特許第5768996号(P5768996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5768996
(24)【登録日】2015年7月3日
(45)【発行日】2015年8月26日
(54)【発明の名称】燃料電池システム配管構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20060101AFI20150806BHJP
   H01M 8/00 20060101ALI20150806BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/04 J
   H01M8/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-18353(P2011-18353)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-160299(P2012-160299A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和伸
【審査官】 上野 力
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−332163(JP,A)
【文献】 特開2008−027855(JP,A)
【文献】 実開平06−035781(JP,U)
【文献】 特開2002−216828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
H01M 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード流体が供給されるアノードとカソード流体が供給されるカソードとを有する燃料電池と、前記燃料電池が発生した排熱で加熱された熱媒体が通過する熱交換器と、前記熱交換器を流れる前記熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる貯湯通路とをもつ燃料電池システム配管構造であって、
前記燃料電池および前記貯湯通路を収容する筐体と、
前記筐体にこれの側壁部から横外方に向けて突出するように設けられ、前記貯湯槽または給水源から供給された水を受ける貯湯通路の入口となる入口ポートをもつ入口配管接続部と、
前記筐体のうち前記入口配管接続部が設けられている前記側壁部から横外方に向けて突出するように且つ前記入口配管接続部と縦方向において並設するように設けられ、前記貯湯通路の出口となる出口ポートをもつ出口配管接続部とを具備しており、
前記入口配管接続部および前記出口配管接続部は、
縦方向に沿って延設されていると共に鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜し、且つ、工具の二面幅部が嵌合する互いに平行で、前記入口配管接続部および前記出口配管接続部の中心線に対して非回転構造の二面幅部を備え、前記二面幅部は、該中心線を垂直に通過する断面において、前記螺子部よりも外方に突出していることを特徴とする燃料電池システム配管構造。
【請求項2】
請求項1において、前記筐体のうち前記入口配管接続部および前記出口配管接続部が並設されている前記側壁部には、システムで発生した排水を排出させる排水ドレンポートをもつドレン配管接続部が前記側壁部から横外方に向けて突出するように設けられており、
前記入口配管接続部の前記二面幅部および前記出口配管接続部の前記二面幅部はそれぞれ、前記二面幅部に嵌合する前記工具が前記ドレン配管接続部に干渉しないように、前記ドレン配管接続部の先端よりも前記横外方に突出していることを特徴とする燃料電池システム配管構造。
【請求項3】
請求項1〜のうちの一項において、前記筐体のうち前記入口配管接続部および前記出口配管接続部が並設されている前記側壁部は、前記入口配管接続部および前記出口配管接続部が並設されている第1領域と、電気配線が通過する複数の電気配線ポートをもつ配線接続部が設けられている第2領域とに左右に区分けされていることを特徴とする燃料電池システム配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯槽に繋がる貯湯通路をもつ燃料電池システム配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、アノード流体が供給されるアノードとカソード流体が供給されるカソードとを有する燃料電池と、燃料電池が発生した排熱で加熱された熱媒体が通過する熱交換器と、熱交換器の熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる貯湯通路とをもつ。燃料電池システムの筐体は、燃料電池および貯湯通路を収容する筐体と、筐体の側壁部から横外方に向けて突出するように設けられた入口配管接続部と、筐体の側壁部から横外方に向けて突出するように設けられた出口配管接続部とを有する。入口配管接続部および出口配管接続部には、貯湯槽からの配管をそれぞれ接続させる必要がある。
【0003】
特許文献1によれば、給湯器等のワンタッチジョイントを持つ機器の配管の出入りポートにて、調整弁等が取り付けられた部品の位置決めをするために、配管端末形状を加工し、かつ、調整弁等が取り付けられた部品側にも爪を設け、爪を利用して回転方向の位置決めと継手のワンタッチ機構とを両立したヘッダーが開示されている。
【0004】
また特許文献2によれば、住宅の室内等に施工される配管としてフレキシブル管が設けられた場合に、フレキシブル配管を室内側に引き出すことと、引き出したフレキシブル配管の部分を所定の位置に戻して、端末を固定する作業が室内側から容易に行えるように、楔状の爪を有する固定具を設ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-84682号公報
