播する。これにより十分な量の光が光透過領域、すなわち1つまたは複数の結合ウェブに入射することができる。したがって上に述べたように、結合ウェブがある程度の広がりに亘って一次光学系と結合されていると有利である。これは互いに接触する、好ましくは互いに結合され、とりわけワンピースであるという意味である。
【0072】
少なくとも1つの、とりわけ上方の結合ウェブが一次光学エレメントの光入力結合箇所の方向で、たとえば円錐形に先細に構成されていることも光学的に有利であり得る。
【0073】
この構成は、結合ウェブが長方形である場合と比較して、すなわち結合ウェブが先細に構成されていない場合と比較して光学的観点で格段の改善をもたらす。このことはとりわけ、結合ウェブが後方へさらに伸張している場合に当てはまる。さらに円錐形状によって材料を節約することができ、このことはコスト削減につながる。
【0074】
一次光学エレメントがその光入力結合箇所から光出射面に向かって拡張していると、とりわけ有利であり得る。ここでは下方に向かって延在する一次光学エレメントが上方に向かうよりも強く拡張する。
【0075】
一次光学エレメントはたとえば円錐形の形態を有し、エレメントは下方に向かってより強く膨らむ。
【0076】
基本的に比較的任意の形状を、一次光学エレメントの光出射面に対して使用することができる。一次光学エレメントの光出射面が長方形に構成されていると有利であることが判明した。対応の一次光学系は簡単に製造され、一次光学系によって二次光学系を介して形成される光分布のセグメントの重なり合いに関して良好な光学的特性を有する。さらにこのような光出射面により、光分布の水平方向での高さ全体に亘り、切れ目のない均一な光分布を光像中に形成することができる。
【0077】
大概の適用に対しては、全ての光出射面が同じ形態を有すれば十分である。このことは前照灯の見積もりと製造が簡単であるという利点を有し、前照灯のコストを格段に低減する。
【0078】
しかしながら形態の異なる光出射面、たとえば幅(水平方向の広がり)の異なる光出射面を使用することもできる。たとえば光分布のある程度の領域を比較的狭い光出射面により形成することができ、これによりそこでは光像のより微細なセグメント化が行われ、比較的小さな、ないしは比較的狭い領域をフェードアウトすることができる。
【0079】
さらに一次光学エレメントの光出射面が互いに平行に、かつ同じ配向で配置されていると有利である。
【0080】
平行かつ同じ配向によって簡単に、垂直方向にも簡単に、法に則った光像を形成することができる。
【0081】
LED光源モジュールの一次光学エレメントの光出射面が、水平に間隔を置いて並んで配置されていると特に有利である。
【0082】
一方でこのような配置は実際には特段の困難もなく実現できる。他方で光出射面は二次光学系を介して、鮮明に画定されたセグメントを光像中に結像し、これらセグメントの重なり合いが全体光像となる。1つまたは複数のLED光源を遮断することにより、このような配置において規定の領域が光像中で最適にフェードアウトされる。
【0083】
上にすでに述べたように、各LED光源モジュールには二次光学系が割り当てられており、この二次光学系は、一次光学エレメントの光出射面により形成された光セグメントを、前照灯が車両に組み込まれた状態で、車両の前方にある領域に結像する。
【0084】
2つまたはそれ以上のLED光源モジュールにLED光源を本発明により配置することにより、均一の光分布、たとえばハイビーム分布を、個々の光セグメントの相応の水平連結および/または重なり合いによって形成することができる。そして、このような光分布から個別のまたは複数のLED光源を遮断することにより、たとえば対向車両の幻惑を回避するために、光分布のまったく特別の領域を「フェードアウト」すること、すなわち照明しないことができる。
【0085】
たとえば個々の光セグメントを水平方向に直接並べ隣接して配置することができる。過度に急激な移行が発生せず、または光分布中にエッジが観察されないようにするため、付加的にさらに1つまたは複数の別の光セグメントを、光セグメントの互いに隣接するそのような領域に重ね合わせることができる。このことは、後でさらに詳細に議論するように、たとえば2つの光セグメントをフェードアウトすることによって、1つの光セグメントより狭い領域を光分布から「フェードアウト」することができ、ないしは照明しないことができるという利点を有する。
【0086】
具体的な形状では、光出射面は、幅よりも大きな高さをもって垂直方向に起立するように構成されており、たとえば長方形または楕円形等の形状である。
【0087】
比較的大きな高さと比較的小さな幅をもって起立するこの形状によって、光出射面により水平方向に狭い角度領域が照明され、垂直に関しては、この水平方向の角度領域に対して全領域をこの1つの光出射面により照明することができる。
【0088】
LED光源モジュールの一次光学エレメントの隣接する光出射面が、光出射面の幅に相当する標準間隔を互いに有し、好ましくは光出射面の第1の全体構成体がその二次光学系の光軸を基準にして第1の規定位置を取り、第2/第3/第4...第nの全体構成体がそれらの二次光学系の光軸を基準にして、第1の全体構成体と比較して半分/1倍/2倍/4倍/((n−1)/2)倍の標準間隔だけ、LED光源モジュールの隣接する2つの光出射面間でずらされていると特に有利である。
【0089】
この場合、水平方向の縁部領域は別にして、全前照灯の2つの光源のフェードアウトによって、光出射面の幅の半分に相当する鋭い領域をフェードアウトすることのできる構成が得られる。