【特許文献2】特開1995-233543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、燃料電池システムは集合住宅等の狭い空間に設置すること等を目的として、システムの小型化が益々進行している。このため入口配管接続部および出口配管接続部は、互いに距離的に接近して筐体のうちの同一の側壁部に設けることが行われている。ここで、入口配管接続部を相手配管に接続させたり、あるいは、出口配管接続部を相手配管に接続させたりするには、スパナ等の工具を用い、入口配管接続部や出口配管接続部の螺子部に締結トルクをかける必要がある。この場合、締結強度を確保すべく、大きな締結トルクをかける必要があり、スパナ等の工具が必然的に大型化してしまう。大型化した工具は、入口配管接続部や出口配管接続部に干渉し易くなる。例えば、スパナ等の工具を入口配管接続部にあてがって操作しているときには、工具が出口配管接続部に干渉するおそれがある。また、スパナ等の工具を出口配管接続部にあてがって操作しているときには、工具が入口配管接続部に干渉するおそれがある。このため、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性が、近年、特に要請されている。上記した特許文献1,2に係る技術によれば、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性については、必ずしも容易ではない。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性を改善させるのに有利な燃料電池システム配管構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)様相1の本発明に係る燃料電池システム配管構造は、アノード流体が供給されるアノードとカソード流体が供給されるカソードとを有する燃料電池と、燃料電池が発生した排熱で加熱された熱媒体が通過する熱交換器と、熱交換器の熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる貯湯通路とをもつ燃料電池システム配管構造であって、
燃料電池および貯湯通路を収容する筐体と、
筐体にこれの側壁部から横外方に向けて突出するように設けられ、貯湯槽または給水源から供給された水を受けると共に貯湯通路の入口となる入口ポートをもつ入口配管接続部と、
筐体のうち入口配管接続部が設けられている側壁部から横外方に向けて突出するように且つ入口配管接続部と縦方向において並設するように設けられ、貯湯通路の出口となる出口ポートをもつ出口配管接続部とを具備しており、
入口配管接続部および出口配管接続部は、
縦方向に沿って延設されていると共に鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜し、且つ、工具の二面幅部が嵌合する互いに平行で、入口配管接続部および出口配管接続部の中心線に対して非回転構造の二面幅部を備え、二面幅部は、中心線を垂直に通過する断面において、螺子部よりも外方に突出していることを特徴とする。
【0009】
入口配管接続部は、貯湯槽または給水源(例えば水道管等)から供給された水を受ける貯湯通路の入口となる入口ポートをもつ。入口配管接続部は、筐体の側壁部から横外方に向けて突出するように設けられている。出口配管接続部は、貯湯通路の出口となる出口ポートをもつ。出口配管接続部は、筐体のうち入口配管接続部が設けられている側壁部から横外方に向けて突出するように設けられている。コンパクト化や意匠性等を考慮し、出口配管接続部および入口配管接続部は縦方向において互いに接近しつつ並設されている。
【0010】
入口配管接続部および出口配管接続部の双方は、工具の二面幅部が嵌合する互いに平行な二面幅部を備えている。この二面幅部は、工具の二面幅部を嵌合させると共に、縦方向に沿って延設されている。入口配管接続部に二面幅部が設けられていない場合には、入口配管接続部が固定されている筐体側の本体が、ネジ締め時の締結トルクで、変形や曲がり等の損傷を受ける可能性がある。またシステムの移設時において入口配管接続部のネジを緩める行為を行った場合には、ネジの錆びつき等による固着で、大きなトルクが必要となる可能性がある。このように大きなトルクが必要となる場合には、筐体側の本体が破損するおそれがあるため、入口配管接続部の二面幅部により本体の破損を防ぐことができる。筐体側の本体が破損しない程度の強度を確保すると、入口配管接続部が固定されている本体部の強度を確保させるため、本体部が過剰に厚肉化し、必要以上の重量アップとなる。入口配管接続部の二面幅部はこのような不具合を抑える。出口配管接続部の二面幅部も同様な役割を果たす。
ここで、上記したように出口配管接続部および入口配管接続部は、縦方向において接近しつつ並設されている。このため、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの下側のものの二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をするとき、スパナ等の工具が出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものに干渉するおそれがある。
【0011】
そこで、入口配管接続部の二面幅部と出口配管接続部の二面幅部とは、鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。このため、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの下側のものの二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具の柄の向きはθ=0の場合と比べて、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものからスパナ等の工具の柄が遠ざかるように角度θ回転して配置され、スパナ等の工具の柄を出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものら遠ざけることが可能となる。従って、スパナ等の工具の柄が、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものに干渉する不具合が軽減される。よって、大型化されたスパナ等の工具であっても、側壁部において工具を容易に使用でき、作業性を改善させるのに有利となる。
さらに、二面幅部は、中心線を垂直に通過する断面において、螺子部よりも外方に突出しているが、スパナ等の工具が入口配管接続部の二面幅部、または、出口配管接続部の二面幅部に嵌合するとき、スパナ等の工具が螺子部に当たることが抑制され、螺子部の保護性を高め、螺子部の損傷を抑制させるのに有利である。
【0012】
(2)様相2の本発明に係る燃料電池システム配管構造によれば、上記様相において、筐体のうち入口配管接続部および出口配管接続部が並設されている前記側壁部には、システムで発生した排水を排出させる排水ドレンポートをもつドレン配管接続部が側壁部から横外方に向けて突出するように設けられており、
入口配管接続部の二面幅部および出口配管接続部の二面幅部はそれぞれ、二面幅部に嵌合する工具がドレン配管接続部に干渉しないように、ドレン配管接続部の先端よりも横外方に突出していることを特徴とする。ここで、入口配管接続部の二面幅部および出口配管接続部の二面幅部はそれぞれ、ドレン配管接続部の先端よりも横外方に突出している。このため、入口配管接続部の二面幅部、または、出口配管接続部の二面幅部に嵌合する工具がドレン配管接続部に干渉することは、抑制される。この結果、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの一方の二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具がドレン配管接続部に干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性を改善させるのに有利となる。
【0014】
)様相の本発明に係る燃料電池システム配管構造によれば、上記様相において、筐体のうち入口配管接続部および出口配管接続部が並設されている側壁部は、入口配管接続部および出口配管接続部が並設されている第1領域と、電気配線が通過する複数の電気配線ポートをもつ配線接続部が設けられている第2領域とに左右に区分けされていることを特徴とする。第1領域には、入口配管接続部および出口配管接続部が並設されている。このため第1領域において入口配管接続部および出口配管接続部が接近しつつ縦方向において並設されている。この場合、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの下側のものの二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具が出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものに干渉するおそれが高くなる。
入口配管接続部に二面幅部が設けられていない場合には、入口配管接続部が固定されている筐体側の本体が、ネジ締め時の締結トルクで、変形や曲がり等の損傷を受ける可能性がある。またシステムの移設時において入口配管接続部のネジを緩める行為を行った場合には、ネジの錆びつき等による固着で、大きなトルクが必要となる可能性がある。このように大きなトルクが必要となる場合には、筐体側の本体が破損するおそれがあるため、入口配管接続部の二面幅部により本体の破損を防ぐことができる。筐体側の本体が破損しない程度の強度を確保すると、入口配管接続部が固定されている本体部の強度を確保させるため、本体部が過剰に厚肉化し、必要以上の重量アップとなる。入口配管接続部の二面幅部はこのような不具合を抑える。出口配管接続部の二面幅部も同様な役割を果たす。
【0015】
そこで、入口配管接続部の二面幅部と出口配管接続部の二面幅部とは、鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。このため、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの下側のものの二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具の柄の向きはθ=0の場合と比て、出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものからスパナ等の工具の柄が遠ざかるように角度θ回転して配置され、スパナ等の工具の柄が出口配管接続部および入口配管接続部のうちの上側のものに干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性を改善させるのに有利となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、縦方向において並設されている出口配管接続部および入口配管接続部のうちの下側のものの二面幅部にスパナ等の工具の二面幅部を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具が出口配管接続部および入口配管接続部のうちの他方に干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具を容易に使用できる作業性を改善させるのに有利となる。
【0017】
入口配管接続部に二面幅部が設けられていない場合には、入口配管接続部が固定されている筐体側の本体が、ネジ締め時の締結トルクで、変形や曲がり等の損傷を受ける可能性がある。またシステムの移設時において入口配管接続部のネジを緩める行為を行った場合には、ネジの錆びつき等による固着で、大きなトルクが必要となる可能性がある。このように大きなトルクが必要となる場合には、筐体側の本体が破損するおそれがあるため、入口配管接続部の二面幅部により本体の破損を防ぐことができる。筐体側の本体が破損しない程度の強度を確保すると、入口配管接続部が固定されている本体部の強度を確保させるため、本体部が過剰に厚肉化し、必要以上の重量アップとなる。入口配管接続部の二面幅部はこのような不具合を抑える。出口配管接続部の二面幅部も同様な役割を果たす。
【0018】
入口配管接続部の二面幅部と出口配管接続部の二面幅部とは、鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。角度θは大きくないので、外部から視認者が入口配管接続部の二面幅部と出口配管接続部を肉眼で視認するときであっても、視認者に特に違和感を発生させず、入口配管接続部および出口配管接続部に関する意匠の面でも支障がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】筐体のうち出口配管接続部および入口配管接続部が設けられている側壁部を視認する側面図である。
図2】出口配管接続部および入口配管接続部が設けられている側壁部をもつ筐体を視認する斜視図である。
図3】(A)(B)は、筐体のうち出口配管接続部および入口配管接続部を視認する斜視図である。
図4】筐体の側壁部に設けられている入口配管接続部の二面幅部に工具の二面幅を嵌合している状態を示す側面図である。
図5】筐体の側壁部に設けられている出口配管接続部の二面幅部に工具の二面幅を嵌合している状態を示す側面図である。
図6】筐体の側壁部に設けられている入口配管接続部の二面幅部に工具の二面幅を嵌合している状態を異なる方向から示す別の側面図である。
図7】他の実施形態2に係り、筐体のうち出口配管接続部および入口配管接続部が設けられている側壁部を視認する側面図である。