【0090】
本発明の具体的な信頼性のある実施形態では、3つ以上の一次光学エレメントがある場合、隣接する一次光学エレメントの光出射面間の間隔が同じであり、好ましくは隣接するLED光源の光出射面間の全ての間隔は、前照灯全体を通じて同じである。
【0091】
これにより、同じモジュールを備えた簡単な構造が得られ、この構造により均一な光分布を達成することができる。
【0092】
動的な光分布を形成するための本発明のLED自動車前照灯は、上に述べたように2つまたは複数のLED光源モジュールを含み、好ましくはLED光源モジュールの二次光学エレメントと一次光学エレメントの光出射面の配置とが、個々のLED光源モジュールからの光セグメントが水平方向に互いにずらされて結像されるように互いに整合されている。ここで個々のLED光源は別個に制御可能である。
【0093】
このような前照灯においては、少なくとも1つのシェードエッジの経過が、全てのLED光源モジュールに置いて同じであると特に有利である。とりわけLED光源モジュールごとに2つのシェードエッジがある場合、上方シェードエッジが同じ経過を有し、および/または下方シェードエッジが同じ経過を有する。
【0094】
このことはとりわけ、シェードの簡単な製造、モジュールの組み立ておよび倉庫管理の観点で、大きな利点をもたらす。
【0095】
具体的な変形例では、それぞれ少なくとも1つのシェードエッジが、全体光出射面を基準にして、異なるLED光源モジュールにおいては異なって配置されている。
【0096】
一つの変形例では、LED光源モジュールが1つの水平の列に配置されている。
【0097】
このようにして一次光学系の個々のセグメントが、所望の光分布を車両の前方に形成するために並置され重なり合って結像される。
【0098】
さらにLED光源モジュールの二次光学エレメントの焦点は、LED光源モジュールの一次光学系の全体光出射面により形成される共通の垂直面並びに共通の水平面内にある。
【0099】
さらに最後に、一次光学系のそれぞれの全体光出射面を基準にして、個々のLED光源モジュールの二次光学系の焦点は側方に、すなわち水平方向に互いにずらされて配置されている。
【0100】
ここでは具体的に、二次光学エレメントの焦点は、それぞれ所属の一次光学系の全体光出射面の側方縁部領域内にある。第1の外側LED光源モジュールでは焦点が全体光出射面の縁部に最も接近しており、第2の外側LED光源モジュールの方向に進むにつれ、焦点はこの縁部から離れていく。
【0101】
したがって焦点は縁部から離れていくが、それでもなお焦点は「縁部領域」に留まる。すなわち2つの外側焦点は、おおよそ1つのセグメントの幅の領域内で、すなわち一次光学エレメントの光出射面の幅の領域内で離れて存在する。
【0102】
さらに有利には、車両内側LED光源モジュールでは焦点が一次光学系の全体光出射面の縁部に最も接近しており、車両外側LED光源モジュールでは焦点が所属の一次光学系の全体光出射面の縁部から最も離れている。
【0103】
簡単で安価な前照灯の構造という意味では、個々のLED光源モジュールは同じ二次光学エレメントを有する。
【0104】
好ましくは、隣接するLED光源の光出射面間の全ての間隔は全前照灯を通じて同じである。これにより、基本的に可及的に均一な光分布を達成することのできる同じモジュールを備える簡単な構造が得られる。
【0105】
「均一」とは、照明される領域に亘って光像がどこでも同じ明るさであるという意味ではなく、明るさの異なる領域間の移行が光像中で連続的であり、明瞭な移行が発生しないという意味であることをここで簡単に述べておく。光像全体に「むら」があってはならず、明るい領域から暗い領域へ流れるように移行すべきである。
【0106】
本発明により、光像をさらに付加的に格段に改善することができる。
【0107】
ここでさらに具体的には、LED光源モジュールの光出射面の全体構成体は、二次光学エレメントの光軸を基準にして水平方向に規定の位置を取り、個々のLED光源モジュールの全体構成体が異なれば、それぞれ割り当てられた二次光学エレメントの光軸を基準にして水平方向に互いに異なる規定の位置を有する。
【0108】
前照灯の全てのLED光源モジュールの光出射面を、これらにそれぞれ割り当てられた二次光学系の光軸を通る垂直面の側にそれぞれ配置することができる。
【0109】
さらに前照灯の全ての光出射面のちょうど1つの光出射面が、それに割り当てられた二次光学系の光軸と交差するようにすることができる。
【0110】
ここではLED光源が、水平に重なり合って配置された少なくとも2つの発光ダイオードを含み、これらの発光ダイオードは互いに独立して制御可能である。ここで少なくとも2つの発光ダイオードのそれぞれは、一次光学エレメントの光出射面を介して、水平な光セグメントとして一次光学エレメントにより結像される垂直方向の光セグメント内に結像される。
【0111】
好ましくはLED光源の各発光ダイオードは別個に制御可能である。
【0112】
上記のような2つの前照灯を備える本発明の車両前照灯システムでは、車両に組み込まれた状態で左の前照灯が道路上に光分布の左部分を、右の前照灯が光分布の右部分を形成し、好ましくは少なくとも各LED光源、好ましくは2つの前照灯の各発光ダイオードは別個に制御可能である。
【0113】
とりわけ左右の前照灯は、割り当てられた一次光学系を基準にする、二次光学系の焦点の配置に関し、およびシェードエッジの経過に関し鏡像的な構造を有する。
【0114】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。