図8】適用形態に係り、燃料電池システムを模式的に示すシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によれば、燃料電池は、アノード流体(例えば水素含有ガスまたは水素ガス)が供給される燃料極と言われるアノードと、カソード流体(例えば酸素含有ガスまたは酸素ガス)が供給される酸化剤極と言われるカソードとを有する。熱交換器は、燃料電池が発生した排熱で加熱された熱媒体(例えば燃料電池から排出された高温の排気ガス)が通過するものである。貯湯通路は筐体の内部に設けられており、熱交換器を流れる熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる通路である。筐体は、少なくとも燃料電池および貯湯通路を収容するケースである。貯湯槽は一般的には筐体の外部に設けられている。
【0021】
入口配管接続部は、筐体の側壁部から横外方に向けて突出するように設けられており、貯湯槽または給水源(水道源等)から供給された水を受ける入口ポートをもつ。入口ポートは、貯湯通路の入口となる。出口配管接続部は、筐体のうち入口配管接続部が設けられている側壁部から横外方に向けて突出するように、且つ、入口配管接続部と縦方向において並設するように設けられており、出口ポートをもつ。出口ポートは貯湯通路の出口となる。
【0022】
入口配管接続部および前記出口配管接続部は、縦方向に沿って延設されていると共に鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜し、且つ、互いに平行な二面幅部を備えている。この二面幅部は、スパナ等の工具の二面幅部が嵌合可能とされている。角度θの上限値としては15°、13°、11°、9°等が例示される。上限値と組み合わせ得る角度θの下限値としては2°、3°、4°等が例示される。
【0023】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。燃料電池システム配管構造は、燃料電池201と、燃料電池201が発生した排熱で加熱された熱媒体(例えば燃料電池から排出される高温の排ガスまたは冷却液)が通過する熱交換器202と、熱交換器202の熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる貯湯通路203とを少なくとも備える。貯湯通路203には、貯湯通路203の水を搬送させる水搬送源として機能するポンプ79が設けられている。燃料電池201は、ガス状または液状のアノード流体が供給されるアノード210と、ガス状または液状のカソード流体が供給されるカソード211とを有する。燃料電池201は特に限定されず、固体酸化物形燃料電池でも良いし、固体高分子型燃料電池も良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良い。また、本実施形態を、燃料電池以外のシステム、例えば、ガスエンジンコージェネレーションに適用しても良い。
【0024】
筐体5は、燃料電池201、貯湯通路203およびポンプ79を収容する収容室59をもつ。図2に示すように、筐体5は、第1側壁部511、第2側壁部515、背面壁部512(第3側壁部)、天井壁部513、底壁部514をもつ筐体本体510と、筐体本体510の正面開口に着脱可能に取り付けられている蓋パネル520(第4側壁部)とを有する。蓋パネル520は正面に位置しており、背面壁部512に対向するようにほぼ平行に配置されており、吸気口として機能するグリル521を有する。蓋パネル520および背面壁部512は、互いにほぼ平行に配置されており、互いに対向する。第1側壁部511および第2側壁部515は、互いにほぼ平行に配置されており、互いに対向する。
【0025】
図2に示すように、入口配管接続部300は、筐体5の第1側壁部511から横外方(矢印E1方向)に向けて突出するように筐体5に設けられており、貯湯通路203に連通しており、貯湯通路203の入口となる入口ポート301をもつ。入口ポート301は、図略の貯湯槽から供給された水を受けて入水させる。
【0026】
図2に示すように、出口配管接続部400は、筐体5の第1側壁部511から横外方(矢印E1方向)に向けて突出するように筐体5に設けられている。出口配管接続部400は、入口配管接続部300に対して縦方向(矢印Y方向)において並設されており、貯湯通路203に連通されている。ここで、空気抜き等の操作を必要とするポンプ79は筐体5の底側に位置するように貯湯通路203に設けられている関係上、貯湯通路203に繋がる入口配管接続部300および出口配管接続部400は、筐体5の第1側壁部511のうち相対的に下側に配置されている。なお図2から理解できるように出口配管接続部400および入口配管接続部300は、筐体5の高さ寸法HBの高さ方向の中間点よりも下方に集中的に配置されている。
【0027】
出口配管接続部400および入口配管接続部300は、共通する第1側壁部511に形成されており、入口配管接続部300は相対的に下側に位置し、出口配管接続部400は相対的に上側に位置する。このように出口配管接続部400および入口配管接続部300は、共通する第1側壁部511において、鉛直線P1が延びる方向において互いに接近しつつ上下に並設されている(図1参照)。これによりデザイン性が確保されている。出口配管接続部400は出口ポート401をもつ。出口ポート401は貯湯通路203の出口となり、貯湯通路203で加熱させた暖かい水を貯湯槽(図略)に向けて吐出させる。
【0028】
筐体5のうち入口配管接続部300および出口配管接続部400の双方が並設されている第1側壁部511(共通側壁部)は、第1領域524と第2領域522とに左右に区分けされている。第1領域524には、入口配管接続部300、出口配管接続部400が並設され、更に後述するドレン配管接続部600および燃料配管接続部630が並設されている。図1に示すように、第2領域522の下部には、電気配線や通信配線が通過する複数の電気配線ポート641a〜641dをもつ配線配管接続部640a〜640dが設けられている。図1に示すように、筐体5の収容室において第1領域524に対面する領域には、燃料電池201が内蔵されている。筐体5の収容室において第2領域522に対面する領域には、ブレーカ208が内蔵されている。
【0029】
図3(A)(B)に示すように、入口配管接続部300は、スパナ等の工具の二面幅部が嵌合する互いに平行な二面幅部302を備えている。二面幅部302は、互いに対向する二つの面302a,302bがほぼ平行に所定距離延設されている係合部を意味する。入口配管接続部300の二面幅部302の全体は、縦方向(矢印Y方向)に沿って延設されていると共に、重力作用方向としての機能する鉛直線P1が延びる方向に対して角度θで傾斜している。
【0030】
図3(A)(B)に示すように、出口配管接続部400は、スパナ等の工具の二面幅部が嵌合する互いに平行な二面幅部402を備えている。二面幅部402は、互いに対向する二つの面402a,402bがほぼ平行に所定距離延設されている係合部を意味する。同様に、出口配管接続部400の二面幅部402は、縦方向(矢印Y方向)に沿って延設されていると共に、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θで同じ方向に傾斜している。θは2〜15°の範囲の任意値、3〜10°の範囲の任意値、3〜8°の範囲の任意値にできる。特に、4〜6°(5°)の範囲内の任意値にできる。このように入口配管接続部300および出口配管接続部400には二面幅部302,402が、鉛直線P1の延びる方向に対して角度θで傾斜して設けられている。なお、二面幅部302,402は中心軸線P5に対して非回転構造とされている。
【0031】
本実施形態によれば、図1から理解できるように、二面幅部302,402の上端302u,402uは、背面壁部512(第3側壁部)から遠ざかり、筐体5の蓋パネル520(第4側壁部)に指向するように傾斜しており、換言すると第2領域522に指向するように傾斜している。これに対して、図1に示すように、二面幅部302,402の下端302d,402dは、背面壁部512(第3側壁部)に近づき、蓋パネル520(第4側壁部)から遠ざかるように指向するように、換言すると筐体5の背面壁部512(第3側壁部)に指向するように傾斜している。
【0032】
図2に示すように、筐体5のうち入口配管接続部300および出口配管接続部400が縦方向(矢印Y方向)に並設されている第1側壁部511には、ドレン配管接続部600が第1側壁部511から横外方(矢印E1方向)に向けて突出するように設けられている。ドレン配管接続部600は、燃料電池システムで発生した排水を排出させる排水ドレンポート601をもつ。排水ドレンポート601は図略のドレン配管を介してドレン部に繋がる。排水ドレンポート601は、縦方向(矢印Y方向)において入口ポート301と出口ポート401との間に位置している。
【0033】
更に、図2に示すように、筐体5のうち入口配管接続部300および出口配管接続部400が縦方向に並設されている第1側壁部511の上部には、燃料導入ポート631をもつ燃料導入配管630が第1側壁部511から横外方(矢印E1方向)に向けて突出するように設けられている。燃料導入ポート631は、燃料電池201に近づくように筐体5の収容室において比較的上側に配置されており、この結果、第1側壁部511において排水ドレンポート601、入口ポート301、出口ポート401よりも上方向に配置されており、都市ガス等の燃料源に図略の燃料配管を介して繋がる。
【0034】
ここで、図1に示すように、上記したように出口配管接続部400および入口配管接続部300は、鉛直線P1が延びる方向において並設されており、つまり、縦方向(矢印Y方向)において上下に並設されている。ここで、貯湯槽からの相手配管を入口配管接続部300に接続させるにあたり、図4から理解できるように、入口配管接続部300の二面幅部302にスパナ等の工具700の二面幅部702を嵌合固定させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具700の柄705が、入口配管接続部300の上方の出口配管接続部400に接近して干渉するおそれがある。特に、出口配管接続部400および入口配管接続部300は、縦方向(矢印Y方向)において接近しつつ並設されているため、上記干渉が発生し易い。
【0035】
そこで本実施形態によれば、前述したように入口配管接続部300の二面幅部302は、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。このため、図4に示すように、入口配管接続部300の二面幅部302に、スパナ等の工具700の二面幅部702を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具の柄の向きはθ=0の場合と比べて、出口配管接続部400からスパナ等の工具の柄が遠ざかるように角度θ回転して配置され、スパナ等の工具の柄を出口配管接続部400から遠ざけることが可能となり、スパナ等の工具700の柄705を、入口配管接続部300よりも上側の出口配管接続部400に対して距離L1離間させることができ、スパナ等の工具700の柄705が出口配管接続部400に干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具700を容易に入口配管接続部300に使用でき、作業性を改善させるのに有利となる。この場合、スパナ等の工具700を入口配管接続部300に嵌合させた位置にほぼ固定したままの状態で、相手配管に相手工具750を嵌合して相手配管をこれの軸線周りで回転させることが好ましい。なお、背面壁部512側には建築物の壁が接近することが多いため、スパナ等の工具700の柄705が上側になり、二面幅部702をもつ機構部703が下側となるように、スパナ等の工具700は天井壁部512の側から下向きに降ろされて操作される。
【0036】
また、図5に示すように、上記したように出口配管接続部400および入口配管接続部300は、縦方向(矢印Y方向)において接近しつつ並設されている。このため、図5から理解できるように、出口配管接続部400の二面幅部402にスパナ等の工具700の二面幅部702を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具700の柄705が、出口配管接続部400よりも上側の燃料配管接続部630に接近して干渉するおそれがある。特に、出口配管接続部400および燃料配管接続部630は、縦方向(矢印Y方向)において接近しつつ並設されているため、干渉が発生し易い。
【0037】
そこで本実施形態によれば、前述したように出口配管接続部400の二面幅部402は、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。このため、図5に示すように、出口配管接続部400の二面幅部402に、スパナ等の工具700の二面幅部702を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具の柄の向きはθ=0の場合と比べて、燃料配管接続部630からスパナ等の工具の柄が遠ざかるように角度θ回転して配置され、スパナ等の工具の柄を燃料配管接続部630から遠ざけることが可能となり、スパナ等の工具700の柄705を、入口配管接続部300よりも上側の燃料配管接続部630に対して距離L2(図5参照)で離間させることができる。このため、スパナ等の工具700の柄705が、出口配管接続部400の上方の燃料配管接続部630に干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具700を出口配管接続部400に対して容易に使用でき、作業性を改善させるのに有利となる。この場合、スパナ等の工具700を出口配管接続部400に嵌合させた位置にほぼ固定したままの状態で、相手配管に相手工具750を嵌合して相手配管をこれの軸線周りで回転させることが好ましい。
【0038】
入口配管接続部300および出口配管接続部400に接近するように、入口配管接続部300と出口配管接続部400との間には、ドレン配管接続部600が位置している。この場合、図4に示すように、スパナ等の工具700を入口配管接続部300にあてがい操作するとき、スパナ等の工具700がドレン配管接続部600に干渉するおそれがある。この点について本実施形態によれば、図6に示すように、入口配管接続部300の二面幅部302および出口配管接続部400の二面幅部402はそれぞれ、ドレン配管接続部600の先端600eよりも横外方(矢印E1方向)に突出している。この結果、入口配管接続部300の二面幅部302、または、出口配管接続部400の二面幅部402に嵌合する工具700がドレン配管接続部600に干渉することが抑制されている。この結果、図6に示すように、出口配管接続部400および入口配管接続部300のうちの一方の二面幅部302にスパナ等の工具700の二面幅部302を嵌合させて配管接続作業をする場合、スパナ等の工具700がドレン配管接続部600に干渉することが軽減される。従って、スパナ等の工具700を出口配管接続部400および入口配管接続部300に対して一層容易に使用できる作業性を改善させるのに有利となる。
【0039】
加えて本実施形態によれば、入口配管接続部300および出口配管接続部400の双方は、雄螺子に相当する螺子部309,409を有する(図3参照)。ここで、入口配管接続部300の二面幅部302および出口配管接続部400の二面幅部302は、入口配管接続部300および出口配管接続部400の中心軸線P5を垂直に通過する断面において、螺子部309,409よりも径外方に突出している。この結果、スパナ等の工具700が入口配管接続部300の二面幅部302、または、出口配管接続部400の二面幅部402に嵌合するとき、スパナ等の工具700が螺子部309,409に当たることが抑制される。よって螺子部309,409の損傷が抑制され、螺子部309,409の保護性を高めるのに有利である。スパナ等の工具700が多少斜めに傾斜しているときであっても、スパナ等の工具700が螺子部309,409に当たることが抑制され、よって螺子部309,409の損傷が抑制され、螺子部309,409の保護性を高めるのに有利である。
【0040】
本実施形態によれば、入口配管接続部300の二面幅部302と出口配管接続部400の二面幅部402とは、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。角度θは大きくないので、外部から視認者が入口配管接続部300の二面幅部302と出口配管接続部400の二面幅部402を肉眼で視認するときであっても、視認者に特に違和感を発生させず、入口配管接続部300および出口配管接続部400に関する意匠の面でも別段支障がない。
【0041】
入口配管接続部300に二面幅部302が設けられていない場合には、入口配管接続部300が固定されている筐体5側の本体(例えば第1領域524)が、ネジ締め時の締結トルクで、変形や曲がり等の損傷を受ける可能性がある。またシステムの移設時において入口配管接続部300のネジを緩める行為を行った場合には、ネジの錆びつき等による固着で、大きなトルクが必要となる可能性がある。このように大きなトルクが必要となる場合には、筐体5側の本体(例えば第1領域524)が破損するおそれがあるため、入口配管接続部300の二面幅部302により筐体5側の本体の破損を防ぐことができる。筐体5側の本体が破損しない程度の強度を確保すると、入口配管接続部300が固定されている本体の強度を確保させるため、本体が過剰に厚肉化し、必要以上の重量アップとなる。入口配管接続部300の二面幅部302はこのような不具合を抑える。出口配管接続部400の二面幅部402も同様な役割を果たす。
【0042】
(実施形態2)
図7は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。以下、異なる部分を中心として説明する。図7に示すように、入口配管接続部300の二面幅部302は、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ1(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。出口配管接続部400の二面幅部402は、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ2(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。角度θ1>角度θ2とされている。このため入口配管接続部300と出口配管接続部400との識別が可能となる。あるいは、角度θ2>角度θ1とされていても良い。例えばθ1/θ2=0.5〜7の範囲内に設定できる。
【0043】
(実施形態3)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏するため、図3を準用する。以下、異なる部分を中心として説明する。図示しないものの、入口配管接続部300および出口配管接続部400から、ドレン配管接続部600はかなり離間している。あるいは、入口配管接続部300および出口配管接続部400が設けられている第1側壁部511とは異なる壁部に、ドレン配管接続部600が設けられている。このため、スパナ等の工具700を入口配管接続部300の二面幅部302および出口配管接続部400の二面幅部402に嵌合させて操作するときであっても、スパナ等の工具700の柄705等がドレン配管接続部600に干渉するおそれが回避される。このため本実施形態によれば、図示しないもの、入口配管接続部300の二面幅部302および出口配管接続部400の二面幅部402は、ドレン配管接続部600の先端600eと同程度の距離、横外方(矢印E1方向)に突出している。場合によっては、ドレン配管接続部600の先端600eは、入口配管接続部300の二面幅部302および出口配管接続部400の二面幅部402よりも横外方(矢印E1方向)に突出していても良い。
【0044】
(実施形態4)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏するため、図3を準用できる。以下、異なる部分を中心として説明する。実施形態1によれば、筐体5の第1側壁部511において、入口配管接続部300は相対的に下側に位置し、出口配管接続部400は相対的に上側に位置する。しかしながら本実施形態によれば、特に図示しないものの、上下関係を逆とし、筐体5の第1側壁部511において、入口配管接続部300は相対的に上側に位置し、出口配管接続部400は相対的に下側に位置する。本実施形態においても、前述したように入口配管接続部300の二面幅部302と、出口配管接続部400の二面幅部402は、鉛直線P1が延びる方向に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜している。このため、実施形態1と同様に、スパナ等の工具700の柄705が配管接続部に干渉することが軽減される。
【0045】
(実施形態5)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。以下、異なる部分を中心として説明する。実施形態1によれば、出口配管接続部400および入口配管接続部300は、共通する第1側壁部511において、鉛直線P1が延びる方向上において並設されている(図1参照)。しかし本実施形態によれば、出口配管接続部400および入口配管接続部300は、共通する第1側壁部511において鉛直線P1上には無く、鉛直線P1が延びる方向にも並設せず、鉛直線P1が延びる方向に沿って上下に並設されている。
【0046】
(適用形態)
図8は適用形態の概念を示す。図8に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1と、液相状の水を蒸発させて水蒸気を生成させる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気を用いて燃料を改質させてアノード流体を形成する改質部3と、蒸発部2に供給される液相状の水を溜めるタンク4と、これらを収容する筐体5とを有する。燃料電池1は、イオン伝導体を挟むアノード10とカソード11とをもち、例えば、SOFCとも呼ばれる固体酸化物形燃料電池(運転温度:例えば400℃以上)を適用できる。アノード10側から排出されたアノード排ガスはアノード排ガス路103を介して、燃焼部105に供給される。カソード11側から排出されたカソード排ガスはカソード排ガス路104を介して、燃焼部105に供給される。燃焼部105は前記アノード排ガスとカソード排ガスとを燃焼させ蒸発部2と改質部3を加熱させる。燃焼部105には燃焼排ガス路75が設けられ、燃焼部105における燃焼後のガスおよび、未燃焼のガスを含む燃焼排ガスが燃焼排ガス路75を介して大気中に放出される。改質部3は、セラミックス等の担体に改質触媒を担持させて形成されており、蒸発部2に隣設されている。改質部3および蒸発部2は改質器2Aを構成しており、燃料電池1と共に断熱壁19で包囲され、発電モジュール18を形成している。改質部3の内部には、改質部3の温度を検知する温度センサ33が設けられている。燃焼部105の内部には、燃料を着火させるヒータである着火部35が設けられている。着火部35は燃焼部105の燃料に着火できるものであれば何でも良い。温度センサ33の信号は制御部100に入力される。制御部100は着火部35を作動させて燃焼部105を着火させて高温化させる。運転時には、改質器2Aは改質反応に適するように断熱壁19内において加熱される。運転時には、蒸発部2は水を加熱させて水蒸気とさせ得るように加熱される。燃料電池1がSOFCタイプの場合には、アノード10側から排出されたアノード排ガスとカソード11側から排出されたカソード排ガスが燃焼部105で燃焼するため改質部3および蒸発部2は同時に加熱される。燃料通路6は、燃料源63からの燃料を改質器2Aに供給させるものであり、燃料ポンプ60および脱硫器62をもつ。燃料電池1のカソード11には、カソード流体(空気)をカソード11に供給させるためのカソード流体通路70が繋がれている。カソード流体通路70には、カソード流体搬送用の搬送源として機能するカソードポンプ71が設けられている。
【0047】
図8に示すように、筐体5は、外気に連通する吸気口50と排気口51とをもち、吸気口50に対向する外気温度測定用の温度センサ57と、更に、第1室である上室空間52と、第2室である下室空間53とをもつ。燃料電池1は、改質部3および蒸発部2と共に、筐体5の上側つまり上室空間52に収容されている。筐体5の下室空間53には、改質部3で改質される液相状の水を溜めるタンク4が収容されている。タンク4には、電気ヒータ等の加熱機能をもつ加熱部40が設けられている。加熱部40は、タンク4に貯留されている水を加熱させるものであり、電気ヒータ等で形成できる。外気温度等の環境温度が低いとき等には、制御部100からの指令に基づいて、タンク4の水は加熱部40により所定温度(例えば5℃、10℃、20℃)以上に加熱され、凍結が抑制される。図8に示すように、下室空間53側のタンク4の出口ポート4pと上室空間52側の蒸発部2の入口ポート2iとを連通させる給水通路8が、配管として筐体5内に設けられている。図8に示すように、筐体5内において、タンク4は蒸発部2の下側に配置されているため、給水通路8は、タンク4内に溜められている水をタンク4の入口ポート2iから水センサ87を介して蒸発部2に供給させる通路である。給水通路8には、タンク4内の水を蒸発部2まで搬送させる水搬送源として機能するポンプ80が設けられている。ポンプ80はギヤポンプ等のシール性が良い公知のポンプを採用できる。なお、給水通路8は蒸発部2,改質部3、燃料電池1等を介して大気に連通するようにされている。更に、制御部100はポンプ71,79,60を制御する。
【0048】
システムの運転時において、ポンプ80が正モードで駆動すると、タンク4内の水は、タンク4の出口ポート4pから蒸発部2の入口ポート2iに向けて給水通路8内を搬送され、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。なお燃料がメタン系である場合には、水蒸気改質による水素含有ガス(アノード流体)の生成は、次の(1)式に基づくと考えられている。但し燃料はメタン系に限定されるものではない。
(1)…CH+2HO→4H+CO
CH+HO→3H+CO
水蒸気は燃料通路6から供給される燃料(ガス状が好ましいが、場合によっては液相状としても良い)と共に改質部3に移動する。改質部3において燃料は水蒸気で改質されてアノード流体(水素含有ガス)となる。アノード流体はアノード流体通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソード流体(酸素含有ガス、筐体5内の空気)がカソード流体通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。
【0049】
上記した発電反応においては、アノードガスとして水素含有ガスが供給されるアノード10では、基本的には(2)の反応が発生すると考えられている。空気(酸素)がカソードガスとして供給されるカソード11では、基本的には(3)の反応が発生すると考えられている。カソード11において発生した酸素イオン(O2−)がカソード11からアノード10に向けて電解質を伝導する。
(2)…H+O2−→HO+2e
COが含まれている場合には、CO+O2−→CO+2e
(3)…1/2O+2e→O2−
発電反応後のアノードオフガスは、発電反応しなかった水素を含む。カソードオフガスは発電反応に未反応な酸素を含む。アノードオフガスおよびカソードオフガスは、燃焼部105に排出されて燃焼される。燃焼した後のアノードオフガスおよびカソードオフガスは、排気ガスとなり、熱交換器76のガス通路を経て排気通路75を流れ、更に、排気通路75の先端の排気口から筐体5の外部に放出される。排ガス通路75には、凝縮機能をもつ熱交換器76が設けられている。貯湯槽77に繋がる貯湯通路78および貯湯ポンプ79が筐体5の内部に設けられている。貯湯通路78は往路78aおよび復路78cをもつ。
【0050】
本実施形態によれば、前記実施形態1等と同様に、入口配管接続部300は、スパナ等の工具が嵌合する互いに平行な二面幅部を備えている。出口配管接続部400は、スパナ等の工具が嵌合する互いに平行な二面幅部を備えている。上記した二面幅部は、縦方向(矢印Y方向)に沿って延設されていると共に、重力作用方向としての機能する鉛直線に対して前記した角度θで傾斜している。
【0051】
図8に示すように、貯湯槽77の吐出ポート77pには相手配管77xが繋がる。この相手配管77xは入口配管接続部300に着脱可能に接続され、往路78aに連通する。貯湯槽77の帰還ポート77iには相手配管77yが繋がる。相手配管77yは出口配管接続部400に着脱可能に接続され、復路78cに連通する。貯湯槽77の低温の水は、貯湯ポンプ79の駆動により、貯湯槽77の吐出ポート77pから吐出されて相手配管77x、入口配管接続部300および往路78aを順に通過し、熱交換器76に至り、熱交換器76で加熱される。熱交換器76で加熱された水は、復路78c、出口配管接続部400および相手配管77yを順に通過し、帰還ポート77iから貯湯槽77に帰還する。このようにして貯湯槽77の水は温水となる。前記した排ガス通路75を流れる排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器76で凝縮されて液相状の凝縮水となる。凝縮水は、熱交換器76から延設された凝縮水通路42を介して重力等により浄水部43に供給される。浄水部43はイオン交換樹脂等の水浄化剤43aを有するため、凝縮水の不純物は除去される。不純物が除去された水はタンク4に移動し、タンク4に溜められる。ポンプ80がで駆動すると、タンク4内の水は給水通路8を介して高温の蒸発部2に供給され、蒸発部2で水蒸気とされて改質部3に供給され、改質部3において燃料を改質させる改質反応として消費される。
【0052】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。加熱部40はタンク4に設けられているが、これに限らず、凝縮水通路42に設けられていても良い。燃料電池1は、場合によっては、固体高分子型燃料電池も良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良い。燃料としては、都市ガスに限定されず、ガソリン、灯油、アルコール、バイオガス等でも良い。また、燃料電池以外のたとえば、ガスエンジンコージェネレーションでも良い。実施形態1では、出口配管接続部400および入口配管接続部300は第1側壁部511において縦方向に並設されているが、これに限らず、出口配管接続部400および入口配管接続部300は第1側壁部511に対向する第2側壁部515において並設されていても良い。場合によっては、出口配管接続部400および入口配管接続部300は背面壁部512において並設されていても良い。本明細書から次の技術的思想も把握できる。
【0053】
[付記項1]エンジンおよび燃料電池のうちのいずれかからなる発熱源と、発熱源が発生した排熱で加熱された熱媒体が通過する熱交換器と、熱交換器を流れる熱媒体で加熱された温水を貯湯槽に供給させる貯湯通路とをもつコージェネレーション配管構造であって、
発熱源および貯湯通路を収容する筐体と、
筐体にこれの側壁部から横外方に向けて突出するように設けられ、貯湯槽または給水源から供給された水を受ける貯湯通路の入口となる入口ポートをもつ入口配管接続部と、
筐体のうち入口配管接続部が設けられている側壁部から横外方に向けて突出するように且つ入口配管接続部と縦方向において並設するように設けられ、貯湯通路の出口となる出口ポートをもつ出口配管接続部とを具備しており、
入口配管接続部および出口配管接続部は、
縦方向に沿って延設されていると共に鉛直線に対して角度θ(θ=2〜15°の範囲の任意値)で傾斜し、且つ、工具の二面幅部が嵌合する互いに平行な二面幅部を備えていることを特徴とするコージェネレーション配管構造。
【符号の説明】
【0054】
1,201は燃料電池、10はアノード、11はカソード、2Aは改質器、2は蒸発部、3は改質部、4はタンク、5は筐体、59は収容室、511は第1側壁部、512は背面壁部、510は筐体本体、6は燃料通路、70はカソード流体通路、73はアノード流体通路、75は排ガス通路、76,202は熱交換器、77は貯湯槽、78,203は貯湯通路、8は給水通路、80はポンプ(水搬送源)、100は制御部、300は入口配管接続部、301は入口ポート、302は二面幅部、400は出口配管接続部、401は入口ポート、402は二面幅部、600はドレン配管接続部、601は排水ドレンポート、630は燃料配管接続部、631は燃料導入ポート、641は電気配線ポート、640は配線配管接続部、700は工具、702は二面幅、705は柄を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8